唯「あ~ずにゃん」
梓「なんですか、唯先輩?」
唯「実は軽音部に新入部員が入ったんだよ!」
律「なんだとー!?」
澪「本当か?」
紬「唯ちゃん、すごい」
唯「えへへ」
澪「それで肝心の新入部員はどこなんだ?」
唯「あ、もう入ってきていいよ~」
ガラガラ
田中「こんにちは~、アンガールズの田中です~」
梓「………」
澪「おい、梓」ヒソヒソ
梓「なんですか?」ヒソヒソ
澪「あれって、男じゃないか?」ヒソヒソ
梓「澪先輩もですか?実は私も…」ヒソヒソ
澪「な、なあ唯」
唯「なあに、澪ちゃん?」
澪「あれって男だよな?」
唯「やだなあ、桜高に男子がいるわけないじゃん」
律「そうだそうだー」
紬「そうだー」
澪、梓「……」
律「ところで田中~」
田中「んも~、なあに~田井中さん?」
律「なんで田中は軽音部に入ったんだ?」
田中「だって~、軽音部に入れば好きなだけ紅茶が飲めるって平沢さんが~」
紬「田中ちゃんは紅茶が好きなの?」
田中「ん~、紅茶に関してはちょっとうるさいよ~」
律「よーし、さっそくお茶にしよー!」
唯「そうしよー!」
紬「じゃあ、いま紅茶いれるから待っていてね」
澪「お、おい…練習…」
紬「はい、お待たせー」
田中「え、ええ~?ちょ、なにやってんの琴吹さ~ん?」
紬「え?どうしたの田中ちゃん?」
田中「なんでこんないれかたしてんの~?」
律「いったいどうしたー?」
田中「紅茶は最後の一滴、ゴールデンドロップをいれるのが常識でしょ~?こんないれかたしちゃってさ~」プンプン
紬「ご、ごめんなさい」
田中「琴吹さんは紅茶をいれる資格がないから~、今度から俺が全部やるからさ~」
梓「な、なんだか面倒臭い人ですね…」ヒソヒソ
澪「そうだな…」ヒソヒソ
梓「ところで田中先輩?」
田中「なあに~、中野~?」
梓「田中さんは何の楽器ができるんですか?」
田中「何もできないけど~」
澪「でもハーモニカくらいは吹けるだろ?」
田中「ごめ~ん~、できないよ~」
梓「じゃ、じゃあ、軽音部の意味がないじゃないですか!」
律「待て、梓!」
梓「なんですか、律先輩?」
律「明日だ、明日までに田中のできそうな楽器を探しておくから!」
梓「律先輩がそこまで言うなら…」
次の日
唯「りっちゃん、これは?」
律「ふふふ、これかー?」
梓「なんなんですか?これ…」
律「田中の楽器だー!」
澪「楽器ってこれ、牛の銅像じゃないのか…」
律「違うぞー、これは吹奏楽器だぞー!」
紬「まあ、これはファラリスの雄牛ね」
唯、澪、梓「ファラリスの雄牛ー?」
律「この金属製の牛の中は空洞になっていて人が入れるんだ、田中ちょっと入って」
田中「ん、あは~」
律「で蓋を閉めてと…田中、思いっきり吹いてみてー」
田中「ん~」
ンモ~
唯、澪、紬、梓「おお~」
律「こんなふうに音が出るんだ」
唯「すごいよりっちゃん!」
梓「さっそく練習しましょう!」
唯、律「そうしよー!」
紬「しよー!」
律「じゃあふわふわ時間な?ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー!」
ジャカジャカジャンジャンジャカジャン
ンモ~
ジャカジャカジャンジャンジャカジャン
ンモ~
澪「お、おいストップ!」
唯「どうしたの澪ちゃん?」
澪「田中の音が全然聴こえないぞ」
梓「アンプに繋いでるわけじゃないですからね」
紬「田中ちゃん、もっと大きな音は出せない?」
田中「んも~、無理言わ~な~い~で~」
唯「どうしよう、りっちゃん…」
さわ子「ふふふ、いい考えがあるわよ」
唯、律「さわちゃん!?」
澪「いつの間に…」
さわ子「あなたたち、そもそもファラリスの雄牛の使い方が全然なっていないのよ」
梓「どういうことですか?」
唯「まさか使い方が違うの?」
さわ子「そうねえ…でもこれは教師として教えていいものか…」
律「ムギ!」
紬「先生、今日はミルフィーユですよ」
さわ子「教えるわ!」
梓「即答ですね…」
澪「それで本当の使い方ってどうするんですか?」
さわ子「そ、れ、は」
一同「それは?」
さわ子「火をつければいいのよ!」
唯、律、紬「おお~」
澪、梓「え?」
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