部長「今朝、ハンター協会からお前に討伐の依頼が出た」
中川「キメラアント勢の力にハンター協会はお手上げ状態ですからね」
両津「どうしてワシがそんな虫の相手をしなきゃならないんだ?」
部長「会長からも両津にしかできんと頭を下げられた」
両津「へっ、キメラアントなんて殺虫剤でも撒いてやれば勝手に死滅しますよ」
中川「キメラアント1匹を討伐するごとに800万支給されるだとか…」
両津「なに?」
中川「王直属護衛軍なら1匹5000万円は堅いかと…」
両津「1匹5000万だと!?」
部長「またお前はそうやって報酬目当てで動こうとするんだな!!」
ガシガシッ
両津「い、痛いですよ部長!!ワシだってボランティア感覚で虫達と戯れたくありませんよ!」
麗子「平気で虫だって食べるじゃない」
部長「生命力はゴキブリ並だからな、コイツは」コンコンッ
両津「…」ぷるぷるっ
両津「テメェの髪の毛に殺虫剤をぶちまかれてぇのか!!」
麗子「なにすんの…よ!!」
ボカンッ!!
両津「ぐぁぁっ…!!信じられねぇグーパンチで男の顔を殴りやがった…!」
両津「他のハンター達はなにをしているんだ!」
両津「ハンターという職に就きながら虫相手になにを戸惑ってんだ!」
両津「うぅっ…ついにはこんな善良な一般警察官に依頼をする程、落ちぶれてしまったとは…」うるるっ
部長「善良な警官が昼間からパトロールと偽りギャンブルをするのか」
両津「ぎくっ…!」
中川「ハンター達で結成された討伐隊も以前は存在していました」
両津「そいつ等に任せればいいじゃねーか」
中川「ですが、突入数分前にメンバー全員が恐怖に駆られ撤退したいみたいです」
両津「なんで数分前なんかに撤退するんだよ…」
中川「中でもキメラアントの王は凶暴であり誰にも止められません」
中川「ハンター側もなんとかしようと策を立てていたのですが…」
両津「最終的に思いついた策がワシか」
―宮殿前―
ぶろろろろろろん
両津「…よーし、着いたか」
中川「ホントに1人で行くつもりですか?」
両津「仕方ねぇだろ金がワシを待っているからな」
両津「頼んだブツは持ってきてくれたか?」
中川「殺虫剤と蚊取り線香、ウナクール、ゴキブリホイホイですね…」
両津「これだけ揃ってればすぐ退治出来そうだな」
中川「キメラアントに通用するとは思えないんですが…」
両津「ゴキブリホイホイを入り口の近くに置いときゃ全員中に入ってくれんだろ」
両津「万が一、攻撃を受けてもウナクールで痒みも抑えれるしな」
中川「…」
両津「とりあえず5時間以内に戻らなければ死んだと思ってくれ」
中川「分かりました…」
両津「随分と庭園が広いな…こんな所に虫が住んでるなんて腹が立ってきたぞ」
スッ
両津「ん?」
モラウ「そこまでだ」
シュート「…」
ナックル「…」
両津「なんだお前等?キメラアントか?」
モラウ「悪いが、一般人は今すぐに引き帰ってもらおうか」
両津「それは出来ん、ワシも色々と事情があってな」
ノヴ「…ま、まさかこの方は…!?」
モラウ「どうした?」
ノヴ「会長が言っていた両津勘吉さんですか!?」
両津「おう、ワシが両津だ」
モラウ「…!…コイツは失礼した…あんたがまさか両津勘吉だったとはな」
……
…
モラウ「俺達は元討伐隊って訳だ」
モラウ「あまりの恐怖に討伐を諦め、今はこうして一般人が侵入するのを防いでいる」
両津「そうか、分かった」
スタスタ
モラウ「ま、待て!他の援軍は必要ないのか!?」
両津「いらん、ワシ1人で十分だ」
ナックル「な…なんて頼もしい人なんだ…!あの人こそ師匠にふさわしい…!」
シュート「両さん…!」うるうるっ
ノヴ「絶対に…絶対に無理だけはしないでください…!」がたがたっぶるっ
モラウ(く、俺の全快時が100としたら今日は20しかない)
モラウ(両さんを助けたい所だが今日は止めておくか…)
両津「こっちは早いとここんな仕事終わせたい気持ちでいっぱいだからな…!」
スタスタ
ウェルフィン「…ん?」ピクッ
両津「げっ!?」
ウェルフィン「動くな!両手を上げてその場で膝まずけ!!」
両津「なんだコイツ…?新種の狼かよ?」
ウェルフィン「おい、聞いているのか?早くしろ!」
両津(むぅ、ここは下手に抵抗したら攻撃されそうだな)
両津「わ…ワシ、キメラアント」
ウェルフィン「キメラアント……だと…?」
両津「そう、お前達の仲間、友達!」
ウェルフィン「嘘をつくな」
両津(チッ、やっぱり嘘をつくのにも限界があるな…)
ウェルフィン「……」
両津「あっ!!!後にゴキブリホイホイが!!」
ウェルフィン「なに?」くるっ
両津「でぇい!!!!!!!」
バチンッ!!
ウェルフィンに投げ技をし床に叩き付けた
ウェルフィン「…」ぴくぴくっ
両津「はぁはぁ、手間かけさせやがってよ…」
両津「コイツはここに放置しておくか…とりあえず800万だしな」
両津「むう…しかし800万の虫ケラより5000万の虫ケラ達を退治してぇな…」
プフ「王」
メルエム「どうした」
プフ「葛飾区亀有公園前派出所の警察官と名乗る男が王と話がしたい…と」
ユピー「追い返しますか?」
メルエム「……警察官が余に何の用だ」
スタスタ
両津「おうおうっ!ふてぇ虫ケラ連中の頂点に立つ王様はどこだ!」ズイッ
プフ「…この者です」
メルエム「ふん、見る限りでは下種な人間にしか見えんがな」
両津「そういや…さっきここに来る途中に猫みたいな奴に下駄ぶつけたらのびちまったんだ」
ドサッ
ピトー「……」
プフ「ピトー!?」
両津「コイツは護衛軍か?護衛軍ならワシが引き取らせてもらうぞ」
プフ「まさか、ピトーがやられるとは…!」
両津「大人しくお前等も降伏しろって」
メルエム「戦力的にはこちらが圧倒的だぞ」
両津「この宮殿内の至る所に蚊取り線香を設置しておいたぞ」
メルエム「蚊取り線香…?」
ヂートゥ「ほげええええええええええええ!!!!!」
ブロヴータ「なんだ…これ……?毒ガスか…?」バタッ
モラウ「…うぅっ…」バタッ
両津(そろそろ効いてる頃だな…)
メルエム「ユピー、プフ」
プフ「はっ」
メルエム「この男を始末しておけ、余にとっては無価値の男だ」スタスタ
両津「お、おいコラ待て!!まだワシとの話が終わってないだろ!!」
両津「おい、待て!」
ズリズリッ
プフ「くっ…待ちなさい……!」
ユピー「なんて馬鹿力だ…!2人で引きずっても引っ張られる…!」
メルエム「…」
両津「ワシと勝負だ」
メルエム「勝負だと?」
両津「それでワシに勝つことが出来たら素直に撤退してやるよ」
ドサッ
メルエム「…よかろう」
プフ「王!」
メルエム「構わん、どのみち余の勝ちは確定しているものだ」
・柔道
メルエム「こんな窮屈な物を着てするのか」
両津「でぇい!!!」
ズドンッ!!
プフ「1本」
両津「どうだ!ワシの1本背負いは!!」
・ベーゴマ
両津「コマはこうやって回すんだよ」
シュルルッ
メルエム「…!」
両津「ほら、今度はお前が回してみろ」
メルエム「こ、こうか?」
両津「不器用な奴だな…貸してみろ」
・めんこ
両津「そらよ!!」
ペチンッ!
メルエム「くっ…なぜ貴様の札は引っくり返らんのだ…!」
・サバイバルゲーム
メルエム(よし…両津の背後に回ることができた)
メルエム(今なら奴の背中に撃つ事が…!)
ガサガサッ
両津「…むっ」ピクッ
シュッ
両津「そこだ!!!!」
パパパパンッ
両津「確かにお前の方が撃つのは早かった、ただ射撃の精度がまだまだだな」
両津「練習してこい」
メルエム「くっ…!!」
メルエム「参りました…」
両津「わはははっ!武力を一切使わずにキメラアントを降伏する事が出来たぞ!」
プフ「残念ですが…これからは貴方の下につくことにします」
ユピー「何なりとお申し付けください、王」
両津「わ、ワシが王だと?」
メルエム「これからのキメラアントの頂点に立つにはふさわしい男だ」
両津(しかし、よくよく考えてみると派出所の仕事なんて割りに合わん仕事だしな…)
両津(部長には怒鳴られるし、中川は最近金貸してくれねぇしな…)
プフ「ぜひ…貴方にキメラアント界を引っ張ってもらいたい」
両津(王様になった方が儲かりそうだしな…くくくっ……)
両津「うむ、人間界とキメラアントの仲が深まれるようにぜひ引き受けようではないか」ビシッ
両津「おい、さっさと働け働け!!」
ピシッ
プフ「くっふっ!」
両津「メルエム!サボってねぇでさっさと働け!」
メルエム「はい」
ユピー「王、今月中には宮殿内に賭博場を設置することができるそうです」
両津「よーし、それでガンガン稼いで行くぞ!わはははっ!」
モラウ「両さん…今月分の給料は?」
両津「給料?そんなもんワシは知らん!」
モラウ(くそ…両津の野郎、王になったからって調子に乗りやがって…!)
「昨日、キメラアントの宮殿で国王に対する不満を募らせたキメラアント達が」
「一斉に暴動を起こし、日本国内に流れ込んできました…」
「政府は警戒レベルを今日の正午にはレベル6にまで引き上げた模様で……」
「なお、国王である元亀有公園前派出所の警官は現在も逃亡を続け……」
部長「両津のバカはどこに行った!!!?」ガシャーーーンッ
中川「後継者を見つけるために北の国へしばらく旅に出るそうです…」
おわり
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません