律「澪、軽音部入るよな?」(130)

澪「ん? うん」

律「私が部長で良いよな?」

澪「良いんじゃないの?」

律「本当に?」

澪「何が?」

律「私なんていうクズが部長に……」

澪「良いよ良いよ。どうせ廃部するんだろ?」

律「確かに」

澪「まぁ気楽に行こうよ」

律「確かに」

一ヶ月後

澪「お?」

律「何?」

澪「あれじゃない?」

律「?」

澪「明日で廃部じゃない?」

律「おお」

律「部員集らなかったな」

澪「な」

律「何人?今」

澪「二人」

律「明日までにあと二人か……」

澪「お、諦めてない感じですか」

律「うん、やっぱり部長だし頑張らないとなって思った」

澪「一ヶ月前にそう思っていればな」

律「まぁまぁ」

澪「で、どうするの?」

律「何が?」

澪「あー……。あーあ」

律「ウソウソ、部員誘ってくるからちょっと待ってろ」

澪「え? 私行かなくて良いの?」

律「うん、私みたいなクズのワガママに付き合わせちゃかわいそうかな」

澪「お、分かってんじゃん。まぁ頑張れ」

律「おう」

唯「あー、和ちゃんにゴチャゴチャ言われてめんどくさい」

律「何が?」

唯「部活入れって幼なじみがウルサいんですよ」

律「入っちゃえば良いじゃん」

唯「どこに?」

律「軽音部に」

唯「おお」

律「こいつミオジローっていうんだ」

唯「はじめましてミオジローさん」

澪「ああ、よろしくな」

唯「ちなみに楽器持ってません」

澪「ああ私もこの前パクられたから気にしないで良いよ」

澪「とりあえずこれであと一人だな」

律「いける気がしてきた」

唯「何が?」

澪「廃部寸前なんだよウチ。部員4人じゃないと廃部」

唯「へぇ」

律「もう一人必要なんだ。もう一人」

唯「何とかならないんですか?」

律「何が?」

唯「このままじゃ廃部なんですよね?どうしたら廃部を免れるんですか?」

律「もう一人部員を増やす」

澪「話をしっかり聞け」

唯「じゃあ妹連れてきます」

澪「おお、頼んだ!」

律「え?」

唯「一年後になりますが」

澪「楽しみにしてるぞ」

律「馬鹿にされてんのか」

さわ子「お前ら誰だ」

律「軽音部です」

さわ子「ここに何しに来た」

律「部活です」

さわ子「これで全員か」

律「いえ、もう一人います」

さわ子「どこだ」

律「そこに」

さわ子「いないぞ」

律「いやそこにいます。愚か者には見えない部員がそこに」

さわ子「あああいつのことか。金髪の」

律「そう、キーボード弾いてる……」

澪「なんだもう4人集まっていたのか」

唯「妹はいらなかったようですね」

さわ子「良かったな」

律「おう、がんばってみるもんだな」

澪「何が?」

律「? 部活とか?」

一週間後

唯「えーっと、あの」

律「どうした」

澪「どうした」

唯「もうひとりの部員は……どこに」

律「ふっ」

澪「お前見えないのか」

律「そこにいるだろう! 愚か者には見えない部員が」

澪「くっくっく」

唯「正気か」

律「まぁお前にもいずれ見えるようになる」

澪「今はギターを手に入れることだけを考えていろ」

唯「いやギターよりも部員のことが気になるんですよ」

澪「ギターに専念しろ」

唯「専念するためにも部員のことがですね」

律「なんだ、何が気になる言ってみろ」

唯「え? えーっと名前とかパートとかですかね」

律「名前は……ミオサブローだ」

澪「パートはキーボードだ」

律「金髪で上品な女だ」

唯「ほうほう」

澪「気が済んだか」

唯「ああ、とりあえず今のところはこのくらいにしておきます」

律「良かったな」

合唱部

紬「きついなー」

紬「合唱部キツいわ。毎日毎日練習ばっかり」

紬「労働者になった気分だ」

紬「これだけ頑張って一銭にもならないとは……」

紬「不毛だ」

紬「バイトでもしてみるか」

楽器屋「え?」

紬「お前の店でバイトするわ」

楽器屋「えーっとじゃあ面接とかしますか」

紬「は?」

楽器屋「え?」

紬「バイトするから」

楽器屋「うちの店で?」

紬「おう」

澪「ギターは手に入ったか唯」

唯「手に入らない」

律「お前はいったい今まで何をしていた」

唯「ごめんなさい……ギターがどこに売っているか分からないんです」

澪「そうか」

律「それならしょうがない」

唯「愚か者ですいません」

澪「何とかって楽器屋がどっかにあった気がする」

律「あったな。どこにあったっけ」

澪「えーっと駅前だったような、ちょっとあやふやだが楽器屋があったはずだ。どこかに」

律「ああ、どこかにあるはずだ」

唯「その何とかって楽器屋に行けばギターが手にはいるんですね」

律「ああ、金を渡せばブツと交換できる」

唯「じゃあ行ってきます」

唯「ここか」

紬「いらっしゃいませ」

唯「ギターくれ」

紬「ギターなんか何に使うんですか?」

唯「そ、それは言えない。金ならある」

紬「まさか、やばいことに使うわけではありませんよね」

唯「金ならある。ギターをよこせ」

紬「断る」

唯「……」

唯「店長呼べ」

紬「私が店長だ」

楽器屋「私が店長です」

唯「店長さんギターください」

楽器屋「良いですよ。こちらにあるものから選んでください」

紬「その女にギターを渡してはいけない……きっと大変なことに」

唯「じゃあこのイカしたやつを」

楽器屋「25万円です」

唯「正気か」

楽器屋「そういう世界ですから」

唯「うむむ」

紬「じゃあ私これ買います」

唯「え!?」

紬「くっくっく」

唯「ファック」

律「どうした」

唯「ギターをパクられた」

澪「気にするな。私もパクられたまま帰ってこない。ベースが」

唯「ガックシですよ私は」

律「そんな日もある」

一ヶ月後

澪「何部だ」

律「?」

澪「私たちは何部なんだ」

唯「哲学的ですね」

澪「いやいやいや」

律「あ、やる気出てきた感じ?」

澪「ああ、やる気出てきた感じだ。悪いか?」

律「わるかないよ。だがお前楽器あるのか」

澪「無いけど」

唯「そういえば私も無い」

律「はぁ……私でさえ家に帰ればドラムがあるというのに…」

澪「くそ、私のベースさえ帰ってくれば……」

律「お前のベースは今頃アフリカで山賊が使い倒してるよ諦めな」

翌日

澪「ベースあった」

律「どこに?」

澪「自宅に」

律「パクられてなかったってこと?」

澪「その可能性が高い」

律「何だったんだろうな、今までのこの時間」

唯「私もギター手に入れた」

律「おお」

澪「パクられたんじゃなかったのか」

唯「そのパクられたギターがゴミ捨て場に置いてあった」

律「くさいな」

澪「くさいくさい」

唯「くさくないよ」

律「あーじゃあやっちゃう感じ?」

澪「何を?」

律「練習とか?」

唯「おっほ、ついに練習しちゃいますか?」

律「長かったな」

澪「ああ、長かった」

廊下

~♪
   ~♪

紬「ん? この音は……」

紬「何だろう、何か懐かしい感じがする……」

紬「上の方だな」

部室前

紬「あ、ここか」

ギィ
  ~♪
 ~♪
紬「……」

~♪

紬「ヘタクソ」

律「ちょっとストップ」

澪「どうした」

律「下手すぎてツラい」

唯「ああ、キツいですね」

澪「もうちょっと上手くなってから練習するか」

唯「賛成」

翌日

律「練習しなくても上手くなる方法を思いついた」

澪「ほう」

律「CDを聞く」

澪「あー」

律「やらないよりマシかなーみたいな」

澪「あー、ねー」

律「どう思う?」

澪「良いと思うよ。なぁ唯」

唯「ZZZ」

律「睡眠練習中か」

澪「どうせ聞くなら寝ながらの方が良いな」

律「うむ」

澪「じゃあおやすみ」

律「じゃあCDかけるぞ」

澪「おう」

~♪
 ~♪

澪「ん? これなに?」

律「けいおん!のサントラ、私たちが演奏しているらしい」

澪「どういうこと?」

律「わからん」

廊下

~♪

紬「また演奏してる」

~♪

紬「なんか上手くなってる」

紬「昨日から1日でここまで上手くなるのだろうか」

部室

ギィ

紬「おー、寝てる寝てる」

紬「練習してるように見せかけてCD流しながら寝るなんて」

紬「楽しそうな部活。軽音部」

翌日

ガチャ

紬「あれ?私が一番乗りか」

紬「寝るか」

紬「ZZZ」

ガチャ

唯「あれ?」

唯「知らないヤツがいる」

唯「なんだコイツ」

紬「ZZZ」

唯「なんで寝てるんだ」

唯「早く律ちゃんか澪ちゃん来てくれ」

ブブブ

唯「お、律ちゃんからだ」

From 律

to 唯

件名 死ね

赤点
担任に呼んでる


唯「死ね」

ブブブ

唯「澪ちゃんだ。赤点かな?」


From 澪

to 唯

件名 眠い

帰る


唯「どうしよう」

唯「電話しよう」

プルル

澪『も、もしもし』

唯「知らないヤツがいる」

澪『ど、どんなヤツだ』

唯「何で動揺してるの?」

澪『で、電話怖い』

唯「なんか金髪の女が部室に侵入して寝てる」

澪『あ、あ、あ、あれじゃない? ミ、ミオサブロー……』

唯「あー、ミオサブローか。なんだビックリした」

澪『じゃ、じゃあね。ミオサブローにもよろしく』

唯「うん、ばいばい」

ピッ

澪「金髪の女? 誰だろう……」

唯「はー、私にもついに伝説の部員が見えるようになったのか」

唯「感慨深い……」

紬「ZZZ」

唯「おい、ミオサブロー」

紬「ZZZ」

唯「起きろミオサブロー!」

紬「ッハ!」

紬「あ、あーっと」

唯「澪ちゃん眠くて帰ったんだって、あと律ちゃん赤点」

紬「え?」

唯「今日は私とミオサブローだけだね」

紬「え?」

唯「あ、あれがキーボードかぁ。いやぁ感慨深い」

紬「何が起こってるんだ」

唯「……」グー

紬「お」

唯「腹が減ったな」

紬「あー」

唯「あー、腹がー」グーグー

紬「あの」

唯「何?」

紬「ケーキ食べる?」

唯「ウソだろ!」

紬「え?」

唯「学校にケーキ持ってくるバカがどこにいる!」

紬「ここにいる!」

唯「ウソだろ!」

紬「本当よー、ホラ」

唯「本当や、本当にケーキや……ハッ!罠か!」

紬「くっくっく」

唯「何という……何という……」グー

紬「食わんのか」

唯「ウググ、罠にはかからんぞ……わなには」グー

紬「くっくっく」

唯「ああああああああ」グー

紬「一口ぐらい良いんじゃない?」

唯「うむむ、確かに……」

唯「ええい! どうとでもなれ!」パクリ

唯「上手い!」

紬「くっくっく」

唯「上手いぞ、上手すぎる!」パクパクモグモグ

ガラッ

澪「やっぱり部室で寝てから帰るわ」

唯「あ、澪ちゃん良いところに」

澪「あれ?知らないヤツがいる」

唯「アハハ、ミオサブローだよぉ」

澪「え? 実在したの?」

紬「ミオサブローって私のことか」

唯「ミオサブローがケーキ持ってきた」

紬「持ってきたった」

澪「でかしたぞミオサブロー!」

ガラッ

律「話は聞かせてもらった、でかしたぞミオサブロー」

紬「できればムギと呼んでもらいたい」

唯「でかしたぞムギ」

半年後

澪「おい新入部員入るってさ」

律「え? どんなやつ?」

澪「知らん」

唯「妹の話では猫みたいな女らしい」

澪「へぇ」

猫「にゃー」

律「来たぞコイツか」

猫「にゃー」

紬「可愛いー」ナデナデ

猫「にゃーん」

唯「確か梓とかいう名前だった気がする」

律「よろしくな梓」

澪「梓、よろしく」

紬「可愛いー」ナデナデ

部室前

梓「ここが軽音部か」

梓「ちょっと緊張するわ流石に」

梓「ちらっと様子見てから入るか」

ギィ

唯「あずにゃんはギターできるんだって」

猫「にゃーん」

律「お、ライバルじゃーん」

澪「すごいなこの体で楽器とかやっちゃうんだ」

猫「にゃー」

唯「負けないよ!あずにゃん!」

梓「どういうことだ」

ガチャ

梓「梓は私だ」

律「おい猫が入ってきたぞ」

澪「本当だ、おーヨシヨシ」ナデナデ

梓「なでないでください」

唯「可愛いー」ナデナデ

梓「なでないでください」

紬「!? こいつ人語を話す」

梓「あー」

猫「にゃーん」

梓「こいつは梓じゃない」

猫「にゃ?」

梓「私が梓だ」

澪「それは本当なのか」

梓「本当だ」

唯「ウソだ、こっちのあずにゃんの方が可愛いし」ナデナデ

猫「にゃーにゃー」

紬「確かに…」

梓「確かにじゃねぇよ」

梓「分かった。じゃあギターを上手く弾ける方が梓ってことで良いですよ」

律「何が?」

梓「だから、この猫と私とどっちが本物の梓かギター勝負で試そうと言っているんです」

律「どういうことだ?」

澪「よくわからん」

唯「正気か」

紬「落ち着け新入部員」

翌日

梓「もうやだ」

憂「粘れ」

梓「精神的にくる」

純「頑張れとしか言いようがない」

憂「粘れ、根気強くいけ」

梓「キツい」

猫「にゃー」

梓「お前のせいなんだからな!」ナデナデ

猫「にゃーん」ゴロゴロ

ガチャ

梓「こ、こんちわ…」

律「おーっす」

梓「あの」

律「なに?」

梓「ギター弾いて良いすか」

律「猫に弾けるのか、ギターが」

梓「あー」

澪「律、それは偏見だぞ」

律「チッ、もう帰るわ」

ガチャ

澪「律!待てよ!」

ガチャ

梓「え? 行っちゃった」

唯「あれサボりだろ」

紬「五月病?」

数日後

澪「おい律が部活来んぞ」

唯「なんで?」

紬「梓が原因かな」

梓「え?」

澪「これはあれだな」

さわ子「新しいドラムを入れるしかないみたいだな」

紬「えー」

梓「いやいやいや」

翌日

澪「おい律風邪だってさ」

梓「ダサいな」

唯「お見舞いに行ってやらなければ」

紬「じゃあ私行くわ」

澪「いやここは私が」

梓「え、じゃあ私が」

トン、トン、トン

律「この足音……」

律「梓か?」

ガチャ

梓「何故わかった」

律「な、なんとなく……」

梓「もう熱は下がったのか」

律「お、おう」

梓「早く帰ってこい、みんなカンカンだぞ」

律「そうか」

梓「じゃあな」

ガチャ

律「……」

律「何で梓が単独でお見舞いに来たんだ」

律「しかも何であいつタメ口なんだよ、腹立つな」

律「ていうかさ、え? 澪が来るんじゃないのか?普通は」

律「くそ! 寂しいじゃん……」

律「はぁ、みお……」

律「ハッ! 夢か……」

律「なんだ? 何かすげー変な夢見てたな」

トン、トン、トン

律「ヒッ」ビク

律「み、みお?」

ガチャ

澪「超能力者か」

律「わ、分かるよそんくらい」

律「あのさ澪、今私すんごい変な夢見てた」

澪「ん? どんな夢?」

律「なんつーのかな、みんな雰囲気がおかしいんだよ素で猫と梓間違えたり」

律「梓がタメ口だったり」

澪「へぇ」

律「いやぁ、夢で良かった」

澪「何が?」

律「え?」

澪「は?」

律「……」

澪「じゃあな」

ガチャ

  おしまい

律「……」

ブブブ

澪「おい律」

律「は?」

澪「チッ何でもない」

ブブブ

澪「おい!」

律「何だよ!」

澪「臭い!」

ブブブ

律「へへ」

ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ

じゃあな
ありがとな

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom