男「…へ?」 バイト女「だから」 (243)

このお話は 男「…へ?」 メリー「だから」 のスピンオフです。

元スレ:男「…へ?」 メリー「だから」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342107511/)

本作中に出てくる人物の名称は元スレに合わせてあります。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384352602

~男の家~

男「財布と鍵と…よし、忘れもんはないな。じゃあ…」

男「…行ってきまーす」

バタン

ミク「…」

~バイト先~

ッラッシャーセー

男「お客様、何名様でしょうか」

チーフ「はい。畏まりました。バイト女さん、奥のテーブルにお通しして」

バイト女「はーい。こちらへどうぞー」

チリンチリン

男「いらっしゃいませー」

チーフ「男くん、2番テーブルにご案内して」

男「はーい」
  ・
  ・
  ・

~休憩室~

ガチャ

男「ふぅ…昼のピークも終わったし、一息つくか」

バイト女「はぁ…つかれた…」

男「よ、お疲れさん」ポン

バイト女「げっ」

男「なんだよそれ」

バイト女「さわんな。ダサいのがうつるし」

男「ずいぶんだな。お前、そんなだからモテな」
バイト女「ああん!?」ジロッ

男「…まあ、蓼食う虫も好き好きって言うしな」

バイト女「はあ?意味わかんないし」

男「お前…今の意味がわかんねえって…相等やばくね?」

バイト女「うっ…うっさい!諺ぐらい知ってるし!!」

男「そういう意味じゃ…まあいいや。とりあえず座れば?」

バイト女「…チッ」ドサッ

男「…はぁ」

ガチャ

チーフ「あ。二人ともお疲れさん」

バイト女「あれ?もう上がりですかぁ?早くないっすか?夜のピークはどうするんですかぁ?」

チーフ「うっ…き、今日はどうしても外せない用事が…ね?」

バイト女「またコンパかよ…」ボソッ

チーフ「…なんか言った?」

バイト女「なんも?」

チーフ「そ、それにほら!社員は残業時間を管理されてるから規定時間を超えないようにしないと…な?」

バイト女「…バイトは時間関係ないっすもんね」ボソッ

チーフ「うっ…」

男「けど…チーフがいないと大変なんだよなぁ…最近お客が増えてないですか?」

チーフ「だよなぁ。季節限定メニューを出してから増えたよなぁ…」

バイト女「そろそろこの人数で回すのもきついっすよ…」

チーフ「新規バイトも募集してるらしいんだけど…」

男「ふーん…決まりそうなんですか?」

チーフ「まあ、応募はあったみたいだ。ひょっとするとまた、こんなちんちくりんで性格も…なやつかもしれないけどな」チラッ

バイト女「…おい。なんであたしを見るんだよ」

チーフ「いや…」

バイト女「…チッ」

チーフ「…さて、そろそろ行くわ。おさきー」

男「あ、お疲れです」

バタン

男「…なあ、バイト女」

バイト女「んだよ」

男「お前さあ、なんでそんなに口が悪いんだ?」

ゲシッ

男「痛っ!何しやんがだ!」

バイト女「ケンカ売ってんのかゴルァ!」

男「ちがうって。お前、口の悪さと気の強さで損してるって言ってんだ」

バイト女「チッ。余計なお世話だ」

男「もったいないって。お前さあ、すげえ真面目だし」

バイト女「んなことない」

男「そんなことあるって。俺、そこはお前のこと認めてるんだぞ?」

バイト女「…ほ、ホントに?」ボソッ

男「ん?」

バイト女「な、なんでもねえよ」

男「そっか?けどホント、もったいないって」

バイト女「…うっせえよ…」
  ・
  ・
  ・

男「お、もうこんな時間だ。さて、行くか」

バイト女「…よっと」

男「そういやバイト女、お前今日は何時までだ?」

バイト女「チッ…22時だよ」

男「おいおい、頑張りすぎじゃねえか?夏休み中は20時上がりだったのに」

バイト女「あたしの勝手だろ」

男「そうだけど…お前、土日や休みの日は朝からだし…」

バイト女「うっせえなぁ」

男「…受験勉強してる時間はあんのか?」

バイト女「…チッ。テメエにゃ関係ねーだろ」

男「まあそうなんだけどな…大学行くんだろ?」

バイト女「…うっせえ…」

男「お前確か高3だろ?だったら2学期からは追い込みの時期なんじゃないのか?」

バイト女「うっせえっつってんだろ!」バタン スタスタスタ…

男「…大丈夫か?あいつ…」
  ・
  ・
  ・

~店の裏口~

男「お先でーす」

オツカレサーン オツカレー

ガチャ

バイト女「あ」

男「あ、お前も今帰りか?」

バイト女「チッ。そーだよ」

男(もう遅いし高校生のバイト女をひとりで帰らせるってのもなあ…よし!)

男「送ってくわ」

バイト女「はあ?」

男「夏休み中はバイト女、もっと早い時間に帰ってたけど、もう遅いしオンナの一人歩きはアブねえからな」

バイト女「テメエのほうがアブねえし」

男「家はあっちのほうだったな」

バイト女「あ、テメっ!無視すんな!!おい!勝手に行くな!!」
  ・
  ・
  ・

~バイト女の家~

バイト女「…あ、ここ」

男「ここでいいのか?じゃあな」

バイト女「え?」

男「俺も帰るわ」

バイト女「あ…」

男「あ、そうそう。明日もバイトか?」

バイト女「え?あ、うん…」

男「そっか。じゃあ、また明日な」ノシ

バイト女 ノシ
  ・
  ・
  ・

バタン

バイト女「ただいま…」

バイト女父「おう」

バイト女「…晩御飯作っておいたけど…食べたの?」

バイト女父「ああ」

バイト女「わかった。洗い物は後でしとくね…お母さんは?」

バイト女父「パート先の飲み会からまだ帰ってきてない」

バイト女「そう…弟は?」

バイト女父「部屋にいるはずだ」

バイト女「ん」

ガチャ

バイト女父「…バイト女、最近家のことサボってるだろ」

ピクッ

バイト女「…そんなことないよ…」

バイト女父「今日の晩飯だって炒め物に味噌汁に卵焼きだけじゃないか」

バイト女父「家事もまともにできないんならバイトは禁止するしかないな」

バイト女「!?」

バイト女父「どうせお前の頭じゃ国公立大なんて無理に決まってる。さっさと諦めて就職しろ」

バイト女父「それでお前の給料が入るようになったらうちの家計にも余裕ができるし」

バイト女「…洗濯してくる」

バイト女父「お前と違って弟は優秀で…って、おいまだ話はおわtt」
バタン

バイト女「…はぁ」

バイト女(“女に学歴は必要ない”って…“だから就職しろ”って…あたしは大学に行きたいって言ったら…)

バイト女(“入学金は出さない”とか“国公立以外は認めない”とか…勝手な事ばっかり言って…)

バイト女(弟は私立中学に入れたくせに…あたしには…)

バイト女(…絶対合格してやる。そして…こんな家出て行ってやるんだ!)

バイト女(このうちじゃ誰もあたしのこと…気にかけてくれないもん…)

~~~~~~~~~~

  男「この時間だともう暗いし、オンナの一人歩きはアブねえしな」

~~~~~~~~~~

バイト女(…っ!?なんであいつを思い出すの!?)

~男のアパート~

バタン ドタドタ…

男「ただいまー」

男「まずは風呂の栓してお湯ためて…」ジャー

バタン ゴソゴソ

男「着替えは…これでいいな。じゃあ服脱いで風呂に…」ポイッ バサッ

バタン
  ・
  ・
  ・

ガチャ

男「やっぱ風呂はいいな…ん?」

バスタオルー

男「…俺、バスタオル持ってきてたっけ?ひょっとして…」ヒョコッ

ミク「…」

男「…んなわけないか。きっと無意識のうちに持ってきてたんだろ。さて、布団を敷いて…」
  ・
  ・
  ・

~夜中~

~~~~~男の夢~~~~~

  男(…真っ暗だ…)

  ?「もしもし?私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」

  男「…え?メリーさん!?」クルッ

  メリー「…いいんじゃないですか?」

  男「え?」

  メリー「いつまでも怖がってないで…ね?」

  男「なにを怖がるんだよ!?」

  メリー「ミクさん…男さんのこと…よろしく…ね…」フワリ

  男「あ、ちょっと!待ってくれ!!」ダッ

  ミク バッ!

  男「ミクさん!退いて!!メリーさんが行っちまう!!」

  ミク フルフル

  男「ちょっ!ミクさん!!メリーさーん!!」

  メリー スゥ…

  男「何が“いい”んだよ!“怖がって”ってなんだよ!!」

~~~~~~~~~~

ガバッ!

男「はあ…はあ…」

チラッ

男「まだ5時か…夢で目が覚めちまった…」チラッ

男「…ってか、どんな夢見てたっけ?」

ミク カタッ コロッ…

男「え?なんでミクさんが落ちてきたんだ?」

ミク(何で夢のこと忘れるかなぁ…)

今日はここまでにします。

おやすみなさいノシ

>>ALL 今から投下します。

~翌日・バイト先~

男「おはようございます」

オハヨーッス

バイト女「…おはよっす」

男「お、今日は珍しく普通に挨拶したな」

バイト女「う、うっせえ…」

男「よし、そろそろフロアに…」

バイト女「ちょっ、ちょっと待った」

男「なんだよ」

バイト女「…なんで家まで送ったんだよ」

男「ん?昨日のか?」

バイト女「ああ…今までそんなことなかったのに…」

男「…まあ、お前も一応女だし。で、送った」

バイト女「はあ?意味わかんないし」

男「…バイト女、口は悪いけどパッと見はかわいいしな」

バイト女「んな!なに言ってんだ!//」

男「それにほら、うち外食系だからいろんなやつが来るし」

男「…ストーカーみたいなヤツとかいたら面倒だろ?だから一緒に帰ったほうがいいかと思ってな?」

バイト女「へ、平気だって//」

男「…俺、ストーカー被害にあったオンナの人知ってるけどな…結構悲惨だったぞ?」

バイト女「…え?」

男「電話の音がするだけで怯えたり、外出る時も常に周りを気にして…」

男「俺もちょっと巻き込まれたけど、あれはかなり精神的に来るぞ」

バイト女「…あのさ」

男「ん?」

バイト女「…そのオンナの人とは…どういう関係?」

男「全くの他人だ。俺が契約したケータイの番号が、たまたまその人が前に使ってた番号だったってだけでさ」

バイト女「そっか…」ホッ…

男「てか、なんでそんなこと聞くんだ?」

バイト女「き、聞いてみただけ!」

男「よくわからんけど…てことで、これからも遅い上がりのときは送ってくから」ポンポン

バイト女「…あ、頭さわんな!」

ガチャ

チーフ「…」ドヨーン

バイト女「あ、チーフ…暗いっすよ?昨日はやっぱ撃沈っすか」

チーフ グサッ

男「おい、傷口に塩を塗るようなことはすんなよ。で、やっぱ撃沈ですか」

チーフ グサグサッ バタッ

バイト女「…おい。倒れたぞ?」

男「バイト女がきっついこというからだろ?」

バイト女「止めは男が刺したじゃねえか」

男「まあそうなんだけどな」

バイト女「けど…ふつう次の日まで引きずるか?初めから結果なんかわかってたのに」

男「まあそういうな。ブサメンだって夢をみたいんだから」

チーフ「…こいつら冷たいよ…」シクシク…

~夜・バイト先~

ガチャ

男「ふぅ…今日も忙しかったな」

バイト女「ああ…チーフ、あの後泣きながら帰っちまったし」

男「やりすぎたかな?」

バイト女「どうせあの感じじゃ邪魔にしかなんねえだろ」

男「だな」

バイト女「…」

男「ん?どうした?」

バイト女「あ、いや…もう大丈夫みたいだなってな?」

男「なにが?」

バイト女「…男、一時期落ち込んでたろ?」

男「え?…あ、あー…そうだったな」

バイト女「あんときあたし、大変だったんよ?今日みたいにさあ」

男「はは。悪かったよ」

バイト女「じゃあ明日からしばらく仕事中にサボるわ」

男「おい!」

バイト女「冗談だって。けどさぁ…」

男「そろそろ限界かもなぁ。お客の数、日に日に増えてるよなぁ」

バイト女「ああ…」

男「ま、今夜はゆっくり休んで疲れとらないとな」

バイト女「うん」

男「じゃあ…10分後に裏口で」

バイト女「え?」

男「送ってくって」

バイト女「いや、いいって」

男「遠慮するなって」

バイト女「けど…男、バイクだろ?また押してくんだろ?悪いって」

男「気にすんなって。おまえんち、歩いて10分ほどだしスクーターだから軽いし、押して歩いても大したことないって」

バイト女「けど…」

男「バイト女に何かあったら俺の気が悪いしな。じゃ、そう言うことで」

バタン

バイト女「…」

~夜・男の部屋~

男「“落ち込んでた”…か」

ケータイのアドレス帳 : メリーさん

男「…かけてみるか」

Pi Pi Pi…オカケニナッタデンワバンゴウハゲンザイツカワレテ…

男「…だよな」Pi

男「はあ…寝よ」

ミク「…」

~真夜中・バイト女の家~

カリカリカリ…

バイト女「…ふぁああ…」

バイト女(なんでかな…)

~~~~~~~~~~

  男「バイト女に何かあったら俺の気が悪いしな」

~~~~~~~~~~

バイト女(男、なんであんなこと…)

バイト女(あたしのこと“口が悪い”って言ってたのに…)

バイト女(“何かあったら気が悪い”って…)

バイト女( “手が足りない”ってことならわかるけど…)

バイト女(それに…何気なくあたしの勉強のことも心配して…)

~~~~~~~~~~

  男「お前確か高3だろ?だったら夏休み明けからは勉強しなきゃヤバいんじゃないのか?」

~~~~~~~~~~

バイト女(…男は…いつも…口も悪くてかわいげもないあたしのこと気にしてくれて…)

バイト女「…はぁ。勉強しよ」

カリカリカリ…

~数日後~

バイト女 ウツラ…ウツラ…

男(居眠りしてやがる…ま、この時間は余裕あるし、このまま寝かしとくか)

ガチャ!

チーフ「みんないるか!?」

男「あ、はい。おい、バイト女、起きろ」ユサユサ

バイト女「スー…ん…ん?」ネボケー

チーフ「今日から新しい仲間が増える。新人女さんだ」

新人女「初めまして。新人女ですぅ。よろしくお願いします」ペコリ

カワイイー イイネエ チチデカイー

チーフ「新人女さんはフロアに入ってもらう。教育担当は俺だから、分からないことがあったら何でも聞いて」

新人女「はい。ありがとうございます」

チーフ「それから…フロアのメンバーを紹介しとくよ。男くんにバイト女さんだ」

男「男です」

バイト女「バイト女っす」

新人女「新人女です。よろしくお願します」ペコッ

チーフ「じゃあ、軽く仕事の説明するから、一緒に来て」

新人女「あ、はい」
  ・
  ・
  ・
バイト女「おい」

男「ん?」

バイト女「よかったじゃねーか。かわいい女の子がバイトで来てくれてよぉ」

男「んー、まあそうだな」

バイト女「…なんだよ、そのそっけない返事は。うれしいんだろ?」

男「ああ。これで少しは負担が減るかもな…ちゃんと働いてくれりゃいいけど…」

バイト女「そうだな…いや、そういうことじゃなくてな」

男「なんだよ」

バイト女「かわいいオンナノコが入ってきて華やかになったろ?嬉しいだろ?うりうり♪」

男「なんで?」

バイト女「はあ?」

男「…なんでそんな顔するんだ?」

バイト女「いや…」

バイト女(新人女さん、あんなにかわいいのに…もしかして男って…)

バイト女「男…ひょっとしてホモか?」

男「んなアホな!」

バイト女「じゃあ…年増好きとか?」

男「なんでそうなる!」

バイト女「だってよぉ…おかしいじゃねえか。新人女さん、オンナのあたしから見てもかわいいと思うのに」

バイト女「なのに男はバイトのことしか言わねえし…」

男「…確かに見た目はかわいいと思うけどな」

バイト女 ピクッ

男「…けど、それだけだ」

バイト女「…え?」

男「じゃあ、そろそろフロアに入ろうぜ」

バイト女「あ、ああ…」

バイト女(かわいいとは思うけどそれだけって…どういうことなんだろ?)

~数日後~

新人女「きゃあ!」ガシャーン!

男「…またか…」

バイト女「…チッ」

チーフ「大丈夫?」

新人女「ごめんなさぁい…」ウルウル…

チーフ「…今度から気を付けてね?」

男「ほら」ズイ

新人女「…え?」

男「ホウキと塵取り。割れた食器の大きな破片は俺とバイト女で持っていっとくから」

新人女「あ、あの…」

男「掃除ぐらいできるでしょ?がんばって」

バイト女 カチャカチャ

新人女「…チーフさぁん…」ウルウル…

チーフ「ったくあいつら冷てえなぁ。いいよ、俺が掃除しとくから」

新人女「はぁい。すみませ~ん」

男「…チーフ、デレッデレだな…」

バイト女「新人女さんにいいように使われてるし」

男「あれじゃあいつまで経っても新人女さん、使い物になんねえな…」

バイト女「はぁ…ちょっと教育すっか?」

男「角が立つんじゃね?彼女、大学1年だからお前のほうが年下だし」

バイト女「チッ…面倒な…」

男「チーフがしっかりしてくれりゃあいいんだけどな…なんか妙に期待しちまってんだよなぁ、チーフ…」

バイト女「期待って?」

男「なんせ新人女さん、今は彼氏いないらしいからなぁ」

バイト女「ふーん…他には?」

男「自宅から大学に通ってて…家はちょっと離れてるらしい」

バイト女「…詳しいな。いつの間に調べたんだ?」

男「調べたんじゃなくてな、新人女さんが喋ってくるんだ」

バイト女「はあ?」

男「正直、鬱陶しいんだよなぁ…」

バイト女「…嬉しい癖に」ボソッ

男「なんか言ったか?」

バイト女「ううん?なんも?」

~22時ごろ~

男「さて、そろそろ帰る準備を…」

新人女「男さん…」

男「ん?新人女さんか」

新人女「男さん…私…男さんに何かしましたか?」

男「はあ!?」

新人女「だ、だってぇ…」ウルウル…

バイト女「…何やってんだ?」

男「あ、バイト女。新人女さんがなんか変なんだ」

新人女「変なのは男さんです!」

バイト女「はぁ…で?なに?」

男「何って言われてもなあ…」

新人女「バイト女さん!」

バイト女「な、なに?」

新人女「男さんって…どのオンナノコにもあんな態度なんですか!?」

バイト女「いや、そんなの知らねえって。っていうか、なんでそんなこと聞くんだ?」

新人女「だって!冷たすぎます!!今日だって!!」ジワッ

男「いや、そんな目で見られても…」

バイト女「…はぁ。で?どうなんだ?」

男「どう…とは?」

バイト女「やっぱり…オンナに興味ないとか?」

男「アホか!ホモじゃねえし!!」

新人女「じゃあ…」

男「俺はノーマルだ!」

バイト女「アブノーマルなやつに限ってそういうんだよなぁ」

男「アブノーマルじゃねえし!」

バイト女「ふーん…けどさあ、男の態度見てっと…なあ?」

新人女 コクコク

男「お前らなあ…」

新人女「でも…じゃあ…どうして…」

バイト女「なに?」

新人女「あ、いえ。なんでもないです」

バイト女「…」

男「それより…おい。先に外に出てるぞ」

バイト女「え?…あ、ああ」

新人女「え?なんですか?」

バイト女「これから男にストーキングされるんだ」

新人女「…え!?」

男「人聞きの悪いこと言うな!送ってくだけだろ!!」

新人女「ええーっ!?バイト女さん、男さんに送ってもらってるんですか!?」

バイト女「ああ。いいって言ってんだけど、男が送るって聞かねえんだ」

新人女 メラッ…

バイト女 ゾクッ

バイト女「今悪寒が走ったんだけど…」

新人女「あら、風邪ですか?」シレッ

~帰り道~

男「涼しくなってきたな」

バイト女「そうだな…」

男(バイト女って…ちっさくてかわいいんだよなぁ…なんとなくミクさんっぽいし…ツインテールとかしてくんねーかなぁ…)

バイト女(なんで男はあたしを送ってくれるんだろ…新人女さんのほうがかわいいのに…)

男「…あ、そういえば」

バイト女「え?」

男「新人女さん、なんであんなこと言い出したんだろ?」

バイト女「あー…気になる?」

男「なにが?」

バイト女「さあ?」

男「お前…なんか知ってんな?」

バイト女「本人じゃないからわかりませーん」

男「…まいっか」

バイト女 ガクッ

男「どうした?」

バイト女「あっさりしすぎ!なんで?」

男「細かいことは気にしないんだ。それに、わかんなくても死ぬわけじゃねえし?」

バイト女「そりゃそうだけど…」

男「まあ、ずっと付きまとわれてっから鬱陶しいけどな」

バイト女「…そっか」

バイト女(新人女さん、男が自分になびかないのが気に入らないんだろうな…けど…)

バイト女(男はオンナに夢を見ていないような気がする…だから新人女さんにも興味がないんじゃないかな…)

~数日後~

新人女「男さーん。これはどうしたらいいんですかぁ?」

男「チーフに聞けって」

チーフ「そうだよ?教育係は俺なんだから。ね?」

新人女「男さんってばぁ!」

チーフ「だから俺に聞いてよ。ね?ね?」

バイト女「あいつら…仕事になんねえな…」ハァ…

ガチャ

バイト女「あ、いらっしゃいませ。何名様でしょうか」

?「一人だけどいい?」

バイト女「はい。こちらへどうぞ」チラッ

バイト女(スラッとしててかわいい人だな…モデルみたい…)

バイト女(新人女さんはメイクで可愛く見せてるけど…この人は元が可愛いんだな…)

?「…あら?」

男「…あ」

バイト女「え?」

?「久しぶりじゃん!元気してる!?」

男「はい。そっちも元気そうで」

?「んー、そうでもないよ」

ツンツン

男「ん?」

バイト女「知り合い?」

男「ああ」

?「うちの男がお世話になってます」ペコッ

バイト女「え?カノジョさん!?」

男「ちげえよ!ただの知り合いだ!!」

バイト女「そうなんだ…」

?「あ、この子もしかして…カノジョ?」

男「ちがいます!」

?「そうなの?」

バイト女「あ、はい。バイト仲間です」

?「ふ~ん…バイト女ちゃんか」

バイト女「え?…あ、名札か…」

?「あたしは女友っていうの。よろしくね?」

バイト女「あ、こちらこそ」

男「ご注文が決まりましたらそちらのボタンを押してください」

?改め女友「マニュアル通りの営業トーク!だがそれがいい!」

男「相変わらず軽いですね」

女友「あははは。もともとの性格だもん。そうそう変わらないよ」

男「それじゃ」

女友「もうイッちゃうの?」

男「…今の、変な意味で言ったでしょ」

女友「ナンノコトダカ」

男「ったく…」スタスタスタ

バイト女「…なあ」

男「ん?」

バイト女「新人女さんとチーフが固まってんだけど」

男「え?なんで?」

新人女・チーフ ポカーン

男「…二人とも、大丈夫か?」

チーフ「おおお…男くん!」ガクガク

新人女「あの人もしかして男さんのカノジョですか!?」

男「彼女じゃねえ!」

新人女「じゃあどんな関係ですか!?」

男「ただの知り合いだ!お前ら落ち着け!!」

ピンポーン

男「あ、コールかかってるって!バイト女!!」

バイト女「あいよ。行ってくる」

男「二人とも早く仕事に戻れ!」

チーフ「後で詳しく教えろよ!」

新人女「…」
  ・
  ・
  ・

バイト女「…ご注文を繰り返します。季節のキノコのリゾットがおひとつ、コーヒーホットがおひとつですね?」

女友「うん」

バイト女「コーヒーは食後でよろしいでしょうか?」

女友「ええ。お願い」

バイト女「かしこまりました」チラッ

バイト女(この人がストーカー被害にあってたのかな…)

女友「…なあに?」

バイト女「ストーカー…」ボソッ

女友「え?」

バイト女「あ、なんでもないです」クルッ

女友「ちょっと!」

ビクッ

バイト女「…なんでしょうか」

女友「…男くん、呼んできてくれる?」

バイト女「なんでですか?」

女友「いいから。それとも大声出そうか?」

バイト女「やめてください!呼んできますから…」

女友「あ、それと注文したもの、早めにおねがいね?」ニコッ
  ・
  ・
  ・

男「なんですか一体…」

女友「男くん…意外と口が軽いんだね」ジロッ

男「はあ?」

女友「あの子に女のこと話したんでしょ?」

バイト女(女?誰それ?)

男「え?…えっと…あ、それ勘違いですよ」

女友「なにが?」

男「バイト女に話したのはストーカー被害にあった時にしんどかったって…なあ?」

バイト女「うん」

女友「…本当にそれだけ?」

男「本当にそれだけ。っていうか女友さん、相変わらず思い込みが激しいですね」

女友「う、うるさいなぁ…」

バイト女「…思い込みが激しいって?」

男「あ、なんでもない」

バイト女「ふーん…」

男「じゃあ仕事に戻りますね。バイト女も」

女友「あ、そうだ。男くん、時間あいてる?」

男「なんでですか?」

女友「あの時のお礼さ、ちゃんとしてなかったからね。おごるから飲みにいこ?」

男「あー、俺飲むと寝ちまうんで」

女友「全然オッケー。優しく介抱してア・ゲ・ル♪」

男「お断りします」

バイト女 ジロッ

女友「…冗談だよ。食事奢るからさ」

男「考えておきます」

女友「また連絡してね?絶対だよ?」

男「はいはい」

女友「でないと押しかけるからね?」

男「餓えてるんですか?」

女友「そうなのよ~。最近トンと御無沙汰でさぁ」

男「勘弁してください…」

バイト女「…」

~1週間後・女友の車の中~

ブゥーン…

女友「もうすぐだからねー」

男「あ、はい。すみません、車で迎えに来てもらっちゃって…」

女友「いいのいいの。男くんは飲めないっていうし、だったらあたしも飲まないし」

男「はあ、すみません…けど…なんでバイト女まで?」

バイト女「なんだよ…」

女友「あたしが呼んだんだよー」

男「なんで?」

女友「勘違いで嫌な思いさせちゃったからね」

男「はあ…お前、門限とか大丈夫か?」

バイト女「門限は23時だから大丈夫だと思うけど…」

バイト女(女友さんが“男くん、襲っちゃおっかな~♪”なんて言うから…)

男「女友さん、バイト女は高校生なんで遅くならないうちに…」

女友「はいはい。そろそろ着くよー」
  ・
  ・
  ・

~小さな小料理屋~

女友「ブリ大根と揚げ出し豆腐、あと焼きおにぎりを3人分お願いね♪」

女将「はいはい」

女友「じゃあ乾杯しよっか。ほうじ茶だけど」

男「はいはい。乾杯っと」コン

バイト女「ども」コン コン

女友「さ、食べよ♪」

バイト女・男「「いただきます」」

女友「んー!おいし♪」
  ・
  ・
  ・

女友「でもさぁ、運命ってあるんだねえ」

男「なにがですか?」

女友「だってさあ…あのあといろいろあって転職したりして…もうみんな縁が切れたって思ってたのにさぁ」

女友「晩御飯食べようと思って、たまたま入ったファミレスに男くんがいるんだもん」

男「はあ」

バイト女「…」モグモグ

女友「しかも男くんのカノジョも一緒だし」

バイト女「あたし、カノジョじゃないっすよ!?」

バイト女(カノジョ…か)

女友「またまたぁ~。男くん、ほかのオンナノコの時とバイト女ちゃんの時で態度違ってたじゃん」

男「え?」

バイト女「あ…」

女友「あの時にさ…ほら、先輩に食事を奢ってもらった時、“友達”と電話してたじゃん?」

男「えーっと…そういえばそんなことも…」

女友「その時の顔とさ、バイト女ちゃんと話してるときの顔が一緒なのよ」

男「…へ?」

女友「あの時の相手、オンナノコだって言ってたじゃん?」

男「あー、そんなこと言ったかな…」

女友「だからあたし、てっきりあの時の“友達”がバイト女ちゃんで、男くんのカノジョなんだって思ったんだよ」

男「違いますって」

女友「ホントに?」

バイト女「ホントに違いますよ?」

女友「…そっかぁ。またあたしの思い込みだったかぁ…残念」

バイト女「…あの」

女友「なあに?落ち込んでるから質問なら簡単なのにして」

男(落ち込んでるようには見えねえ)

バイト女「女友さんと男の間に…何があったんですか?」

女友「んー、簡単に言うとね、あたしをストーキングしてた女を、危ない奴がストーキングしてたんだけどさ」

女友「たまたま巻き込まれた男くんが、全部解決してくれたの」

バイト女「女友さんと…女さんが…ストーキングされて…男が怪しいってことで解決したんですか?」

男「全然違うし!」

女友「説明が悪かった?これでもプレゼンには自信があったんだけどなぁ」

男「つまりだな、AをBがストーキングして、BをCがストーキングして、たまたま巻き込まれたDが解決したってこと!」

女友「それでいくとあたしがAで女がBで、男くんはDだね」

男「実際解決したのは俺の友達なんだけどな」

バイト女「ふーん…なんで男は巻き込まれたの?」

男「お前、口調変わってねえか?ま、いいけど…」

男「俺が巻き込まれたのは、俺が契約したケータイの番号が、たまたま女さん…Bが前に使ってた番号だったんだ」

バイト女「それで?」

男「それでな、ストーカーから電話がかかってきて巻き込まれてったんだ」

バイト女「ふーん」

女友「男くん大変だったんだよ?警察に捕まるわ、ストーカーに嫌がらせはされるわ、車に撥ねられるわでさ」

バイト女「く、車に!?」

男「警察に捕まったのは女友さんのせいでしょ。車に撥ねられたって言っても幸い大したことなかったしな」

バイト女「…」

女友「でもさ、男くん頭いいよねぇ」

男「んなことないですよ」

女友「いやいや、あの状況じゃどう見ても女が被害者だって思うのにさ…女を疑ってたじゃん?」

男「いや、疑ってたのは友達のほうで…」

女友「それに度胸も据わってるし」

男「何にも考えてないだけですって」

女友「またご謙遜を~」

男「あの件が片付いたのは友達のおかげなんです。俺は言われたとおりに動いただけですから」

女友「ふーん…ねえ、男くん」

男「なんですか?」

女友「その友達に会ってみたいんだけど?」

男「あー、無理です。あいつは遠いとこに行っちまったから」

女友「…え?」

男「引き留めてはみたんですけどね…」

女友「…あ!あの…ごめん」

バイト女「?」

女友「…と、ところでさあ!バイト女ちゃん。男くんってバイト先だとどんな感じなの?」

バイト女「どんなって…あ、ホモ疑惑があるぐらいオンナノコに興味ないですね」

男「ホモじゃねえし!」

女友「あははは。そういえば男くん、そんな感じだったなあ」

男「んなことないでしょ」

女友「あるある。あたしが粉かけても全然動じなかったしさあ。そのまんま石部金吉って感じだったし」

男「ストレート過ぎるからですよ」

ツンツン

男「ん?」

バイト女『“いしべきんきち”って誰?』コソコソ

男「比喩だよ。クソ真面目で恋愛ごとに鈍感な奴のことだ」

バイト女「そうなんだ…」

女友「ふーん…」

男「何ですか」

女友「やっぱり…なんでもない」

男「気になるんですけど」

女友「…男くん、普通にノーマルなんだなぁって思ってさ」

男「当たり前でしょ」

バイト女「…なんでそう思うんですか?」

女友「バイト女ちゃん、男くんと話してて何か気づかない?」

バイト女「何かって…」

女友「男くんさ、さっきから言葉を選びながら話してるじゃん?」

バイト女「え?」

女友「女嫌いだとか、興味がないんならさ、こうして気を使いながら話すなんてことしないと思うの」

バイト女「…」

女友「だからさ…男くんはオンナノコに興味がないんじゃないと思うなぁ」

バイト女「そうですか?」

女友「きっとさ…一穴主義なんじゃない?」

男 ブーーー!!!!

バイト女「…いちあな?」

男「バイト女は知らなくていい!!」

女友「だから今は、ほかの女はもうどうでもいいみたいな?」

男「女友さんもそれ以上言わない!」

女友「でもさ、それって勿体ないよね」

男「なにがですか」

女友「だってさぁ、あたし、結構モテるんだよ?」

バイト女(自分で言っちゃってる…確かにモテるだろうな…)

女友「それなのにさぁ、ぜっんぜん!興味なし!!って態度とられるとさぁ…結構傷つくんだよ?」

男「それは…すいません」

女友「そうやって謝られると余計傷つくって…」

男「はあ」

女友「…ねえ、教えてよ」

男「なにをですか?」

女友「あたしの何がダメなわけ?」ズイ

男「あー…ダメっていうか…」

女友「ほら吐いちゃいな?楽になるよ?」ニヤニヤ

男「吐くも何も…女友さん、傷つくと思うから」

女友「もう十分傷ついてるっての!」

バイト女「…」

男「じゃあ…女さんは見た目大人しそうな美人なのに中身はドス黒くてドロドロだったし…」

男「女友さんはモデルみたいにスラッとしてて可愛い顔してるのに性質悪くて…」

女友「お褒めに預かり光栄です♪」

バイト女・男「「褒めてねえし!」」

女友「すごい!息ぴったりじゃん!!」

バイト女「な、なんだよ!合わせんな!!」

男「お、お前こそ!」

女友「あははは。ケンカするほど仲がいいってね」

バイト女・男「「…//」」

男「はぁ…で、そんなの見たら…なんか慎重になって…」

女友「そっか…じゃあ“友達”は?」

男「あいつは…嘘はつかないし真面目だし、目的の為なら苦労もなんのその!ってやつでしたからね」

女友「ふーん…」

バイト女(男はそういう人がいいんだ…)

男「だから俺も…もっとしっかりしないと」

女友「あたしだったら今の男くんでもいいけどなー」

バイト女 ジロッ

男「…何睨んでんだ?」

バイト女「っ!?な、なんでもない!!」

男「そっか?」

女友(二人とも鈍いなぁ。でも、これも青春だね!)

女友「あははは。でもよかったよ。男くんが楽しそうでさ」

男「女友さんは楽しくないんですか?」

女友「…いろいろあったって言ったでしょ?」

男「はあ…」

女友「…あの後さ、女がずっとあたしの後をついてくるようになっちゃって…」

男「ストーカー?」

女友「男くん、相変わらず茶化すねえ」

男「ははは…」

女友「女が後をつけるようになったのはね、あたしが先輩にチクらないように見張ってたんじゃないかな?」

男「なるほど」

女友「最初は無視してたんだけどさ…話しかけてくる訳でもないし…話しかけるなって言ってあったからね」

女友「いい加減うざくてイライラしちゃって…それで会社辞めちゃったんだぁ」

男「それは…」

女友「男くんのせいじゃないよ。むしろ女の本性がわかったから感謝してるぐらいだもん」

バイト女「…」

女友「で、今は司法書士の事務所に転職してそれなりに稼いでんの」

男「司法書士?」

女友「前の会社でも法務課にいたからね。前いた会社より給料もいいし」

女友「だから大丈夫。勘定はお姉さんにまっかせっなさーい♪」

男「は、はあ…」

バイト女「あの…」

女友「なあに?」

バイト女「女友さんはその…“友達”に会ったことないんですよね?」

女友「うん、ないよ。男くん、“友達”ってどんな人?」

男「それは…もういいでしょ」

女友「めっちゃ気になるんですけどー」

バイト女「…」チラッ

男「はぁ…友達っていうのは…あの人形のことですよ」

女友「人形?」

男「髪は茶色、白のブラウスに赤いチェックのスカートのこれぐらいの…」

女友「あー…思い出した思い出した」

バイト女「なにを?」

女友「それ、女にもらった人形だよ…」

バイト女「人形?どういうこと?」

女友「男くんってね、人形持ってたんだよ」

バイト女「フィギュアとか?」

男「フィギュアもあるけど…そうじゃなくて!」

バイト女「…ヲタク?」

男「違う!…と思う…」

女友「…話、逸れてない?戻そうよ」

バイト女「そうですね。その…人形って…」

女友「あたしが女に貰った人形だよ…誕生日のプレゼントにってさ」

男「その人形が、紆余曲折があって俺のところに来たんだ」

バイト女「ふーん…それでその人形と“友達”って…どんな関係?」

男「だから、その“友達”が人形なんだって」

バイト女「もしかして…人形に話しかけてたのか?キモッ!!」

男「キモッていうな!!」

女友「あー…目も前でイチャイチャしてもう!女将!!生中!!」

男「女友さん車でしょーが!」

女将「はい、ノンアルコールの生中」ドンッ

バイト女「そんなのあるんだ…」

女友「こうなりゃ気分だけでも酔っぱらってやるー!」

男「ダメだこりゃ」

バイト女「…」
  ・
  ・
  ・

~バイト女の家の近く~

キーッ

女友「この辺でいい?」

バイト女「はい。ありがとうございます」ペコッ

男「ありがとうございます」

女友「男くんもここでいいの?家まで送るよ?」

男「ここでいいですよ。車の中で俺と二人っきりって不安でしょ?」

女友「あたしゃ別にいいけどなぁ。最近トンと御無沙汰だし」

男「肉食系だよこの人!」

バイト女 ジロッ

女友「…冗談はこれぐらいにして帰るね。じゃあ」

男「はい、おやすみなさい」

バイト女「…おやすみなさい」

女友 ノシ

ブゥーン…

男「…行くか」

バイト女「うん…」

テクテクテク…

バイト女「…なあ」

男「ん?」

バイト女「…“友達”って…どんな人だったんだ?」

男「説明したろ?」

バイト女「あれは人形の話だろ?そうじゃなくて…」

男「そういや、俺がフィギュアもってんのバレちまったな」

バイト女「弟も持ってっから、あんまり気にしてねえけど?」

男「そうなのか?」

バイト女「数にもよるけどな。一つ二つなら気になんねえよ」

男「そっか。バイト女、弟がいたんだな」

バイト女「…ああ」

男「どんなの持ってんだ?」

バイト女「なんだっけ?“マミさん”?とか言ってたと思うけど」

男「そっか。お、そろそろ家じゃないか?」

バイト女「あ…うん。じゃあ…」

男「また明日な」ノシ

バイト女「うん。また明日」ノシ
  ・
  ・
  ・
バイト女「…あ、“友達”のこと聞くの忘れてた」

乙です~

~数日後~

チーフ「そ、そういわずに…新人女さんが休むとその日は男くんとバイト女さんだけになるから…」

新人女「でもぉ…」クネクネ

バイト女・男「「…」」

男「…なあ」

バイト女「ふたりでもなんとかなるだろ」

男「だよな。チーフ」

チーフ「な、なに?」

男「その日は二人で何とかしますよ」

新人女「やったあ!さすが男さん!!」

チーフ「大丈夫か?」

バイト女「ていうか、チーフは出てこれないんすか?」

チーフ「そ、その日はちょっと用事が…」

男「楽しい“用事”だといいですね。じゃ、そういうことで」

バイト女「…」ジロッ

チーフ「うっ…」タジッ…

新人女「ごめんなさいねぇ、二人とも」

バイト女「…チッ」

バタン!

男「…荒れてんな」

バイト女「は?んなことねーし!」

男「まあ、俺も嫌味言っちまったけどな」

バイト女「…」

男「…あいつら、自分が遊びたいからって、俺達のことはお構いなしだもんなぁ」

バイト女「…フロアに行ってくる」

男「俺も行くわ」

バタン

>>98 どもです

バイト女(だから腹が立つんだよ!こっちは遊んでる場合じゃないのに!!)

バイト女(大学の入学金、引っ越し代…まだまだ稼がなきゃ…遊んでる暇なんてない!)

バイト女(なのにあの二人はしょっちゅう遊びに行ってて…あたしだってホントは!)

バイト女(…ホントは…遊びたいのに…)

バイト女「…悔しいなぁ…」ポロッ

男「ん?」

バイト女「な、なんでもない!」

男「そっか?あ、いらっしゃいませ。何名様でしょうか」

バイト女(…あれ?そういえば男もずっとバイトしてるよね…)

~帰り道~

テクテク…

バイト女「…」

男(バイト女、さっきから黙ったままだな…なんか話題は…)

バイト女「…なあ」

男「ん?」

バイト女「…男はなんでバイトしてるんだ?」

男「唐突だな」

バイト女「いいだろ別に」

男「…まあ、生活費を稼ぐためだな」

バイト女「え?」

男「うちさ、結構貧乏なんだ。親父、何回も転職したからな」

バイト女「なんで?」

男「…うち、母ちゃんいないんだ。俺を産んですぐに死んじまったから」

バイト女「あ…ゴメン…」

男「いいって。それでさ、仕事しながら俺を育ててくれたんだけど、なんかあるごとに会社を抜け出したりしてさ」

男「それで何回もクビになったんだ。まあ、小学校に入学した時に婆ちゃん家に住むようになって、親父も婆ちゃんの伝手で定職に就いたんだけどな」

男「…うちが貧乏なのはある意味俺のせいでもあるし、貧乏でもそれなりに暮らしてたから結構楽しかったぞ?」

バイト女「…」

男「でもまあ貧乏だし?それで奨学金をもらって大学にいってるんだけど…」

男「やっぱ返すこと考えるとあんまり奨学金の額を増やせねえしな。だから飯代とか稼ぐためにバイトしてんだ」

バイト女「男の大学は国立だろ?それでもお金かかるの?」

男「まあ、それなりにな。奨学金って言っても万能じゃないしな」

バイト女「奨学金…か」

男「…貧乏すぎて引いたか?」

バイト女「う、ううん?」

男「ま、引いてもいいけどな」

バイト女「引いてないって」

男「そうか?けど、なんでそんなこと聞くんだ?」

バイト女「いや…大学生がバイトって言うと遊ぶ金稼ぐためだって思ってたから…新人女さんみたいにさ」

男「そう言う奴もいるだろうけど、俺みたいなやつも中には居るさ」

バイト女「そうなんだ…」

男「ちなみにこの話は今まで一人にしか言ったことはねえ」

バイト女「ふーん…その人は…彼女とか?」

男「…いや、友達だ」

バイト女「また友達?」

男「ああ」

バイト女「いいなぁ…そんな友達がいて…その人はどんな人なんだ?同じ大学に行ってるのか?」

男「…成仏した」

バイト女「…え?」

男「…さて!おしゃべりはこの辺にして。着いたぞ」

バイト女「あ…うん」

男「じゃあな」

バイト女「あ!ちょっと!!」

男「なんだ?」

バイト女「…なんで…」

男「ん?」

バイト女「…なんであたしにその話をしたんだ?」

男「…さあな。バイト女なら話してもいいかって思ったんだ」

バイト女「…」

男「…お前さ、なんか無理してないか?」

ドキン!

バイト女「む、無理なんかしてない!」

男「そうか?だったらいいんだけどな。じゃあな。おやすみ」ノシ

バイト女「あ、おやすみ…」ノシ

今日はここまでにします。
おやすみノシ

乙です
楽しみにしてるよ~

>>109-112 お待たせしました。

~数日後・バイト女の学校~

教師「この間の模試の結果、返すわよ」

ヤッター ゲーッ ヤベー ウツダー

モブ女子1「ヤバいよねー。この時期サイテーでもBはないとね」

モブ女子2「Bでもヤバいよ…志望校かえよっかな…」

バイト女「…C判定…」

~バイト先~

バイト女「…」

男「どうした?」

バイト女「…え?」

男「元気がないな」

バイト女「そんなことないよ…」

男「やっぱり変だぞ。ロッカーで休んどくか?」

バイト女「っせえよ!ほっとけよ!!」ダッ!

ビリッ

バイト女「え?」

男「ズボンがちょっと破れちまってる…棚の出っ張りに引っかかってたんだな」

バイト女「あ…どうしよ…あたしのサイズじゃ予備はないのに…」

バイト女(ついてないときってこんなものだよね…)

男「…しょうがねえ。ズボン貸してみ?」

バイト女「なんで?」

男「針と糸持ってるから縫い合わせる。そんなに大きく破れてるわけじゃねえからすぐに直るって」

バイト女「直せるの!?」

男「あ、ああ…一応な?」

~休憩室~

チクチク…

男(バイト女のあのスカートって…学校の制服だよな…かわいいよな…)

バイト女(今日は放課後教師に呼ばれて着替える時間がなかったから制服なんだけど…こんなことならちゃんと着替えてきたほうがよかったな…)

男「…ほれ、直ったぞ」パンパン

バイト女「あ、ありがと…」

男「どうだ?」

バイト女「すごい…パッと見どこを直したのかわからない…」

男「じゃ、フロアに戻るか。お前も着替えたらすぐに来いよ」

バイト女「う、うん」

男「…その制服いいな」ボソッ

バイト女「…スケベ」

男「な!?」

バイト女「聞こえたっつーの!もしかして制服フェチか?」

男「違うわ!」

バイト女「変態だー!」

男「なんだと!?」

バイト女「わー!変態が怒ったー!!」

男「変態いうな!」

カサッ…

男「ん?なんだこれ」カサッ

バイト女「…あっ!」

バイト女(ポケットに入れてた模試の結果が!)

男「××大…判定:C…?」

バイト女「か、返せ!」バッ

男「バイト女の模試の結果か?お前、××大志望なんだ」

バイト女「そうだよ!悪いか!!」

男「悪かねえよ。けど…C判定か…」

バイト女「うっせえ!!」

男「なんで××大なんだ?」

バイト女「男には関係ないだろ!」

男「そうなんだけどな。お前、バイトばっかしてて勉強してる暇ないんじゃねえの?」

バイト女「うっ…」

男「今からバイト止めてずっと勉強するんなら××大に行けるかもしれないけど、今みたいにバイト入れてたら…」

バイト女「…せぇ」

男「ん?」

バイト女「うっせえよ!あたしだって好きでバイトしてるんじゃない!!」

バイト女「あたしは小学校の先生になるのが夢だったんだ!だから教育学部のある××大に行こうって!!」

バイト女「けど!入学金とか引越しの費用とか!!自分で稼がないといけなくて!!」

男「なんで?親が準備してくれてるだろ?」

バイト女「…ふん。親は弟にかかりっきりであたしことなんか気にもしてないし!」

男「けど進学費用ぐらいは…」

バイト女「ないよ!だから大学行きたけりゃ費用は自分で稼げって!!だからあたしはっ!!」

男「…っざけんじゃねぇえええ!!!!」

バイト女「ひっ!」

男「子供を依怙贔屓すんじゃねえ糞がぁあああ!!!」

バイト女 ビクビク…
  ・
  ・
  ・

男「ごめん。久々に切れちまった…」

バイト女「う、うん…」

男「…なあ、バイト女」

バイト女「な、なに?」ビクッ

男「さっきの話…ホントか?」

バイト女「さっきの話…って?」

男「だから…大学の費用は自分で稼ぐとか言ってたろ?」

バイト女「う、うん…ホント…」

男「そっか…けど…それだと…勉強する時間がないんじゃねえのか?」

バイト女「勉強は…家に帰ってから2時間ぐらいはしてるし…」

男「けど、それでC判定ってことは…厳しいんじゃね?」

バイト女「…わかってるよ…」

男(バイト女の口調が変わってる…なんか追いつめられてるみたいだ…)

男「…あのさ」

バイト女「なんだよ…」

男「バイト女にとって、優先したいことってなんだ?」

バイト女「優先したいこと?」

男「××大に入ることが優先なのか、小学校の先生になることが優先なのか、だよ」

バイト女「それは…小学校の先生になりたいから××大に…」

男「そっか…じゃあ、ほかの大学は?」

バイト女「…え?」

男「第2志望は?」

バイト女「…○○大」

男「○○大か。先生になるなら有りだな」

バイト女「…」

男「さっき言ったみたいにさ、今からバイトもやめて勉強に集中するんなら××大も受かるかもしんねえけど」

バイト女「それは…バイトは止めれないから…」

バイト女「けど…○○大は田舎だし…」

男「キャンパスが田舎だってのは関係なくね?」

バイト女「でも…田舎はちょっと…」

男「じゃあなんで志望したんだ?」

バイト女「それは…担任が○○大出身だっていうから…」

男「そっか。まあ、確かに都会に比べりゃ何にもないけど、生活に不自由しない程度には店もあるし」

バイト女「…詳しいな」

男「俺の実家があるとこだからな」

バイト女「へえ…そうなんだ」

男「だからよく考えてみ?現役合格にこだわらないんなら××大も有りかもしんねえけどな」

バイト女「浪人はできないし…」

男「だったら…いや、これ以上はおせっかいだな。やめとくわ」

バイト女「…じゃあ…男は…」

男「ん?」

バイト女「男は…一浪して今の大学に入ったんだろ?」

男「ああ。俺が勉強したい分野では国内でもトップクラスだったからな」

男「俺にとってそれが一番優先したかったことだから、一浪してもがんばって…な?」

バイト女「そっか…」

男「そろそろフロアに戻るか。チーフたち目回してんじゃねえか?」

バイト女「うん…」

バイト女(現実的に考えろ…か…)

~~~~~男の夢~~~~~

  テクテクテク…

  男(ミクさんと並んで歩いてるけど…)

  ミク「…」

  男(それにしてはミクさん…うつむいたままで顔も見えないな…)

  男「…ミクさん」

  ミク「?」

  男(…我慢できん!)

  ガバッ!

  「!?」

  チュッ

  男(やった!)

  バイト女「ん!」

  男「…ツインテールのバイト女!?なんで!?」

~~~~~~~~~~~~~

ガバッ

男「…なんだ…夢か…」

ミク「…」

~翌日・バイト女の学校~

キーンコーンカーンコーン…

バイト女「やっと終わった…早く帰って晩御飯作ってバイト行かなきゃ」

教師「あ、バイト女さん。ちょっと」

バイト女「え?あ、はい」

教師「あなた…模試の結果、どう思う?」

バイト女「え?」

教師「××大…難しいと思うわよ?」

バイト女「はあ…」

教師「まあ先生もあなたのご両親に『国公立大に合格させます』って啖呵切った手前…ねぇ…」

バイト女「感謝してます…あのままだったらあたし、就職するしかなかったから…」

教師「こう言っちゃなんだけど…あなたのご両親、なんか変わってるから…」

バイト女(そういえばこの担任のおかげでうちの家族がおかしいってことに気づけたんだよね…)

教師「…ゆっくり考えて、答えを出して。と言ってもあんまり時間はないけどね」

バイト女「はい…」

バイト女(やっぱり…今のままじゃ…)

~バイト先~

バイト女「…」

男(あんな夢見ちまったから声を掛けづらい…)

新人女「…男さん」

男「ん?」

新人女「バイト女さん…どうしたんですか?」

男「あー…ま、いろいろあるんだろ」

新人女「え?何か知ってるんですか?」

男「いや、高3って言ったら…な?」

新人女「あー、進路とか?」

男「そうそう」

新人女「じゃあバイト女さん、進路のことで悩んでるんですか?」

男「たぶんな?」

新人女「そっか…じゃあ私、聞いてきますね!」トテテテ

男「あ!おい!!」
  ・
  ・
  ・
新人女「バイト女さん」

バイト女「え?」

新人女「どうしたの?悩み事?」

バイト女「…なあ」

新人女「はい?」

バイト女「新人女さんは…なんで凸凹大学に入ったんだ?」

新人女「え?い、いきなりなあに?」

バイト女「凸凹大って正直言ってあんまりいい大学じゃないから…」

新人女「…女子ロッカーにいこっか」

~女子ロッカー~

新人女「うーん、今の大学に入った理由かぁ…」

バイト女「…うん」

新人女「…バイト女ちゃんはそれを聞いて、どうしたいの?」

バイト女「別に…聞きたいだけ…」

新人女「んーっと…じゃあさ、先に私の質問に答えてくれるかな?」

バイト女「どんな?」

新人女「バイト女ちゃんはぁ、私のこと、どう思ってるのかなぁ?」

バイト女「…え?」

新人女「怒らないからさぁ、思ったこと、正直に言ってみて?」

バイト女「…化粧がうまい」

新人女「それから?」

バイト女「結構ドジ…」

新人女「ふんふん」

バイト女「…に見せかけてしたたか」

新人女「おおっと?」

バイト女「…もういい?」

新人女「…やっぱバイト女ちゃんにはバレてたかぁ」

バイト女「…」

新人女「これから話すことは秘密だよ?いい?」

バイト女 コクッ

新人女「私…高校の時に失恋しちゃってさぁ」

新人女「それで…その時の相手を見返してやりたくて…振らなきゃよかったって思わせたくてね」

新人女「どうすればかわいく見えるのか…ずっと研究してたの」

バイト女「…」

新人女「で、その甲斐あって、高校を卒業する時には振られた相手から告白されたりして…振っちゃったけどね」

新人女「そのころには他にも告白してくる男子も結構いたりしてね。『あなたよりいい人はいっぱいいるから』って言って…」

新人女「でもね、受験勉強を放って研究してたから…成績がね?」

新人女「でね、就職しようかなって考えたんだけど…せっかく研究したことはやっぱり試してみたくなるでしょ?」

新人女「だからその時の私の学力でも入れそうな凸凹大学に入ったの」

バイト女「じゃあ…新人女さんにとって、大学って…」

新人女「自分を可愛く見せる研究の実験の場所…かな?」

新人女「でもねぇ…結構お金かかるんだよ?服とか化粧品とかアクセとか」

新人女「だからバイトしようかなって。どうせなら偏差値の高い大学に近いところがいいなって」

新人女「それで、バイト先でいい大学に行ってるオトコをつかまえて将来安泰!ってね?」クスッ

バイト女「計算高いなぁ」

新人女「そんなものでしょ?でもねぇ…ここにきて調子狂っちゃったなぁ」

バイト女「え?」

新人女「チーフとか他のオトコはいいんだけど…」

新人女「男さん…あの人のせいで今まで積み上げてきた自信が…ね?」

バイト女「あー…」

新人女「男さん□□大にいってるから、学歴は申し分ないし顔もまあまあだし…」

新人女「でもね、私が何をしても全然こっちを見てくれないんだもん…はぁ…」

バイト女「け、けど…それは男が変わってるってことじゃないの?」

新人女「そうかもしれないけど…ほら、この間すっごく可愛い人と話してたでしょ?」

バイト女「え?…あ、女友さん?」

新人女「女友さんって言うんだ…」

バイト女「えっと…女友さんがどうしたの?」

新人女「うん、あんな可愛い人が近くにいるんなら…私みたいなのは相手になんないなって…」

バイト女「けど、男は女友さんとは知り合い程度だって言ってたけど?」

新人女「それってさ、男さんはあの人よりいいオンナじゃないとダメってことでしょ?」

バイト女「新人女さんだったら可愛いから…」

新人女「…バイト女ちゃん、鉛と金メッキを並べたら、どっちに目が行く?」

バイト女「え?そ、そりゃ…金メッキのほう…」

新人女「じゃあさ、純金と金メッキを並べたら?」

バイト女「…え?」

新人女「そういうことだよ。いくらきれいにお化粧したところで、金メッキは純金には勝てないの」

バイト女「…」

新人女「でもね」

新人女「いくら純金でもお手入れしなきゃ汚くなるし」

新人女「金メッキだってちゃんとお手入れすれば、いつまでもきれいなままなんだよ?」

新人女「だから私は…金メッキでもいいって思ってるの」

新人女「意地のある金メッキなら…ね」ニコッ

バイト女「…」

新人女「だから私、いつか絶対いいオトコをモノにしてみせる。いいオトコは男さん以外にもいるんだし。ね?」ウィンク

バイト女「…あははは」

新人女「うふふふ」

バイト女「あははは。かわいそうなチーフ」

新人女「ちょっとそれどういう意味?うふふふ」

バイト女(新人女さん…強いなあ。あたし…表面だけしか見てなかったんだなぁ)

バイト女(みんなそれぞれ、いろんなこと抱えて…それでも頑張ってるんだ)

バイト女(頑張って一番大事なことをやってるんだ…)

バイト女(あたしにとって一番大事なのは先生になること…大学に行くのはその手段なんだ)

バイト女(そうだよ…もう少しで手段を目的にしちゃうとこだった…)

バイト女「…ありがとう、新人女さん」

新人女「あら?私、何にもしてないよ?」クスッ

バイト女「ううん。すごくスッキリした」

新人女「よかった♪じゃ、フロアにもどろっか」

バイト女「うん!」

~帰り道~

バイト女 ♪~

男「…なんかいいことでもあったか?」

バイト女「なんで?」

男「いや、昨日までは俯き加減で歩いてたのに」

男「今日はそうじゃなくてなんかスッキリしたみたいだから…便秘が解消したか?」

ゲシッ

男「痛っ!」

バイト女「ったくテメエは!」

男「いきなり蹴るなよ」

バイト女「男がデリカシーのないこと言うからだろ!」

男「悪かったよ…」

バイト女「…ちゃんと夢、追いかけるよ」

男「…へ?」

バイト女「だから」

バイト女「…○○大に行って先生になる。そう決めた」

男「そっか」

バイト女「心配してくれて…ありがとう」ボソッ

男「ん?」

バイト女「なんでもなーい♪」

男「変なやつだな」

バイト女「男ほどじゃねえよ!」

男「うん、いつものバイト女だ」

~数週間後・バイト女の家の前~

男「そんじゃ」

バイト女「うん、おやすみ」

男「おやすみ」

バタタタタ…

バイト女「…結構冷えるなぁ。早く家にはいろ」

ガ ガチャ

バイト女「ただいま」

バイト女母「あ、おかえり。ちょっとリビングに来てくれる?話があるから」

バイト女「え?」

バタン

バイト女父「まあ座れ」

バイト女(“おかえり”も無いのね…いつものことだけど…)

弟 ニヤニヤ

バイト女「…」

ギシッ

バイト女「話って…なあに?」

バイト女父「…弟のことなんだが…来年は中等部最後の年だ」

バイト女「うん」

バイト女父「弟の学校は高等部には持ち上がりで受験はない」

バイト女父「ただ、高等部になると成績順にクラス分けされる。つまり、どのクラスになるかで大学のランクが決まる」

バイト女父「だから中等部のうちにいい成績をとって、高等部に持ち上がるときには是が非でもいいクラスに入れるようにしたい」

バイト女父「そのために家族全員、協力していくことが大事だ。わかるな?」

バイト女「…」

バイト女母「だからね、来年から弟に家庭教師をつけてあげようと思うの」

バイト女母「ただ、そうなるとお母さんのパート代だけじゃ…ね?」

バイト女父「バイト女、お前も家族だもんな」

バイト女「何が…言いたいの?」

バイト女父「…大学には行かずに就職しろ」

バイト女「!?」

弟 ニヤニヤ

バイト女父「家族なら協力できるはずだ」

バイト女「…嫌に決まってるでしょ!!」

バイト女父「今から就職先を探すのは大変だと思うが、何とかなるだろ」

バイト女「ちょっと!聞いてよ!!」

バイト女母「お父さんの給料も下がったままだし、少しでもお給料のいいところにしてね」ニコッ

バイト女「お母さん!!」

弟「いっそ風俗でもやれば?いっぱい稼げるだろうし」ニヤニヤ

バイト女「っ!」

バチーン!

弟「いって…」

バイト女「何よビンタぐらいで!!あんた!何言ってるかわk」
ドゴォ!ボキッ!!ガチャガチャーン!!ドサッ

バイト女(…け、蹴られた?お父さんに?)

バイト女父「大事な弟に何をする!!」

バイト女「…かはっ…ごほっ…」ボタボタボタ…

バイト女(…顔打ったから鼻血が…左腕が動かない…)

弟「痛いよー(棒)」ヘラヘラ

バイト女母「よしよし。もう大丈夫よ。お父さん!」

バイト女父「わかってる。ふん!」ドスッ!

バイト女「ぐふっ!」

バイト女父「こんなことして只で済むと思ってないだろうなぁ」

ベキッ ドスッ ゲシッ ボクッ

バイト女母「顔は止めときなさいよ。いいわけが面倒だからね」

バイト女(ああ…あたし…今から死ぬんだ…)

ピンポーン ドンドンドン!

一同「「「!?」」」

バイト女「…」

~少し前・男の部屋~

ガ ガチャ

男「ただいま」

ミク「男さん!今すぐバイト女さんの家に!!」

男「のわっ!ミクさんが喋った!?」

ミク「驚いてないで早く!!」

男「あ、ああ…」

ミク「私をカバンの中に入れてください!!」

男「え?あ、うん」ゴソゴソ

ミク「早く!!」
  ・
  ・
  ・

バタタタタ キーッ

男「バイト女の家に着いたけど…」

ミク「男さん、今から大変な事が起こります。このままだとバイト女さんの身に危険が…」

男「なにっ!?」

ミク「落ち着いて聞いてください。バイト女さんは普段からご家族に理不尽な扱いを受けています」

男「!?」

ミク「バイト女さんを助けたいなら私の言う通りに行動してください。いいですか?」

男「…わかった」

ガチャガチャーン ドンッ

男「な、なんだ!?家の中から聞こえたぞ!?」

ミク「始まったようです。時間がありません!一度しか言わないからちゃんと聞いてください!!」

男「う、うん」

ミク「まず警察に連絡してください」

男「なんて?」

ミク「“ケンカしてる”でもなんでもいいです!それから~~~」

~バイト女の家~

バイト女父「…誰だ?」

バイト女母「お父さん、インターホンで…」

バイト女父「ああ…」

ピッ

バイト女父「…はい?」

インターホン『あ、夜分すみません。俺、男って言います。バイト女さんのバイト仲間で…』

バイト女父「…それで、どういったご用件でしょうか?」

インターホン『ええ。実はですね、バイト女さんからシフト表をもらうのを忘れてまして』

バイト女父「バイト女はまだ帰ってないんですが」

インターホン『そんなことはないでしょ。俺、毎晩バイト女さんを送ってきてて、今日も家に入るのを見届けたんですから』

バイト女父「…そのあとまた出かけたんですよ。だからいません」

インターホン『困ったなぁ。明日朝一で出さないとシフトが組めないんですよねぇ』

バイト女父「知ったことではありません。では」

インターホン『あ!じゃあバイト女さんのカバンの中を見せてもらってもいいですか!?茶色の小さめのショルダーで!その中にきっとあるはずなんで!お願いします!!』

バイト女母「お父さん」

バイト女父「…ここで無理に断るとかえってゴネられる。カバンを渡してさっさと帰ってもらおう」

バイト女母 コクッ

バイト女父「…カバンだけでいいんですね?」

インターホン『はい!』

バイト女父「今持っていきます」Pi

バイト女父「ふんっ!」ドゴッ

バイト女「がはっ…ひゅ…ひゅ…」
  ・
  ・
  ・

~バイト女の家の前~

男「…なかなか出てこないな…」

ミク「…」

ガ ガチャ

バイト女父「…これですか?」

男「あ、はい!すみません、お手数おかけしちゃって…あの、ここで見てもいいですか?」

ミク ダッタタタタ…

男(よし、ミクさんは家の中に入ったな。あとは…)

バイト女父「早くしてください。ご近所の目もありますので」

男「はいはい」

~バイト女の家の中~

バイト女「ひゅ…ひゅ…」

『-----。----。』

バイト女(誰か来てるのか…もう…どうでもいいや…意識が…)

ミク『起きて!』

バイト女(あはは…フィギュアが動いてるよ…もう死んじゃうんだ…)

ミク『男さんが玄関で待ってます!早く逃げて!!』

バイト女(男さん…男…もう会えないのかな…)

ミク『しっかりして!男さんが悲しむでしょ!!』

バイト女(男が悲しむ…それは…やだなぁ…)

バイト女 ピクッ

ミク「そう!がんばって!!」

バイト女「ひゅ…お…とこぉ!」ダッ

バイト女母「!?だめよ!!」

ミク シュッ メキッ!

バイト女母「きゃっ!」ヨロッ ドテッ

弟「おわっ!母さんが邪魔で追いつけねえ!!」

バイト女母「痛い!何この人形!!ふんづけちゃったじゃない!!」ゲシッ ポーン… 

コンッ

バイト女父「痛っ!」

ミク コロン

男「ミクさん!」


バイト女「おとこぉ!」タタタタ

バイト女父「あっ!」

男「バイト女!どけっ!!」ゲシッ

バイト女父「うわっ!」ゴロン

バイト女 タタッ ヨロッ…

ガシッ!

男「バイト女!大丈夫か!?」

バイト女「げふっ…おとこだぁ…あは…は…」ガクッ

男「バイト女!てめえらバイト女に何しやがった!!」

バイト女父「うるさい!お前のほうこそ暴行と不法侵入で訴えてやる!!」

男「すぅ…火事だあぁああああ!!!」

バイト女父「な!?」

カジダッテ? ドコダ? オクサーン、カジデスッテー

ワラワラワラ…

男「警察と救急車!早く!!」

ワカッタ! カジハドコダ? エー?ドコモカジジャナイジャナイ

男「怪我人がいる!誰か手を貸して!!」

御近所A「どうした!?うわ…バイト女ちゃんじゃないか!!ひどい怪我だ!!」

御近所B「親御さんに連絡を!…って、あれ?そこにいるじゃん!!」

男「家族に暴行されたんです!」

バイト女父「嘘だ!そいつが家の中に入り込んでバイト女をこんな目に!!」

男「俺は家の中に入っていない!嘘をついてるのはあんたのほうだ!!」

バタタタタ

警官A「ケンカはどこですか?」

バイト女父「そいつがうちの娘に暴力を!」

男「救急車はまだか!」

警官B「落ち着いて。被害者はこちらの女性で…関係は?」

バイト女父「父親だ!」

警官A「で、あんたは?」

男「バイト仲間です」

バイト女父「さっさとそいつを逮捕しろ!娘はうちに連れて入る!!」

警官B「いやいや、血まみれだし気絶してるし、病院に連れて行かないとマズいでしょ」

男「救急車は呼んでもらってます」

バイト女父「これぐらいの傷、どうってことないでしょ。救急車なんて大げさな」

男「左腕が変な方向に向いてるんですよ!?」

バイト女父「黙れ犯罪者!!」

警官A「…今応援呼びましたから。個別にお話を聞きましょうか」
  ・
  ・
  ・

警官B「…では、必要なものがあるから彼女の家に行ったと。で、彼女は出かけているからと、そう言われたと」

男「ええ」

警官B「で、彼女の玄関でカバンの中を調べていたら中から彼女が逃げてきたと」

男「はい」

警官B「それで家庭内暴力の疑いがあるから彼女を家族から保護して、“火事だ”と言って近所の人が出てくるように誘導したと」

男「そうです」

警官B「嘘はいかんなぁ」

男「はあ」

警官B「けど、正しい判断だね。火事だといえば野次馬が集まる。人を集めるには一番効果的だからね」

男(ミクさんの言うとおりにしただけなんだけどな)

ピーポーピーポー

警官B「救急車が来たようだね」

男「早くバイト女を病院に!」

警官B「わかってるよ。ただ…家族の同意書がないと手術もできないからね」

男「そんな!」

警官B「大丈夫。無理やりにでも書かせるから」

男「はあ…」

ピーポーピーポー…

男「…ようやく病院に行ったか」

警官A「そっちはどうだ?」

警官B「こっちはこんな感じです」ピラッ

警官A「…こりゃ応援呼んだほうがいいな」

警官B「そうですね。ここまで意見が違うとなると現場検証しないと…」チラッ

男「わかってますよ。調書でしょ?」

警官A「君は物分りがよくていいねぇ。あっちのほうは全然ダメだわ」

男(そりゃ家庭内暴力してたんだもんな)

警官B「まあ、彼が言ってることのほうが…」

警官A「だな。あっちはみんな言ってることが微妙に違ってるしな」

ファンファンファン

男「あのパトカーに乗ればいいんですね?」

警官B「ああ」
  ・
  ・
  ・

~病室~

バイト女「…」パチッ

看護師「あ、目が覚めたかな?」

バイト女(左腕が重い…息すると胸も痛いし…体中が痛い…)

看護師「大丈夫?痛むところはない?」

バイト女「全身が痛いです…」

看護師「体中痣だらけだったもんね」

バイト女(…そっか。あたし、お父さんに蹴られて…それで…)

看護師「…あなたの怪我なんだけど…」

看護師「カルテによると…左上腕骨折、肋骨2箇所骨折、大腿骨の亀裂骨折…ヒビのことね」

看護師「それと、側頭部3針縫合、打撲多数…って、相当ひどいわね…」

バイト女「はあ…」

看護師「…とりあえず1ヶ月は入院になりそうよ」

バイト女「…」

コンコン ガチャ

刑事「失礼しますよ」

看護師「あ、今目覚めたところなんですよ」

刑事「そうですか。警察のものです。えっと…バイト女さん?」

バイト女「…はい」

刑事「いくつか確認したいことがあるんだが…いいかな?」

バイト女「はい…」

刑事「じゃあ…まずあなたの家族構成から」
  ・
  ・
  ・
刑事「では、あなたのその怪我は父親が暴行したためと。間違いないですか?」

バイト女「はい」

刑事「で、あなたはそれを“躾”だと思いますか?」

バイト女「…」フルフル

刑事「…わかりました。今日はとりあえずこの辺で」

ガチャ

バイト女「…あの」

刑事「はい?」

バイト女「あたし…どうなるんですか?」

刑事「さあ?」

バイト女「え?」

刑事「管轄が違いますんで、わからないんですよ」

バイト女「そう…ですか」

刑事「その辺は民生委員に聞いてください。ただ…」

刑事「今のあなたの証言で、肉親による暴行により命の危機に晒されたことは間違いなく」

刑事「…基本、親族間では刑事事件にはしないんですがね」

刑事「今回は殺意も認められ悪質なので、刑事告発も可能です」

バイト女「そうですか…」

刑事「それから、母親と弟さんについては暴行に加担した疑いで取調べ中で、こちらも裏が取れれば…ね」

バイト女「…」

刑事「…けど、あなたはまだツイてる」

バイト女「え?」

刑事「もし彼氏が来てなかったら…やばい事になっていたかもしれませんし」

バイト女「…彼氏?」

刑事「“男”っていう人。彼氏でしょ?」

バイト女「あ…//」

刑事「…それじゃ、失礼しますよ」

バタン

バイト女「ふぅ…」

コンコン ガチャ

民生委員「バイト女さん。いいかしら?」

バイト女「…はい」

民生委員「あたしは民生委員。あなたの担当者よ。よろしくね」

バイト女「はあ…」

民生委員「とりあえず簡単に説明するわ。あなたの処遇についてなんだけど…」

民生委員「退院後、しばらくは施設で過ごしてもらうことになるわ」

バイト女「そうですか…」

民生委員「学校とかはできるだけ今のままいられるようにします。それから…」
  ・
  ・
  ・

民生委員「じゃあ、あたしはこれで。また来るわね」

バイト女「…はい」

バタン

バイト女「はあ…」

バイト女(いっぺんに来すぎだよぉ…少し休ませて…)

コンコン

バイト女(また!?今度は誰?)

ガチャ

男「お邪魔しまーす…」ソローリ…

バイト女「あ…」

女友「あ、起きてたの?」

バイト女「あ、女友さん」

男「そっか…よかった」

バイト女「?」

女友「あははは。男くんさあ、この三日、毎日バイト女ちゃんのこと見に来てたんだよ?」

バイト女「え?」

男「いやまあ…気になるしな」ポリポリ

女友「素直じゃないなあ。はっきり好きだって言えばいいじゃん」

男「なっ!?女友さん!!//」

バイト女 //

女友「あ、着替えとかはあたしが適当に買ってきたけど…よかった?」

バイト女「あ、はい。すみません」

女友「後さ、これにサインしてくれるかな?」

バイト女「?」

女友「代理人の委任状。これからいろいろややこしいことになりそうだし、うちの司法書士さんを代理人にして」

女友「それで、法的なことは変わりに処置しとくから。ね?」

バイト女「はあ」

女友「あ、費用のほうは心配しないでいいから」

男「女友さん、先走りすぎですって」

女友「でもさ、いずれはやらないといけないことだし」

男「今はバイト女を休ませてやりましょうよ。なあ、バイト女」

バイト女「…うん」

女友「んー、わかった。じゃあ落ち着いたらここに連絡して。あたしは先にお暇するわ」ノシ

バイト女 ノシ

パタン

男「…大丈夫か?」

バイト女「…もう駄目かも…」

男「おいおい、そんな気弱になってどうするんだ」

バイト女「だってさ…この大事な時期に入院って…勉強しなきゃいけないのに…」

バイト女「ようやく○○大目指してがんばろうって…そう思ってたのにさぁ…」

バイト女「…受験…もう駄目だな…」

男「まだ駄目じゃないって」

バイト女「でも…入院中は…勉強できないし…」

男「勉強なら俺が毎日教えに来るからさ」

バイト女「え?」

男「家庭教師はやったことないけど、まあ何とかなるだろ」

バイト女「…なんで」

男「ん?」

バイト女「なんで…そこまでするんだよ…」

男「…お前のことが気になるからじゃ駄目か?」

バイト女「…え?」

男「お前さ、今まですげえ頑張ってただろ。勉強しながら大学の費用も稼いでさ」

男「それなのにさ、こんなのってないだろ?こんなことで夢を諦めるってさ」

男「俺はバイト先でずっとお前と一緒にいたから、お前がどんだけ頑張ってたかよくわかってるし」

男「それに…やっぱお前がいないと張り合いがないしなっ!」

男「ってことで!俺はお前とずっと一緒にいる。わかったな!!」

バイト女「…はあ?うぜえし」

男「…ははは」

バイト女「あはは…いたっ…」

男「…痛むか?」

バイト女「ん…大丈夫」

男「無理すんなよ」

バイト女「ありがとう…」

男「よせやい」

バイト女「…あ、そういえば」

男「ん?」

バイト女「…何でうちに戻ってきたんだ?男が帰っていくの、見送ったはずなのに」

男「んー、虫の知らせ?」

バイト女「はあ?なにそれ?」

男「それから…」ゴソゴソ…

ミク ボロッ…

バイト女「…ああっ!」

男「ミクさんのおかげだ。もう壊れちまってるけど」

バイト女「こ、このフィギュア…あたしが死ぬのを覚悟したときに…あたしに“逃げて”って…“男がいるから”って…」

ミク「…」

バイト女「あたしが男のところに行こうとして…そしたらお母さんが追いかけてきて…」

バイト女「あたしを逃がすためにお母さんの足元に行って踏まれて…」

男「それで壊れてたのか…」

バイト女「ありがとう…ホントに…ありがとう…」ポロポロ

ミク「…」

男「…これから話すことは作り話だと思ってもらってもいい」

バイト女「…」

男「ある日、女さんは女友さんに誕生日のプレゼントだといって手作りの人形をあげた」

男「けど、その人形は腹の中に盗聴器が仕込まれていた」

バイト女「盗聴器?」

男「…元々女さんは先輩って人が好きだった。けどその先輩って人は女友さんのことが好きだった」

バイト女「その…“女さん”とか“女友さん”って…」

男「ああ。実在の人物だ」

男「話を戻すぞ。女さんは女友さんの弱みを握って、それをネタに先輩が女さんのほうを見てくれるように画策しようとした」

男「ところがその後すぐに女さんはストーカーに付け狙われ、それどころじゃなくなった」

男「追い込まれた女さんは女友さんに助けを求め、女友さんは先輩を巻き込んだ」

男「期せずして先輩と話す機会を得た女さんは先輩と親しくなって、人形のことは忘れていた」

バイト女「…」

男「それから半年ほどして、ストーカーの被害が途切れたとき、女さんは急いで引越しした」

男「そのとき、部屋が片付くまで女友さんの部屋に泊まった女さんは、人形を見つけた」

男「女さんはあせった。先輩との距離も近付いた今、この人形…盗聴器が見つかるとまずいことになる」

男「そう思った女さんは人形を持ち出し、少し離れた道端に捨てた」

バイト女「証拠隠滅…」

男「そうだ。で、その人形は捨てられた恨みから、都市伝説で有名な“メリーさん”になって電話をかけながら近付いてきた」

男「ところがその電話番号はとっくに解約されてて、メリーさんはその番号の持ち主の俺の所に間違えてきてしまったんだ」

バイト女「そんな間抜けな…」

男「それで俺のケータイにストーカーとか女友さんとかから電話があって、俺が警察に捕まったり車に撥ねられたりと紆余曲折を経て」

男「ストーカーは逮捕、女友さんは女さんと絶縁となったわけだ」

バイト女「…メリーさんは?」

男「本人の希望で人形供養にだした」

バイト女「そっか…男が前から“友達”って言ってたのは…“メリーさん”のことだったんだ…」

男「信じる信じないはバイト女の自由だけどな」

バイト女「…信じるよ。あたしもその…ミクさん?に助けられたんだもん…」

男「そっか。ありがとな」

バイト女「はあ…なんでだろ」

男「なにが?」

バイト女「きっとあたしら、他の人には絶対信じてもらえない話してるのに…」

バイト女「二人ともその話を信じてるんだもんね」

男「そうだな」

バイト女「…ねえ、男」

男「ん?」

バイト女「あたしじゃメリーさんの変わりになれないのはわかってるけど…傍にいてもいい?」

男「…へ?」

バイト女「だから」

バイト女「あたし…やっぱり男のことが…好きみたい」

男「それ、俺が先に言いたかったのに」

バイト女「早い者勝ちだよ!ベーだ!!」

男「あ…」

~~~~~男の回想~~~~~

  チュッ

  男「え?…へ?」

  メリー「仕返しです!イーだ!!」

~~~~~~~~~~~~~~

男「…ははは」

バイト女「何がおかしいんだよ!」

男「いや、やっぱ俺、お前のことが好きだわ」

バイト女「は、恥ずかしいこと言うな!//」

【エピローグ】

~数ヵ月後・男の実家~

男「この箱は?」

バイト女「それは着替えだから…そっちに置いて」

男「はいはい」

男父「男、ベッド運ぶの手伝ってくれ」

男「わかった」

男婆「お昼のお蕎麦、できたわよ」

男父「あ、じゃあ先に腹ごしらえするか」

男「そうだな」

バイト女「ありがとうございます。下宿させていただいた上に引越しとかいろいろ手伝って頂いて…」

男婆「あらあ、いいのよ。こっちも娘ができたみたいで嬉しいんだから」

バイト女(いい人たちだな…男が“貧乏だったけど辛くなかった”って言ってたのがよくわかるよ)

男「バイト女、あとで○○大まで行ってみようぜ」

バイト女「うん!」

~○○大校門~

バイト女「もうすぐここに通うんだね…」

男「そうだな」

バイト女「ここまで来れたのも男のおかげ…ありがと」

男「お前が頑張ったからだ。俺は何にもしてねえって」

バイト女「そんなことない。大学のことだって、家族のことだって、男がいなかったらどうなってたか…」

男「家族か…そういや、結局被害届は出さなかったんだな。なんでだ?」

バイト女「うん。被害届出したって本人たちに反省する気がないと意味ないから…」

バイト女「それに、女友さんが言ってたように、学費や仕送りをさせるほうが得策だからね」

男「女友さん…そんな入れ知恵してたのかよ…」

バイト女「“公正証書にしてあるから、仕送りが滞ったり、他にも何かあったら連絡して”って言われてるしね」

男「しっかり営業してんのな」

バイト女「あははは。でもあたしのほうも助かってるから持ちつ持たれつじゃない?」

男「バイト女がそう思うならそれでいいけどな。そろそろ帰るか?」

バイト女「そうだね。残りの荷物も解かなきゃ」

~男の実家・バイト女の部屋~

バイト女「…これで大体片付いたかな?」

男「バイト女」

バイト女「なあに?」

男「これ…」

バイト女「あ…」

ミク「…」

男「できるだけきれいに修理したんだ。お前に持っててほしいんだけど」

バイト女「…いいの?」

男「ああ。そのほうがいいと思うんだ」

バイト女「…ありがとう。机の上に飾っとくね」

コトッ

ミク「…」

男「ようやく落ち着いたな…」

バイト女「そうだね…」

男「しばらくは遠距離恋愛か」

バイト女「だね…」

男「…浮気するなよ?」

  ---何かが違っていた

バイト女「男のほうこそ」

  ---虐げられていた

男「自慢じゃないが、俺はそこまで女慣れしてない」

  ---疎まれていた

バイト女「わかってるよ」クスッ

  ---いい様に使われていた

男「お前のほうこそ浮気すんなよ?」

  ---それが当たり前だった

バイト女「こんな150cm足らずのオンナを好きになるのは男ぐらいしかいないよ」

  ---おかしいと気づいた

男「いや、そんなことはないだろ」

  ---認めてくれた

バイト女「それに、生活費のためにバイトしないといけないから、二股かけるどころじゃないよ」

  ---必要としてくれた

男「けど、仕送りもあるし、もうそんなにバイトしなくてもいいんだろ?」

  ---守ろうとしてくれた

バイト女「うん。でも、バイトしてたほうが気が紛れるからね」

  ---助けてくれた

男「そっか」

  ---それだけで十分だ

バイト女「…ねえ、男」

  ---あたしはこの人についていこう

男「ん?…んっ!」

  ---何があっても…ついていこう

チュッ

  ---だから…

バイト女「…ぷはぁ。男と出会えてよかった♪」



~END~

これで本編は終わりです。

ありがとうございましたm(_ _)m

おつー

ちょこっとおまけ

メリー「今回出番が少ないなぁ」

ミク「しょうがないですよ。元々男さんとバイト女さんのイチャコラなんだから」

メリー「全然イチャコラしてないんですけど」

ミク「まあまあ」

メリー「でも、あたしは恨みから怨霊になったけど、あなたの扱いは?」

ミク「私は付喪神の成り損ねらしいですよ?」

メリー「え?だって男さんと出会ってまだ3年もたってないのに付喪神?」

ミク「どうやらメリーさんと一緒にいるうちに霊力がついたみたいで」

ミク「体を動かすことができるようになったんですよ」

メリー「そうなんですね…」

>>186
土瓶の人、乙でした。
今回も楽しんで読ませて貰いました。

「おまけ」にも期待してます。

>>187>>190 乙ありがとうございます。

おまけ追加しときますね。

ミク「でも、霊力がついたって言ってもメリーさんみたいに自由に動き回れるわけじゃないから」

ミク「バイト女さんを救出したあと、全霊力を使っちゃったせいか全然動けなくなっちゃったんですけどね。あははは」

メリー「笑い事じゃないけどね」

ミク「ここは笑ったほうがいいですよ」

メリー「あなた、踏み潰されたりしたのに笑えるなんて…すごいわ」

ミク「男さんが治してくれましたからね。ほら、よく見ないとわからないでしょ?」

メリー「あ、ホントだ。男さん、手先が器用ですもんね」

ミク「ねー」

メリー「でも、私とあなたって…なんで仲良くなったんだろ?」

ミク「そういえばそうですね」

メリー「私は人を呪い殺す怨霊だし…」

ミク「私は人を助ける付喪神だし…まあそれも気分しだいなんですけどね」

メリー「付喪神って大事にしてくれた人のことは助けるけど、そうでない人には冷たいものね」

ミク「あははは。そうそう」

メリー「でも…じゃあ、なんでバイト女さんを助けたの?」

ミク「それはですね…彼女が私に似ていたのと…男さんが好きな人だったからかな?」

メリー「あー、やっぱり?」

ミク「メリーさんはどこで気がつきました?」

メリー「最初のほうで気づいてましたよ」

~~~~~~~~~~

  男「…まあ、蓼食う虫も好き好きって言うしな」

  バイト女「はあ?意味わかんないし」

  男「お前…今の意味がわかんねえって、相等やばくね?」

  バイト女「うっ…うっさい!諺ぐらい知ってるし!!」

  男「そういう意味じゃ…まあいいや。とりあえず座れば?」

  バイト女「…チッ」ドサッ

  男「…はぁ」

~~~~~~~~~~

メリー「このやり取りで男さんはバイト女さんのことが好きなんだなーって。ね」

ミク「私は夢の中でバイト女さんとキスするところかなぁ…」

メリー「でもあれって元々あなたにキスするつもりだったんじゃ…」

ミク「でも、直前でバイト女さんに代わってたんですよね…ちょっと傷つくなぁ」

メリー「でもね、私たちは人形なんだから…男さんに彼女ができたこと、喜んであげましょうよ」

ミク「それは喜んでるんですけどね…あーあ、私も動けなくなる前に、男さんにキスしとけばよかったかなぁ」

メリー「あぅ…//」

ミク「…じゃあ、そろそろお暇しましょうか」

メリー「そうですね。後は生身の方に任せて…」

ミク「それじゃみなさん」

メリー・ミク「「さようなら」」ノシ

~座談会END~

今日はこれで終わりです。
それでは、おやすみなさいノシ

流石です
おつ

今回も良かった、乙でした

さてうちのミクさんはいつになったら動くのかな…

>>197>>198 ありがとうございます。

おまけ、置いておきますね。

【おまけ:新人女のそれから】

~男の大学~

男「さて、講義も終わったし、早くバイト女の病院に行こう」

男友「よ、男♪」

男「なんだよ。今急いでっからまた今度な」

男友「つれねえなあ。コンパの誘いだってのによお」

男「あー、パス。悪いな。今マジで忙しくって」

男友「友達甲斐のないやつだなぁおい」

男「いやマジですまん」

男友「だったら、女の子紹介しろよ」

男「紹介できるようなオンナノコの知り合いなんていないって」

「あ、男さんだー♪」

男「ん?…あー…ナイスタイミングと言うかバッドタイミングと言うか…」

新人女「あれえ?お友達もご一緒ですかぁ?」

男友「おお!かわいい子じゃねえか!!男の知り合いか?紹介しろよ!!」

男「あー、こっちは新人女さん。バイト仲間だ」

新人女「初めまして。新人女です♪」

男友「男友です!やっぱかわいいじゃん!!」

男「…で、何でここにいるんだ?」

新人女「はい。たまたまサークルの集会がこの大学であったからです」

男友「ふーん、なんてサークル?」

新人女「あ、今日来たのはそのサークルを辞めるためだったんですよ」

男友「そうなんだ。じゃあ…時間ある?」

男「お前、コンパじゃねえのか?」

男友「コンパは週末だって。で、どう?」

新人女「えーっと…」チラッ

男「バイトなら俺からチーフに言っとくわ」

新人女「じゃあ…はい♪」
  ・
  ・
  ・

ブロロロロ…

新人女「…この車って…ベンツ…ですよね?」

男友「お、よく知ってるじゃん」

新人女「…すみません、ここでいいです」

男友「え?」

新人女「ごめんなさい。別に男友さんが悪いってわけじゃないんですけど…」

新人女「…わたし、親のお金で贅沢してる人はちょっと…」

男友「ああ、それなら大丈夫」

新人女「え?」

男友「俺さ、企業家なんだわ。学生だけど自分で会社起こして、今は社長」

新人女「ええーっ!?」

男友「親はごく普通のサラリーマンだからさ、親の金って全然使ってないし。むしろ俺のほうが仕送りしてるし」

新人女「…ごめんなさい。勝手なこと思い込んじゃって…」

男友「いいよいいよ。それに…新人女さんがいい子だってわかったし」

新人女「え?」

男友「俺に近付いてくるオンナってさ、大体金目当てなんだ」

男友「けどさ、新人女さん、初っ端からスネカジリ拒否だもんな」

新人女「あぅ…」

男友「…なあ、新人女さん」

新人女「…はい」

男友「メアド交換しねえ?」

新人女「…え?」

男友「いや、はっきり言って新人女さんみたいな反応したオンナって初めてなんだわ。だから興味が出てきたんだ」

新人女「えっと…」

男友「…だめ?」

新人女「今は…まだ…」

男友「そっか…」

新人女「運転中は危ないから…目的地に着いたら…ね?」

男友「…へ?…あっ!」

新人女「…えへっ」

男友「ありがとう!新人女さん!!」

新人女「ううん。こちらこそ…ありがとう」

新人女(計画通り!)

新人女(□□大の噂話を拾うためにサークルにもぐりこんで…)

新人女(有力な相手に目星をつけて…)

新人女(男さんの知り合いだってわかったから、男さんからも情報を聞き出して…)

新人女(あとはわたしに貢ぐように誘導していくだけ…)

新人女(練りに練った計画だもん…慎重に進めなきゃね)ニヤリ

男友「どうしたの?」

新人女「ううん?なんでもないよ?」

男友「そっか。そろそろレストランに着くよ」

新人女「うん♪」ニコッ


~新人女END~

もういっちょおまけいきます

【おまけ:チーフと女友(ちょいエロ)】

チーフ「頼む!これこの通り!!」ドゲザー

男「ちょっ!止めてくださいって!!」

チーフ「女友さんと連絡取ってくれるだけでいいんだ!」ドゲザー

男「分かった、分かりました。けど!断られても恨まないでくださいよ!?」

チーフ「ありがとう!男くん!!」
  ・
  ・
  ・
男「…明日の夜なら空いてるそうですけど…」

チーフ「わかった!」

男「…チーフのほうはいいそうです」

女友『ん、わかった。とりあえずテキトーに相手しとくわ』

男「すみません、ややこしいこと頼んじゃって…」

女友『いいのいいの。たまには変わったもの食べてみたいしね♪』

男「…肉食系もほどほどにしたほうが…」

女友『はいはい。じゃあねえ』プッ プーッ プーッ…

男「はあ…」

チーフ「なあなあ男くん!女友さんはどんな服装が好きかな!?」

男「知りませんよ」

~翌日・夜~

女友「あのレストラン、おいしかったねー♪」

チーフ「はい!あの…

女友「はい?」

チーフ「…今日はありがとうございましたっ!!」

女友「そんな大きな声出さないの。ところで…もう終わりなの?」

チーフ「…へ?」

女友「ようやく大人の時間になったのに?」ニヤッ

チーフ ゾクッ

女友「うふふ…行くんでしょ?」

チーフ コクコク

~ラブホ~

女友「ふふふ。すごく大きい…あんむ」

レロレロ…ドピュ ピュ…

女友「んっ!…もう出しちゃったの?…あら、すごい回復力ね。うふふふ」
  ・
  ・
  ・
女友「あん…そう…もっと激しく…あっ…」

パンパン…
  ・
  ・
  ・
女友「もう一度?…ふふっ。しょうがないわね…ん…」

ギシギシギシ…
  ・
  ・
  ・

~翌朝・ラブホ~

女友「…」ネボケー

女友「…何時?…え?もうこんな時間!?急がなきゃ仕事に遅れちゃう!!」

女友「痛っ…か、体中の関節が…あいたた…よいしょ…」

ゴソゴソ…

女友「忘れ物は…なし…と」

チラッ

チーフ「zzz…」

女友「…ふふふ。またね」

ガチャ バタン
  ・
  ・
  ・
チーフ「zzz…ん…ん?…女友さん?」

~某所~

女友「そう。明後日の金曜の夜8時に迎えに行くからね」

女友「なあに?断るの?ふーん…いいわよ?あのこと全部バラすから」

女友「どうしてそんなことするのかって?それはね…あんたが許せないからよ」

女友「ストーカーは刑務所に入った、あたしは会社を辞めざるを得なかった…」

女友「それなのに元凶のあんたは会社を辞めることもなく彼氏まで出来て…」

女友「あんただけ幸せになって…不公平でしょ?だからよ」

女友「…泣き落とし?そんなの通用すると思ってんの?」

女友「それから、もし迎えに行ったときに居なかったら…わかってるよね?」

女友「…ええ、わかってるわ。これが最初で最後よ。じゃあね」

Pi

女友 ニヤッ

~チーフの部屋~

チーフ「…嫌われちまったかなぁ…さすがにいきなり3発はヤりすぎたかなぁ…」ハァ…

チーフ「けど…あんな可愛い人とエッチ出来る機会なんてもうないだろうしなぁ…ヤリ貯めといてよかったのかもな」

プルルル プルルル…

チーフ「誰だ?…女友さん!?」Pi

チーフ「も、もしもし?」

女友『やっほー。元気?』

チーフ「は、はい!」

女友『…今朝はごめんね?仕事があったから先に帰っちゃって…』

チーフ「いえ!全然気にしてないっす!!」

女友『そう?もしかして気を使ってくれてる?』

チーフ「そんなことないっす!」

女友『よかったぁ。ところでさぁ、ちょっと言いづらいんだけど…』

チーフ「…なんですか?」

女友『…知り合いを紹介したいんだけど…いいかな?』

チーフ「それは…女友さんは俺とは…」

女友『うん…ごめんね?』

チーフ「…いえ、いいっすよ…」

女友『あなた…アレが凄すぎてあたしの体が持たないの…だから…ね?』

チーフ「それは女友さんが可愛すぎるから…」

女友『…ありがと。でね、紹介する相手なんだけど…ちょっと変わっててね』

女友『悲劇のヒロインぶりっ子なのよ』

チーフ「は、はあ」

女友『なんかね、“弱みを握られて奴隷みたいになって、嫌々ながらも体を弄ばれながら堕ちていく”っていうのがいいんだって』

チーフ「…なんすかそれ?」

女友『まあ、とりあえず会ってみてよ。今度の金曜に迎えに行くからさ』

チーフ「は、はあ…」

~金曜の夜~

チーフ「…あ、来た」ノシ

ブルルルン ウィーン

女友「やっほー。待った?」

チーフ「いえ」

女友「そう?じゃ、助手席に座って?」

チーフ「あ、はい」

ガチャ バタン

チーフ「…で、その知り合いっていうのは…」

女友「後ろに座ってるよ」

チーフ「え?」クルッ

女「…」

チーフ(す、すっげえ美少女!)

女友「どう?なかなかのモンでしょ?」

チーフ「メチャクチャタイプっす!あ、俺、チーフです。よろしく」

女「…女…です…」

女友「着いたよ」

~コテージ~

女友「とりあえずさ、あたしはあっちの部屋にいるから、あとは二人で自由にして」

チーフ「あ、はい」

女「…」

女友「…女、先にシャワー浴びてきたら?」

女 ギリッ

パタン

女友「さて…と。あなたも今のうちに1回抜いておいたらどう?」

チーフ「え?」

女友「あなた、1回目はやたら早いでしょ?それで女にあきれられてもいいの?」

チーフ「それはまずいっす!ちょっとトイレ行ってきます!!」

バタン

女友(…さて、今のうちにビデオカメラをまわしとかなきゃね)
  ・
  ・
  ・

女「…」

チーフ「…あの」

女「…早く終わらせましょう」

チーフ「え?」

パサッ パクッ

チーフ「はうっ!」

ムグムグ チュパッ

女 ウワメヅカイー

チーフ ゾクゾクゾクッ

ムクムクムク

女「むんぐ…お、大きい…」

ガシッ

女「!?」

チーフ「…しっかり咥えろよ。ん?」

女「ん!…ん!…ごふっ」ジュポッ ジュポッ ジュポッ
  ・
  ・
  ・

女「はあ…はあ…」

チーフ「股を開け」

女「はあ…い、いやよ」

チーフ グイッ!

女「あっ!や、やめてっ!!」

チーフ「やめてほしいか?」

女 コクン

チーフ「…聞こえねえなあ」

女「…やめて…」

チーフ「…ようし」

グイッ!

女「!?」

チーフ「もっとしてやろう」ニタァ

女「いやぁあああ!!!!」
  ・
  ・
  ・

ギシギシギシ…

女「やめてぇ…おねがぁい…」

チーフ「…い、いくぞ…中に出すぞ!」

女「いやだぁあああ!!中はいやぁあああ!!!」

チーフ「…うっ!」ビクッ ビクン ビクン…

女「あぁああああ!!!!」
  ・
  ・
  ・

パンッ パンッ パンッ

女「あっ!…い、いやっ…ダメッ…や…やめて…」

パンッ パンッ パンッ

女「や…やめ…あっ…あっ…あああああーーーっ!!!」ノケゾリッ

チーフ「まだまだあ!」
  ・
  ・
  ・

女「ま…また…あっ…ちょ…ちょっと…あふっ…や…すませて…おねがい!」

グチュッ ギシッ ギシッ…
  ・
  ・
  ・
女「だめぇ!…バックは!…も、もう…もうだめぇ!!…こわれちゃう!…こわれちゃうよぉ!!」

パチュンパチュンパチュン…
  ・
  ・
  ・
女「ああん!しゅごいのぉ!!もっとぉ!もっと奥までついてえええ!!」

パンパンパンパン!
  ・
  ・
  ・
女「ひ…ひぎい!…お…しりも!…ん!!…いひぃいい!!…」

グチョグチョグチョ…
  ・
  ・
  ・
女 ガクンガクン…

ギシギシギシギシ…
  ・
  ・
  ・

ガチャ

女友「終わった?」

チーフ「あ、はい」

女友「…女は?」

チーフ「ベッドの上です」

女 ピクピクピク…

女友「…また激しくヤッたのね…女ったら白目剥いて…口からもアソコからも…お尻からも白いのが垂れてるわ…」

女友「ま、朝まで遣りっぱじゃねえ…何回イったの?」

チーフ「俺は…8回ぐらいかな?」

女友「は、8回!?」

チーフ「ははは…」

女友「…とりあえずさ、体洗ってきたら?」

チーフ「そうします」

パタン

女友(…今のうちにビデオカメラを回収して…早く帰ってビデオをオカズにしよっと)
  ・
  ・
  ・

~女友の車~

女友「この変わり様…一体どうしたのよ…」

チーフ「いや…よくわかんないっす…」

女「うふふふふ」イチャイチャ ベタベタ

女友「…二人して後部座席でいちゃついて…ってか、すっかり纏わりつかれてんじゃん」

チーフ「はあ…」

女友「…女、あんた先輩に言いつけるよ?」

女「うふふふ。もうどうでもいいの」

女友「はあ?」

女「先輩なんかよりこの人のほうがぜーんぜんいいんだもん♪」

女友・チーフ「「…へ?」」

女「だから」

女「今夜も明日も明後日も…ずーっと一緒に…しようね?」ニコッ

チーフ「…いいんだな?」ニヤッ

女友「…ま、いっか」


~チーフ&女END~

P.S.

TV : 女「いやだぁあああ!!中はいやぁあああ!!!」

女友「…ふぅ。やっぱ美少女とケダモノって最高のオカズだわぁ♪」

~今度こそ本当にEND~

これでこのスレは終わりです。
このような駄文にお付き合いいただき、ありがとうございます。
なお、html化依頼は23日ぐらいに出す予定です。

それでは、またノシ

終わり方がワンパターンだけど本編は面白かった
それ以外は蛇足

新人女endだけが胸糞で気分悪いな。
これ、男友も実は腹黒で、女を食い物にするブラフでたぶらかしてるって落ちならまだよかった

>>229 蛇足でしたかorz

>>230 それはそれで一本書けそうな内容ですね…

ありがとうございます。
今回はちょっと重かったかなと…

次回は…今考え中です。

メリーがかわいいので生きるのが辛い
メリークリスマスってメリーのためにあるよな

>>234 クリスマスにメリーさん…ちょっと実力不足かもorz

では、html化依頼してきますね

男「…へ?」 バイト女「だから」
男「…へ?」 バイト女「だから」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384352602/)

完結しましたのでhtml化よろしくお願いします

間違えた…orz

すまんが笑った

>>239 うわっ! ありがとうございます

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