男&幼「セクシャル・コミュニケーション」(40)


幼「例えば、恋があって、愛があって、その終着に身体を重ねるものだとして」

幼「じゃあ身体を重ねることから恋愛が始まるってのはありだと思う?」

くちゅり。

男「そもそも、人と人との関係性に終着なんてないと俺は思うけどな。関係の終わりなんて、死別くらいだ」

男「まあ、別に否定する気はないさ? ただ、恋愛からくるのがセックスだとしたら、セックスだけしてても恋愛より前には進まないよな」

すり、すり。

幼「なーに、それ……私たちへの当てつけ?」

男「いんや。深い意味はないよ」

幼「私には不快な意味だけどネー」

男「へいへい。そろそろ入れるか?」

幼「やだよ、舐めさせてよ」

男「えー?」

幼「いつもそうしてんじゃん……れろ」


男「お前好き好んでフェラするよな。よう分からんわ」

幼「はふ……勝手でしょ。それに濡らして勃たしてジャンケンポンだなんて、愛足りなさすぎない?」

しこしこしこ。

男「ぷふっ、なんだよそれ」

男「別に、俺たち付き合ってるわけでもないじゃんよ?」

ぴたり。

幼「どうしてそう、萎える事ばかり言うかなー。私を興奮させなさいよー」

男「ひでーなその発言……お前は愛で興奮できるのか?」

幼「そーよ。あんただってそうでしょ。私がちょっと熱入れただけで出しちゃうんだし」

男「お前のそれは別格なんだよ。さも自分が上手いみたいに言いやがって」

幼「きっこえっませーん。何、あんた私に惚れてるの?」

男「あ? あー、さあなぁ」

幼「うーわ。やっぱあんた愛足りてない。今のが彼女だったら速攻三行半ですわ」

男「お前こそ。あけすけすぎんだよ、男に引かれるぞ?」

男「まあそれはどうとして、お前こそ俺に惚れてるとか? あるんじゃねーの?」


幼「愛分欠乏症とは付き合わないって決めてるから。愛無い男とかムリムリムリ」

男「なんだその病名。医学会震わせてんじゃねーよ」

男「でも、好きでもない男のチンコ咥えるか? 普通」

幼「いつ嫌いって言ったのよ。あも……」

じゅるる。じゅぽっ、じゅぽっ。

男「咥えるのか……」

幼「ぷはっ。勝手に見下さないでくれる? 」

幼「あんたの身体が気持ちいいからよ」

男「所詮カラダ目当てだったのね! あたしもう知らないワ!」

幼「バーカ。ちょースベってるし」

幼「つーか身体目的じゃないし。あんたの存在が、いいのよ。エッチすんのに」


男「じゃあセックス用彼氏ってことで?」

幼「自惚れんなー。あれよ、ヤリ友よ。今風に言うとしたら」

男「それセフレじゃね」

幼「セフレじゃ、なんかこう、セックス分が強すぎない?」

男「まあな」

幼「舐めるよ。れる……ん」

幼「大好き……」

男「……っ」

幼「だいすき、男」

男「……うああ。きもちー」

幼「単純。今度耳元でやったげよっか?」

男「やってやって。たまらん」

幼「プライドないなあ……」


俺たちの奇妙な……ただれた関係が始まったのは半年ほど前のことであり、そのきっかけもどこか奇妙な巡り合わせであった。

俺が仕事の為に上京して2年目、その日は台風が列島を横断する大荒れの天気。
仕事帰りに駅前商店街のスーパーに買い物に行く途中、

幼『……ちうー』

途方に暮れた顔でチューペットのアイスを吸う、中学以来の懐かしい顔があったのである。

幼『……あっ』

男『幼か。男だ』

幼『うわ、久しぶりー! 仕事帰り?』

男『ああ、お前はどうしてここに?』

幼『あー、私も仕事帰りなんだけど、電車動かなくて……男も立ち往生?』

男『いや、俺は電車通勤じゃないから。この辺に住んでる』

幼『……』

男『ん、どうした?』

幼『お願い、今日泊めて! 明日も仕事なのに、もうホテルとか全部埋まっちゃってて行くとこないの……!』


男『全部埋まってるって……ネカフェは?』

幼『やだ! 私いちおう女の子なんだけど!』

男『……ラブホは?』

幼『ふざけんな! こえーよ!』

男『はあ。ちっとは我慢しろよ……』

幼『そんなに嫌がらなくたって良いじゃない。何、誰か同棲してんの?』

男『いねーよ。別に嫌じゃないけど、不躾だとは思わねーのかよ』

幼『ふん。バーカ』

社会に出ると人は変わるというが、その時の俺はいささか「恥」の概念に過敏になっていたようで、どうにも礼を欠いていたような気がする。

10年にも満たない月日がもたらした変化は、互いの不和を招く程度には大きかったのだ。


幼『アパートかぁ』

若者2人には狭すぎる相合い傘の中で5分も歩くと、今も俺が住んでいるアパートに着く。幼がここに通うことになるなんてその時は思いもしなかった。

男『左肩さむい……』

幼『ご飯なら私が適当に作るから、シャワー浴びてきたら? 肩ビショビショでしょ』

男『女なんだし、先入ってこいよ』

幼『えー? いいよいいよ』

男『いつでも帰れるカッコのお前残しとくの危ねーし。というか俺家主なんだから、飯ぐらい作らせろ』

幼『この、堅物!』

……。

男&幼『いただきます』

そうして食卓を共にして。

幼『シャツ、ぶかぶか……』

寝床は一つで。

幼『台風、すごいね』

男『ああ……』






幼『……入れて」





あの時も、今も、同じようにまた。

幼「ぁ。ん……あ、あぁ……」


俺たちは繋がった。


幼「あぅ……またそこ……?」

男「良いんだろ?」

入って中腹くらいにある、左の方の引っかかりに彼女はよく反応する。じりじりと引き抜く亀頭の抵抗が気持ち良い。

幼「ゃ……」

男「っく……」

幼「うう、恥ずかしい」

弾力のある抵抗がずりゅんと抜ける一瞬、お互い切なそうな顔を晒し、見つめ合う。

たまらない。



俺たちは、セックスしてる時だけ仲がよかった。俗に言う相性とはまた別の何かがよく噛み合っていた。

服を脱ぎ理性を焙り、余計なものを取り払った状態なら、価値観の相違や性格のズレすらを認め合い味わうことができた。

幼「辛そう……まだ保つ?」

男「やばいかも。責めていい?」

幼「うん……気持ちよくして」


一度腰の動きを止めて、横たわる彼女のわき腹に手を伸ばす。
体温を伝えるように弱く包むと、んふっ、と嬉しそうに鼻を鳴らした。

幼「やさしすぎ……」

男「あんま良くないか?」

幼「ううん。気持ち良いってより、心地良い……もっとしてよ」

胸を軽く撫ぜながら手を登らせ、5本の指先を首すじにピト、ピト、と付ける。

幼「それ、好き……」

何度かやる度、離れる指に合わせて幼はぴくんと反応するようになっていた。

男「んしょ」

身体を起こし、体重を支えていた手をフリーにすると、彼女の両手を握る。

幼「何するの?」

男「何しよう……」


少し考えたあと、彼女の細い両手首を片手で留める。もう片方の手の指で二の腕を意地悪く撫でてみた。

幼「っ……っう……」

さぞくすぐったかろう。俺と幼のお気に入り、フェザータッチだ。

幼「っ、うう、ひあぁ……! もうっ、はーなーしーてー!」

男「だーめ」

幼「くす、くすぐったいのー! あっちょ、あうぅ……!」

彼女がこそばゆさに耐えるたび、彼女の中がきゅ、と締まる。


少し考えたあと、彼女の細い両手首を片手で留める。もう片方の手の指で二の腕を意地悪く撫でてみた。

幼「っ……っう……」

さぞくすぐったかろう。俺と幼のお気に入り、フェザータッチだ。

幼「っ、うう、ひあぁ……! もうっ、はーなーしーてー!」

男「だーめ」

幼「くす、くすぐったいのー! あっちょ、あうぅ……!」

彼女がこそばゆさに耐えるたび、彼女の中がきゅ、と締まる。
たまらなくなって、拘束した手の指先を口元に持ってきた。

男「綺麗だよな、指。いただきます」

幼「う……っ、ううう……!」

手のひらのど真ん中に舌をちょん。
他の場所に触れないようにしながら、指の股をちろちろ。
口にたくさんの唾液を溜めて、人差し指をとろかすようにじゅぷじゅぷ。

彼女は取り憑かれてしまったように俺の舌の動きを見つめていた。
ここで、一度口元を離してみる……。

幼「………………はぅ……」

気持ち良くて息を止めていた身体が、緊張を解いた。無意識だろう、彼女の中がにゅく……と蠢き、どうしようもない獣欲を刺激する。


やめちゃうの?という安堵と困惑の視線を受け、再び彼女の指を咥えた。

幼「うう~……男のくちのなか、やだっ、あうう……」

口の中でやわやわと舌を押し付けてみたり、手のひら側を舌先で優しくなぞり上げたり。
2本咥え、唇ではむはむと食んでみたり間に舌をにゅるにゅるねじ込んでみたり。

幼「あ、あ、ああ……」

男「ぷは。幼、逃げなくていいの? 俺、いつまでも指しゃぶっちゃうかもよ?」

幼「え、そっ、ヘンタイ……! やだよ、気持ち良いけど、これダメだよぉ……!」

彼女の指が、頑張って俺の口から逃げ始めた。指をイヤイヤとくねらせたり、ほっぺたを押して脱出したり。
ここで意識を手に戻し、二の腕の下の方を指先でしつこく、つつ、つつーっ、と撫ぜ撫ぜ。

幼「っ、ぁあぁあぁ……!!」

ほら、背中ぞわぞわ。

腰を小さくイヤイヤして、身体の震えに乳首がふるふる揺れてる。
その顔はもうとても切なそう。

気持ち良くなって、いいよ。
そう囁いて、腰を再び動かし始めた。


腰に力を込めると自分のモノが少し大きくなり、みちっ、と詰まった感触がする。上に曲がろうとするちんこが、天井のざらざらとした所に擦れる。

男「う……く」

幼「ぁ。……ぁぁあ、あーっ、あー、あー! おかし、あああ!」

彼女の声が高く、熱く、耳腔を焼く。気持ち良い……けど、溺れたらダメだ。もうひと踏ん張り。

頭を撫でながら、小指の腹で耳の後ろをこちょこちょ。
もう片方の手で太ももの外側をこちょ。すぐによじれた身体のわき腹をこちょ。
仰け反って晒された首とうなじを両手でこちょこちょ。


幼「ひ……ぁ、あ、ぁあ、あああ」

愛撫に対する幼の反応が鈍感になる……けど、これは刺激に慣れてきたわけじゃない。
触れてなくてもビクつく身体。夢心地であるかのようにとろけた目。

身体がもう、「イイところ」に入ってしまったのだろう。

幼「ぁ、ああ、だめ。だめ。もうきちゃう、きちゃうから……!」

彼女のベクトルが内を向く。敏感な、身体の内側を無意識に守ろうとする。
ひざ、ひざ、うで、うで。植物が丸まるように、彼女の身体が閉じていき……。

男「行くよ」



そして彼女は、その内を破られるのが大好きだ。


ぎゅっ!

幼「……あ。だめ、これ、あ、くぅん……!」


身体全体を割り込ませ、過敏になった幼の身体を抱き締める。
痺れた肌に体温を伝えるように。惑う身体に居場所を伝えるように。

優しく、全身で圧迫する。

幼「あ、あ、あ、」

来たっぽい。

俺も腰の我慢をやめ、本能に任せ腰を揺すった。

意識も揺らぐ芳香と、あり得ないほど柔らかな女性の肌が、10秒とかからず俺の男を満たし尽くす。

男「うあ、ぁぁあああ……!!」


身体全体を割り込ませ、過敏になった幼の身体を抱き締める。
痺れた肌に体温を伝えるように。惑う身体に居場所を伝えるように。

優しく、全身で圧迫する。

幼「あ、あ、あ、」

来たっぽい。

俺も腰の我慢をやめ、本能に任せ腰を揺すった。

意識も揺らぐ芳香と、あり得ないほど柔らかな女性の肌が、10秒とかからず俺の男を満たし尽くす。

男「うあ、ぁぁあああ……!!」
幼「あー! あー! も だめ、ふあ、ひゃぁああん……!!」

絶対に引き返せないエクスタシー。
ふたりは迷わず、お互い同士を最高の瞬間へ。



ふたりの限界が弾けた。


男「っ! くふ、はぁぁ……!」
幼「ん! ーー!! ーー!! ぁ、ーーーー!!」

絶頂でも逃がしきれない悦楽が身体の中で乱反射し、ふたりの震えとして火花が散る。

絶頂のテンポ、神経のビクつき、性の鼓動が、全身を共有するふたりの心臓。


男「はあ、はあ、はあ、……」
幼「ふう、んっ、あっ……! あうう……」


心臓が止まるまで、ふたりはどんなことも分かち合う「ひとつ」だった。

…………。


…………。

幼「あはは、パンパン……」

男「……割れなくて良かった」

どちらからともなく布団に力尽きた俺たち。朦朧とする意識の中で、幼が大きく膨らんだコンドームをつついていた。


…………。

幼「あはは、パンパン……」

男「……割れなくて良かったよ」

どちらからともなく布団に力尽きた俺たち。朦朧とする意識の中で、幼が大きく膨らんだコンドームをつついていた。

幼「取っていーい?」

男「飲むなよ?」

幼「うふふ、ばかー……」

幼の手で根元から取り去られたコンドーム。彼女は液溜めのところを人差し指でタポタポして遊んでいた。

幼「すごい量。うわー、あったかい……」

男「ああ……」

幼「眠い?」

男「眠い……」

幼「だめだよー、男はもうヘロヘロでも、わたしはホントはまだまだ行けるんだからねー?」

男「タフだな……」


彼女の身体はまだ熱い。熱の余韻というよりは、まだ火種が中でくすぶっているようだった。

幼「エッチしなくて良いから、良い気分にさせてよぉ……」

男「そうだな」

ばさっ、と布団をかけ、彼女の肩を後ろから抱く。彼女の力を抜かせ、俺の胸に預けさせてみた。

男「よくわかんないけど……これで良いのか?」

幼「うーん、最高……」

彼女の後ろ髪が、胸元をくすぐる。

男「いいにおいだよな、おまえ……」

幼「あ、そのまま寝ちゃダメだからね。今日は、聞きたいことあるんだから」


男「んー? なんだ……?」

眠気に耐えられず、瞳を閉じたまま男は言う。

幼「前から思ってたんだけど、あんた、エッチすごい上手だよね」

男「そうなのか……?」

ちょっと白々しいとは思う。正直セックスは楽しみであり、得意である。
他の男と比べたことなんてないから分からないけど、自分がされて気持ち良いと思う事は大抵相手にやってあげた。
愛撫なんて直感と想像力の運試し。出会ってきた人の反応を見るに、ただそんなことで十分なのである。

幼「いや、その、単純に上手いなーと思って。その代わり、あんま愛はないけど」

男「お前は凄いよな……」

幼は身体を重ねる時、どちらが主導権を握ろうともその瞳から愛情が絶える事はなかった。

もっとしてあげる。
もっとして。

目の前の、俺という存在が、そんな瞳で愛されている。
彼氏とか、伴侶とか、想い人とか、そんな理由もなく、ただそこにいる存在が愛されている。

セックスにおいて、ただそれだけの事がどれだけ素晴らしいのか。
俺にも愛を求めるあたり、彼女自身が一番分かっているのだろう。


男「でもなんだろう……おまえって、愛がきもちいいって分かってるわけじゃん……?」

幼「うん。男もそうでしょ?」

男「んー。つまりさー、それって技術みたいなもんじゃない?」

幼「技術?」

男「そーそー。計算?というか、自分が愛情を持つことで、相手が悦ぶって分かってやってるんだからさ……ふぁあ」

幼「あー、ごめん、それはあるわ。男のすること、わざと喜んで受け入れればもっと色々してくれるーみたいな打算はあるし」

男「いや、別に、気にしてねーよ……? 伝わってるし」

幼「いや、私も今日思ったんだけどさ。私がそういう風に……ある種、余裕の対応なのに、男はひたむきに責めてくれるし、感じてる事とかも正直に言うし」

幼「だって、そういうのって一途じゃん。エッチに対して、愛が無い、愛が無いって言ってたけど、私と形が違うだけなのかも。って」

男「おまえがどう思うか……が、愛じゃね?」

幼「だとしたら、今日ちょっと見直したかも……うふー」


愛のこもった笑顔が、胸の中でこぼれている。

男「……ふふ」

俺もつられて笑ってみよう。どう映るかは、彼女次第だけれど。



一途な技巧と、
計算的な愛情。

それを同じくして繋ぐものは、身体か、それとも何か別の心か。

男(ダメだ、考えてたら、ねむ、ぐ……)

明日になれば、またすぐ仕事。プライベートで会っても、なんだかんだ憎まれ口ばかり。

けれど、身も心も裸でいる、今だけはーー

身をよじった幼の唇が、男の耳に触れた。


幼「大好き」

おわりです。
本当はもう少し短くするつもりだった。
完結スレに依頼する時はググってPC版のうらるをコピペで良いんですかね?

>31の最初の文がよく見えない

>>32

幼(ふふっ、言っちゃった……。今度はちゃんと起きてる時に耳もとでーー)


男「俺もだぞ」
幼「ひゃあっ!?」

ほんとにおわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月19日 (土) 00:59:44   ID: k52a1nXv

胸糞かと思ったらなんか爽やかだった

こういうの好きだぜ

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