女「朝だよ、早く起きないと遅刻するよ?」(335)
女「おはよ」
男「……ん」
女「ん、じゃないでしょ。さっさと着替える」
男「はい」ムクリ
女「……っ!」
男「これは……朝の生理現象」
女「胸を張って言うことじゃないよ!」
男「さっきはごめんって」
女「……」
男「朝はしょうがないんだよ」
女「何回目だと思ってるの」
男「もうヤンチャしないよう言って聞かせるからさ」
女「君のことでしょ!」
男「悪かったよ」
女「……私だって女の子なんだからね」
男「ん?ああ、そうだっけ」
女「そうだっけ?じゃないよ、全く」
男「機嫌治せよ。昼飯奢るから」
女「じゃあカツ丼」
男「カツ丼は女の子らしくないんじゃないか」
女「……」
男「奢らせていただきます」
友「おはよう」
男「おー」
女「……おはよう」
友「なんかあったのか?」
男「なんで?」
友「女さん機嫌わりぃみてーだから」
男「朝ちょっとな」
友「やったった?」
男「やったってない」
友「あ、そだ。またとっておきを仕入れたんだ!」
男「またホラ話か」
友「今度はマジ!マジもんのマジよ!?」
男「毎回そう言ってんじゃん」
友「だから!今回こそはマジなんだって!」
男「先生きたら起こして」
友「寝るなよ!つか話聞けよ!」
男「気がついたらお昼休みだった」
友「寝てたからな」
男「……はい」
友「飯は?コンビニ?」
男「学食。女に奢る約束してるんだ」
女「男ちゃん!」
友「!」
女「カツ丼!」
男「覚えてるよ。じゃ、そういうわけだから」
友「あ、ああ……」
女「もぐもぐ」
男「幸せそうだな」
女「……?」
男「あ、えーと、うまいか?」
女「おいしい♪」
男「……」
女「欲しいの?」
男「一口」
女「あーん」
男「あー……」
女「あげない!」モグモグ
男「じゃあ交換しよう」
女「からあげと?」
男「からあげ定食……についてるレタスとカツを交換だ」
女「なんでレタスなの」
男「美容にいいよ」
女「私は肉がいい」
男「肉食系だね」
後輩「先輩」
男「ん?おー」
後輩「こんにちは。女先輩も」
女「やっほー」
後輩「お元気そうでなによりです」
女「後輩ちゃんも学食?」
後輩「私はパンを買いにきたのですが、学食で食べるのもいいですね」
男「どうせなら一緒にどうだ?」
後輩「お邪魔では?」
男「なんでよ?」
後輩「女先輩」
女「じゃ、邪魔なんかじゃないよ!一緒に食べようよ!」
後輩「ならご相伴にあずかりましょう」ニッコリ
女「……」
男「どうかしたのか?」
女「べっつに!」
男「……?」
友「昼飯奢ったんだろ?」
男「うん」
友「女さんの機嫌直ってねーじゃん」
男「うん」
友「お前また下ネタでも言ったんだろ」
男「言ってない」
友「じゃあなんでさっきより悪くなってんだ」
男「分からん。後輩がきたあたりで悪くなった」
友「原因が分かった」
男「教えて」
友「嫌」
男「教えてくれたっていいだろー」
友「これは先輩から聞いた話なんだけど」
男「その話じゃない!」
友「教えてほしいんだろ?だったら聞けよ。聞いてください」
男「その手の話は聞き飽きたんだよ」
友「夜トイレ行けなくなること必須の怖さだぞ」
男「ホラーなだけあって、ホラ話……なんつって」
友「全然うまくねーんだよ」
部長「……」
男「おわっ!」
友「あ、文芸部の……」
部長「どうも」ペコリ
男「無言で背後に立たないでくださいよ」
部長「……」
男「部長?」
部長「今日の部活はお休みです。女さんにも伝えておいてください」
男「分かりました」
部長「それでは」
友「なんつーか、クールな人だよな」
男「ああ見えて優しいとこもあるんだぜ」
友「……」
男「分かりにくいけどさ」
友「で、さっきのホラー話だけど」
男「続けるのかよ」
――放課後
男「(部活もないし、久しぶりにゲーセンでも行こうかな)」
後輩「だーれだっ」
男「後輩」
後輩「即答ですか。愛のなせる業ですね」
男「(おっきなおっぱいが背中に当たりました)」
後輩「先輩?」
男「な、なんでもない」
後輩「少し顔赤くないですか?」プルルン
男「(こいつ誘ってんのか)」
後輩「……ははーん」
男「……?」
後輩「私の胸が気になるんですね」
男「すごく」
後輩「正直だなぁ。その性格に免じて触らせてあげてもいいですよー」
男「マジで!?」
後輩「通常は一モミ一万円なのですが」
男「たっか!」
後輩「先輩にはお世話になっていますので、五千円でいいです」
男「うっそ!?半額じゃん!」
後輩「超お得ですよ」
男「のった!」
女「のるなぁ!」
後輩「あ、女先輩どうも」ペコッ
男「どうも」
女「どうもじゃないよ!二人で何してんのさ!」
後輩「先輩が私の胸を触りたいと無理矢理迫ってきて」
男「え?」
女「後輩ちゃんが無理矢理触らせようとしたんでしょ!見てたんだから!」
後輩「どちらかというと自ら進んで破滅の道を選んでました」
男「触ってたら破滅してたの?」
女「おふざけはこのくらいにして帰るよ!」
男「俺ゲーセン行きたいんだけど」
女「帰る!」
男「帰ろう」
後輩「残念ですが、仕方ありませんね。この続きはまた今度で」
女「今度もだめ!」
男「また明日な」
後輩「さようなら、先輩」
女「全く男ちゃんはこれだから!」
男「だって後輩のおっぱいがあまりにも大きいから」
女「どうせ私は小さいですよ!」
男「小さいのも好きだよ」
女「!」
男「……?」
女「別に嬉しくないけど!」
男「うん」
男「そういや文芸部のさー」
女「……文芸部?」
男「部員で自作小説書いて、文化祭で売り出すじゃん?」
女「あ、ああ、そのことね!それがどうしたの?」
男「何書こうかと思って」
女「もぉ、まだ決まってないの?」
男「女は決まったのかよ」
女「もっちろん!」
男「何書くんだ?」
女「恋愛小説だよ」
男「恋愛ねー」
女「男ちゃんも恋愛小説にしようよ!」
男「それはちょっとな」
女「まだ何を書くかも決まってないんでしょ?」
男「そうだけど……あ、ホラーとかいいかも」
女「ホラー?」
男「うちの学校その手の話にはこと欠かないだろ」
男「学校が建つ前は墓地があったとか」
女「……」
男「運動部なんかは、合宿で肝試しに校舎一周とかやるらしいぜ」
女「そ、そうなんだ」
男「怖そうだけど、面白そうだよなー」
女「うん……」
男「怖い話なら友も詳しいし、俺はホラーにするわ」
女「ホラーはやめたほうがいいじゃないかな……」
男「つっても他に書く内容思い浮かばねーし」
女「ミステリとか!」
男「難しいだろー」
女「じゃ、じゃあ恋愛物」
男「よし、ホラーで決定」
女「え~」
男「超怖いの書くからな、期待してろよ!」
妹「幽霊なんているわけないよ」
男「……」
妹「一番怖いのはいつだって人間だよ」
男「……」
妹「ってテレビでえらい人が言ってた」
男「テレビかよ」
妹「でも私も幽霊はいないと思うな」
男「なんでそう思うんだ?」
妹「実際この目で見たことないからね。お兄ちゃんだってないでしょ?」
男「ないけど……」
妹「そういえばお兄ちゃんの高校って怪談話が多くて有名だね」
男「そう、そうなのよ!」
妹「だからホラー小説?」
男「ネタはたくさんあるからな」
妹「安直」
男「うるせー」
妹「でも、さ。大丈夫なのかな……」
男「あ?何が?」
妹「遊び半分でそういう話扱って平気なのかなーなんて」
男「……」
妹「祟りとか呪いとか、ね?」
男「お、おまえさっき幽霊いないって言ったじゃないか」
妹「うん、いないと思うよ?でもお兄ちゃんの中では『いる』んでしょ?」
男「……な、何が言いたいんだよ」
妹「さぁ?なんでしょーねー?」
男「……っ」
妹「……ぷ、くく!」
男「い、妹?」
妹「あはは!お、お兄ちゃん本気で怖がってるし!」
男「おまっ!からかったのか!?」
妹「ご、ごめん!でも反応が面白いから!あはは!」
男「今日はデザート抜きな」
妹「え~!?」
男「妹の好きなチョコミントだったのになー」
妹「ごめんなさい!許してくださいお兄様!」
男「嫌」
妹「お兄ちゃん!」ギュッ
男「っ!」
妹「もうしないから。ね?」
男「う、うーん」
妹「お兄ちゃ~ん……」スリスリ
男「しょうがないな」
妹「やった!お兄ちゃん大好き~」ギュー
男「……本音は?」
妹「お兄ちゃんチョロい」
男「やっぱ無し」
妹「わー!嘘嘘!!」
――その夜
男「……」
男「(寝付けん)」
男「(変な話するんじゃなかった……)」
……ミシ
男「……?」
男「(今音が……気のせいかな)」
……ミシ
男「!」
……ミシ
男「(近づいてきてる!)」
……ミシミシ!
男「ひっ!」
…………
男「(ドアの前で止まった……?)」
男「妹?」
…………
男「妹だよな?出てこいよ……」
…………
男「……!(体が動かない?金縛り?なんで?なんで!?)」
………ギィ
男「……あ」
男「うわぁ!!」
女「ひゃあ!」
男「……あ、あれ?」
女「驚かさないでよー。びっくりするじゃない」
男「(夢だったのか)」
女「男ちゃん?」
男「なんでもないよ。おはよう、女」
女「はい、おはよー」
女「男ちゃん顔色悪いけど、大丈夫?熱は……んー、ないね」ピトッ
男「夢見が悪かっただけだ」
女「そう?」
男「おう」
女「無理はしないでね」
男「心配してくれてありがとな」
女「幼馴染ですから!」
男「(にしてもひどい夢だった。……まさかこれが呪い?)」
男「なわけないか」
女「何がー?」
男「独り言ー」
女「ふーん……」
男「で、何の話だっけ?」
女「あ、そうそう。メールなんだけどねー」
男「メール?」
女「昨日知らないアドレスから空メールきたんだ」
男「……」
女「誰かのイタズラかなー?」
女「あ、もしかして男ちゃん!?」
男「ちげーよ」
女「私を怖がらせようって算段でしょ!」
男「送ってないってば」
女「んー、じゃあ誰なんだろ」
男「単なるイタズラだろ。気にする必要ないって」
女「そだね。男ちゃん、今日のお昼はまた学食?」
男「その予定」
女「じゃあ……」
男「お断りします」
女「まだ何も言ってないよう!?」
男「おーっす」
友「よう。今日は……女さんと喧嘩しなかったみたいだな」
男「毎朝毎朝するかっての」
友「朝の恒例イベントだろ」
男「恒例じゃねぇ」
男「……なぁ」
友「うん?」
男「実は文芸部の自作小説でホラー書こうかと思ってさ」
友「ほほー」
男「んで、ネタにおまえの話聞きたいんだけど」
友「俺の話を?聞きたい?ふふん?」
男「だから、学校の怪談話でも聞かせてくれると嬉しい」
友「俺に?俺の話?へぇ!」
男「(うざ……)」
男「やっぱいいや」
友「よくない!よくないよー!もう嫌ってほど聞かしてやるから!」
男「わー、すごく楽しみ」
友「もっと情感こめて」
男「嫌だけど聞いてやるよ」
友「引っ掛かる言い方だけど、話しちゃう!まずはそーだなー……」
友「死のメールの話!」
男「死のメール?」
友「受信すると死んじゃうメール。聞いたことね?今のトレンドホラーよ?」
男「……どんなメールなんだ?」
友「お、気になるか?」
男「メールの内容は?」
友「なんの変哲もない空メールなんだと」
男「……から」
友「ただの空メールってとこがありそうで怖いよな」
男「期限は……」
友「ん?」
男「死ぬまでの期限は!?」
友「たしか一ヶ月以内、だったかな?明確に後何日って決まってねーのもこの怪談の怖いとこでさ」
男「……」
友「どした?顔色わりぃぞ?」
――お昼休み
男「……」
女「おっひるだよ!」
男「……女」
女「んー?」
男「(女にメールの話したほうがいいかな。いや、でも死のメールなんていかにも嘘くせーし……)」
男「(かえって怖がらせることになるから、言う必要ない、よな)」
女「男ちゃん、具合悪いの?」
男「へ?」
女「つらいなら早退して病院行ったほうがいいよ?とりあえず保健室行こう?」
男「悪い、ちょっと考え事してたんだ」
女「大丈夫なの?」
男「ビンビンだよ」
女「よかったぁ」
男「ビンビンだよ」
女「……」
男「学食行くか」
女「うん!」
後輩「ですよねー♪」
男「だなー」
女「えっと、ちょっといいかな?」
後輩「お手洗いですかー?」
男「漏れそうなら早く行ったほうがいい」
女「違います!なんでまたもや後輩ちゃんと一緒なの!?」
後輩「たまたま会ったんです」
男「たまたま一緒に食べようか?って流れになったんだよな」
後輩「はい♪」
女「(絶対偶然じゃない!)」
後輩「まぁまぁ落ち着いて。私のプリンあげますから」
女「え?いいの?」
後輩「はい。どうぞ召し上がってください」
女「後輩ちゃんありがとー!」
後輩「(女先輩チョロい)」
男「はー、食った食った。ご馳走様っと」
後輩「先輩食べるの早いなぁ」
男「お前が遅いんだろー」
後輩「ご飯はしゃべりながら楽しく、ですよー」
男「楽しくはいいとして、しゃべりながらってのは行儀悪いんじゃないか」
後輩「そんなことより聞いてくださいよ、先輩」
男「(流された……)」
後輩「昨日私のとこにもついに死のメールが来ちゃったんですよー」
男「今流行りの怪談なんだってな。他にも貰ってるやついんのか?」
後輩「私も友達でも何人かいるみたいですね。犠牲者は残念ながら今のとこいないようです」
男「残念って言うな」
後輩「えへへ」
男「(やっぱ気にする必要もなかったか。女が貰ったメールも単なるイタズラだろう)」
女「男ちゃん、見て見て!このプリン生クリームが乗ってるよぉ!?」
男「……」
――放課後
男「こんちわー」ガラッ
部長「……」ペコリ
男「あれ?女はいないんですか?」
部長「用事があるそうで、お休みです」
男「そ、そうですか……」
男「(部長と二人きりか……さすがに気まずいな)」
部長「……?」
男「……」
部長「……」ペラリ
男「(本読んでればいんだろうけど、つい意識しちまう)」
……ヴヴ!
男「(メール?部長の携帯か)」
部長「……」パカッ
男「部長、死のメールって知ってます?」
部長「……」
男「今流行りの怪談話なんですけど」
部長「今受け取りました」
男「……え?」
男「空メール、ですね」
部長「ですね」
男「(ほんとに流行ってんだな……)」
部長「……」
男「部長?」
部長「私は……死んでしまうのでしょうか……」
男「ただのイタズラですよ。一年の間でもけっこう回されてるって話ですし」
部長「本当ですか?」
男「ええ。それに実際死んだ人はいないって話です」
部長「……ホッ」
男「(部長はこの手の話ダメなのか)」
部長「……」ソワソワ
男「……」
部長「……」ソワソワ
男「(さっきから落ち着きないな)」
部長「日も暮れてきましたし、本日の部活はここまでにしましょうか」
男「全然暮れてません」
部長「……」
男「……」
部長「……寒くなってきましたし」
男「丁度いい気温だと思いますよ?」
部長「……」ジワッ
男「(泣きそうだ!普段クールな部長が目じりに涙溜めて泣きそうです!)」
男「(泣くまいと我慢してる部長はかわいいな。ま、普段もかわいいんですけど)」
男「そういえば俺買い物頼まれてるんでした」
部長「……?」
男「少し早いですが、帰りましょうか」
部長「そうですね」
男「(メール貰ったのがよっぽど怖かったんかな)」
部長「お先に失礼します」スタスタ
男「(待てよ?ここで俺が送っていくっていえばお近づきになれるんじゃ……)」
男「(……よし!)」
男「ぶ、部長!」
男「……いねぇ」
妹「ただいまー」
男「お帰り。飯出来てるぞ。先に風呂にするか?」
妹「お風呂にしよっかな。部活で汗かいたし」
男「あいよ」
妹「お兄ちゃんお兄ちゃん」
男「ん?」
妹「一緒に入る?」ニヤッ
男「さっさと入れ、馬鹿」
妹「お兄ちゃんのいけず~」
妹「いい湯加減でしたー。あ、今日はカレーだ!やった!」
男「牛乳でいいか?」
妹「うんうん!カレーには牛乳だよね!お兄ちゃん分かってるね!」
男「はいはい」
妹「いただいま~す!」
男「よく噛んで食えよ」
妹「ふぁに?」
男「食べてるときはしゃべらなくていい」
妹「……食べ過ぎた」
男「自業自得だよ」
妹「うぅ……」
男「……なぁ」
妹「……?」
男「死のメールって知ってるか?」
妹「なーにそれ?」
男「うちの高校で流行ってる怪談」
妹「受け取って人は死んじゃうとか?」
男「らしい」
妹「中学校ではそんな話聞いたこともないよ」
男「うちの高校だけか」
妹「お兄ちゃんの高校ってその手の話多いよね」
男「そうだなー」
妹「面白い高校だよねー。私お兄ちゃんと同じとこ行こうかな」
男「お前ならもっと上狙えるだろ」
妹「まぁ、お兄ちゃんもいるし?家から近いってのも魅力的だよ」
男「妹の好きにしたらいい」
妹「好きにさせていただきます」
男「……」
妹「ところで、さ。もしかしてきちゃった?」
男「ん?」
妹「死のメールってやつ」
男「……」
妹「だから元気ないのかな」
男「そう見えるか」
妹「うん」
妹「お兄ちゃんビビりだし」
男「ビビりで悪かったな」
妹「で、どーなの?メール」
男「俺にはきてないけど、知り合いが何人かきた」
妹「お兄ちゃんの学年だけじゃないんだ」
男「学校全体で流行ってるらしい。俺が知ったのは最近だけど」
妹「ふーん」
男「中学ではないんだろ?」
妹「全くだね」
妹「近々お兄ちゃんとこにもメールくるかもしれないね」
男「……」
妹「何気に気にしてるんだ」
男「そりゃ、な。気持ちのいい話じゃないし」
妹「怪談にかこつけてのイタズラでしょ。一ヶ月もすれば冷める程度の噂話だよ」
男「……だよな」
――その夜
男「(イタズラ、か。妹の言う通りだ)」
男「……」
……ミシ
男「!」
……ミシ
男「(これは夢だ!夢夢!)」
……ガチャ
男「(ドアが……)」
男「……」ゴクリ
妹「……」ソローリ
男「(い、妹?)」
妹「お兄ちゃん寝てるー?寝てますねー」
妹「よっこいしょと……」モゾモゾ
男「(ベッドに入ってきた……)」
妹「あったかい♪」モゾモゾ
男「何してんの?」
妹「!」
妹「び、びっくりしたぁ」
男「こっちの台詞だよ。おまえ何してんだ」
妹「……夜になると寒いでしょ?」
男「ああ」
妹「だから二人で寝たほうがあったかくていいんじゃないかなーと」
男「……」
妹「ね?」
男「出て行け」
妹「ひどいよお兄ちゃん!」
妹「それに、お兄ちゃんだって怖くて寝付けなかったんでしょ?」
男「うっ……」
妹「図星かよー」
男「うるせい」
妹「だから一緒に寝よ?今なら寝ると、妹ちゃんが手を握りながら添い寝してくれるオマケつき!」
男「そのオマケはいらない」
妹「そのオマケは?」
男「だ、だから、一緒に寝るのはいい」
妹「ツンデレだなー、お兄ちゃんは」
男「ツンデレ言うな」
妹「こうして寝てると、小さい頃思い出すね」
男「ああ」
妹「あとドキドキする」
男「なんだそれ」
妹「さぁ、なんでしょう?」
男「寝る」
妹「いけず~」
男「……」
妹「お兄ちゃん、私が寝てるときにエッチなことしないでよ」
男「しねーよ」
妹「今のはね、別にお兄ちゃんならしてもいいんだからね!ってサイン」
男「……ぐー」
妹「狸寝入り下手だなぁ」
――翌日
男「おはよう」
女「ん、おはよー。男が一人で起きるなんて珍しいね」
男「そーだっけ?」
女「いつも私が起こしてるでしょ」
男「いつもありがとうございます」
女「どういたしまして!」
女「ね、ね、男ちゃんさ、昨日の夜うちにきた?」
男「夜?行ってねーけど」
女「そなの?おっかしーな、絶対男ちゃんだと思ったのに」
男「何の話?」
女「んとね、昨日11時頃だったかなぁ?インターホンが鳴って、出てみたら誰もいなかったの」
男「……」
女「丁度いいタイミングで空メールもくるし、ちょっと怖くなっちゃった」
男「またメールきたのか」
女「うん。怖くなって消しちゃったけどね」
男「……ただの、イタズラだよ」
女「よし、分かった!犯人は男ちゃんだ!」
男「なんで俺?」
女「勘!」
男「……」
女「お、置いていかないでよ、男ちゃ~ん!」
友「朝っぱらから辛気くせー顔してんな。また喧嘩か?」
男「死のメール来たやつは死んじまうんだろ」
友「ん?ああ、そうだぜ。まさかメール来たのか?」
男「……」
友「だからかー。メールぐらい気にすんなって。俺んとこにも来たけどなんともないぜ?」
男「来たのはいつ?」
友「えーっと、二ヶ月ぐらい前?もう一ヶ月以上経ってんだ」
男「話だと一ヶ月以内に死ぬ、だったっけ」
友「おう。だからあれはデマだデマ」
男「(死のメールはデマ……)」
――放課後
女「男ちゃん!男ちゃんてば!」
男「あ?」
女「さっきから何度も呼んでるんですけどー」
男「ごめん、考え事してて……」
女「もう、しっかりしてよね」
男「ああ。それで?」
部長「今日の部活はもう終わりにしよかと」
男「もう?またずいぶんと早いんですね」
部長「……ええ」
男「もしかしてまたメールが来たんですか?」
部長「……」
女「……?」
女「――部長もメールを」
部長「女さんにも来てたんですね」
女「はい……でも、それが死のメールだなんて知りませんでした」
男「だからさっきも言ったろ?誰かが面白半分でやってるイタズラだよ」
女「じゃあ昨日のインターホンは?あれもイタズラ?」
男「……たぶん」
女「そのすぐ後にメールきたんだよ!?」
男「偶然だ!」
部長「その、気のせいかもしれませんが、私も昨日変なことがあったんです」
女「部長も?」
部長「帰り道のことなんですが、誰かにつけられているような……」
男「ストーカーとか……(それはそれでこえーけど)」
部長「振り返っても誰もいませんでした。それで余計に怖くなってしまって」
部長「本当のことを言うと、遅くなると怖いので、早い時間に帰りたいんです」
部長「すみません、男さん」
男「そういうことだったら、俺は別に……」
女「これって呪い、なのかな……」
部長「……っ」
男「なわけあるか!部長の話だって勘違いかもしれないんですよね!?」
部長「え?あ、えと……」
男「そうですよね!?」
部長「っ!」
女「男ちゃん!」
男「あ……すみません……」
部長「……」
男「……」
女「帰りましょうか」
部長「そう、ですね……」
男「あ、あの部長」
部長「……」ビクッ
男「……帰り気をつけて」
部長「はい、男さんと女さんも」
妹「――ピンポンダッシュに、ストーカーか~」
男「妹はどう思う?」
妹「偶然と、恐怖心からくる勘違いじゃない?」
男「だ、だよな……」
妹「お兄ちゃん実のところ怖いんでしょー」
男「うぐ……」
妹「メール来てないなら怖がる必要ないじゃん」
男「それがついに俺んとこにも来ちゃって」
妹「へ?」
男「女と帰ってるときにさ。女の携帯にも来たんだ」
妹「二人同時に?」
男「ああ」
妹「なら部長さんとこにもいってるかもしれないね……」
男「気味が悪いよな」
妹「……」
男「人間がやってるにしても」
妹「ちょっと行き過ぎかもね」
男「……」
妹「今夜も一緒に寝たげよっか?おにーちゃん♪」
男「い、いいって」
妹「そう?残念だなぁ」
男「……っ」
妹「ん~?」
男「やっぱし、お願いしようかな」
妹「ううん?声が小さくて聞こえなかったな~」
男「い、一緒に寝てください……」
妹「了解でーす、ふふ」
女「朝だよー、早く起きないと遅刻するよー」
男「んん……」
女「お、男ちゃん!」
男「んあ?」
女「こ、これはどういうことなの!?」
男「あー、しょうがないだろ、朝なんだから」
女「今までの比じゃないよ!」
男「はぁ?お前何言って……に、妊娠してる!!」
女「誰の子供なの!?」
男「(モッコリどころのレベルじゃねぇ!ど、どうなってんだ、これ!)」
女「男ちゃんが妊娠……男ちゃんが……」ブツブツ
男「(昨日はたしか妹と一緒に寝て……妹と?)」
男「……」ペラリ
妹「えへへ、お兄ちゃ~ん」ムニャムニャ
女「い、妹ちゃん?」
男「妹がしがみ付いてるだけでした」
女「なんだ、妹ちゃんかー」
男「よかったよかった」
女「あははー」
妹「えへへー」ムニャムニャ
女「よくないよ!!」
妹「うー……」ムクッ
男「起こしちゃったか?悪いな」
妹「あ、女ちゃんおはよう」
女「おはようじゃないよ!どうして男ちゃんと一緒に寝てるの!?」
妹「お兄ちゃんが無理矢理」
女「なっ!?」
男「嘘です」
女「なんだ嘘か~」
妹「と、いうのが嘘です」
女「なっ!?」
男「(朝から元気だなぁ)」
女「ハァ……男ちゃんのせいで朝からドッと疲れちゃった」
男「俺のせいかよ」
女「それ以外に誰がいるのさ」
男「……妹?」
妹「へ?」
女「人のせいにするなんて最低だよ!」
男「(勝手に勘違いした人が一番悪いと思う)」
男「……」
妹「どんまい、女ちゃん!」
女「うぅ……」
男「女、あの後メールきた?」
女「え?」
男「例のメールだよ」
女「それは……」
男「……?」
女「うんと、メール来てないんだけど……足音が……」
妹「足音って?」
女「あ、えとね、夜ベッドに入ってたら廊下で足音が聞こえて」
男「(俺と同じだ)」
妹「お兄ちゃんも似たようなことあったって言ってたね」
女「お、男ちゃんも?」
男「俺の場合は、夢だと思う」
女「私は……うん、ちゃんと起きてた。今でもはっきり覚えてるもの」
妹「……」
妹「女ちゃんのお母さんかお父さんだよ」
女「両親は一階で寝起きしてるから、それはない、と思う」
妹「……うんと」
妹「あ!熱膨張!熱膨張が原因!」
男「熱膨張?」
妹「うん!こないだテレビでやってたよ」
男「熱膨張がどう関係してくるんだ?」
妹「……それは」
女「それは?」
妹「忘れちゃった……」
男「だめじゃん」
妹「でも!呪いとか祟りとか、そんなのあるわけないよ」
女「……」
妹「絶対にあるわけない……」
男「妹?」
妹「私ご飯の支度してくる!」ダッ
男「お、おい!」
女「……怖がらせちゃったかな」
男「まさか。妹はこの手の話は信じてなかったぜ」
女「だといいけど」
男「……」
男「……ハァ」
友「あいつまた溜息つているよ」
女「そうだね……」
友「まーたフラれたんかな」
女「……」
友「女さん?」
女「あ、うんと、メールのことだと思う」
友「あー、例のやつなー。そいや男んとこにもメール来たって言ってたわ」
女「嘘……」
友「あれ?男から聞いてない?」
友「見るからに落ち込んでさ、さすがに責任感じたぜ」
女「強がってるけど、意外と怖がりなんだよね」
友「あまりの落ち込みっぷりに、咄嗟に嘘ついて励ましちゃったくらいだし」
女「……?」
友「俺にもメール来たって。実際空メールなんて来てないんだけどねー」
女「……」
友「つかここ最近来たメールなんて母ちゃんぐらいだし」
友「あれ、女さん?何処行くの!?」
お風呂入ってオチ考えてくる
――放課後
男「……ハァ」
女「男ちゃん、もう放課後だよ」
男「ん?ああ、気がつかなかった。部活行かなきゃな」
女「部活?」
男「文芸部だよ。今日は来ないのか?」
女「男ちゃん……メール見てないの?」
男「……メール」
女「ぶ、部長さんからの!お昼頃に来たでしょ?」
男「(今日は一度も携帯見てなかったな……)」
女「体調崩して学校お休みしたから、部活も無しだって」
男「部長の体調が……」
女「風邪らしいよ」
男「本当に風邪なのかな」
女「え?」
男「そのまま部長は……!」
女「……男ちゃん」
女「大丈夫、呪いなんてないよ。偶然が重なったんだよ」
男「でも、おまえだって足音聞いたって!」
女「あれはね、寝ぼけてたの。私おっちょこちょいだから」
男「でも……」
女「落ち着いて」ギュッ
男「ぁ……」
女「よしよし」ナデナデ
男「……」
女「落ち着いたかな?」
男「……うん」
女「ならよかった」
男「取り乱してごめん」
女「私は気にしてないから」ニコッ
男「俺怖くて……」
女「うん、分かってる。でもね、メールはきっとイタズラだよ。意地悪な人の性質の悪いイタズラ」
男「……」
女「だから大丈夫。男ちゃんは何も心配しなくていいの」ナデナデ
男「女、ありがとな」
女「……ううん、気にしないで」
男「変なことが続いてまいってたんだ。単に偶然が重なっただけだよな」
女「うん」
男「俺はもう大丈夫だ」
女「なら明日からいつも通り元気な男ちゃんだね!」
男「ああ」
女「元気ビンビン!」
男「ビンビンはやめてくれ」
女「あはは、そだね!」
男「部活ないなら真っ直ぐ帰るか」
女「それがいいね」
男「部長、早く元気なるといいな」
女「ただの風邪って話だし、早ければ明日には復帰してるんじゃないかな」
男「……だといいな」
女「……」
男「もうこんな時間か。いい加減帰ろう」
女「男ちゃん、ごめん!」
男「……?」
女「悪いんだけど、今日は一緒に帰れないんだ」
男「え……」
女「ちょーっと野暮用がね」
男「なんだったら付き合うぞ」
女「個人的なしょーもない用事だから大丈夫だよ。お気遣いありがとうございます」
男「……」
女「そーゆーわけで、また明日ー!」タタッ
男「女!」
女「んー?」
男「気をつけて帰れよ」
女「うん!男ちゃんもねー!」
男「……」
後輩「だーれだっ!」
男「……後輩だろ」
後輩「さすが先輩!ラブパワーはビンビンですね!」
男「ビンビンはもういいから」
後輩「まぁ、ビンビン置いといて……それより見てましたよー」
男「あ?」
後輩「女先輩と抱き合ってたじゃないですか!お二人はそういう関係だったのですね!」
男「……あいつはそんなんじゃねーよ」
後輩「ならあの抱擁はなんだったんですかー」
男「俺を元気づけてくれただけだよ」
後輩「恋人ではないと?」
男「女は俺の大切な親友だ」
後輩「それ聞いたら女先輩泣いちゃうますよぉ?」
男「……なんで?」
後輩「ハァ……これだから鈍感先輩は……」
男「?」
――翌日
……ジリリリ!
男「んん……」ポチ
男「……もう一眠り」
男「……」
男「……ん?」
男「何か忘れてるような……」ムクリ
男「妹は……いつも通り部活の朝練だろ」
男「数学の宿題はなかったはず……」
男「……」
男「女……」
男「はぁ……はぁ……!」ガラガラ
友「おう、今日はやけにはえーな」
男「お、女は!?」
友「女さん?まだ来てねーけど」
男「そんな……」
友「なんだ?また夫婦喧嘩か?惚気んのもいい加減にしろよなー、はは……」
――休み時間
男「(なんで……どうして……)」
友「学校にも連絡してないってな。女さんが無断欠席なんて初めてじゃないか」
男「……」
友「サボリとか」
男「女はそんなことしない!」
友「そ、そうだよな、悪い。ところで、携帯にはかけてみたのか?」
男「携帯……!」ピピッ
男「!」
友「男?」
……着信メール10件
男「(全部空メール)」
男「(女はもう死んでる……?)」
男「(……次は俺の番?)」
男「う、うわぁああ!」タタッ
友「おい、男!!」
友「……どうしちまったんだ、あいつ」
部長「すみません、男君はいますか?」
友「男ならついさっき出て行きましたよ」
部長「……?」
友「携帯見たら、ひどく怯えて。それこそ逃げるように出ていっちまいました」
部長「……」
友「女さんが学校に来てないことと関係あるんかなぁ」
友「男には何の用なんすか?」
部長「男君がいないようなら出直します。それでは……」スタスタ
友「あ……」
友「(あれが男の言ってた文芸部の部長さんか)」
友「……」
友「(……かわいい)」
――???
部長「……」キョロキョロ
部長「女さん?」
部長「(まだ来てないのかな……)」
部長「……」
妹「女ちゃん?」
部長「!?」
部長「あなたは?」
妹「あ、あれ?ごめんなさい、人違いでした」
部長「もしかして、あなたも女さんにメールを貰ったんですか?」
妹「あ、はい、そうです。お兄ちゃんのことで大事な話があるから、裏山の神社まで来て欲しいってメールで」
部長「……」
妹「部長さんも?」
部長「女さんからメールで呼び出されました」
妹「そうだったんですか……」
部長「……」
妹「そだ、自己紹介が遅れちゃいましたが、私妹って言います」
部長「もしかして男君の?」
妹「はい!男は私のお兄ちゃんです」
部長「私は男君が所属している文芸部の部長です」
妹「これはこれは。兄がいつもお世話になってます」ペコリ
部長「……」
妹「……」
部長「……」
妹「……あの」
部長「はい?」
妹「部長さんから見てお兄ちゃんってどうでしょう?」
部長「……」
妹「へ、変な意味はないんですよ!?えと、なんとなく気になって……」
部長「そうですね、明るくて優しい方だと思います」
妹「私もそう思います!でも怖がりなとこあって、そこがまたかわいくて!」
部長「妹さんは男君が大好きなんですね……」
妹「あ……うぅ……」
部長「……女さん、来ませんね」
妹「もう30分は経つのに。携帯に連絡してみます」
部長「妹さん」
妹「はい?」
部長「一つお聞きしたいことがあるのですが」
妹「ひょっとして、お兄ちゃんことですか?それだったら何でも聞いてください!」
部長「私達、初対面ですよね?」
妹「へ?たしかに初対面ですけど……それがどうかしたんですか?」
部長「なぜ私の名前を知っていたんですか?」
妹「……」
部長「あなたは男君のことで女さんに呼び出されたと言っていましたね」
妹「……」
部長「私も同じ理由で女さんに呼び出されたんですが、実はその前に相談を受けているんです」
妹「……」
部長「ちょっとしたイタズラで大切な人を傷つけてしまったと」
部長「それとこうも言っていました。自分はやめたいのにもう一人に脅されてやめられない」
妹「……」
部長「男君や私にメールを送っていたのは女さんと妹さんです」
妹「女さんがそう言ったんですか?」
部長「嘘の話で怖がらせたかったこと」
部長「……男君をフッた私が憎かったからやったこと……全部話してくれました」
妹「あーあ、本当に話しちゃったんですね。女ちゃんも小心者だなぁ」
部長「発案者は妹さんだと窺いましたが、本当ですか?」
妹「はい。お兄ちゃんが部長さんから女ちゃんから聞いてましたから」
部長「……」
妹「大好きなお兄ちゃんに好きな人がいたのはショックでしたけど、だんだんとフッた相手が憎くなって」
妹「部長さんは怖がりってことも聞いていたので、なら今流行ってる怪談で怖い目に会わせてやろうと思ったんです」
妹「女ちゃんも最初はそこそこノリ気だったのになぁ。分からないものですね」
部長「怯える男君を見て、このままじゃいけないと思ったそうです」
妹「……お兄ちゃんのためかぁ」
部長「女さんは今何処に?妹さん、居場所を知っているんじゃないですか?」
妹「女ちゃんなら神社の中で待ってますよ」
部長「……神社?」
妹「ええ、目の前の」
部長「……」
妹「どうしたんですか?早く会いに行きましょう」
部長「……そう、ですね」
部長「女さん?」
女「……」
部長「よかった、無事だったんですね」
部長「妹さんとの話し合いは終わりましたよ。私は怒っていませんから」
女「……」
部長「後は男君に謝りに行きましょう。私も付き合います」
女「……」
部長「女さん?聞いているのですか?」グイ
女「…………」バタン
部長「!!」
部長「顔が……!」
妹「見事にグチャグチャでしょ?でもそれ女ちゃんですよ」
妹「昨日女ちゃんに呼び出されて、こんな馬鹿なことはやめようって言うもんだからついカッとなって。ふふ」
部長「それだけの理由で女さんを!?」
妹「やだな、ほんとの動機は違いますよ?」
妹「大好きなお兄ちゃんにベタベタとウザかったので最初からこうするつもりだったんです」
部長「最初から……」
妹「部長さんに相談するのは計算外でしたが、まぁいいでしょう」
部長「……え?」
妹「さて、ここで問題です。場所は普段からひと気のない廃れた神社」
妹「傍らには撲殺された死体。そして洗いざらい罪を告白した犯人と探偵」
妹「……犯人は素直に自首するでしょうか?」
部長「…………ぁ」
妹「正解♪」
部長「あ……あぁ……」
妹「向こうで女ちゃんによろしくお伝えください」フォン
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俺はこーゆーお話が好きなのっっっっ!!!!
後妹ちゃん
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