透華「ハイスコアガールですって?」 (75)
代行 ID:kRLcfIVVP
透華・純・一・智紀「「ころたんイェイ~♪」」
一「16歳の誕生日おめでとう、衣」
衣「ありがとう、衣おねえさんは感慨無量だ!」
透華「ケーキ、料理、バースデーソングと、これで一通りの演目は終わりましたわね」
一「それではパーティーといえばテレビゲーム大会、その2!!」
純「ああ、オレがさっき衣に完封されたやつな。それで今はなんのゲームを・・・」
智紀「・・・・・・」
ダダダダッッダダ ソニッソニッ! ソニックブーム!!
純「おっ、スパ4じゃん。珍しいな、智紀がRTS以外のゲームやってるなんて」
智紀「これ・・・・」ペラッ
透華「チラシですわね。“闘劇in長野~晩夏に轟く戦士たちの宴“・・・なんですの、これは?」
智紀「週末に、この近くで開かれる格闘ゲーム大会の案内・・・」
一「優勝者には、100種類の色鉛筆付きお絵かきセット進呈だって」
純「ゲームの内容と暑苦しいコピーに反して、またえらくファンシーな賞品だな、オイ」
衣「衣が頼んだのだ。お誕生日プレゼントは、これの優勝景品を所望と!」
智紀「調整は順調。大船に乗った気でいて欲しい・・・」
衣「色んな絵をかくんだ!楽しみー」
グラッ
一「あっ、椅子の脚が傾いて・・・っ!!」
智紀「危ない、衣っ・・・!」
ガターン!!
純「オイ!大丈夫かよ!?」
衣「ううーん、、、、衣は大事無い・・・」
智紀「・・・・・・」
衣「トモキ?トモキ!!?」
透華「ハギヨシ!ハギヨシはどこですの!?」
……
…
ハギヨシ「どうやら左手首の捻挫ですね」
ハギヨシ「幸い骨に異常は無いようですが、10日程は固定して安静にしました方がよろしいかと」
衣「うわぁぁぁあん!!トモキ、ごめんなさいー!!」
智紀「衣に怪我がなくて良かった・・・」
純「週末の大会は残念だったけどな。まあ、しゃあねーよ」
智紀「問題ない。闘劇には出場する・・・痛っ・・!」
一「ほら、ダメだよ。ジッとしてなきゃ」
衣・智紀「・・・・・・・・」シュン・・・
透華「・・・え~いっ!折角のお誕生会に辛気くさいったらありゃしませんわ!!」
透華「たかがゲームの大会に出られないくらいで何ですか!」
衣「トーカ・・・」
一「透華、ともきーは衣のために・・・」
透華「そんなことは問題ナッシング!わたくしが代わりに出場します!!」
一「え・・ちなみに透華は格闘ゲームの経験は・・・」
透華「もちろん、ゼロですわ!」
一「やっぱり・・・」
透華「ですから智紀!あなたが、わたくしに手ほどきしてくださいな!!」
智紀「・・・・!」
一「でも、それって数日の練習でどうにかなるものなの?」
純「格ゲーも何だかんだでセンスだからな。透華の器用さと反射神経があれば、案外いけるかもしれねえ」
純「まあ、大会の日までぶっ通しで練習することが大前提だけどさ」
透華「望む所!そんなもの、お茶の子さいさい、ウチの子16歳ですわ!」
智紀「・・・私が上達のためのカリキュラムと、各キャラごとの対策を教示する」
純「オレも練習相手くらいならやれるぜ」
衣「衣はがんばって応援する!!」
一「じゃあボクは、それを更に後ろで見てるよ!」
透華「さあ、そうと決まったら落ちこんでいる暇はありませんわよ!早速今から特訓ですわ!!」
トレーニング開始1日目
一「ハチマキしてる人がリュウで、こっちの軍人さんがガイルって言うんだって」
透華「変わったヘアスタイルをしてらっしゃいますわね。セットとかどうやっているのかしら?」
2日目
純「昇龍拳は、前に歩きながら波動拳を出す感覚でコマンド入力すると出やすいぜ」
透華「左側にいるときは出ますけど、右側になるとやりにくいですわー」
3日目
智紀「立ち回りでは、距離ごとの相手の行動パターンと対抗手段を常に把握していることが重要・・・」
透華「移動投げの間合いは、これくらいかしら。目押しはもう少し練度を上げる必要がありますわね」
4日目
透華「熱帯での、コアコパ→中P波動→セビキャン→ウルコンコンボも安定してきましたわ!」
衣「トーカ、格好いい!」
そして大会当日
一「あっという間に、この日が来ちゃったね」
純「まあやれるだけのことはやったさ、あとは・・・」
智紀「透華を信じるだけ・・・」
衣「日を経るに連れ、トーカは如意自在に繰っていた。きっと勝ってくれる!」
ミノル「さあ、今年もこの季節がやってまいりました!闘劇in長野!!」
ミノル「実況おなじみオールバックの紳士ミノル、解説は今年とあるプロ団体に入って絶好調のカツ丼さんでお送りします」
カツ丼「よろしくな」
ミノル「まずは午前中の予選でベスト8まで絞られますが、注目の選手は誰でしょうか?」
カツ丼「そうだな。今年もなかなか粒ぞろいだが、今やっている試合の中で面白そうなのはCブロックの・・・」
Cブロック予選決勝
にゃーに(エル・フォルテ)VSりゅうもん(ケン)
トスターダプレス!
ショーリューケン!!
KO!!
にゃーに「あーっ!カナちゃんのフォルテがー!!」
にゃーに「りゅうもん!お前、このゲームやりこんでるなっ!」
透華「オーッホッホッホ!!答える必要はありませんわ!」
カツ丼「あの、りゅうもんというケン使いだ。全くの新顔だが、なかなか魅せる戦い方をする」
ミノル「なるほど、カツ丼さん今回の一押しですか」
カツ丼「だが、格ゲーの世界も広く深い。真の壁に当たるのはここからだろう、お手並み拝見といこうか・・・」
衣「わーい!トーカ、おめでとー」
透華「当~然ですわ!ところで準々決勝の相手は誰ですの?」
一「ほら、あそこに立ってるクールそうな。なんだか有名な人みたいだよ、名前は・・・」
純「エス・・エスエス・・?なんて読むんだ?」
智紀「SSS(トリプルエース)」
智紀「絶妙のタイミングと脅威の精度で狙った敵は必ず撃ち落す」
智紀「飛び道具の扱い全一と名高い剛拳使い・・・」
透華「ちょうどいいですわ!折角ですから、それぐらい歯ごたえのある相手と当たりませんと!!」
ミノル「さあ間もなく、準々決勝第一試合開始です!キャラクター選択をお願いします」
ティンティンティン、ティロリリーン
SSS「ムッ?相手のウルコン選択は紅蓮旋風脚か・・・」
ミノル「りゅうもんケンのウルコンは予選では全て神龍拳でしたが、ここでUCを変えてきましたね」
カツ丼「紅蓮はタマ抜け性能があるからな」
SSS「ふっ、牽制のつもりか・・・だが、その程度私には無益だ」
……
…
ハドウケン!
バシャーッ
一「ああっ!また落とされた!」
透華「キーッ!せせこましい戦い方を!」
ミノル「SSS寄せ付けません!」
ミノル「先打ちの仰角波動に相手が後からジャンプで突っ込んでやられる瞬間を見ることが何より幸せなことから、ついた通り名がサディスティックシューター!!」
ミノル「その100発100中の読みは今回も健在です!」
純「遠距離では上下に剛波動を撃ちまくられる。波動拳で牽制しようとすりゃあ、閃空剛衝波で抜けられる」
純「なんとか打撃に活路を見出そうとすれば上下段読み切っての当身技、金剛身だ。八方塞がりだな・・・」
透華「えーい!こんなショボイ牽制合戦をいつまでやっていてもキリがありません!」
透華「もうゴチャゴチャ考えるのはやめですわ!」
タツマキ!タツマキ!
ミノル「おおーっと!りゅうもんSCゲージを消費しながら竜巻旋風脚で半ば無理やり近づいていくー!」
一「ムチャクチャ強引だなあ・・・」
智紀「それでこそ透華・・・」
ミノル「中足!小足!小昇竜拳!ガードされてもお構いなしのガン攻めだ!」
SSS「こいつ、急に動きが・・・っ!」
剛拳の波動竜巻で抜けられないだろ
カツ丼「ケンの強みは、ラッシュ時の破壊力」
カツ丼「相手に考えるスキを与えず攻めまくれば、読みの精度も幾分減殺される。あとは反応勝負だ」
SSS(要所要所で見てからのカウンターが来る!反応!?いや、最早これは反射に近い!!)
ミノル「ここにきて猛反撃のりゅうもんケン!みるみる体力差がなくなっていくぞー!」
ミノル「あーっと!しかしここで剛拳の前投げ雷光投脚が決まった!」
ミノル「ケン距離を取ってダウン!!時間、体力とも残り僅かです!」
透華(受け身をミスった!これはちょっとばかりヤクい自体ですわ・・・」
>>23
飛びを混ぜつつ移動の手段にEX竜巻を使用してると思ってください
SSS「それなりに足掻いたようだが、これで終わりだ!」
キュイーン・・・
純「マズイ!EXの剛波動を溜めてやがる!あれは上下に2発くるぜ!」
カツ丼「最大タメの剛波動は2ヒット。ガードすれば削りでやられる、飛びで躱そうにも空中にも攻撃は来る」
カツ丼「セービングも多段ヒットには無力だ。そして何より時間がない。さあ、どうする?」
SSS「ダウンから立ち上がって剛波動に触れるまでが、お前の敗北へのカウントダウンだ」
SSS「いまのうちに敗戦の弁を考えておくんだな!」
ハドウケン!
シュバッ!シュバッ!
ミノル「りゅうもんケン今ダウンから復帰、同時に2発の剛波動拳が迫るー!!」
透華「躱すことも受けることも不可能ならばっ!」
スススッ
SSS「!?前に歩いただと!!」
カツ丼「そうだ、りゅうもん!それがベスト!」
ミノル「一瞬前進したあと前ジャンプ!2つの波動拳の間を縫うようにして着地したー!!」
ミノル「さらにダッシュで間合いを詰める!剛拳は目の前だぞー!」
SSS「クッ」ダダッ!!
ミノル「SSSここで上中下段完全対応のEX金剛身!」
りゅうもん「・・・・」
SSS「何っ!攻撃が来ない!?この私がスカされただと!?」
透華「最後の最後で読みではなく安易なEX技に日和ったのが、あなたの敗因ですわ!」
ハデニキメルゼ!!
ミノル「出たー!!屈弱K>屈弱P>屈中P>波動拳>EXセービングキャンセルダッシュ>紅蓮旋風脚のフルコン炸裂~~~!!!」
コイツデサイゴダ!!
KO!
ミノル「りゅうもん残り数秒での勝利!SSS準々決勝で散りましたー!!」
カツ丼「立ち上がり後、数歩前に歩きつつタイミングを正確に測り前ジャンプ」
カツ丼「残り時間も少ない中、ほぼ同時に迫る2つの球をよけつつ反撃に結びつけるにはアレしか無かった」
カツ丼「口で言うのは簡単だが、あの土壇場一撃でも喰らったら終わりの状況であえて行動を遅らせ最適な行動を取り続けるのは容易なことではない」
SSS「・・・テクニックだけでなく、メンタルでも負けた。完敗だよ」
透華「あなたの狙撃も脅威でした。出来れば秘訣を教えていただきたいところですわ」
SSS「フフッ、それじゃあ今度会ったときにでもコツを伝授するよ。それまで壮健を願う」
透華「ええ、あなたもお元気で」
SSS(・・・ハァ~~~。照に必ず賞品を持って帰ると言った手前、手ぶらは気まずいな・・・。
SSS(どこかに似たような品を売っている店はないだろうか・・・)
透華「さあ、次はいよいよ準決勝でしてよ!」
セミファイナル
りゅうもん(ケン)VSだいだら(春麗)
スピニングバードキック!!
KO!
だいだら「わーい!やったよー」
ミノル「だいだら、見事な切り返しで一本取り返しました!」
衣「南無三宝!トーカが取零したのか!?」
一「これで一勝一敗のタイ、次のラウンドを取った方が勝ちだよ」
智紀「あの相手、スタイルが見つからない。これは非常に厄介・・・」
一「スタイル?」
智紀「・・・・・」コクン
智紀「プレイヤーには各々必ず自分なりの戦い方がある。それは思想と言い換えてもいい」
智紀「スタイルは試合が進むに連れて徐々に明らかになるもの。後半の方がお互いに試合が噛み合うのはその為・・・」
智紀「プレイヤーは半ば無意識に相手のクセを感じ取りながら、予測に組み込んで戦っている」
一「でも今の相手は、すぐにスタイルを変えてくるから、それが出来ない・・・」
純「ああ、それにところどころ妙な動きをしやがる」
純「あれじゃ、流れも読めやしねえ。透華は今頃どう思ってるだろうな・・・」
透華(・・・なんでしょう、この違和感。何かがひっかかりますわ)
透華(もし、わたくしが彼女でしたら・・・ハッ!?)
ミノル「バックジャンプの連続で距離を取ります!そこへ追撃の気功拳が迫る!!」
カツ丼「仕切り直しか?しかし、遠距離はケンの間合いでは無い。ジリ貧になるぞ」
ミノル「りゅうもんケン気功拳をセービング!」
ミノル「そのままダッシュキャンセルで今度は前に距離を詰める!そして足技を繰り出して・・・」
だいだら「・・・チャンス!?いっくよー!」
カワセルカシラ!?
ミノル「画面暗転!鳳扇華発動です!!これは決まったかーっ!?」
ガシィ!
ミノル「いや、ガードしています!ヒットならず!」
カツ丼「紫電カカト落としフェイントからのガードだ」
だいだら「えっ?ガードが間に合った!?でも、これならギリギリ削りきれるはずっ。このままいくよー」
ミノル「しかし無常にも体力ゲージは徐々に減っていくぞー」
だいだら「残り1ドット!これで!最後だよー!」
透華「・・・っ!今ですわっ!!」カッ!
クラエッ!!!
ミノル「ここで神龍拳の割り込みだ~~~!!!」
カツ丼「鳳扇華はシメの打ち上げの際、一瞬の間が出来る。狙いは初めからコレか!」
オラオラオラオラオラー!! シンリューケン!!
KO!
ミノル「決めたー!!りゅうもん見事な逆転で決勝進出です!」
ミノル「いやあカツ丼さん、最後の攻防は際どかったですね」
カツ丼「紫電カカト落としのスカシコマンドはボタン押し継続だ」
カツ丼「ウルコンの暗転を見てから操作したのでは、当然間に合わない」
カツ丼「スローで再生すれば、2~3Fほどケンのフェイントの方が早く発動しているはずだ」
カツ丼「ただの揺さぶりだったのかもしれんが、それにしては半端な距離でリスクを冒すことに迷いが無さすぎた」
ミノル「つまり、りゅうもんにはあのタイミングで鳳扇華がくることがわかっていたということですか?」
カツ丼「その前の気功拳をセビってリベンジゲージを溜め、ウルコン発動を可能にしたところも含めてな」
カツ丼「読みか、誘ったのか、いずれにしろ確信に近いものがあったということだ」
だいだら「お疲れ様でしたー」ペコリ
透華「お疲れ様です」
だいだら「あの、最後の鳳扇華・・・なんで来るとわかったんですか・・・?」
透華「・・・試合中あなたは、何度かセオリーにない不思議な動きをしていました」
透華「まるで過去の有名プレイヤーに憧れ、その動きを再現するかのような・・・」
だいだら「・・・!」
透華「ですからわたくしの白道着ケンが、削りきれる体力で画面右に立っていたら・・・」
透華「少しのスキであなたでしたら、きっとパナしてくると思っていましたわ」
透華「例えそれが誘いと薄々感じていようとも・・・」
だいだら「そんな理由で・・・」
透華「わたくしも、あの動画は散々見ましたもの。今回は、鳳翼扇でなく鳳扇華でしたけどね」
だいだら「・・・私の住んでる村は、若い子が少なくて一緒に対戦してくれる人がいなかったんだ」
だいだら「ネット回線もISDNだから、オンラインの対戦も拒否されることが多くて」
だいだら「それでトレ-ニングモードとYouTubeの対戦動画を見てずっと練習してたんだー」
だいだら「いつかこんな試合を私も誰かと出来たらなって」
透華「・・・なるほど、そうでしたの」
だいだら「あ、あのっ・・・それで、もし嫌じゃなかったらなんですけどっ・・・」
透華「もしよろしければ、わたくしとフレンド登録していただけますかしら?」
だいだら「え・・・うんっ!よ、喜んで!」
だいだら「ちょー嬉しい・・・もう、ぼっちじゃないよー」グスン
一「やったね、透華!あと一つで優勝だよ!」
智紀「まあまあの戦いだった・・・」
???「危うい“力”に飲まれつつあるねえ」
純「うおっ!?バアさん、いきなり話しかけてきて何だよ!?」
透華「失礼ですがどなたでしたかしら?それに、どうしてここへ・・・?」
???「私は趣味が格ゲー観戦でね。自然と筐体のある場所に足が向くのさ」
智紀「答えになっていない・・・」
???「あんたらみたいな子たちには、ドリンクBARと呼ばれてる。DBでもいいよ」
DB「ケン使いのお嬢ちゃん、あんたは今一番伸び盛りな時期にある」
DB「でもね、それは一方でとても危うい時期でもあるのさ」
透華「危うい?」
DB「ひょっとしたら、この先自分を見失いかけるような大変な戦いを経験するかもしれない」
DB「そんなときは、自分が何のために戦っているか思い出すといい」
DB「きっと道を照らしてくれるはずだよ。それじゃあね」
DB(まったく随分面白い子がいたもんだ、これだから全国行脚はやめられないよ)
DB(さて、あっちの春麗の子にも会ってみないとね)
DB(麻雀が強くて、どこの学校の息もかかってなければ言うこと無しなんだが。さてさて、どうだろうねえ・・・)
一「なんだったんだろうね、さっきの人・・・」
智紀「不可解・・・」
純「ボンボン餓狼のタン・フー・ルーみたいに怪しいバアちゃんだったな」
衣「・・・・・・」
透華「どうしたんですの、衣?」
衣「・・・いや、一寸した既視感だ、恐らく謬錯だろう」
衣「それよりトーカ、あと1勝だ!衣は信じてるぞ!!」
透華「もちろんですわ!祝勝会の準備をして待っていてくださいな!」
ワー!ワー!
一「反対側のブロックも大詰めみたいだね」
純「そういや目の前の試合の応援でいっぱいいっぱいだったけど、向こうはどうなってんだろうな?」
観客A「おい、あれ・・・ ハイ・・スコ・・ガール・・だぜ」
観客B「やっ・・り、今回も優勝間違・・なし・・な」
透華「ハイスコアガール?また、随分と大げさな呼ばれ方ですわね」
純「・・・!? しまった!ヤツも来てたのか!」
ソコクノタメニ!
KO!
ミノル「決まったー!キュアドリルのアルティメットアトミックバスター!!」
ミノル「どんな相手も吸って吸って吸いまくる!脅威のレッドサイクロンが大会を席巻中ー!!」
コウハイ「先輩お疲れ様です!次の対戦相手は手ごわそうですけど、大丈夫ですか?道着相手は、やはり不利なんじゃないかと!」
キュアドリル「お前もうちの高校に入ってレギュラーを目指すつもりなら覚えておくんだ」
キュアドリル「ダイアグラムなんてものは、所詮は只の数字に過ぎない」
キュアドリル「モノを言うのは、結局長年の経験に根ざした実力なのさ」
キュアドリル「まあ心配しなさんな、私は3rd STRIKEの頃からマメさえ出来ない」
キュアドリル「ニワカは相手にならんよ!」
一「あの人のこと、知ってるの?純くん?」
純「まだオレがギーセンに越す前、近所の残念な大人に聞いた話だ・・・」
『ポリゴン』って何? 食えんの?
そんな2D爛熟期だった古き良き格ゲーブーム全盛の1993年。
魑魅魍魎が蔓延る場末のゲーセンで無敗記録を更新し続けたそのプレイヤーは
まだランドセルを背負った一人の少女だったという・・・。
『大斬りだけで、真サムのCPUミヅキを完封』
『バーチャ2稼働日に、初めて出した技がアキラの崩撃雲身双虎掌』
『SNKから風雲黙示録を筐体ごとプレゼントされたが、デモ画面がうるさすぎて近所迷惑だった為、即日全クリして着払いで送り返した・・・』
儚げな容姿と数々の伝説に彩られたその圧倒的な強さに、人は誰もがひれ伏し称えた。
ハイスコヤガールと!!!
セミファイナル第二試合
キュアドリル(ザンギエフ)VS美少女戦士セーラースコヤン(狂オシキ鬼)
FIGHT!
キュアドリル「お見せしよう!王者(はやお)の立ち回りを!!」
フンッ!
キュアドリル「えっ・・・」
ゴウショウリュウ!
キュアドリル「あっ・・・・」
シュウエンノアキナリ・・・ ズガガガガ!!
PERFECT!!
ミノル「圧勝ー!!勢いにのるキュアドリルを全く寄せ付けず、スコヤン貫禄の勝利です!」
カツ丼「投げ合いでも全勝だったな。スクリューもバックステップで全部回避していた」
一「・・・どうやって勝つの、あんな人に・・・」
純「まあ、、、当たって砕けろ!」
智紀「勝負は時の運。2R先取で決着がつくなら番狂わせも起きる・・・ときもある・・・かも、しれない・・・」
衣「進取果敢!勇往邁進だ!トーカ!!」
透華「ロンオブモチ!必ず勝って帰ってきますわ!!」
ファイナル
美少女戦士セーラースコヤン(セス)VSりゅうもん(ケン)
一「相手の人、準決勝とキャラが違うね」
純「全てを究めたハイスコヤガールにとって、持ちキャラってのは存在しねーんだ。そのときの気分でセレクトする」
衣「ならば、あの銀色人形を選んだのはどういう意図があるのだ?」
智紀「あれはセス。最低クラスの体力の代わりに、あらゆる技を使いこなす・・・」
純「差詰め、手も足も出させねー宣言・・ってとこかな」
透華「上等ですわ!あなたの長すぎる伝説、今日で終わりにして差し上げます!」
ROUND1 FIGHT!
……
…
セアッセアッ!
ソニックブームッ!
ショウリュウケン! ドウリャア!
スコシレベルヲアゲルゾ・・・
ミノル「りゅうもんケン、あっという間に追い込まれております!スコヤンセス、まさに圧倒的!」
カツ丼「りゅうもんの動きは悪くない、むしろ今までで最高の立ち回りをしている」
カツ丼「だが、相手が悪かったという他ないな」
透華(マズイですわね~・・何か打開の糸口は無いのかしら)
透華(衣の泣き顔を見るのはこれっきりにしたいですわ。なんとかしませんと。なんと、か・・・・・・)フッ…
スコヤン(・・・気配が変わった?どういうこと?)
ソラッ
テヤッ
ハアッ
セーノッ
コレデドウダッ!
ミノル「これはどうしたことかー!スコヤン一気に押され出しました!!カツ丼さん?」
カツ丼「理由はハッキリしている。りゅうもんの反応速度とコマンド精度が尋常ではない程に上がっているからだ」
カツ丼「まるで調整ミスのまま稼働してしまったCPUの超反応だ」
カツ丼「出来る事ならボタン入力をリアルタイムで解析したいな」
ショーリューケン!!
ミノル「小パンに昇竜拳を合わせた!?人間にこんなことが可能なのかー!?」
KO!
透華「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ミノル「なんとなんと!りゅうもんケン、途中から別人のような動きで、1ラウンドを先取しました!」
カツ丼「スコヤンが一本でも取られるのを生で見るのは、初めてだな」
スコヤン「・・・・・」
一「あれって、夏のインハイで臨海戦のときに見せた!」
智紀「冷たい透華・・・」
純「ここで出てくるとはな!まあ理由なんてどうでもいい、このまま押し切っちまえ!」
衣「・・・・・・」
ROUND2 FIGHT!
ミノル「中足の戻りに中足合わせ!弱昇竜バクステ回避からの移動投げをグラップ!」
ミノル「先程のラウンドは為す術もなく失ったスコヤンですが、見事立て直してきました!!」
スコヤン(なるほど、だいたいの仕組みは分かったよ)
スコヤン(いくら反応が早くても、対応が複数のパターンの組み合わせなら詰将棋と一緒だね)
スコヤン(こちらで状況を設定し続けてあげれば、次の行動を予測することは容易い・・・)
ミノル「超反応対超反応!全くの互角です!」
カツ丼「いや、徐々にではあるが、スコヤンが押し返しつつある・・・」
カツ丼「それも超反応なんて生易しいものじゃない」
カツ丼「戦いながら常にりゅうもんの一巡先の動きを予測し、認識ギリギリで次のコマンドを先行入力し続けているんだ」
KO!
ミノル「2ラウンドを取ったのはスコヤン!両者譲らずー!!」
純「ありゃあ、バケモノだな・・・」
智紀「グランドマスター・・・異次元の強さ・・・」
一「大丈夫!それでも透華なら、透華ならやってくれるよ!」
衣「・・・・・・」
衣(トーカはいつでも衣たちのために頑張ってくれる。それに、奇幻な手合が増えるなら衣はうれしい)
衣(だがトーカ、お前はそれでいいのか?)
衣(衣は、みんなは、トーカの本当にやりたいこと、トーカの望みを叶えたいと願っているんだ)
……
…
透華(・・・ここはどこでしょう?わたくし、何か重要なことをしていた途中だったはずですが・・・)
透華(思い出せませんわね。まあいいですわ、しばらくゆっくりするのも悪く・・・)
透華(・・・それにしても、妙にうるさいですわね。せっかくのんびりしようというのに、一体誰の声かしら・・・)
衣『フルだといまいち』
純『ここに住もう・・・』
智紀『みんなで飾り付けたら楽しいと思って・・・』
一『ちなみにそのひとつは、ボクが引き当てたようだよ!』
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