「鎮守府強化月間! の巻!」
ラジオ(各馬一斉にスタート! 先頭に躍り出るは3番キングハヤテ!)
両津「よし……いいぞ! そのまま先頭を守れ!」
ラジオ(キングハヤテ速い! キングハヤテ速い! どんどん馬身が開いていきます!)
両津「よし! いけ!! いけぇっ!!! キングハヤテ!」
ラジオ(ああっと!? 何とキングハヤテ落馬! 落馬してしまいました!)
両津「何ぃ!?」
ラジオ(悲惨! 連戦連勝のキングハヤテ! まさかの連勝記録ストップです!)
両津「このバカモンがぁああぁあああああぁっ!」ガッシヤァンッ!
長門「バカはお前だこの馬鹿!」
ゴン!!!!!
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両津「いってぇっ! ……ゲッ、長門!」
長門「貴様執務中に何を聞いている! また競馬か! 賭け事はするなとあれほど言っただろう!」
両津「ち、違うぞ! わしが聞いていたのは国際ニュースだ! わしは少しでも世界の現状を把握しようと」長門「見え透いた嘘を吐くな! お前がニュースなど聞くはずがない!」ブチッ!
両津「あぁっ! わしのイヤホンが!」
長門「ふんっ!」グワシャッ
両津「ラ、ラジオまで!」
長門「こんなものがあるからキサマは執務をサボるのだ! いつもいつも大淀にやらせおって!」
大淀「提督……私別の仕事もあるのにこの量は無理ですよ」
両津「ぐっ……分かったよ、やればいいんだろやれば」
陸奥「両ちゃんと姉さんは相変わらずね。はい、お茶」
両津「おう陸奥、すまんな」ズスズ
長門「陸奥、あまり両津を甘やかすな。こいつは甘やかすとどこまでも付け上がる男だぞ」
両津「わしを何だと思っとるんだ……ん? 何だこれは。『鎮守府強化月間』だと?」
大淀「大本営からの通達ですよ……二週間も前に来てました」
長門「書類はすぐに目を通せと言っているだろう。まったくお前は……」
両津「いま読んでいる! むぅ、どうやら最近、艦娘の生活がだらしなくなっているようだな」
陸奥「そういえばうちの鎮守府でも夜更かしする子やお酒を飲みすぎる子たちがいるわねぇ」
両津「お、おい。わしを見るな。わしは艦娘ではなく提督だからいいのだ!」
長門「いいわけあるか! 少しは控えろ! 飲みすぎるとますます馬鹿になるぞ!」
両津「くっ……」プルプル
大淀「ストレスを溜めないように生活に関してはある程度艦娘の自由裁量に委ねられていますが……最近は目に余るみたいですね」
陸奥「いちおう軍ですものね。あまりに乱れた生活を送るのは看過できないわよね」
両津「で、強化月間を実施するというわけか。なになに……食事、睡眠の徹底管理。訓練の増加、就寝後の見回りの実施。まるで学校だな」
長門「他人事のように言っているが両津、お前も参加するんだぞ」
両津「何!?」
長門「提督の中にもたるんどるたわけ者がいるからな。ついでに指導し直すというわけだ」
両津「じゃ、じゃあ、例えば酒は……」
長門「強化月間中は禁酒だ。間食も許されん」
両津「何だとっ!?」
長門「さらに夜間に遠征する者や出撃の者を除き、原則10時就寝だ。見回りは戦艦が行う」
両津「じょ、冗談じゃない! 小学生じゃねぇんだぞ!」
長門「馬鹿者! 年齢に関係なく早寝早起きは人間の基本だ!」
大淀「我慢してください提督、一か月の間だけですから」
両津「一か月!? 一か月もやるのか!?」
陸奥「まぁ、それだけやらないとすぐに元のだらしない生活に戻ってしまう恐れがあるからねぇ」
長門「当然だな」
両津「ぐぐっ……これはえらいことになりそうだぞ」
翌日 鎮守府訓練場
長門「既に知っている者も多いと思うが、本日より強化月間に入る。一か月みっちりと行うので心してかかるように」
艦娘たち「強化月間だって……」「一か月もやるんだって……」「ええっ!? そんなに!?」ザワザワ
長門「静かに! 詳しいことは掲示板に貼り出すから各々でチェックするように! なお違反者は厳罰に処す! いいな!」
両津「グゥ……グゥ……」
長門「提督……提督!」
両津「うぉっ!? 何だ長門! 耳もとで大声を出すな!」
長門「バカモノ! 朝礼の最中に寝るとは何事だ!」
両津「いててっ! 耳を引っ張るな耳を!」
長門「このようにたるんだ者は私自ら制裁を下す! 気を付けるように!」
艦娘たち「はぁ~い……」
食堂
両津「くそ~、長門の奴。まだ耳がじんじんするぞ。馬鹿力め」ジンジン
陸奥「朝礼中に居眠りする両ちゃんが悪いんじゃない……」
両津「しょうがないだろ! 昨日はほとんど眠れなかったんだぞ!」
大淀「それは千歳さんや隼鷹さんと遅くまで宴会をしていたからじゃ……」
両津「うっ……き、禁酒と聞いたから、今のうちにたっぷり飲んでおこうと思って」
陸奥「はぁ……今日から当分飲んじゃダメよ? 姉さんに叱られちゃうわよ?」
両津「分かってる……くそ、酒が飲めないのは辛いな」
青葉『朝食の時間です! 皆さん! 食堂にお集まりください!』
両津「うおっ、びっくりした。わざわざ放送で集めるのか」
大淀「こうでもしないと集まりませんからね……朝は皆好き勝手に起きてきますから」
両津「うーむ、ますます学校みたいだ」
ガヤガヤ
明石「あっ、提督! おはようございます!」
両津「おぅ明石、どうした、油臭いぞ。まさか工廟からそのまま来たのか?」
明石「徹夜で作業していたんですけど、ついお風呂に入り忘れちやって……忙しいとお風呂に入るの億劫ですよね……えへへ」
両津「わはは、わしも風呂は数か月に一度しか入らんからな。気持ちは分かるぞ」
陸奥「やぁねぇ二人とも。ちゃんとお風呂に入りなさいよ。汚いじゃない」
大淀「そうですよ。健康的な生活を送るには、清潔さを保つのも大事なんですから」
長門「コホン……全員集まったな! それでは朝食だ! 鳳翔! 間宮! 配膳を頼む!」
鳳翔&間宮「はい!」
両津「おっ、飯か。今日は魚か? 肉か?」
鳳翔「提督、どうぞ」
両津「おぅすまねぇな……なっ!?」
明石「た、たったこれだけ!?」
長門「栄養、カロリー、全てにおいて完璧なメニューだ。小食は体に良いのだぞ」
両津「冗談じゃねぇ! 病院食じゃねぇんだぞ! だいたい肉も魚もないんじゃ食った気がしない!」
長門「文句を言うな。食べられるだけありがたいと思え」スタスタ
両津「くそ……今どき網走の囚人でももうちょっとマシなもん食ってるぞ……」ガツガツ
陸奥「確かにいくら何でも物足りないわね……」
大淀「艦隊士気にも関わってきますよ……ちょっとやり過ぎですね」
両津「本末転倒じゃねぇのかこれ……くそ、こんなんじゃロクに働けねぇぞ」バクバク
執務室
両津「は……腹減った」グー
大淀「まだお昼まで時間ありますよ……」
陸奥「出撃する子には悪いけど、今日は出撃がなくてよかったわ……」
両津「陸奥、大淀、何かねぇのか?」
陸奥「お菓子は没収されちゃったし……何もないわ」
大淀「私もです……」
両津「ちっ、このままじゃ本当に餓死するぞ。机の中にスルメくらい入ってねぇのか……?」ガサゴソ
両津「おっ! さきイカ発見! 地獄で仏だぜ!」
大淀「ちょっと待ってください提督。それ、いつのですか?」
両津「賞味期限は……一ヶ月前だな。まぁ大丈夫だろ」
陸奥「よしなさいよ。お腹壊しちゃうわよ」
両津「常にヘソを出してるお前に言われたくない! 何と言われようとわしは食うぞ!」バリッ
大淀「提督!」
ガチャ
両津「あぎゃあぁあああああぁあああああぁああっ!?」
比叡「ひえぇぇえぇえぇえええぇえぇえぇえええっ!?」
両津「な、何だ……比叡か……長門かと思ったぞ」
大淀「長門さんなら出撃中ですよ……」
陸奥「よっぽど怖いのね……姉さんが」
両津「わしの前の上司によく似ていてな……で、何の用だ比叡」
比叡「あの……出撃がなくて暇だったので、お料理の練習をしてたんですけど……ちょっと作りすぎちゃって」
両津「その鍋か? 何が入ってるんだ?」
比叡「比叡カレーです! 司令、よかったらお食べになりませんか?」
両津「カレーだと!? うおぉ! でかしたぞ比叡!」パカッ
大淀「うっ!?」
陸奥「な、なにこの臭い!?」バタバタ
大淀「陸奥さん! 窓! 窓!!」
両津「何だお前ら、やかましいぞ」
大淀「て、提督は何ともないんですか……?」
両津「あん? 何がだ? それより比叡、これ食っていいのか?」
比叡「はい! どうぞ! スプーンです!」
両津「おし、さっそく味見してみよう」パク
大淀&陸奥「!!!!!!!!!!」
比叡「お、お味はいかがですか?」
両津「……」
陸奥「りょ、両ちゃん?」
大淀「提督……?」
両津「うむ、ちょっと後味がクサいが、普通に食えるぞ」ガツガツ
陸奥「う、嘘……」
大淀「さ、さすが人間ポリバケツ……」
比叡「た、食べてくれた……姉妹の誰にも食べてもらえなかったのに……感激です!」
両津「何だ、大袈裟だな。……ん? 何だ、大淀、陸奥。お前らも食うか?」
陸奥「え、遠慮しておくわ」
大淀「わ、私も結構です」
両津「遠慮するな。お前らだって腹が減ってるんだろ。ほら」ズイッ
大淀「で、でも……」
両津「見た目は悪いが意外とイケるぞ。一口でいいから食ってみろ」
陸奥「りょ、両ちゃん。無理に勧めなくても……」
大淀「……わ、分かりました。提督がそこまで言うなら」
両津「おっ、そうか。ほら」
大淀「ありがとうございます……では」パク
陸奥「ど、どう……?」
大淀「」
大淀「ㇶエエエエエェエエエエェエェエェエェエエエェエエエェエッ!?」ドドーン!
比叡「お、大淀さん!? それ私のセリフッ!」
陸奥「突っ込むところが違うわよ!」
大淀「アギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」ゴロゴロー! ドカッ! ガッシャーン!
両津「おい! どうした大淀!」
陸奥「は、早く医務室に!」
両津「よ、よし! わしに任せろ!」カツギ
両津「うおぉおおぉおおおお! 急患だーっ! どけぇええぇええぇえっ!」ダダダダダダ
比叡「ひ、ひえぇ……」
数時間後 工廟
両津「まったくえらい騒ぎだったぞ! 大淀は泡噴いて倒れるし比叡は泣き出すし、カレーの匂いが外に漏れて二次被害は出るし。後始末には苦労したぞ!」
千歳「大変でしたねぇ……」
隼鷹「まぁまぁお疲れの一杯どーぞ……と言いたいところだけど、禁酒中なんだよねぇ」ハァー
両津「くっ、体がプルプルしてきたぞ……いかん、完全に禁断症状だ」
千歳「実を言うと私も……戦闘でも力を発揮できませんでしたし」
隼鷹「……くっふっふっ、そう言うと思って、実は用意していたものがあるんだよねー」
両津「何だ!? まさか酒か!?」ガバッ
隼鷹「へっへっへ~、もっといいものだよ~。こっちきてこっち~」チョイチョイ
両津「ん? この先に何かあるのか?」
隼鷹「ここ! ここ!」カパッ
千歳「えっ!?」
両津「な、何だこの穴は!?」
隼鷹「いわゆる隠し部屋ってやつだよー。明石に頼んでこっそり作ってもらったんだよね~」
両津「まさか、この下は……」
隼鷹「そう! 酒蔵ってわけ!」
両津「禁酒法時代のアメリカのような設計だな……」ズイッ
千歳「暗いですね。提督、大丈夫ですか?」
隼鷹「あ、言っとくけど、床滑りやすいから両津「うぉっ!?」ツルッ、ガン!
隼鷹「気を付けてねーって言おうとしたけど、遅かったねー」
両津「バカ野郎! もっと早く言え! ……いてて、お?」
両津「おおおぉぉおおおおおおぉおおおぉおっ! さ、酒で一杯だ!」
隼鷹「酒場みたいっしょー。ここはあたしたちと明石以外知らないし、好きなだけ飲めるよ~」
千歳「でも就寝時間までには戻らないと、点呼でバレてしまうわよ?」
両津「任せろ、担当の戦艦を買収しておく」ピッ
千歳「さすが抜け目がないわね……」
隼鷹「よーっし! 飲むぞー!」ヒャッハー!
数時間後
両津「ガハハハ! それで長門の奴、わしが知り合いから預かったハムスターを可愛がりだしてな! 『きゅーん♪』とか聞いたこともない声を出してやがったぞ!」
隼鷹「あっはっはっ! そりゃ傑作だねー!」
千歳「意外な一面を持っているんですねぇ、うふふ」
両津「普段はどこかの鬼軍曹のように振る舞っているくせに一人になるとあれだからな! 動画にして撮っていなかったのが残念だった! お前たちにも見せてやりたかったぞ! 『きゅーん♪』」
隼鷹「あははは! やめてやめて!! お腹痛いお腹痛い! ひゃっはっはっはっは!」
千歳「そ、そんなに笑ったら失礼です……よ?」ピタッ
隼鷹「ぷぷぷ……どしたのちと、せ?」ピタ
両津「『きゅーん♪』だぞ『きゅーん♪』。あのゴツい長門がハスキーボイスで『きゅーん♪』だからな! 笑うしかない!」
千歳「……」
隼鷹「……」
両津「ん? どうしたお前ら。急に黙って」
隼鷹「……」チョイチョイ
両津「わしの後ろに何かあるのか?」ヒョイ
長門「……」
両津「げっ!? 長門!?」
長門「工廟が騒がしいと思って調べに来てみれば……貴様ら」ピクピク
隼鷹「あ、あわわわ……」
両津「ち、違うんだ長門! わしらは夜間の見回りでここに!」
長門「見回り中に酒盛りをする奴がいるかあぁあぁああぁああぁああっ!」ドーン!
両津「ぎええぇえええぇええぇえええぇえええぇえええっ!?」
翌朝 執務室
両津「くそ~、昨日は酷い目に遭ったぞ」
陸奥「自業自得じゃない……」
大淀「あの……それで隼鷹さんと千歳さんは?」
両津「わしと一緒に一晩中正座で説教された。今日は休みを取ってる」
大淀「た、大変でしたね……」
両津「それにしても長門の奴、いくら何でも厳しすぎだぞ。どうにかならんのかあの石頭は」
陸奥「風紀の乱れを決して許さない人だから……今回の強化月間も姉さんの提案らしいわよ」
両津「何だと!? つまり全ての元凶はあいつか!」
大淀「げ、元凶って……」
両津「だってそうだろ! くそっ、このままではストレスが溜まってしょうがないぞ。何とかせねば……」
そうこうしているうちに、長門が先導する強化月間はますます厳しいものになっていった。
駆逐艦に設けられていたおやつタイムは廃止され、健康診断も行われた。その際好ましくない結果が出た艦娘には厳しい指導が加えられた。
夜更かしも徹底的に禁止され、監視も厳しくなり、両さん含む葛飾鎮守府のメンバーのストレスはどんどん溜まっていった。
両さんや一部の艦娘も長門の独裁に抗い様々な方法で厳しいチェックの目をかい潜ろうとしたが、ことごとく失敗してしまったのだった。
そんな過酷な強化月間も、ついにあと一日で終わりを迎えようとしていた。
執務室
両津「やっと……強化月間が終わる」カラカラ
大淀「提督がミイラのように……」
陸奥「無理もないわね……はい、お茶」
両津「いらん……」
大淀「相当追いやられてますね……」
陸奥「やっぱり度が過ぎたわね……でも、強化月間も今日で終わりだわ」
大淀「頑張ってください提督……これ、書類です」ドサッ
両津「うぅ……ん? 何だこれは」
大淀「今朝大本営から来た通達です」
両津「なになに、大本営主催……夕食会!?」ガバッ
陸奥「どうして急に……?」
大淀「今回の強化月間には大本営の上層部も参加していたらしいのですが……とうとう我慢の限界を超えてしまったようですね……」
陸奥「自分から強化月間を行うと言い出したのに……情けないわね」
両津「何でもいい! 久しぶりに酒が飲めるぞ! うおおおおおっ!」
大淀「あ、ちょっと待ってください。これ、提督は参加できないみたいですよ」
両津「」ガシャーン!
両津「ど、どういうことだ!?」
大淀「えぇと、この夕食会は各鎮守府の提督と上層部の人間だけで行われるらしいですが……うちの鎮守府からは、提督代理として長門さんが招かれていますね」
両津「なぜだ! なぜわしがいるのにあいつが出るんだ! 本人が行けるのに代理なんて聞いたことないぞ!」
大淀「提督が行くと何をされるか分からないからではないでしょうか……」
陸奥「酒癖が悪いもの……」
両津「ぐ、ぐぐぐ……じょ、上層部のゴミ野郎どもめ……それに長門も……わしらにはここまで我慢させておいて、自分たちだけ抜け駆けしようとは……」プルプル
両津「絶対に許さん!」ピュー!
大淀「あ! 提督!」
陸奥「何をするつもりなのかしら……」
大淀「さぁ……もう誰にも止められません……」
大本営 食堂
比叡「司令……本当にやるんですか?」
両津「当たり前だ! こんな舐めた真似をされて黙っている両さんではない! 天誅を下してやる!」
比叡「何をするつもりなんですか……?」
両津「夕食会のメインはカレーらしい。そのカレーを別の物とすり替える。比叡、お前のカレーは持ってきたか?」
比叡「は、はい……ここに」
両津「よし、こいつを皿に盛って、すり替えて……比叡! お前も手伝え!」
比叡「は、はい……」
ガチャガチャ
両津「ふぅ……よし、すり替え完了だ」
比叡「い、いいんですかこんなことして……」
両津「お前のうまいカレーを振る舞ってやろうとしているだけだ。何の問題がある。しかし、何か物足りんな」
比叡「まだ何かする気ですか……?」
両津「そうだ! 長門のカレーに……おっ、あった! タバスコだ!」
両津「こいつをたっぷりかけてやろう……冷蔵庫から持ってきた賞味期限ギリギリのわさびも……あとラー油とハバネロソースも……長門は辛いものが大好きだからな」パッパッパッ
比叡「悪魔だ……」
両津「違反者にわし自ら鉄槌を下してやるぜ」パッパッパッ
両津「よし! 仕事は終わった! ずらかれ!」
比叡「は、はいぃっ!」
一時間後
中佐「いやぁ、久しぶりに羽根が伸ばせますなぁ」
大佐「何せ久々の宴会ですからなぁ。実に楽しみだ。君たちも遠慮するなよ、今日は無礼講だ」
提督たち「はい! ありがとうございます!」
少佐「酒もいいが長門君、例のものは用意してあるかね?」
長門「はい。カレーは我々にとって神聖なメニューですから、もちろんご用意しております」
少佐「さすが長門君だ! まったく両津の奴にも見習ってほしいものだ」
長門「ははは、全くですな」
大佐「では、そろそろ始めましょうか! カンパーイ!」
一同「カンパーイ!」
大佐「ではさっそくカレーを……」カパッ
少佐「!?」ウプッ
中佐「な、何だこれは!?」ゲェェッ
提督たち「ひ、酷い臭いだ! 化学兵器か!?」ヒィイ
大佐「うぐおぉおおぉおおおぉおおっ! 目が、目があぁああぁああぁあああぁっ!」ドタバタガッシャーン!
中佐「窓だ、窓を開けろぉおおぉおおおぉおっ!」バタバタ!
提督たち「ダメです! なぜか開きません!」ガタガタ!
大佐「オゲェエエエエエエエ! オゲエェエェエエエエエエェ!!!」オロロロ
少佐「な、長門君! これはどういうことだね!」
長門「りょ、両津の仕業だな……」プルプル
執務室
キキィッ!
ドッカァァアアァアアァァン!
長門「両津!!! 両津のバカはどこだ!!!」
大淀「比叡さんとカレー修行の旅に出ると言って先ほど出て行きました!」
おわり
続けてもう一本いきます
「資材王両津提督! の巻!」
長門「――というわけで、最近、どの鎮守府でも資材が不足しているそうだ。我が鎮守府でも資材不足は深刻な問題で――」
両津「ふあーあ。くそっ、頭いてぇ……」
長門「……おい、両津」
両津「おっ!? な、何だ、長門?」
長門「私の話を聞いていたか?」
両津「も、もちろんだ。えぇと、資材が――」
長門「資材が何だ、言ってみろ」
両津「お、大淀! 教えろ、資材がどうしたんだ!」ヒソヒソ
大淀「資材不足ですよ、各地の鎮守府で資材が不足しているらしいです」ヒソヒソ
長門「こら両津、こそこそと何を話している」
両津「い、いや何でもない! そうだ! 資材だ! 資材が不足しているんだろう!?」
長門「……そうだ。そして、その問題は我が鎮守府も無関係ではない」
両津「そういえば、明石がそんなことをぼやいていたな……」
大淀「もしかして提督、知らなかったんですか?」
長門「まったくお前は……物資の状態を把握していない司令官など問題外だぞ」
陸奥「そうよ、いざとなった時に困るわよ?」コトッ
両津「うーむ、確かに資材が不足するのはまずいな……わし得意の戦艦を運用できなくなってしまう」ズズズ
陸奥「両ちゃん、戦艦が好きだものね」
長門「単細胞だからな。得意なのではなく力押し以外ないのだ、こいつには」
両津「大きなお世話だ!」
大淀「理由は鎮守府によって異なりますが、資材不足が深刻な問題なのは確かですね。最近ようやく平和になってきたのに、また深海棲艦の侵略が激しくなるかも……」
両津「ふん! 望むところだ!」カッ!
陸奥「でも、何とかしないと、このままじゃ本当にまずいわ……」
両津「うーむ、しかし腑に落ちんな。大本営の奴らが溜め込んでるんじゃねぇのか? あいつら自分の身を守るのだけは得意だからな」
長門「バカモン! 失礼なことを言うんじゃない!」
大淀「そうですよ提督、だいたい、防衛線が崩壊したら本部だって危ないんですから」
両津「ふぅむ、資材不足なのはどこも同じということか……」
両津「……」ピタッ
両津「(待てよ……不足しているということは、つまり需要があるということ……)」
両津「(うまく資材を独占することができれば……全国の鎮守府に売りつけて大儲けできるんじゃねぇか?)」
両津「(こうしちゃいられん……大儲けのチャンスだ!)」
その夜 工廟
明石「うーん……」ゴロッ
両津「艤装と、砲弾と……あと工具もいるな……たくさんありすぎてよく分からんな。仕方ない。ぜんぶ持っていくか」ガラガラ
明石「うぅん……」グウ、グゥ
両津「よし、あとは明石のやつを運び出して……」ソッ
明石「ん……」ピクッ
両津「こいつがいないと困るからな。起こさないようにそっーと……」
両津「それにしても軽い! 腰など有り得ない細さだ! ちゃんと食ってるのか? こいつ……」
両津「ってそれどころじゃない! さっさと運ばなければ! 長門に見つかったら面倒だ!」
翌朝
明石「うん? う~ん」ググー
明石「あれ? ここ、どこ……?」キョロキョロ
両津「おう! 起きたか明石! さっそくで悪いが船の整備を頼む!」
明石「提督!? あの、ここはどこですか!?」
両津「見ればわかるだろ、海上だ。いま我々は最重要任務の遂行中だ」
明石「最重要任務……?」
両津「あぁ、資材の調達だ。集めまくってこの船に積めるだけ積んで持って帰る!」
明石「でも資材はいつも駆逐艦の子たちに任せっきりですよね? 何で提督と私が……」
両津「極秘任務だからに決まっているだろう。このことはわしとお前以外知らない」
明石「え!?」
両津「ちなみに今いる海域もまだ解禁されていない海域だ。当然周囲には深海棲艦がゴロゴロいる」
明石「……」パクパク
明石「嫌あああぁあぁあああぁああぁああぁっ!」バタバタ
両津「こら! 暴れるな! 落っこちるぞ!」
明石「うぅっ、ひっく、ぐす……帰りたいよぉ……」グッスグッス
両津「おい、泣いてないで艤装を付けろ。ふっ飛ばされても知らんぞ」
明石「え……? だって、当然砲弾とか積んでるんですよね……?」
両津「バカもの! 資材調達のために来たのに物資を無駄遣いしては本末転倒だ! 最低限の装備しか積んでおらん! 当然お前も戦力だ! 根性見せろよ、明石!」
明石「…………」ゾゾー
明石「嫌ああぁああぁああああっ! 帰りたいよぉおおおおおおおおおっ!」ジタバタ
両津「だから暴れるな! 船が揺れるだろう!」
明石「うっ、ううっ……よく見たら船もただの漁船……」
両津「大きい船だと目立つからな。これぐらいのサイズが隠密行動には適している」
明石「こんな船で深海棲艦が棲息している海域を渡るなんて無茶ですよぉ提督……」メソメソ
両津「人間やって不可能なことはない! わしの後輩など昔アヒルボートで南の島まで行ったことがあるんだぞ!」
明石「提督の知り合いですからどうせすごい人なんでしょう……私にはそんな離れ業できませぇん……」グスグス
両津「弱音を吐いている暇はないようだぞ」クイッ
明石「えっ」ピクッ
深海棲艦1「ナンダ……オマエラハ……」
深海棲艦2「ノコノコト……ナメラレタモノダ……」
深海棲艦3「シズメテヤル……」
ゾロゾロ
明石「」
明石「ひぃいいいぃいいぃいいいぃいいいぃっ!」
両津「掴まれ! 強行突破だ!」グォオン!
深海棲艦2「ウワッ!?」
深海棲艦3「マテ!」
深海棲艦1「ニガスナ!」
両津「やかましい! ついてくるんじゃねぇ!」ドォン!
深海棲艦1「グワッ!?」大破
両津「どけ! 邪魔だ!」ドン! ドン! ドン!
ウワー! ナンダー! テッタイシロー!
明石「す、スゴすぎる……」
両津「明石! お前も援護しろ!」ドン! ドン! ドーン!
明石「無理ですぅうううううううっ!」
両津「ちっ! しょうがねぇ! このまま突っ切るぞ! 邪魔だ! てめぇら!」グォォォォン! ドンドンドン!
深海棲艦「オ、オソロシイヤツダ……」グフ
数十分後 どこかの海域
両津「うーむ、完全に迷子になってしまった」
明石「そんなぁ!? 羅針盤は!?」
両津「ダメだ。さっきの戦闘で狂ったらしい」
明石「じゃ、じゃあ通信機は……?」
両津「もともと壊れてて使えん。修理するのもタダじゃないからな」
明石「します! いくらでもタダ働きしますぅ!」ヒッシ
両津「よく言った。それでこそわしの部下だ」ポンポン
明石「うぅ……帰りたい……帰りたい……帰りたいよぉ」ガチャ、カン、カン、カン
両津「むぅ、しかし思ったよりも敵が多い。これでは資材の消費量が獲得量を上回ってしまう」
両津「いっきに資材を手に入れる方法はないのか……ん?」
深海棲艦「」テケテケ
両津「……」ニヤリ
両津「……で、どうだ。拠点の場所を吐く気になったか?」ギロッ
深海棲艦「ハイ! オシエマス!」ガタガタ
両津「よーし、いい子だ。無駄な弾を使わずに済んだよ」グッフッフ
明石「ひどい……」
両津「ふっふっふっ、初めからこうすればよかったな。考えてみれば資材不足が起きるのはこいつらが資材をたっぷり持っていくからだ。ならば地道に集めるよりこいつらから奪ったほうが早い」
明石「まるっきり海賊の発想です……」
両津「バカを言うな! 我々は罪のない民間人ではなく人類の敵から資材を奪うのだ! よってわしらは海賊ではなく誇り高き国家のために働く正義の使者だ!」
明石「大本営みたいな論理だ……」
深海棲艦「ツ、ツキマシタ……」
両津「案内ご苦労! 行ってよし」ドドドド!
深海棲艦「ヒ、ヒエーッ!」ピューッ!
両津「……流行ってるのか? アレ」
明石「さぁ……」
両津「まぁいい。乗り込むぞ」
明石「はい……」ブルブル
深海棲艦 拠点
ワッハッハッ
深海棲艦a「イヤァ、ジツニキブンガイイ!」
深海棲艦b「ニンゲンカラシザイヲウバウ! ソシテマタウバウ!」
深海棲艦c「コレダカラカイゾクコウイハヤメラレン!」
ワッハッハッ!
バツン
深海棲艦a「ム? デンキガキエタゾ?」
深海棲艦b「ナニゴトダ?」
?「ひとーつ、人の世の生き血をすすり」
??「ふたーつ、不埒な悪行三昧」
?「みっつ、醜い浮世の浮世の鬼を退治してくれよう」
ドオォォォォォォォォォォォォン!
深海棲艦a・b・c「!?」
両津「わしは撃沈では済ません……」
両津「塵も残さず消滅させてやる!」ドゴォーン!
深海棲艦a・b・c「ヒイィィイイイィイッ!?」ボガーン!
両津「明石ぃ! 資材を運んでこい!」
明石「は、はぃいいいいいいぃいいいいいっ!」ビュンッ!
深海棲艦たち「ナンダナンダ!?」「テキシュウカ!?」「ニゲロー!」
両津「どんどん積み入れろ! スペースというスペースに資材を積み込め!」
明石「が、がんばりますぅうううぅううううっ!」ヒィヒィ
深海棲艦たち「シ、シザイガウバワレテイル!」「ト、トリカエセ!」
両津「近付くんじゃねぇ!」ドゴォン!
深海棲艦たち「ギャアッ!?」
両津「これはみんなわしのもんだ! 失せろ!」ドガンドガン!
深海棲艦たち「ウワー!」「タ、タスケテエェエエエ!」
明石「む、ムチャクチャだ……」ブルブル
両津「よし! 資材はこれで全部だな!」
明石「つ、積み入れすぎですよぉ! 沈んじゃいますぅ!」
両津「何とかなる! いくぞ!」ゴォオオオン!
明石「ひぃいいいっ!」
ビュゥウウウウウウン!
明け方 鎮守府
両津「ただいま! いやあ突然いなくなって悪かったな!」
陸奥「どこ行ってたの両ちゃん! 心配してたのよ!」
両津「なに、ちょっとわし自ら遠征にな。見ろ!」
資材「ドォォォォォン」
大淀「す、すごい! これみんな提督が集めたんですか!?」
両津「明石も手伝ってくれたがな。これで資材不足は解消だ!」
陸奥「それで、明石は?」
両津「船の上で気絶している」
大淀「何をやらせたんですか……」
両津「まぁ、色々とな」
長門「しかし、どこでこんなに獲ったのだ? 進行許可が下りている海域は我々と深海棲艦があらかた取り尽くしてしまったはずだが」
ギクッ両津「い、いやー、偶然夢のようなスポットを見つけちゃってさー」
大淀「本当ですか!? じゃあそこへ行けばまだまだ手に入るかも!」
両津「い、いやー、もうないんじゃないかなー。わしが全部獲ってきちゃったし」
長門「とにかくお手柄だ! これで我が軍の資源不足は解消される!」
両津「ああ、苦労したかいがあったぜ! 長門! さっそく本部に連絡してきてくれ!」
長門「ああ! 了解した!」ダッダッダッ
両津「……さて、鬼はいなくなったか」
陸奥「ちょっと両ちゃん? 何か企んでない?」
両津「なに、せっかく体を張って集めた資材だ。お得な値段で提供してやろうと思ってな」
大淀「売る気なんですか!?」
両津「当然だ! 世の中そんなに甘くない!」
陸奥「知らないわよ……姉さんに叱られても」
両津「ふん! 長門が怖くて商売ができるか! 誰が止めようとわしはやるぞ!」ダッ!
大淀「あ! 提督!」
こうして両さんの強引かつ横暴な商売が始まった。
大本営に直接乗り込んだ両さんは国家予算にも匹敵する額を提示。
さすがの大本営も拒否したが、もちろんそれで諦める両さんではなかった。
執務室
両津「なかなかオチないな大本営の奴ら……やはりまだ余裕があるからか……」
両津「ならば極限まで追い詰めてやろう……次はあいつらの出番だ」
夜 別鎮守府近海
艦娘1「ふぅ……何とか集まったわね」
艦娘2「一日中駆け回ったものね」
艦娘3「これだけあればまだまだ大丈夫ね」
艦娘1「さぁ、早く帰りましょう!」
?「ひとーつ! 人から暴利をぶん取り!」
??「ふたーつ! 不埒に悪行三昧!」
???「みっつ! 鬼神が如く暴れてくれよう!」
両津「海賊王カンキチ・ロジャー様だ――――――っ!」ドン!
艦娘1「きゃああああっ!?」大破
艦娘3「て、敵襲よ!」
艦娘2「こ、このっ!」ボン
木曾「おっと!」ビュン!
艦娘2「な!?」
木曾「遅すぎるっ!」ドォン!
艦娘「きゃあっ!?」大破
艦娘3「や、やってくれるわね!」チャキ
武蔵「むん!」ツカミ
艦娘3「えっ!? いつの間に!」ジタバタ
武蔵「ふん!」ブンッ!
艦娘3「きゃああ――――――――――っ!?」キラーン
両津「成敗!」ドドン!
木曾「ふー、このマスク、暑いなー」ヌギヌギ
武蔵「そうだな……それに前が見えにくくて砲弾が撃てん」ヌギヌギ
両津「わっはっはっ! 資材だ資材! 他所の鎮守府から資材を奪えば儲かる上に需要も上がる! まさに一石二鳥だ」!
明石「ひ、ひどすぎる……」
両津「わしは資材のありがたみを教えてやっているのだ! つまりこれは海賊行為ではなく世直しだ!」
明石「めちゃくちゃな論理だ……」
木曾「まぁ俺は戦えさえすればどうでもいいがな」
武蔵「うむ、ちょうどいい機会だ。最近は訓練しかできなかったからな。体が鈍っていたのだ」
明石「恐ろしい人たちだ……」
両津「ふっふっふっ、まだまだ続けるぞ。全鎮守府の供給がストップするまで略奪し続けてやる!」ワハハハハハハハ!
そして両さんの目論み通り、ありとあらゆるルートが両さんによって掌握されていった。
ついには艦娘を総動員しての遠征が行われ、次々とポイントが埋められていった。
資材不足は決定的なものとなり、もはや日本、いや人類の防衛ラインが崩壊するのも時間の問題だった。
数日後
両津「なにぃっ!? 大連合艦隊がこちらに向かっているだと!?」
大淀「はい。日本のみならず、全世界の鎮守府による大共同作戦だとか……」
陸奥「もう諦めなさい! とても勝ち目がないわ!」
大淀「そうですよ!」
両津「バカ野郎! ここまできて諦めてたまるか! こうなったら反乱だ! 徹底的に抗ってやる」ダッ!
陸奥「両ちゃん!」
大淀「提督!」
鎮守府近海
少佐「両津提督! 君は完全に包囲されている! 大人しく投降しなさい!」
少佐「……むぅ、無反応か。まいったな」
別鎮守府提督「やはり、強行作戦しかありませんか」
少佐「うぅむ……できれば艦娘たちは傷つけたくないが……止むを得んか」
別鎮守府「……!? 少佐! 何か来ます!」
母港
榛名「て、提督を傷つける者は榛名が許しません!」
比叡「き、気合入れていきます!」
武蔵「ふっ、劣勢こそ戦の醍醐味よ。目にもの見せてくれよう」
木曾「腕が鳴るぜ!」ブンブン
隼鷹「まっ、提督には世話になってるしねー」
千歳「提督だけは私たちで守りましょう。絶対に」
明石「と、ところで……肝心の提督はどこですか?」キョロキョロ
千歳「そういえば、どこに……」
両津「お前ら! どけ!」ダダダダダ!
榛名「て、提督!?」
明石「ぎ、艤装付けてる!?」
両津「うおおおおおおおっ!」バッ!
バチャン!!!!!!!!!!!
両津「このハイエナどもが! 人の資材を強奪しようとする不届き者はわしが成敗してやる!」
別鎮守府提督「で、出ました! 両津提督です!」
少佐「な、なぜ艤装を付けてるんだ!?」
別鎮守府提督「こ、こちらに向かってきます! いかがいたしましょう!」
少佐「撃て!」
別鎮守府提督「ええっ!? 相手は人間ですよ!?」
少佐「あいつは人間じゃない! 全力で応戦しろ!」
別鎮守府提督「りょ、了解! 総員! 迎撃せよ!」
艦娘たち「てー――――――っ!」
ドドガドンドン!!!!!
両津「ぬるい!」無傷
別鎮守府提督「バ、バカな!?」
少佐「ひ、怯むな! 総力を持って撃退しろ!」
艦娘たち「てぇ――――――――っ!」ドガドガドカン!
両津「わしを舐めるんじゃねぇーっ!」ダダダダダダダダ!
別鎮守府提督「と、止まりません! しょ、少佐! どうしましょう!」
少佐「くっ……親戚からあの男のことは聞かされていたが……まさかこれほどとは」ググググッ
別鎮守府提督「しょ、少佐!」
両津「うぉぉおおぉおおおおっ!」ドンドンドンドガーン!
艦娘たち「きゃあああああ――――――――――っ!?」大破大破大破
両津「資材はみんなわしのもんだ――――――っ!」ドガ! ドガ!ドガァーン!
艦娘たち「いやぁ――――――――――っ!」「やめてぇ――――――――――っ!」大破大破大破大破大破大破大破大破大破大破
武蔵「凄まじい強さだ……」
木曾「この戦争、あいつだけで勝てるんじゃないのか……」
千歳「味方に回すとすごく頼もしいけれど、敵に回すと非常に恐ろしいわね……」
榛名「さすが提督です!」
比叡「榛名、それちょっと違う……」
10分後
両津「がっはっはっ! わしの完全勝利だ!」S勝利
別鎮守府提督「せ、世界の総力を結集した大連合艦隊が……」
少佐「あ、あいつと戦おうと考えた私が馬鹿だった……」ズキズキ
別鎮守府提督「ど、どうしましょう……」
少佐「要求に応じるしかあるまい……両津提督! まいった! 君の健闘と功績を称え十分な報酬を約束しよう!」
両津「やったっ! 大金持ちだ! 数百兆円の金が転がり込むぞ!」
数日後
大淀「……『貴殿の健闘と功績を称え、表彰します 海軍大佐』だそうです」
両津「ふざけるな! 勲章なんかでごまかしやがって! 十分な報酬ってこういう事かよ!」 パリンッ!
陸奥「少佐のほうが一枚上手だったわね……」
明石「資材王の夢は潰えましたね……」
長門「自業自得だ」バカモノめ
おわり
終わりです
絶対誰かがやると思ったのにやっていないので書きました
また気が向いたら書くかもしれませんが、いつになるのか分からないのでHTML化依頼出しておきます
それではまたいつか
ちなみに配役については、
麗子=陸奥
部長同様、麗子役は陸奥しかいないと思ってこの配役。
書いている途中で愛宕にしようかそれとも陸奥にしようか悩みましたが……。
少々お転婆なのが麗子の特徴なので、包容力のあり過ぎる愛宕は合わないと判断。金髪巨乳なんですが。
それに部長が長門なので、やはり陸奥がピッタリかなと。
中川=大淀
「これ!」という感じではなく、「まぁ、しいて言えばこの人かなぁ」という具合に選ばれました。
中川にピッタリのキャラっていないんですよね……で、真面目だし、敬語だし、お金にうるさそうだし、経理やってそうだし、というイメージで選びました。
ただ我ながら若干キャラが弱い感が否めない……。
部長=長門
この人は長門しかいない! と思って配役。思った通りドハマリでした。真っ先に決まった配役です。
というか長門の部長オチが書きたくてこのSSを書いたと言っても過言ではない。
バカモン! とか他に言いそうな艦娘がいませんし、堅物だし、厳格そうだし、迫力あるし、で長門を選びました。
本田=明石
機械いじりをしてそうなイメージということで、明石さんに。
気弱そうですし、あと個人的にこの人が好きなので。
思った以上にハマってくれました。
こんな感じです。
このSSまとめへのコメント
予想以上の安定感と面白さだ、gj
こち亀らしいww
セリフが脳内再生出来るレベルのクオリティww作者GJ!!
両津艦吉か
超面白かった
こち亀らしいなwwww
いいセンスしてるわwwwww
明石が本田とは気付かなかったなw武蔵と木曽はボルボと左近寺か?w