咲「私ニートじゃないよ?」(116)

久「……あら、そうだったの」ハッ

咲「何ですか竹井さん。久しぶりに会ったと思ったらいきなりバトルモードですか」パシッ

久「別にぃ? 私はただ、高校卒業からまるで働く様子のないあなたを見に来ただけだけど」パシッ

咲「……ロン、5800。普通それ出ますかね」ハッ

久「──」チッ

咲「何ですか、何が不満なんですか?」

咲「お金は自分で稼いでるし、実家からはちゃんと出てます」

咲「むしろ私が仕送りしてる側だっていうのに、何で文句言われなきゃいけないんですか?」タンッ

久「咲、あなたね──」

咲「女に食わせてもらってる田舎プロの癖に」ペッ

久「──っ」イラッ

咲「リーグ戦の結果、雑誌で見ましたよ」

咲「底辺リーグで陥落寸前だったじゃないですか。笑えるぅ」プッ

久「さ」ガタッ

咲「あ、ロンです3900」パタッ

久「っ──!」

ジャラジャラ

咲「……福路さんも大変だよね。こんな人と一緒になっちゃって」クスクス

久「────」イライラ

久「──あ、あなただって……」タンッ

咲「?」

久「あなただって、今まで随分と女遊びが過ぎてるんじゃない?」

久「手当たり次第に食い散らかして──聞いたわよ? こないだ刺されそうになったんですってね?」クスッ

久「まぁ──」

久「程度を弁えない子供らしい失敗よね」ケラケラ

咲「──」ムカッ

咲「──天然たらしのあなたと一緒にしないでください」タンッ

久「……あ゛?」

咲「私はあなたみたいに口説いたまま放置したりしないだけ」

咲「たまに正妻気取りの困った子が暴れちゃいますけど。基本、殆どの子が悦んでますし」

咲「その中には昔、福路さんもいたよ?」ニコッ

久「──っ! ……ロンよ、2000点」

咲「はいはい」ジャラ

久「……和は、どうしてる?」カチャカチャ

咲「──原村さん? 知らないよそんなの」キョトン

久「……何ですって?」

咲「とっくの昔に別れたよ。あんな重い子」カチャ

咲「その後は知りません」タンッ

久「……」タンッ

咲「……原村さんに何か用だったの?」

久「──いえ、そういうわけじゃ」パシッ

咲「ロン、8000」パタッ

久「……」ジャラジャラ

久「……そういうわけじゃないけれど──」プイッ

咲「?」

咲「──……ああ」ポンッ

咲「何だ竹井さん、わざわざ説教しに来るほど暇なのかと思ってたら、そういうことだったの」ニコニコ

久「……な、何よ……?」タジッ

咲「いやいや、隠す必要はありませんよ。私と部長の仲じゃないですか」

咲「いくら必要なんです?」クスッ

久「っ!」ビクッ

久「何を──」

咲「私、気に入った子には結構お小遣いあげてますしねー」

咲「原村さんならもしかしたら私に黙っててくれるかもしれないし?」

咲「いやー、汚い大人っすなー」ケラケラ

久「」プルプル

咲「大丈夫大丈夫、そんな顔しないでください」

咲「部長がお金を借りに来て、私が助けなかったことがありますか?」タンッ

久「──っ」ブルッ

久「だって、あなた──」ガタガタ

咲「うん? なんです? っていうか竹井さんの番だよ?」ニコニコ

久「…………」タンッ

咲「で、今度は何で足りないの?」タンッ

久「……あ、ぅ──」カチカチ

咲「言わないなら──」

久「い、言うわよっ!」ダンッ

久「せ、先輩プロの誘いを断れなくて……」プルプル

咲「……またそれかよ……」ハァ

咲「よくそれで人に説教しに来れますね」タンッ

咲「ツモ、8000オール」

久「────っ」カァッ

咲「お金持ってないならこれで終わりですね」

久「──うぅ」

咲「もう、鉄砲で私のとこ来るの止めてくださいね。私だって暇じゃないんですから」ガラガラ

咲「えっと、今回竹井さんの負けは238万だから……」カキカキ

咲「はいこれ」ドサッ

久「……あ──」

咲「600万。これだけあれば足りるでしょ?」ニコッ

久「……さ、咲」ガタガタ

咲「ああ。返す必要はないよ」

咲「いつも通り、交換条件で差し上げるお金だから」スクッ

久「……あ」

咲「──じゃあ、久?」クイッ

久「っ!」ビクッ

咲「私の部屋、行こっか?」ニコッ

まだ残ってるのかい

ごめん夜までちょいと忙しいの

落としても乗っ取ってくれてもいいのよ?

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