【こち亀×艦これss】両津「なにぃ!? わしが提督だと!?」2 (142)

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【こち亀×艦これss】両津「なにぃ!? わしが提督だと!?」
【こち亀×艦これss】両津「なにぃ!? わしが提督だと!?」 - SSまとめ速報
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の続きです。
前回を読んでいなくても楽しめます。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434899708


「漢娘計画! の巻!」


大本営 大佐室


大佐「諸君っ!!! とうとう『漢娘計画』が始動することに決まったっ!!!!!」


技術者「ウオオオオッ!!!!!」


大佐「漢娘計画……それは艦娘の誕生の日より囁かれてきた究極にして完全なる計画……最強の日本男児である『漢』を生み出すため、我が海軍は日々心血を注いできた……」


大佐「しかし政府には『予算の無駄使い』受け入れられず、陸軍には『海軍の趣味』となじられ、計画は凍結していた……」


大佐「しかしっ!!! ついにその計画が再始動するっ!!!!!」


技術者たち「ウオオオオオォォオオーッ!」「大佐ァァアアァアアアッ!」


大佐「いいぞ! もっと! もっと熱くっ!!! もっとだっ!!!!!」



技術者A「しかし大佐……一つよろしいでしょうか」ヒョイ


大佐「何だね!」


技術者A「漢娘計画の最大の問題点は実験体が存在しないことだったはずですが……その点は解決済みなのですか?」


技術者B「確かに……」


技術者C「漢娘の艤装は艦娘の装備とは比較にならない性能だが……それに耐えられる者が人類学上存在しないんだったな」


技術者D「やはり漢娘計画は机上の空論だったのか……」



大佐「否ッ! そんなことはないっ! 海軍は既に被験体を見つけておる!」


技術者A「ば、バカな!?」


技術者B「し、しかしそんな人間がどこに!?」


大佐「諸君……先日の騒動をもう忘れたのかね」


技術者C「先日の騒動……? ……まさか」


大佐「そう!!! この男だっ!!!!!」バンッ!


ウィーン



両津の写真『ヘンガオダブルピース』



大佐「最凶にして最強の提督、両津勘吉だっ!!!!!!!!!!!!!」


技術者たち「おおぉぉおおぉおぉぉおおっ!?」



大佐「この男ならば漢娘計画のあらゆる障害をクリアできる……否ッ! この男にしかクリアできん!」バババンッ!


技術者たち「確かに先日の戦闘は凄まじかったな……」「世界の大連合艦隊を10分で殲滅だものな……」


技術者A「しかし大佐……漢娘計画は人道に反するという声も」


大佐「君、人権とは誰に適用されるものかね」


技術者A「は? それは、人間ですが……」大佐「その通り! そしてこの男は人間ではない!! よって人権は存在しない!!! ゆえに何の問題もないのだっ!!!!!」バン!


技術者たち「なるほど」「その通りだ」


大佐「明日さっそく漢娘計画を始動するっ!!! 諸君っ!!! 返事はっ!!!!!」


技術者たち「サーッ!!!!! イエッサー!!!!!!!!!!」 


技術者A「大丈夫だろうか……」




翌日


???


両津「ん? う~ん……」グググ


両津「いやぁ、よく寝た……ん? ここはどこだ?」キョロキョロ


?「起きたかね、両津勘吉くん」


両津「あん?」クイッ


大佐「おはようっ!!! 両津勘吉くんっ!!!!!」ビリビリッ!


両津「うぉおっ!?」ビリビリッ!



大佐「おや、驚かせてしまったようだな」


両津「当たり前ですよっ! いきなり大声を上げないでくださいっ! っていうかここはどこですか! なぜ大佐がいるんですか!」


大佐「うむ、両津勘吉くん。今日は君に重要な任務を命ずるためにここ本部に招いたのだ」


両津「重要な任務?」


大佐「そうだ。両津くん、君は『漢娘計画』というものを聞いたことがあるかね」


両津「オトコムス計画? 何ですかそれ?」


大佐「海軍が艦娘の開発当初から計画していた究極にして完全なる計画だ。この日本の海を、いや世界の海を背負って立つことのできる最強の漢、『漢娘』を生み出すことを目的にしている」


両津「まさか……その漢娘とやらが」


大佐「その通りっ!!! 君というわけだっ!!!!!」ビリビリビリッ!!!


両津「うおぉぉおぉおぉおっ!?」ビリビリッ!!!



大佐「おや、また驚かせてしまったようだな」


両津「わざとやってるでしょう! まったく!」イテテテ


大佐「そんなことより両津くん、引き受けてくれるかね?」


両津「そんなこととは何ですか……ふんっ! イヤですよ!」


大佐「なぜだ! 栄えある漢娘の第一号になりたいと思わないのかね!」


両津「思いません」キッパリ


大佐「世界の海を背負って立ちたいと思わないのかね!」


両津「思いません」キッパリ


大佐「特別ボーナスが欲しくはないのかね!」


両津「思いませ……ん?」ピクッ



大佐「そうか……誠に残念だが、今回の話はなかったことに……」スッ


両津「お待ちください大佐!」


大佐「何だね?」クルッ


両津「引き受けましょう! 男両津勘吉! 世界の海を背負って立つ『漢』になります!」ビシッ!


大佐「おおっ! そうかっ! 君ならそう言ってくれると思っていたぞ!」


両津「お国に仕える軍人として当然のことですっ! さっそくご指示を!」



大佐「うむ、それではまず、その艤装を装着してくれ」


ウィーン


両津「これですか? ずいぶんゴツイですね」


大佐「君用に作った特別製だからな。世界で君一人だけが付けることができる」


両津「MSみたいでかっこいいですね!」ワハハ


大佐「その通り! 分かってくれるかね!」ハッハッハ


両津「よし、さっそく付けましょう……ここはこうか? ここはたぶんこう付けて……」ガチャガチャ



両津「よし! 装着完了だ!」ドドン!


大佐「どうだね、世界初の漢娘になった気分は」


両津「最高の気分ですよ!」ガハハ


大佐「それはよかった! 作った甲斐があったよ!」ワッハッハ


両津「しかし色々と装備が付いてますね……なぜこんなに?」


大佐「その艤装は特殊でな、あらゆる艦種に対応する能力を持っている! つまり! 君はあらゆる艦種に変身することができるのだ!」


両津「ええっ!」


大佐「本当だぞ。駆逐艦から始まり、果ては戦艦や潜水艦まで……君に不可能はない!」ドンッ!


両津「そりゃすごい!」



大佐「しかし装備者への負担が大きすぎてな……それに耐えることができる人類は地球上には存在しなかった……ただ一人を除いてな」


両津「それが……わし?」


大佐「そうだ!!! 君は選ばれし者なのだっ!!!!!」


両津「選ばれし者かぁ……いい響きだなぁ」ジーン


大佐「それでだ、両津くん。今回は艤装のテストを行いたい。両津くん、準備はいいかね?」


両津「どんとこいです!」ワハハ!


大佐「よろしい! ならばまずはエントリーナンバー一番……」






長門?「リョーツ……」





大佐「『カンムスちゃん(仮)量産型』だ!」


両津「ちょっと待ってください!」



大佐「何かね?」


両津「何なんですかこれ! 何で長門なんですか!」


大佐「海軍が開発した訓練用ロボ、『カンムスちゃん(仮)』だ。ビジュアルに関しては半年をかけて議論した結果、この造形に落ち着いた。やはり迫力がなければならん!」


両津「迫力ありすぎますよ……」


長門(仮)「リョーツ!」


ドゴォンッ!!!!!



両津「うおぉっ!?」バッ!


大佐「気を付けたまえ! 砲撃の威力は本物の長門くんに勝るとも劣らんぞ!」


両津「もうこいつを実戦投入すればいいでしょ!」ボカンボガン!


大佐「つべこべ言うな! 応戦するんだ!」


両津「えぇいっ! くそっ!」ダッ!


長門(仮)「ム!?」


ガキィン!


両津「そんなもの! 長門の砲弾に比べたら!」ジャキ!


両津「そうめんみてぇなもんだ――――――――っ!」ドガアァン!



長門(仮)「グァア!?」大破


両津「よっしゃ!」S勝利


大佐「さすがだ両津くん! 次はこれだ!」


ドシン、ドシン


ドン


ビッグ長門「リョーツゥウウウウゥウゥウウッ!」ビリビリビリツ!


両津「うぎゃああああっ!?」


大佐「今のと同じ『カンムスちゃん(仮)量産型』だ。さぁ、戦うのだ!」


両津「どこが同じですか! 明らかにサイズが違うでしょう!」


大佐「同じだよな?」


技術者「はい、何も違いませんね」クイッ


大佐「ほら」


両津「小芝居はいいですからっ! 余計腹立つっ!」



大佐「文句を言う前に砲塔を構えたまえ! 敵は目の前だぞ!」


両津「くそっ!」


ビッグ長門「ウオオオオオオオオッ!」


両津「甘い!」ビュンッ!


ガシッ!


両津「巨人の弱点は! 意外と脆いおみ足!」グググッ!


ビッグ長門「オワァッ!?」グラァッ


両津「寝とけ! このバカッ!!!!!」グイイッ!


ドバシィーンッ!


ビッグ長門「グアッ!」



両津「くらえ!」


ドゴォン!


ビッグ長門「ガハァッ!?」大破




両津「ぜぇー、ぜぇー……見かけ倒しで助かった」


大佐「では続いて彼女の登場だ!」


長門(改)「両津ぅっ!!!」ドシィン!


両津「本人でしょうがっ!!!」


大佐「君、先ほどと何も変わらんよな?」


技術者「はい。全く同じですね」クイッ


両津「小芝居やめいっ! 腹立つっ!」



大佐「同じ艦娘は二人とおらん。常識だと思うが?」


両津「だったら長門に似せることないでしょうが……!」プルプル


その後も大佐による過酷な訓練が続いた。
両さんは数千、数万体の長門(仮)と戦い、みるみるうちに漢娘としての練度を上げていった。
その能力はもはや艦娘のそれを遥かに超え、技術者の予想を大きく上回る結果を叩き出しだのだった。


――


技術者1「これで3万5千654体目……凄い数値だ……」


技術者2「艤装の性能もさることながら、本人の身体能力も……」


大佐「彼は以前警察官をしていたのだが、引き渡しの際、所属していた警察署の署長と巡査部長に『あいつは人間ではありません』『どんな過酷な任務を与えていただいても結構です』と言われたが……噂以上の漢であったな」


技術者1「スゴすぎですよ……」


技術者2「ほぼ人間じゃない……」


大佐「実戦投入が楽しみだな」フッフッフッ



翌日 葛飾鎮守府 訓練場


陸奥「ねぇ、本当にここに集まれって両ちゃんが言ってたの?」


大淀「はい、先ほど電話で……」


長門「いきなり行方不明になったかと思いきやいきなり召集とは……あいつの考えることはわからん」


明石「で、でも、どこにもいませんね、提督……」オロオロ


長門「何を考えているんだあいつは……」



???「ふっふっふっふっふっ、集まったようだな」


武蔵「何だ!?」


木曾「気を付けろ! 強力な気配を感じる!」


???「いい勘してるぜ! 木曾!」


バッ


両津「ハァッ!!!!!」


ドォーン!


両津(漢娘)「よぅ! 待たせたな!」バァーン!


長門「な!?」


陸奥「ええ!?」


大淀「こ、これは!?」



両津「どうだ! 驚いただろう! これぞ海軍の最高傑作にして対深海棲艦最終兵器『漢娘』だ!」


長門「お、漢娘だと?」


両津「説明するより戦ってみたほうが早い。こい。わし一人で全員を相手にしてやる」


長門「き、貴様、舐めているのか? 全員でだと?」


両津「おやぁ? 自信がないのかなぁ?」


長門「何だと……?」ピク


大淀「ま、まぁまぁ……提督、いくら何でも、それは無茶ですよ」


両津「無茶かどうかはやってみれば分かる。つべこべ言わずかかってこい」



大淀「どうします……?」ヒソヒソ


長門「あそこまで言われて退く訳にもいくまい。受けて立ってやっていいと思うが」ヒソヒソ


陸奥「まったく、どうなっても知らないわよ」ヒソヒソ


両津「どうだ? 決まったか?」


長門「いいだろう。その無謀な挑戦、受けてやる」


陸奥「もう、あとで怪我しても文句言わないでよ?」


両津「そりゃこっちの台詞だ。勝利条件を決めておくぞ。そっちの勝利条件はわしに小破でいいから傷を付けること。わしの勝利条件は全員を大破させたらだ」


大淀「そんな……勝負になりませんよ……」


長門「いいだろう大淀。本人がやると言っているんだ」


陸奥「もぅ、意地っ張りなんだから」



大淀「……で、では、やるということで?」


両津「ああ」コク


長門「構わん」コク


大淀「では……」ザリ


大淀『全艦娘に告ぎます! ただいまより緊急特別演習を始めます! 標的は両津提督! 提督を除く全鎮守府メンバーで臨みます! 演習ですが実戦と同じ覚悟でかかってください!』


両津「よぉし、望むところだ」ブンブン


陸奥「後悔しないわね、両ちゃん」ジャキ


長門「短いが悪くない付き合いだったぞ、両津」ジャキン


大淀「訓練とはいえ、全力で行かせてもらいますよ、提督」ジャ


両津「ああ、遠慮はいらんぞ。でないとつまらんからな」ハッハッハッ



ヒソヒソ大淀「提督のあの自信……どうやらあの艤装にあるようですね」


長門「漢娘など聞いたこともないが……どうする?」ヒソヒソ


大淀「どんな頑丈な装甲であったとしても正面から砲撃を受ければひとたまりもないはずです。まずはエースと戦艦を除く全部隊で提督に攻撃を仕掛けて足を止めましょう」ヒソヒソ


陸奥「その直後、私たちで一斉に砲撃を浴びせるってことね」ヒソヒソ


大淀「そうです。いくら提督でも、同時に戦艦の砲撃を浴びれば耐え切れないはずです。ましてや、小破なんて……」ヒソヒソ


長門「余裕だな。ふん、すぐにあの鼻っ柱をへし折ってやる」バキバキ


両津「作戦会議は済んだか?」ニヤ



長門「ああ、すぐに終わらせてやる」


大淀「では……砲塔を上に向けますから、私がこれを撃ったら始めましょう」スッ


両津「いつでもどーぞ」ピュ~


大淀「では……」


パァンッ!!!


大淀『エース及び戦艦を除く全部隊! 一斉掃射!』


艦娘たち『てぇ――――――――――い!』ドドンガドンドン!



両津「甘い!」ブゥン!


大淀「なっ!?」


陸奥「飛んだ!?」


両津「わっはっはっ! 空を知らぬ軍艦には何もできまい!」ビューン!


大淀『怯まないで! 空母! 艦載機を!』


空母部隊「はっ!!!!!!!!!!!」ビュン!


ブゥウウッゥゥゥウウゥウウウン!


両津「モードチェンジ!」ジャキィン!


長門「何だ!?」


両津「潜! 水!! 艦!!!」ジャブゥン!



陸奥「も、潜られちゃったわ! こ、これじゃ爆撃が!」


大淀『諦めないで! 続けざまに潜水艦隊!』両津「遅すぎるっ!」ドドドドドン!


潜水艦部隊「きゃあっ!?」「でちぃっ!?」全艦大破


長門「ば、バカな!?」


陸奥「た、たったの一撃で!?」


大淀「こ、これが新兵器……」ハッ


大淀『全艦退避! 上陸し陣形を整えてください!』


両津「今だっ!!!」ジャブゥン!


両津「くらえっ!!!!! 戦艦乱れ撃ち!!!!!!」┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!



全部隊「きゃあああ!?」「そんな!?」「嘘!?」大破続出



陸奥「せ、戦艦の砲撃を連射なんて……!」


長門「機関銃じゃないんだぞ!? そんなバカなことが!?」


大淀『落ち着いて! とにかく退がって! 固まっちゃダメです! 散開してください!』


両津「ふははははは! 作戦も陣形もメチャクチャだな! とどめを刺してやる!」ジリリ



両津「くらぇいっ!」キュウウウンッ!


両津「『R.T.砲』――――――――――――――――っ!」







チュドォ――――――――――――――ンッ!






数時間後 夜 工廠


明石「うぅ……昼間は酷い目に遭ったなぁ……」キィイ


両津「おぅ、明石か。勝手に使わせてもらってるぞ」キュイイイン


明石「提督!? 何やってるんですか!?」


両津「わし専用の艤装を改造してるんだよ。こういうのは好きだからな!」キュイキュイ


明石「ちょっと見せてもらってもいいですか?」キラキラ


両津「おぅ、いいぞ」ガシャッ



明石「へ~……かなり重装備ですね。具体的にはどういう機能があるんですか?」


両津「まずこのダイヤルを切り替えることによって艦種を変更することができる。駆逐艦から戦艦まで全てカバーしているんだ! 死角はないぞ!」


明石「すごい!」


両津「それだけじゃない。昼間の戦いを見れば分かったと思うが、各艦種の性能も旧世代と比較すると大幅にパワーアップしている。例えば、昼間やったように戦艦の砲弾を乱射することができたり、潜水艦の魚雷を同時に複数発放つこともできる」


明石「さすが最新鋭の兵器ですね……」


両津「当然基本性能も強化されている。砲撃の威力は大幅に向上しているし装甲も半端ではない。戦艦の砲撃が直撃しても傷一つ付かん。正に無敵だ」


両津「サブ機能も多い。お前も見ただろうが飛行することも可能だし索敵機能ももちろん付いている。通信機も搭載しているし、レーダー機能でマップ全体を把握することも可能だ」



明石「マニアにはたまらない仕様ですね!」


両津「だろ! サブウェポンも充実しているぞ! 狙撃翌用のライフル、身体能力を向上させるパワードスーツ、そして目玉はわしが造った『R.T.砲』だ!」


明石「R.T.砲って、提督が最後に放ったアレですか?」


両津「そうだ! ダイヤルで威力を調節することができるエネルギー砲だ! 最大出力で放てば海が一つふっ飛ぶかもしれん!」ワハハ!


明石「怖いですよ……」


両津「これだけ充実した機能であるにも関わらず驚きの低燃費低コストだ! 『漢娘』の名に恥じない性能だろ!」


明石「間違いなく世界最強の艦娘ですね!」


両津「漢(オトコ)だけどな! わははっ!」


バン!



両津「わしは『漢娘』として全ての艦娘の頂点に立ち世界の海を平和に導く! 暁の水平線にはわしが勝利を刻んでやるぞ!」ドドォーン!




後日 敵海域


深海棲艦a「ムゥ……フアンダナ」


深海棲艦b「ナニガダ?」


深海棲艦a「イヤ……サイキン、コノヘンノウミデツナガリマユゲノアクマガアバレマワッテイルトキク……タダノウワサデアルトイイノダガ」


深海棲艦b「ハッハッハッ、アンナモノタダノウワサダロウ。キニスルコトハナイサ」


ドドドォーン! ドガシャーン!


深海棲艦a「……ム? サワガシイナ?」


深海棲艦b「ナニカアッタノカ?」



深海棲艦c「タ、タイヘンダァー!」


深海棲艦a「ドウシタ!?」


深海棲艦c「リョ、リョ、リョ……」


深海棲艦b「リョ?」


?「うおぉおぉぉおおおぉお――――――――――っ!」


深海棲艦a「ン!?」


深海棲艦c「ナンダ!?」



ドバシャン!


両津「『両津勘吉』だ! てめぇら覚悟しろ!」ドォーンッ!


深海棲艦c「リョ、リョ、リョ……リョウツダ――――――――――ッ!」


両津「どけどけどけぇ――――――――――っ!」ドンドンドン!


深海棲艦「グワァ!?」「ギャア!?」「ヒィイイィ!?」大破続出


両津「旗艦! 旗艦はどこだ! 出てこい旗艦! 全員沈めるぞコラァ――――――ッ!」ドガボガドガボガドガボガドガボガ!


深海棲艦b「キカンダ! オマエヲヨンデイルゾ!」ダダーッ!


深海棲艦a「イヤダ! マダシニタクナイ!」ダダダダーッ!


両津「待てコラァ――――――――――ッ!!!!!」ドドガドンドンドン!



――


両津「おう大淀、終わったぞ」


大淀『殲滅に要した時間僅か3分……スゴイですね』


両津「このくらい朝飯前よ。わし一人だからローコストハイリターンだしな」パキャッ、ズズズ


大淀『もう提督だけでいいんじゃ……』ピピピ


大淀『……! 提督! 大変です! 太平洋から大部隊が接近中! 葛飾鎮守府に向かっています!』


両津「太平洋だと!? どこだ!?」


大淀『いま詳しい位置情報を送ります! とにかく急いで現場に向かってください!』


両津「よおし!」ビュウンッ!!!



大淀『提督!! 指示を!!!』


両津「艦娘は鎮守府防衛に当たらせろ! 現場にはわし一人で向かう!」


大淀『ええ!? 無茶ですよ! 相手は数万体の大部隊なんですよ!?』


両津「上等だ! 一騎当千! 『漢娘』の底力を見せてやる!」ビュゥゥンッ!


太平洋


深海棲艦「イソゲ! モクヒョウハリョウツカンキチ! ヤツヲオトサネバワレワレニカチメハナイ!」


深海棲艦たち「ハッ!!!!!」



?「わしならここにいるぞ!」


バッ!!!


両津「漢娘『両津勘吉』!!! ただいま参上!!!!!」ドンッ!!!


深海棲艦たち「デ、デタ!」「アクマダ!」「ヒィイ!」


深海棲艦「ヒルムナ! スウマンノブタイヲマエニナニガデキル! ヤレ!」


深海棲艦たち「ウ、ウォオ――――――――――ッ!」


ズトガドンドンドン!


両津「ふんっ!!!」ガッキィーン!



深海棲艦「ム、ムキズダト!? ツ、ツヅケロ! ナントシテモオトスノダ!」


深海棲艦たち「テ、テェエ――――――――――ッ!」


ズガガガンガン!


両津「わしを倒すだと……? そうはイカの金太郎」キィンキィン!


両津「ダイヤルは最強……最大出力」キュルル


両津「一撃で十分だ……」キュオオオオオン



両津「R.T.砲――――――――――――――――――――っ!」





チュドォ――――――――――ンッ!!!!!!






両さんが放ったR.T.砲は太平洋を吹き飛ばした。
太平洋一帯には甚大な被害が出た上に、経済、金融にも壊滅的な被害が出た
株価は連日大暴落し、経済は急転直下の下り坂を辿り、世界は歴史に残る大恐慌に突入してしまったのであった。



後日


テレビ『株価は連日暴落、経済は回復の兆しが一向に見えず、大恐慌から脱出する目途は未だ経っておりません』


大淀「世界経済まで崩壊させるとは……」


陸奥「新聞にも出てるわよ……深海棲艦よりも恐ろしい『エコノミック・リョウツ』ですって……」


明石「漢娘計画は凍結されたようですね……かわいそうに……」


両津「くそ! 改造し過ぎた!」シュウウ


長門「核ミサイルより恐ろしい奴だ……」


おわり

続けていきます



「艦娘イメージアップ作戦! の巻!」


亀有港 鎮守府前


両津「急げ! もうすぐ朝礼が始まっちまうぞ!」


木曾「おう!」


武蔵「両津! あと一分しかないぞ! どうする!」


両津「正門から入るのはダメだ! 入り口の監視カメラに映っちまう!」


木曾「じゃあどうするんだ!?」


両津「監視カメラの死角は一つ!」バッ!


木曾「あっ!?」


武蔵「跳んだ!?」



両津「上空だ!」ビューン!


ダン!


両津「これが手本だ! お前らも来い!」


武蔵「うーむ……正門から玄関までひとっ跳びとは……」


木曾「カエルみたいなやつだな……」


両津「おい何してんだ! 早く来い! 朝礼に遅れたら――」


長門「ほぅ、どうなると思う?」


両津「そりゃあもう砲弾の餌食に……って」ピタッ


両津「……」ソー



長門「…………」ズズゥーン


両津「ぎゃあああああ!? 長門っ!?」


長門「そんなに驚くことはないだろう? ……ずいぶん遅いお帰りだったな、両津くん」


両津「は、はははは……ちょっ、ちょっと市民の皆様のために働いてきてね」


長門「何だと?」ピク


両津「ほ、ほら! 港は忙しいだろう!? だからわしらが荷物運びをしたり船内の掃除をしたり……」



長門「……で、いくら貰ったんだ」


両津「え?」ドキ


長門「お前のことだ……どうせタダではないんだろう」


両津「い、いや、それは……」


武蔵「おい、どうしたんだ両津」


木曾「何かあったのか……うっ」


長門「武蔵、木曾、お前たちも……バイト料はいくらだ」


木曾「い、一回一万円だ」


武蔵「専属契約をしてくれたら半額にするとも……」


両津「こら! あっさり裏切るな!」


長門「やはり……アルバイトか……」プルプル



両津「お、落ち着くんだ長門。これも市民と艦娘の交流を深めるために重要な」長門「何が交流だ! ただの金儲けだろうが! この大バカ者!」ボガ!


両津「ぐぇっ!?」


長門「朝礼を抜け出してアルバイトなど! 軍人の風上にも置けん奴め! いっぺん沈んでこい!」ドガ! バゴ!バキャ!


「うげっ!? ぎゃっ!? うおぉっ!?」



木曾「結局こうなるのか……」


武蔵「もはや様式美だな……」



執務室


両津「いてて……長門のやつ、手加減なしにぶん殴りやがって……」


陸奥「朝礼にも出ずに何やってたの?」


両津「バイトだよバイト。船内の掃除やら荷物運びを木曾と武蔵とわしの三人でやってたんだ」


大淀「でも、ちょっと高額すぎないですか? 一回一万円って……」


両津「わしらが独自に始めたバイトだからな。三人で一回10分で終わらせる」


陸奥「ええっ!?」


大淀「不可能ですよ!」



両津「案外やれるもんだぞ。武蔵と木曾は根っからの肉体派だしな」


大淀「スゴすぎますよ……」


両津「だがせっかくのバイト料も長門のせいでパーだ。いいバイトだったのになぁ……」ペラ


両津「ん? 何だこれは?」


大淀「指令書です。今朝本部から通達されてきました」


陸奥「今度は何かしら?」


両津「まぁ開けてみれば分かる。……えーと、艦娘イメージアップ作戦? 何だこりゃ?」



大淀「ちょっと貸してください。……ふむ。どうやら、最近の世論を気にして、大本営がキャンペーンを打ち出したようですね」


両津「世論だと? 何かあったのか」


大淀「はい。最近どうも、艦娘に対する印象が悪化しているらしく……」


陸奥「具体的にはどんな感じなの?」


大淀「何でも、非人道的だとか……海を我が物顔で占拠していて気に食わないとか……人によって色々ですね」


両津「勝手なこと言いやがって。誰がお前らの生活を守ってやってると思ってるんだ。だいたい海を我が物顔で占拠しているのはあいつら深海棲艦だろ」


大淀「まぁ、印象というのはそういうものですから……」



陸奥「それで、イメージアップ作戦ってこと?」


大淀「そういうことみたいですね」


両津「けどよ、作戦名『艦娘イメージアップ作戦』はないだろ……企業の広報じゃねぇんだぞ」


大淀「ま、まぁ、分かりやすくということで……」


陸奥「それで、具体的にはどうするの?」


大淀「えぇと……地域と交流したり……ボランティアをしたり……広告戦略を打ったり……結構本気みたいですね、大本営も」


両津「けっ、そんなところに金を使うならわしらに還元しろってんだ。外よりもまずは内に気をつかえっての」


長門「お前はどうせ酒とギャンブルに使い果たすだろうが」


両津「そうそう、給料はみーんな酒とバクチに……ぎゃあっ!? 長門!?」



長門「いちいち大袈裟なやつだ。いい加減慣れろ」


両津「お前こそ突然現れるのをやめろ! 心臓に悪すぎるぞ!」


長門「ならば叱られるようなことをしなければいいだろう。後ろめたいことがあるからビックリするのだ」


両津「むぐっ……」


陸奥「まぁまぁ、二人ともその辺にして」


大淀「そうですよ。長門さん、何か用件があるんですよね?」


長門「うむ、いまお前たちが話していた艦娘イメージアップ作戦についてだ。単刀直入に言うが、両津、お前が担当に任命された」


両津「えっ!? わしが担当!?」


長門「こういうことはお前の得意分野だろう。何としても艦娘のイメージアップを成功させろ。できなければクビ。本部からの伝言だ」


両津「お、鬼め……」


陸奥「ちょっと両ちゃんがかわいそう……」


大淀「ま、まぁ、提督の能力が買われたということで……」



長門「話は以上だ。頑張れよ、両津」スタスタ


両津「おい! 長門!」バタン


大淀「非情な……」


陸奥「大丈夫? 両ちゃん……」


両津「くっ……こうなったらやってやる! 艦娘がお茶の間を占拠するまで働き続けてやるぞ!」ダン!


大淀「火がつきましたね……」


陸奥「全て計算通りみたいね……さすがだわ」



鎮守府訓練場


両津「全員揃ったか!」


艦娘たち「はい!!!」ビシ


両津「急に召集をかけてすまない! お前らに大事な話があってな!」


艦娘たち「話だって」「何だろう?」「珍しいね」


両津「静粛に! コホン、最近世間では艦娘のイメージが悪くなっていると聞く! いわく、海を占拠していて気に食わないだの! つながり眉毛が鼻につくだの! 人相が悪すぎるだの!」


大淀「後半は自分のことじゃあ……」


両津「しかぁし! わしはその全てが根拠のないまったくの言いがかりであると断言する! 我々に非はまったくないと!」バンッ!


艦娘たち「ドヨドヨ」


両津「だが世間はそんな我々の叫びを受け止めてはくれない……よって我々は艦娘のイメージ向上を実現するため『艦娘イメージアップ作戦』を実施する!」ビシッ!



艦娘たち「ザワザワ」


両津「わしは今回の作戦に当たり三つの行動計画を提案する! 一! 奉仕! ニ! 広報! 三! 交流! この三つを柱にして艦娘のイメージアップに努める!」


ガラガラ


両津「具体的に説明しよう。まず、一の奉仕。これは我々が市民の皆さまのために様々な形でご奉仕することを意味している。港の仕事を手伝ったり! 海上護衛を行ったりする! 無論、全てボランティアだ!」バン!


艦娘たち「おぉー」



両津「次に二の広報! やはり今の時代広告戦略が重要だ! メディアに我々の存在をアピールすることによって艦娘のイメージを改善する!」ビシィッ!


艦娘たち「なるほど」「本格的ね」


両津「最後に交流! その名の通り艦娘と市民の皆様との交流を深める! ご老人の話相手になったり! 地域の子どもたちと遊んだり! 思うがままに交流したまえ!」バーン!


艦娘たち「いいアイデアね」「面白そうじゃない」ザワザワ


両津「以上三つの行動計画を基に艦娘のイメージアップに努める! 分かったかね! 諸君!」


艦娘たち「はっ!!!」ビシッ!



大淀「すごくまともな内容だ……」


陸奥「逆に不安ね……」



翌日 執務室


大淀「提督、C班はどこへ?」


両津「港に『人生犠牲フライ号』という漁船が止まっている。そこで漁の手伝いと船の警護をやってもらう」


大淀「わかりました。C班は港の漁船『人生犠牲フライ号』へ……」ザリッ


コンコン


千歳「提督、ただいま参りました」


両津「おぅ、入れ」


ガチャ


千歳「失礼します」


愛宕「失礼しまぁ~す」


吹雪「し、失礼します……」



両津「来たか。さっそくで悪いが、君たちの写真を撮らせてもらう」


千歳「写真ですか?」


両津「あぁ、君たちには広告塔になってもらう。撮影はわしがやる」ガサガサ


吹雪「き、緊張するなぁ……」


両津「そう気負うな。リラックスだリラックス。自然体だ」


吹雪「は、はぁ……」



両津「まずは愛宕、お前からだ」


愛宕「はぁ~い」


両津「好きなようにポーズを取れ。こっちで勝手に撮影する」


愛宕「了解でぇ~す」


パシャッパシャッ両津「よし、いいぞ愛宕。青少年のハートにダイレクトアタックだ」


吹雪「な、なんかいやらしい……」



両津「次は千歳、お前だ。こう、身を乗り出して」


千歳「は、はい」


パシャッパシャッ両津「そうだ、寄せて上げるんじゃないぞ。あくまで自然な感じだ」


千歳「こ、こうでしょうか……?」


両津「うまいぞ。これで健全な青年の心をがっちり掴める」パシャッパシャ



両津「あとは陸奥。お前もだ」


陸奥「え? 私も?」


両津「健全なお姉さん二人にアダルトなお姉さん一人、このバランスが重要なのだ」


陸奥「ちっとも健全に聞こえないわ……」


両津「細かいことは気にするな。よし、もう少し露骨に……しかしそういう意図は悟られぬよう……」パシャッパシャッ


陸奥「む、難しいわね……」



両津「ここは思いきってローアングルに」ヒョイッ



陸奥「きゃっ!?」


ドンッ!



両津「いててっ! いきなり砲弾を撃つやつがあるか!」プシュー


陸奥「びっ、びっくりしちゃって……」


両津「おーいてて……おし、最後は吹雪だ」


吹雪「わ、わたしも撮るんですか?」


両津「お姉さんの中に一人だけ純朴そうな娘、この落差が重要なのだ」ズイッ


吹雪「そ、そうなんですか……」



両津「吹雪、敬礼だ。敬礼しながらにっこり笑え」


吹雪「は、はい! こ、こうでしょうか!?」ビシッ


両津「そうだ! さすが吹雪だ!」パシャッ! パシャッ!


吹雪「て、照れちゃいます……」エヘヘ


パシャッ! パシャッ!


両津「……よし、こんなものだろう。後は写真を加工してメディアに送り付けるだけだな」


大淀「アテはあるんですか?」


両津「テレビ局なら顔が利く。広告会社にも知り合いがいるしな。広報はバッチリだ」


大淀「さすがですね……」



両津「まずは広告会社に写真を送り付けて海軍の勧誘ポスターを作製させる。メインは吹雪だ。『艦娘を応援してください!』というメッセージも入れる」


大淀「なぜ吹雪ちゃんをメインに?」


両津「分かってないなお前。吹雪みたいな純朴な娘に『艦娘を応援してください!』なんて言われたらもう応援するしかないだろ。それが男の心理というものだ」


大淀「的確な分析だ……」


両津「陸奥や愛宕ではあざとすぎる。こういう役は吹雪がピッタリだ。……さて、さっそく広告会社に連絡を入れるか」ピッ





大淀「……うーん」


陸奥「今回ばかりは本気なのかしら……」


大淀「どうでしょう……」



数時間後 亀有港


両津「うおおおおおおー!」武蔵「おおおおおおー!」木曾「おらおらおらおらおらーっ!」


船長「は、速い……」


ドン!


両津「ふぅ……船長! 終わったぞ!」


船長「あ、あぁ……本当にタダでいいのかい? 両さん」


両津「構わねぇよ。今回ばかりはわしもマジだからな」


船長「台風が来そうだな……」


両津「じゃ、またいつでも頼んでくれよな!」


船長「あ、ああ! 助かったよ!」


船長「……うーむ、船内の掃除、荷物の積み入れ、全て5分で終わらせるとは……」



――


両津「ふー、今ので5件目か。腹が減ってきたな」


武蔵「あぁ……だが珍しいな、お前が金を取らないなんて」


木曾「熱でもあるのか?」


両津「なにせクビが懸かっているからな」ピリリリ


武蔵「おい、携帯が鳴っているぞ」


両津「スマホだスマホ。もしもし」



社長『あ、両さん? ちょっと頼みがあるんだけど』


両津「おう、広告会社の社長か。どうした?」


社長『両さんが送ってきた写真だけどさ、これ、売ってくれないかな?』


両津「はあ? 何言ってんだ。そいつはポスターに使う写真だって言ったろ」


社長『いやだってさ……艦娘の写真がいくらで売れるか知ってる?』


両津「いくらだ」


社長『十万だよ』



両津「…………」ピクピク




社長『両さん?』


両津「あ、ああ、悪い。……少し衝撃を受けていた」


社長『両さんが送ってきてくれたのは30枚だろ? 全部売れば300万。どうだい? うちのほうでマニアに売り捌くからさ、半額の150万で譲ってくれない?』


両津「す、少し……考えさせてくれ」


両津「(……どうする。150万……あんな写真でそんなに……)


両津「(いや……150万どころじゃない。マニア向けのルートを確保すればまだまだ儲けられる……数百万、下手すれば数千万……)」


両津「(だが、バレたらクビだ……)」


社長『わかった! 両さん! 200万! 200万で買うよ!』


両津「!」



社長『どう? やっぱりダメ?』


両津「………………売ろう」


社長『さすが両さん! じゃあ、代金は両さんの口座に振り込んでおくからさ!』


両津「ああ……」


プッ


両津「……」


木曾「両津?」


両津「うおおっ!?」



武蔵「何だ、そんなに驚いて……何の話をしていたんだ?」


両津「い、いや、広告会社の社長とちょっとな……」


木曾「何だかよく分からんが……仕事が入ったぞ。『人生送りバント号』の船長が呼んでる」


両津「あ、ああ、わかった」アセアセ


両津「(……やってしまった。もう引き返せん)」


両津「(だが200万……200万だ……福沢諭吉が200人……グフフ)」


武蔵「おい、どうした? 早くしないと遅れるぞ」


両津「お、おう! いま行く!」


両津「(……こうしちゃおれんな。さっそく行動を起こすか)」



真夜中 入渠ドック


両津「……」キョロキョロ


両津「……よし、誰もいないな」


カサコソ


両津「あらかじめ見取り図で把握したポイントは……あそこと、あそこと、あそこか」


両津「ここと……あとここにも……超小型カメラを仕掛けて、と」ガチャガチャ


両津「ふぅ……あとは、窓を開けて湯気が逃げるようにして……レンズが曇ってしまうからな」ガラララ


両津「よし、完璧だ。ずらかろう」サササッ



執務室


両津「さて、パソコンを立ち上げて……よし、映ってるな」カタカタ


両津「直接頼んで写真を撮るという方法もあったが……やり過ぎると怪しまれるからな」


両津「ええと……入渠の時間帯は艦種ごとに分けられているんだったな……」ガサ


両津「……」ジー


両津「さすがに駆逐艦の時間帯は切っておくか……カメラの設定を変えて……」カタカタ



両津「よし、ばっちりだ。まあ入渠の時間帯は原則でしかないから映ってしまう場合もあるだろうが……その場合はわしのほうで始末しておこう。さすがに罪悪感があるからな……」


両津「……」


両津「そういえば……さっき吹雪の写真を売ってしまったな……すまん吹雪……」


両津「まあ、何はともあれ、準備は完了だ。あとは上手くいくことを祈るだけだな」


幸か不幸か、両さんが仕掛けたカメラは無事に作動し、売り物としては申し分ない映像を多数撮影することができた。
危ない部分をカットした撮影データは片っ端から知り合いの広告会社に横流しされ、莫大な利益を上げていった。
しかしその写真や映像がネット上に流出してしまい、雲行きが怪しくなってきた。
艦娘の写真は大量にアップロードされ、ネット上には闇市場ができてしまった。
そして、ついには新聞やニュースにまで取り上げられてしまったのだった。



執務室


長門「最近、艦娘の写真や映像がインターネットを通して流出しているらしいな」


陸奥「まったく許せないわね。誰がそんなことをしているのかしら」


大淀「せっかく最近は艦娘のイメージも改善されてきたのに……悪い影響が出ないといいのですが」


両津「……」ダラダラ


長門「両津? どうした?」


両津「い、いや! 何でもない!」ハハハ


長門「変なやつだ……それより両津、例のフィルムはできたか?」


ドキッ両津「れ、例のフィルム?」



長門「お前に作製を頼んだ艦娘の紹介映像だ。今日の交流会で使うのだ」


両津「あ、ああ! もちろんできているぞ! ほら」ヒョイ


長門「うむ、助かったぞ。おっと、もう時間がないな。行ってくる」


両津「い、いってらっしゃい!」


大淀「お気を付けて。……しかし、犯人はいったい誰なんでしょう」


陸奥「やっぱり内部の誰かの仕業なのかしら……」


大淀「そうとも限りませんよ。鎮守府には外部の人間も頻繁に出入りしますから」


陸奥「そうよねぇ……両ちゃん、何か知らない?」


ギクッ両津「い、いや、知らん。まったく許せんな! どこのどいつだ、犯人は!」


大淀「早く捕まるといいんですけどね……」



両津「(……これ以上撮影を続けると危険だな。カメラは今日中に回収しておくか)」


両津「(残ったフィルムもさっさと売っちまおう。商売もこれっきりにしないとな)」ガサゴソ


両津「……あれ?」ガサガサ


大淀「どうしたんですか?」


両津「い、いや……ちょっとな」アハハ


両津「(……おかしい。ないぞ。撮影したフィルムが……)」


ハッ


両津「(まさか……さっき長門に渡したフィルムは……)」


両津「は、はは、は……」タラー



陸奥「どうしたの両ちゃん? 顔青いわよ?」


両津「きゅ、急用ができてね……わしちょっと出かけてくるから」


大本営 


ザワザワ


長門「えー、コホン、市民の皆さま、マスメディアの皆さま、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます」


パチパチパチパチ


長門「今回は皆様に艦娘とはいかなるものかを知っていただくためにこちらで作製した紹介映像をご覧になっていただきます。では、どうぞ」




ジーッ


観衆「おぉ……っ!?」


長門「ん……?」


艦娘たち「あー、いいお湯」「今日も疲れたねー」カポーン


長門「なっ!?」


観衆「おおおっ!」「素晴らしい!」ドヨドヨ


長門「み、皆さん! これは何かの間違いです! カ、カメラ! カメラ止めろ! 止めるんだ!」


艦娘たち「最近また大きくなっちゃってー」「わーほんと。すっごーい」


観衆「こ、これが艦娘か……」「感動的だな……」ゴク





長門「……りょ、両津……!」ググググ






海上


長門「いたぞ! 撃て!」


ドォンドォン!


両津「おわっ!?」


長門「絶対に許さんぞ両津! この手で沈めてやる!」ドカンドカンドカン!


艦娘たち「目標! 提督!! てー―――――――――っ!!!」ドドドド!


ボガボガボカン!


両津「うおおおおおっ!? 待てお前ら! 落ち着け! あれは事故なんだぁーっ!」


長門「何が事故だ! 流出騒動も全てお前の仕業だったんだな! 絶対に許さぁん!」ドドンドンドン!


両津「くそぉ~! もうイメージアップ作戦なんてこりごりだぁ――――――――っ!」



後日


大淀「艦娘のイメージは向上したんですが今度は提督のイメージが……」


両津「もうイメージアップ作戦はいい!」ドン!


おわり

最後です。今日は三本立てです。



「鎮守府鍋! の巻!」


食堂


間宮「白菜にねぎに……あとしいたけもいるわね」


両津「おう間宮、何してんだ?」ヒョイ


間宮「あら提督、実は『鎮守府鍋』の用意をしていて」


両津「鎮守府鍋? 何だそりゃ?」



間宮「年に一回作られる鎮守府独自のお鍋です。毎年評判なんですよ」


両津「へぇ、面白そうだな。いつ食えるんだ?」


間宮「うふふ、今日からちょうど一週間後ですよ。楽しみにしていてくださいね」


両津「おう! 今から腹を空かしておくよ!」ワハハ


一週間後


両津「なにい!? 間宮が倒れた!?」



大淀「はい、今朝40度の熱が出たらしく……」


陸奥「張り切り過ぎちゃったみたいね……」


両津「それで、間宮は大丈夫なのか?」


大淀「はい、いま病院で治療を受けていますから、一週間もすれば復帰するかと」


両津「おいおい、鎮守府鍋はどうするんだ? 誰か他に作れるやつはいないのか?」


大淀「作り方を知っているのはうちだと間宮さんだけですし……よその鎮守府も今日は手一杯らしく」


陸奥「どうしましょう……中止するしかないのかしら……」



両津「いや、諦めるのはまだ早いぞ」


大淀「どうするんですか?」


両津「わしが代わりに作る!」ダン!


大淀「ええ!?」


陸奥「両ちゃん、作れるの!?」


両津「間宮が作るのを少し見ていたからな。まあ見よう見まねくらいはできるだろ」


大淀「そんないい加減な……」


両津「艦娘たちも楽しみにしているんだろう? わしだって食いたい。今さら中止にしたら艦隊士気にも関わるぞ。なあ長門?」


長門「う、うむ……そうだな」


両津「よし! 決まりだな! 鎮守府鍋はわしが完成させる!」



陸奥「いいの? 私たちも手伝ったほうが……」


長門「あいつ以外作り方を少しでも知っているやつがいないんだ……仕方あるまい」


大淀「すごく不安ですね……」


鎮守府訓練場


ガヤガヤ


陸奥「お腹が減ってきたわね……」


大淀「そろそろ完成だと思うんですが……」


吹雪「遅いですね……」


両津「おう! 待たせたなお前ら!」ズルズル



大釜「バァァァァァン!」


吹雪「す、すごくおっきぃ……!」


木曾「腹がペコペコだぞ!」


両津「待て待て! いま蓋を開ける!」カパッ


ホワァァァァァン


吹雪「い、いい匂い!」


大淀「意外とまともだ……」


両津「どうだ! うまそうだろう! いま箸とお椀を配るからな!」



木曾「俺が一番だ!」ビュッ!


武蔵「いやここは私が!」バッ!


両津「待て! お前らはあとだ!」


木曾「なにっ!?」ピタッ


武蔵「どういうことだ!?」


両津「まずはガキどもからだ。お前ら大人組は後だ後」


木曾「厳しいな……」グゥゥ


武蔵「うーむ、生殺しだ……」グゥゥ



両津「ほら吹雪、火傷しないように気を付けろよ」


吹雪「ありがとうございます!」


駆逐艦たち「ワイワイ」「ガヤガヤ」


両津「押すな押すな! いっぱいあるから大丈夫だ!」


陸奥「何とかうまくいっているわね」


大淀「ええ、このまま無事に終わるといいですね」


両津「よし! そろそろ他のみんなにも食わせてやるぞ!」



艦娘たち「待ってたわ!」「もうお腹ペコペコ!」


両津「ただし! ここからは新ルールを追加する!」


武蔵「新ルール?」


木曾「何か嫌な予感が……」


ガラガラ


両津「いいか! 今からわしがこの箱の中のクジを引く! 当たった艦娘はこのダーツを手に取りあの的に投げる! そして命中したマスに書いてある食材を鍋の中に投入する!」



明石「あの提督……質問があるんですが」


両津「何だ?」


明石「的の『?』の部分は何なんですか……?」


両津「いい質問だ明石くん! その?はすなわち、ロシアンルーレットを意味する!」


武蔵「ロシアンルーレット?」


木曾「ますます嫌な予感が……」


両津「?に命中した場合このトレイの中身を鍋の中に入れる! そして鍋に箸を突っ込みランダムに食材を食するのだ!」


艦娘たち「ええー!?」


大淀「雲行きが怪しくなってきた……」



両津「さっそくクジを引くぞ! トップバッターは!」ガサガサ



両津「明石!」



明石「ひぃっ!? いきなり!?」


両津「さあダーツを投げたまえ! 諸君! ?コールだ!」


艦娘たち「は、ハテナ! ハテナ!! ハテナ!!!」


明石「うぅ……怖い……え、えぃ!」ブンッ


コツンッ


両津「?に命中! お見事!」


明石「?の部分が大きすぎますよぅ!」ヒィィン


両津「さあ明石くん! いってみよう!」ガラガラ


明石「じゃ、じゃあ、このトレイで……」ビクビク


両津「よし! ではこれを鍋の中へ放り込もう」ドバドバ


明石「何が入ったんだろう……」ブルブル



両津「さあ実食だ! いけ! 明石!」


明石「は、はい……」スッ


明石「え、えーと……えぃっ!」ヒョイッ


明石「……」チラッ

















カエル「ゲロゲロ」


明石「ひゃああああっ!?」ズルッ!



両津「危ない!」キャッチ


両津「こら! 何してるんだ! もったいないだろ!」


明石「だってっ! だってえぇぇぇぇぇっ!」


両津「ほら食え! 新鮮で美味いぞ!」


明石「嫌ですぅっ! 無理ですぅっ! 余計に嫌ですぅっ!」ブンブン


両津「往生際の悪い奴だ! 食え!」グイグイ


明石「ヒィイッ!?」ゴクッ


明石「っ!?!?!!?!!?!!?!」ピクッ



明石「ゲコォォオオオォオオオオオオッ!?」ドタバタバンバン!















明石「………………ゲロ」バタン


両津「おい明石。どうした? そうか! そんなにうまかったか!」ワハハ


大淀「そんなわけないですよ!」


両津「見ろこの満足げな顔を。美味いと思った証拠だぞ」


大淀「強烈すぎておかしくなったんです!」



両津「この程度で騒ぐな! まだまだ序の口だ! いくぞ二人目!」


両津「……むーん」ガサゴソ


武蔵「嫌な間だな……」


木曾「クジ引きがロシアンルーレットになっている……」


両津「これだ! 当たったのは!」バッ!


両津「陸奥! お前だ!」ビシッ!


陸奥「ええっ!?」



両津「さあ投げろ! ?に当てるんだぞ!」


陸奥「不安だわ……」


両津「諸君! ?コールだ!」


艦娘たち「ハテナ! ハテナ!! ハテナ!!!」


陸奥「え、えいっ!」ビュンッ


バスッ


両津「またまた?に命中だ! さあ、選べ!」


陸奥「じゃ、じゃあ、これにするわ」


両津「OK! 投入だ!」ゴロロッ



両津「実食タイムだ! 食え!」


陸奥「変なもの引かないといいけど……」スッ


ゴロンッ






















ヘビ「チロチロ」


陸奥「きゃああああっ!?」ブンッ!



パシッ両津「投げるな! もったいないだろ!」


陸奥「だってびっくりしたんだもの!」


両津「いいから食え! ルールだぞ!」


陸奥「ぜっっったいイヤ!」


両津「食べ物を粗末にする気か!」


陸奥「粗末にしてるのは両ちゃんじゃない!」


大淀「提督! やめてください!」


両津「食い物を粗末にしてはイカンと習っただろう! 残さず食わねばならん!」


大淀「ナマのヘビは食べ物じゃないですよ!」


両津「ナマじゃないぞ! 一瞬だけお湯を通している!」


大淀「そんなの意味ないですって!」 


両津「つべこべ言わず食え! ルールは絶対だぞ!」グイグイ!


陸奥「いやあああっ!」バタバタ!


大淀「提督!」




キャアアアア!


両津「こら! 逃げるな! 完食せんと許さんぞ!」ブンブン!


木曾「完全に主旨が変わっている……」


武蔵「鎮守府鍋というより闇鍋だ……」


数分後


艦娘たち「提督だけ食べないなんてずるいわ!」「そうよ! 不公平だわ!」「提督も食べなさい!」


両津「よおし! いいだろう! わしも参加してやる!」ソデマクリ



クルクルクルクル


両津「でぇい!」ブン!


ドスッ!


両津「よぉし! ?だ!」


艦娘たち「ちゃんと完食しなさいよ!」「残したら許さないからね!」


両津「言われるまでもない! わしが入れるのはこれだ!」ドバドバ!


両津「おらっ!」ヒョイッ!






















あれ「カサカサ」


艦娘たち「きゃああああっ!?」ドタバタ!


両津「やかましい! 見てろ! これが男の食いっぷりだ!」カカカカ!



両津「うむ! まずい!」ガツガツ!




艦娘たち「見るのもイヤよ!」「信じられない!」


大淀「もはや食事じゃない……」


長門「耐えられるのはあいつだけだ……」


―――


両津「さあ、次の挑戦者はどいつだ!」ガサゴソ


長門「その言い方はやめろ……」


ゴソ両津「出た!!! 長門だ!!!」ウオォ!


長門「な!?」



両津「いけ長門! ?に一直線だ!」長門「貴様いま不正をしただろう!?」両津「バカ言うな! 不正は一切ない!」長門「嘘つけっ!」


大淀「ま、まぁまぁ長門さん。証拠もないんですし……」


両津「そうだぞ長門! 証拠もないのにイカサマ扱いするなんて! 人として最低だぞ!」


長門「ぐぬっ……やればいいんだろう、やれば!」ツカミ


クルクルクルクルクル


長門「フンッ!」バビュンッ!



ドガァン!




両津「ああ!?」


長門「あ……」


両津「何やってるんだ長門! ボードが壊れてしまったぞ!


長門「す、すまん。力みすぎて」


両津「わざとだろう! 食いたくないから狙って壊したんだ!」


長門「そんなことするか!」


両津「目はそうだと言っているぞ!」


大淀「お、お願いですから……落ち着いて……」



両津「大淀! いくら食いたくないからってボードを壊すなんて最低だよな! 許されないよな!」


大淀「え、えぇまぁ……」


両津「ほら見ろ! 大淀もこう言っている! よって長門! 罰ゲームだ!」


長門「ば、罰ゲームだと?」


両津「そうだ! お前にはスペシャルなおしおきを受けてもらう。比叡!」パチン!


比叡「はい!」ビシッ!



両津「いちばんいいカレーを頼む!」


比叡「おまかせください!」ドロドロ、オロオロ、グッチャグチャ


比叡「できました!」


両津「よろしい! ではこれにわしが手を加える!」


両津「まずは激辛の王様、ハバネロソースから入ります!」ドバッ


大淀「うっ!」


両津「続いて陛下のご好物、中華風お好み焼きソースを一丁!」


比叡「天皇陛下バンザイですね! 司令!」


両津「続いて食卓のおとも、醤油と塩コショウでござい!」


比叡「いよっ! 待ってましたっ! 大統領!」ピーッ! ピーッ!



ゴト


両津「さぁ食え、長門」


長門「食えるかっ!!!!! こんなものがっ!!!!!!!」


両津「食べ物を粗末にしてはいかんと言っていただろう! 食べられるだけありがたいと思えとも!」


長門「そ、それは」


両津「自分が困る立場になったら前言撤回か! 貴様それでも軍人か! 許せん! 根性を注入してやる!」バッ!


両津「カラシねりワサビも投入だ!」グニュー長門「私が悪かった! やめてくれ!」


両津「やかましい! 言い訳は聞かん! さぁ食え!」


長門「やめてくれぇ! 頼む!」


両津「食え! 食うのだ長門ぉ――――っ!」


長門「ヒエェェエ――――ッ!」バタバタッ!


大淀「鬼だ……」




その後ボードが壊れてしまったためルールが変わり、毎回?食材が投入されることに決まった。
生き残りメンバーはどんどん減っていき、もはや鍋ではなくサバイバルと化してしまっていた。
そしてとうとう両さん、大淀、武蔵、木曽の四人だけが残ったのであった。


―――


両津「とうとう最終局面だ! てめぇら! 気合い入れろ!」


木曽「おう!」


武蔵「上等だ!」


大淀「はい……」




両津「次!」ゴソゴソ


両津「大淀だ!」バンッ!


大淀「またっ!?」


両津「さあトレイを選べ! 残り四つだぞ!」


大淀「こ、これにします……」カパ


両津「よぉし! 投入だ!」ドバドバ!


両津「さぁ! 取れ!」


大淀「うぅ……こ、怖い」ヒョイッ





















納豆「ネバネバ」


大淀「ギャアアアアアアッ!?」ブンッ!



パシッ!両津「投げるな! 食べ物に何てことをする!」


大淀「提督に言われたくないです!」


両津「やかましい! 食え!」


大淀「嫌です!!! ムリです!!!!! 人間の食べ物じゃないです!!!!!」


両津「お残しは許さんぞっ!!!!!」グイグイ!

大淀「嫌だぁああぁああああああぁっ!」ゴキュン!

























大淀「……グフ」バタ




両津「食えないなどというのは嘘つきの言葉だ!」


武蔵「両津! 倒れた奴に構うな!」


木曾「そうだ! 前だけを向け! それがソルジャーだ!」


両津「テンションがおかしくなっているな……頭が変になってしまったのか」


木曽「もう待つのも面倒だ! 俺が行くぞ!」ゴロゴロッ! ヒョイッ!






























ハチ「ブーン」


木曽「ぎぃやああああぁあああぁあああぁああっ!?」


両津「狼狽えるな! ミツバチだ! 害はない!」

木曾「そういう問題じゃないっ!!! うわあぁあっ! 来るなぁっ! 寄るなあぁっ!」

両津「黙れ! 口を開けろ!」ググググ!

木曾「やだあぁあぁあああぁああっ!」

ゴックン

























木曾「……し、沈む」バタ




両津「木曾も脱落だ。残るはいよいよ……」


武蔵「私とお前だけ……だな、相棒」


両津「おう! いくぜ!」ゴソゴソ


両津「武蔵! お前だ! ぶっぱなせ!」


武蔵「おう!」ドバドバ! ヒョイッ!

























比叡カレー「ズォォォォォォォン」


両津「まだあったのか!」


武蔵「ゆくぞ!!!」


両津「よせ武蔵! いくら何でもヤバい!」


武蔵「構わん! 見ろ! これが大和魂だ!」ガバババ!




ボォンッ!!!!!



武蔵「ぐあっ!!!!!」大破


両津「武蔵!」


武蔵「ふふふ……後悔はない。こ、これが……武人だ」グフ


両津「武蔵……グスッ、お前の魂、受け取ったぞ!」




両津「しんがりはわしだ! とどめを刺してやる!」カパ! ドバドバ!


両津「鍋ごといってやる! 見てろ! これが鎮守府鍋だぁ――――――っ!」ガバババ!




チュドオ――――――――――――――――ンッッッ!!!!!





翌日 執務室


陸奥「う、動けないわ……」ギュルル


大淀「駆逐艦以外みんなダウンしてます……出撃は不可能です」グルル


明石「ところで……提督は……?」ゴロゴロ


長門「さいはて鎮守府で鍋パーティーをやってる……終わるまで戻るまい……」キュルル



―――


ヘクシッ!武蔵「両津! 鍋が凍ってしまうぞ!」


ヘクションッ!両津「くそ! 誰だ手榴弾なんて入れたのは!」


木曾「すまん! 俺だ!」ヘクションッ!


おわり



後書き

終わりです。
えー、いきなりですが、謝罪から。
「鎮守府鍋! の巻!」 で木曾の名前が木曽になってました……何で書き溜めの段階で気が付かなかったんだろう。
木曽は全て「木曾」に修正ということで……ごめんなさい

では、配役について。

大佐=配役なし


実は当初はこんな爆竜大佐(いや、コロ助?)みたいなキャラになる予定はありませんでしたが……書いているうちにいつの間にやらこんなキャラに。
ちなみに爆竜役は他にいて、後々登場する予定です。


木曾=ボルボ 武蔵=左近寺


はい、説明不要ですね。前回チラッとしか登場しなかったのに、あっさりボルボ左近寺だと見抜かれていたのは「さすが」と思いました。
やはりこち亀はディープなファンが多い……。


すみません今回は新キャラの登場少なくて……書きたいネタで書いていたら自然とこんなことに。
あ、でも次回は『特殊艦娘課』出す予定ですから……乞うご期待。

では、HTML化依頼出してきます。

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