咲「キ、キスはだめ!」久「どうして?」 (32)

久「あら、風邪?」コツン

咲「ひゃっ!急におでこくっ付けないでください部長っ」

久「体も火照ってるわね」

咲「い、いえ。風邪違います」

咲(本当は昨日から咳は止まらないし、喉も痛いんだけど)

咲(これって明らかに風邪の症状だよね)

咲(悪化する前に休むか早退するでもして体を休めるのがいいのは分かってるんだけど…)

咲(…それでも私は)

久「咲」

咲「」びくっ

咲(うう、部長には隠し通せそうにないよ…)

久「咲?」

咲「…はい、何ですか部長?」

久「…なんでこっちを見ないの、咲?」

咲(だって部長の方を見たら風邪をひいているのがばれそうなんだもん…)

咲(なんて言えるわけないんだけど…)

久「咲」グイッ

咲「きゃっ!」

咲(部長にいきなり両手で頬を掴んで引き寄せられちゃった!)

久「…顔が熱いわ」

咲「ううっ…」

久「…やっぱり、熱があるわね」

咲「はぁ、部長には隠し事なんてできませんね…」

久「そりゃあ可愛い恋人のことだもの」

久「咲のことならどんな些細な変化だって見逃さないんだから」

咲「うっ///」

久「ふふ。咲、顔真っ赤」

咲「か、風邪のせいです///」

久「咲、こっち」グイッ

咲「部長?どこへ?」

久「咲のことだから、私がどんなに言ったって練習に参加したがるでしょ」

咲「…はい」

久「だから、咲はここに座ってネト麻でもしてなさい。ほら、これも着て」バサッ

咲「部長のカーディガン…ありがとうございます」

久「そこで大人しくしてること。目のつく場所に居てくれた方が私も安心できるし」

咲「はい、部長」

久「じゃあ、後で様子を見に来るわね」

咲(カーディガン…部長の匂いがする)

咲(私のより、少しだけ大きいんだな…)

咲(ぶ…ちょ… )

咲(……)





咲「………………ん」

咲「あれ?私寝てたんだ…」

久「起きた?咲」

咲「………ぶ、ちょう?」

久「おはよう咲」チュッ

咲「…っな……!!」

久「ん?どうしたの?」

咲「わ、私は風邪をひいているんです!!」

久「だから?」

咲「キスなんかしたら…」

久「…うつるって?」

咲「は、はい///」

久「…もう手遅れよ」チュウッ

咲「んんっ!」

久「…」クチュッ

咲「ふ、ぅ…っ、んうっ…」クチュクチュ

咲(だ、だめ…そんなに口腔をまさぐったりしたら…)

咲(これじゃ完全に風邪菌が部長にうつっちゃうよ…)

久「…ふぅ」チュッ

咲「ぶ、部長!菌がうつりますから、止めてください!」

久「咲のものなら何でも欲しいわ」

咲「またそんなこと言って…」

久「じゃあ咲、こうしましょう」

久「私が咲の風邪をもらって風邪を引いたとしましょう。そうしたら咲が責任をとって私にキスして?」

咲「…そしたら今度はまた私が風邪を引いちゃいます」

咲「そんなの無限ループじゃないですか、無意味ですよ」

久「意味ならあるわ」

咲「え?」

久「咲にキスしてもらえる理由が出来た」ニコッ

咲(まったく…この人は…///)

咲「…わざわざそんなことしなくても…キス、くらい…」

久「してくれるの?」

咲「ううっ///」

咲(あ、部長…目を閉じて待ってる)

咲「…」チュウ

久「…」クチュッ

咲(…また舌が入りこんできて…)

咲(…ぶ、ちょ…)

翌日

久「ごほっ、ごほっ」

久(…どうやら本当に風邪がうつっちゃったらしいわね)

久(立っているだけでも辛い…)

久(でもここで私が部活を休んだら、咲が自分のせいだと気にやんじゃうし)

久(…でも)

久(咲から貰った風邪が私の身体を侵すのなら、それはそれで幸せな事って気がする)

久(なんて思ってしまう私は、すでに病持ちなのかもね)

久(恋の病、なんちゃって)



咲「部長」

久「あ、咲。あんまり近づいたら…」

咲「…」チュウッ

久「んっ!」

咲「ぷはっ」

咲「嘘つきです、部長」

久「咲…」

咲「部長が風邪を引いたら、私がキスする。そう言ったのは貴方じゃないですか」

久「…あれは冗談よ、咲に風邪をひかせるわけには…」

咲「部長の風邪は私が全部もらいます」

咲「…だから、また私が風邪を引いたら…よろしくお願い、します///」

久(…まったく、この子は本当に…///)

咲「私だって部長のことならずっと見ているんです!」

咲「貴方の様子がおかしいことくらい…っ」

久「そんな可愛いことを言う口は…塞いじゃえ!」チュッ

咲「んっ!」

久「私の風邪、咲が全部もらってくれるんでしょ?」

咲「…っ///」

久「だったらまだ足りないわ。…ほら、咲」

咲「…ん」チュウッ

久(甘いキスで目が回る…)

久(…でも)

久(風邪を引くたび咲が私の風邪をキスで連れ去ってくれるなら)

久(次は、わざと風邪を引いてみるのも悪くないかもしれない)

久(…なんてね)




優希「…ここ、部室なんだじょ…」

まこ「…見ないフリしときんしゃい」


カン!

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