まどか「ウェヒーーーーーー!」ほむら「ホムーーーー!」 (68)

>>1は叛逆を知らないので叛逆キャラは一切出てきませんし叛逆展開も知りません。
あしからず。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391535343



   = 見滝原市・嵐の玉 =




QB「さぁ、鹿目まどか。その魂を代価にして、キミは何を願う?」


まどか「ハァーー………フゥーーー……」


ほむら「ダ、ダメよ、まどか……まどかァ!!」


まどか「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で!」


  シュゥゥゥゥン―――



ほむら(また……また、まどかが契約してしまった)

ほむら(ごめんなさい、まどか………)


ほむら(でも、私はあきらめない……次こそ、次こそは………!)


まどか「それと、ついでに」

   カチカチカチカチカチッ 
  
  ドシュゥゥーーーーン!!!     

      


 ……………―――――






ほむら「……今度こそ、まどかを契約させない世界にしてみせるわ」


ほむら「………」


ほむら「………なんで私、草の上で寝てるのかしら」フサフサッ

ほむら「ていうか」



ほむら「なんで大草原のど真ん中にいるの!!??」ホムーン!!


ほむら「ああ、でも良い風……」

ほむら「緑の香り」

ほむら「鳥のさえずり」チュンチュンッ


ほむら「なんだかとても良い気分だわ」


ほむら「……解ったわ、ここは夢の中」

ほむら「別の時間軸に来たけど、私の身体はまだ眠っているのね」

ほむら「それなら、もうちょっと寝ておこうかしら」

ほむら「まどか救済ループを開始して以来、ろくに眠れてないし」

ほむら「今はしっかり休んで……夢の中でも休んで英気を養いましょう……」ホムホム



ZZZzzzzz………




 ホー ホー


ほむら「………夢から覚めない」

ほむら「すっかり陽が暮れてもう夜中だわ」

ほむら「一体どういうことなの?」


  はっ――!


ほむら「まさか魔女の結界に!?」キョロキョロ


  ホー ホー


ほむら「………というわけでも無いみたいね」

ほむら「ソウルジェムも反応していないし」

ほむら「というか」


   ホー  ホー


ほむら「夢じゃない!?」




ほむら「ループ開始の時は必ず見滝原中学へ転校前で、病院から退院する前日……」

ほむら「でも、今回は大草原からのスタート?」

ほむら「何故? 一体どうして?」

ほむら「そもそも、ここはどこ? 遠くにうっすら山や林は見えるけど、建物が一切見当たらないわ」


ほむら「まるでハイジの世界にでも迷い込んだみたい……アルプスの魔法少女なんてイヤよ」ハァ…クシュッ

ほむら「ううっ、さすがに夜になると冷えるわね」

ほむら「でも、綺麗な夜空……月と星のおかげで真っ暗闇ってことはないし」

ほむら「ちょっと移動しましょう」






 ―――



ほむら「なんとか林の入り口までたどり着いたけど」

ほむら「何も見えないわ」

ほむら「盾の中に、灯りになるものは無いかしら」ガサガサ


ほむら「……ダメね。火事にするような物しか入ってないわ」


ほむら「それにしても……」グーキュルル

ほむら「お腹がすいたわ」

ほむら「思えば魔力でごまかしてただけで、今まで食事も適当だったから」

ほむら「かと言って、今この状況で無闇に魔力を消耗するのも得策とは思えない」

ほむら「こんなことなら盾の中にカップラーメンでも入れておくべきだったわ……」

ほむら「あ、でも水もないからダメね」


ほむら「…………」



ほむら「これって、かなりまずい状況な気が!」ホムーン!



ほむら「見知らぬ土地で水も食料もない」

ほむら「これを危機と呼ばずして何と呼ぶのよ」

ほむら「な、なんとかしないと」


  ホー  ホー


ほむら「―――……どうしろ、って話よね」

ほむら「こんな場所に、一人ぼっちで」

ほむら「一体なにをどうすればいいのよ」

ほむら「どこかもわからないこの場所で」

ほむら「水も食料も、何もないこの場所で」


ほむら「がんばったところで何になるって言うのよ……」

  ホー  ホー
ホー  ホー


ほむら「もしかして、私はもう死んじゃってるのかしら」


ほむら「あの時契約したまどかが、魔女と化した世界で」


ほむら「世界と一緒に、私も」




ほむら「……もう、どうにでもなぁれ」ドサッ


ほむら「夢でも、死後の世界でもなんでもいいから」


ほむら「早くみんなに会いたいわ」


グスッ


ほむら「杏子……さやか……マミ………――」


ほむら「まどかぁ……!」ヒック、グスッ



ほむら(………なんだか、眠くなってきちゃった)


ほむら(ああ、よかった)


ほむら(もう何も考えたくない)


ほむら(このままずっと、寝ちゃおう)




ほむら(ずっと、ずっと………)








 ―――

      アババ
 ティヒ



    パチパチッ

   ティヒ

パチッ





ほむら(……あたたかい)


ほむら(なんだか、良い匂いもする)

   ティヒ
ほむら(もしかして、天国に来れたの?)


ほむら(……そんなはずないよね。今まで散々悪いことをしてきたんだから)


ほむら(私はきっと、みんなとは違うところに行くんだ)
         ティヒ

ほむら(一人ぼっちは寂しい、か……杏子の言っていた通り、寂しいや)


ほむら(……なんだかさっきから、聞き覚えのある声が)まどか「ティヒ?」


ほむら「天国ゥゥーーーーーー!!!!」ガバッ! ダキッ



まどか「ティヒ!?」

ほむら「ほむほむほむ、ほむ!ほむ! ほむらっしゃぁっぁぁぁぁーー!!」」ギュウウゥゥ

まどか「ティヒーー??」

ほむら「ああ嬉しい!! 私まどかと同じところに来れたのね!! ああ生きててよかった!! いや死んでよかった!!」ギューー

ほむら「ごめんね、ごめんねまどか……! あなたを守れなくて……でも、もう離さないわ……物理的に!!」

まどか「ティヒィ……?」


知久「まど?」

詢子「まど??」

たつや「まどー」

まど「ティヒ」

ほむら「え?」


ほむら(お、お父様とお母様がいるーーーー!?)ガバッ



知久「まど、まど??」ヒソヒソ

まどか「ティヒティヒ」ヒソヒソ

詢子「まど……」ヒソヒソ

たつや「まどー」ヒソヒソ

知久「まど……」ヒソヒソ

詢子「まどー……」ヒソヒソ


ほむら(思わずまどかを離してしまったわ。もう離さないと誓ったのに)

ほむら(それに、なんでみんな……毛皮の服? これじゃまるで原始人じゃない。まどかは何を着ても可愛いけど)ジーーッ

ほむら(私にかけられたこれも毛皮を繕った布団みたいなものだし。というか……なにココ? 洞穴!? なんで!? )キョロキョロ



まどファミリー「………」ジーーーッ


ほむら(見てる見てる。めっちゃこっち見てる。だめよまどか、そんなに熱い視線で私を見ないで)

ほむら(じゃなくって……。この人達は間違いなく鹿目まどか一家。でも、明らかに何かが違うわ)

ほむら(でも)

まどか「ティヒティヒ」

ほむら(やっぱりまどかは、とっても優しい目をしてるわ)



まどか「ティヒ!」サッ

ほむら「え? なに? ……これは??」

まどか「ティヒ」

ほむら「マンガ肉……これを、私に?」

まどか「ティヒー」ニコニコ

ほむら(そういえば私、空腹のままだったわ……)

ほむら「……ありがとう、まどか」スッ

まどか「ティヒー」ホッ

知久・詢子・たつや・「まどー」ニコニコ

ほむら(美味しい。ちゃんと塩ふってあるわ。一度で良いからこういうマンガ肉を齧り付いてみたかったのよね)ホムホム

まどか「ティヒ」スッ

ほむら「お水まで……何から何までありがとう、まどか。助かったわ」ニコッ

まどか「ティヒー」ニコニコ

ほむら(会話になってないけど、何となく伝わってるみたいね)



ほむら「ごちそうさま、おいしかったわ。生き返ったみたい」ゲフー

まどか「ティヒ? ティヒティヒ」

ほむら「ん? あ、ダメよまどか。そんな押し倒すだなんて。いきなりで心の準備が、というかみんなの見てる前で」

まどか「ティヒー」ポンポン

ほむら「……もう少し寝てなさいってことね? わかったわ」チッ

まどか「ティヒ?」

ほむら「なんでもないわ。おやすみなさい、まどか」

まどか「ティヒ♪」



ほむら「zzzz…」





――――  一旦ここまでです。



  ―― 翌朝 ――





ほむら「ああ、よく寝た」

ほむら「こんなに軽い気分で寝たのも起きるのも久しぶりだわ」ノビー

まどか「ティヒヒー」

ほむら「あ、おはようまどか」

まどか「ティヒ、ティヒ♪」スッ

ほむら「野菜スープとマンガ肉。それにおにぎり? みたいなもの……ありがとう、朝ごはん持ってきてくれたのね」

まどか「ティヒ」ウンウン

ほむら「いただきます」ホムホムホム



詢子・知久「まど?」ヒョイ

まどか「ティヒ?」

詢子・知久「まどまどまど」チョイチョイ

まどか「ティヒ」テクテク

詢子・知久「まどまど? まど」

まどか「ティヒーティヒヒヒ、ティヒヒ、ティヒ」

詢子・知久「まど……」ウンウン




ほむら(洞穴の入り口でお父様とお母様がお話してるけど)ホムホム

ほむら(会話の内容がさっぱりわからないわ)ホムホム

ほむら(何にせよ、今はしっかり食べて元気つけないと)ホムホム

ほむら(まどかに会えたのは幸運だったけど、なんでこんな状況になってるのか調べないと)ホムホム

ほむら「ごちそうさまでした」ペロリ


まどか「ティヒティヒ」グイグイ

ほむら「え? どうしたのまどか、私の腕を引っ張って」

まどか「ティヒヒー♪」ニコッ

ほむら「ついてこいってことね? わかったわ」



  ―――――――


 ―― 洞穴から出た暁美ほむらが見たものは――



ほむら「こ、これは……」

まどか「ティヒ」




ほむら「山を掘って作られた住処だったのね」キョロキョロ

ほむら「あら、あそこには畑も。それに果樹園かしら」

まどか「ティヒー」

ほむら「ん? なに? あっ、なんだか下に沢山の人が集まってるわね」

まどか「ティヒ! ティヒ!!」グイグイ

ほむら「わ、わかったわ。そんなに強く引っ張らなくてもいいから」


 ワイワイ  ガヤガヤ

   ヒソヒソ  ドヨドヨ

 ワイワイ   ガヤガヤ


ほむら(一緒に降りてきたはいいけど)


  ジーーーーーーッ


ほむら(皆からの視線が痛いわ)


モブ1「モブモブ?」

詢子・知久「まどまど。まど、まどまど」

モブ2「モブ…?」

まどか「ティヒーティヒ、ティヒヒ、ティヒヒヒヒ」

モブ3「モブモブ」


ほむら(なんだか必死に訴えてるみたいね)



まどか「ティヒティヒ、ティヒー」

モブ4「モブ…」ジーーッ

詢子・知久「まどまどまどまど」


ほむら(まどファミリー以外からは確実に不審な目で見られてるみたいね)

ほむら(まあ無理もないわ。毛皮の服を着てる中にただ一人普通に服着てるんだもの。魔法少女の衣装だけど)


???「サヤー? サヤサヤサヤ」

ほむら「!?」

まどか「ティヒ……」

さやか「サヤサヤ、サヤ」

ほむら(美樹さやか……も、毛皮の服。というか居たのね)

まどか「ティヒ! ティヒティヒティヒ……!」アセアセ

さやか「サヤ……」ジーーッ

ほむら(もの凄い敵意を感じる視線だわ。どうにも美樹さやかとは相性が悪いみたいね)ファサッ



恭介「さやさや」

さやか「サヤ……」

ほむら「!? かみじょ……!?」ブッ

さやか「サヤ?」

恭介「さや?」

ほむら(……上条恭介。そういえば美樹さやかの幼馴染だから居て当然ね。ということは)

仁美「きょうきょう」

さやか「サヤサヤ」

恭介「さやさや」

ほむら(やっぱり志筑仁美もいるのね)


まどさや恭仁「ティヒティヒサヤサヤ」


ほむら(大人達そっちのけで会合が始まったわ)

ほむら(というか大人達も困ってるみたいね)

ほむら(正直なところ、一番困ってるのは私自身なんだけどね……)ホムーン



???「はいはい」パンパン

ほむら「手を叩く音? この声は……!」


和子「はいはい。はい、はいはぁーい? はい、はい!」


ほむら(担任の先生……よね?)

まどか「ティヒティヒヒー」

さやか「サヤサヤー」

和子「はいはい、はい! はぁーい」ニコッ

ほむら(流石は先生ね。揉めていた4人をうまく纏めたみたいだわ)


まどか「ティヒー♪」ニコニコ

さやか「サヤー……」ムスッ

恭介「さや」ホッ

仁美「きょう」ホッ

和子「はいはい♪」


ほむら(美樹さやかは相変わらず膨れっ面だけど、なんとか治まったみたいね。一安心だわ)

詢子「まどー」ホッ

知久「まどまど」ニコッ

たつや「まど!」

ほむら(お父様とお母様、それに弟くんもホッとしたようね)


ワラワラ

モブ子1「モブモブ」

モブ子2「モブモブ?」

ほむら「えっ、ちょ、な、なんなの」

モブ子3「モブー」

モブ子4「モブーモブー」

ほむら(好意的な態度……いえ、好奇心かしら? 少なくとも敵意は感じないけど)

ほむら(何言ってるかさっぱり解らないわ)タジッ

まどか「ティヒー、ティヒティヒー」

モブ子s’「モブ? モブモブー」

まどか「ティヒ? ティヒ!」ギュッ

ほむら「まどか? 手を握って……え? 向こうに行こうって言うの?」

まどか「ティヒ」

ほむら「わかったわ。ごめんなさい、モブ子さん達」ファサッ



モブ子s’「モッブモブーー」




  ――― まどかに手を引かれ―――――


ほむら(良い天気ね)

まどか「ティヒヒ、ティヒーティヒ」

ほむら(色々な所に指差しては私に話しかけてくれる、まどか)

ほむら(きっと説明してくれてるのね)

まどか「ティヒティヒティヒ」

まどか「ティヒーティヒヒー」

ほむら(あの川で水を汲むのね、なるほど。それでここが焚き火用の柴置き場)

さやか「サヤサヤサヤ」

ほむら「なんであなたまでついてくるのよ、美樹さやか。あなたはどこまで私を苦しめるの」

さやか「サヤサヤ」イラッ

まどか「ティヒティヒ……ティヒ」アセッ

ほむら「言葉は通じなくても、態度で何となく解るのがまた腹立たしいわね」

さやか「サヤサヤ、サヤ」

ほむら「ここは加工場ね。石器や服を作ってるみたい。あなたに説明されなくても見れば解るわ」

さやか「サヤッ」イラッ

まどか「ティヒティヒ」アセアセ

ほむら(……まどかが困っているみたいね。可愛いけどかわいそうだから、これ以上の挑発は止めましょう)ファサッ


さやか「サヤッ!」ビッ!


ほむら「なに? あの高い丘を指差して。あそこに何が……」



まどか「ティヒ!」

ほむら「!! あ、あれは……!!」





  ―― 小高い丘の上――



 ―― 爽やかな風に揺られて靡く、金色のツインドリル――



―― ガゼルのツノっぽいもので出来たコップを傾け、優雅にくいっと飲み干し――


     ――― そこにたたずむ、一人の――!




マミ「マミ?」クルッ



ほむら「巴………マミ………!」








さやか「サヤーーーー!!」ブンブン

まどか「ティヒーーー!!」ブンブン

マミ「マミッ♪」ピョン シュタッ

ほむら(丘の上から飛び降りるだなんて。魔法少女でも無さそうなのに身軽ね)


まどさやマミ「ティヒティヒサヤサヤマミマミ」


ほむら(私のことを説明してるみたいね)

ほむら(しかし、巴マミ……)

ほむら(パチンコを腰に下げてるって、かなりダサいわ……)ズーン


まどか「ティヒ♪」

マミ「マミィ……」ジーーッ


ほむら(何とも言えない視線ね。まあ巴マミともこうなるとは解ってたけど)


まどか「ティヒーティヒティヒ、ティヒヒ、ティヒー」ペラペラ

マミ「マミマミ」フムフム

さやか「サヤサヤァ……」ヒソヒソ

ほむら「………」


マミ「………マミン♪」ニコッ

まどか「ティヒヒ♪」ニコッ

さやか「サヤー」ムスッ



マミ「マミマミ、マミン」テクテク  スッ

ほむら「巴マミ……この手は、握手?」

マミ「マミン♪」ニコッ

ほむら「……」

ほむら「よろしく、巴マミ」スッ グッ


ほむら「……!!」

 ギュゥゥッ

マミ「マミン」


ほむら(……この手に込められた力、尋常じゃないわ)

ほむら(流石は巴マミ、表向きは友好を装うけれど)

ほむら(心の奥底じゃ信用しきっていないってワケね)

マミ「マミマミ」ニヤリッ

ほむら(本当は敵対したいけど、まどかの説得で折れたって所かしら)


まどか「ティヒヒ♪」ニコニコ




  ――――


ほむら「さて、まどか達の近隣の案内も終わって、いざ一人になったけれど」テクテク

ほむら「なにをすべきか迷うわね」テクテク

  チラッ

ほむら「………」

 サヤッ


ほむら(美樹さやかの監視の目もあるし、下手に動かないほうが得策かしら?)

ほむら(かと言って、このままいたずらに時間を消費するのも得策とは思えない)

ほむら(どうしたものかしら)


     トボトボ


ほむら「!? あれは……まさか!?」


QB「ん? 発声言語が聞こえたような」クルッ




ほむら「キュ……いえ、インキュベーター!!」




QB「!!」


  キュプドーーーン


――――  一旦ここまで。



ほむら(ヤツがここに居る理由はただ一つ……!)

ほむら(まどかを魔法少女にするために契約を迫ること!)

ほむら(まだこの世界のことは何一つ解ってないけど、アイツが私の敵と言う事実に揺らぎは無い)

ほむら(ノコノコと歩いていたのが運の尽きよ……!)スッ

QB「き、キミは僕が見えるのかい??」キョトン

ほむら「お前と話すことなど無いわ」

QB「ま、まってくれ!! そんなに敵意をむき出しにしないで! まず話を聞いてくれないか!?」

ほむら「インキュベーターも命乞いする事があるのね。聞く耳持たないわ」ガチャキッ

QB「お、お願いだ! お願いだから! 何かは知らないがその手に持ったものを収めてくれ!!」

ほむら「……? いやに低姿勢じゃない。一体何を企んでいるの」

QB「な、なにも企んでなんかいないよ! とにかく僕の話を聞いてくれ!! やっと会話できる人間と巡り合えたんだから!」

ほむら「?? 何だか様子がおかしいわね」

QB「お、おかしいのはキミのほうだよ! いきなり敵意を丸出しにするだなんて!」

ほむら「……いいわ。まずは一旦収めてあげる」スッ

QB「ふー。ありがとう」キュップイ


QB「まずは自己紹介だね! 僕の名前は」ほむら「しってるわ」

QB「そ、そうだね。僕のことを見るなりインキュベーターと呼んだくらいだ。失礼したよ」フー…

QB「それじゃあキミの名前を教えてくれないかい?」

ほむら「暁美ほむら。ほむらでいいわよ」



QB「アケミホムラ、か。わかった、ほむらと呼ばせてもらうよ」

ほむら「で、お前は何しにここにやってきたの? 言っておくけど、鹿目まどかに手を出そうものなら葬るわよ」

QB「かなめ、まどか?? 誰のことだい、それは」

ほむら「しらばっくれても無駄よ。あの子には手出しさせないわ」

QB「ほむら、キミが何を言っているか解らないけど……僕はそんな人間知らないよ」

QB「と言うよりも、まず僕を認識してくれた人間自体、キミが初めてなんだから」

ほむら「………どういうこと?」

QB「今言った通りさ。僕達インキュベーターを認識してくれた人間は、暁美ほむら。キミが初めてだ」

ほむら「…………」

QB「頭を抱えているみたいだね。それはこちらも同じことなんだけど、まあ良しとしよう」

QB「僕もキミと言う人間について色々と聞きたい事があるのだけれど、まずは僕の身の上話をさせてもらおう」

  サヤッ

ほむら「……そうね、聞かせて貰おうかしら。でもその前に、ちょっと場所を変えましょう。どこか座れる岩場かどこかに」

QB「? わかった、従おう」

      サヤッ



QB「それじゃあ、ほむら。第一に僕が宇宙人と言うのも何故か知っているようだから省こう」

QB「僕達インキュベーターは宇宙のじゅ」ほむら「知ってるわ」

QB「わ、わかった。そ、そこまで知ってるなら話が早いね」

QB「僕と契約して、魔ほ」ほむら「もうなってるわ」

QB「なんだって?」

ほむら「私はもう魔法少女よ」ファサッ

ほむら『だからこんなことも出来るわ』テレパシー

QB『! お、驚いた……! まさかもう魔法少女が……い、いや、しかし僕達の記憶の中に契約をしたと言う記憶は』

ほむら『まあ追々聞かせてあげるわ』

ほむら『それよりも、お前達インキュベーターを認識した人間……私が初めてと言うのはどういうこと?』

QB『そのままだよ。僕達インキュベーターはこの広い宇宙を探索し、そしてこの地球に白羽の矢を立てた』

QB『僕達の事前調査では、この星には僕達の考えたシステムと知的生命体が合致し、魔法少女と言うシステムが出来上がるはずだった』

ほむら『はずだった?』

QB『そう。だがいざこの星に降り立つと、何故か人間達は誰一人として僕達と接触が出来なかった。ついさっきまでね』

ほむら『この星に降り立って初めて接触出来た人間が私、と言うわけね?』

QB『うん、2万年近くかかってようやくだよ。おかげで大半の同胞が母星へと引き上げていってしまった』

QB『この星に残ったインキュベーターは数えるほどしか居ない』

ほむら『………それじゃあ今ならお前達を絶滅させるのも容易いってわけね』

QB『お、穏やかじゃないな。なんでそんなにキミは攻撃的なんだ、ほむら』



QB『僕のこの姿は人間にとって最も敵対心を与えないことを考慮した上での状態だと言うのに……キミは……』

ほむら『ふん』

QB『そもそも、キミは一体何者なんだい、ほむら?』

QB『何故人間達の中でキミだけは会話能力を携えているんだい? それに、契約した覚えもないのにキミは魔法少女だと言うのも謎だ』

ほむら『…………』

QB『だんまりかい? キミの存在はまさにイレギュラーだ。お願いだから僕の疑問に少しでもいいから答えてほしいな』

ほむら『その前に、一つ聞かせて』

ほむら『本当の本当に、人間はお前を認識できないの? 今までも、これまでも、誰一人として』

QB『本当だよ。どうか信じてほしい』

ほむら『………』ウーン…

QB『頭を抱えないでくれ、ほむら。とにかく話をしようじゃないか』

  サヤサヤッ 

ほむら(ああ、もう。この期に及んで、美樹さやか。どこまで私の邪魔をすれば気が済むの)イラッ

ほむら(……そうだ!)


ほむら『キュゥべぇ、もう一つ聞きたいことがあるわ』

QB『僕ばっかり話をするんじゃフェアじゃないよ。でもまあいい、なんだい?』

ほむら『あの物陰でこそこそ隠れてブツブツ言ってる、青いアレ。アレが何て言ってるか解る?』

QB『ああ、村でさやかと呼ばれている娘のことか。わかった、ちょっと待っていてくれるかな』テクテクテク…

ほむら(『さやか』という名前を知っているのに、鹿目まどかを知らないってことは……もしかして、コイツ)




QB『おまたせ』

ほむら『早いわね』

QB『ええと、【なにものなんだアイツは。もしかしてまた隣の山から来たヤツじゃないだろうな。】って言っていたよ』

ほむら『キュゥべぇ、お前は彼女の言葉が理解できるのね?』

QB『彼女に限らず、この星の人間全ての言葉を理解出来るよ。悲しいことに人間は言語機能が発達していないようだけどね』

ほむら『どうやって読み取っているの?』

QB『発声だよ。海洋生息哺乳類が音波で他個体とコミュニケーションを取れるのと同じで、独自の発声音を放っているんだ』

QB『僕達インキュベーターでも、人間達の発声音の会話を翻訳できるようになるまで百年単位の時間を要したけどね』

ほむら『なるほどね。私に理解できないだけで、彼女達はちゃんとした会話を行っていたと……』

QB『キミは彼女が……いや、人間達の会話が何て言っているのか解らないのかい?』

ほむら『ええ。ある程度は感情で読み取れるけど、正確には理解出来ていないわ』

QB『しかし、キミは何故僕達と同様に言語を用いることが出来るんだい?』

ほむら『………』

QB『やれやれ、またしてもだんまりかい?』

ほむら『ちょっと静かにしてて』

QB『わかったよ』



ほむら(落ち着いて、落ち着いて。冷静に考えるのよ、暁美ほむら)

ほむら(キュゥべぇは確かに美樹さやかのことを、さやか、と呼んだ。でもキュゥべぇは人間と会話が出来ない)

ほむら(美樹さやかの周囲の人達が美樹さやかを「さやか」と名前で呼んでいたから、知っていた)

ほむら(本人から名前を聞きだす術が無いのだから、それしかないわね。つまり「まどか」は知っていても、鹿目まどかは知らないってことかしら)



ほむら『……キュゥべぇ』

QB『なんだい?』

ほむら(仕方が無いわね……癪だけど、キュゥべぇを利用させて貰いましょう。少なくともまどかの害になることはなさそうだし)

ほむら『今から私が話す内容は、全て嘘偽りのない話。それでも信じられる?』

QB『よかった、やっと話してくれるのかい。信じられるかどうかは根拠が無いことには約束出来ないが、聞かせてくれ』


ほむら『私は――――』



   ―――――




     ―――――――





QB『時間遡行者……なるほど、それなら契約した覚えが無いのにも合点がいく』

ほむら『ええ。私は鹿目まどかを契約させない為に同じ時間を繰り返してきたわ。そして今回も』

QB『しかし、何故か身に覚えの無い場所に来てしまった、と?』

QB『なんだか途方も無い話だが、キミの言ったことを照らし合わせれば、何故僕達インキュベーターのことを知っていたのかも納得だ』

QB『キミが齎してくれた情報は僕達にとって大きな鍵となるかも知れない。礼を言うよ、暁美ほむら』

ほむら『お前に礼を言われると無性に腹が立つけど、状況が状況だから許してあげるわ』

QB『礼を言ったのに敵意を向けられる意味が解らないよ』



QB『それで、キミはこれからどうするんだい?』

ほむら『まずはこの時間軸の謎を解きたい……と言いたい所だけど、正直手詰まりしているわ』

QB『なら僕達と協力し合わないかい? 人間の言葉を翻訳できる僕達はキミの役に立てると思うんだけど』

ほむら『イヤに好意的じゃない。何を企んでいるの?』

QB『何も企んでなんかいないさ。純粋な興味と、キミが齎してくれた情報に対するお礼でもある』

QB『どうかな? 悪い話じゃないだろう?』

ほむら『……そう、ね。解ったわ。その話、乗るわ』

QB『ありがとう、ほむら』



ほむら『ただし』ギュッ



QB『?』

ほむら『妙な素振りを見せたら容赦なく葬るわよ』グググググ

QB『ちょ、く、首を絞めないでくれ! わ、解った、わかったよ! 変なことはしないと約束するから!』ジタバタ

ほむら『契約成立ね。それにしても随分と弱気じゃない?』パッ

QB『ぜー、ぜー……ま、まったく。もう身体の残数が少ないんだから潰されると困るんだよ……』

ほむら(この焦りようからすると、本当に残り少ないのね)ググググ

QB『な、なんでまた首を絞めるんだい!』バタバタ

ほむら『ごめんなさい、楽しいからつい。これからよろしくね、キュゥべぇ』ギリギリギリ

QB『わ、わけがわからないよ……』ジタバタ




 ―――――時間は過ぎ、翌日。村(?)の広場。



           ガヤガヤ
知久「まどまど」
         ザワザワ
恭介「さやさや」
          ガヤガヤ
大人モブ達「モブモブモブ」

   ザワザワ


ほむら「何だか大人達が神妙な顔で話し合ってるわ」

QB「どうやら男達で狩りに出かける準備をしているようだね」ヒョイ

ほむら「キュゥべぇ、踏まれると危ないから私の肩に乗りなさい。……狩りって?」

QB「助かるよ。(ピョンッ)キミの知っている世界では違っただろうが、この世界の人間達は3~4日に一度は狩りで遠出するんだ」

ほむら「原始時代まんまね……」

QB「もちろん全員で行くわけじゃないけどね。それにどうやら今回は若い男子も同行するらしい。狩りの仕方を教えるんだろう」

QB「この星の人間達は何万年もこうして生きているんだ。まったく進歩がない」

ほむら「あ、準備が終わったみたい。男達が歩いていくわ」

     ゾロゾロ


   \モブきょうモブまどさやモブーー/



QB「女達が手を振って見送っているね」

ほむら「まどかのお父様が狩りに行くって、なんだか新鮮だわ」

QB「彼はここの群れのリーダー格の一人だね」



和子「はいはーーーい!」ブンブン

詢子「まどまど、まど」

和子「はいはい……」ウルッ

詢子「まどまど……」ポンッ



ほむら「なんだか切なそうね、先生」

QB「彼女(和子)のことかい? どうやら出かけた男達の中に彼女の伴侶がいるらしくて不安なようだよ」

ほむら「」

QB「ど、どうしたんだい、ほむら? 放心したかのような顔をして」

ほむら「な、なんでもないわ」


 コソコソコソ…


ほむら(ん? あれはまどかに、美樹さやか。どうしたのかしら、二人でこそこそして)


ほむら『……キュゥべぇ。あの二人を尾行するわよ』テレパシー

QB『わかった』テレパシー






  ――― 場所は移り、村はずれ。



ほむら(あれは……巴マミ。三人集まって、一体どうしたのかしら)コソコソ



まどか「ティヒーティティヒ」

さやか「サヤサヤサヤァー」

マミ「マミマミ、マミン♪」ニコッ


QB『あの三人、どうやら大人達に内緒で野鳥狩りに出かけるみたいだよ』

ほむら『なんですって?』

QB『あのマミと言う娘は、腰に下げた道具を使って野鳥を撃ち落すのが得意なんだよ。よく森の中に居るのを見かける』

ほむら『それでパチンコを持ってたのね。納得だわ』

QB『ぱち……? あの道具はそんな名称なのかい? まあいいや』

QB『マミは村きっての狙撃手だ。どうやらあの二人に狙撃の何たるかを教示するつもりみたいだね』

ほむら『よりによって、村の大人達が減った今日に……。何を考えているのかしら、まったく』

QB『あの二人は色んな意味でまだまだ未熟だからね。大人達の目が光っている間は野鳥狩りに行かせてもらえないんだよ』

ほむら『なるほどね……。あっ、どうやら準備が終わったみたいね』

QB『追うのかい?』

ほむら『もちろんよ』


 マミマミティヒティヒサヤサヤ♪






マミ「マミ!」ヒュンッ  バスッ ギャーギャー

マミ「マミン!」ヒュンッ  バシッ  ピギーピギー


さやか「サヤサヤサヤ!!」ヤンヤヤンヤ

まどか「ティヒヒーー!!」パチパチパチ


マミ「マミッ!」シュッ  ビシッ ギャーッ

マミ「マミン……」ドヤァァァ…



ほむら『確かに上手ね。百発百中じゃない』コソコソ

QB『マミは早くに崩落事故で両親を亡くしているから、長らくひもじい経験をしてきたからね』

ほむら『どういうこと?』

QB『あのまどかと言う娘の父親が村のリーダー格になる前は、村の食料配給制度が厳しくてね』

QB『役に立たないだけの子供には、満足に食料を与えなかったんだよ』

QB『だからマミは、自分の食料は自分で手に入れるしかなかったんだ。それで野鳥狩りを始めたと言う訳だね』

ほむら『(さりげなく「まどか」の名前を出したわね)苦労してるのね』

QB『才能もあったのか、マミはあっという間に大人顔負けの狩人となった。以後は村でも認められるようになったのさ』



マミ「マミッ!」シュッ  バシュッ

マミ「マミッ!!」ヒュッ  バスッ


さやか「サヤサヤァーー!」

まどか「ティヒー!」



ほむら(……いちいちポーズ決めるのは相変わらずなのね)ホムーン



マミ「マミマミ、マミマミマミマミマミ……!」ウットリ


マミ「マミ、マミママミマミン!!」ドヤァッ


ほむら『!!』

QB『大きな岩に足をかけて……なんだろう?』





QB『もう、なにも怖くないってさ』




ほむら『』





さやか「サヤサヤサ-ヤ、サヤサヤ」

まどか「ティヒ? ティヒティヒ……」オドオド

マミ「マミマミ♪」ニコッ



QB『もう少し森の中に入っていくみたいだね。まどかは嫌がっているが、二人は乗り気だ』

QB『あ……強引に手を引かれて行ってしまったね。どうする、ほむら? まだ追いかけるかい?』

ほむら『当然よ!!!!!!!!』

QB『お、大きな声で念話しないでくれ。びっくりするじゃないか』



マミマミ♪
    サヤサヤン♪

 ティヒヒー……



QB『絶好調だね。マミの動きも無駄が増えてどんどん派手になっていく。しかしそれでも百発百中だ』

ほむら『…………』カチカチ

QB『どうしたんだい、ほむら。急に盾をいじりだして?』

ほむら(よし……無事に使えそうね)


マミ「マミッ!」ヒュンッ  バシッ!  ギャーギャー

  ガサガサ

マミ「マミンッ!」ヒュッ  バスッ!  クワークワーッ

 ガサガサガサッ!!

マミ「……マミ??」キョトン

さやか「サヤ?」

まどか「ティヒ……?」

 ガサッッ!!


QB『ほむら! 彼女達の前の草むらに、何かがいる!!』



 熊「ヴォォォォォーーー!!」 ガバァァッ!!


マミ「マミ……??」


 熊「ヴァァァッッ!!!!」ブンッ!!


本日はここまでです。
読んで下さってる方々に感謝です
山場も何にもないウッホウッホな感じですが暇つぶしにでもなってくれれば幸いです(´∀`)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月15日 (土) 12:52:04   ID: FpiAhO4O

期待

2 :  SS好きの774さん   2014年02月15日 (土) 12:55:56   ID: P5oom6gj

期待

3 :  SS好きの774さん   2015年04月29日 (水) 01:54:41   ID: II4vdFx3

ミカンSSの中で一番好き

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