美希「ハニー!起きてー!遅刻しちゃうよ!」(24)

美希「ハニー!起きてー!遅刻しちゃうよ!」
P「・・ん」

P「・・・美希~・・まだねむい・・・」
美希「もう・・・ハニーはホントに甘えん坊さんなの」
P「・・・ダメか?」
美希「・・・その顔は反則なの・・・おはよ、ハニー」
P「おはよう美希」

美希「ハニー・・・美味しい?」
P「う~ん・・・これホントに美希が作ったの?」
美希「なっ!?いくらハニーでも失礼なの!」
P「でも美希、今まで卵焼き作ろうとすると毎回スクランブルエッグになってたじゃないか」
美希「・・・ハニーあんまりなの」
俺は今、美希が作った朝ごはんを食べていた。
卵焼きと味噌汁にご飯というなんともシンプルなものだが、かつて暗黒物質を作っていた頃に比べれば成長したものだ。
食べる度に気絶していた時が今では懐かしい。
P「でもホント美味いよ!誰かに教わったのか?」
美希「うん!この前の日曜日に春香の家に遊びに行った時にね、一緒にお料理の練習したの!」
春香とは765プロの現役アイドルで昔俺がプロデュースしたこともある女の子だ。
美希と歳も近かったことから美希がアイドルを引退した今でも友達として遊ぶことがたまにあるようだ。

「なるほどねぇ・・・どした?」
美希はなぜか俺の服の袖をひっぱりながらモジモジしている・・・トイレか?
「あのね・・・ミキね、ハニーのために頑張ったの」
「うん」
「だからね・・・そ、その・・・」
「・・・美希?」
「ご、ご褒美がほちぃの!」
「・・・・・」
「・・・っ~~~!!/////」
トマトのように真っ赤になってバタバタと暴れる妻の姿があった。

P「それじゃ行ってくるな」
美希「・・・/////」
さっきのやりとりから美希はずっとこの調子で目も合わせてくれず、話しかけても顔を赤くして伏いてしまう・・・いや、まぁ確かに恥ずかしいのはわかるんだけど・・・
P「・・・美希」
美希「え――っ」
俺は強引に美希の顎をつかんでキスをした。
美希「――っ・・は、はにぃ?」
P「・・・さっき言ってたご褒美だよ・・・だめかな?」
美希「う、ううん・・嬉しい・・・ハニー大好きなの!」
P「うおっ!?急に飛びついたら危ないだろ?」
美希「・・・はにぃ~・・・えへへ」
P(・・・・・だめだこりゃ)

P「それじゃ今度こそ行ってくるよ」

美希「うん!気を付けてねハニー!はい!『きまりごと』!」

P「会社に着いたらメール、昼休みには電話、帰る前にメール、飲み会や急な用事で遅くなる時は早めに電話かメール」

この『きまりごと』とはその名の通り夫婦におけるルールのことだ。
この『きまりごと』はまだいくつかあるのだが、それはまぁ今後紹介することもあるだろう。

美希「・・・ひとつ大事なこと忘れてるの」

P「え?他に何かあっ――」

美希の唇で口を塞がれてしまったため、俺は続きの言葉を発することができなかった。


P「――っ」

美希「――んっ・・・いってらっしゃいのキス・・・忘れたら、や。」

P「・・・・・」

・・・さっそく紹介できたようでよかった。

俺は765プロで相変わらず忙しい日々を送っている。

P「ふぅ~・・・」

?「お疲れですかプロデューサーさん」

P「あ、小鳥さん」

彼女はうち事務職をしている『小鳥』という人だ。
なかなかな趣味をお持ちの若干賞味期限切れ―

小鳥「何か失礼なことでも考えてません?」

P「・・・・・いえ」

女子ってのは鋭いものだ。

昼休み

小鳥「あら・・・そのお弁当」

俺は楽しみにしていたお弁当をデスクに置いていた

小鳥「ふふ・・・美希ちゃん頑張ってるんですね」

P「ええ・・・アイドルの時より努力してるみたいです」

小鳥「惚気ですか?」

P「そんなんじゃないすよ・・・」

・・・正直惚気の一つや二つ言いたくなるものだ。

かつてトップアイドルだった星井美希が今では俺のためだけに行動している・・・自慢ぐらいしたい。

小鳥「今日はどんなお弁当なんでしょうね?」
この人は毎度美希のお手製弁当を覗いてくる・・・趣味の一環なのだろう―って

P「ちょ、勝手に開けようとしないで・・」

小鳥「えい」

抵抗むなしく、美希からもらったクマのぬいぐるみのシールがたくさん貼られているお弁当の蓋を開けられてしまった

小鳥「・・・・・」

P「・・・・・・」

小鳥さんはそっと蓋を閉めた

小鳥「・・・・・プロデューサーさん」

P「・・・・・なんですか」

小鳥「・・・ハートでした」

P「・・・そうですね」

小鳥「・・・ハート型のおにぎりでした」

P「・・・そうですね」

小鳥「ハートのウインナーでした」

P「・・・というか」

P・小鳥「全部ハートだった・・・」

そんなこんなで今日も過ぎていく―――あ

P「おっと忘れてた」

小鳥「?・・・どうしたんですか?」

P「いえ・・・電話をするので少し外に出ますね」

小鳥「・・・なるほど」

小鳥さんは俺のほうを見てニヤニヤしている・・・こいつ

小鳥「担当の子の相手は私がしときますから・・・時間には気にせず電話してきてくださいね?」

P「・・・・・ありがとうございます」

小鳥「ふふ・・・いいえ」

P(・・・ほんと、いつもこうなら貰い手はあると思うんだけどな)

俺はちょっと失礼なことを思った

美希『はにぃぃぃぃ!!』

美希・・・電話越しに大声で叫ばないでくれ・・・鼓膜に大きなダメージを負った

美希『・・ハニー?もしもーし』

P「・・美希・・・音量を考えてくれ」

美希『あ、ごめんねハニー!ミキ嬉しくてつい・・・』

P「別に怒ってないよ、電話遅くなってごめんな」

美希『ううん!ハニーはお仕事大変だもんね。お疲れ様ハニー』

美希の声から伝わってくる・・・美希は今微笑んでいるのだろう。

『お昼休みに電話』というのは『きまりごと』の一つだ。

最初はミキからお願いされて決まったルールなのだが・・・

美希『ミキね!さっきお買いものに行ってきたんだけど、いつもの八百屋さんでね・・・・』

今では俺から何度も電話してしまいたくなるほどこの『きまりごと』をしている。

美希の優しくて、明るい声を聞いていると例え仕事で嫌なことがあっても元気になれる。

P(俺はこの声に依存しているのかもな・・・)

美希『それでミキね!言ってやったの!それ間違ってるよって・・・・ハニー?』

P「美希・・・」

美希『?・・・どうしたのハn』

P「好きだよ美希」

美希『へ?・・・ふぇぇぇえ!?/////』

P「・・・それじゃそろそろ仕事に戻るから」

美希『え、ちょ・・ハニ』っツーツーツー

美希「・・・・・ハニーのばか」

二人にある絆は、愛はきっと本物なのだと俺は信じている。

この子以外の人と結ばれるなんて考えられない。

けれど俺はまだ・・・プロポーズすら出来ていない。

P(夫婦の『きまりごと』・・・か)

外の空気はだんだんと冷えてきている・・・今年のクリスマスは雪が降る、と・・・そんなことをふと考えた

お腹減ったのでチョコワ食べてきます

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