末原「宮永咲に勝ちたいです……」赤阪「イーヒッヒッヒ!」(133)

  姫松高校控室にて

末原「……」

洋榎「なに落ち込んどるんや恭子!準決勝進出が決まったんやし喜びーや!」

由子「そうなのよー」

末原「しかしわたしのせいで負けるところでした……」ポロポロ

絹恵「で、でも最終的に勝ったじゃないですか!」

漫「そうですって、そんなんで泣かれたらうちの立場が……」

末原「勝ったんやない……あれは宮永咲に生かされたんや……
   わたしの実力やない……うぐ……情けないです……」ポタポタ

洋榎「恭子……」

赤阪「イーヒッヒッヒ!」

洋榎「あ!きやがったで!」

赤阪「なんやなんや末原ちゃん泣いてるん?ねぇ泣いてるんねぇねぇ~?」

末原「うぐ……」

赤阪「負けて泣いてるん?青春やなぁ~高校球児みたいやで~」

末原「……」

洋榎「もう我慢出来ん!代理!あんた人の気持ちが理解出来ないんか!」

赤阪「できるで~、悔しくて泣いてるんやろ?一目瞭然や~ん」

洋榎「なんもわかっとらんわ!恭子がどんなに傷ついてるんかあんたにはわからんやろ!ホンマに最低やな!」

絹恵「お姉ちゃん……」

末原「いいんです主将……負けたのは事実ですから……」

洋榎「そ、そやけど……」

末原「それに負けたのは宮永相手に負けたのであって試合には勝ちましたし
   まだ宮永咲にリベンジする機会は残ってます、次こそは絶対……」

漫「でも宮永以外の相手にもまるで歯が立ってなかったやないですか……」

末原「……」

洋榎「このあほんだら!」パチコン!

漫「痛”!!」

末原「漫ちゃんの言う通りですけど……次こそは次こそは……」ポロポロ

赤阪「次も同じようにいたぶられるんちゃうかなぁ~、イーヒッヒッヒ」

洋榎「このっ……!」

末原「大丈夫です!なんとか準決勝まで対策を考えて宮永咲に勝ちますから……」

赤阪「でも生半可な対策じゃあの宮永咲ちゃんには勝てないで~」

末原「そうですけど……」

赤阪「ひとつだけあるで~宮永咲ちゃんに勝つ方法が~」ニコニコ

末原「ほ、本当ですか!?」

赤阪「インディアン嘘吐かないで~」

末原「教えてください!その方法をわたしに教えてください!」

赤阪「OKやで~、善は急げや、ほな行こうか~」

洋榎「やめたほうがええって!なんか胡散臭いで!」

由子「そうなのよー、あの人はあまり信用しないほうがいいのよー……」

末原「でもわたしは藁にもすがりたい気持ちなんです、もし宮永に勝てるならどんなことでも……」

絹恵「先輩……」

赤阪「ほ~らさっさと行くで~」

末原「では行ってきます」

  ガチャン

洋榎「ホンマに大丈夫なんやろか……」

   とある路地裏にて

赤阪「壁際に寝がえりうって~背中で聞いている~♪」

末原「……」

赤阪「なに緊張してるん末原ちゃん?ガッチガチや~ん」

末原「夜の東京は初めてですので……」

赤阪「社会勉強やと思って楽しみや~」

末原「あのいったいどこへ行くんですか?勝つ方法とやらはいったい……」

赤阪「それは着いてからのお楽しみやで~」

末原「そうですか……」

赤阪「あ!あそこやで!あそこのBARが目的地や!」

末原「あそこですか……」

赤阪「ほな入るで~」カランコロンカラーン

末原「……」ゴクリ

こうして二人は店の奥へと消えていった・・・・・・

   準決勝当日 姫松高校控室にて

洋榎「あかーん!やっぱ戻って来んへんかった!」

由子「案の定なのよー……」

漫「いったいどこへ行ったんや……」

絹恵「高尾山に行く言うてたけど……」

洋榎「なんや観光にでも行ったんかい!ああもうどないしたらええんや!」

由子「取りあえず漫ちゃんは先鋒戦に早く行くのよー!大将戦寸前まで恭子を待つのよー!」

漫「で、でも戻って来なかった場合は……」

洋榎「しょうがないから控えの新井のお姉ちゃんを出すしかないやん!」

絹恵「早く先輩帰ってきて……」

しかし彼女らの願いもむなしく大将戦間際になっても末原恭子は姿を現さなかった・・・

   副将戦後

絹恵「みんなごめん……」ポロポロ

洋榎「しょうがないって泣くのやめーや」

由子「そうなのよー、臨海のクロヒョウを抑えたのは立派なのよー」

漫「うちに比べたらマシやで……」

洋榎「漫はもっと反省せなあかんで!」

絹恵「それで末原先輩は……」

漫「それが……」

由子「まだ戻って来ないのよー」

絹恵「そんな……」

絹恵「先輩……いったいどうしたんや……」

漫「やっぱあの人にまかせたのがあかんかったみたいですね……」

洋榎「もしかしたら今頃恭子は事故かなにかで……」

絹恵「怖いこと言わんといて!先輩は絶対戻ってくる!」

漫「そやけど……」

由子「取りあえず新井のお姉ちゃんか藤ヶ谷ちゃんが代打の候補なのよー」

洋榎「新井はメンタルが弱いし藤ヶ谷は守備がザルやし……どっちもイマイチやで……」

絹恵「末原先輩……あなたはいまいったいどこでなにをしてるんですか……」

由子「取りあえず代打は……」

   ガチャン

赤阪「おまたやで~」

洋榎「代理ぃ!遅いやないですか!」

赤阪「ちょっと渋滞に引っ掛かったんやなぁ、東京はホンマ人が仰山やで~」

由子「取りあえず間に合って何よりなのよー」

絹恵「そんなことより先輩は!末原先輩はどこなんですか!」

赤阪「さぁどこやろなぁ?ロッテとオリックスの試合でも見に行ったんちゃう?」

漫「そんな冗談はいらんですから早く先輩を……」

赤阪「ちょっとしたユーモアや~ん、ほな呼ぶで~末原ちゃ~ん」

  スタ・・・ スタ・・・ スタ・・・

洋榎「いったいどうなったんやろ……心配やで……」

赤阪「イーヒッヒッヒ!新しい末原ちゃんのお披露目やで~!」

洋榎「あ!恭子!」

絹恵「せ、先輩?!」

由子「の、のよー!?」

漫「え……」

赤阪「どうや~!新末原ちゃんの感想は?」

そこでみんなが見たものは・・・・・・

末原「みんな遅れてすいません、渋滞のせいでここまで来るのに時間が掛かってしまいました」

なんと以前となにも変わらない普通の末原恭子だった・・・・・・!

赤阪「どうや~?すごいやろ~?」

漫「なんや普通ですやん……」

絹恵「せ、せんぱーい!」ダキィ!

末原「き、絹ちゃん苦しいです……」

絹恵「めっちゃ心配したんですよ!!もう!」プンプン

末原「すみません絹ちゃん」

洋榎「戻ってくると信じてたで!」

由子「ホッとしたのよー」

末原「本当にすいません、なにせ強化に時間が掛かりましたから」

洋榎「強化?いったいなにを強化したんや」

末原「それは……」

赤阪「末原ちゃんもったいぶらずに見えてやり、あんたの力をみんなに披露するんや!」

末原「わかりました」スッ

漫「え?」

末原が漫に手をかざす、すると

漫「う!あがっ!くる……!しっ!あぎぎ!」

漫が猛烈に苦しみだしたのだ!

漫「あがっ!……!う……!」

洋榎「漫っ!どないしたんや!」

由子「急に苦しみだしたのよー!」

赤阪「イーヒッヒッヒ!」

末原「……」

漫「ぐおっ!ががが!やめ……くだっ!」

末原「ふん!!」

漫「アリッ……!ダッ……!……エイ!」

末原がさらに力を込めたその瞬間、漫の体が宙に浮いた……!

漫「あ……!!」

洋榎「なんやこれ!なんやこれは!」

そう、末原恭子は超能力を手に入れたのだ……!

赤阪「サイキッカー末原やで~」

絹恵「先輩やめてください!このままやと上重さんが死んでしまいます!」

末原「はっ!」

  バタン

漫「ギニヤ!」

絹恵「大丈夫上重さん!?」

漫「カハッ!ゴホッゴホッ!だ、大丈夫や、ない、で……カハッ!」ポロポロ

末原「すみません漫ちゃん、つい調子に乗って力を使いすぎてしまいました……」

洋榎・由子「ポカーン」

赤阪「どうや?すごいやろ!びっくり人間ショーで商品がもらえそうやろ!」

洋榎「びっくり人間どころやないですよ……」

由子「超能力なのよー……」

赤阪「もっと末原ちゃんの力を見せてやり~」

末原「わかりました」スッ

末原はポケットに隠し持っていたスプーンをみんなの前で曲げてみせた

洋榎「うおおおお!これはすごいで!」

絹恵「テレビで見たことある!」

由子「スエゲラーなのよー」

末原「こんなことも出来ます」スッ

また末原が力を念じると、テーブルに置いてあったコーラの罐が宙に浮き末原の手へと吸い込まれた

末原「どうです?」ゴクゴク

洋榎「すごいやん!!」

絹恵「うわぁ素敵です……」

由子「デビット・スエハラフィールドなのよー!」

末原「みんな褒めすぎですよ……」テレテレ

漫「え、全然すごくないですやん」

末原「え……」

洋榎「なに言うとるんや漫……」

絹恵「モノを宙に浮かせたんやで!手を使わずに!」

漫「別に手を使えばええですやん、わざわざコーラ飲むのに超能力を使い意味ありますん?」

洋榎「そ、それは……」

漫「普通に歩いて取りにいけばええことやないですか、そんな能力無駄ですよ」

末原「……」

漫「それにスプーン曲げも意味わかんないですって、あんなことしたらスプーン会社の人が可哀想です」

末原「……」

漫「それは超能力やなくて低能力ですわ、てかうちのコーラ勝手に飲まんといてくださいよ……せっかくのペプシが……」

末原「……」スッ

漫「うっ!!」パタン!

漫「うーん……」クラクラッ

洋榎「しかしその能力ホンマに大丈夫なん?実戦で使えるんか?」

末原「大丈夫です、それにわたしの能力はこれだけではありません」

絹恵「それだけやないんですか!もっと他になにかあるんですか!?」

末原「はい、その能力が宮永咲を討つ最大の武器なんです」

由子「それは期待なのよー」

赤阪「そんなことより末原ちゃんもうすぐ試合の時間やで~」

末原「ではみんな行ってきます」

洋榎「頑張るんやで!」

漫(ホンマに大丈夫なんやろか……心配やなぁ……)

末原(大丈夫ですよ漫ちゃん、わたしを信じてください)

漫(はいわかりました……ってテレパシー送らんでくださいよ!)

  準決勝会場にて

恒子『さぁ待ちに待った大将戦がもうsぐ始まります!!』

健夜『こーこちゃんは元気だね……』

恒子『小鍛冶プロが大人しすぎるんですよ、もっとハツラツとしなきゃ若さが逃げていきますよ』

健夜『余計なお世話だよ!』

恒子『しかし小鍛冶プロも20年ほど前に準決勝の大将戦を経験してますがやっぱ緊張するものなんですか?』

健夜『そりゃ緊張するよ……てか20年前じゃなくて10年前だから!そこは間違えないでよ!』

恒子『細かいですねぇ小鍛冶プロは、細かいことにいちいちピリピリしてるとますます小じわが増えますよぉ』

健夜『もういいからちゃんとやろう!もう試合が始まるよ!』

洋榎「東京のアナウンサーはおもろいなぁ」

絹恵「まるで漫才みたいやね」

由子「選手紹介が始まるのよー」

恒子『さぁ選手の紹介です!まずは臨海女子のネリー・ヴィルサラアアアアアアアゼエエエエ!!!』

ネリー「負けられない戦いがここにはあるヨ!」

由子「ネリーなんちゃらなのよー、宮永だけやなくこの子も要注意なのよー」

恒子『続きましてはまさかまさかの快進撃!神奈川の東白楽の最強助っ人!アレックス・ラミミぃ!!』

ラミミ「ハマのラミちゃんぜっこうちょー!!ゲッツ!!」

洋榎「ラミミの一発は怖いでぇ……」

恒子『そしてそして!まったくの無名校の大躍進!その立役者!宮永咲ぃぃぃぃぃぃ!!!』

咲「よろしくおねがいします」ペッコリン

絹恵「宮永咲……先輩が倒すべき相手……」

恒子『そしてそしてそして!姫松高校の大将は!名門復活の使命を託された末原恭子ぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 シーン

健夜『まだ来てないみたいだね……』

  ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・

健夜『どうしたんでしょうね……なにかトラブルでもあったのでは……』

恒子『おーっとまさかのおトイレか!ここまで長いということはつまり……!』

健夜『そういうことテレビで言っちゃダメだよ!てかテレビ局の人間なんだからそういうの分かっててよ!』

  ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・

ネリー「キックオフはまだ?」

咲「姫松の人が来ないから始まらないみたいだよ」

ラミミ「三麻でもラミちゃんヨロコンデーだヨ!」

咲「三麻かぁ……あんま得意じゃないんだよなぁ……」

咲がため息を吐いたその時・・・

末原「うわあああああ!!!」ビューン!

咲「ひぃ!」

雀卓の上に突然末原が現れたのだった・・・!

  ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・

ネリー「なんなんだヨいったい……」

咲「え?え?えぇ?!」

恒子『おーっと突然末原恭子が現れたァ!いったいどういうことなんだぁ!』

漫(テ、テレポーテーションや!!)

末原「す、すいません……遅れてしまいました……ハァハァ……」

ネリー「遅いヨー」

ラミミ「取りあえずそこから降りテ」

末原「は、はい……」ハァハァ

恒子『さぁメンバーが全員揃いました!大将戦のスタートです!』

末原「ハァハァハァ……」ぜぇぜぇ

洋榎「なんや恭子めっちゃ疲れとるやないか……」

漫(テレポートで体力を使いすぎですやん先輩……やっぱ心配や……)

  大将戦

恒子『さぁ試合開始です!プレイボーーール!!』

健夜『それじゃ野球だよ……』

ネリー「えいっ!」カチャ

ラミミ「ラミちゃんペ!」カチャ

咲「えい」カチャ

末原「……」カチャ

恒子『静かに始まりましたねぇ』

健夜『麻雀はだいたいは静かに始まるものだよ……』

恒子『でも小鍛冶プロぐらいの腕前なら最初のツモで九蓮和了ぐらいはお茶の子さいさいでしょ?』

健夜『無理だよ!漫画の世界でもありえないよ!』

末原「……」カチャ

   7巡目

咲「……」カチャ

咲「(よおし!さっそくテンパイだよ!)リーチ!」スタッ!

末原「……」

咲(1-4ピン来い!1ピンだったらチャンタもつくからなおさらだよ!)

末原「……」カチャッ

咲(2ピンか惜しいな、でもまだまだこれからだよ!きっと前みたいに姫松のお姉さんが振り込んでくれるハズ!)

末原「……」

しかしその後も末原はいっこうに振り込みはしなかったな・・・!

咲(なんで……前に打った時はあんなに振り込んでくれたのに……)

末原「……」ニヤリ

振り込むハズはない、なぜなら末原は咲のココロを読んでいたからだ!

末原(絶対振りこまへんで!)

咲「うぐぅ……」カチャッ

末原「それロンや、タンヤオドラ3、満貫やな」

咲「あう……」

恒子『おーっと宮永が振り込んだぁ!!』

咲(幸先悪いなぁ、でもこれからだよ、終わりよければすべてよしだよ!)

末原「……」

しかし咲の望みもむなしく終わるのだった・・・

  2局目  11巡目

咲(ううう……全然誰も振り込んでくれないよぉ……)

末原「……」

咲(どうしようどうしよう……)カチャッ

末原「それもロンです、イッツーホンイツチュン、ハネ満や」

咲(和ちゃん助けて!)

洋榎「やったで恭子!」

由子「超能力作戦がズバリ効いてるのよー」

絹恵「全然低能力やないやん!」

漫「そうみたいやね……」

赤阪「イーヒッヒッヒ!」

洋榎「しかし宮永も今回はよお振り込むなぁ、前回とは大違いや」

絹恵「これもなにか超能力を使ってるんやろか」

由子「また振り込んだのよー」

漫「おー」

咲(ううう……テンパイすらできないよ……)

末原「……」

咲(調子でないよぉ……えーっとなに切ろう……)チラッ

末原「……」

咲(ピンズで染めてる気配がするよぉ、ここは9ソーを……)

7ピン・・・

咲(え?)

7ピン・・・

咲(7ピン……たしかにこれを切ればイーシャンテン……)

末原「……」

咲「(天の声を信じて7ピン……!)えい!」

末原「ロン、チンイツドラドラ、倍満です」

咲「そんなぁ……!」

末原「……」ニヤリ

そう、末原は咲にテレパシーを送り、巧みに彼女をコントロールしていたのだ・・・!

咲「……」グスン

末原「……」

恒子『さぁついに姫松高校がトップに躍り出たぁ!』

咲(みんなの点棒……)

末原(どうや宮永……!これがこの前のわたしの気持ちがわかりましたか!弱者の気持ちが!)

ネリー「えいっ!」カチャ

末原(良い手が来たで!運もこっちの味方をしてくれてるみたいですね!)

咲「うう……」

末原(宮永咲!今日があなたの最後ですよ!)

洋榎「恭子ええ顔しとるで」

絹恵「超能力のおかげやなぁ」

赤阪「そうやで~いくのんを褒めて褒めて~」

  9巡目

ネリー「えいっ!」カチャ

ラミミ「アイーン」カチャ

咲「……」カチャ

末原「……」カチッ

末原「……」

末原(来た!サンアンコホンイツドラ3……裏が乗れば3倍満!リーチはせずや!)

咲「……」カチャッ

末原(波が来たで!また宮永が振り込んでくれるハズや!行くで!)カチャッ

ラミミ「ローン!チャンタのみ!ハマのラミちゃんぜっこうちょー!」

末原「なんやテンパってたんか……」

ラミミ「ヤミテンならぬラミテンだヨ!」

末原(まぁチャンタのみやし大丈夫やろ……)ジャラジャラ

ラミミ「熱いゼ!」

ネリー「ネリーも和了したいヨ」

末原「……」

末原(そうやったな、わたしが相手にしてるのは宮永だけやないんやった
   この二人も全国クラスの怪物や、次から気をつけなあかんな)

ネリー「……」カチャ

末原(まぁココロを読めばええんやしなにも焦る必要も無いんやけどな)

が、しかし……!

ネリー「それローンだヨ!流れは掴んだヨ!」

末原「うぐ……!」

末原はここにきて計算外の事実に思い当ったのだった・・・!

ネリー「やっと和了れたヨ!」

末原(なんで今までこのことに気づかなかったんや……)

ラミミ「ワタシタチにも運が回ってきたヨ!」

ネリー「ここからどんどん行くヨ!」

末原「……」

その事実というのは・・・

ネリー(カハ~!カッラーゼ!ミラ~ン!ダァビィドムジィリィ!)

ラミミ(アランーゴ、ホセサモローンホセー、バモ!ズリオ!)

そう、二人とも外国人なため言葉がわからないのだ・・・!

末原(スペイン語もグルジア語もわからへんわ!ココロが読めへん!)

ネリー(コッカイフトーシトチノシーン)

末原「ううう……」

普段日本語を口にしているとしてもココロの中では日本語とは限らない
なぜなら基本……ココロの中の言葉は自分に向けているのだから……無理に日本語を使う必要はないのだっ…!

末原(母国語を使われるとは盲点やった……!これはあかんで……)

ラミミ(ランダエータ、バモ!パナマウンガー!)

末原(普通に日本語しゃべってしゃべってーな!)カチャ

ネリー「ローン!」

末原「うぐ……」

咲(姫松の人、急にどうしたんだろう……)

ネリー(コッカイフトーシトチノシーン)

末原「ううう……」

普段日本語を口にしているとしてもココロの中では日本語とは限らない
なぜなら基本……ココロの中の言葉は自分に向けているのだから……無理に日本語を使う必要はないのだっ…!

末原(母国語を使われるとは盲点やった……!これはあかんで……)

ラミミ(ランダエータ、バモ!パナマウンガー!)

末原(普通に日本語しゃべってーな!)カチャ

ネリー「ローン!」

末原「うぐ……」

咲(姫松の人、急にどうしたんだろう……)

恒子『いきなりどうした姫松ぅぅ!!連続振り込みです!』

  数十分後

恒子『さぁ大将戦もこれがラスト1局です!!』

末原「ハァハァ……」

恒子『現在のトップは姫松高校!一時は不調に陥ったもののなんとか持ちこたえています!』

末原(ここをしのげればイケるで……!)

ネリー「えいっ!」カチャ

ラミミ「最下位は嫌だヨ!」カチャ

咲「……」カチャ

末原「……」カチャ

末原(絶対勝つんや……真紅の大優勝旗を大阪に持って帰るんや!)

  12巡目

末原(イーシャンテンになってから全然や……あかんな……)

ネリー(アルベラーゼ~ムジリィサンフレェチェ~)

ラミミ(バモ!バモス!ゼッコーチョー!ラミチャンペ!)

末原(相変わらずこいつらはない言うてるかわからん……)

二人の外国人に気を取られた末原

末原(スペイン語ぐらい勉強しとくんやったな……)

そこにココロの隙が生まれたのだ・・・!

咲(やった!カン材がきたよ!これでやっとカンできる!)

なんと咲が今まさに和了ろうとしているではないか!

末原(あかん!宮永のことすっかり忘れてたで!)

咲(リンシャン!これでリンシャンカイホーができるよ!)

末原(どうしよう……このまま和了されたらわたし……)

ここで大物手を出されたら今までの苦労が泡と消えるのだ!

末原(こうなったら奥の手や……!)

咲「カ……!」

末原「ふん!!」スッ

咲「あ……!」

咲がカンを宣言しようとした瞬間!牌が勝手に河へと落ちていったのだ!
傍から見たら咲が牌を投げ捨てように見える、しかしこれは末原の力なのだっ……!

末原「ふん!!!!」スッ

咲「あ……!あう……!」

末原はさらに力を加え咲の口を封じたのだった

末原(ふぅ……)カチャ

咲「あああ……」ポロポロ

末原(なんとか一難去ったで……)

ネリー「えいっ!」カチャ

ラミミ「ぺ!」カチャ

咲「うぐ……」カチャ

末原「……」カチッ

末原(来た!ピンフをテンパったで!ここに来たら役の大きさはどうでもええ!早く和了ることが先決や!)

咲「ぐすん……」

末原(さすがにさっきのはやりすぎやったな……でも勝たなきゃいけないんや!)

ネリー「ハリーアップ」

末原(この北を切ればテンパイや!もう河に3つ捨てられとるし大丈夫やろ!)カチャ

ラミミ「それローンですヨ」

末原「え」

末原「い、いまなんて言うたんや……」

ラミミ「だからローンです」パラパラパラ

末原(あかん……つまりこれは……!)

恒子『おーっと!東白楽のラミミ!ここに来て……!』

ラミミ「国士無双(ザ・マンシンガン)!役満ゲッツ!」

恒子『役満直撃だああああああああああああ!!!!!』

末原「そんな……」ブルブル

∠ラミミ/「ハマのラミちゃんぜっこうちょー!」

恒子『ここで東白楽が姫松まくってトップ!姫松は最後の最後で3位転落です!』

末原「3位転落……」カタカタ

恒子『試合しゅうりょおおおおお!!決勝進出は東白楽と臨海女子に決まりました!!』

末原「あああ……」ポロポロ

  姫松控室にて

洋榎「恭子……」

由子「残念なのよー……」

絹恵「先輩……」ポロポロ

漫「やっぱ悪い予感は的中やった……」

赤阪「……ちょっとトイレ行ってくるで」

  ガチャン

洋榎「あのオバハンこんなときに!」

絹恵「どういう顔で末原先輩を迎え入れたらええんやろ……」

漫「ううう……先輩が可哀想や……」ボロボロ

咲「お疲れ様です」ペッコリン

ネリー「おつかれーなのヨ」

ラミミ「またみなさんで、いつか麻雀しまショ」

咲「うんそうだね!負けたけど楽しかったよ!」ニコニコ

末原「ううう……」ポロポロ

咲「あ、あの末原さん……」

末原「ひっくひっく……」フラフラ

咲「あ……」

末原(みんなの点棒が……みんなになんて謝ればええんや……)ポロポロ

咲の声が聴こえないのか末原はそのままその場を後にしようとする
が、そのとき・・・!

≪なんだあの姫松の大将、ただのぽんこつじゃねェか!≫

末原「!!」

末原「なんや!いまなんて言うたん!」ガシィ!

咲「え?え?え?!」

末原「いまわたしのことポンコツ言うたやろ!なぁ!なぁ!!なぁ!!!」

咲「言ってないよ!言ってないよぉ……」ポロポロ

ラミミ「喧嘩はダメだヨ!」

ネリー「仲良くしようヨ!」

末原「う……」

咲「怖いよぉ和ちゃん……」

末原(でもたしかに聴こえたんや……わたしの悪口が……)

≪名門の看板に泥を塗るのはやっぱこいつだったか≫≪姫松を応援してたのにがっかりだよ……≫

末原(う……)

≪ま~た末原がやらかしたのか≫≪戦犯末原を許すな!≫

末原(なんやこれ……なんやこの声は……)

末原「あ、あ、あ、あああ……」

≪大阪の恥!≫≪二度と大阪に帰ってくるな!≫

末原「なんでや……なんでそんな……」

≪愛宕絹恵ちゃんが可哀想……≫≪変な髪型≫

末原「うわあああああああ!!!!!!」スタタタタタッ!!

咲「す、末原さん!」

末原「やめてえええええええ!!うわあああああああ!!」スタタタタタッ!

末原に聴こえてきたのは世間の彼女に対する罵詈雑言の嵐だったのだ……!

末原「聞きたくない聞きたくない!」ギューッ

耳を強く塞ぐ、がしかしそれで聴こえなくなるハズない
なぜならこの声は耳ではなくココロに入ってくるものだからだ

末原「うわああああああああああ!!!」

そんな末原に全国の罵詈雑言が容赦なく注ぎ込まれてくる

末原「嫌やこんなの……嫌や……」

   ガチャン

末原「ハァハァ……」

洋榎「恭子!」

絹恵「だ、大丈夫ですか?!」

末原「だ、代理は……赤阪代理は……」

由子「さっきトイレに行ったのよー」

末原「トイレ……う!」

≪末原は使えない子≫≪のどっちを決勝で見たかったのに末原のせいで……!≫

末原「嫌や!嫌や!」ポロポロ

洋榎「どないしたんや恭子!大丈夫かいな!」

末原「うわああああああああああああ!!!!」スタタタタタタタッ!

絹恵「先輩!」

漫「まってください先輩!!」スタタタタタタッ!!

  トイレにて

スタタタタタタ・・・・・・

末原「代理は!代理はどこや!」

パカ!パカ!パカ!

個室を一つずつ開けていく、が

末原「いない……どこにもいない……」

そこに赤阪郁乃の姿は無かった・・・

末原「ここか!」パカ!

念のために掃除用具入れも調べたが無論赤阪郁乃がいるわけがない

末原「どこや……どこにいるんや……」

その間も末原のココロには全国の悪意の声が侵入してくる

末原「嫌やこんな能力……なんとかして……なんとかしてや……」ポロポロ

末原が絶望に打ちひしがれたそのとき

赤阪「イーヒッヒッヒ、なにしてるんやスッエハラちゃ~ん」

背後から赤阪郁乃が姿を現したのだった・・・!

末原「だ、代理!」

赤阪「どうしたんや~もしかしておトイレなん?そんな我慢してた~ん?」

末原「な、なにふざけたこと言うてるんですか!こ、この能力をなんとかしてください!」

赤阪「えぇ~?なに言うとるん末原ちゃんは?」

末原「せ、世間の悪口がココロにいっぱい飛び込んでくるんですよ!」

赤阪「すごいやん!末原ちゃん人のココロの声が聞こえるから当然やね~」

末原「すごくないですよ!こんな欠陥能力!全然制御できないやないですか!」

赤阪「しょうがないやん末原ちゃんが望んだことなんやから、一生付き合わな」

末原「そんな!ってうわあああああああああああ!!またや!もう嫌や!!」ジタバタ

赤阪「もうただの駄々っ子やん」

末原「嘘を吐いた赤阪代理が悪いんや!結局に勝てなかったやないですか!」

赤阪「えぇ~勝ったやん、宮永咲ちゃんに~」

末原「でも試合には負けやないですか!全然通用しませんでしたよ!」

赤阪「そんなん知らんわ~、末原ちゃんの超能力の使い方が悪かったんやろ~」

末原「外人勢には通用しませんでしたよ!スペイン語ならまだしもグルジア語はわかりません!」

赤阪「別にココロを読むことだけが超能力やないで~、最後咲ちゃんに使ったテみたいに念力で相手の牌をいじればよかったやーん」

末原「で、でもそれは……」

赤阪「でもなんや?」

末原「ひ、卑怯ですやん!相手の牌を念力で倒したりするのは!」

赤阪「人のココロを読むのは卑怯やないん?」

末原「そ、それは……」

赤阪「で、どうなん?卑怯やないんか?ねぇ?ねぇ?ねぇ!?」

末原「卑怯です……」ポロポロ

赤阪「せやろー、結局末原ちゃんが超能力を使いこなせてなかっただけや~ん」

末原「ううう……」

赤阪「末原ちゃんの中途半端な覚悟のせいで負けたんやで~、変に真面目ぶるからやなぁ」

末原「で、でも……」

赤阪「デモもパレードもないで、末原ちゃんに超能力は宝の持ち腐れやったみたいやなぁ」

末原「そうみたいですね……」ポロポロ

赤阪「ほなみんなが待ってるし戻るで~」

末原「ちょっと待ってください!宝の持ち腐れでもいいんでこの声はなんとかしてくださいお願いします……」

赤阪「……」

末原「辛いんです……」ポロポロ

赤阪「ハァ……」

末原「だ、代理……!」

赤阪「ホンマ末原ちゃんはワガママやなぁ、自分のしたことには責任を持たんとアカンやろ~、これは罰を与えなきゃいかんみたいやなぁ」

末原「ば、罰?!」

赤阪「せやで~」ニコニコ

末原「あのやめてください……」

赤阪「せっかく末原ちゃんのココロのスキマを埋めてあげたのにがっかりやで~」ジリジリ

末原「じょ、冗談は勘弁してくださいよ……」

赤阪「冗談やないで~」ジリジリ

末原「あ、あ、あ、あ、あ……」

赤阪m9「イーヒッヒッヒ!」

末原「う……!」

赤阪m9「ドーーーーーーーーーーン!!!!!!」

末原「ギニヤアアアアアアアアアア!!!!!!」

・・・

・・・・・・

  バサッ

漫「あのこれがみんなでかき集めた治療費です……足りますやろか……」

医者「結構です、末原さんはお友達に恵まれているようでなによりです」

漫「そうですか……あの先生、末原先輩は様子はどないなっとります?少しは回復しはりましたか?」

医者「残念ながら……」

漫「そうなんですか……」

医者「取りあえず会ってみますか、今の時間なら起きてることでしょう」

漫「はい、お願いします……」

 カツン・・・ カツン・・・ カツン・・・

漫「……」

医者「遠路遥々ここまで来るのは大変だったでしょ?」

漫「はい……」

医者「辺鄙な場所にありますからね、まぁこういうところでなくては治療できない患者ばかりなのでしょうがないですが」

漫「……」

医者「着きました、ここです、久々の再開です、なにか話してあげてください」

漫「ホンマありがとうございます……」

医者「いえいえ」

漫「先輩……」ガチャン!ギギィ!

漫は重い部屋の扉を開くとそこには・・・

末原「ロン…イッパツ…マンガン…」ブツブツブツ

頬は痩せこけ、目も虚ろな末原恭子の姿があった・・・!

漫「……」

そうここは孤島の精神病院なのだ……!

末原「ツモ…メンタンピン…ハネマン…」ぶつぶつ

漫「先輩!うちです!上重漫です!お久しぶりです!」

末原「イッツー…サンショク…イーペーコー…」ぶつぶつ

漫「あ、あのうちのこと覚えていますやろか!先輩お気入りの上重漫です!」

末原「……」

漫「ほらこのデコを見てください!懐かしいでしょ!またなにか書いてくださいよ!今日だけ特別ですよ!」

末原「……」

漫「先輩?」

末原「チャンタ…ジュンチャン…リャンペーコー…」ぶつぶつ

漫「先輩……!」ダキィ!

末原「ホンイツ…チンイツ…ダイサンゲン…」ぶつぶつ

漫「なんでや……なんでこんなことになってしまったんや……」ポロポロ

末原「ロン…ロン…ロン…」ぶつぶつ・・・

赤阪「超能力というのは誰もが憧れる夢の力や」

赤阪「それは末原ちゃんも例外やなかったわけやね」

赤阪「ただそれを誰もが扱えるわけやありません、超能力を使うにも才能が必要なようです」

赤阪「末原ちゃんはその才能が無いために能力に押しつぶされてしまったようやなぁ」

赤阪「みんなも超能力を手に入れたときは気をつけるんやで~」

赤阪「イーヒッヒッヒ・・・・・・・・・」


  「笑ゥかんとくだいり」               カン

以上ですお
読んでくれた人サンキュー

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