蒲原「ワハハ、パンダの世話をするぞー」(173)
ゆみ「パンダの世話? お前がか?」
妹尾「でもどうして智美ちゃんが?」
蒲原「ワハハー、私の親戚が上野動物園で働いていてなー。 1日だけお世話をさせてもらえることになったんだ」
モモ「すごいっす、先輩!」
――――――――
蒲原「あ、あれー・・・? パンダ、動かなくなっちゃったぞ・・・?」
11:蒲原「ワハハ、パンダの世話をするぞー」 (5)
12:パンダの赤ちゃん死亡 (537)
蒲原「ど、どうすれば・・・」
蒲原「・・・誰か来る?」
――――――――
衣 「ぱっんだー♪ ぱっんだー♪」
透華「ふふ。衣ったら、あんなに嬉しそうに・・・」
国広「ずっと楽しみにしてたもんね。パンダの赤ちゃん見るの」
智紀「昨日なんて、夜に弱い衣が朝まで寝ていなかった・・・」
純 「朝まで付き合わされて大変だったぜ。ほら、クマが・・・」
衣 「透華、透華! とうとうパンダが見れるのだな!」
透華「ええ、もちろんですわ! これも龍門渕グループの力があってこそですわ!」
透華「オーッホッホッホ!」
――――――――
蒲原「・・・ワハハ、困ったなー・・・」
蒲原「ワハハ、ええっと、えっと・・・ とりあえず隠さないと・・・」
蒲原「といっても、こんなとこに隠す場所なんてあるわけないぞー・・・」
蒲原「・・・ん?」
――――――――
透華「さあ、ここにパンダがいますわよ!」
衣 「わーい! パンダパンダー♪」
国広「あれ? キミは・・・」
蒲原「ワハハー、よく来たなー」
純 「・・・誰?」
透華「確か鶴賀の」
智紀「鶴賀の中堅・・・蒲原さん」
透華「どうしてあなたがここにいますの?」
蒲原「ワーハハ、親戚のおじさんがここで働いててなー。パンダのお世話を手伝わせてもらうことになったんだー」
衣 「と、透華・・・。パンダ、いないよ・・・?」
透華「蒲原さん。パンダは今どこに?」
蒲原「わ、ワハハ。えっとなー、パンダは今検査に連れていかれてなー」
智紀「・・・嘘」
蒲原「え?」
国広「今日は透華がムリを言って、この時間だけは絶対にここに置いておくよう言ったはずなんだ」
透華「無論、逆らったら龍門渕グループの力でクビですわ、クビ」
蒲原「えっと、それはだなー・・・」
透華「・・・蒲原さん」
透華「パンダを、どこにやりましたの?」
蒲原「・・・ワハハ、目が怖いぞー。まあそう殺気立たず・・・」
透華「話を逸らさないでくださいまし!」
衣 「衣、パンダ見れないの・・・?」
国広「だ、大丈夫だよ! すぐにパンダ見れるから!」
――――――――
純 「ぶえっくし!!」
純 「あーチクショウ、昨日のせいで風邪患いちまったかな・・・」チーン
純 「えーっと、ゴミ箱どこだ・・・」
蒲原「!」
蒲原「ゴ、ゴミなら私が・・・!」
純 「ええ? いやいいよ、汚いし・・・」
蒲原「そんなこと言わずに・・・!」
純 「ああ、あったあった・・・・・・」
純 「・・・・・・!」
透華「どうしましたの、純?」
純 「ああ。これ見てみろよ」
透華「ゴミ箱がどうかしましたの? ・・・!」
国広「こんな、酷い・・・」
衣 「衣も見るー!」
智紀「あっ、衣・・・」
衣 「んー? ・・・あっ、パンダ!」
透華「ダメ! 見てはいけませんわ!」
衣 「そうか、かくれんぼしてたんだな! でも衣が見つけたぞ!」
衣 「・・・?」
衣 「ねえ、透華・・・ パンダ、動かないよ・・・?」
透華「・・・」
蒲原「ワハハ・・・違うんだ、これは・・・。 そう! 私も今来たばかりで・・・!」
衣 「なんでパンダ動かないの・・・? 衣、何か悪いことしたのかな・・・」ウルッ
国広「衣・・・」
智紀「・・・パンダの様子を見るに、死んでからまだ時間はあまり経っていない。
ゴミ箱に隠されたのはほんの少し前と思われる」
衣 「・・・パンダ、死んじゃったの・・・?」
国広「っ! ともきー!」
蒲原「ち、違う! 私じゃないんだ! 私じゃ・・・」
純 「どう考えたってお前が犯人じゃねえか! オレ達が入ってきたとき、部屋にはお前しかいなかったんだぞ!」
蒲原「そんな・・・」
透華「・・・もういいですわ、純」
純 「でも透華!」
透華「お黙りなさい」
純 「・・・分かった」
蒲原「ワハハ・・・信じてくれるのか? 私を・・・」
透華「蒲原さん・・・でしたわね」
透華「ここから出ていきなさい。今すぐ」
蒲原「・・・え?」
透華「聞こえませんでしたか? 出ていきなさいと言ったのですわ」
蒲原「でも、それじゃパンダが・・・」
透華「・・・・・・っ」ギリッ
透華「あなたの顔を見るのが不愉快だと言っているのですわ!
声を聞くのも! 言い訳をする無様なサマを見るのも!」
蒲原「そ、そんな・・・」
やめろ
見ていて辛い・・・・
続けろ
透華「・・・それに」
衣 「衣・・・パンダ見るの楽しみにしてたのに・・・。ずっと、楽しみにしてたのに」ポロポロ
智紀「衣・・・」
透華「衣を落ち着かせてあげなければいけませんわ。正直、あなたがいては邪魔ですの」
蒲原「・・・ワハハ・・・。」
透華「・・・早く、行ってくださいまし」
透華「これ以上あなたの顔を見ていては、龍門渕家にあるまじき言葉を吐いてしまいそうですわ・・・!」
――――――――
蒲原「・・・」
蒲原「このくらいでは泣かないぞ」
【翌日】
蒲原「・・・」
蒲原(・・・何を暗い顔をしてるんだ、私は)
蒲原(あのパンダは仕方ないことだったんだ。昨日も自分に言い聞かせたじゃないか)
蒲原(こんな時こそ、ワハハと笑い飛ばさなきゃなー)
蒲原「・・・よし」
蒲原「ワハハー、みんな今日も元気かー?」
モモ「あっ、先輩! どうでした?」
蒲原「? 何のことだー?」
ゆみ「何って決まってるじゃないか。パンダだよ、パンダ」
蒲原「あ、あー。パンダかー」
睦月「さっきもみんなで話してたんですよ」
妹尾「やっぱり可愛かった? もこもこしてた?」
蒲原「ワハハー・・・。 か、可愛かったよ」
妹尾「やっぱり! いいなー、智美ちゃん!」
睦月「今度私も連れて行ってください!」
モモ「むっちゃん先輩だけずるいっすよ! 私もパンダ見たいっす!」
ゆみ「こら、蒲原に迷惑だろ」
蒲原「わ・・・ワハハ・・・」
妹尾「・・・? 智美ちゃん?」
蒲原「! そ、そろそろ部活始めるかー!」
蒲原(あ、危ない・・・顔に出てた・・・?)
――――――――
ゆみ「ロン。7700だ、蒲原」
蒲原「ワハハ、ゆみちんは相変わらず強いなー」
モモ「何言ってるんすか先輩。こんなド裏スジ、誰でも待ちが分かっちゃうっすよ」
妹尾「わ、私は分からなかったなー」
蒲原「そうだなー。 いや、参ったなー・・・ワハハ」
ゆみ(・・・蒲原のヤツ、今日は何かおかしいな・・・)
睦月「あーっ!!」
ゆみ「ど、どうした睦月。そんな大声を出して」
睦月「今日、16時から小鍛治プロの対局の実況があるんでした!
録画し忘れてた・・・!」
モモ「なんだ、そんなことっすか・・・てっきり重大なことかと」
睦月「重大なことです! ああ、今日タイトルが決まるかもしれないっていうのに・・・」
睦月「・・・部長! このテレビ、付けてもいいですか!?」
蒲原「ワハハ、まあ仕方ないなー。特別だぞー?」
睦月「あ、ありがとうございます! 部長!」
ゆみ「おい、蒲原」
蒲原「まあいいじゃないかー。麻雀に無関係でもないんだし」
ゆみ「そりゃそうだが・・・」
睦月「えーっと、1チャンネル1チャンネルっと・・・」
『タイトル戦を生中継する予定でしたが、変更してニュースをお伝えします』
妹尾「あれ? 緊急ニュースみたいだよ?」
睦月「そんな・・・ タイトル戦が・・・」
モモ「それより、何のニュースっすかね?」
『先日生まれたパンダの赤ちゃんが、昨日死んでいたことが上野動物園より発表されました』
・ ・ ・
妹尾「・・・え?」
睦月「・・・先輩!」
モモ「先輩、どういうことっすか! あのパンダ、死んだって・・・!」
蒲原「わ、ワハハ・・・」
蒲原(どうする・・・? 正直に本当のことを話すか? 『何もしてないけれどパンダが死んだ』って)
蒲原(・・・でも、龍門渕の人たちは信じてくれなかった)
蒲原「・・・驚いたなー。昨日私が世話してたときはなんともなかったのに・・・」
睦月「それじゃ、蒲原先輩はこの件に関係は無いんですね?」
蒲原「当然だろー。 いや、ホントにびっくりだなー、ワハハ」
妹尾「そ・・・そりゃそうだよね! あはは!」
蒲原「ほらほら、確かにパンダは可哀そうだけど、今はそれより地区予選だぞー! 麻雀再開するぞー!」
モモ「そうっすね」
ゆみ(・・・蒲原)
――――――――
【部活後】
蒲原「まさかニュースになってるなんて・・・」
蒲原「・・・? ゆみちんからメール?」
[From:ゆみちん]
[話がある。18時に駅前の喫茶店で会えないか?]
蒲原「話・・・なんだろなー」
【喫茶店】
蒲原「ワハハー。ゆみちん、お待たせー」
ゆみ「いや、私も今来たところだ」
店員「ご注文をお伺いしますー」
ゆみ「コーヒーをブラックで」
蒲原「炭酸水1つで」
店員「かしこまりましたー」
ゆみ「お前、喫茶店で炭酸水って・・・」
蒲原「ゆみちんは分かってないなー。喫茶店は炭酸水で質が分かるってね」
蒲原「・・・ところで話って?」
ゆみ「ああ。 蒲原・・・」
ゆみ「お前、何かあったのか?」
蒲原「・・・何かって」
ゆみ「今日のお前の打牌だが、あまりに酷すぎた。心ここにあらず、だ」
ゆみ「私やモモ、妹尾や睦月が話しかけても反応が鈍かったしな」
蒲原「ワハハー、そりゃゆみちん気にし過ぎだって! 私を気遣ってくれるのは嬉しいけど」
ゆみ「特に、睦月がテレビを付けてからは更に酷くなったな」
蒲原「・・・」
ゆみ「・・・なあ、蒲原。本当は昨日、何かあったんじゃないか? パンダのことで・・・」
蒲原「・・・ワハハ、ゆみちんには隠し事は出来ないなー」
ゆみ「じゃあやっぱり・・・」
蒲原「ゆみちんには話しておくよ、本当のことを・・・」
・
・
・
・
・
・
俺「なるほどな」
ゆみ「・・・そうか、そんなことが」
蒲原「でも私はやってないんだ!」
ゆみ「ああ、分かってるさ。お前はそんな酷いことが出来る人間じゃない」
ゆみ「それは私が一番よく知ってるよ」
蒲原「ゆみちん・・・」
蒲原「・・・あ、あれ?」
蒲原「ワハハ、涙が・・・」ポロポロ
蒲原「おかしいな・・・こんなことでは泣かないって、決めた、はずなのに・・・っ」
ゆみ「蒲原・・・」
ギュッ
蒲原「ゆ、ゆみちん? そんな、人前で・・・」
ゆみ「大丈夫だ、蒲原。私はお前を信じている。だから安心するんだ」
蒲原「・・・うっ」
蒲原「うああぁぁぁぁぁ・・・」
――――――――
ゆみ「落ち着いたか?」
蒲原「・・・うん」
ゆみ「そうか。なら良かった」
ゆみ「・・・蒲原。私はいつでもお前の味方だ。何かあればいつでも私に相談してほしい。
・・・その代りと言ってはなんだが」
蒲原「?」
ゆみ「お前は、いつも通りのお前でいてほしい。私は普段のお前が好きなんだ」
蒲原「・・・ワハハ」
蒲原「いやー、さすがにそんなこと言われると私も照れちゃうなー。『普段のお前が好き』だなんて」
ゆみ「!? いや、そういう意味の『好き』じゃなくてだな・・・!」
蒲原「ワーハハ、気にしない気にしなーい! 私はどっちの好きでも嬉しいぞー?」
ゆみ「・・・まったく」フッ
モモ「・・・そういうことだったんすね・・・」
俺「…どうやらそのようだな」
これでモモがワハハの無実を証明するためにステルス駆使して奮迅してくれたら惚れるわ
俺「・・・待たせたな」
【龍門渕家】
透華「・・・それは本当ですの?」
智紀「間違いない。蒲原智美が上野動物園のパンダ飼育室に入ったのは10時、他の飼育員が証言している。
けれど、パンダを解剖したところ死亡推定時刻は8時頃と分かった」
国広「それじゃ、蒲原さんは本当に・・・」
純 「でもさァ、国広クン? アイツはパンダの死体をゴミ箱に捨てやがったんだぞ?
そんなゲスいことしてるヤツが犯人じゃないってのは」
智紀「そのまま死体を置いておけば、間違いなく犯人扱い。
そしてパンダを隠せるような場所はゴミ箱しかなかった」
純 「まあ・・・確かに、そんな状況ならオレも同じことしたかもしれないけどさ・・・」
国広「・・・どうするの、透華?」
純 「確かに、アイツが何もしてないってなら謝らなきゃだよな」
国広「透華っ」
透華「・・・」
透華「・・・このまま、黙っていましょう」
国広「と、透華!?」
純 「どうしてだよ!」
透華「智紀、パンダの死因は?」
智紀「直接的な死因は窒息。恐らく、急激な環境の変化によるストレスによるもの」
国広「急激な環境の変化? それって・・・」
透華「ええ・・・」
透華「ムリを言って、私があの飼育室に移させたことでしょうね」
これは許されない
蒲原「ワハハ、大丈夫だ。 私は透華を許すぞ」
純 「・・・それじゃ、何か?」
純 「透華。お前は自分の責任でパンダが死んだのを、他人に押し付けようってのか?」
国広「ちょ、ちょっと純くん・・・」
純 「ふざけんなよ! お前がそんな曲がったことをする人間だとは思ってなかった!」
純 「今俺たちがこうしてる間にも、アイツは・・・蒲原は、苦しんでるんだぞ!
やってもいないパンダ殺しの罪悪感に・・・ オレ達に罵倒されたことに!!」
透華「・・・」
純 「・・・はーっ、はーっ・・・」
智紀「・・・透華をあまり責めないでやって欲しい」
純 「智紀・・・」
智紀「透華は、自分だけのためにこんなことをするダメな子じゃない」
純 「じゃあなんだよ、何か理由があるってのか?」
透華「・・・衣の、ためですわ」
国広「衣の・・・?」
透華「ええ。そもそも私がパンダを移させたのは、衣にパンダを見せてやるためでした」
純 「確かにそうだけどさ・・・それが何だってんだ」
国広「・・・まさか」
智紀『衣がパンダを見たがりさえしなければ、透華はパンダにムリをさせなかった』
智紀『パンダが死ぬことも無かった』
智紀「透華は、衣がそう思って責任を感じてしまうのを防ぎたいの」
透華「・・・大人びた風を装っていますが、衣の精神はまだまだ子供。
そんな衣が、もしこの事実を知ってしまったら・・・・・・。」
透華「私だけならどうなってもいいのです! ですが、衣にまで責任を背負わせるのは・・・!」
透華「・・・とても、耐えられませんわ」
すげぇクズwwww
ガチャ
衣 「トーカ・・・」
透華「あら、どうしましたの?」
衣 「その・・・一人で寝るのが・・・」
透華「あらあら。それじゃ、今日は絵本を読んであげますわね」
衣 「うん・・・ありがと、トーカ」
透華「・・・それじゃ、私は衣を寝かしつけてきますわ」
ガチャ
国広「・・・純くん?」
純 「・・・確かに、衣のためってのは分かる」
純 「分かるけどよ・・・!」ゴンッ
国広「純くん! 手、手ケガするよ!」
純 「こんなのっ! 間違ってるだろ! 何もしてないヤツが罪を被るだなんてっ!」ドンッ ドンッ ドンッ
純 「・・・でも・・・どうすりゃいいんだよ・・・!」
「・・・」
純「目の前の人間1人救えないなんて……っ!」
――――――――
透華「―――と、こうして小鍛治プロはアラフォーになる前に結婚できたのでした。めでたしめでたし」
衣 「・・・くー」
透華「・・・ふう。やっと寝付きましたわね」
透華(やっぱり、まだパンダのことを引きずってるのかしら)
透華(ただでさえ堪えてるのに、その上パンダが死んだ責任が自分にもあるなんて知ったら・・・)
透華「・・・やっぱり、衣には黙っていないといけませんわね」
「ホントに、そうっすかね?」
透華「! 誰ですの!?」
モモ「お久しぶりっす、龍門さん」
透華「あなた、鶴賀の・・・」
透華「ってそれよりあなた! 不法侵入でしてよ!」
モモ「お気遣いなく、すぐに消えるっすから」
モモ!
信じてだぞ!
モモ「パンダの件、聞かせてもらったっす」
透華「あなた、本当に何者ですの・・・?」
モモ「いいんすか? 確かに、事実を黙っていれば天江さんはこれ以上傷つくことはないっすけど」
透華「もちろんです。あの子が罪に悩むことなど、あってはいけませんわ!」
モモ「そうっすね」
モモ「・・・そして、代わりにあなたが罪に悩むことになるっす」
透華「・・・」
モモ「龍門さん。
その選択じゃ、あなたは何もしてない人間に罪をなすりつけた罪悪感に苛まれ続けることになるんすよ」
モモ「あなたに、その覚悟があるんすか?」
透華「・・・あるに、決まってますわ。でなければこんな人道外れたことは致しません」
透華「全ては衣を護るためなんですから・・・!!」
モモ「・・・そうっすか。だったら、私は何も言わないっすけど」
透華「でしたらもう帰ってくださいまし!」
モモ「でも、いいんすか?」
モモ「起きてるっすよ? 天江さん」
透華「なっ・・・!?」
衣 「透華・・・」
透華「違うの衣、これは・・・!」
衣 「・・・やっぱり」
衣 「やっぱり、そうだったのだな・・・」
透華「衣、まさか・・・あなた」
衣 「薄々は感づいておった。 あの者・・・蒲原と言ったか。
県予選で一度顔を見たが、あのような醜悪な行動をする人間には見えなかった」
衣 「そうか・・・すべては、私が原因だったのだな・・・」
透華の顔に思いっきりグーパンしてぇな
衣 「これから衣はパンダ殺しの罪を背負って生きていかなければならないのだな・・・
これも致し方無し、か」
透華「衣・・・」
衣 「だが、衣はへこたれたりはしないぞ!」
透華「・・・え?」
衣 「先ほど、夢で会ったのだ。先日死んでしまった、あのパンダと」
衣 「パンダは言っておった。『自分の死で、他人の人生が狂ってしまうのは嫌だ』と・・・」
衣 「だから、衣は強く生きていくぞ! そうでなければパンダに示しがつかぬ!」
透華「衣・・・」
透華(・・・いつの間にか、こんなにも強くなっていましたのね・・・衣)
透華(すこしばかり、過保護すぎたのかもしれませんわね・・・)
モモ(これでヨシ、っすかね)
モモ(それじゃ、ステルスモモは退散させていただくっすよ) スーッ
――――――――
モモ(・・・ホントは、すごく迷ってたんす)
モモ(加治木先輩と蒲原部長が話してるのを見て、確かに最初は嫉妬が湧きあがったっす)
モモ(加治木先輩を取られた、って・・・。そして、蒲原部長を陥れれば先輩を取り戻せるかも、って)
モモ(・・・けれど)
モモ(けれど、そんなことをして先輩が喜ぶはずがないっす。先輩に悲しい思いはさせたくないっすから)
モモ(これで良かったんすよね、先輩)
モモ(・・・ 先輩・・・やっぱり、蒲原部長が好きなんすかね)
モモ「・・・あー、悔しいなあ! 先輩取られちゃったっす!」
モモ「けれどここは潔く身を引くっす! それが先輩のためっすから! うん!」
モモ「・・・」
モモ「先輩ぃ・・・」ウルッ
いい女だよモモ
――――――――
それから?
えっとなー、しばらくして龍門渕の人たちが謝りに来たんだー。
「アナタが何もしてないってことがハッキリ分かった。
どれだけ謝っても許されないとは思うが、それでも謝罪はさせてほしい」
ってな具合になー。
ワハハー、当然許してあげたぞー?
確かに辛かったけれど、私には信じてくれる仲間たちがいたからなー。
むっきー、佳織、モモ。
・・・そして。
蒲原「ワーハハ、お待たせー」ブロロロロ
ゆみ「遅いぞ、ってそれよりお前・・・ いつの間に自動車免許を」
蒲原「昨日だなー。いやー、ゆみちんを驚かせてやりたくて」
ゆみ「まったく・・・それで、私は助手席に乗ればいいのか?」
蒲原「そうそう。さ、乗った乗った! ・・・ちなみに、助手席はゆみちんが初めてだぞー」
ゆみ「! ・・・ふふ、まったくお前は」
蒲原「ワハハ。とりあえず・・・海に行こうか?」
おわれ
>透華「あなたの顔を見るのが不愉快だと言っているのですわ!
声を聞くのも! 言い訳をする無様なサマを見るのも!」
>透華「これ以上あなたの顔を見ていては、龍門渕家にあるまじき言葉を吐いてしまいそうですわ・・・!」
こんだけ大層な事言っておいて謝罪だけたぁ調子良過ぎねぇかブサイク
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