男「うん、ラブレター。よく分かったな」
後輩「どうしてこんな所でわざわざ書くんですか?」
男「だって、教室だと誰かに見られるじゃん。からかわれるじゃん」
後輩「でも、ここだと自分が居ますよ?」
男「それは……。まぁ、良いんだよ」
後輩「……? どう意味ですか、それ」
男「その内分かるって」
男「そう言えば、今日も男装しているんだな」
後輩「またそれですか、先輩。僕、男なんですけど」
男「いや、分かってるよ。うん、世の中には男に憧れる女の子も居るさ」
後輩「全然分かってないですよね、それ」
男「あー、喉乾いてきたな」
後輩「先輩、ずっと書いてますもんね。そりゃ、喉も渇きますよ」
男「俺は、ここから一歩も動く訳には行かない。誰か買ってきれくれないかなー、お金渡すから」
後輩「はぁ……。分かりましたよ、先輩とは付き合い長いですから……」
男「とは言った物の実はもう、完成してるんだよなぁ……」
男「……あぁ、緊張してきた……」
男(……ていうか、アイツ遅いな……)
男「あー……見に行ったら、ムードが……」
男(……でも、このまま帰られてても嫌だなぁ……。そんな事しねえと思うけど……)
男「………」
男「あー、悩んでても仕方ねえよなぁ……」
男「とりあえず、見に行くだけ見に行くかな……」
男「居たら、気付かれない様に戻ればいいし」
男「……よし、行くか!」
後輩(そう言えば、何を買えばいいのか教えられてなかった……)
後輩(どうしよう……。適当で良いかな……、あの人なんでも飲むし……)ピッ ガチャンッ
不良「あっ、後輩くんじゃーん。何してるの? へぇ、一人?」
不良2「本当だー。ねぇ、今日は連れの先輩は居ないのかなー?」
後輩「そ、それは……」
不良「……あ? もっとハッキリ言えや」
不良2「ちょっ、やめてあげろよーw。コイツ、怖がってるじゃんーw」
不良「てかさ、お前本当に男なのw? そんな情けない面してて、恥ずかしくないw?」
後輩「ぼ、僕は、お、男だよ……」
不良「連れは居ないみたいだし丁度いいわw。お前脱げよ。男かどうか確かめてやるよっw」グイッ
不良2「ちょっ、不良くんマジ鬼畜ーw。」
後輩「……ひゃっ。や、やめっ……。だ、誰かっ……!!」
不良2「誰も来る訳ないじゃんw。みんな部活やってんのにw」
男(靴はあったし、校内に居るのは確かなんだよな)
男(でも自販機も結構回ったんだけど、居なかったんだよなぁ……)
男(此処が最後だけど、居れば良いんだけどなぁ。まぁ、自販機前に居るとは限らないんだけどな)
「……や、やめっ……放してっ……」
男「え……? は……?」
男「……お、お前らッ!! な、何やってんだよ、その子を放せっ!!」
不良2「っ……な、なぁ、アレって……」
不良「や、やべっ。上級生じゃんっ!」
男「ふざけんな、誰の許可でこんな事してんだよッ! おい、待てよッ!!」
後輩「……せ、先輩っ!き、来てくれたんですねっ! ありがとうございますっ……!」
男「……それよりお前……服、着ろよ……」
後輩「い、今着ますっ……。あ、あんまり……見ないでください……」
ビリビリビリビリィ ビリビリィ ビリビリィ
後輩「それ……。ラブレターですよね? いいんですか……?」
男「もう……必要なくなった……から……」
そう言った先輩の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
笑う所そこじゃねえよ
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