える「え? あ、なんでも……ないです……」
奉太郎「そうか……」
奉太郎(どう見てもおかしい……)
千反田は俺の方をちらりと見て、また目をそらす、ということを繰り返していた。
奉太郎(いったいなんだ……厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだが……どうする……?)
A やらなくていいことはやらない。無視する。
B 俺、千反田のことが気になります!
>>5
A
奉太郎(俺はやらなくていいことはやらない……)
その後も千反田は俺をちらちらと見続けたが、それを全て無視し下校時間となった。
える「では折木さん、また……明日です……」
それが、俺が千反田から聞いた最期の言葉だった。
通り魔だった。
千反田は強姦された後、刃物で滅多刺しにされ、殺された。
俺があのとき千反田に事情を尋ねていれば……
もうすぐ千反田の一周忌が来る。
ーBAD ENDー
>>1でBを選んだ場合として続けさせてもらいます。
シナリオは複数考えています。
奉太郎「俺、千反田のことが気になります!」
える「え?」
奉太郎(あれ? なんでこんな口調に……)
千反田は大きな瞳をますます見開いて、俺を見つめた。
奉太郎「千反田、話してくれないか?」
える「……」
える「ですが……これは一身上の都合で……」
奉太郎「構わん」
短い沈黙が訪れた。
千反田は顔を俯けて呟くように言った。
える「実は私、最近、誰かにつけられているらしいんです……」
心臓をぐっと掴まれたような気がした。
奉太郎「つけられている?」
える「はい」
奉太郎「そいつの特徴は?」
える「姿をはっきりと見ていないのでなんとも言えません……」
奉太郎(千反田がストーカー被害にあっている……)
奉太郎「いつからだ?」
える「ここ二週間で四回……火曜日と金曜日に……」
頭の中が掻き乱される。
まさか千反田の口からこんなことが切り出されるとは思いもしなかった。
こんなときに限って里志は総務委員の臨時会議、伊原は漫研でいない。
今日は水曜日だ。
ストーカーが火曜日と金曜日に現れるなら、今日は大丈夫かもしれない。
どうする……?
A 千反田が心配だ。一緒に帰ろう。
B 今日は水曜日だ。おそらく犯人は現れない。家に帰って対策を練る方がいい。
>>26
B
奉太郎(今日は水曜日だ……。ストーカーは現れない……)
奉太郎「千反田、今日は俺は帰って対策を練る。お前はなるべくはやく帰れ」
える「分かりました……」
千反田のそのときの目はどこか悲しげだった。
千反田と校門で別れの挨拶を告げ、帰途につく。
すでに日は傾きかけていた。
俺は家に帰るとすぐに犯人の割り出しを始めた。
奉太郎(駄目だ。情報が少なすぎる……)
そのとき、電話が鳴った。
緊張感がなくなるのでコンティニューは5回までにします。
それ以上はBADENDの場合でも終了とします。
嫌な予感がした。
受話器をとる。
奉太郎「もしもし……」
伊原「ちーちゃんが……ちーちゃんが……」
伊原の声は途絶え途絶えだった。
奉太郎「落ち着け伊原。千反田がどうしたんだ?」
伊原「ちーちゃんが通り魔に刺されて……」
奉太郎「今、千反田はどこにいる!?」
伊原「入須総合病院……」
俺の身体はすでに動き出していた。
奉太郎(俺のせいだ……。ストーカーが今日現れない保証などどこにもなかった)
全力で自転車をこぐ
奉太郎(省エネ主義も今日で卒業だな)
俺は意外にも落ち着いていた。
残酷な現実を知らな過ぎたせいか、目を背けたかったからかは分からない。
しかし、そこにあったのは千反田の死という現実だった。
葬儀に参加することはできなかった。
もうすぐ千反田の一周忌が来る。
ーBAD ENDー
コンティニュー残り4回
>>21 Aルート
奉太郎「千反田、今日は一緒に帰ろう」
える「しかし、折木さんに迷惑をかけるわけには……」
奉太郎「万が一ということがある。俺は後悔だけはしたくない」
える「……ありがとうございます」
俺と千反田は一緒に帰ることになった。
日の暮れた住宅街を二人で歩く。
ストーカーについてもっと千反田から聞きたいが……今、聞けば千反田の不安を煽ることになってしまう。
える「折木さん」
千反田が不意に俺の名前を呼んだ。
考えごとをしていたために、反応が遅れる。
奉太郎「な、なんだ?」
千反田は俺に深々と頭を下げた。
える「本当にありがとうございます」
顔に血が集まるのを感じた。
今の俺の頬は赤く染まっているだろう。
この闇なら幸い千反田にはばれない。
奉太郎「はやく帰るぞ」
える「はい!」
再び歩きだす。
叫び声が聞こえたのは、その直後だった。
明らかに普通ではない。
誰かに助けを求めるような……
える「折木さん、今の叫び声、摩耶花さんの声に似ていませんでしたか?」
冷や汗が吹き出した。
える「私はもう一人で大丈夫です!」
千反田はこう言っているが……どうする?
A 千反田の方が心配だ。今の叫び声は何かの間違いだろう。
B 伊原の身になにかあったのかもしれない。とにかく行ってみよう。
>>45
飯落ち
安価なら下
b
奉太郎「千反田、気をつけて帰れ!」
える「はい、折木さんも気をつけて……」
もときた道を全力で戻る。
途中で自転車とすれ違った。
息が乱れている。
暗闇で顔は見えない。
だが今はそれどころでない。
奉太郎(なにかの間違いであってくれ……)
しかし、現実は非常だった。
俺の目に写ったのは血に染まった――――伊原。
奉太郎「伊原!」
摩耶花「お……れ…き………?」
奉太郎「しゃべるな! すぐに救急車を呼ぶ!」
摩耶花「……はやく」
伊原が俺が来た道の方を指さす。
摩耶花「ちーちゃんが……危ない…私は…大丈夫だから……はやく……」
頭の中が白紙になる。
伊原が血だらけで倒れている。
伊原は千反田が危ないと言う。
俺は……どうすればいい……。
伊原「……折木………はやく」
俺は、再びもときた道に足を踏み出した。
走りながら様々な考えが頭を駆け巡る。
奉太郎(まさか……犯人の本当の目的は……)
目に写ったのは
先程別れた場所から300mほど離れた場所
血だまりの中に沈んだ千反田。
ーBAD ENDー
コンティニュー残り3回
>>39 Aルート
奉太郎(今は千反田のことが先決だ)
奉太郎「まずはお前をお前の家まで届けてからだ」
える「しかし……」
奉太郎「伊原の家の方向が違う。伊原の声なわけがない」
える「……」
千反田は納得がいかない様子だった。
自分が危険に晒されていても、他人のことを考える。
千反田はそういう奴だ。
千反田の家に着いたのはそれから約10分後だった。
える「折木さん、今日は本当にありがとうございました」
千反田が深々と頭を下げる。
ここまで来ればひとまず安心だろう。
そのときだった。
千反田の家から見慣れない血相を変えた男が出て来たのは。
える「お、お父さん!?」
奉太郎(はじめて見る……これが千反田の……)
千反田の父は出てくるなり、俺には目もくれず、千反田の双肩を掴んだ。
千反田父「える、落ち着いて聞け……」
える「ど、どうしたんですか!?」
千反田父「お前の友達の伊原さんが通り魔に刺されたそうだ」
伊原は一命を取り留めた。
誰が伊原を刺したのか、千反田のストーカーと同一人物なのか……それは分からない。
える「折木さん……」
奉太郎「千反田、何も言うな……」
千反田は泣きはじめた。
伊原はいつ目を覚ますかは分からないそうだ。
奉太郎「なあ千反田……」
える「なんですか……折木さん……」
千反田はまだ涙を流している。
俺は無力だ。
この少女の悲しみを癒すことすらできない……。
奉太郎「その……すまん」
える「……折木さんが謝るようなことじゃありませんよ」
千反田が無理矢理笑顔をつくる。
奉太郎「……」
A 千反田を抱きしめる
B 伊原の生命維持装置を取り外す
C 千反田に口づけする
D 千反田に告白する
b
俺は誰もいない時間帯を見計らって伊原の人口呼吸器を取り外した。
これで千反田は伊原のことで悲しまなくてすむ。
中途半端に生き残ったこいつが悪い。
伊原の心拍数は徐々に低下していった。
ここに居れば怪しまれるだろう。
俺は病室を後にした。
そのとき、千反田と出くわした。
このままでは千反田に気付かれてしまう。
千反田はお前のためだと言っても分かってはくれないだろう。
A 千反田を誘って外に出る
B 伊原の生命維持装置を元に戻しにいく
C 千反田を抱きしめる
D 無言で立ち去る
>>91
B
>>1が続けたいのは分かった
俺は素早く病室に戻り、伊原の生命維持装置をもとに戻した。
千反田にはなんとか見られなかった。
える「折木さん、いきなり病室に入って何があったんですか?」
奉太郎「なんでもない」
える「……そうですか」
いつもの千反田なら「気になります!」と言って俺に詰め寄って来ただろう。
今の千反田は……
A 千反田を無言で抱き寄せる
B 入須先輩を呼ぶ
C 千反田を殴る
D 里志を呼ぶ
D
俺は病院の電話で里志に電話した。
里志は摩耶花のことを知るとすぐに病院に駆け付けると言った。
時刻は22時を回っている。
20分後、里志は到着した。
里志「摩耶花!」
里志は一目散にベッドに横たわる伊原に駆け寄った。
俺は千反田に目で合図を送った。
今は里志と伊原を二人にしてやろう。
いつの間にか俺と千反田は二人で並んで病院の外のベンチに腰かけていた。
A 千反田を抱き寄せる
B 千反田に告白する
C 病室に戻る
D なにもしない
>>108
d
今はこうしてなにもしない方がいいだろう……。
沈黙が俺達を包んだ。
長い長い長い沈黙。
それを破ったのは―――――――千反田。
える「折木さん……」
千反田は涙を流していた。
今までは声を殺して泣いていたのだろうか?
える「摩耶花さんは目を覚ますでしょうか?」
奉太郎「……当たり前だ」
世間ではこれを嘘というのだろうか?
本心からの言葉ではなければ、それは嘘なのだろうか?
嘘をつくことは、悪いことなのか?
では、この少女に現実を突き付けることこそが善だというのか?
える「そう……ですよね!」
出来るわけがない。
この無垢な少女に。
嘘をつくのが悪いことだというのなら、俺は千反田を守るためなら悪人にでもなんでもなってやる。
える「そろそろ戻りましょうか」
奉太郎「ああ」
明日も学校がある。
そろそろ家に帰らなければならないだろう。
里志も、少しは落ち着いたはずだ。
病室に入ると千反田が叫び声をあげた。
伊原の生命維持装置が外れていた。
生命維持装置を外した中で考えられうる人物は一人。
気付けば俺は後ろから鈍器で頭を殴られていた。
膝が折れる。
身体が倒れる。
視界が狭まる。
える「折木さん!」
千反田の叫びは明確に届いた。
人間の五感の中で最後まで機能するのは聴覚らしい。
どうして今こんなことが意識に上ったのだろう。
案外、人が最期に考えるのはどうでもいいことなのかもしれない。
ーBAD ENDー
このSSまとめへのコメント
里志が犯人なの?