今日も、ジャヴァウォック島の朝が始まる
日向「今日もいい天気だな……」
七海「おはよう、日向くん」
声のした足元を見ると、グチャグチャに潰れた七海がいた。
日向「ああ、おはよう」
相変わらず眠そうな声でゴボゴボと、多分喉だった部分から気泡をまき散らしながら
七海は言う。
七海「みんな、待ってるから、レストランにボボボ」
うがいみたいな声だ。
まぁ、ここまでミンチになれば仕方が無いだろう。
七海「ふあ、ねむボボボボ」
無事だった片方の眼球がコロコロ転がり、コテージの下の海へと落ちた。
そこまで眠いなら、今はそっとしておいてやろう。
田中「フハハハハハ、四天王よ、今日も暴食だな」
少し進むと、プールの前に田中のうずくまっている背中が見えた。
台詞からさっするに、どうやら四天王に食事をさせているのだろう。
田中「ム、何奴!!」
俺の気配に察して振り返った田中を顔を見ればほらやっぱり。
ハムスターが田中の眼球があった部分に潜り込んでいる。
一つの眼孔につき二匹。ガツガツと咀嚼音をさせながら。
田中「おっとそれ以上近づかん事だ! 我が四天王は食事中は神経質でな……。
邪魔をするならば貴様の命はおごごごご」
多分食事中のハムスターにあまり刺激を与えるなと言いたいのだろう。
でも喉を食い破って出てきたハムスターのせいで、後半は聞き取れなかった。
田中の奴、本当に動物が大好きなんだな。
俺はそう思いながらレストランに向かう。
レストランにはいつも通りの風景が広がっていた。
中央にある火山を模した巨大なフライパンには煮えた油が波をうっており、
その中で花村がジュウジュウと香ばしい香りを挙げている。
花村「やぁ日向くん、ボクをたっぷり食べてくれたまえ」
日向「ははは、遠慮しておくよ」
詐欺師「何だ……ガツガツ……食わないなら……ガツガツ、俺がもらうぞ……ガツガツ」
花村「もー、十神君ったらよくばりさんなん だ・か・ら♪」
どしゅどしゅどしゅ。
コロモで覆われた花村の足にかじりつく十神を、花村が串で何度も何度も貫く。
ぐひゅ、とうめき声をあげた十神は、そのまま油へと顔を付ける。
狛枝「あっはっはっはっはっはっは」
元凶は楽しそうに笑っていた。
日向「さーて、今日はどこを散歩しようかな」
祭壇「ちょっと日向!!」
日向「ん?」
西園寺の作った祭壇が話しかけてくる!
祭壇「いつまでこんな事を続けてるの……?」
わけの分からない祭壇だ。
祭壇「辛いのは分かるよ、でも現実から目を背けたって」
ガシャン グシャ グシャ
俺は椅子を鈍器にして、祭壇をぶち壊した。
こんなものいらないな。ああだって、みんな生きているんだ。
砂浜に来た。
小泉「きゃっはははははははは その笑顔いいよヒヨコちゃん!!」パシャパシャ
西園寺「あははははははははははは いいぞ、死ね死ねー」ゲシゲシ
全身をナマス切りにされて倒れたペコ山を、喉に大きな切り傷を作った西園寺が足蹴にする。
その光景を満面の笑みを浮かべながらフィルムに収める小泉。
シャッターをたこうと身をかがめた拍子に、割れた額から脳みそが少し毀れた。
日向「本当に仲いいんだなあいつ等」
しみじみとした気分に浸りながら、モノモノマシーンを回すと。
金属バット×1
ロープ×1
消火弾×1
ダンベル×1
日向「よし、ダブりなし……」
西園寺「きゃはははははは」小泉「あははははあはははは」
日向「こういうのは多分、澪田が喜びそうだな。よし、澪田を探そう」
時刻は正午にさしかかった殺。
ライブハウスに行く道中で。
罪木「日向さぁん……」
全裸の罪木蜜柑と出会った。
罪木「日向さぁん、脱ぎました、私、脱ぎました」
緑色の液体が入った注射を手に持ちながら、近づいてくる。
罪木「お薬も、打ったんですよぉ。とっても気持ちよくなるお薬……
えらいでしょ? 私、えらいですよねぇ?」
日向「ああ、よくやったんじゃないか?」
影のかかった笑顔で、近づいてくる。
罪木「だから、許してください」
日向「嫌だ」
罪木「はぁ? またそう言うのかよ」
日向「俺はお前が嫌いなんだ」
罪木「なんでですか……私、私、こんなに皆さんの為に一生懸命……」グスッ
罪木「頑張ってるのに……頑張ってるのに……」ヒック、ヒック……
罪木「ふざけんなよ」
日向「……俺は真面目だ」
罪木「ふざけないでくださいよぉ! 何で、何で何で何で何で
許してユルして許して、苛めてもいいですから、煙草を押し付けてもいいです!!
ビデオ撮影したっていいですし! おじさんからお金をもらって、それを全部渡しますし!!
だから許してユルして許してよ許せよ!!」
罪木「あ、あ、お・・・く・・・す・・・り・・・を」
罪木「」プスッ
罪木「……………」
罪木「日向さぁん、抱いてくださぁい」ニコォ
日向「罪木から逃げ回ってたら、もう夕方になってしまったな」
日向「澪田は、まだライブハウスにいるかな……?」
ライブハウスから、ポップで可愛らしいラブソングが聞こえる。
どうやらまだ澪田はライブハウスに居てくれたようだ。
ライブハウスの扉を開けると、筋骨隆々でセーラー服の澪田がギターを弾いている。
あの力強い演奏に耐えられる楽器は素直にすごいなと思う。
澪田「遅かったな、日向よ……」
澪田「いつも正午には来るのに、今日は夕方だった……。
もう来ぬのかと思っていた所だ……」
あれ、ひょっとして俺が来るのを待っていてくれたのか……?
澪田「皆まで言わせるな……」
日向「ゴメンな、本当はいつも通り来たかったんだけど色々事情がな」
澪田「ど、どうせ本当は嫌々来てる癖に……」
澪田の分厚い眼鏡の奥の瞳は、少しだけ水分が浮かんでいた。
澪田「いいのよ、明日から来なくたって?
どうせ、私みたいに歌しか脳の無いクズなんて……どうせどうせ」
長い三つ編みをイジリながら、ただボソボソと自分を卑下する。
またネガティブモードに入ってしまったらしい。
どうする? こんな澪田と一緒に過ごすか?
一緒にすごす←ピッ
一緒にすごす
一緒にすごす
澪田と、日本経済の行く末について語った。
澪田と少し仲良くなる事ができたみたいだ。
どのプレゼントを渡しますか?
澪田絞殺ロープ←ピッ
澪田「わーい、さっそく吊るされて遊ぶっすー!!」
澪田「ところで、日向君。いつまでこんな事を続けるつもりなのかしら」
日向「え?」
澪田「花村君に十神君、小泉さんにペコ山さん、罪木さんに私に西園寺さん、
田中君、狛枝君に七海さん……」
澪田「あなたが今日合った人たちは、もういないのよ……」
日向「はぁ?」
澪田「あなたがこのジャヴァウォック島に連れて来られて、もう20日はたった……」
澪田「その間に、何が起こったのかしら? 覚えてない?」
日向「何って……え……あれ……あれ?」
日向「やめろ……思いださせるな……」
澪田「その二十日で5回の殺人事件が起こった……犠牲者はもうかえらないし、犯人も処刑される……」
日向「やめろ……」
澪田「ここまで言えば分かるわね、日向君?」
日向「やめろ!」
澪田「私達はみんな、死ん」
日向「止めろって言ってるんだあああああ!!!」
ただいま でーたが みだれております
もんだい の かいけつまで
おまちください
澪田「現実なんて~見たくない~
幸せな夢で~大好きなあなたと永遠に楽しくくらすの~♪」
日向「」ゲンナリ パチパチパチ
日向(あ、相変わらず胃のあたりが重くなる歌だな……)
澪田「ヤッハー! どうっすか、澪田の新曲『永遠に楽しい夢の中で』!
結構自信策なんスけど!」
日向「あ、ああ。すごくよかったよ」
澪田「あーりがと創ちゃん! では続いてもう一つの新曲!
『愛する歌姫と永遠に』! ARE YOU READY!?」
日向「ひゅ、ヒューヒュー……」
日向(全曲終わるまでに、俺の精神は持つだろうか)
澪田の特別ライブが終わる頃には、すっかり夕方になっていた。
二人切りでホテルに帰る途中で、
大木に向かって「やるじゃねーか、オッサン!!」と叫びながら殴り続ける終里と、
黒ずんで朽ち果てたマフラーに頬を摺り寄せながら「田中さん田中さん」と嬉しそうに呟くソニア……
そして「畜生、何で皆あんな事になっちまったんだ……」と頭を抱えて蹲る左右田に
その隣でやるせなさそうな顔をする九頭竜を見かけた。
ホテルに帰る頃にはすっかり暗くなっていた。
レストランには皆がいる。
十神「こんな時間までどこに行っていたのだ」
弐大「デートと言えど門限はまもらんかぁあああああ」
田中「無粋というものだな」
小泉「アンタ達はまだ高校生なんだから、あんまりハメ外しすぎないようにね!」
花村「僕としては、日向君と澪田君がどこまで行ったのか教えてもらいたいんだけど……」
小泉「あはははははは」西園寺「きゃはははははは」ペコ山「」
澪田「いやー、そんなそんな♪ 創ちゃんとはまだそんな仲じゃないっスよ」
狛枝「まだ、って事はこれからそうなるのかな? 未来に希望を感じられる言葉だね」
ドッ
アッハッハッハッハ
ジャヴァウォック島にはみんながいる。
みんながいれば、どんな絶望も乗り越えられる。
日向「アッハッハッハッハッハッハ」
一体のミイラを抱えながら、誰もいないレストランで、
日向は笑い続けた。
糸冬
もし狛枝が「11037」を残さなかったらどうなったか、
5章のバグ演出を見て、何かこんな妄想が産まれた。
そんだけ
このSSまとめへのコメント
ワロタ!怖い…
ン〜…なんて言うのかなまあ頑張ったよウン