義妹「お邪魔、します、ね」兄「ああ……」(149)

義妹「……兄さん」

兄「ん……? どうした?」

義妹「あの……」

兄「うん」

義妹「眠れ、なくて」

兄「あー……?」

義妹「あの、その、いつも使ってる抱き枕を、今日洗っていて……」

兄「ああ、そうなんだ……」

義妹「それで、一緒に」

兄「一緒に?」

義妹「一緒に、寝てもらえませんか?」

兄「……えっ」

兄「ちょっと待って、ここで? 俺と一緒にってこと?」

義妹「はい……あの、嫌でしたら……すみません」

兄「嫌と言うか……なんで俺なんだ? そうだ、義母さんのとこには行った?」

義妹「行ったんですけど……」

兄「うん?」

義妹「あの……父さん、と……その」

兄「……あー」

義妹「……」

兄「……分かった。入っていいよ」

義妹「あ……ありがとうございます」

義妹「……お邪魔、します、ね」モゾモゾ

兄「ああ……狭いかもしれないけど」

義妹「いえ、そんなこと」ピタ

義妹「あ……すみません……少し、離れますね」

兄「ん、大丈夫だけど……驚いたな。抱き枕か……」

義妹「はい……情けないですが……あれが無いと、眠れなくて」

兄「俺は代役になれるのかな」

義妹「……兄さんなら、十分……」

兄「そうか」

義妹「……すー……はー……」

兄「……大丈夫?」

義妹「少し、緊張してます……」

兄「それは、見れば分かる」

義妹「あの……兄さん」

兄「うん」

義妹「やっぱり、近付いても良いでしょうか」

兄「……勿論」

兄(そんな顔されて断れる筈が無い)

義妹「……」ギュッ

兄「……」モゾ

義妹「あ、……嫌でした?」

兄「大丈夫。大丈夫だ」

義妹「……ありがとうございます」

兄「……」

義妹「……落ち着きます」

兄「それは、良かった」

義妹「……突然、こんなことお願いして……迷惑ではなかったですか?」

兄「驚いたけど、迷惑なんか」

義妹「……そう、ですか」ギュウ

兄「……」

義妹「……すぅ、すぅ」

兄「……寝たか」

兄(……親父が再婚して早数ヶ月)

兄(最初は内気な子だったけど……最近、やっと懐いてくれたな)

兄「……良かった良かった」ナデナデ

義妹「……ん……」

兄(明日起きられるかな)

――翌日、深夜

コンコン

兄「ん……はい?」モゾ

義妹「……こんばんは」ガチャ

兄「義妹か……どうした? それ、枕なんて持って……」

義妹「……失礼を、承知で……お願いがあります」

兄「とりあえず、部屋入って」

義妹「……はい」ガチャリ

兄「……流石に察しはつく」

義妹「……駄目でしょうか」

兄「理由が聞きたい」

義妹「……抱き枕は、洗い終わったんですけど」

兄「ああ、見た」

義妹「……眠れなくて」

兄「え?」

義妹「抱き枕があっても、何故か……目が醒めて……」

兄「……それで、俺のところに?」

義妹「……」コクリ

兄「義母さ……いや、昨日の今日じゃ、難しいか」

義妹「……変、ですよね、こんな……甘えん坊みたいで……」

兄「いや、義妹が甘えたがりなのは、知ってた」

義妹「あぅ……そうでしょうか?」

兄「そりゃな……中三で添い寝と言うのは」

義妹「そ、添い寝……」カァア

兄「変なこと言ったか?」

義妹「い、いえっ、でも、年は、関係無いです……」

兄「大いにある」

義妹「今はどうでもいいですよっ、それで、その……駄目、ですか?」

兄「そんなムキになるなよ……別にいいよ」

義妹「……ありがとうございます。すみません、何度も」

兄「まだ二回目じゃんか」

義妹「あ……そうでしたね」

兄「うん」

義妹「……あ、では……お邪魔、します」ペコリ

兄(可愛いなぁ)

モゾモゾ

義妹「……温かい」

兄「そりゃもう二時だ」

義妹「兄さんは、寝るのが早いですよね」

兄「そうか? たまに、十二時くらいに寝るけど」

義妹「それでも、早いですよ」

兄「習慣だからさ」

義妹「……高校生って、普通、午前一時か二時に寝るのが普通だと思ってました」

兄「そう言う奴もいるな、友だちに」

義妹「……兄さんは健康的です」

兄「褒め言葉として、受け取っとくよ」

兄「……学校は、どうだ? 慣れた?」

義妹「はい、みんな優しくしてくれて。友だちもできました」

兄「そっか。お前は結構、人見知りする方だから、心配だった」

義妹「……ありがとうございます」ギュ

兄「でも、添い寝してもらってることは言わないようにね」

義妹「い、言わないに決まってるじゃないですかっ……!」

兄「はは、ならいいんだ」ナデナデ

義妹「ん……」

義妹「あの……兄さん……」

兄「ん」ナデナデ

義妹「その……撫でてもらうのは……嬉しいんですが……」

兄「ああ、やりすぎた?」

義妹「いえ、その……こうして向かい合ってると……恥ずかしくて……」

兄「あー……」

義妹「……どうしたら、いいか」カァア

兄「ごめんごめん。無遠慮だった。仰向けになるよ」モゾ

義妹「あ……」

兄「これなら、緊張せずに寝られるだろ?」

義妹「……はい」

義妹「……すぅ、すぅ」

兄「……三時か」

兄「……寝付きは良いんだな」

兄「……学校も問題無さそうだし」

兄「……受験、頑張れよ」ナデナデ

義妹「……」ギュ

兄(……俺も勉強しておくかな……)

――翌日、深夜

トントン

兄「はい」

義妹「あれ……兄さん」ガチャ

兄「よう、今日もか」

義妹「あ、はい……まだ、起きてたんですね」

兄「うん。どうせ今日も来ると思ってたから、勉強してた」

義妹「……すみません」

兄「いいよ。一人で寝れるようになるまで、添い寝してやるから」

義妹「……ありがとうございます」

義妹「でも……珍しいですね。こんな時間まで」

兄「まだ十二時半だぞ? お前こそ、来るのが早かったじゃないか」

義妹「それは……毎日二時近くにお邪魔しに行くのは、悪いかなと……」

兄「ふうん? そう言うもんかね」

義妹「はい。そう言うものです」

兄「でもこの時間なら、まだ義母さんは寝てないと思うけど」

義妹「う……」

兄「義母さんと一緒の方が、安心して……」

義妹「そんなこと、無いです」

兄「え」

義妹「兄さんの方が、いい」ギュッ

兄「……」

義妹「……」カァア

兄「……そうか。なら、お前の気が済むまで付き合うよ」

義妹「……」コクコク

兄「別に布団に顔埋め無くていいから」

義妹「……恥ずかしいですし」

兄「何を今更……ふぁ、あ」

義妹「あ……」

兄「……悪い悪い。アクビが」

義妹「……寝不足、なんですか?」

兄「……かなぁ」

義妹「……ごめんなさい。私のせいです」

兄「いやいや、気にするなよ」

義妹「でも……うぅん……」

兄「……」

義妹「……これからは、もっと早く来ます」

兄「……一人で寝れるようになるのが最善だけどな」

義妹「あ。……えと、その」

兄「……まぁ、さっきも言ったけど、好きにしな」

兄「俺はお前を迷惑に思ってないから。いつでも添い寝しにきなさい」

義妹「に……兄さんっ」ガバ

兄「お、うわ、どうした」

義妹「……あっ。す、すみません! こんな! 抱きつくなんて、はしたない……」

兄「大丈夫……だけど……」

兄(添い寝は、はしたなくないのか?)

兄「……」

義妹「……」

兄(……気まずいな……義妹も離れちゃったし……)

兄「……そうだ」

義妹「はい……?」

兄「今度、勉強教えようか?」

義妹「え……唐突ですね」

兄「今年受験だろ? 一応、俺も経験した身だから……力になれると思う」

義妹「あ……さっき勉強してたのって」

兄「うん……まあ、ざっと。中三の数学を見直してた」

義妹「そうだったんですか……」

義妹「……明日」

兄「ん」

義妹「用事は、ありますか?」

兄「俺は無いよ」

義妹「じゃあ……明日。勉強教えてください」

兄「分かった」

義妹「……それと」

兄「うん」

義妹「……ぎゅっとして……いいですか?」

兄「……ああ」

実妹いるけど義理もいいな

義妹「……すぅ……すぅ」

兄「……三日目」

兄「……義母さんに報告するべきかな」

兄「……こいつは喜ばないか」

兄「だが……このままと言うのも」ナデナデ

義妹「……」

兄(……悪い気は、しないが)

――翌日、深夜

コンコン

兄「開いてるよ」

義妹「……こんばんは」ガチャ

兄「こんばんは。……じゃ、寝るか」

義妹「……はい」

兄「……変なやり取りだな」

義妹「……ですね」

モゾモゾ

義妹「……今日は、ありがとうございました」

兄「いやいや。予想以上に出来るもんだからびっくりしたよ」

義妹「そんなこと無いです……も、もしよかったら、また……」

兄「構わないけど、別に俺がいなくても出来るんじゃないか? 俺から話を持ちかけといて、なんだけどさ」

義妹「きょ、今日は、その……兄さんの前だから……やる気がでて……」

兄「……そうなの?」

義妹「はい、普段は……あんまりですから」

兄「そう言う風には見えないけどなぁ。予習復習は完璧っぽいし」

義妹「う……」

兄「……ま、可愛い妹のためだ。喜んで教えよう」

義妹「あ、ありがとうございます……!」

兄「よしよし」ナデナデ

義妹「あ……ん……」

兄「義妹は可愛いな」

義妹「なっ……か、可愛くなんて」カァ

兄「いやいや。兄の俺が言うんだから間違いない。家事は出来るし、気もきくし、少し甘えたがりのところも――」

義妹「あ、あの、兄さん……!」

兄「あ……すまん。なんか、気に触ること、言ったか」

義妹「そ、そうじゃ……なくて……その……」

義妹「そんな褒められると……眠れない、ので……やめて、ください」

兄「……あ、ああ。すまん」

義妹「……」

義妹「……甘い」

兄「え……?」

義妹「貴様は私に隙を見せすぎた」

義妹「私が黒闇の十三騎士の一人、終滅の巫女(エスカトロジア)ということに気付かぬまま」

兄「……?!まさか、お前は!」

義妹「もう遅い、零天の羽衣(デヴァステート・フラム)の術式解除は終わった」

兄「てめぇ、俺が【光ヲ斬ル者】の子孫だと分かっていて近づいたのか?!」

義妹「……すまないな、これも私たちの組織のやり方だ」

兄「俺は……俺は信じていた!平穏な日常が、お前と共に還ってきたと思っていた!」

兄「それなのに……お前は俺を裏切ったのか……!!」

義妹「否定はしない。私は偽善者(クリミナトレス)だ」

兄「赦さねぇ……!」

義妹「私と刃を交えるつもりか、いいだろう」

兄「まさか、現実世界で『焔纏いし喰絶の剣(エクヴァ・ドレンバストル)を具現させるハメになるとはな』」

兄「……」

義妹「……」

兄(……また気まずい……)

義妹「……兄さん」

兄「……うん?」

義妹「変なこと言って、すみません」

兄「変なこと?」

義妹「折角褒めてくれたのに……眠れないからやめて、なんて……」

兄「あ、いや……流石に俺も、褒めすぎたかなって……」

義妹「……嬉しかったです」

兄「……」

義妹「可愛い、って。言ってくださったのは……兄さんが、初めてです」

兄「そっか……」

義妹「私は、こんな性格だから……」

義妹「面倒な女と……よく思われて」

兄「……そんなことない。みんな……見る目が無いんだ」

兄「確かに、人見知りかもしれないけど。言いたいことはちゃんと言える。面倒なんかじゃないよ」

兄「お前みたいな妹に慕われて……俺は、幸せだ」

義妹「……兄さん」ギュッ

兄「……?」

義妹「……ありがとう、ございます。私も……あなたのような、兄を持てて」

義妹「幸せ、です」ニコリ

義妹「……すぅ、すぅ」

兄「……やれやれ」

兄「……眠れなくなるのはこっちだ」

兄「……あの笑顔は、反則だろう」

兄「うーむ……やばいな……もう三時か……」

兄「これは本気で……寝不足に……」

兄「……」スヤスヤ

義妹「……」

――翌日、深夜

トントン

義妹「……兄さん?」

義妹「……?」ガチャ

兄「……」スヤスヤ

義妹「……お眠り、でしたか」

義妹「……寝不足、ですよね……私が……いつも……」

兄「……ぐぅ」

義妹「……そ、っと」モゾ

――翌日、深夜

トントン

義妹「……兄さん?」

義妹「……?」ガチャ

兄「……」スヤスヤ

義妹「……お眠り、でしたか」

義妹「……寝不足、ですよね……私が……いつも……」

兄「……ぐぅ」

俺「……そ、っと」モゾ

兄「……ぐぅ……ぐぅ」

義妹(ああ……やってしまった。布団に入ってしまった。邪魔するべきじゃないとわかってるのに……どうしても……)

義妹(大丈夫……起こさなければ、大丈夫……そっと、腕に……)ピタ

義妹(……!! 指、が、お兄さんの、手に……!)ドキドキ

義妹(あああ……いつも、腕をつかんでいたけど……)

義妹(今日、くらいは……)ソー

義妹(……手を)

義妹(つないで……)

ギュッ

兄「……」

義妹(……はぁあ)

義妹(兄さんの手……ごつごつしてるけど……暖かくて)

義妹(ずっと……こうして……)ギュ

義妹「あの……ね。……兄さん」

義妹「私は……あ、あなたの……ことが……」

義妹「……す、すっ……」

義妹「す、き……。……」

義妹「……っ」カァアア

義妹(なにを! 何を言ってるの! 私は! こんな、兄さんは、寝てる、のに……!)

義妹(……卑怯な手を……使ってしまいました)

義妹(……真正面から言えたら……どんなに……)

義妹「……すぅ……すぅ」

――翌日、早朝

兄「……」モゾ

兄「朝だ……ん?」スッ

義妹「……ん……すぅ……」

兄「……あれ? 昨日の夜……来たっけ……?」

兄「いや、……俺が、寝ちゃったんだ。その後……来たんだな」

兄「……起きなかった俺も俺か。熟睡しちまった……」

兄「おい、義妹。朝だぞー」ユサユサ

義妹「んぅ……あ……」パチ

兄「おはようさん。昨夜はごめんな」

義妹「あ……あっ!! こ、これは……ちがくて!」バッ

兄「は?」

義妹「そのっ、変な気持ちがあったわけじゃ、無いんです!」アタフタ

兄「え? いや、お前が、寝床に来るのはいつものことじゃ……」

義妹「そのことじゃなくて……て、手を」

兄「手?」

義妹「つないだ、まま……寝ちゃってたでしょう!?」

兄「ああ……そう言えば、そうだな」

義妹「……ごめんなさい。つい、指に、触れて……」

兄「……俺は構わないけど」

義妹「……嫌じゃないですか?」

兄「うん」

義妹「……よかった」

兄「お前がしたいなら、手を繋いだまま寝てもいいよ。それでお前が眠れるなら」

義妹「ね、眠れますよっ。現に……昨夜は……すぐ寝てしまいましたし」

兄「ふむ。手の方が効果があると」

義妹「……かもしれません」

兄「……今夜からはそうするか」

義妹「……はいっ!」コクコク

兄「そんな頷かなくても……」

――深夜

コンコン

兄「開いてる」

義妹「……失礼します」ガチャ

兄「今日は、起きてたよ」

義妹「そうですね……無断で入り込んだりして、すみません」ペコ

兄「律儀だなあ。気にしなくていいのに」

義妹「でも……兄さんの気は、損ねたくありません」

兄「……こっちおいで」

義妹「はい……?」

兄「……ありがとな」ナデナデ

義妹「あっ……えっ……」カァア

兄「おお。電気がついてるとよく見える」

義妹「な……えっと! は、はやく寝ましょう!」

兄「はいはい」

モゾモゾ

義妹「……もう。今のは、卑怯ですよ」

兄「無断で人の寝床に入り込むのは?」

義妹「う……」

兄「……お互い様だな」

義妹「……そう言うことに、してください」

兄「……」

義妹「……兄さん」

兄「ん」

義妹「手を、つないで……いいですか」

兄「……ああ」

ギュッ

義妹「……はぁ」

兄「何のため息?」

義妹「……安堵のです」

兄「そっか」

義妹「……兄さんの手は、暖かいです」

兄「義妹の手は、柔らかいな」

義妹「……安心、します」

兄「……そっか。良かった」

義妹「……」

兄「……」

兄(……妙な沈默)

義妹「……あの、兄さん」

兄「ん……?」

義妹「もし……嫌じゃなかったら……こっちを向いてくれませんか?」

兄「……いいのか?」

義妹「はい……」

兄「……ちょっと待って」スッ

義妹「あ……」

兄「そっち向くなら……一旦手を離さないとな」モゾモゾ

兄「これでよし、と」ギュッ

義妹「あ、う」カァッ

兄「あ、う?」

兄「……義妹?」

義妹「……その、ですね」

兄「うん」

義妹「いきなり……手を、掴まれて、びっくりしました」

兄「あ、ああ。すまん。俺からじゃ、変だよな」

義妹「嬉しいですけど……ね……」

兄「……」

義妹「……」ゴクッ

兄(……暗がりの中で、義妹の喉が跳ねるのが見えた)

義妹「……兄さん」

兄「……なんだ」

義妹「……すっ」

兄「す?」

義妹「す……す、……き」カァァァ

兄「……?」

義妹「あ、う、っ……わ、私は! あなたのことが……」

義妹「……すき……です」

兄「……好き……?」

義妹「はい……好きです。だ、大好き、なんです。兄さんのこと。兄としても……一人の、男性としても」

兄「そう……か」

義妹「こんなこと……言ったら、迷惑になると、思ってたのに……ごめんなさい。どうしても……私……」グス

兄「あ、……泣くな、義妹」ギュッ

義妹「あ、……ぇう、すみま、せっ……こんな……みっともない……」グスグス

兄「……みっともないなんて。とんでもない……ありがとな、きちんと言ってくれて」

義妹「うっ……うう……」

兄「落ち着いたら……ちゃんと、話をしよう。俺も、真面目に向きあうから」

義妹「はい……にい、さん……」コク

――

義妹「……ん」

兄「……落ち着いた?」

義妹「……はい。ごめんなさい。……私、おかしかったですよね」

兄「……そんなことないよ。可愛かった」

義妹「う……でも……好きなんて……兄さんは……兄さんなのに……」

兄「……ああ。俺達は兄妹だ」

義妹「じゃあ……」

兄「……最近、考えてるんだ」

義妹「……」

兄「俺はお前のことを、ずっと妹として見ていた。義理だとしても、兄妹は兄妹だから」

義妹「……はい」

兄「でも、お前が俺の部屋で寝るようになってから……少し変わった。お前を、より深く見るようになってしまった」

義妹「……それは、その……」

兄「……一人の女性として」

義妹「……」カァ

兄「……浅いよな。今まではただの妹だったのに。この数日だけで、お前を……」

兄「……汚い目で、見ようとしている」

義妹「……汚くなんか」

兄「……男なんてのは、そんなもんだ。……でも」

兄「俺にも……ちんけなプライドはある」

義妹「……」

兄「俺の気持ちは、まだ中途半端だ。まだ兄として、お前を見たいとも思ってる。だから……その」

兄「お前のことを、もっとよく知りたい。もっと時間をかけて、お前を一人の男として好きになりたいんだ」

義妹「……ふぇっ」ブワ

兄「え、ちょ……な、泣かないでくれ。すまん。俺が悪かった」

義妹「だ、大丈夫、です……に、兄さんが、考えてること……分かりましたから」

義妹「私も……兄さんのこと、もっと知りたいです。もっとあなたを好きになりたいです。わたし、私は……兄さんのことが、大好きだから」

兄「……義妹」

義妹「……もう、泣きません」

兄「……ありがとな。お前が、そんな風に考えてくれてるなんて……思ってなかった」

義妹「……ずっと、好きでしたから」

兄「……そうか……」

義妹「私……頑張ります。兄さん。はしたない妹ですが……これからもよろしくお願いします」

兄「お前がはしたないなら、俺はもっと酷い男だぞ……うん。俺からも、よろしく」

義妹「……。それじゃ、その……この件は、今は一旦、おいといて……」

兄「うん?」

義妹「……また……手をつないで寝ても、いいですか?」

兄「……ああ」


終わりだよ

なんかまたこんなオチかと思ったけど書いてて楽しかったからいいや!
エロ期待してた人はすまんね! 数年待ってな!

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