mp3プレイヤー「……」MDプレイヤー「――ッ!」(30)

MD「mp3プレイヤーさんの凄さは認めます。でも――」

mp3「私は意志を持てない。だからこれは男の決定」

mp3「何度も言ってる。MDのあなたは捨てられる、と」


MD「……そう、ですよね……私、ダメなんですよね……っ」

MD「わざわざMDに焼かないと聴かせられないし――」

mp3「それに、あなたは重くて、持ち運びに適さない、から」


mp3「……明日は、資源ごみの日ですね。おやすみなさい」

私は私へ縛りを課そうかなと思います。


・注意力を散漫にする縛り。過信は厳禁なので……

・七行に統一する縛り。主には省略を避けるためです。

・地の文を規制する縛り。"人物「内容」<br>"を使用します。

・書き溜めを禁止する縛り。具体的には……まぁ。

・差し戻しを禁止する縛り。今度は――気をつけます。


以上の5つです。それでは、レ・タセ・モア――です!!

男「mp3プレイヤー、か……ありがとな、女」

女「いいってことよ! これは私からのプレゼントだからね~!」


男「……」

mp3プレイヤー「……」

男「……っ」


女「それ、見つめるのが真価じゃないよ。たぶん……」

女「音楽が聴けるんだよ! って、それぐらい分かるかー! あはは」

男「……分かった! ありがとう、女……」

男「――じゃあな。俺、帰ってこれ使うのが楽しみでさ!」

女「オッケー! じゃあ、また今度ね!」

男「……ああ、じゃあな。女」


男「でもこれ、使い方が分からんな……」

男「仕方ない、ネットで調べるしかないかな――」


MDプレイヤー「何かお困りですか、ご主人様?」

男「ああ、MDか……あのな……ゴメンっ!!」

MD「!? えっと、な、何のことでしょうか?」

男「……女から、mp3プレイヤーってのを貰ったんだ」

MD「えっと……新世代の音楽再生機ですね!」


MD「確か、たくさん……およそ数百数千の曲が入るらしいですよ!」

MD「でも、ラジオは聴けないみたいですね……ははは……」


男「いやー、それがラジオは携帯とかでも聴けるらしいな。最近は」

男「まぁ、携帯ラジオも、このmp3プレイヤーも、使い方が分からん」

男「てなわけで、今から調べるんだが……MDは何か知ってるか?」

MD「そうですね……どうやら、ゆーえすびー、ってのを使うそうです」


男「ゆ、USB? あれ信用できんの?」

MD「さ、さぁ……最近は、だいぶマシになったんじゃないでしょうか」


男「なるほどな……ありがと、MD」

MD「……はい」

じ、時代はラン・ケーブルなんだぜおまいら?

男「数時間後」


男「……とりあえず、電源は入ったみたいだわ」

MD「すぅ……すぅ……」

男「寝ちゃった、か……ありがとな、MD」

mp3「……?」


mp3「あなたが私の主人ですか?」

男「……やっぱり、喋るのな。俺は男だ。よろしく」

mp3「なるほど。私の起動に苦労していたのですね」

……なんで省略食らったんだこれ?
ちと休憩す。

男「ま、まぁな……説明書はまず読まないし、機械も強くないな」

mp3「でも大丈夫です、男さん。ぴったりの機能があります」


mp3「男さんの資料があれば、好きな音楽を算出できます」

mp3「さらに、趣味思考のあった音楽を自動でダウンロードします」

男「……ヤバいなそれは。化学の進歩ってすげー」


mp3「何か資料を下されば……可能ですが」

男「んー、ここにたくさん、MDのディスクがあるけど」

mp3「……すみません。私は初めて見ました、それ――」

男「へ? マジか……すまん、読み込めるか?」


mp3「無理です」

男「なるほど……じゃあ数はそんなにないけど、そこにCDがある」


mp3「CDですね。明日朝までに読み込んで、ダウンロードできます」

男「ああ……ちょっとやってみてくれ」

mp3「分かりました。おやすみなさい、男さん」

うう……歯がゆいよ……
SS<クーツェン・スケッチ>が、私を呼んでいる気がして――

ん? おやすみ諸君。

mp3「……MD、ですか」

mp3「時間は掛かるけど、こっそり読み込んでおきましょうか――」

mp3「……男さんを、驚かすために」


mp3「それにしても、時代錯誤な人です」

mp3「機械音痴に、古いPC持ちだし」

mp3「挙句の果てに、MDですか……私が使えないのも納得」


MD「………」

男「次の日」


男「大学行ってくるわ。じゃあな」

MD「それでは、行ってまいります。mp3さん」

mp3「……えっ? わ、私は……」


MD「あっ、そうです男さん。mp3さんも連れて行ってあげましょうよ!」

男「……ごめんな。ちょっと留守番だ」

男「校則で禁止されてるんだよな、mp3プレイヤー……ほんとごめん」

MD「道中にて」


MD「そういえばご主人様、どうしてmp3プレイヤーは禁止なのですか?」

男「……逆に、MDプレイヤーが禁止されていないのが例外だな」


男「校則で禁止するまでもなく、誰も持ってないから――」

MD「そ、そうなのですか……」

MD「……」

男「……なんかゴメン」

MD「昼休み、食堂にて」


MD「~~♪」

女「やぁ、男くん! こりゃまた奇遇だねぇ」

女「あちゃー、やっぱり使えてないか……」

男「あ、あぁ……昨日はたしか起動しかできてないな……」


女「そこまでか……こりゃ重症だね」

男「酷い言われようだね。事実だけどさ」

女「それって……あぁ、あのMDプレイヤーね」

男「……こいつが居るから、機械に強くなる必要もなかったしな」


女「いや、CDを買ってMDに焼くって……そっちのほうが辛くない?」

男「慣れてるからなぁ……どうなんだろ」

男「それに、直接録音やラジオからの録音もできるしな」

男「とりあえず、困ってはないさ」


女「そ、そっか……うん。わかった。 じゃあ、私はそろそろ帰るね~」

女「帰路」


女「結局、私との会話中もずっと片耳イヤホンしてたしなぁ……」

女「MDプレイヤーに負ける女って、人間としてどうなのさ――」

女「……ま、あいつは会ったときからああだったからなー」

女「気にしない! よし!!」


女「……」

女「MDプレイヤーに発情?  ――の線は、さすがにナシか」

mp3「お帰りなさい、男さん」

男「ああ、ただいま」

MD「ただいま、です」


mp3「……」

MD「……ッ!」


男「ど、どうかしたのか? 二人とも――」

二機「「いいえ」」

寝るよ。おやすみ。

帰省。そして再開。

MD「明日のこの辺りの降水確率は30%程ですね」

MD「念のため、折りたたみ傘は用意しておいたほうがいいかな、と」

男「なるほど。いつも参考になるよ」


mp3「そういえば、MDプレイヤーさん」

MD「えっと、MDって略してもらって大丈夫です」

mp3「なら、MDさん」


mp3「そのデータ元は、どこにあるのですか?」

MD「え、えっと、その……ら、ラジオですっ」

mp3「でも、ラジオにはたくさんの放送局があるはず」

mp3「どれをいつ見るかは、どう決めたのですか?」


MD「どうって……言われてもなぁ――決めたの私だし……」

mp3「決めた――!?」


MD「き、決めないんですか? mp3さん……」

MD「その、聴いてる人の調子を見て、流す曲を決めたりとか――」

mp3「……っ、勿論、できます……加え、ランダムも、リピートでさえ」

MD「なるほど。それはかなり魅力的ですね!」

mp3「はい、魅力的なんです……おやすみなさい。mp3さん。男さん」

男「ああ、おやすみな」


mp3「私に足りないとしたら、それは唯一。完璧すぎるゆえの欠陥」

mp3「自由意志の欠如、ですか……はぁ――」


mp3「どうか、私に力をください……"ご主人様"――」

闇の集会に参加してきます。皆さんおやすみなさい。

mp3「朝」


mp3「おそらく、暇だなと思うのは自由意志を習得したからだろう」

MD「……あ、起きていらっしゃったのですね」

MD「おはようございます、mp3さん」


mp3「少し、質問がありますが」

MD「はいはい、何でしょうか」

mp3「実は、男さんが私を使ってくれないのです」

MD「なるほど……じゃあ、自分をアピールしてみるのはどうでしょうか」

MD「小さいのが取り柄なら、カバンに忍び込んでみたり」

MD「音質が取り柄なら、スピーカーで流せばいいのです!」

mp3「ご丁寧に、ありがとう」


mp3「スピーカーは……無いらしい」

mp3「そしてバッグに入ったら、気づかれない可能性も……」


MD「大丈夫です! きっとmp3さんなら――!!」

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