一「ともきーが部屋から出てこないんだ」 (25)

1時間ほど前

一「透華、朝食の用意ができたよ」

透華「ご苦労様ですわ。衣は今、純が起こしにいってますわ」

一「あ、噂をすれば……」

ズルズル

衣「いやだあ! 寒い! 衣はもっとベッドの中にいたい!」

純「わがまま言うな」

衣「いやあああ!!」

透華「……衣はほんと寒がりですわね」

一「一応お屋敷の中は廊下も含めて暖房完備してるんだけどね」

透華「ところで智樹はどこかしら?」

一「さっき呼びに行ったんだけど返事がなくて……まだ寝てるのかも」

透華「もう、智樹まで寒がりなんですの!?」タタッ

一「あ、僕が行くよ!」

透華「いいですわ、私が叩き起こしてきます!」

一「大丈夫かなぁ……」

純「それより国広くん、こいつを食堂まで運ぶの手伝ってくれ」

衣「うわあああああ!! 凍える!」

一「あはは……」

透華「はぁ、はぁ……着きましたわ」

透華「智樹、起きてますの?」コンコン

シーン

透華「……智樹! 朝ですわよ!」ドンドン

シーン

透華「智樹?」ガチャガチャ

シーン

透華(様子がおかしいですわ……)

透華「仕方ありませんわね……ハギヨシ!」

ハギヨシ「はい、透華お嬢様」シュタッ

透華「部屋に智樹がいるかどうか調べなさい」

ハギヨシ「畏まりました」スッ

透華「それはなんですの?」

ハギヨシ「熱源探知機です。簡素な造りのモノですが」

透華「それで智樹が中にいるかどうかわかるんですの?」

ハギヨシ「ええ……お嬢様、沢村さんはたしかにこの部屋の中にいらっしゃいます」

智紀だろ

>>8
ほんとだ、すまん

透華「それで、あの子はまだ布団にくるまってますの?」

ハギヨシ「どうやらすでに起きているようですね……机に向かって何かをしています」

透華「なっ、起きてるにもかかわらず返事をしないってどういうことですの! 智紀!!」ドンドン

チャンチャラ~♪

ハギヨシ「お嬢様、メールが」

透華「もう、こんなときになんのですの!」


『少し静かにして  智樹』

透華「な、ななななんですってーーーー!!」

一「あ、透華。ともきーはど……」

透華「ちょっと智紀、これはどういうことですの!?」ドンドン

一「!?」ビクッ

透華「わざわざ起こしにきてあげたと思ったら『静かにして』ですって!?」

透華「何か言いたいことがあるなら面と向かって言いなさい!! 智紀!!」ダンダン

一「は、ハギヨシさん……どうしたの?」

ハギヨシ「それが……」カクカクシカジカ



一「ともきーがそんなことを……」

透華「ぜぇ、ぜぇ……疲れましたわ」

ハギヨシ「お嬢様、お飲み物を」スッ

透華「あ、ありがとうですわ……」ゴクゴク

一「ともきー? 具合でも悪いの?」コンコン

シーン

一「やっぱりダメか……ともきーどうしちゃったんだろう」

透華「ごほっごほっ……わ、わかりませんわ」

ハギヨシ「このままでは埒があきませんし、いったん食堂に集まってはどうでしょう」

一「そうだね、純くんたちにも知らせておきたいし」

透華「仕方ありませんわね……」ヨロッ

純「……智紀が?」

一「うん、部屋から出てこないんだ」

透華「その上、呼びかけたら『静かにして』ですって……しかもメールで寄こしたんですのよ! メールで!」

衣「智紀だけずるい! ころもはこうして寒くても一人で起きてきたのに!」

純「どの口で言ってんだお前は」

一「やっぱり体調が悪いんじゃないかな……もしかしたら声も出せないくらいひどいんじゃ……」

純「でも机でなんかやってたんだろ?」

ハギヨシ「ええ、見たところパソコンを操作しているようでした」

透華「まったく、まるで昔の智紀みたいですわ……」

一「あ、それだ!」

透華「? どれですの?」

一「もしかしてともきー、なんかゲームにはまってるんじゃないの?」

純「あー、あいつが昔ハマってた……ネトゲとかってやつ?」

透華「ネトゲ……ありえますわね」

衣「なんだそれは、おもしろいのか?」

純「正直俺にはなにがなにやらさっぱり……」

一「でも今は携帯でも簡単にできるソーシャルゲームも増えて、だいぶ身近な存在になったよね」

純「国広くん、やけに詳しいな」

一「そ、そう? あはは……」

一(つい先月までパズルゲームにハマって5万も課金してたなんていえない……)

透華「前のゲームに復帰でもしたのかしら……?」

純「前のって、あの戦争ゲームみたいなやつのことか? 今でもちょくちょくやってなかったっけか」

一「暇つぶし程度には遊んでたね」

衣「ころももやらせてもらったことがあるがチンプンカンプンだったぞ」

ハギヨシ「……調べたところ、沢村さんが以前に熱中していたゲームは、すでにかなりの衰退期に入っているようです」

一「じゃあ復帰の可能性は低いね」

純「今流行りのネットゲームでもやってるんじゃないのか?」

一「流行りっていうと……雀コレかな」

衣「じゃんこれ?」

透華「というか! 智紀が何のネトゲーにハマっているかなんて関係ありませんわ!」

透華「龍門渕家に住まうものが外にも出ず、部屋に引きこもってるなんて言語道断!」

透華「働かざるもの食うべからず、ですわ!!」

まこ「……」ズゾゾ

まこ「はぁぁ……あったまるのう」

久「ふふ、まるでおじいさんね」

まこ「失礼なやつじゃのう」

久「でも、まこのそういうところ割と好きよ」

まこ「何を言うとるんじゃお前さんは……」ズゾゾ

久「ふふ……」


カン!

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