猫「ねこは、にんげんさんに、なりたい」(22)


ちっちゃいまちの、すみっこ

くるまが、ぶーぶーうるさいなぁ....

くうきもあまり、おいしくないなぁ

あ、そうそう

ねこはきょう、すてられました


猫「ねこは、だめなこ」

なみだもでない、ちっちゃいからだ

ねこ、なんですてられたのかな

きっとだめなこだから....

猫「ねこ、ごしゅじんにあいたい」

「いいこになって、ごしゅじんに....あいたい....!!」

「いいこになるには、まず、なにをしたらいいのかなぁ....」


猫「まず、にんげんさんに、なりたいなぁ....」


いきなりそんなの、むずかしいかなぁ

かみさまどうか、ねこを....

猫「ねこをにんげんに....」


猫は願った

頭が蕩けそうになるほど願った

頭が破裂しそうになるほど願った

それほど、ご主人に会いたかった。


言葉を交わし、捨てられた理由を聞きたい。

猫はいい子になって、ご主人のもとへ帰りたいと願った。


もちろん、そんな願いなど

神様が本当にいるかさえわからないこんな世界では意味がなかった。

猫にはそれが考えられないのだ。

神様という存在を信じ、それにすがる....そうでもしないと、猫は死んでしまいそうだった。



猫「かみさま、かみさま、ほとけさま....ねこをにんげんに、してくださいな....」

神1「やぁ猫さん!僕は神様だよ!」

神2「こんにちは、猫ぉ....私も神....」

仏「わ、わたしは仏....かもしれない....え、あってるかな....」


よんだかずだけ、かみさまとほとけさまが

でてきたよ。

ねこ、こわくて、なきごえもでない

神1「猫さん、どうしたんだい?さっきまであんなに僕らのこと呼んでいたじゃないか!」

神2「あまりに強ぅい気持ちだったからぁ....ついついきてしまったの....」

仏「わ、わたし、猫さんを助けてあげることができるかわかりませんが、がんばりますよ....!!」


やさしい、かみさま、かみさま、ほとけさま。

ねこは、うれしくなってきたみたい。


猫「あの、あの、ありがと....ねこのこと、にんげんに、してくださいな」

猫「ねこ、ごしゅじんにあいたい。にんげんになって、いっしょに、くらすの。」

神1「一緒に暮らす....か。困ったな....」

神2「....?猫ぉ...何を言ってるの....?」

猫「....?ねこ、にんげん、なれない....?」

仏「あのですね....人の器を作り、あなた....猫の器と中身を交換してあげることで、人間になることはできるのですが...」


猫には難しい言葉が、どんどん溢れる。
でも、猫は黙って耳をピンとして
その話を聞いた。


猫「ねぇ、けっきょく、どーいうこと?ねこ、むずかしかったから、わかんない....」

神1「つまりね、君はさ....」







神1「もう、死んでるんだよ。」






猫は頭が真っ白になった。


猫「し、んでる?しんでる?ねこ?ねこが?」

じゃあなに、ねこ、捨てられたのは....




しんじゃったから?


猫の捨てられた場所は
拾ってください、のダンボールの中ではなく

冷たく臭いゴミ捨て場だった。

神2「いくら私たちぃ....神でも....死したものを生き返すのは....できない....」

神1「君は、さぞご主人に愛されていたんだろうね。だからこそ、死してなお戸の世界へ踏みとどまっている。」

仏「しかし....愛してくれたご主人であれども、捨てる場所はゴミの山....」


猫は苦しくなってきた。

やっぱり涙は出ない。

もう死んでいるから。

×戸の世界


○この世界

猫「そっか....ねこ、もうおそらにいくんだね?」

神2「物分かりのいいぃ....可愛い可愛い猫ぉ....」

ふわふわ、綺麗な羽衣のようなものに身を包んだ神様に

抱きかかえられて空へ空へとのぼる


最後に猫がこの世に見せたモノは、小さな一粒の涙でした。






男「つめたっ」

友「?」

男「雨でも降ってくんのか....?」

友「は?こんな晴れてんのに?」




end

やだ!可哀想!
乙って言いたいのに言えねえよ!

ねこが天使になって神様に仕えたりするハートフルストーリー始まるんだよな!始まるって言えよ!!

>>15
すまん、ちょっと悩んだが
これはこういう話だと思ってくれ....たら嬉しい。

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