アニ「か弱い乙女の気持ちなんて」(55)

ミカサ「アニ、ちょっといい?」

アニ「…なに?」

ミカサ「今日の格闘術…あんなやり方をしたらエレンが怪我をしてしまう」

アニ「…」

ミカサ「もっと優しくやってほしい」

アニ「…それじゃあ訓練にならないだろう?」

ミカサ「でも、エレンが怪我をしたら…」

アニ「まともに受身も取れないようじゃ、兵士になんてなれないさ」

ミカサ「…」ギロッ

ミカサ「…エレンに怪我をさせたら赦さない」

アニ「…ハァ。あっそ」スタスタ

アニ(………)

アニ(…いいよね、気楽で)

ジャン「おい、アニ!」

アニ(めんどくさいな…)

アニ「…今度はあんたか。何か用?」

ジャン「お前さっきミカサと言い合ってただろ!」

アニ「…そうだけど、何?」

ジャン「何ミカサとケンカしてんだよ羨ましい!」

アニ「…あんた、頭大丈夫?」

ジャン「ってそうじゃなくて、ミカサに何したんだよお前!」

アニ「何もしてないよ。向こうから油売ってきたんだよ。…見てたならわかるだろ」

ジャン「チッ、ああそうかよ」スタスタ

アニ「…ハァ」

アニ(はやく戻って寝よ)スタスタ

マルコ「あ、待ってアニ!」パシ

アニ(………)

アニ「…何?」

マルコ「今、ジャンと何か言い合ってただろ?」

アニ「ああ。わけわかんないこと言ってたよ」

マルコ「そっか。…誤解、解いておきたくてさ」

アニ「…誤解?」

マルコ「うん。ジャンってあんなんだから誤解されやすくてさ」

アニ「人相も悪いしね」

マルコ「はは、そうだね。でも、本当はいい奴なんだよ。正直なだけで」

アニ「……わかったよ。別に誤解もしてないし」

マルコ「よかった。…でも、ごめんね」

アニ「……何であんたが謝るのさ」

マルコ「うーん、何でって言われても…。友達だから、かな?」

アニ「…あんたも大変だね」

マルコ「そうかも。でもジャンと居ると飽きないよ」

アニ「そう」

アニ「……あのさ、手」

マルコ「あ、ごめん」パッ

アニ「…別にいいよ」スタスタ

アニ(………)

アニ(アイツ…マルコ、だっけ。初めて話したな)

アニ(…手、掴まれた)

アニ「……寝よ」



ミーナ「アニ!朝だよ、起きてー!」

アニ「」ボー

ミーナ「ほら、早く行かないと訓練に間に合わなくなるよ!」

アニ「…他の皆は?」

ミーナ「もう行っちゃったよ」

アニ(…私を待っててくれたのか)

アニ「…急ごうか」

ミーナ「アニ早く!!」グイッ

アニ「!」

アニ(……)

アニ(…っていやいや。何思い出してんだ私は。今は急がないと)ブンブン

ミーナ「?」



アニ「」バシッ

エレン「うわ!」ドサッ

エレン「くっそー…。アニ、もう一回だ!」

アニ「…あんたも懲りないねえ。いいよ」

エレン「よし!いくぞ!」

アニ(…あ、昨日のアイツだ)ヨソミ

エレン「!隙ありっ」バシッ

アニ「っ!」

アニ(しまった!)グラッ

アニ「くっ」ドサッ

アニ(……)

エレン「よっしゃ!アニから一本取ったぜ!」グッ

アニ「…ふん。やるじゃないか」

ミカサ(さすがエレン!)グッ

エレン「おう!もう一回だ!」

アニ「もう油断しないよ。かかってきな」ザッ

エレン「いくぞ!」ダッ



エレン「くっそー…。結局一本しか取れなかった…」

アニ「まだまだだね」

ミカサ「でもエレンはよく頑張った。前はアニから一本も取れなかったのだから成長している」

エレン「何だよ!今日は一本取れただろ!」

ミカサ「だからすごいと言っている。偉い。とても偉い」ナデナデ

エレン「やめろって、頭撫でるな!」

ミカサ「とても可愛い」ウットリ

アニ(……)

アニ(確かに、エレンの格闘術は伸びてきている)

アニ(…まさか、一本取られてしまうとはね)

アニ「……」

アニ(…格闘術も朝の時も)

アニ(……意識してるのか、私は)

アニ(……)

ミーナ「…アニ?どうかしたの?」

アニ「何でもないよ」

ミーナ「そう?」

アニ(…何でもないよ)



アニ「…」

ミーナ「…アニ?」

アニ「何さ」

ミーナ「何か今日、ボーっとしてない?」

アニ(…否定できない)

アニ(皆気付いてたのかな。…アイツも)

アニ「…何でもないよ」

油を売る×
喧嘩を売る○

スマソ

ミーナ「ほんとにー?」

アニ「…ほんとだよ」

ミーナ「なーんだ。好きな人でもできたのかと思ったのに」

アニ「……そんなんじゃないさ」

ミーナ「ふーん。…悩みとかあるならいつでも言ってね」

アニ(…お人好し。でも)

アニ「…ありがとう」ボソ

ミーナ「!アニがお礼を!?やっぱり何かあったの!?」

アニ(……そんな無愛想かな、私…)

アニ「…なんでもないよ」フッ

ミーナ「えー、何か怪しー」

アニ(しつこい…)



アニ(今日は休日で、ミーナはクリスタ達と町へ行ってしまった)

アニ(私も誘われたけど断った)

アニ(休日くらいゆっくり寝たいし)

アニ「……」

アニ「暇だなー…」

アニ「…」ゴロゴロ

アニ「…眠くならない…」

アニ「…散歩でもしようかな」



アニ(ほとんど人居ないな)テクテク

アニ(…その方がいいけど)テクテク

アニ「……」テクテク

アニ(…あ)

マルコ「あ、アニ」

アニ「…あんたは出掛けないの?」

マルコ「うん。これから図書室でアルミンと待ち合わせしてるんだ」

アニ(あの頭いい奴か)

アニ「ふーん…」

マルコ「アニは?」

アニ「暇だから散歩してただけだよ」

マルコ「そっか」

アニ「……」

マルコ「……」

アニ(気まずい…。この前のこともあるし……)

アニ「…今日はあの正直な友達と一緒じゃないんだね」

アニ(…何か、嫌味な言い方になってしまった)

マルコ「あー、ジャンは今…ふて寝してるよ」

アニ「ふて寝?」

マルコ「ミカサを町に行こうって誘ったんだけど断られちゃってね」

アニ(気の毒)

マルコ「…よかったら、アニも図書室行かない?」

アニ「…え?」

マルコ「面白い本いっぱいあるよ。…嫌ならいいんだけど」

アニ(図書室…行ったことないや)

アニ「…じゃあ、行こうかな。暇だし」

マルコ「うん。それなら一緒に行こうか」



マルコ「アルミン来てるかな?」ガラッ

アニ「さあね…」

アニ(はじめて来たよ…)

アルミン「あ、マルコ!」

マルコ「先に来てたんだね」

アニ「……」

アルミン「と、アニ」

アニ「……」ペコ

アルミン「なんか、珍しいね」

マルコ「そうかな」

アニ(同感)

アニ「…あんた達、ここで何するの?」

アルミン「え、えーと、座学の復習とかだよ」ビクビク

アニ(ガリ勉)

アニ「休みの日まで勉強なんてよくやるよ」

アルミン「アニも復習するの?」

アニ「…まさか」

アルミン「そ、そっか」ホッ

アニ(コイツ、あからさまにホッとしやがった…)

マルコ「アニは本を読みに来たんだよ」

アルミン「へぇー。アニも本読むんだ(意外と気が合う…かも?)」

アニ(いや全く)

マルコ「読み物はあっちの棚だよ」

アニ「…どうも」スタスタ

アルミン「……ねえ、マルコ」コソッ

マルコ「なんだい?」

アルミン「アニと仲良かったんだね」

マルコ「いや、この間初めて話したばっかりだよ」

アルミン「えっ」

マルコ「えっ?」



アニ(……)

アニ(…こんなに本があるとどれを読んだらいいかわからなくなるよ)

アニ(伝記…は興味ないし小説にするか…)

アニ(…どれ読もう)

アニ(…あ、あの本、昔父さんが読んでたやつだ)

アニ(…ていうか、高すぎて手が届かない)イラ

アニ(…この辺蹴ったら落ちてくるかな)

マルコ「あれ、アニ何してるの?」

アニ「えっ」カマエ

アニ(やべっ)

アニ「な、何読もうか考えてたんだよ」ササッ

アニ「あ、あんたは休憩?」

マルコ「?うん」

アニ(誤魔化せた)

マルコ「・・・あ、それなら、これ読んでみたら?」スッ

アニ(さり気なく一番高いとこの取った…)

マルコ「僕のお気に入りなんだけど」

アニ「ふぅん…」

マルコ「読みやすいと思うよ」

アニ(……)

アニ「…じゃあ読んでみる」



アニ(…結構古い本だね)

アニ(まあ、読んでみるか)ペラッ

1ページ目「」文字びっしり

アニ「」

アニ(…読む気しない…というか、本なんか読まないし…)

アニ(でもマルコのお気に入りらしいし…)

アニ(って、いやいやいや。別にそういう意味じゃないから!)

アニ(せっかく教えてもらったんだから、読まないと人としてあれだからね、うん)

アニ(どうせやることもないし。暇だから読むんだし)

アニ(ほんと、そういうんじゃないから)

アニ「……」

アニ(…読も)

アニ「………」ペラ

アニ「…………」ペラ

アニ「……………」ペラ



アルミン「…ア、アニ?」

アニ「な、何さ!?」ビクッ

アルミン「えっ、あ、いや。ご、ごめん」ビクッ

マルコ「そろそろ夕食だよ」

アニ(…もうそんな時間か)

マルコ「随分集中してたみたいだね」

アルミン「な、何読んでたの?」ビクビク

アニ「これ」

アルミン「あ、それ知ってる!その作者僕も好きだよ」

アニ「…ふぅん」

アルミン「でもだいぶ前に亡くなっちゃってるんだ」

アニ(…へぇ)

マルコ「面白かった?」

アニ「…まだ読み終わってないけど、面白いよ」

アルミン「あ、それなら借りてく?」



アニ「……」

ミーナ「アニ、何読んでるのー?」ノゾキ

アニ「小説」ペラ

ミーナ「へぇー。あ、その本知ってる!」

ミーナ「作者が結構昔に死んじゃったんだけど、面白いよね」

アニ「…そうらしいね」

ミーナ「…アニが本読むって意外」

アニ「あんたもね」

アニ(…それにしても、結構面白いな)

アニ(…他のも借りてみようかな)



アニ(それからたまに図書室に通うようになって、アルミンと仲良くなった)

アルミン「あ、アニ。この前の読み終わった?よかったら、次はあの本読んでみてよ。すっごく面白いんだよ!結構マイナーなんだけど―」ペラペラ

アニ(たまに何言ってるかわかんないけど)

アニ(そして)

ミーナ「アニー?またボーっとしてるよ。どうしたの?好きな人でもできちゃった?」

アニ「……まさか」

アニ(…まさか、ね)



アニ『……あのさ、手』

マルコ『あ、ごめん』パッ

アニ『…別にいいよ』

マルコ『……アニの手、あったかいね』

アニ『…そうかな』

マルコ『うん。手があったかい人は優しいっていうよね』

アニ『…そんなの、迷信でしょ』

マルコ『そんなことないよ』

アニ『…あんたは私が優しそうに見える?』

マルコ『見えるよ』

アニ『……そりゃどうも』スタスタ



アニ『…そうだといいな』


アニ(…本当に、まさかだよ)

アニ(自分が単純すぎて、馬鹿みたいじゃないか)

アニ(…何で、あんなパッとしないような奴を私は…)

アニ(……)

アニ(昔は、ライナーのことが好きだったけど…)

アニ(…いや、早く忘れよう。あんな黄色いゴリラが好きだったなんて、自分が信じられないよ)

アニ(……)

アニ「ハァ…」

ベルトルト「あれ、こんな所で何してるの?アニ」

アニ「ベルトルト…」

ベルトルト「…久し振りだね」

アニ「毎日顔は見てたけどね」

ベルトルト「どうしたの?悩みでもある?」

アニ「…うん」

アニ「私…好きな人ができたかもしれない」

ベルトルト「!?へ、へぇ。誰?」

アニ(…コイツなら話してもいいか)

ベルトルト(この間は…間違いない、『…お前だよ///』って奴だ!)ゴクリ

アニ「………マルコ///」

ベルトルト「」



ベルトルト「」フラフラ

ライナー「おお、ベルトルト。先に戻って悪かったな…って、どうした?」

エレン「おう!…どうしたんだよ、ベルトルト?」

マルコ「具合でも悪いのかい?」

ベルトルト「っああああああああ!!!!くそっ!!悔しいけどマルコはいい奴だ!!だから辛い!余計辛い!!」

コニー「なんだ!?どうしたんだよ?」

ライナー「落ち着けベルトルト!何があったんだ!」

ベルトルト「……」


アニ(8)『…わたし、すきなひとができたの』

ベルトルト(8)『!?へ、へぇ。だれ?』

アニ(8)『……』モジモジ

ベルトルト(8)(このまは…まちがいない、『…おまえだよ///』ってやつだ!)ゴクリ

アニ(8)『………らいなー///』

ベルトルト(8)『』


ベルトルト「うるッせーよこのゴリラ!!黄色いゴリラ!!お前なんかに僕の気持ちがわかるかチクショー!!!」ダッ

ライナー「あっ、こら待てベルトルト!!なぜベッドの下に潜ろうとする!?」



アニ「」ゴロゴロ

ミーナ「ねーアニ」

アニ(ベルトルトに言っちゃった)ゴロゴロ

ミーナ「ねぇーアーニー」

アニ(黙ってどこか行っちゃったから相談にはならなかったけど…)ゴロゴロ

ミーナ「ねーえー」

アニ(…そう言えば、ライナーの時もアイツに相談したんだっけ)ゴロゴロ

ミーナ「…アニ!!」

アニ「」ビクッ

ミーナ「やっと気付いた」

アニ「な、何?」ドキドキ

ミーナ「さっきからベッドの上転がってどうしたの?いいことでもあった?」

ミーナ『悩みとかあるならいつでも言ってね』

アニ(ベルトルトは役に立たなかったし…相談してみるか)

アニ「……あのさ、ミーナ」

ミーナ「ん?何?」

アニ「た、大したことじゃないんだけどさ」

ミーナ「何よ?」

アニ「あんたって……好きな人とか、いる?///」

ミーナ「…」ニヤ

ミーナ「え~何々、どうしたのアニ?好きな人、できたの~?」ニヤニヤ

アニ(っ!)

アニ「……質問に答えてよ」ハァ

ミーナ「ごめんごめん。アニとこういう話できるの嬉しくって」

アニ「…で、いるの?いるなら誰?」

ミーナ「急かさないでってば。…いるよ」

アニ(へぇ。誰だろ)

ミーナ「ぜ、絶対誰にも言わないでよ!?///」

アニ「言わないよ」

アニ(…言うような相手もいないし)

ミーナ「ぜったいね!?///」

アニ「はいはい」



ミーナ「……マルコ///」



アニ(…そっか)

ミーナ「アニ、誰にも言わないでね!」

アニ「わかってるって」

アニ(…そうだったんだ)

ミーナ「それで、アニは?」

アニ「……え?」

ミーナ「こんなこと聞いてくるって事は、いるんでしょ、好きな人」

アニ(私?)

ミーナ「今、あたし達しかいないし教えてよ」

アニ(私は、)

アニ「………」

アニ(…私の、好きな人は、)




アニ「いないよ」






アニ「……ハァ」

アニ(全く、どこのベタな恋愛小説だよ)

アニ(親友と、好きな人が被るなんて)

アニ(……違う)

アニ(これは現実)

アニ(ドラマチックな展開もなければ、ハッピーエンドもありゃしない)

アニ(これが現実)

アニ「…はは」


『アニ…だよね?』

『…そうだけど』

『あたしね、ミーナっていうの。ミーナ・カロライナ』

『・・・ふーん』

『これからよろしくね!』

アニ(親友と、好きな人が被るなんて)

アニ(……違う)

アニ(これは現実)

アニ(ドラマチックな展開もなければ、ハッピーエンドもありゃしない)

アニ(これが現実)

アニ「…はは」


『アニ…だよね?』

『…そうだけど』

『あたしね、ミーナっていうの。ミーナ・カロライナ』

『・・・ふーん』

『これからよろしくね!』

ミスったwww

多重書き込みスマン

『…よろしく』


アニ「………」


『あんたさ、お人好しだよ』

『他の子達と仲良くすればいいじゃないか』

『どうして私に構うのさ』

『私は一人で居るのが好きなんだ』

『…勘違い、しないでよね』

『あたしは、アニの為にこんなことしてるんじゃないんだから』

『アニと仲良くなりたいあたしの為にやってるの!』


アニ「…嘘吐いて、ごめん。私、好きな人いるよ」


『……アニの手、あったかいね』

『…あんたは私が優しそうに見える?』

『見えるよ』


『…そうだといいな』


アニ「……そうでありたいよ」

アニ「……私、あんたが好きだったんだよ」



アニ(…私は戦士)

アニ(この気持ちは、全てなかったことにしよう)













ストヘス区


エレン「まさか暗くて狭い所が怖いとか言うなよ?」

アニ「…そうさ。怖いんだ」

アニ「あんたには…きっとか弱い乙女の気持ちなんてわからないだろうさ」

アニ「全く…傷つくよ」

アルミン「アニ…何で」

アルミン「マルコの立体起動装置を持ってたの?」

アニ「…」


アニ「そう…」

アニ「あれは…」
















アニ「拾ったの」

終わりです

書き溜めてたの消化できてよかったw

最終的に鬱エンドになってしまったが、読んでくれた人ありがとう!

マルアニもっと増えてほしい

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom