男「男の娘とクリスマス」 (22)
地の文入ります
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クリスマスというものはどうも好きになれない。
いや、というよりもクリスマスの雰囲気が苦手なのだ。
どこがどう苦手かと言ったら、それはわからない。
「…だから、好きか嫌いかは、正確にはわかんないんだよなぁ…」
いや、間違いなく嫌いなんだろうけど。
どこがどう嫌いか、はっきりしないと、クリスマスがどの様に嫌いかわからない。
「だったら、詳しく考えてみたら?そうすれば、わかるかもしれないし、どの様にクリスマスがいやなのかが」
少し高めの声で、目の前にいるそいつは言った。
俺の友人である。
大きな目をぱちくりとさせ、少し長い髪をうっとおしそうに触りながら、女にしか見えないそいつは言葉を続けた。
「確かに、僕も、クリスマスの雰囲気は苦手だよ。なんだか、居心地が悪くなる」
「は…?お前が言うな。居心地が悪くなるわけないだろ、お前はモテるし」
そう、こいつはモテるのだ。それも、かなり。
その、可愛らしい、女みたいな見た目で警戒をとく。男なのに可愛いらしい見た目で、だ。
そして、少し頼りになる所や、優しい所を見せて、惚れさせる。
なんで、そんなモテんだよ。むかつく。モテるやつは帰れ」
すると、そいつは呆れ果てたような顔をしながら言った。
「いや、僕自身はそんなつもりはないんだけど…。これ何回説明すればわかるの」
わかるわけがない。理屈ではないのだから。
そう、理屈ではない。なんかむかつくのは、説明されても、なんかむかつくのだ。
これは感情だ。
ふつふつと湧き上がる嫉妬だ。
だから、俺はこう言う。
わからん。いくら説明されても、心が、魂が、理解することを拒否している。
いいか、理屈も大事だけど、魂が一番大切なんだよ」
「そんな、ラッパーみたいなこと、いわないでよ…」
呆れた感じの顔してんじゃねーよ。
なんか変なこと言っちゃったみたいになってんじゃん。いや、実際言ったんだろうけどさ。
「とにかく帰れ。勝手に女どもとイチャついてろ。そのままベッドインしちまえ。いややっぱすんな。フられてこい」
振られて、泣いて帰れ。モテたのは幻想だと、枕を濡らせ。
そんなことを、考えてると、恥ずかしそうに、こいつは言った。
「…ベッドインとか、恥ずかしい事言わないでよ…」
頬をそめるな、可愛いだろ。女みたいだろ。
惚れはしないけど。男だし。
つーか、なんで照れてんの?女みたいに照れやがって。
たぶん、女どもとイチャコラして、ぐへへとかなってるくせに…!
性欲にまけて、おっぱいの一つや二つは、もんでるだろ。こいつ。
「羨ましいなコンチクショウ!」
思わず、声を荒げた。だって、羨ましかったんだもん。
すると、暫く、ベッドインとかなんとかぶつぶついっていたそいつは、ビクッと体を震わせて、こっちを見た。
ようやくトリップからかえってきたか。
「ひわぁ!何?ごめん、もう一回言って?」
トリップ状態だったからか、俺の魂の叫びはこいつには届かなかったらしい。
「いや、だから、羨ましいなと。そして、モテるのにクリスマス苦手とか言い出したからムカついた」
「もうそれ、ついさっき言ったことの結論出したようなもんじゃん」
「は?意味わからん。まず結論って何の結論だよ」
おい、溜息つくな。なんか俺がバカみたいじゃねえか。
「結論は、勿論ついさっきの、クリスマスのどの様な所が嫌いか…と、いうことについてだよ」
「それは結論でてねえじゃねえか」
意味わかんねぇ、と首をかしげる俺をよそに、こいつは結論が出てるのは当然と言わんばかりの表情で、こう言った。
「でてるんだよ。だって、君は言ったじゃん。羨ましいって。君は、クリスマスの男女がイチャついている、ムードがきらいなんだ」
俺は自分の名誉のために、けしてそんな事はないと、否定したかったが、よく考えると、そうだった。というか、それしかなかった。
ついでに名誉を守ろうとしてたが、ついさっき、普通に嫉妬してたから、手遅れだった。
「いや…、そうかもしれんな」
「いやまあ、僕も、その気持ちはわかるよ。いくら僕がモテるとしても、本当に好きな人と一緒に過ごさないと、意味がないから。
僕は、クリスマスに好きな人と一緒にいる人を見ると、心底羨ましくなるよ」
「いや、よりどりみどりだから、タイプの女くらい、お前に惚れてる女のなかにいるだろ」
「いや、タイプの人ではなくて、好きな人だよ。僕も好きな人…い、いるし」
「意外だな」
てっきり、好きな人いないけど適当に女はべらせてると思ってた。
いや、こいつがそういう奴じゃないのはわかるんだが、こいつが下衆って設定じゃないと、モテ男に対する嫉妬で死んでしまう。
「つまり、好きな女はまだ落とせてないって事か」
まあ、それもこいつの天然恋愛スキル(顔&性格)にかかれば時間の問題だろうがな。
羨ましいな、顔、俺とこいつで某パンヒーローみたいに入れ替えてくんねーかな。
新しい可愛い顔よ!かっこいい顔でもいい。むしろ、この体格にこいつの顔は怖すぎる。かっこいい顔に入れ替えてください、バ○子さん。
「……いや、まあ、女性では…なぃ…あぅぅ」
なんでいきなり小さな声になってんの、聞こえない。あと、顔赤らめながらチラチラこっち見んな。なんか可愛いだろうが。
「コホン…、と、とにかく、僕も、クリスマスのアベックは羨ましいと思うよ」
「アベックってなんか古いな。カップルでよくね?」
古いと言われた事に対する羞恥心か、どっちでもいいじゃないか!と言いそっぽを向いた。可愛いぞちくしょう。
「だからクリスマスにわざわざ俺の家来たのか。好きじゃない人と過ごすなら、友達と過ごした方がましってか」
「ううん…、そうじゃなくって…、あー、なんて言えばいいんだろう。
…まあ、いまはそれでいいよ」
今はね。とこいつは赤面しながら繰り返すのであった。
見返すと、文章力と量があっとうてきにたりないですね。
思いついてすぐかいて、見直さなかったので、推敲もくそもないですが、駄文につきあってくださりありがとうございました。
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