俺ガイル×ダンガンロンパ
八幡×あーし(にしたい)
安価なし
>>1は俺ガイルアニメのみよって口調はお察し
八幡がかっこつけるところまでの物語
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教室
八幡「………」
八幡(結論から述べる)
八幡「ここはどこだ?」
八幡(よし、今こそぼっちのみに培われる鋭い洞察力と考察力で、自分の置かれている状況を推測してやる……)
・
・
・
八幡「うわぁああ! 小町ぃいいい! たすけてぇええ」ガンガンガン
八幡(なんだよこの窓!? 鉄板打ちつけて巨人でも襲ってくんの!? 進撃!? シガンシナ区!?)ガンガンガン
・
・
・
八幡「……落ち着いた」
八幡(どうやらどっかの学校みたいだな。ま、校門に行けば分かるだろ)スタスタスタ
廊下
八幡「廊下に窓はないのか……」
八幡(やはり俺はこの学校の生徒ではない。そして、他校に訪れる予定もなかった……はず)
八幡「それにしても要所要所に設けられた監視カメラはなんだ? 学校に監視カメラなんて必要なのか?」
八幡(どうやらここは普通の学校ではないようだ。まぁだからと言って俺のすることは一つ)
八幡「さっさと外に出て家に帰る。そしてさっさと寝る。それ以外に興味なし」テクテクテク
彩加「は、八幡っ!」
八幡「と、戸塚!?」
八幡(なな、何で天使がこんな学校に!?)
彩加「もうっ、八幡!!」
八幡「ん?」
彩加「僕のことは名前で呼んでよ!」ウルウル
八幡「うぐっ!!」ドキッ
八幡(ただでさえ天使で可愛くて完璧なのに、上目遣いという最終兵器まで使うなんて俺を萌え殺す気ですか!?)
彩加「………」ジッ
八幡「………さ、彩加」
彩加「……えへへ///」
八幡(あれ? これもしかして俺と彩加のラブコメ? 二人だけの世界? それ最高じゃん!)
材木座「八幡ーーーー!!」
八幡(どうやら違ったみたいだ。ラブコメに豚やイノシシは出てこない)
材木座「ここは一体どこなのだろうか八幡」
八幡「さぁ? お前の小屋はないみたいだけど」
材木座「我は豚小屋に住んでる訳じゃなーーーーい!!」
八幡「誰も豚なんて言ってねぇだろ」
八幡(心の中では言ったけど)
校門
八幡「ん? お前たちもいたのか?」
結衣「あ、ヒッキー!!」ギュッ
八幡(おい、俺の彩加がいるのに近づくなビッチ。……柔らかいな)ニヘラ///
雪乃「あなた、犯罪者のそれと同じ目してるわよ。ああ、そういえば犯罪者だったわね」
八幡「おい、俺がいつ痴漢したって言うんだよ」
結衣「……っ!」バッ///
八幡「お、おい、何で急に離れ……」
結衣「ヒッキーの変態///」ジッ
八幡「ちょっと待て誤解だ。頼む分かってくれ彩加」
結衣「ヒッキー! 私の誤解を解くんじゃないの!?」
八幡「あ? なんでお前の誤解を解く必要があんだよ」
八幡(俺は世界中の人間に誤解されても天使にだけは信じていて貰いたいんだよ)
彩加「……ぼ、僕なら男の子だし…大丈夫だよ?」ニコッ
八幡「………」タラーッ///
結衣「ヒッキーキモい! 最悪! キモい! 変態!!」
八幡「今はお前の罵倒さえも祝福の言葉に聞こえるよ」
結衣「うぅ……///」
三浦「ちょっとマジうるせーんだけど」
結衣「優美子、ご、ごめんねっ」
葉山「どうやら、閉じ込められたみたいだね」
八幡(くそっ、俺と彩加の青春ラブコメファンタジーがどんどん汚されていく……)
戸部「マジありえねーわー! 早く出せよ!!」ガンガンッ
―――ザザッ!!
一同「「!?」」
モノクマ「うぷぷぷぷ! お揃いだねー皆さん!」
結衣「ぱ、パンダが喋った!?」
モノクマ「うがーーーっ! 僕はモノクマ! パンダじゃなくてクマだからね! そこんところ間違えないでよね!」プリプリ
雪乃「そんなことはどうでもいいわ。それよりも、早く外へ出してくれないかしら」ファサッ
戸部「そ、そうだよ! マジ帰らせろよ!!」
モノクマ「それは無理だよ! うぷぷぷぷ!」
大岡「は、犯罪だぞ!!」
モノクマ「………」
葉山「………」ピクッ
葉山(この状況……どう考えてもおかしい。そして、今の沈黙……)
戸部「そ、そうだそうだ!! この―――」
モノクマ「………」ギランッ
葉山「皆これいじょ――」
八幡「あのさー、出たい出たいってダダこねてないで理由を聞こうよ理由。子供じゃないんだからさ」
戸部「おまっ!!」カァ///
モノクマ「……ちぇっ、このままガヤガヤ五月蠅かったらオシオキしようと思っていたのになー」
一同「!!」ゾクッ
葉山「ありがとうヒキタニ君」ボソボソ
八幡「は?」
葉山「あのパンダみたいなの、危険だ。殺気じみたものを感じる」
八幡「別に、思ったことを口にしただけだよ」
八幡(どう考えてもあそこにあるの機関銃でしょ)
機関銃「」ギランッ
八幡(もしあのクマを怒らせて機関銃を発砲されれば、俺はもちろんのこと俺の天使が危険な目に遭うからな。……あいつらのことなんてどうでも良いよ)
モノクマ「まぁ、突然のことで驚いていると思うけど、別に無人島でサバイバルしろとか無理難題を押し付けるつもりはないから安心してよね!」ウププ
一同「………」ホッ
雪乃「………」
モノクマ「やってもらうことはただ一つ――」
モノクマ「コロシアイ学園生活だよ!」ウププププ
食堂
八幡「……うめーなこれ」モグモグ
彩加「沢山あるから好きなだけ食べてねっ」ニコッ
八幡(お、おおふ/// 彩加が運んでくれただけでこの食事が三倍増しで美味く感じる……)
雪乃「よくあの話のあと無神経に食べられるわね。あ、神経通ってなかったかしら」
八幡「俺は海綿動物かよ……」
八幡(でも、岩にへばりついてじっと生きる人生も良いかもしれない……)
結衣「まーたヒッキーが変なこと考えてる……マジキモい」
八幡「お前はメンタリストか? 俺の考え行動を読みとってるのか?」
材木座「どうやら、我らはインシテミルや人狼のようなサイコな状況に置かれてるみたいだな!」
彩加「八幡……僕怖いよ…」ギュッ
八幡「大丈夫だ彩加」
八幡「例え世界が間違っていると罵ったとしても、俺はお前を護り続ける」
雪乃「あなたが言っても安心感がないわね」
結衣「どちらかと言うと一番に殺される役だよねヒッキー」
八幡「くそっ、俺はあからさまな別行動でフラグ建てたりしねーぞ」
三浦「マジありえねーし!」ガンッ
八幡「?」
三浦「あーしはロイヤルミルクティーを入れろっつったんだけど?」
相模「ご、ごめんねっ、勘違いしちゃった」アセアセ
ゆっこ「す、すぐ入れ直してくるね!」
遥「わ、私も!」
三浦「ちょっと待ちなよ」
二人「「?」」
三浦「相模ー、あんた入れてきてよ」
相模「えっ?」
三浦「あーしはあんたに頼んだんだから、二人に入れさせるのは筋違いっしょ?」
二人「「………」」
相模「………」
結衣「うわー、優美子荒れてるー」
八幡「どこの番長だよ。怖すぎるだろ」
雪乃「ストレスのぶつけ所が分からないのよ。ああいうプライドの高い人間はホームでは強いけれどアウェイでは極端に弱いのよ」
八幡(やっぱり同じタイプのことはよく分かるんだろうな……)
雪乃「あなた、今考えてることを口に出したらあの機関銃で殺すわよ」
八幡「うわー、お前コロシアイ学園生活に最も適した人間だわー。簡単に卒業しちゃうわー」
雪乃「卒業……ね」
結衣「誰かを殺したら卒業できるなんて、そんなのありえないっしょ」
雪乃「そうね。ありえないわね」
八幡「そうか?」
二人「?」
八幡「逆に聞くが、この状況に置いて“ありえない”ってなんだと思う?」
結衣「人を殺すこと」
雪乃「学校に監視カメラ、テレビ、機関銃、窓をふさいだ鉄板、校門の鉄の扉……」
八幡「外れも外れ、大外れだ」
二人「………」ムッ
八幡「答えは、“常識”だ」
結衣「?」
八幡「見たことのない学校、見たことのない教室、廊下、監視カメラ、天使、テレビ、機関銃、窓をふさいだ鉄板、校門の扉、モノクマ、天使、人を殺したら卒業という制度。俺達は今ありえないに囲まれている」ビシャッ
彩加「わわっ、八幡! 牛乳を机にこぼしたらダメだよ!」アセアセ
八幡「なぁ、彩加、この牛乳って飲み物か?」
彩加「の、飲んじゃダメだよ!」
雪乃「……あなたが言いたいことはよく分かったわ」
結衣「えっ? ゆきのん分かったの!?」
雪乃「ええ、わざわざクイズ形式にした所が彼の性格の汚さを感じるけれど」
八幡「お前はどこまでも俺をけなすんだな……」
材木座「つまり、どれだけの人間が黒を主張しようと、白は白と言う訳だな!」
結衣「えっ? 私白を黒何て言わないよ!?」アセアセ
八幡「お前……もしかして異国の人? 日本語あまり分からないの?」
結衣「ヒッキーのバカ!!」ポカポカ
八幡「た、叩くな! もっともっと分かりやすく教えてやるから!!」
結衣「つまりハリーが魔法界でスマホの使い方を主張しても誰も分かんないってことだね!」
八幡「……10パターン目でやっと理解してくれたか……」
雪乃「でも、それを基盤に考えるとしたら……」
材木座「うむ、つまり……」
八幡「人を殺さない限り、俺達は外に出られないと言う訳だ」
一同「………」
――ザザッ!
一同「!?」ビクッ
モノクマ「うぷぷっ! 皆さん青春してますか!?」ウププ
八幡(朗報……という訳ないよな…)
モノクマ「顔見知りを殺すのはなかなか決心がつかないと思うので、心優しい僕はサプライズをご用意しました!」ウププ
八幡「サプライズ……?」
モノクマ「じゃーーん! “生贄制度”でーす!」
結衣「生贄?」ゾクッ
雪乃「………」
彩加「八幡……」ギュッ
八幡「………」
モノクマ「明日の正午に投票で一名“生贄”を決めます!」
葉山「い、生贄に選ばれるとどうなるんだ?」
モノクマ「うぷぷ、分かりにくいと思ったので、テロップをご用意しました!」ジャンッ
八幡「!?」
コロシアイ学園生活における生贄制度
1、生贄は誰かが卒業すると同時に記念としてオシオキされる
2、生贄は誰かを殺しても卒業できない
3、生贄を殺しても卒業できない
4、生贄は一週間ごとに投票で決める
5、生贄は常に一名
モノクマ「明日の正午だからねっ! よーく考えておくんだよ!」ウププ
八幡「……えげつねーな」
結衣「えっ?」
雪乃「そうね。あなたにとっては地獄のような状況だわ」
八幡「くそ、否定できない……」
結衣「どど、どういうことだし!?」
八幡「だから、投票制度が俺を殺しにかかってるとしか思えねーんだよ」
結衣「あっ」
八幡「察するってことは、お前が俺をどう思ってるかよーく分かったよ」
八幡(どう考えてもぼっちの俺を生贄にするために用意されてるだろこの制度……)
相模「………」
八幡の部屋
八幡「……すげーな。一人一部屋用意されてるのかこのスイートルーム……」バフッ
八幡(さて、話を整理しよう……)
八幡「俺達は誰かを殺すことで解放される殺し合いのデスゲームに参加させられている。さらに生贄はデスゲームに参加させられているにも関わらず殺しても無意味……。そして生贄は投票で決められる……」
八幡(まさに俺にとってこの状況はハードモードのクソゲー……)
八幡「とにかく、なんとかして抜け道を探さないとな……」
八幡(こんな危険な状況で他人のことを考えてる場合じゃない。まして俺は普段毛嫌いされてるぼっち……)
八幡「それでも……あいつらが人を殺すところなんて見たくねーよな…」
一旦離れます
食堂
八幡「人はどんな状況にあっても腹の虫には勝てない……と」
三浦「あ?」
八幡(ひ、人がいたのか……恥ずかしい…)
三浦「あんた、えーっと……」
八幡「僕の名前はのびのびたろうです」
三浦「そうだっけ? まぁどうでもいいけど」
八幡「………」
三浦「ねぇ」
八幡「へ、へいっ」
三浦「料理多く造り過ぎたんけどさー、処理してくんねー?」
八幡「……えっ」
・
・
・
三浦「………」モグモグ
八幡「………」モグモグ
八幡(えっ、な、なにこれ!? 神様が俺と葉山を見間違えた!?)オロオロ
三浦「何キョロキョロしてんさ? もしかして調味料探してんの?」
八幡「いや、飯は完璧だ。いつでも嫁に来て良いぞ」
三浦「っ///」
八幡「ただ、この状況にいささか戸惑っている俺が……」ギギギッ
三浦「………」ジッ
八幡(えっ、今俺何言った? 爆弾投下した? ツァーリボンバ?)
三浦「………」ジーッ
八幡(俺は思い出す。俺が起こした過去の自爆問題について……)
回想1/2
八幡(当時の俺は小町の影響で少女漫画を読んでいた)
小町「あ、この佐山君見て! 超かっこよくない!?」
八幡「ん?」
漫画の中
ヒロイン「ねぇ、この人形可愛いよねっ!」
佐山「……うわ、可愛い」ボソッ
ヒロイン「えっ!?」カァ///
佐山「あっ、うっ、そ、その……」カァ///
ヒロイン「………」モジモジ///
~~~
八幡「かっこ……良い?」
小町「小町的にはね、ぼそっと出た本音ってすごーくポイント高いんだよっ!」
八幡「……ぼそっと出た本音…ね」
回想 2/2
教室 休憩時間
八幡(ぼそっと出た本音、ぼそっと出た本音)ブツブツ
女子1「ねぇねぇ、この髪形超可愛くない!?」
女子2「ほんと! 超可愛い!!」
八幡(いまだ!!)
八幡「……かわい…」ボソッ///
女子二人「「きもっ……」」
八幡「」
八幡(その日、俺の枕は涙でビチョビチョになった……)
三浦「あ、あんさぁ……」
八幡「うっ……な、なに?」
八幡(やべー、俺の精神崩壊しないかな……今すぐ部屋に戻って枕に向かって叫びたい気分だ…)
三浦「あーしは付き合ってからじゃないと嫁には行かないから」プイッ///
八幡「………」
八幡(えっ、何? なんで頬赤らめてるの? 熱? 熱だよね? 俺にお熱? なんてスイーツ脳にはなれねぇええええ!)
三浦「ちょっ、なんか言えし!」バシッ
八幡「痛いっ!」
三浦「まぁいいや、ねぇヒッキー」
八幡「俺の名前はのびのびたろうですが」
三浦「もうそのネタめんどくせーからやめ。結衣みたいにヒッキーって呼ぶから」
八幡「……はい」
八幡(やっぱこえーわこの女……)
三浦「ああ、やっぱあーしがヒッキーなんて言い方似合わないから八幡って呼ぶわ」
八幡(人の呼び方ってそんな主体的に決めるものでしたっけ?)
三浦「八幡、あんた怖くないの?」
八幡「お前のことがか?」
三浦「は!? あーしのこと怖いの!?」ガンッ
八幡「め、めっそうもございません!」ブンブン
三浦「この状況のことよ」
八幡「………」
三浦「人を殺したら卒業できるなんて状況だけでも異常なのに、その上生贄を決めるなんて……」
八幡「……まぁ、な。怖くないと言えば嘘になる」
三浦「あーしは怖い…」
八幡「え……」
三浦「なんで意外そうなんだし」バシッ
八幡「だって、お前ってどちらかというと殺す側じゃん」
三浦「八幡正直すぎ死にたいん?」ギロッ
八幡「そ、そんなところとかだよ……」
三浦「あんさぁ、あーしが強くいられる場所なんて限られてるじゃん」
八幡(仲間……友達……取り巻きがいる環境…)
八幡「でも、葉山達もその……女友達もいるじゃねーか」
三浦「クラスメイトの名前くらい覚えろって、まじキモい」
八幡「そいつらがいる限りお前が死体になることはねーだろ」
三浦「……そんなの、分かんないじゃん…」
八幡(その瞬間、こいつのハリボテが透けて中の怯えた心が見えた気がした……)
八幡「まぁでも、少なくともお前が生贄になることはねーだろ?」
三浦「なんでさ?」
八幡「そりゃ、俺がいるからさ」ムンッ
三浦「なんで自信満々なん?」
八幡「あのなぁ、生贄を選ぶって言っても、選ばれたそいつは即死亡って訳じゃねーンだぞ。つまり、選ばれたそいつは
全員が敵だと思うだろうな」
三浦「……そこからなんでアンタが選ばれる話しになんの?」
八幡「例えば、お前は敵にするならどんな存在が良いと思う?」
三浦「そりゃあ、弱くて害のなさそうな……」チラッ
八幡「そう、つまり俺だ」ムンッ
三浦「……だからなんで…」ハァ…
八幡「それだけじゃない。人は罪悪感を負いたくないものだ。それなら、選んでもどうってことのない人間を選ぶ」
三浦「………」
八幡「なっ、だからお前が怯える必要なんてねーんだよ」スクッ
三浦「………」
八幡「飯、ありがとな」テクテク
三浦「八幡!」
八幡「?」
三浦「あーしはアンタの事を選んだりしない!」
八幡「!?」
八幡(いや、全く理解できない!! なんだその言葉!? 俺みたいな道の端の小石を気にかける必要があんの!?)
三浦「絶対だかんね!」ギロッ
八幡「は、はひぃ!」
八幡(怖い……)
三浦「………」ハァハァ///
八幡「まぁ、お前が選ぼうと選らばなかろうと、俺が生贄になることは変わらんよ」
三浦「………」
そう、揺るがない事実だ。
人は安心と安全を追い求める生き物。
嫌われたくないし恨まれたくない。
デメリットしかない選択において取捨選択の自由があるのなら、できる限り影響の少ないものを選ぶ。
―――そう、デメリットしかなければ……。
夕方 食堂
三浦「な、何言ってんの相模……」
相模「えっ、聞こえなかったの? 耳掃除してる?」ギャハハッ
ゆっこ「三浦さん鈍感~」
遥「まぁまぁ、あんまイジメちゃ可哀そうだよー」
八幡「どうした?」
結衣「あ、ヒッキー。た、大変なの!」
八幡「?」
雪乃「まぁ、あなたが事情を知った所で何の意味もないけれど」
八幡「いいから教えろよ」
結衣「えっ?」
雪乃「……意外だわ」
八幡「えっ?」
結衣「ヒッキーが他人に興味を持つなんて……」
八幡「あ……」クソッ
八幡(あの時の三浦のせいだ…)
三浦『あーしはあんたの事を選んだりしない!』
八幡(どうやら、人間のアイデンティティを決めるのは自分の意思だけだと思っていたが間違っていたようだ……)
結衣「さがみん達が生贄に優美子を選ぶって……」
八幡「は?」
八幡(落ち着け、俺。ここは素直に喜ぶ所じゃないのか? 本来なら満場一致で俺が選ばれる所だったのに、奇跡的に生贄回避のルートが現れたんだ……けど)
相模「このゲームに参加してる人数は16人」
八幡(俺、材木座、彩加、唯比ヶ浜、雪ノ下、葉山達4人、三浦、海老名、相模達3人、それと名前も知らない女子二人……)
相模「私達五人はアンタに入れることにしたから優美子」
三浦「………」
葉山「さ、相模、やめよーよ」
相模「ねぇ葉山君」
葉山「な、何?」
相模「葉山君みたいな良い人は、“一致団結して誰かを選んだり”しないよね?」
葉山「………っ」
八幡「どうやら、ヒーローは杭を打たれたようだぞ」
結衣「ど、どういうこと?」
雪乃「葉山君の性格上、ああ言われたら手も足も出ないわね」
八幡(どうする比企谷八幡。あいつはきっと性格上……)
三浦「上等だよ相模ぃ」
相模「………」
三浦「あーしを怒らせたらどうなるか……」プルプル
八幡(俺だけは分かる……)
相模「ふ、ふんっ、せいぜい強がってると良いわよっ!」クルッ
ゆっこ「怖かったねー」アハハ
遥「でもでも、私たちに友情パワーがある限り大丈夫だよねっ!」
女子二人「「う、うんっ」」
三浦「………」プルプル
八幡(あれは……“強がるしか手段のない者の目”だ。少しでも弱いところを見せると膝から崩れてしまうような……限界ギリギリの目だ…)
葉山「優美子……」
八幡の部屋
彩加「ねぇねぇ八幡!」ホクホク///
八幡「お、おう///」
八幡(ふ、風呂上がりの彩加を見られるなんて、俺は明日死んでしまうのか?)
彩加「ここのシャワールームって男の子の部屋には鍵ついてないんだねっ!」エヘヘ///
八幡「!!」
八幡(ま、まさかそれは俺に……)
彩加「でも、部屋に鍵をかけられる時点で必要ないけどね」エヘヘ
八幡「………」ポロポロ
彩加「なんで泣いてるの八幡!?」
続く。。。
もう少し書きたかったけど明日も仕事なのでおやすみなさい。
夜
八幡「……夜は食堂開いてないのか…」
八幡(くそっ、ドーナツを食べるつもりだったから口がドーナツを求めているっ)
八幡「……帰ろう」トボトボ
―――ぐすっ、ひぐっ……
八幡「ん?」
三浦「……えっく、ぐすっ……」ポロポロ
八幡「!!」
八幡(やめろ八幡、お前は分かっているはずだ。女性が泣いてる時、求めているのはイケメンで、俺がでしゃばることは火に紙ふぶきをまくのと同じくらい無意味な行為だ。そんなこと中学を卒業するまでに嫌というほど経験し――)
八幡「み……うら?」
三浦「!?」ビクッ
八幡「………」
八幡(人という生き物はかくも同じ過ちを繰り返すものか……)
三浦「………」
八幡「………」
八幡(さぁ、罵れ。あんたなんてお呼びじゃない、話しかけんなキモイ、土下座して謝罪しろ。ああ、慣れてる。俺は慣れてるんだ)
三浦「はぢまぁん……」ギュッ
八幡「はっ?」
八幡(ありえないことが続きすぎて、とうとう俺の存在自体も改変されたか?)
三浦「うぅ……ぁあああああ!!」ポロポロ
八幡「………」
八幡(ここで葉山だったら抱きしめるなり頭を撫でるなり、イケメンスキルで女性の涙を吹き飛ばすんだろうな……クソ、リア充亡びろっ!)
・
・
・
三浦「………」
八幡「………」
八幡(結局、俺は電柱のように立ち尽くしたまま三浦が泣き止むのをひたすら待った)
三浦「………忘れろ」
八幡「はぁ?」
三浦「あーしがヒキオの胸で泣いたなんてばれたら明日から学校いけないじゃん!!」カァ///
八幡「んぐっ///」ドキッ
八幡(く、くそっ、俺の勘違いスキルが火を噴きそうだぜ!! これが由比ヶ浜とかだったら確実に惚れてた!!)
三浦「……理由とか聞かないの?」
八幡「別に興味ねーし」
三浦「………」
八幡「俺はたまたま通りかかっただけの脇役だぜ。そういうのは主役の葉山様にでも頼めよ」
三浦「なんでそういう風にあんたは……」
八幡「なんで? それは俺の台詞だな」ハッ
三浦「?」
八幡「お前らトップカースト人間は俺たち下層の人間をまるで背景か何かのように扱う。いつだって自分たちにスポットライトが当たっていると信じてるし、下層の人間の思想や信条なんてまるで興味がない」
三浦「あーしは……」
八幡「だから、自分より下だと思っていた相模に裏切られてショックを受けた」
三浦「っ!?」パチンッ///
八幡「痛っ……」
三浦「あ……」
三浦「ごめっ……」
八幡「今のだって、葉山に言われたら納得してしまうんだろ? だけど、自分より下の俺に言われたから腹が立った。同じ言葉、同じ意図でもお前たちは発する人間によって捉え方を変えてしまう。そんな奴が泣いている理由なんて聞きたくもないし知りたくもない」
八幡(これでいい。三浦は今、中層の人間に足元をすくわれて混乱しているだけだ。そういう時はさらに下の層を苛めて心を落ち着かせれば元のラスボス三浦優美子に戻れるはずだ……)
三浦「……そんなにまでアンタは嫌なことがあったん?」ギュッ
八幡「ふぇ!?」
八幡(し、しまった!? あまりのサプライズに萌え系幼女の驚き声をあげてしまった!)
八幡「はぁ!? 土下座!?」
三浦「………」コクン
八幡(結局、流されるままに俺は三浦の泣いていた理由を聞くこととなった)
回想
ランドリー
三浦「男女兼用のランドリーなんてマジありえねーし」
海老名「そそそ、そうかな!? 私的には男の子が行為の後、下着をどういう風に処理してるか大いに興味が――」
三浦「行為ってアンタ……」ゲンナリ
相模「あれぇ? 三浦じゃん? どいてくんない?」ドンッ
三浦「っ!」ヨロッ
海老名「だ、大丈夫!?」
三浦「ああ、うん。ちょっとよろけただけ」
相模「うわ最悪!? ここ今からウチが使おうと思ってたんだけど!?」
ゆっこ「ほんとだ! 最悪~」
三浦「他になんぼでもあんじゃん」ボソッ
相模「あ? 今なんつったよ」ガンッ
三浦「っ!!」ビクッ
相模「あんたさぁ、勘違いして貰っちゃ困るから一応言っておくけどさぁ」
三浦「………」
相模「ウチら、いつでもアンタ殺せるんだよ?」ボソッ
三浦「!?」ビクッ
相模「こんな状況でいつまでも同じ関係が保てる思ってた? はっ、残念でしたぁ!」
三浦「……そ、そんなの隼人が…」
ゆっこ「うわー、男に頼ってる」
遥「ビッチだねビッチ」
三浦「お前らっ!」ギロッ
相模「……はぁ~、分かってないなぁ」ピッ
海老名「あっ、なんで私たちの洗濯機……」
相模「ウチらに逆らうなら、マジで殺すよ?」ビチャッ
ゆっこ「うわっ、あんたの洗濯物で床びしょびしょじゃん」
遥「最悪~」
三浦「相模あんた……」ギロッ
相模「土下座」
三浦「!?」
相模「明日までに土下座したら、生贄の件は考えてあげてもいいよ?」ニマニマ
三浦「そんなのっ!」
ゆっこ「うわっ、やっさし~」
遥「なんだかんだ言って、あんなのでも気にかけてあげてるんだねっ」
相模「や、やだなぁ、照れるじゃん///」
三浦(狂ってる……)プルプル
海老名「………」
~~~
八幡「何があったんだよあいつ……」
三浦「たぶん……何もなかったんだと思う」
八幡「?」
三浦「何もなくてもあーなるくらいに、あーしは傲慢で横柄だった……」ツーッ
八幡「っ!」ドキッ
三浦「……土下座…やだなぁ……」
八幡「………」
女子1の部屋
大岡「……俺が守るよ」ギュッ
女子1「………」コクリ
女子2の部屋
大和「………」
女子2「………」ギュッ
相模の部屋
相模「うわーっ、今頃マジであいつらとやってんのかなぁ!?」
ゆっこ「ありえないよね」
遥「でも、そのおかげでさらに二人仲間ができるねっ」
相模「ええ、こんな特殊な状況下で葉山隼人のカリスマ性に価値はないし、あいつらだって男だから生でやったら責任感と罪悪感で言う事聞くっしょ」
ゆっこ「これで七票」
相模「明日、絶対に三浦を土下座させてやる」
雪ノ下の部屋
結衣「ね、ねぇゆきのん。本当に入って行ったよっ!」
雪乃「どうやら、彼女は本気で派閥を作るつもりね」
結衣「派閥?」
雪乃「ええ、こういう人数の限られたゲームでは仲間の数がそのまま力となると考えていいわ」
結衣「で、でも、隼人君がいるし……」
雪乃「明日殺されるかもしれない環境で、果たして彼のカリスマ性を必要とする人間はいるかしら?」
結衣「映画とかで無人島に残された人たちはリーダーについていってたよ!?」
雪乃「それは、その方がメリットがあるからよ」
結衣「メリット?」
雪乃「団体行動のメリット、考えなくていいメリット、そして何より責任を押し付けられるメリット。全て打算で動いているだけよ。そこになんの絆もないわ」
結衣「………」
雪乃「今それらのメリットで一番大きいのは団体行動のメリット。……だけど、16人しかいない状況は奇しくも私たちを最大派閥に押し上げた」
結衣「あ、私たち五人……」
雪乃「ええ、そして相模さん達も五人。いくら葉山君にカリスマがあってもパワーバランスは簡単に崩れる」
結衣「そ、それなら皆隼人君の所へ行くんじゃ……」
雪乃「もちろん、この16人の中で最も安全に事態を打破してくれそうなのは彼ね。……でも、残念ながらその可能性は潰えたわ」
結衣「えっ……」
雪乃「相模さん達は女の身体を武器にして、大和君と大岡君を得た」
結衣「女の身体を武器って……っ!?」カァ///
雪乃「これは極限状態においてもっとも有効的な手段よ。もちろんメリットだけではないのだけれど」
結衣「でもでも、そこでなんであの二人なわけ!? どっちかと言ったら隼人君を直接落とすか発言力のある戸部っちを……」
雪乃「戸部君に関しては分からないけれど、葉山君に関しては逆に取り込まれる危険を感じたんじゃないかしら」
結衣「あ……」
雪乃「いずれにせよ、これで相模さんのグループが最大派閥になったわ。そして彼女は三浦さんを……」
結衣「優美子……」
翌日 午前 食堂
戸部「お、お前ら!? 何してんの!?」
大岡「わりぃ、俺らこっち側着くわ」
大和「………」
葉山「こっち側とか別に線引きする必要はないんじゃないかな」
相模「隼人ぉ、いい加減気づこうよ」
葉山「えっ?」
相模「この二人はね、リーダーとしての資質に目覚めたの。だから、私たちを守ってくれるし導いてくれるのよ」
女子1・2「………」ギュッ
戸部「そ、そういうことかよ……」
大岡「お前らもこっちこいよ」
大和「ああ、俺らが一緒にやれば絶対に脱出できる」
葉山「………」
戸部「は、隼人ぉ……」
三浦「………」
海老名「………」
葉山「……そうだね。僕たちも仲間に入れてくれないかな」
戸部「は、隼人がいくんなら俺も!!」
相模「良いけど、一つ約束してよね」
葉山「?」
相模「私たちと一緒に来るのは〝個人の意見”であり、自分で決めたことだって」
葉山「?」
戸部「?」
八幡(相模だっけか……あいつあんなにえげつない人間だったのか…)
結衣「ゆ、ゆきのん……さがみんはなんであんなこと約束させてるの?」
雪乃「単純な事よ」
葉山「ああ、もちろんだ。俺たちは皆個人の意見として君たちのグループに入れて貰いたいと思っている」
相模「ふーん、じゃあ、ちょっと分かりやすいようにこっち来てよ」
葉山「?」テクテク
戸部「?」テクテク
相模達「………」ニヤニヤ
三浦「………」
海老名「………」
相模「海老名はどうすんの?」
葉山「一緒に解決の道を探そう」ニコッ
海老名「う、うん」テクテク
三浦「………」
葉山「さっ、優美子も―――」
相模「は? あいつは入れないけど?」
葉山「な、何言ってんだよ。みんなで解決に――」
相模「ウチ聞いたよね。今さっきのは個人の意見かって」
葉山「あ、ああ……」
相模「それなら、三浦は関係ないじゃん」
葉山「!!」
雪乃「最初からこの構図を作り出すための作戦だったのよ」
結衣「ひどい……」
八幡「………」
戸部「そ、そんなこと言わずにさっ、三浦だって一人は寂しいべ」
相模「あそ、じゃああんたがあっちに行ってあげれば?」
戸部「………」
海老名「わ、わた――「まぁでもっ!」
相模「三浦が自分の行いを反省して心を入れ替えるって言うんなら、入れてあげないこともないけどね」
葉山「自分の行い?」
相模「昨日ね、ウチが洗濯してたら三浦が洗濯物の中身ぶちまけたのっ」ギュッ
葉山「えっ……」
海老名「そ、それはっ「海老名」ジッ
海老名「………」
相模「ウチの服だから乾いてないの……」
葉山「本当だ……湿ってる…」
八幡(あいつバカだ。昨日の洗濯の話なら乾いてないかどうかは関係ねーだろ…)
雪乃(あまりの異常さに思考が追いついてないんだわ……)
結衣「で、でもさぁ、派閥ができて一番困るのって生贄に選ばれることだよね?」
雪乃「ええ、そうね」
結衣「あの生贄の制度って確かに卒業できないし誰かが誰かを殺したらついでに殺されちゃうし良い事ないけど、逆に考えて誰も人を殺さないだろうしあんま意味なくない?」
八幡「まぁ、制度自体はな」
結衣「?」
雪乃「由比ヶ浜さんは良い子だから、気付かないのよ」
八幡「こんな状況でも俺を悪い人間に仕立て上げたいのかお前は……」
結衣「ど、どういうこと?」
雪乃「あの制度で一番重要なのは〝投票で決める”ということよ」
結衣「だ、だけど、選ばれたって意味がないのなら――」
八幡「制度に意味はない。だが選ばれた人間にとって選ばれたことは大きな意味を持つ」
―――お前は必要ない。
結衣「あ……」
八幡「そうだ。生贄は卒業する権利をはく奪され、逆に誰かが卒業する時は殺されてしまう。そんなポジションに必要な人間を置くだろうか?」
雪乃「本来なら比企谷君のゆるぎないポジションだったのだけれど」
八幡「おい、さりげなく俺を不必要扱いするのはやめろ泣いちゃうぞ」
結衣「今は……」
三浦「………」
相模「ねぇどうすんのさ?」
葉山(……確かに優美子なら喧嘩した相手に対して容赦のない仕打ちをするかもしれない。けどこれ以上仲間内で亀裂が入るのは……)
八幡(イケメンのあの顔……まだ〝仲間内が”とか考えてんだろうなぁ…。お前の仲間はとっくにお前を裏切ってるのに)
モノクマ「うぷぷぷぷ! みなさん! おそろいのようですね!」
一同「!?」
モノクマ「残り時間、五分となりました! そろそろ誰に投票するか決めましたか?」ウププ
三浦(隼人……あーしどうすれば…)ジッ
葉山(くっ、今は事実確認より優美子を助けることだっ)
葉山「優美子っ――」
その瞬間、葉山隼人が、ヒーローがいつもよりトーンの高い声で三浦の名前を呼んだ瞬間。
八幡(ああ、お前はそういう奴だよ葉山隼人)テクテクテク
私こと比企谷八幡は自分の意思とは無関係に前へと進み、
八幡(自分の視界にしか正義はなく、自分の脳内にしか正解はない。お前はそういうやつだ葉山隼人)
気づいたら相模の前に立っていた。
相模「は? あんた誰? 何で人の前に立ってんの?」
雪乃「比企谷君、いけないっ」ダッ
結衣「えっ?」
八幡「歯、喰いしばれ」ボソッ
相模「は?」
モノクマ「うぷぷぷぷっ!! それじゃあ、
生贄は比企谷八幡君に決定しましたー」パチパチパチ
八幡「………」
相模「えぐっ、ぐすっ、ひっく」
ゆっこ「うわっ、すごい腫れてるよっ!」
遥「早く部屋に帰って手当てしなきゃっ!」
八幡「………」
雪乃「比企谷君……あなたって人は…」
結衣「ヒッキー……」
八幡「………」
大岡「ちょっと来い」
雪乃「大岡君、あなた――「ああ、行こう」
結衣「ヒッキー!?」
・
・
・
大岡「女に手を上げるなんてサイテーだなっ!」バキッ
大和「一生残る傷ができたらどうすんだよ!」ドカッ
八幡「………」ボロボロ
戸部「……まぁ、こんなもんで許してやろうぜ」
大和「お前が命令するなよ」ギロッ
戸部「あ、ああっ、わりぃ……」
大岡「さっ、ゴミクズは放っておいて行こうぜ」
・
・
・
八幡「くそっ、手加減なしかよ……」テテッ
葉山「どうして君は……」
八幡「あ?」
葉山「なぜそうやっていつも自分を犠牲にすることでしか解決に導けないんだっ」
八幡「………」
葉山「今さっきのも、僕が優美子を説得して――「説得して、誰を犠牲にするんだよ?」
葉山「!」ハッ
八幡「今頃気づいたかよ。生贄制度はな、結局のところ〝絶対に生贄が生まれる制度”なんだ。お前が説得して三浦を相模側に連れ込んだからって何の解決にもならないんだよ」
葉山「そ、それは……」
八幡「お前はいつもそうだ。目に見えるキラキラした景色だけが世界だと思い込んで、その枠内に収まりきらなかった汚いものを見ようとしない。……そうだな、〝見て見ぬふりをしている”」
葉山「っ!!」
八幡「例え三浦を引き込めたとして、だ。あいつの立場は変わらなかっただろうし、裏でお前が想像できないような恐ろしい仕打ちが待っていたかもしれないぜ」
葉山「………」
八幡「お前がこの世界の主人公で誰とどんな物語を紡ごうと勝手だがな……」グググッ
葉山「………」
八幡「脇役は脇役なりの意地とプライドがあるんだよ」
葉山「くそっ……くそぉおおおおお!!」ガンッ
八幡の部屋
彩加「は、八幡っ大丈夫!?」ナデナデ
八幡(天使が俺の頭を撫でてくれている!? もしかしてお迎えか!?)
雪乃「まったく、女性に手をあげるなんて最低も極まったわね」
結衣「しかも一切の手加減がなかったもんね。さがみん相当怒ってたよー」
雪乃「あら、本気の拳であの程度しかダメージを与えられないなんて、あなたの筋力は女子並みかしら」
八幡「………」
八幡(言えない……相模の怯えた顔が可愛くてついブレーキが効いたなんて言えない……)
材木座「ううむ、しかし、最大派閥があちらに渡ったことで、八幡の生贄は揺らぎそうにないな」
八幡「別にいいさ。どうせ誰も殺したりしない」
雪乃「そうかしら。案外近いうちに起きるかもしれないわよ」
結衣「えぇ!?」
彩加「こ、怖いよ八幡……」
八幡「俺が守ってやる」キリッ
雪乃「寝たきりの人に言われてもうれしくないわね」
八幡「うっせー、心はいつもナイトなんだよ」
結衣「ヒッキーきもい」
八幡「うぅ……けが人を労わって…」
――ぴんぽーん
一同「?」
少し離れます。
たしかに今の所ダンロン成分0ですね!
こっからはあーしのターン!!
生贄同票の時はどっちか殺すよ!
続きー
八幡「………」
三浦「………」
八幡(百歩譲って雪ノ下と由比ヶ浜が出て行ったことは容認しよう。雪ノ下と三浦が一緒にいる方が胃に悪いし由比ヶ浜がいたらあいつの胃が壊れる。……だが、天使彩加を外に追い出すとはどういうことだ!!)
三浦「ねぇ、ヒキオ」
八幡「?」
三浦「なんであの時――「あいつを殴ったかって?」
三浦「う、うん……」
八幡「はっ、悪いけどな、お前の期待してるような答えは出てこないぞ」
三浦「え……」
八幡「俺はあくまで自分の為に殴っただけだ」
三浦「はぁ?」
八幡「考えてもみろ。生贄は殺しても卒業できないが、殺される可能性も低い」
三浦「卒業できないなら殺しても意味ないからっしょ?」
八幡「ああ、つまり、生贄になったということは八方塞がりであると同時に強固な壁を築き上げたと言っても過言じゃない」
三浦「……それに何の意味が…」
八幡「あるんだよ。特に俺のような人間にはな」
三浦「?」
八幡「たとえばの話だが、お前が生贄になったとしよう」
三浦「………」
八幡「相模達の興奮は一過性のものに見えたし、三浦の泣き顔を見て満足したあいつらはきっとお前を許す。許された後、従順な下僕として生き残る道が見えてくるだろう。もちろん今までのような女王様にはなれないだろうし、多少プライドは傷つくかもしれんが死ぬよりはマシだ」
三浦「………」
八幡「対して生贄になれなかった俺は三浦という隠れ蓑が消えて、怯えなければならないことが二つできる」
三浦「二つ?」
八幡「殺される心配と、〝次に生贄に選ばれる”心配の二つだ」
三浦「あっ……」
八幡「それなら俺は最初から防御態勢に入る。幸い生贄制度は定期的に生贄を変更するから、死が確定した訳じゃない。むしろしばらくは高みの見物を決め込めるので有利だ」
三浦「………」
八幡「そういう訳で俺は打算と試算の上に最善を導き出したんだよ」
三浦「………」
八幡「………」
八幡(もちろん口から出まかせだ。本当は気付いたら某ウニ頭さんの如く拳が勝手に動いてたんだよ)
三浦「ヒキオ、本当のことを言え」ギロッ
八幡「はい、あの時は無我夢中で気が付いたら殴ってました」
三浦「………」
八幡「………」ダラダラ
三浦「………ぷっ、あははははっ!」
八幡「笑えよ……それでお前の気が晴れるなら俺はいくらでも黒歴史を刻むさ」
三浦「まぁ、あんたが私の事だけを考えて行動してくれたなんて期待してなかったけどさ。やっぱうれしかったじゃん」
八幡「きた――「だから、これはそのお礼――」
こうして俺は、十数年間守り抜いた上の口の童貞を獄炎の女王に奪われた訳である。
もちろん、下の口の童貞……いや処女か。そこは一生守りきるつもりだが……。
三浦「へへっ、八幡ってけっこうエロい顔できるよね」
八幡「エロいってなんだ。ベクトル間違ってないか?」
三浦「しらねーの? 最近の女子は男に対してエロさも求めてるもんよ?」
八幡「マジかよ……」
八幡(だから天使彩加は完璧なのか……)
三浦「………///」
八幡「?」
三浦「あ、あーし用事があったの思い出したわ! じゃ、じゃあね!!」
八幡「あ、ああ……」
三浦「……あーし頑張るから…」ボソッ
八幡「?」
三浦「じゃ、じゃあねヒキオ!!」ダッ
八幡「……なんだったんだあいつ…」
こうして、コロシアイ学園生活は幕を開いた。
暴走する相模。
迷う葉山。
孤立した三浦。
まとまっているようでばらばらの俺たち。
それぞれが大なり小なり〝絶望”を抱えたまま、より深い闇へと足を踏み入れていくのであった。
プロローグ そして少年は血の味を知る 完
やっぱあーし様が一番や!
離れます!
物事に評価を付ける時、得点配分は人それぞれである。
結果に重きを置く人。
過程に重きを置く人。
発想に重きを置く人。
反省に重きを置く人。
人事に重きを置く人。
俺、比企谷八幡はそのどれでもない。
〝我慢できた時間”
それが一番評価が高いと、そう確信していた。
第一章 シニキル
コロシアイ学園生活開始から(八幡が生贄に選ばれてから)三日後。。。
食堂
八幡(おおよそ負の感情すべてを溜め込んで生きてきた俺にとって、誰かを尊敬するということはありえない出来事の中でもキングオブキングの事象であったが、こと今回において俺は素直に尊敬した)
三浦「………」
結衣「優美子……あれからずっと一人でいるよ…」
雪乃「てっきり泣きわめくか誰かの胸に泣きつくかすると思っていたけど、意外だわ」
八幡「………」
八幡(いや、これは意外なんて言葉で片付けて良いものではない)
人にはそれぞれ基盤というものが存在する。
俺なら卑屈だ。すべてを敵と認識して常に警戒しているような、そんな負の基盤。
由比ヶ浜なら調和だろうか。場で一番大きな波数に合わせて自分も揺れる。
雪ノ下は……信念…かな。自分の考えが間違っていようが合っていようが、それに従って生きる。
三浦優美子は頂点に基盤を置いていた。
女王の品格。常に誰かを従えて、己の行動に間違いはなく、批判や不満は一切許さない。
そんな〝逃げ場のない基盤”。
八幡(そんな女が今、自身が最も遠く惨めな存在だと認識していたぼっちのポジションにいる。……それでも、いつも通り振る舞うということは常人には不可能だと簡単にわかる…)
相模「ぷっ、何あれ」
ゆっこ「だっさ。ぼっちだよぼっち」
遥「かっこわりーこと嫌いなんだから部屋に引きこもっていればいいのにね」
女子1「ほんとだね」
女子2「うざぁ」
大岡「………」
大和「………」
八幡(大岡と大和はなぜか相模のグループから離れない。雪ノ下いわくあまり良くないことが起きたらしいが、それでもあの葉山の糞みたいな存在だった二人が別行動をとってるなんて信じられない)
葉山「………」
戸部「隼人……」
海老名「………」
八幡(葉山たちは三浦の下へ行こうとはしない。おそらく三浦が釘を刺したんだろうが、それでも俺は学生の言う友達というものがいかに希薄なほぼ水のカルピスのようなものであると再認識した)
彩加「あ、八幡っ、あとでボレー練習しようねっ」
八幡(俺はなんというか、天使がそばにいる分ボッチの頃より幸せかもしれない。天使の武器であるテニス用品もなぜか用意されていたし……)
八幡(由比ヶ浜と雪ノ下、それに材木座はこの学校という名の牢獄から抜け出す手段を探っている。全く見つかる様子はないが……)
相模「あーそういえばさー、三浦ー」
三浦「……何?」
ゆっこ「ぷっ、い、言っちゃうの!?」
遥「だ、ダメだよぉ」クスクス
女子1「相模さんマジ鬼畜ー」
女子2「くすくす」
三浦「言いたいことがあるんだったらはっきり言いなし」
相模「あんたあいつのことが好きなの?」スッ
八幡「は?」
八幡(あいつ今俺の事を指差したか?)
いやいや、確かにほんの少し心が通じ合うような出来事はあった。
だがそれは、ナウシカが王蟲とコミュニケーションを取ったようなもので、そこに恋愛感情なんて一切ない。
いや、まぁ、俺はほんの少しは期待もしたが、それ以上に長年培った女子耐性が期待を許してなんかくれなかった。
……ない、よな?
三浦「っ/////」ビクッ
八幡「は?」
一同「」
まさかの出来事だった。
たとえば、隕石が落ちるぞーと誰かが言ったとする。
俺たちはそれをバカにしながら、どうしてわかるんだよと尋ねる。
そいつはだって落ちるんだから落ちるんだよと説明する。
俺たちはそれをバカにして、んなわけあるかと否定する。
その瞬間隕石が落ちて全員絶滅する。
そんな、誰一人として得をしない予言と実現が、今、ここで起きた。
三浦「っ!!」ダッ///
一同「………」ポカーン
食堂には静寂だけが楽しそうに騒いでいた。
相模「よかったじゃんえーっと、お前」
八幡「何がだよ」
ゆっこ「あの、三浦優美子に好かれたんだよ? 自慢していいって」クスクス
遥「なんだったら、やっちゃえばー?」
葉山「いい加減にしろっ!!」バンッ
相模「……んだよ隼人、もしかして……妬いてる?」
葉山「っ……」
相模「んだよ、図星かよ」
八幡「お前、いいか「いい加減にしなさい相模さん」
相模「雪ノ下……」ギリッ
雪乃「あなたのやってることは幼稚すぎて吐き気を催すわ」
結衣「ゆ、ゆきのんっ」アセアセ
ゆっこ「だ、大丈夫だよ。あいつの言ってることなんて聞かなくていいから」
遥「そうだよっ、気にしなくていいよっ」
雪乃「あなたたちみたいな自分の意見も言えない人間はもっと嫌いなのだけれど?」ギロッ
ゆっこ「っ!!」ビクッ
遥「………」シュン…
葉山「ゆ、雪ノ下さん、言い過ぎだよ」
雪乃「あなたもよ葉山君。いつもの自信と余裕はどこへ行ったの? あなたが本気を出せばこの程度の〝些細な問題”すぐに解決できるはずよ」
葉山「っ……」
相模「………」プルプル
八幡(おいおい、そりゃ俺の言いたいことを全て相手に伝えてくれたことには感謝するけど、火に爆弾投下するなんてどこの国の人間だよお前……あ、帰国子女か)
相模「あんた……いい気になってられるのも今のうちだからね…」プルプル
雪乃「あら、どうするのかしら? 私を誰かさんたちみたいに凌辱するのかしら。あそこにいる下種な人達を使って」ジッ
大岡「っ……」スッ
大和「………」
戸部「えっ、凌辱? な、なんのことだべ?」
葉山「混乱して語尾がおかしくなってるぞ」
海老名(本当ならここで憤らなきゃいけないんだろうけど……し、シチュエーションが完璧すぎっ)ブファッ
雪乃「おあいにく様、私はそこの安い女達のように簡単に股を開いたりしないし、何より心を開いたりは
絶対にしないわ」
女子1「……っ」プルプル
女子2「………」ウルッ
大岡「いいかげ――「うぷぷぷぷっ!」ジャーンッ
一同「えっ?」
八幡(て、テレビの中からパンダが飛び出した!?)
モノクマ「こらーっ! 今僕の事をパンダって言ったのは誰だー!」
八幡「こ、心の中だけだしっ!」
結衣「言ったんだ……」
モノクマ「うぷぷ、楽しんでるところ申し訳ないのだけれど、大至急体育館に集まりやがれっ」
八幡「えっ」
雪乃「なぜかしら?」
モノクマ「うるさいうるさいうるさーい! 僕はねぇ、怒ってるんだよ! だから、逆らわない方がいいんだよ!」ジャキッ
相模「ひっ、は、刃物!?」
戸部「わ、分かったべ! すぐに逝くべ!」
葉山「………」
八幡(何か嫌な予感がする……それもものすごく…)
モノクマに言われるがまま、体育館へ入ると、そこには全員集まっていた。
三浦「………」チラッ
八幡「………っ///」
三浦「………っ///」バッ
結衣「え、な、何今のやり取り。ねぇヒッキー」
八幡「うるせぇ、しらねーよ」ポリポリ///
モノクマ「みなさん静粛にぃいいいい!」キィィィィィ!!
材木座「ぐああぁああああ! 我の弱点である黒板爪砥(ブラックノイズデスコード)を奏でるとはぁああああ!」
彩加「八幡ーー!」ギュッ
八幡(うわ、俺幸せと不幸せの間で死ねそう……)
モノクマ「うぷぷ! 今日はねぇお前らに言いたい事があって呼び出したんだ!」
一同「………」
なんとなく、分かっていた。
それが、〝コロシアイ学園生活”に関わることだと。
離れます! すぐ更新するかもしれないですし、日付変わるかもしれないです!!
こっからダンロンぽくなるかと!! では!
ただいまー。
こっから生贄制度が生きてきたりするんですよねー!
では、続き!!
モノクマ「お前らってさー、いかにも青春してますーって顔してるくせにさ。
なんで殺し合いしない訳?」ネェネェ
戸部「な、そ、そんなの当たり前っしょ」
葉山「僕達は殺し合いなんてしないぞっ」
モノクマ「ふーん、じゃあ一生このままでもいいの?」
相模「そんなの嫌! 早く外に出して!」
モノクマ「うぷぷ、だったら殺し合いしなきゃね」アーッヒャッヒャ
八幡「………」
八幡(なーんか、引っかかるんだよなーこいつ……)
雪乃「あなた、えーっと……白クマだったかしら?」
モノクマ「モノクマ!! 次間違えたらオシオキしちゃうよ!」ジャキィンッ
雪乃「モノクマさんはなぜこんな設備を造ってまで殺し合いをさせるの?」
モノクマ「うぷぷ、そうやって情報を抜き出そうとしても無駄でーす! 残念でしたー」ウププ
結衣「殺し合い以外に外に出る方法ってないの!?」
モノクマ「あると思ってんの? 馬鹿なの?」
結衣「酷いし!!」
モノクマ「まーいいや。それじゃあ、これ各自視聴覚室で視聴するように」バサバサ
一同「?」
モノクマ「うぷぷっ、おんもしろいものが見られるかもよー?」
事実、果てしなく面白い映像が用意されていた。
モノクマ『やぁ、僕ナレーター。今日は比企谷八幡君の人となりを解説するよー!』
内容は五分程度のアニメーション。
紙芝居のような動きでモノクマの絵が揺れている。
モノクマ『比企谷八幡君はねー、アリジゴクの穴の底にいるヤドカリみたいな存在です』
ミキサーの絵が上下に揺れている。モノクマはその中に俺の顔をしたヤドカリを放り込んだ。
モノクマ『勝手に殻に閉じこもってるくせに、穴の底でずーーっと外を見上げるような卑屈で退屈な精神の持ち主はこーです!』スイッチオンッ
ウィィィィィィィン!!
ミキサーの中心にある四枚の刃が軽快に回転する。
そして、ヒキガリハチマンは粉々に砕け散った。
モノクマ『いつまでもいつまでも、自分はアリジゴクの中で動けないから“仕方ない”なんて言い訳する君には“動機”を与えちゃいます!』
八幡(動機……?)
そして、アニメーションは終わり、とんでもない映像に切り替わる。
八幡「……は?」
八幡「こま……ち?」
映像には元気な小町が映っていた。実家のソファーに座ってカメラに向かって笑顔で手を振っている。
――ザザッ!
ノイズと共に映像が再び切り替わる。そこには――。
八幡「小町!?」ガッ
ズタズタに引き裂かれたソファー。
倒れた本棚。
血のような色で汚された壁紙。
しかしながら、“最も大切なモノ……いや、者がいない”。
モノクマ『うぷぷー、小町ちゃんのことが気になる? 気になるよねー』
八幡「いいから早く教えろっ!」
モノクマ『本当に知りたいのなら、
まずは殻から這いずり出て、アリジゴクの穴をもがいて登るんだね』ウププププ
テロップ【小町ちゃんの安否は卒業の後!!】
八幡「んだよ……これ…」
八幡の部屋
八幡「………」
八幡(考えがまとまらない)
いつだって考えをまとめてから行動してきた。
俺みたいな本能で動けば失敗が飛びこんでくるような男は、いつだって石橋を叩いて叩いて……叩いて叩いてきた。
しかし、叩いて叩いて壊れるくらい叩いて、あ、これ大丈夫だ、行けるわ。と判断してゆっくりと足を踏み出した瞬間、隕石が頭上に舞い降りてくる。
それでも考えた分の後悔は減る。考えた分の糖分の消費はもったいないが。
そんな俺が考える前に動きだそうとしている。
八幡(小町を助けるためなら俺は人を殺すこともいとわない……だが)
問題は一つ。
八幡「俺は……生贄だ」
そう、俺はいつだって間違える。
それを俺が自覚する時、そんな時はいつも―――。
自分のため“だけ”に行動した時だ。
食堂
八幡「………」
一同「………」
八幡(どうやら、皆も映像を見たようだな……)
結衣「………」
葉山「………」
八幡(ふん、これだから温室育ちの家畜共は……。俺みたいにドブを啜って生きてきた虫を食んで、深淵の底で光が針の穴くらいにしか拝むことのできない場所で、自分を見つめ続ければ必然的に耐性はつく。もちろん光の住人からは嫌われるが)
雪乃「あら比企谷君。勝ち誇った気持ち悪い顔を見せびらかせて、どんな卑怯な手を使ったのかしら」
八幡「おい、いちいち的確なんだよ。傷つくからやめてくれ」
八幡(こいつは落ち込んでないんだな……)
雪乃「あら、もしかしてあなた映像を見たのかしら」
八幡「えっ、見てねーのか?」
雪乃「何で見る必要があるのかしら? あなたは人を殺す気なの?」
八幡「………」
雪乃「あなたほどの自己中心的な人物が思いつめるような映像だったのね」
八幡「……お前は見なくて正解だよ」
八幡(きっとお前は映像を見ても揺らぐことはないだろうけど、……もし揺らげば――)
この女はどんな手段を使っても“卒業”する。
俺は自分の想像に戦慄しながらも、周囲への警戒を解かなかった。
八幡(ここはすでに戦場だ。この中の誰が人を殺すか決心しててもおかしくない……)
三浦「……ヒキオ」クイクイ
八幡「三浦?」
八幡(なんだよその真っ赤な目は!? お前はウサギだったのか!?)
三浦「こっち……来て」
八幡「お、おお……」
三浦の部屋
三浦「あんさぁ……」
八幡「………」キョロキョロ
八幡(こ、これがトップカースト煉獄の女王の部屋……何これやばい媚薬効果の煙出てんじゃね? 頭がぽーっとしてきた…)
三浦「ちょっとエロい顔すんなし!」バシッ
八幡「お、おおっ、すまん」
三浦「……ちょっと嬉しかったけど…」ボソッ///
八幡「へっ?」
三浦「黙れし。良いから話聞いて」
八幡「ああ」
三浦「私ね、あの映像見たんだ……」
八幡「………」
回想
モノクマ『うぷぷっ、三浦優美子さんは例えるなら盲目の女王蜂。目に見えなくても自分の存在がいかに崇高であるか理解している』
三浦「ふんっ、当たり前じゃん」
モノクマ『……でも、
君がいるのは本当に蜂の巣……なのかな?』パッ
画面が切り替わる。
女王蜂の身体に目をつぶったあーしの顔をしたキャラを中心に“何か”がうごめいていた。
三浦「ひっ……」
モノクマ『あれあれ? 今嫌がった? それとも否定した? ありえない?』
三浦「ありえねーし! あーしの周りは葉山や皆が――」
―――いない?
モノクマ『うぷぷっ、例え蜂の世界の女王でも、蛇の世界じゃ生きられないよねぇ』アーッヒャッヒャッヒャ
そして、映像は切り替わり、あーしの家が映し出された。
八幡(後は似たようなもんか……)
三浦「あーし、自分の生き方なんて正しい正しくないの前に考えたこともなかった」
八幡「普通そうだろ。俺みたいに敵しかいない人生じゃないんだし」
三浦「でも……それって逆に言えばあーしは損してた可能性もあるんだよね」
八幡「損?」
三浦「だって、相模とかと対立しなきゃヒキオと関わることもなかったし、自分の人生について考えることもなかった。それって損じゃん」
八幡「……ふざけんな…」
三浦「えっ?」
八幡「帰る」
三浦「待ってよヒキオ!!」
俺は珍しく怒った。いや、キレたと言っても良い。
誰かに対して怒りを感じると言うことは、それすなわち対象者を“怒って何とかしたい”の現れである。
驚きだ。
まさかこの底辺オブ底辺の比企谷八幡が、トップオブトップの三浦に対して怒りを感じる日がくるなんて。
三浦「ヒキオ! 言ってくれなきゃ分かんないよ!」
八幡「……ああ、そうだな」ピタッ
三浦「……ほっ」
八幡「三浦」
三浦「は、はいっ」
八幡「俺はお前の損得のために生まれてねーし、これからもお前の損得のために関わる気はねーぞ」
三浦「……っ」
八幡「分かるか?」
三浦「………」コクリ
八幡「じゃあ、言い直せ」
八幡(何言ってんの俺。女王に命令するなんて調子乗りすぎじゃね?)
三浦「あーしは……八幡と仲良くできて…嬉しい、です」モジモジ
八幡「……かわい…」ボソッ
三浦「えっ!?」カァ///
八幡の部屋
八幡inベッド「うわぁああああああああああああああああああああ!!」ハズカチィ///
叫んだ。
叫びに叫んだ。
過去の失敗を繰り返した。
本音を漏らした。
そう、本音だ。
あれは俺が本当の本当に三浦優美子を可愛いと思ってしまった結果。
屈した。
俺の心は三浦優美子という存在に屈したのだ。
最悪だ。
最悪の中でも最悪オブ最悪だ。
八幡「だって……」
―――そんな恋、叶うわけがないのだから。
一旦風呂入ってきま!
俺が何をとち狂ったか青春という名の聖水に片足を突っ込んで浄化されている同時刻、食堂ではより深刻な問題が起きていた。
相模「ねぇ遥ー、レモンティーって言ったよねー?」
遥「あ、そ、そうだっけ? ごめんねー」
相模「入れ直してくんなーい?」
ゆっこ「う、うんっ、行ってくる!」
相模「ゆっこが何で行くの?」
ゆっこ「えっ、だ、だって私もコーヒー入れに行くし」
相模「ウチは遥に頼んだんだよねー」
遥「う、うん……」タタタッ
相模「でさーっ」キャハハ
女子1「う、うんっ」アハハ
女子2「………」アハハ
大岡(あー、なんかうぜーなーこの集団)
大和(やっぱり隼人君達と一緒いる方が楽しいなぁ……)
葉山「………」
八幡が生贄に選ばれてから6日目。
八幡「俺の生贄人生も後一日か」
雪乃「……いつから生贄に選ばれないと錯覚してたの?」
八幡「……わりぃ、今回だけはその冗談に付き合えね―わ」
雪乃「あなたまさか……」
葉山「雪ノ下さん、比企谷……話がある」
二人「……?」
葉山の部屋
雪乃「奉仕部として助けて欲しい?」
葉山「……ああ」
八幡「こんな状況で部活もくそもねーだろ」
雪乃「非常に認めたくないけれど、私も彼と同意見よ。奉仕部はあくまで部活動。今の状況は明らかに範疇を超えているわ」
葉山「……それは分かっている」
八幡「なら話はおわ――「だが、お前たち……特に比企谷にとって悪い話じゃないんだ」
雪乃「?」
八幡「……まぁ、話を聞くだけならかまわんけどな」
俺は嘘をついた。
食堂で皆を観察していたら、こいつが何を言いたいか分かる。
おおかた、相模達が仲間割れしないように説得して欲しいとかそんなんだろう。
相模は文化祭で嫌と言うほど人間性を知ったからな。ああいう調子に乗る立場が長続きする器じゃない。
葉山「実は……相模達のことなんだけど…」
ほらな。
だけど、こいつは俺のやり方を知っていて、なおも頼ってくるのか。実は酷い奴なんじゃね。
葉山「相模を――」
八幡(助けてやって――)
葉山「生贄に指名して欲しい」
八幡「助ける気は……は?」
雪乃「葉山君、あなた何を言っているか分かってるの?」
葉山「ああ……分かっている」
八幡「お前、とうとう邪魔者は排除するのか?」
葉山「そんな訳ないじゃないか!」ガンッ
八幡「ごめんなさいっ!」ビクッ
八幡(くそっ、どうしても本能が葉山を上の存在だと認識してしまう)
葉山「……近いうち、相模達の中で殺し合いが起きる」
八幡「は?」
雪乃「………」
葉山「もちろん、100%じゃない。相模達に人を殺す度胸があるのかと言われれば否定はできない……」
八幡「だから生贄に? 本末転倒じゃないのか?」
雪乃「いえ、とても有効な手立てだわ」
八幡「?」
雪乃「考えても見て。今私が卒業したいと本気で思ったとして、あなたと葉山君どちらを殺すかしら」
八幡「そりゃ、葉山だろ。俺を殺しても卒業できないんだ」
雪乃「そう、人は目的のためなら手段を選ばない生き物だけれど、目的を見失ったら全く動けない生き物でもあるのよ」
八幡(つまり、相模を生贄にしてお互いを手出しできない状況に置こうということか……)
葉山「俺はできれば皆で脱出したい……」
雪乃「それでこんな手段を選ぶなんて、あなた比企谷君に似てきたわね」
葉山「……今なら分かるよ。比企谷は手段を選ばなかったんじゃなくて“選べなかった”んだな」
八幡(別に理解して欲しいなんて微塵も思ってないけどな……)フン…
雪乃「奉仕部として受理はできないけど、皆と話し合ってみるわ」
葉山「ありがとう」ニコッ
八幡(あまり良い予感はしないけどな……)
生贄交代の日 正午
相模「……は?」
モノクマ「うぷぷー、三浦優美子さん5票、相模南さん7票により生贄は相模さんとなります!」
ゆっこ「なんで……?」
遥「………」
モノクマ「今回は得票数の多かった二人を発表しましたが、僕の気分で全てを公表したり、誰が誰を投票したかも発表したりするかもねー」ウププププ
相模「誰だよ! ウチに入れたの!!」ガンッ
女子1「………」
女子2「………」
葉山「俺だよ」
相模「隼人……?」
葉山「俺が入れた」
相模「な、なんで?」ジワッ
三浦「………」
葉山「全員聞いて欲しい!」
一同「?」
葉山「俺はモノクマに家族が誘拐される映像を見せられた!」
一同「!?」
葉山「家族がどうなったのか。それは卒業すれば分かるらしい!」
八幡(俺と同じだ……)
葉山「だけど! 俺は誰かを殺して家族の安否を確かめに行くなんて間違ってると思う!」
戸部「俺も同意見っしょ!」
海老名「私も!」
大岡「お、俺も!」
大和「俺も!」
葉山「だから、大切なのは“互いに思いやる心”だ!」
三浦「隼人……」ウットリ
八幡「………」ムカ
八幡(!? 俺は今むかついたのか!?)ドキドキドキ
相模「それとウチが生贄にされるのと何の関係があるんだよ!」ガンッ
葉山「相模……」ジッ
相模「な、なに……」ビクッ
葉山「頭を冷やせ。お前のやってることは誰ひとりとして楽しくない」
相模「っ!!」カァ///
葉山「相模自身も楽しくないだろ? 上下関係なんて俺たちに必要ないんだ、なっ?」
相模「………」
葉山「皆も! 今回は相模が選ばれたが、次回はローテーションで入れ替わろう!」
戸部「うわっ、隼人君ちょー名案!」
大岡「やっぱ隼人君だわ!」
大和「………」ウンウン
八幡(一見俺のやり方に似ている。そこは認めよう)
雪乃「………」
八幡(だが、やはりこの男は“光の世界に長く滞在しすぎた”。物事の本質が見えていない)
結衣「なんか……雰囲気良くないよ…」
彩加「八幡……」ギュッ
八幡(どうする? ここで葉山の鼻っ柱をへし折るのは簡単だ。……だが、それが今必要なことか?)
相模「………」ギリッ
ゆっこ「………」
遥「………」
答えの出ないまま、俺は沈黙を保った。
そして、晴れて生贄が俺から相模に移った三日後の昼。
―――それは校内に鳴り響いた。
モノクマ『ぴんぽんぱんぽん! 死体が発見されました! 死体が発見されました! 生徒は至急体育館までおこしください! 繰り返し――』
体育館へ足を運ぶと、そこには―――。
結衣「いやぁあああああ!」
彩加「八幡!」ギュッ
材木座「八幡!」ギュッ
八幡「………」
女子2「」シタイ
日常が崩れ去り、非日常が挨拶をした瞬間だった。
続く。。。
今日はここまでです! 明日から非日常パートです!
おやすみなさい!
全員、言葉を失っていた。
ああはなりたくない人物第一位に輝けるであろう俺でさえ、目の前で横たわる血だらけの女の子を見たら思ってしまう。
〝こんな終わりは嫌だ”、と。
葉山「こんな姿のままじゃだめだ! 早く布団を――「ぶぶーっ、それは許されませーん!」
一同「!?」
モノクマ「あーひゃっひゃっひゃ! 起きちゃったねぇ!!」
葉山「何を笑ってるんだ! 人が死んでるんだぞ!」
モノクマ「そうだよ? 何か変かな?」キョトン
一同「っ!?」ゾクッ
モノクマの一挙一動を見るたびに改めて痛感させられる。
ここはすでに俺たちの知ってる世界じゃない、と。
このパンダのようなクマの目的はまだわからないが、とにかく一人の犠牲によって事態は動くのだ。
〝卒業生”が一人、出てくるのだ。
戸部「こ、これで卒業できんのか?」
葉山「………」
モノクマ「そーーーんな訳、ないじゃーん♪」アヒャヒャヒャヒャ
一同「……えっ」
モノクマ「それでは今から一定時間〝学園内を捜査”することを認めます!」
雪乃「捜査、というのはこの女子生徒が死んだ理由を、ということかしら?」
モノクマ「うーん、それは過程の話だよねぇ。大事なのは〝結果”だよ」ニコッ
八幡(……なんか…この感じ…)
葉山「つまり……犯人捜しをしろ、と?」
モノクマ「だいだいだーい正解! 葉山君は賢いねぇ~」
そして、モノクマは説明を始めた。
犯人、モノクマは〝クロ”と呼んだ殺人犯を俺たち〝シロ”は捜査と学級裁判と呼ばれる話し合いで見つけ出さなければならない。
捜査の時間は寮を含めて、立ち入りできる範囲の施設を全て解放する。
死体を触るのは自由だが、それはクロが証拠を隠滅できるということでもある。
学級裁判でクロを決めるのだが、それは話し合いをした後に全員による投票で決める。もし投票しなかった場合全員〝オシオキ”される。
過半数でクロを指名できればシロの勝ち。クロはオシオキされる。
クロ以外の指名が過半数を越えればシロの勝ち。クロは卒業、シロは全員オシオキされる。
相模「ウチは……?」
モノクマ「あー、そういえばクロが卒業できなかった場合について言わなかったね」
葉山「そ、卒業できないんだから犠牲になる必要はないだろ!?」アセアセ
八幡(実質葉山が指名したようなものなんだから珍しく狼狽してるな……)
モノクマ「そうだねー……うーん…」
モノクマ「やっぱ麗しき友情がみたいよね! クロ1人オシオキされるのはかわいそうだから一緒に、ね♪」アヒャヒャ
相模「………」
ゆっこ「南……」スッ
相模「触んな」バシッ
ゆっこ「何すんだよ!」ドカッ
相模「きゃっ!」ドサッ
一同「!?」
遥「ゆ、ゆっこ?」
ゆっこ「どうせこいつは死ぬんだ。なら言う事聞く必要なんてねーよ」
相模「……ウチ…が、死ぬ……」
葉山「何か! 何か助かる方法はないのか!?」
モノクマ「それじゃあ、全員の右腕と交換にしようか?」
一同「!?」ビクッ
モノクマ「………」ニヤニヤ
八幡(こいつ……)
モノクマ「僕もねぇ、生贄制度なんて本当はしたくなかったんだけど、ちょっと事情があってね。だから、救済ルールを設けてあげたよ!」
ルール(追記):生徒全員の片腕で生贄は助かる
相模「ウチ……助かる?」
モノクマ「そうだよぉ? 美しい友情によって、助かるんだよ!」ウププ
相模「ゆっこ! 遥! 私が悪かったよ! 許して!」ドゲザ
ゆっこ「っ!!」
遥「………」
相模「隼人! あんたのせいでこんなことになってんだから分かってんでしょうね!」
葉山「………」
雪乃(まずいわね。こんなの絶対にできるわけがないのに、モノクマが〝やって当たり前”のような雰囲気を作り出した。もしここで拒否の意思提示なんかしたら―――)
八幡「俺、やんねーけど」スッ
相模「!?」ギロッ
八幡「っ!!」ビクッ
雪乃「比企谷君……あなた…」
雪乃(どこまで自分を犠牲に……)
八幡(くっ……今からの展開考えると、体が震えてくる……けど、やるんだ…)
八幡「だから、俺……やらねーよ」
相模「何言ってんのよ!!」バンッ
八幡「モノクマ、一人でも拒否が出てるけど、やる奴の右腕切るの?」
モノクマ「……ほんと、生意気だねぇ君は。いいや、そんな〝無駄な事”はしないよ」ウププ
八幡(無駄な事……ね)
相模「ぁああぁああああああ!!」ガンッ
八幡「ぐっ!」
相模「最低! クズ! 死ね!」ゴスッゴスッ
八幡「やっ……ぐっ…」
結衣「何とかしてよ!!」
戸部「……け、けどよぉ、相模の気持ちもわかるっつーか…」
大岡「俺は……みんなが良ければ…」
大和「………」
ゆっこ「………」
遥「………」
雪乃(卑怯だわ。右腕を捧げることを明言していないのに、〝自分は助けるつもりがあった”意思表示をちらつかせてる)
葉山「………っ」
三浦「やめ――「うぉおおおおおおおお!」ドンッ
相模「きゃっ!!」ドサッ
八幡「………材木座…」
材木座「我の相棒に何をする!!」
相模「………」ギロッ
材木座「……っ」ビクッ
相模「どうせ殺されるなら……」
モノクマ「おーっと、生贄に捜査権は与えられません!」スッ
相模「な、何?」ガチャッ
葉山「手錠?」
戸部「く、首も!?」
相模「は、離せよ!」
モノクマ「生贄にはこのまま捜査時間を無駄に過ごしてもらいます!」
相模「……そん、な」
一同「………」
彩加「大丈夫、八幡」
八幡「ああ、ありがとう……」
材木座「我はいつでも八幡の味方である!」
八幡「……ああ、材木座も」
材木座「!? くぅ~!! やっと、やっと八幡が我を相棒と認められたぁ~!!」
八幡「それはない」キッパリ
材木座「がーん……」
相模「………」ギロッ
捜査は思ったより難航を極めた。
全員、こんな事態を想定していなかったため、推定死亡時刻のアリバイなんて調べようがない。
しかも、死体は首をナイフで切られているだけで何の手がかりも掴めそうになかった。
強いて言うなら、食堂のナイフが一本無くなっている。それくらいである。
全員が犯人の可能性がある。
そんな五里霧中な状態のまま、俺たちは学級裁判を迎えることとなった。
エレベーター前
八幡「学校にエレベーター、しかも地下行きって何目的だよこれ」
雪乃「おそらく、このためだけに作られたのでしょうね」
相模「………」ジャラッ
八幡(全身を鎖でグルグル巻きにされ、口をガムテープでふさがれたその姿は、本当の本当に少しだけだが、男の支配欲を刺激した)ゴクリ
結衣「ヒッキーの特大変態」ギロッ
八幡「お前、なんでその勘を捜査に行かさなかった訳?」
雪乃「否定はしないのね」
三浦「………」ゲシッ
八幡「痛いです女王」
三浦「キモっ」
八幡「………」
三浦「……きも…」プイッ
――ガシャン!!
八幡「ここが……学級裁判場…」
それは、誰もが裁判員で誰もが容疑者であるがゆえにできた特殊な形。
円状に並べられた証言台はそれぞれの台にネームプレートが貼ってある。
殺された女子2の場所には、銀髪ポニーテールの可愛い笑顔が映っていた。
モノクマ「あひゃひゃひゃひゃ! それじゃあ、各自席についてください!」
学級裁判が始まろうとしていた。
モノクマが学級裁判のルールを再確認し、そして開始の合図を告げた。
葉山「……じゃあ、まずは女子2の死因についてから話そう」
戸部「そ、そんなのナイフを首でガッと……思い出したら吐き気してきた…」ウプ
三浦「つーか、それ以外に情報なくね?」
彩加「ナイフは多分食堂にあった果物ナイフだよね」
一同「………」
沈黙が流れた。
今のままではくじ引きでクロを決めるようなものだ。何一つとして根拠ない命がけの投票……。
俺は知っている。
こんな時に状況を打破するのはいつだってあいつだ。
水面下の努力をひとかけらも見せず、あたかも持って生まれたセンスであるかのように振る舞う完璧な女。
雪乃「一つ、確認したいのだけれど」
雪ノ下雪乃は、いつ、どこで、どんな状況であろうと、
己を失わない。
一旦離れます! 銀髪については描写が思い浮かばなかっただけだって思っててください!!
では!
明言しましょう!
ここに出てくる銀髪は〝あの”川なんとかさんじゃないです!
ダンガンロンパみたいなコトダマをどうするか迷い中、続きー。
一同「?」
雪乃「大和君は女子2さんと昨日は〝セックス”したのかしら?」ダンガンドーンッ
大和「」ドギャーンッ
八幡(お前はつまらない物ですがってお土産渡したら〝つまらない物をありがとう”と言っちゃうタイプかっ、いやタイプか……)
雪乃「どうなのかしら?」ジッ
大和「……してない」カァ///
葉山「ゆ、雪ノ下さん、今聞くことじゃ……」
雪乃「? 今以外に私は彼の性生活に興味何てないのだけれど?」
葉山「っ……」カァ///
八幡(あの葉山が赤面してる……ということは!?」)バッ
彩加「………」ハァハァ///
八幡(キターーーーーー!!)
雪乃「私の見たところ、あなたと女2さんは喧嘩していたようだけれど?」
大和「………」
大和「ああ、確かに俺らは喧嘩していた……三日前くらいから…」
ゆっこ「そ、それじゃあ、あんたが!?」ビクッ
大和「違う! お、おれじゃない!」
雪乃「そういえばあなたは相模さんと三浦さんどちらに入れたのかしら?」
大和「………」
遥「今聞かなくても……」
雪乃「心配しなくてもあなたに聞く気はないわ」
遥「っ……」
大和「……俺は、女2に頼まれて、〝相模に入れた”」
一同「!?」
雪乃「そう……」
葉山「な、なぜだ!?」
大和「……わからない」
八幡(普通に考えたらあいつが相模をトップから蹴落としたかったが、自分で入れたのがばれたら何されるかわからない。だからあいつに入れさせた……けど…)
結衣「ゆ、ゆきのんは犯人が分かったの?」
雪乃「いいえ、分からないわ。人を殺すような人間のことなんて分かりたくもない、というのが本音だけれど」
材木座「状況を整理すると、そこのデカブツと死んだ子はえ、エッチをするような仲だった。ところが三日前から喧嘩をしてエッチをしていない。それでいいか?」
大和「……いや、最後にやったのは昨日だ…」
結衣「け、喧嘩してるのに?」コンラン
三浦「つーか、こいつの生々しい話なんて興味ないんですけどー」
雪乃「ええ、そうね。じゃあ、えーっと」チラッ
ゆっこ「ゆっこで良いよ」
雪乃「ゆっこさん、今から本当に答えたくないこと聞くのだけれど、私たちが死なないためにもしっかりと答えてね」
ゆっこ「う、うん……」
雪乃「女2さんを大和君とセックスさせるように仕向けたのは、あなたたちで間違いないかしら」
一同「」
八幡「………」
青春とは、演劇であり寸劇であり盲目である。
汚い所は一切黒い幕の後ろに隠して、スポットライトの浴びるキラキラした場所だけが世界。
雪ノ下雪乃の言葉は、いわば、スポットライトをもぎとって無理やり黒い幕の裏を照らすような行為。
恥辱と屈辱をごちゃまぜにして顔面にぶつけるような、
そんな鬼畜な行為を彼女は平然とやってのけたのだった。
ゆっこ「………」
雪乃「どうなのかしら? 答えてくれないと先に進めないんだけれど」
大和「お、おい、俺はあいつに告白されて……」
雪乃「あら、あなたあの子と友達だったのかしら?」
大和「ひ、ひとめぼれだった…って…」
雪乃「……どうなのかしら、ゆっこさん」
ゆっこ「………」
八幡(まずいな……)
俺は思い返す。
俺が小学生のある日、クラスでとある女生徒の筆箱がなくなったと騒ぎになったことがある。
筆箱は教室のどこを探してもなかった。学校中を探してもなかった。
帰り道も、彼女の家も、職員室にも、落し物入れにもなかった。
だが、俺はそれの在り処を知っていた。
「大丈夫だって、ばれないよ」
「でも……」
「ほら、これが欲しかったんでしょ? 私はこれ」
「………」
休み時間、筆箱を盗む女子が2人。
なぜ俺が教室にいるにもかかわらずそれを行ったかというと理由は単純明快。
(清掃道具入れの中って熱いんだな……)
比企谷菌は定期的に除菌する必要があるらしい。だったらあんな暗くてジメジメしたところに入れんなボケ。
「そういえばあの時、女子AさんとBさんが教室でごそごそしてました!」
と、男子の一人が証言した。お前、俺を見て陰でクスクス笑ってただろ!
「どうなのAさん?」
先生が尋ねる。
「………」
女子Aは下を俯いたまま何も言わない。
「Bさんは?」
「………」
女子Bも下を俯いたまま何も言わない。
俺は思いつく。
「先生、俺見てたんだけど、BさんがAさんを脅してました」
「!!」
驚くB。本当の事だろ。
「そ、そうなんです! び―――」
その後、裏切り者のA以上に、告げ口した男子以上に、
「お前があそこで余計なこと言わなければ!」
俺が非難を浴びた。ちゃんちゃん。
~~~
ゆっこ「………」
遥「………」
八幡(今、相模がやったと告げ口すれば二人の友情関係は崩壊する。いつ裏切られるかわからないからな。だから、どっちに聞いても無駄だ。〝熱い友情”というやつはメリットがある以上道徳倫理は通用しない)
雪乃「黙っていてはわからないのだけれど」
二人「………」
八幡「あの、さ……」
ゆっこ「!?」ビクッ
遥「!!」ビクッ
八幡「女2が命令したんじゃね?」
俺は全力で銀髪ポニーテールに土下座した。
心の中で。
続きはWEBで。
離れます。
八幡ってこんな簡単に惚れるキャラじゃなくね?
>>179 惚れやすさは一流だと思ってた。もちろん、普段は過去の経験から勘違いしないように戒めてるけどって感じで。
それでは続きー。
ゆっこ「……え…」
遥「……?」キョトン
雪乃「あなた……何を言って…」
八幡「いや…だからさ、俺には二人がそんな命令をするようには見えないんだけど……」
ゆっこ「………」
遥「………」
雪乃「状況的に考えてそんな訳ないでしょ」
八幡「……まぁ、そうだよな。はは…、でもまぁ、だったら…
やっぱ相模……じゃね?」
一同「!!」
葉山(そうか、あえて一度突拍子もない可能性を示して緊張感をほぐし、本来の目的を果たす)
八幡(これぞ引きこもりの俺が訪問販売のおっさん達から技術、フットインザなんちゃらだっけ? いや違うか…)
ゆっこ「……そ、そうなの! 私達は拒否したんだけど!」
遥「み、南ちゃんが無理やり!!」
相模「!!」ンーンーッ!!
モノクマ「………」ウププププ
雪乃「それじゃあ改めて聞くけれど、相模さんの命令で女2さんは大和君とセックスをしたということで良いかしら」
遥「う、うん……」チラッ
ゆっこ「………」チラッ
相模「………」フーフーッ!!
結衣「で、でも、それが分かったからと言ってクロが誰か分かるの!?」
材木座「も、もしやっ、それを知ったデカブツが彼女を無理やり!?」
大和「!! お、俺じゃない! 信じてくれ!!」
大岡「………」
葉山「俺は……信じたい…」
八幡(信じたい……ね)
雪乃「それじゃあもう一度整理するのだけれど、
まず、相模さんは自分たちが最大派閥になるためにゆっこさんと遥さん、それから女1さんと女2さんを引き入れた。
その後に女1さんと2さんをけしかけて大和くんと大岡くんとセックスするように仕向けた。
その甲斐あって彼らは相模グループに加わり最大派閥になった。
そして、三浦さんに対して子供のようにイジメた。……ここまではあってるかしら?」
ゆっこ「う、うん……」チラッ
遥「わ、私達は反対したんだけど……」ジッ
女1「あ、う、うんっ! 二人は反対してくれたよ!」アセアセ
雪乃「そう……」
八幡(嘘だな。今後のことを考えて二人に取り入ろうと言う気持ちが丸見えだぜ……)
雪乃「続けるけど、その後、派閥内がぎくしゃくし始めた。相模さんの独裁が原因で」
ゆっこ「うん、だってあいつってば私に三浦みたいな対応を――」
遥「ゆ、ゆっこ!」
ゆっこ「……っ!」ハッ
三浦「………」ギロッ
ゆっこ「………」シュン…
八幡(そうだ。相模の呪縛から解かれるということは同時に相模グループの威光もなくなるということだ。三浦に対してそんなでかい態度をとれるなら最初から相模の太鼓持ちなんてしない。ゲームの敵に例えるなら中ボスに従う小悪党ってとこだな)
雪乃「その後、相模さんが生贄に選ばれた。それと同時に大和君は女2さんと喧嘩をした。理由を訪ねてもいいかしら?」
大和「……したくない…と」ボソッ
雪乃「セックスを拒否されたのね」
大和「っ……」カァ///
八幡(うわぁ……思春期の男子にそんな攻撃…大和君のライフはもうとっくに0どころかマイナスよ!)
雪乃「その理由はわかるかしら?」
大和「わ、わからねーよ!」
雪乃「……まぁいいわ。そして、その三日後、女2さんは首筋を切られて殺された。その時のアリバイは誰も証明できないし、誰にでも“動機”があった」
彩加「卒業……したいから」
結衣「そ、そんなことで人を……」
八幡「………」
八幡(俺はもうクロが誰か分かっている。……いや、証拠がないんだから分かっていると言うよりは予測がついている。ほとんど雪ノ下のおかげだが、おそらくあいつには一生分からないだろう)
雪ノ下「………」
結衣「………」
彩加「………」
一同「………」
モノクマ「あれあれー? もう議論は終わりかなー? 投票? 投票しちゃうの?」ウプププ
八幡「………っ」
ダメだ。このままでは大和とゆっこと遥、それに女1で票が分かれてしまう。
しかし、どうすればこれを証明できる……。
まず間違いなく、“あいつ”がクロなのに!!
相模「………」
ちょっと風呂いってきま!
もし、犯人が分かったらあなたは雪乃級です。
犯人と動機までわかったらあなたは八幡級です。
ここまできたらレスされたからと言って犯人変えたりしないので、ぜひ予想をレスしてみてください。
ただ、物的証拠はまだ学級裁判には出ていないです。(推測できる要素はあった?)
では、いってきまー。
この時点で犯人が分かってるのは2人だけなんかね
続き逝きます!
たぶんクロが誰か分かってるのは、“学級裁判場”では八幡とモノクマだけです。
続きー。
モノクマ「終わりみたいだね。それじゃ「あー、ちょっと待ってもらっていっすか?」
モノクマ「……やれやれ、君はいつだって協調性がないねぇ」
八幡「うす……」
モノクマ「それじゃあ、もう少しだけ延長してあげるよ」ウププププ
八幡「その前に、再確認なんすけど」
モノクマ「?」
八幡「クロはこの場にいる15名の中にいるんだな?」
モノクマ「うん、いるよー! このコロシアイ学園生活に参加させられた、幸運の16名の中に必ずね! 外部からの暗殺や、ここの施設による事故は起きてないよ! れっきとした“殺人事件”だよ!」アーッヒャッヒャッヒャ
八幡「!」
八幡(やっぱりか……)
雪乃「………!」ハッ
八幡(雪ノ下も気づいたみたいだな)
八幡「それじゃあ、全員に聞くが、誰か、捜査時間に女2の服を脱がせた奴はいるか?」
一同「!?」
結衣「ヒッキー最低! 酷い! 変質者!」
八幡「お、おい……俺は…」
雪乃「由比ヶ浜さん、大事なことなの。答えて」
結衣「……わ、私は脱がせてないよ!」
・
・
・
八幡「全員死体の“外面”は確認したが、服の中までは確認していない、と」
葉山「死体を冒涜するような行為、誰ができるっていうんだ!」
八幡「あーあー、お前は立派だよ。
だけどなぁ、今は全員の命がかかってんだよ。少し黙れ」ギロッ
葉山「っ!?」ビクッ
結衣(あのヒッキーが……)
三浦「ヒキオ……」ウットリ
葉山「………っ」
八幡「これは俺の友達の友達が経験したことなんだが」
雪乃「つまり比企谷君ね」
結衣「ヒッキーの体験談だね」
八幡「………で、その友達の友達がな、とあるクリスマスパーティーに誘われたんだ」
雪乃「友達の友達の話みたいね」
結衣「ヒッキーに友達いたんだ……」
八幡「泣くぞ……」
三浦「続けろし」
八幡「はい……」
雪乃&結衣「………」ムッ
八幡「それでな、友達の友達は初めてのクリスマスパーティだからって母親に頼んでケーキを用意した。彼はそのケーキの出来があまりにも素晴らしいため、自信満々でパーティへと乗り込んだ。そして悲劇は怒った」
回想
「は? プレゼントは?」
「えっ? ぷ、プレゼント?」
「あー、まじありえねー! こいつプレゼント持ってきてね―ぜ!」
「な、何プレゼントって!? ケーキならあるよ!?」
「菌の入ったケーキなんていらねーから帰れよ!」
「か・え・れ! か・え・れ!」
「………」
~~~
八幡「その時友達の友達は教訓を得た。“クリスマスパーティにはプレゼントが必要なのだ”と」グスッ
彩加「八幡……可愛そう…」
材木座「我は誘われたことないから分からん!!」
戸部「それで? それが何の関係あるんしょ?」
八幡「つまりだ……」
八幡「このコロシアイ学園生活は“他人を殺す=卒業”と俺達は刷り込まれているということだ」
一同「………」
結衣「えっ、今更確認すること?」
戸部「ヒキタニ君マジ空気よめっしょ!」
葉山「……そういう…ことだったのか……」
戸部「えっ?」
雪乃「つまり、彼が言いたいのは、私達はいつの間にか“自分たちでコロシアイ学園生活の枠組みを決めていた”ということよ」
三浦「……ということはまさか…」
八幡「ああ、ここからは少し長くなるが、どうか最後まで聞いて欲しい」
一同「………」ゴクリ
モノクマ「クライマックス推理だね!」
八幡「まず最初に知っておかなければならないことは、このコロシアイ学園生活に参加させられたメンバーは、
奉仕部のメンバー
葉山グループ
相模グループ
そして、女1、女2、彩加と材木座だ」
材木座「我を奉仕部のメンバーに!!」
雪乃「入部届けが受理されてないので無理ね」
材木座「がぁあああああん!」
彩加「八幡……僕は、仲間外れ…なの?」ジッ
八幡「何言ってるんだ。俺は地の果てまでお前と一緒だ彩加」
彩加「八幡!」ニコッ
海老名「キマシタワー!」ブフェッ
一同(いたのか……)
八幡「ここで想像して欲しい。ライオンの群れとハイエナの群れ、そしてよく分からない群れに突如放り込まれた草食動物の気持ちを」
三浦「あーしにはわかんねー」
葉山「できれば喧嘩にならないようにしたいね」
戸部「隼人君ちょー優しいっしょ!」
雪乃「私なら、一人でも生きていけるわ」
結衣「えへへ……空気を読む…かな?」
八幡「お前ら…真面目に答えろよ」
彩加「僕だったら……怖くて動けない…と思う」
八幡(やっぱ天使が一番!)
八幡「そう、彼女達は怯えた。そしてなるべく穏便に済ませようとライオングループから距離をとった」
八幡「しかし、ハイエナグループはそれを見逃さなかった」
八幡「相模は女1と女2を自分たちのグループに取り込んだ。もちろん取り込んだと言っても仲間としてじゃない。あくまで“大きな獲物を狩るための餌”として、だ」
ゆっこ「………」
遥「………」
八幡「二人は自分が餌にされることを知って、嫌がったと思う。誰だって餌は嫌だ。…しかし、逆らえない。逆らえば次はライオングループに、いや、それ以前に殺されてしまうかもしれない。生贄にされるのも嫌だ。……それならいっそ…」
大岡「お前……そんな思いつめて俺と…」
女1「……ごめん…」
大岡「あ、謝るなよ! 俺の方が悪かった!」
雪乃「反省するのは後よ」
八幡「そして、餌は餌としての役割を果たした。その結果、ハイエナは最大派閥として憎かった雌ライオンを王者の谷から追い出すことに成功したのだ」
三浦「雌ライオンってあーしのこと?」ギロッ
八幡「麗しき女性の美人ライオンのことです」
三浦「ふ、ふーん……///」
結衣「ヒッキー後で殴る」
雪乃「同感ね」
ちょっとあーしさんビッチすぎんよ~
八幡「しかし、所詮はハイエナ。威光もなければ実力もない。王者の谷にいてもどうすればいいか分からない。しかも、同格だった一匹が調子に乗り始めた。残りの二匹は面白くない」
ゆっこ「………」
八幡「そして、派閥の空気が悪くなったタイミングで調子に乗っていたハイエナが生贄に選ばれた。これにはハイエナグループも驚いた。しかし、その中で一人、全く違うことを考えている者がいた」
大和「……女2…」
八幡「だが、生贄に選ばれたからと言って自分は何が変わる? 自分が草食動物から肉食動物に進化できる? んな訳ない。状況は相変わらず餌のままだ。しかも、喰いついた獲物がしつこかった。さらに言えばハイエナはイライラを自分にぶつける。このまま殺しが起きなければずっと……。
ならいっそ、起こしてしまおう。彼女はそう考えた」
戸部「ということは……クロは女1!?」
雪乃「どうしてそこに行きつくのかしら……」ハァ…
結衣「さすがに私でも分かったよ……」ジトーッ
戸部「え、え?」
八幡「いや、結局ライオングループに彼女の気持ちは分からないんだ。自分たちがいかに弱い存在で強い者に逆らうことができないかを自覚している者にしか……」
葉山「つまりクロは……」
八幡「ああ、だが、その前に聞いてくれ」
八幡(ここからはモノクマとの勝負……)
モノクマ「………」
八幡「結局、それが起きたと言うのはクロが“弱すぎたから”だ。もし力を持っていたなら、間違いなく手段を殺しに変更していただろうし、俺からしたら同じに見える」
結衣「ちょっとヒッキー! そこまで言う必要あるの!?」
ゆっこ「そ、そうだよ! かわいそうだよ!」
遥「もう彼女は弁解できないって言うのに……」
八幡「はぁ? 弁解できないから何? 殺人は殺人でしょ?」
遥「っ!?」ビクッ
八幡「なぁモノクマ。あんたはどう思うんだ?」
モノクマ「へ?」
八幡「クロは同情されるべき対象なのか?」
モノクマ「……ノーコメントだね!」ウププ
八幡「雪ノ下は?」
雪乃「私は……
彼女のことを自分なら救えたかも……と、思う」
八幡(ここだっ!)
八幡「それは違うな。雪ノ下雪乃」ロンパッ
雪乃「えっ……」BREAK!!
八幡「お前も結局のところライオンだ。ただ、仲間と仲良くすることのできなかった、傲慢なライオンだ。そんな奴に草食動物の気持ちなんてわからねーよ」ズキズキ
雪乃「……それは喧嘩を売ってるのかしら?」
八幡「いいや、俺は草食動物だ。ライオンに喧嘩を売れば殺される。そんなことは分かってる。……けどな、
自分がダメなライオンだからって、草食動物の気持ちが分かる振りして偽善を振りまいてんじゃねーよ」
雪乃「あなた……」ジワッ
戸部「言いすぎっしょ……」
葉山「比企谷……お前…」ギリッ
八幡「はっ、今だから言うけどな、お前のしごふっ……」ドシャッ
一同「!!?」
モノクマ「学級裁判に関係ない話をこれ以上続けるなら……オシオキだよ?」ギロリっ
八幡「……わ、分かったよ…」ハァハァ…
雪乃「………」
モノクマ「それじゃあ、これ以上変な空気になっても困るので投票にします!」
八幡(ああ……本当に…分かったよ……)
悲しいなぁ・・・(諸行無常)
モノクマ「大大大正解!! クロは女2さんでしたーーー!」ワーワーッ
一同「………」
証言台に立ったメンバーは全員助かったと言うのに、誰も明るい顔を見せなかった。
女2がクロ。
それが事実として突き付けられた今、俺達は人間のどす黒い部分を目の当たりにしたからだ。
モノクマ「いやー、誰かを殺すために自殺するなんて、普通じゃできないよねー」アヒャヒャ!
葉山「卒業はできない、ということか?」
モノクマ「もちろん! クロが見つかった場合は誰も卒業できません! 良かったねお前ら。まだコロシアイ学園生活を楽しめるよ!」ウププププ
モノクマ「それじゃあ、お待ちかねの生贄タイムと行きましょうか!」ウププ!
相模「あっ……」ジャラジャラ
ゆっこ「南!」
遥「南ちゃん!」
相模「………」プルプル
モノクマ「あれぇ? お別れの挨拶しなくてもいいのぉ?」
相模「……あ………あ…」ガクガク
モノクマ「やれやれ、どうやら嬉しすぎて言葉にならないようだね!」
葉山(考えろ……考えるんだ葉山隼人!!)
八幡「あの……」
一同「!?」
モノクマ「……やれやれ、君はどうやら出しゃばり体質みたいだね」
八幡「……お、俺がクロを見つけたようなもんだし、ご褒美が欲しいなぁ、なんて……」
モノクマ「……ご褒美?」
八幡(耐えろ八幡。これから起きる全ての負の感情を受け流せ
例え世界中の全ての人間が間違っていると罵ってきたとしても、だ)
八幡「相模のオシオキ、俺とセックスするってのはどうかな?」
おお、もう・・・
その瞬間、まるで化物でも見るかのような視線が俺を突き刺した。
それは、今まで経験してきた全ての出来事よりも辛い。
なぜなら、その視線の中には“信頼”を含む、正の感情が入り混じっており、
“そんなのヒッキーが言うはずがない”
“信じてたのに”
“そんな人だとは思わなかった”
と、哀しみや痛みの視線はどんな負の感情よりも俺の心をズタズタにした。
モノクマ「うぷぷぷぷ! ほんとーに君は厄介だねぇ!」
八幡「へへっ、お、俺だって童貞のまま死にたくねーし……」
八幡(徹しろ比企谷八幡。お前にできる全てのことをやれ)
モノクマ「いいよ、ただしカメラの前でね」
八幡「………(これで、相模は死ななくてす――)」ホッ
モノクマ「ただし、映像は世界中に配信されてるけどね」ウププププ
八幡「………ふぇ?」
八幡の部屋
相模「………」
八幡「………」
相模「あんた…そんなセックスしたかったの?」
八幡「抱きつくぞ」ギュッ
相模「はっ!? へ、変態っ///」ジタバタ
八幡「 これくらい密着して喋らないと声が筒抜けかもしれないだろ 」ボソボソ
八幡(骨伝導レベルの小ささだが、伝わるだろうか……)
相模「あ、そうい――「口答えすんな」バッ
八幡「 だから大きな声だすなっつーの 」ボソボソ
相模「 ご、ごめん…… 」ボソボソ
八幡「 これしかお前を助けられる方法が思い浮かばなかったんだよ 」ボソボソ
相模「 ……あんた…私を助けようと…? 」ボソボソ
八幡「 ……誰だってクラスメイトが死ぬのは嫌だろ… 」ボソボソ
相模「 クラスメイトだって思ったこと一度もないけど 」ボソボソ
八幡「 ぐっ…… 」
相模「 ……でも、嬉しい… 」ポロポロ
八幡「お前、なんで泣いて……」
相模「離れないで!」ギュッ
相模「 私、バカだ。他人の目ばっか気にしてたのに、全然他人を見てなかった 」ボソボソ
八幡「………」
相模「 あんた……最高にカッコ良いよ 」ボソボソ
八幡「 今頃気づいたか…… 」ボソボソ
相模「……ねぇ、早くしようよ」ニタァ
八幡「おまっ!?」
相模「もうこうなったら、アンタの性奴隷になるしかないじゃん?」ニヤニヤ///
八幡「………っ」
八幡(ここで俺が躊躇ったらモノクマにばれる……)
八幡「ああ、そうだな。で、お前経験あんの?」
相模「……っ!?」カァ///
八幡「ああ、今ので分かったよ……」
相模「バカっ!!」
八幡「………」
あの……これ八幡とあーしのssなんですけど、超展開でラブコメ展開にしても良いですかね?(震え声)
ちょっとビニコン行ってきます
あれ?これもうラブコメいらなくね?
じゃあコメは抜いて超展開ラブにします!
どっちみち、もうあいつの存在については皆さん察してるようですしね!
相模「ねぇ、早く脱いでよ」ヌギヌギ
八幡「ば、ばかっ! いきなり脱ぐ奴があるか!」ユビノアイダカラジーッ
相模「……ちゃんと女として扱ってくれるの?」
八幡「……当たり前だろ…」
相模「嬉しい! じゃあ、キ―――」
――ピンポーン!
二人「!?」ビクッ
八幡「な、何いまの?」
相模「………」
――ピンポンピンポンピンポン!!
八幡「……嫌な予感がする」
相模「でも、開けないとずっとうるさいよ……」
――ピンポンピンポンピンポンピンポン!!
八幡「……はい、どちら様――」ガチャッ
三浦「はいヒキオお疲れー入るよー」スタスタ
八幡「」
相模「」
相模「な、何しにきたんだよ!」
三浦「何しにって決まってんじゃん。
ヒキオの童貞奪いに来たんだよ」ギロッ
相模「!?」
八幡「!?」
三浦「あーしさぁ、欲しい物は一番に手に入れたいタイプなんだよねー」
八幡「み、見れば分かりますが……」
三浦「だから、絶対ヒキオの初めてはあーしが貰う」ジッ
八幡「」
相模「で、でも、世界中に放送されてるんだよ!?」
三浦「あ? だから何? 好きな奴の童貞が奪われてる所を指くわえて見てるっつーの?」
八幡「!?」
相模「い、今……好きって…」
三浦「………」ボッ///
三浦「あ、ああ、あーしの気持ちなんてどーでも良いんだよ! ほらあんたはどけてヒキオ寝ころべ!」
ヒキオ「あ、あのあの、僕童貞なんで処女が良いです」
相模「あ、あたし処――」
三浦「あーしだって処女だよ!! 文句あんのか!?」アァ?
相模「」ナイデス…
ヒキオ「」ナイデス…
三浦「大体ヒキオ! あんた処女か処女じゃないかで人を判断するような男じゃないっしょ!?」
ヒキオ「……ハイソウデスネ…」
三浦「……ほんと…よく頑張ったね八幡」ギュッ
八幡「あ……」
三浦「 あーしは信じてるよ 」ポンポン
八幡「………」ツーッ
相模「………」
俺はいつもいつでも正しいことをやってきた。
それが必ずしも皆が求めていることじゃないから、非難も批判もされた。
それでも俺は正しいことを続けた。
だけど、ひとつ正しい事をするたびに、ひとつ傷ついた。
一度人を信じる度に、一度心を痛めた。
そしていつしか、人に信じてもらえると“信じること”をやめた。
人は物事をうわべだけで判断する。
比企谷八幡が起こすこと。
葉山隼人が起こすこと。
同じ行為でも人は評価を変える。
――だから、俺は……。
事後。
三浦「……けっこう痛いんだね…」ウゥ…
八幡「お、俺は気持ち良かったけど……」
相模「…キモ」
三浦「ていうかアンタはもう生贄のノルマクリアしたんだから帰りなさいよ」
相模「……いや」
八幡「は?」
相模「あたし決めてたんだよね。
処女を奪った人と結婚するって」
八幡「」
三浦「はぁ? そんなのあーしがゆるさねーし」
相模「ヒキオ? にイカされた癖に」
三浦「そそそ、そんな訳ねーし!!」カァ///
八幡「そ、そうなのか?」ジッ///
八幡(俺にそんなテクニックが…)
三浦「……腐敗しろし…」ギロッ
八幡「死ぬこと前提かよ……」
三浦「まぁ、どっちみちあーしも相模も世界中に放映されたんだ。誰も貰い手なんて現れやしねーし、
三人で生きるしかねーかもな」ニコッ
八幡「………///」グッ
八幡(不覚……また可愛いと思ってしまった…)
翌日。食堂。
八幡「………」
三浦「~~~♪」ギュッ
相模「………」ギューッ
八幡(どうしてこうなった……)
雪乃「あら、節操なし君じゃない」
八幡「もはや俺の文字全員リストラされてるじゃねーか」
結衣「ひ、ヒッキーおはよう……」テレテレ///
八幡「ここのビッチはなんで顔を赤らめてるんですか?」
結衣「ビッチ言うなし!」
雪乃「由比ヶ浜さんはあなたの変態行為を見てたのよ」
八幡「え、マジ……引くわー」
結衣「だ、だって! 気になる……というか…」モジモジ
三浦「結衣~、あんたも一緒にする?」
結衣「えっ、良いの!?」パァ///
八幡「……何言ってんだお前…」ドンビキ
結衣「ビッチ見るような目で見るなし!」バシッ
八幡「あいたっ!」
彩加「八幡!」
八幡「………彩加」
八幡(彩加が怒ってる……まぁ当然だよな…)
彩加「僕は八幡の味方だからね!」ギュッ
八幡「俺に毎日味噌汁を作ってくれ彩加」
彩加「えっ? 味噌汁?」キョトン
三浦「八幡~?」グイッ
八幡「耳を引っ張らないで千切れ、あ、千切れた? 後俺の腕を噛まないで痛い」
相模「………」ガジガジ
材木座「……なぜ我はモテないんだぁあああああ!」
葉山「………」
戸部「つーかなんであんな変態がモテてるっしょ?」
海老名「………」
八幡「ほら、ちゃんと謝るんだろ」
相模「……うん」
ゆっこ「南……」
相模「ゆっこ、遥……本当にごめん!!」
遥「………」
相模「あたし、三浦に嫉妬して二人に酷いことした……女1と女2にも…」ポロポロ
ゆっこ「………」
相模「でも、あたしは三浦じゃないし、三浦はあたしじゃない。三浦にはゆっこも遥もいない」
ゆっこ「南……」ギュッ
遥「バカ……」ギュッ
三浦「なんであーしを引き合いに……」ブツブツ
八幡「まぁ方法はいいじゃねーか。仲直りしたんだから」
三浦「あーしはあんたのやり方認めてないかんね」
八幡「なんだよ俺のやり方って」
三浦「ふん、分かってるくせに」
八幡「………」
その日、俺は色んな人間と話しながら、作戦を建てた。
俺があの人に勝てるとは思えない。
だけど、自惚れでもなんでもなく、あの人と戦えるのは俺だけだ。
雪ノ下雪乃でも、葉山隼人でもない。
雪ノ下陽乃と戦えるのは俺しかいない。
その日の夜。八幡の部屋。
雪乃「私を呼び出して、あなた何様のつもりかしら?」
八幡「………」
雪乃「もしかして、二人だけでは飽き足らず私まで……」
八幡「………」
雪乃「なんとか言いなさいよ。私はまだあの時の――」
八幡「少し黙れ」グイッ
雪乃「きゃっ!」ドサッ
八幡「………」
雪乃「あ、あなた本気で……」
八幡(早く来い……)
八幡「俺はずっとお前をどうにかしたいと思ってたんだ」スッ
雪乃「……っ!」ビクッ///
八幡(まだ触ってもねーよ。てか早く来いよ)
え、何この急展開は・・・(困惑)
雪乃「ど、どうしたの? 何故何もしないの?」ハァハァ///
八幡(なぜ出てこない? 違ったのか?)
雪乃「ほ、ほらどうしたの? あなたの方が力が強いんだから抵抗しても無駄だし私は泣く泣く受け入れるわよ」ハァハァ///
八幡「………」スッ
雪乃「……やった」ボソッ
モノクマ「こらこらこらー!」ピョイーンッ
八幡(きた!!)バッ
雪乃「や、優しくしなさいよね。それなら私も……って、え?」
モノクマ「不純異性交遊は禁止ーーー!」ウガーッ
八幡「………」
雪乃「………」シュン…
八幡「それならなぜ三浦は許した」
モノクマ「あっ……あのねぇ、三浦さんはビッチ臭いからいいじゃない!」ウヒャヒャヒャ
八幡「違うな」
モノクマ「ひゃひゃひゃ?」ピタッ
八幡「お前は妹の裸が世界に配信されるのを怖れたんだ!」
雪乃「えっ?」
モノクマ「………」
八幡「姿を現せ雪ノ下陽乃!!」ビシッ
雪乃「えっ、姉さん?」
モノクマ「………」
―――ピカッ!!!
とある施設。
八幡「……ん?」パチッ
雪乃「ここは……」
葉山「あれ……俺は…」
陽乃「いやーっ、皆お疲れちゃーん!」
八幡「………あ、思い出した」
そう、それは数時間前の出来事だった。
八幡「思考をデジタルの世界に?」
陽乃「そうなのよー。でも、被験者がいなくてさー。おねがい! 参加してくれるよね?」
八幡「……拒否権は」
陽乃「ない」ニコッ
八幡「………」
葉山「陽乃さん、今回は面白い実験に参加させてくださってありがとうございます」
陽乃「うーん、葉山君にとって面白いかどうか分かんないけどなー」
三浦「あーし早くやってみたいんだけどー」
戸部「うわっ、すげー設備っしょ!」
相模「で、何をするんですか?」
陽乃「大人数で遊べて、体力とかあまり関係しないゲームよ!」スッ
相模「ダンガンロンパ?」
陽乃「ふふっ、面白いゲームよ」ニコッ
八幡(面白いゲームじゃねーだろこれ……)
陽乃「うーん、二人ほど足りないわねー。一人はめぐりで良いとして、もう一人は……」
三浦「集合写真ならあるっしょ」
陽乃「あー、じゃあこの目立つ子でいっか」
葉山「川崎さんですね」
陽乃「あーもう今から入力めんどくさいから女子1女子2でいいや」
八幡(どう考えてもダメだろ……)
八幡「まさか記憶の改変もできるなんて……」
陽乃「え、そうなの?」ニコニコ
八幡「えっ……」
陽乃「まぁまぁ、興味深いデータも手に入ったし、今日はレストランを用意してるから皆で食べて頂戴」
一同「「はーい」」
レストラン
八幡(で、どうしてこうなるんだ?)
三浦「ヒキオ、ほら食え」グイグイ
八幡「………」
相模「これ美味しい、比企谷君も食べて」グイグイ
結衣「………」ムゥ…
雪乃「……不快ね」
八幡(ゲームの世界の事はゲームの世界の事って割り切れるようにしたって言ってたじゃないか!)
結衣「ていうか、二人とも良かったね!」
三浦「えっ?」
相模「何が?」
結衣「初エッチが世界に放映されなくて!」
八幡「ぶふっ」
雪乃「由比ヶ浜さんあなた……」
結衣「えっ? 何?」
三浦「そうか……あれはノーカウントになる…」ブツブツ
相模「嫁にいけない……」ブツブツ
八幡「あ、俺ちょっと用事が……」スッ
二人「待て」ガシッ
八幡「」
青春とは偶像であり虚像である。
通過中はまるでそれが絶対であるかのように思い、想う。
全ての人間が主役であり、自分を中心に世界が回っている。
だが、過ぎればそれが実体のない光のようなものだったと気付く。
じゃあ、人が人を好きになることもまた偶像であり虚像であるのだろうか。
「ヒキオ! ゴム買っていくよ!」
「今度はあたしが先だから!」
「………」
少なくとも、俺は偶像でも虚像でもないと、そう思う。
なぜなら、目の前のおっぱいは確かに掴めるものであり――実像だからだ。
「……デジタルの世界より硬いな」モミモミ
「………」
「………」
――パチンッ!
じんじんと痛む頬をさすりながら、俺は小さくつぶやいた。
だってそうじゃないか。
二人の処女を同時に奪わなければならない童貞がこの世に二人といる訳がない。
「やはり、俺の青春ラブコメは間違っている」
そう呟いたのだった。
完?
一応本編完結。
もしかしたら後日談か葉山がダンロンの世界に一人で行ったらかなんかするかも……。
おやすみなさい。
後日、カラオケボックス
戸部「それじゃあ改めまして!」
三浦「かんぱーい!!」
一同「「かんぱーい!!」」コンッ
八幡(俺達は、改めてこの前のゲームの打ち上げをしていた。打ち上げって何? ロケット?)
葉山「なんだかんだで良い思い出になったね」
海老名「うんうん! 具体的にはハヤ×ハチが盛り上がった!」
雪乃「必死だったとはいえ、まさかあの引っ込み思案君が葉山君に黙れって言ったものね」
八幡「それで俺って分かるのって逆にすげーなおい……」
葉山「……あはは、俺は情けないところばっかりだったな」
三浦「なんでだろうね。いつもならズバッと解決しそうなのに」
八幡(まぁ、その理由は俺にしかわからねーだろうな)
結衣「あ、ヒッキーが説明してくれるみたい」
八幡「ぶふっ、お、お前いつからエスパー属性身につけたんだよ!」ゴホゴホッ
葉山「それはとても興味深いな……」
八幡(お前、目が笑ってないんだけど……)ハァ
八幡「ったく……怒んなよ」
葉山「やだなぁ、俺が怒る訳ないじゃないか」ニコニコ
八幡(だから目が笑ってないっつーの……)
八幡「いいか、お前がいつもやってるのは三方一両損の進化系だ」
結衣「さんぽー?」
雪乃「三方一両損って言うのはね。二人が三両を取り合っているところにお上が一両出して、二人は二両づつで一両損、お上は一両出して一両損、三人とも同じ分だけ損したんだから納得しましょうねっていう落語よ」
葉山「どういうことかな……」
八幡「お前はな、何かもめごとを解決したい時、両者が損しない解決の道を提案する」
戸部「そりゃ隼人君は優しいからっしょ!」
八幡「違うな。ただ、“怖い”だけだ」
葉山「……っ」ドキッ
八幡「まぁその怖いというものが“どちらかが傷つくのを見る”のが怖いのか、“どちらかが傷付けるのを見る”のが怖いのか、それとも“昔になんらかのトラウマがあって思い出す”のが怖いのかまではわかんねーけど」
葉山「………」
八幡「いずれにせよ葉山は全員が納得できる道こそが正解だと信じて疑わない。まぁ実際綺麗な世界っていうのはそれで良いんだろうけど」
雪乃「けど?」
八幡「なぜ折り合いをつけなきゃいけないんだ? 法律で決まってるのか? それとも全員が幸せにならなきゃ死ぬ呪いでも受けてるのか?」
葉山「反論するけど、俺達は学生だ。誰かを蹴落としてまで幸せを得るのは間違っている」
八幡「はぁ~~~~、うっぜぇ~~~」
葉山「ぐっ……」
八幡「それが進化系だって言うんだよ。お前はそうやって全員の幸せを望んでいる一方で、
自分の立ち位置をちゃんと把握している」
結衣「立ち位置?」
八幡「ああ、成績優秀、眉目秀麗、才色兼備。ミスター完璧男。そんなにすごい男が周囲からの評価を把握してないと思うか?」
三浦「実際隼人はすげーんだからしゃーないっしょ」
八幡「なら、なぜ良い人ぶる?」
葉山「良い人ぶったことなど一度も――「それは横暴だわ葉山君」
葉山「雪ノ下さん……」
雪乃「あなたは自分以外の人間関係でトラブルが起きた時、心の中ではこう思っていたはずだわ。
理解できない。なぜこんなことで喧嘩するんだ、って」
葉山「それは……」
八幡「そりゃあそうだろう。葉山隼人は光の住人だ。闇を抱えたクズの喧嘩なんて理解できない」
葉山「俺は「できないんだよ」ギロッ
三浦「………っ///」ゾクッ
三浦(八幡が隼人を抑えつける所を見て興奮するなんてあーしも変態なのかな……)ドキドキ///
海老名(間違ってない。間違ってないよ優美子!)ハァハァ///
八幡「まぁそう言う訳で、良い人葉山隼人は大岡越前のように華麗に事件を解決しては称賛を浴びる。上っ面では自分はただ解決したかっただけだと謙遜しながらも、
その心は周囲の評価をちゃーんと吸収しているんだ」
葉山「………」
結衣「そ、それと今回のゲームと何の関係が?」アセアセ
八幡「そりゃあるだろ。例えば、さっきの三方一両損だが、もし奪い合っている二人が今日中に三両を借金取りに納めなければ殺されるとしたら?」
結衣「あ……」
八幡「いつだって通用する話じゃねーんだよ。だが葉山隼人は自分のやり方が正しいと思い込んで説き伏せに行った。その結果が、“無能”だ」
葉山「………」プルプル
八幡「だが、間違ってはいけないのが、本来ならあの状況が異常だったんだ。葉山が間違っていた訳じゃない。火と水が共存できないように、葉山とあの状況が相いれなかっただけの話だ」
雪乃「つまり、あのドブのような環境に適応できた比企谷君はドブ属性の持ち主なのね」
八幡「お前、まだ怒ってんのかよ」
雪乃「あの言葉には怒っていないわ」
八幡「じゃあなんだよ」
雪乃「……ど、どうでもいいじゃない…」プイッ
八幡「………?」
三浦(そうやって素直じゃねーから欲しいもん手に入らねーんだよ)
一同「………」
八幡(うわ……打ち上げがお通夜みたいになってる……って俺のせいか…)
葉山「……よし、俺もう一度あのゲームに挑戦してくるよ」
一同「!?」
八幡「お前、人の話聞いてなかったのかよ」
葉山「ああ、聞いたよ。説得力のある話だった」
八幡「なら――」
葉山「正しいから間違ってないとは限らない……だろ?」
八幡「………勝手にしろ」
三浦「あーしも八幡と恋愛ゲームの中に入ろうかな」ボソッ
八幡「は?」
三浦「な、なんでもない///」
海老名「BL!? BLに入るの!?」ハァハァ///
三浦「黙れし……」
数日後。。。
陽乃「それじゃあ、葉山君をダンガンロンパの世界に入れるけど、本当に良いの?」
葉山「はい、お願いします」
陽乃(悪いけど君じゃあ何もできずに終わっちゃうと思うけどなぁ……)
葉山「………」
陽乃「まぁ、いつでも“ゲームオーバー”と言えば戻れるからね」
葉山「はい」
陽乃「それじゃあ、頑張ってねぇ♪」
葉山「………!!」
―――シュゥゥゥゥンッ
第二章 そして彼は三度絶望する
昼風呂しながら葉山と入れ替えるキャラ決めてきますー!
どう足掻いても葉山下げになっちゃうので葉山ファンはこの先を読まないことをお勧めします。
では、少し離れます。
電脳世界への道
陽乃『再確認するんだけど、あなたは“自分の考えが正しいこと”を証明しに行くんだよね?』
葉山「はい。人は分かりあえる。それを比企谷君に教えてあげたいんです」
陽乃『……そう、ならもう止めないわ』
葉山「はい」
陽乃『ゲームオーバーで戻ってこれるからね』
葉山「はい!」
・
・
・
葉山「……ここは…?」
朝日奈「あ、気がついたよ皆ー」オーイ
一同「………」ワラワラ
葉山「あ、えっと……俺は…」
葉山(記憶がある……)
陽乃『記憶を消しちゃ君のしたいことはできないと思ったから今回は全部残しておいたよー』
葉山(ありがとうございます)
陽乃『じゃあ、もう私は話しかけないからねー』
朝日奈「大丈夫!?」
葉山「う、うん、大丈夫だ」
朝日奈「葉隠大丈夫だってー!」
葉山「? 今なんて?」
朝日奈「え、だから――」
朝日奈「大丈夫なんでしょ? 葉隠」
男子トイレ
葉山「……な、なんだこれは…」
葉山(コントとしか思えない爆発ドレッドヘアーに汚い学生服。なんで学生なのに腹巻を巻いてるんだ!?)
陽乃『ああ、伝え忘れてた』
葉山(ど、どういうことですか!?)
陽乃『だって君は“やり方の証明”にきたんでしょ? だったら誰が、どんな時でも通用しなくちゃね」ニコニコ
葉山「」
陽乃『ふふっ、せいぜい足掻いてみてね』
葉山「」
苗木「あ、葉隠君! こんな所にいたんだ!!」
葉山「ど、どうしたんだい?」
苗木「た、大変なんだ!」
大神「我を侮辱するのか」ゴゴゴゴ
大和田「あぁ? 喧嘩売ってきたのはてめーだろうが!」
朝日奈「ちょ、ふ、二人ともやめてよ!」
大神「離れていろ朝日奈」
大和田「そうだ。女は引っ込んでろ!」
朝日奈「さくらちゃんも女の子だよ!」
苗木「ふ、二人が喧嘩してるんだ!」
葉山(で、でかい!?)
朝日奈「あ、苗木ー、さくらちゃんを止めてよー!」
苗木「う、うん……」
葉山「えぇ!?」ビクッ
葉山(君じゃどう考えても無理だろ!?)
苗木「え、な、何?」
葉山「……俺が止めるよ…」
朝日奈「え、絶対無理でしょ」
葉山「………まぁ見ててよ」ニコッ
朝日奈「えっ……」ドキッ///
朝日奈(いつもの葉隠じゃない?)
葉山「」ボロボロ
朝日奈「葉隠のくせに無理するから」シラー
葉山(くっ、聞く前に手が出るなんて理性はないのか!?)
苗木「やっぱり僕が止めるよ」スクッ
葉山「……君じゃ……む…」
朝日奈「苗木なら大丈夫だね!」
葉山「……え…」
苗木「ふ、二人とも落ち着いてよ!」ダッ
・
・
・
大神「………」
大和田「………」
苗木「なんとかなった」フーッ
朝日奈「さすが苗木!」
葉山「………」
やっぱり葉山君は僕が一人称だっけ?
なんか俺は違和感あるので心の中の一人称は僕に変えます。
その後も、僕は事あるごとに馬鹿にされた。
「葉隠は黙ってろ」
「だから葉隠は」
「もー、葉隠のくせに」
正直、人は外見でここまで対応が変わるなんて思ってもみなかった。
僕がクラスメイト達に慕われてるのも、僕の考えに賛同してくれての事だと思っていたし、少しばかりモテるのも中身を見てくれてると思っていた。
だけど、人は人を外見でしか判断しない。
そのことに気付いた時、僕は絶望の淵であることに気付いた。
(なぜ苗木君は慕われているんだ?)
確かに苗木誠は良い奴だ。少し優柔不断なところはあるけれど芯は強いと分かる。
けど、見た目はお世辞にもカッコイイとは言えない。背も低い。
なぜ苗木君は……。
僕は悩みを抱えたまま、数日の間、葉隠という人間を演じていた。
そして、事件は起きる。
苗木「うわぁああああ! 舞園さぁあああああん!!」
舞園「」グッタリ
朝日奈「きゃぁああああ!」
大神「……くっ…」
十神「………」
葉山「……舞園さんが…なぜ…」
超高校級のアイドル舞園さやかが殺された。
困惑している僕達をよそに、モノクマは高らかに笑いながら現れる。
モノクマ「うぷぷぷぷ! それじゃあ、捜査時間といってみようかー?」
そして、モノクマに言われるがまま、捜査は始まった。
苗木「………」
葉山「苗木君、君と舞園さんは同じ中学だったんだよね。だったらもう少し落ち着くまで休んだ方が……」
苗木「ありがとう。でも、大丈夫。僕は、自分にできることをやるから」
葉山「………っ」
その迷いのない真っすぐな瞳、どこかで見たことがある。どこだっけ……。
八幡『………』
そうだ、比企谷君が何かを決心した時の目だ。
方法は誉められたものではないけど、解決に導く何かを思いついた時の目……。
葉山(どうすればそれを手に入れられるんだ……)
学級裁判
苗木「それは違うよ!」BREAK!
苗木「そうか! 分かったぞ!」
苗木「それに同意だ!!」
葉山「……すごい」
葉山(あれだけのことがあったのに、次々と解決に導いている。しかも、比企谷君のように自分を犠牲にすることもなく…)
苗木「……犯人は…」
葉山「!?」
葉山(見たことある……その苦しみに満ちた目…)
苗木「君だよ、桑田君」
桑田「あぽ?」
苗木「……っ」クッ
葉山(なぜそんな……)
現実世界
葉山「……なぜ起こしたんです?」
陽乃「…無駄だからよ」
葉山「僕は!!」
陽乃「お姉さんは自意識過剰なクソガキは嫌いよ」ニコッ
葉山「……っ」
陽乃「あなたは葉山隼人という勇者の剣を振りまわしてるだけの横暴な勇者。泥水啜って地べた這いつくばって生きてきた彼とは住む世界が違いすぎる」
葉山「なら僕はどうやったら彼に!!」
陽乃「どうして勝つ必要があるの?」
葉山「そ、それは……」
陽乃「ふーん、葉山隼人にも手に入らないものがあるのねぇ」ニヤニヤ
葉山「……か、からかわないでください…」カァ///
陽乃「まぁ、いずれにせよあなたはこのゲームをやるレベルに達してないわ」
葉山「……はい」
陽乃「……全く、雪乃ちゃんも大変だねぇ…」
ファミレス
八幡「リア充に呼び出されると怖いんですけど」
葉山「………はは」
八幡(相当凹んでるな……)
葉山「比企谷君。率直に言おう」
八幡「お、お金ならないぞ」
葉山「君に奉仕部として、恋愛活動をサポートして欲しい」
八幡「……は?」
こうして、八幡サポートの下で葉山隼人の恋愛が成就したかどうかはまた別のお話。
三浦「今週まだ一回しかエッチしてねーんだけど」
八幡「先週は五回もしただろ」
三浦「うっさい、小町ちゃんにも会わせろし」
八幡「い・や・だ」
八幡(俺の小町をお前色に染められたら生きていけねーんだよ!)
相模「……あたしは…?」ポツン
八幡「俺達の青春はこれからだぜ!」
だからこれあーしと八幡のssだし。
ってことでお疲れさまでした。
後日八幡の部屋
三浦「あ、ヒキオパズル来たよパズル!」グイグイ
八幡「だから閃きアナグラムだっつーの。しかもこれめちゃくちゃ簡単じゃねーか」ポチポチポチ
三浦「おーーっ」キラキラキラ///
八幡(ぐっ、そんな羨望の眼差しでこっちを見るな。こんな簡単なので自慢してるみたいで恥ずかしくなるじゃねーか……///)
三浦「ねぇヒキオ」
八幡「あ?」
三浦「ヒキオはダンロンでどのキャラがす――「超高校級のギャル」
三浦「ほ、ほんとっ///」キラキラ
八幡「あーはいはい、あのギャルっぽいとことかいいよねー(棒)」
八幡(何度同じ質問するんだ! パブロフの犬じゃなくても脊髄反射するわ!)
三浦「そっかぁ……///」キラキラ
八幡「お前……なんでそんな可愛いの?」
三浦「かっ、わっ!?」ボンッ///
八幡「……ぐっ…」///
八幡(そういう意味じゃないのに犬みたいに喜びやがって……)
三浦「ねぇねぇ! あーし可愛い!? ねぇねぇ!」グイグイ
八幡「あーはいはい! みう「ごみぃちゃん入るよー」
らは可愛いよね!!」
三浦「……///」テレテレ
小町「えっ、お兄ちゃんいつのまにそんなポイントインフレしてたの……」
八幡「」
小町「あ、あははー、そっかそっか、もう小町の入る隙間はないんだねぇ~」ウルウル
八幡「そんなこ「んなことねーよ、おいで小町」
小町「ゆ、優美子お姉さま~」ギューッ///
三浦「小町ちゃんは可愛いねぇ」ナデナデ
小町「そんなそんな~♪ お姉さまほどじゃありませんよぅ///」フリフリ
八幡(前言撤回、犬みたいという言葉は小町によく似合う……)
三浦「ほら、ヒキオもおいで」
八幡「ぐっ……い…や……だ」ポフッ
三浦「言葉と行動があってないよ?」ナデナデ
八幡「アリジゴクに引っかかっただけだ…」///
三浦「はいはい、そうだね」ナデナデ
小町「はう~♪」スリスリ
八幡「………///」サワリ
三浦「えっ、実の妹の前で彼女の胸揉むの? まじキモい」ドンビキ
八幡「……ちょっと三途の河原渡ってくる…」フラフラ
三浦「あーーっ、冗談冗談だって!」アセアセ
小町「んー、小町的には全然大丈夫ですよ♪ むしろ小町も混ぜてくれたらなぁ~なんて今の小町的にポイント高い!」
三浦「いや、さほど高くないっしょ……」
小町「お姉さまの厳しさ小町は大好きです~」スリスリ
三浦「はいはい」
小町の引力に引き込まれてしまう!!
三浦「小町はどのキャラが好き?」
小町「小町は断然苗木君です!!」
三浦「あー、分かるわ~。苗木いいよねー。可愛いし優しいし卑屈じゃないし……」ニヤニヤ
八幡「それは誰を批判してるんですかねぇ」ムカッ
八幡(あんな運だけで生きてきた希望厨の方が良いのかよ)ムスッ
三浦「ふふっ、即答で“僕は霧切響子ちゃん!”って答えられた女の気持ちが分かったか」
八幡「……すいません反省しています」
三浦「雪ノ下に似てるところが余計むかついたんだよ」
八幡「……わりぃ」
小町「うわー、今の小町的にポイント低いわー…」
三浦「キスしろ」
八幡「ふぇ!?」
三浦「したかったんだろ?」
八幡「ぐっ……」
三浦「したかったん「やらせていただきます!!」
小町「うぉー……身内のエロ事情思った以上に生々しい……」
三浦「それじゃあ、あーし帰るわ」
八幡「おう」
三浦「ヒキオ」
八幡「………」
三浦「またね」ニコッ
八幡「ああ、またな」ニコッ
小町(お兄ちゃんが笑って別れの挨拶してる~~~)ウルウル///
八幡「………」
小町「いやー、お姉さま良いよねぇ優しいし良い匂いするしエロいし」ハァハァ///
八幡「その言動お兄ちゃん的にポイントひく―ー」
――ぴんぽーん。
小町「」
相模「八幡なんで連絡くれないのよ!」
八幡「う、い、いや……」
小町(二股……だと?)
ゆっこ「えへへー来ちゃった」
小町「」
遥「お、おじゃましまーす」
小町「」
八幡「……絶対家ではやらねーぞ」
三人「「はーい」」
小町(えっ、何をやらないの? ゲーム? ゲームだよね!?)
小町「絶対お兄ちゃんの恋愛事情は間違っている」
じゃあ、本編終わったから安価で
誰とするか
安価↓1
何をするか
安価↓1
八幡「………」
八幡(結論から述べる)
八幡「ここはどこだ?」
八幡(よし、今こそぼっちのみに培われる鋭い洞察力と考察力で、自分の置かれている状況を推測してやる……)
・
・
・
八幡「うわぁああ! 小町ぃいいい! たすけてぇええ」ガンガンガン
八幡(なんだよこの窓!? 鉄板打ちつけて巨人でも襲ってくんの!? 進撃!? シガンシナ区!?)ガンガンガン
・
・
・
八幡「……落ち着いた」
八幡(どうやらどっかの学校みたいだな。ま、校門に行けば分かるだろ)スタスタスタ
八幡(俺は“超高校級の自己犠牲”としてこの希望ヶ峰学園に入学した。それで……そうだ。校門に入った瞬間に景色がグニャリと曲がったんだ。アスベストのせいか?)
八幡「あ、人がいた」
十神「ふん、まだ人がいたんだな」
葉隠「死んだ魚のような目をしてるべ!」
結衣「君も気が付いたらここに?」グイッ
八幡(うっ、なんだよこの女、いきなり腕に絡みついてビッチかよ)
結衣「私は“超高校級のビッチ”由比ヶ浜結衣だよ」ニコッ
八幡「」
結衣「び、ビッチって言っても身体の関係は結んだことないんだから……って何言わせるのよ!」バシッ
八幡「し、しらねーよ……」
モノクマ「うぷぷぷぷ! 皆集まったようだね!」
一同「!?」
目の前に出て来たパンダは悪意に満ちた笑顔でコロシアイ学園生活について説明を始めた。それは俺達を絶望に追い込むのに十分な内容だった。
八幡「そんな……」ボーゼン
舞園「だ、大丈夫ですか?」
八幡「!?」
八幡(あ、アイドルの舞園サヤカ!? なな、なんでこんな所に!?)
舞園「あ、えへへ、気づいちゃいました?」
結衣「そりゃ誰だって気付くよー。あのスーパーアイドル舞園サヤカちゃんがここにいるんだからね!」
八幡「あ、ああ……」
舞園「ふふっ、今はクラスメイトみたいなものなので特別扱いはしないでくださいね」ニコッ
八幡「………」コクリ///
結衣「あーっ、照れてるー!」ギュッ
八幡「ビッチは離れろ」
結衣「ビッチ言うなし!」バシッ
雪ノ下「………」
登場人物(変更)
苗木→八幡(超高校級の自己犠牲)
朝日奈→由比ヶ浜(超高校級のビッチ)
霧切→雪ノ下(超高校級の嫉妬の対象)
日常編
八幡「さぁて、外に脱出するために施設でも調べてみますかね。それとも飯にしようか…」
誰と一緒に過ごしますか?
○一人で過ごす
一人で過ごす
一人で過ごす
八幡「いやーぼっち耐性ある奴はこういう時楽だわー」
八幡は一人で楽しく過ごした!
翌日
八幡「なんだよこれ……」
【家族の安否は卒業の後で!】
八幡(小町……)
・
・
・
八幡の部屋
八幡(くそ、あんなのを見せつけて俺たちに殺し合いを煽ってるのか?)
――ぴんぽーん。
八幡「……あいつらもあの映像みたんならこれは罠の可能性があるな。無視しよう」
――ぴんぽーんぴんぽーんぴんぽーん!
八幡「………」ガチャ
舞園「……比企谷君」
八幡「舞園?」
舞園「今日の夜、私の部屋と交換してくれませんか?」
八幡「何でだよ」
舞園「その……最近誰かが私を見てるような気がするんです」
八幡「あー、まぁアイドルだしなぁ」
舞園「それで、一日だけでいいんです。安心して眠りたいんです……」
八幡「………」
ここで、俺は考える。
ひとつ、なぜ俺を頼った。
部屋の交換ならビチヶ浜とでも大丈夫だし、なんなら一緒に過ごせば良い。
ひとつ、俺が犯人だと疑わなかったのか。
俺みたいなイケメンはそんなことしないという気持ちは分かるが、俺の人生経験からいってまず間違いなく疑われるのは俺だ。
結論。
八幡「あー、わりぃ、俺そういうの興味ないんで」スッ
舞園「ちょ、ほ、訪問販売みたいな対応しないで!!」グイグイ
八幡「……察してくれよー」
舞園「あなたしか頼れる人がいないんです……」チラッ
八幡(あーあー、こいつもビッチアイドルだったか……)
舞園の部屋
八幡「結局押し切られてしまった……」ポフッ
八幡(え、何これ、俺の部屋と同じ素材の布団と枕なのに良い匂いがする)クンクンスーハースーハー
八幡「………」
八幡「ねむ……い…」スースー
・
・
・
翌日
八幡「はー、今日も良い一日が始まりそうだ」
八幡(しかし、自分の部屋でもないしどうすれば……)
八幡「とりあえず食堂でも行くか」ヤレヤレ
食堂
八幡「………」
結衣「ねぇねぇヒッキー」
八幡「誰がヒッキーじゃ」
結衣「よく見ると可愛い子が多いよねー。誰が好みなの!?」
八幡「………」
八幡(超高校級の厨二の名前セレスティアルーデンベルク)
セレス「………」
八幡(ゴスロリなんてヤンデレ属性持ちの可能性高くて遠慮しよう)
八幡(江ノ島盾子……超高校級の長い舌の持ち主)
盾子「………」
八幡(別に普通の舌じゃね? 却下)
八幡(超高校級の嫉妬の対象雪ノ下雪乃)
雪ノ下「………」
八幡(見た目の綺麗さだけでなく、作法や振る舞いも完璧なお嬢様。……俺とは住む世界が違いすぎる却下)
結衣「ねぇねぇ誰なの誰なの?」
八幡「……まぁ、(ビッチって時点で最悪だけどこの中では)お前かな」
結衣「えっ///」モジモジ
八幡(誉めてねーし……)
本当にこのssは相模を殴るとこまでのssだったので、多少の矛盾は許してくだちぃ。
続き?
結衣「それにしてもまいそのん遅いよねー」
八幡(語呂悪すぎだろ……ん?)
八幡「え…遅い?」
八幡(普通他人の部屋に泊って昼過ぎまで寝てることあるのか?)
結衣「ねぇ、ヒッキーは知らない?」
八幡「……ちょっと行ってくる」タッ
結衣「わ、私も行く!」タッ
八幡の部屋(ネームプレートは舞園)
結衣「え、舞園さんの部屋勝手に入るの!?」
八幡「んな訳あるか、チャイム押すわ」ピンポーン
二人「………」
八幡「出ないな」
結衣「うん……」
桑田「お、おいっ、おめーら舞園ちゃんの部屋の前で何やってんだよ!」
八幡「? 起こしに来ただけだが?」
桑田「お、おう、そうか」
結衣「あれ? 開いてる」グイッ
八幡「おまっ、人の部屋勝手に入るなって親に――「なんか変だよ!」
八幡「えっ?」
結衣「なんか……変じゃない?」
八幡「そりゃコロシアイ学園生活で鍵を開けたまま寝る奴なんていねーと思うけど……」
桑田「血の臭い……?」
結衣「まいそのん!」ダッ
八幡「お、おい!!」ダッ
桑田「………」ダッ
まいそのん「」グッタリ
結衣「いやぁあああああ!!」
八幡「まじかよ……」ゴクリ
桑田「し、死んでるじゃねぇか……」
――ぴんぽんぱんぽーん!
モノクマ「死体が発見されましたー」
こうして、俺達はクロを見つけるために捜査をすることとなった。
八幡「凶器はナイフか……」
八幡(ん……あの手の所に書かれた血文字は…11037?)
大人達はゲームを悪いものだと否定する。
けど、俺ほどのゲーマーになるとこういう時もゲームで培われた技術と思考で事件を解決に導けるはず。
八幡「犯人は桑田、お前だ!」ビシッ
モノクマ「ちょっ」
桑田「あぽ?」
雪乃「あなた……」ハァ…
学級裁判
モノクマ「比企谷君が暴走したので強制的に始めます」
桑田「こら腐った目の奴! 俺を犯人扱いしやがってぇええ!」
八幡「へっ、お前が犯人以外ねーんだよ」
桑田「あほあほあほあほあほあほ!」
八幡「あーはいはい、犯人の戯言なんて聞く気はありませーん」
桑田「ぐっ、なら証拠を見せろ証拠!」
八幡「ああ、いいぜ」
八幡「11037、逆から読めばレオンだ」
桑田「あぽぉ?」
モノクマ(その空気の読めなさが比企谷くんだよねー)
八幡(けっ、ゲームならいざ知れず自分の命がかかってるのに空気なんて読めるか……)
雪乃「でも、どうしてそれだけで犯人だと分かるのかしら?」
一同「えっ?」ザワッ
雪乃「だって11037はそのまま11037かもしれないじゃない。例えばそこの腐った目をしてる彼が女の子に振られた記念日が1月10日の37回目の出来事かもしれないじゃない」
八幡「な、なぜそれを!」
結衣「37回も振られたんだ……」
桑田「な、なら犯人はおめーじゃねぇか!」
八幡「ぐっ、し、しかし」
雪乃「さらに言えば、本来はあそこの部屋はあなたの部屋のはずよ」
八幡「なぜそれを……」
雪乃「私の記憶力をなめないでほしいのだけれど」ファサッ
八幡「」
そして、雪ノ下雪乃にどんどん言いくるめられた俺は、
VOTE
八八八
幡幡幡
ワーワー!
モノクマ「はい、不正解! 正解は桑田君でしたー!」
雪乃「なん……ですって…」キョウガク
八幡「だからそう言っただろ!」
桑田「おっしゃあああ! 卒業だぁああ!」
モノクマ「間違えた君達はオシオキだね」ウププ
ヒキタニクン ゲームオーバー
現実世界
陽乃「ぷっ、チャプター1でゲームオーバー」プププ
八幡「……なんでいきなりラスボス戦なんですかねぇ」
雪乃「あら、あなたが犯人顔なのが悪いんじゃないかしら?」
八幡「両親に謝れ!」
雪乃「あなたが両親に謝った方が良いのじゃないかしら」
八幡「こんな腐った目に育ってごめんなさいってバカ」
結衣「あはは、で、でも11037に気付いたのはさすがヒッキーだよね」
八幡「ああ、ダンロンは一度クリアしてるからな」
雪乃「流れを知っててチャプター1でゲームオーバーだったなんて……」ドンビキ
八幡「本来なら雪ノ下のポジションは味方だったんだよ……」
雪乃「あら、あなたはやっぱり他人の力がなきゃ立つこともできないのかしら」
八幡「……うぅ…もう何も言いません」グスッ
八幡の部屋
八幡「みうらえもーん! ゆきのんがいじめるんだぁ!」ギュッ
三浦「ちょっ、誰がみうらえもんだっ」ナデナデ
八幡「みうらえもん良い匂い。具体的には胸の辺り」スリスリ
三浦「へ、変態八幡!」グイグイ
八幡「みうらえもーん、そこのおっぱい四次元から便利な道具だしてー」グググッ
三浦「ヒキオキャラ崩壊しすぎっしょ!」
八幡「……それもそうだな」パッ
三浦「あ……」シュン…
八幡「どうした?」
三浦「何でもない!」
陽乃「えっ、登場キャラ全員八幡にしてほしい?」
彩加「は、はいっ///」
陽乃「………」
陽乃「えっ、登場キャラ全員八幡と葉山にして欲しい?」
海老名「はいぃいいい! ぜひぃいいい!」ブッシャァ
陽乃「………」
陽乃「登場人物を全員厨二病に?」ゲンナリ
材木座「はーーはっはっは! 我――」
陽乃「やはりこのゲームの使い方は間違っている」
終わり。
結論:戸塚彩加は可愛い
呼んでくれた方、お疲れさまでした。
このSSまとめへのコメント
本編以外少し アレ だったが面白かった