関裕美「プロデューサーさんの日記…?」 (160)

—事務所—

ガチャ

裕美「おはようございます…」

裕美「誰もいない間にたまには事務所のお掃除でもしておこうかな…」

   パタパタ

裕美「窓開けて…」

      ガラガラ

裕美「んしょっと…掃除機…」

   グォォォー!
       グォォォォー!

裕美「うわ、プロデューサーさんの机の周り…汚い…」

裕美「掃除機かける前に一回片付けないと…」

裕美「…あれ?」

裕美「プロデューサーさんの机と壁の隙間…なにか挟まってる…?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365341652

裕美「んっ、しょっと!」

   ガボッ

裕美「あ、あれ…、手が届かない…?」

裕美「んー!んーっ!」

      ブラブラ

裕美「あとちょっと…あとちょっと…」

裕美「えっ、えいっ!」

          ガツーン!

裕美「いたっ!?」

裕美「いてて…おでこ打っちゃった…」

裕美「なんとか取れたけど…」

裕美「なんだろうこれ…電話帳…?」

裕美「でも、継ぎ接ぎだらけでボロボロ…一体何キロあるんだろうこれ…?」

パラ

裕美「あ、見開きのページが…」

【プロデュース日記】

裕美「…プロデュース日記…?」

裕美「もしかしてこれ…プロデューサーさんの日記だったのかな…?」

裕美「えっと…」

   パラッ

○月△日 晴

初めての担当アイドルだ。

名前は「渋谷凛」しかしながら第一声がこれだ。

ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね。

…頑張って信頼関係を築いていかなければ…。


裕美「…プロデューサーさんの一人目のアイドルかぁ」

裕美「プロデューサーさんにとっての初めてのアイドルっていうのはやっぱり特別なんだよね」

裕美「ちょっと、羨ましいかも…」

裕美「あははっ、でも私にアンタが私のプロデューサー?」

裕美「なんて聞くインパクトある自己紹介は出来ないかな?」

   パラッ

○月△日 曇

凛本人からLiveをやりたいとの希望が来た。

アイドル活動自体には積極的で嬉しい限りだ。

同じく新人アイドルの前川みくとのライブを設定する。

初の挫折を知るのも良いだろう。挫折した時に抱き起こすのが自分の役目だ。


裕美「私、自分からライブしたいって言い出したことあったっけ…?」

裕美「したいっていってすぐ準備するプロデューサーさんもプロデューサーさんだけど…」アハハ

   パラッ

○月△日 晴

予想に反して見事な勝利を収めた。相手もズブの新人ではない。

ライブ経験もあり、それを基にした、しっかりとしたアイドルとしての基盤もある。

ひとえに彼女の才能であり、努力の賜物なのだろう。

彼女にライブ後にもっと頑張る旨を伝えられた。

なにが挫折を知るのも良いだろうだ。偉ぶるな新米プロデューサー。

今自分がやることは偉ぶることではなく彼女を全力で祝うことだろう。


裕美「は、初ライブで勝っちゃったんだ…」

裕美「やっぱり凛さんは凄いな…」

   パラッ

○月△日 曇

ライブ相手の前川みくがこちらの事務所に移籍したいとのことだ。

初めての移籍してきたアイドルというやつだ。

俺が本人に気に入られたらしい。そもそもプロデューサーである俺が表に出ることなど殆ど無かったはずだが…。

そんな俺が気に入られるなんてことは何度もないだろうが…はーやーくーこーなーいーかーなー

…そんな気分である。なにが早く来ないかだ、恥ずかしいので後で消しておく。

凛から私は愛想が無いけどいつも感謝してるよと伝えられる。

軽くトイレで泣いてきた。


裕美「…何度もないって最近は月に何度かあるよね」

裕美「あと消し忘れてるよプロデューサーさん…」

   パラッ

○月△日 雨

今日は前川みくの移籍してくる日だ、しかしながらこんな日に限って雨風が酷い。

何かしていないと落ち着かなかったのでなんとなく折り続けた紙飛行機が20機を超えた頃に彼女はやってきた。

傘が途中で折れたらしくズブ濡れだった。慌ててタオルを出す、こういう時に限って凛も居ないし大パニックである。

とりあえず着替えが無いそうなので自分の替えのシャツとズボンを渡す。

貸したシャツを嗅いでニヤけるのはやめて欲しいと思った

とりあえず契約の確認だけだったので書類を渡そうと思ったら見当たらない。

よく見たら折った紙飛行機の一つが契約の書類だった。テヘペロ顔をしたら本気で嫌な顔をされたので彼女に紙飛行機を投げつけた。

応戦してきたので事務所で紙飛行機合戦が始まった。なかなかこやつ、やりおる。

雨の中わざわざ心配で様子を見に来てくれた凛に本気で怒られた。


裕美「プロデューサーさん子供みたい」クスクス

裕美「…楽しそうでなにより…なのかな?」

   パラッ

○月△日 晴

凛とみくの折り合いが悪い。

人数が増えればこういうことも起きるだろうとは思っていたが気が気ではない。

凛からすればにゃんにゃん言うアイドルは邪道なのだろうか。それはそれでアリだとは思うのだが…。

みくが凛に何か話している、シャツがうんたらかんたら…凛が赤くなったり青くなったり…。

一体何を話しているんだ…

シャツといえば、そういやみくからシャツとズボン返してもらってない、でも女の子が自分で着た物を男に渡すっていうのもアレか…

まぁ、安物だし気にすることはないか…


裕美「赤くなったり青くなったり…?」

裕美「……?」

   パラッ

○月△日 雨

凛とみくが和解したようだ。

女の子はそういうの怖いって聞いたがそんなことないのか…?

時折鼻を押さえて凛がニコニコしている、それを見たみくがドヤ顔をしている。

全く状況が分からない。まぁ、仲直りしたならそれでいいだろう。


裕美「シャツ…鼻を押さえて赤くなったり……」

裕美「……えっ!?」ボンッ

裕美「もっ、もしかしてそういう…」ワタワタ

裕美「か、勘違いだよね…うん…!」

裕美「凛さんがシャツってことはズボンは……」

裕美「…む、昔のことだし考えるのやめよっ!」

   パラッ
     パラララララ

裕美「わわっ、めくりすぎっ!」

○月△日 雨

とりあえず台風が近づいているので河川敷の様子を見てくる。

冗談である。流石にわざわざ自分から死亡フラグは建てない。

とはいえ、本当に河川敷には行ったのだが…ちょくちょく話し相手になってもらっていた娘が心配になっただけだ。

プレゼントを盗られたサンタクロースらしい。世の中世知辛いものだ。

案の定河川敷ででビクビクしていたので拾って帰る。ブリッツェンにもちょくちょく話し相手になってもらっているので連れて帰った。

子供たちのプレゼント代のためにアイドルをやりたいそうだ。

サンタ系アイドルの誕生である。

イヴには現在建てている女子寮が出来上がるまで事務所で暮らしてもらうことに。


裕美「なんでイヴさんが拾って帰るなのにブリッツェンは連れて帰るなんだろう…」

裕美「それにブリッツェンにも話し相手って…?」

   パラッ

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渋谷凛(15)

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前川みく(15)

○月△日 晴

事務所の駐車場の車の隣がブリッツェンの定位置になった。

我は主の側に居られれば良い、とても感謝している。出来る事があれば遠慮なく言ってくれていいとのことだ。

相変わらず渋くて良いやつだ。食事についてはそこまで世話になるつもりはないと言い、なぜか一週間に一度トラックが来る。

トラックにはブリッツェン用の飼料が大量に入っている。運転手にお金について聞くと既に頂いておりますので、とのことだ。

どうやったんだろう。まぁ、トナカイじゃなくてブリッツェンだしな。俺は考えるのをやめた。


裕美「本当に話し相手だったの!?」

   パラッ

http://i.imgur.com/ZvL3LhV.jpg
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イヴ・サンタクロース(19)

○月△日 晴

ショックだ。ブリッツェンの言葉が伝わるのは俺とイヴだけのようだ。

それ以外の人には謎の鳴き声に聞こえるそうだ。

凛やみくもよくブリッツェンをモフモフしているが、言葉は伝わってないようだ。

イヴが言うにはなんというかグリーンランド的な力で伝わるらしい。嘘こけ、俺はグリーンランドとは無関係だ。

散歩に出かけたブリッツェンが新しいアイドル候補生をくっつけて帰ってきた。

こやつなど向いてるのではないかと思い持ち帰ってきた。名前は城ヶ崎莉嘉と言うらしい。とのこと。

もうお前がプロデューサーやれよ。


裕美「…ブリッツェンがプロデューサーは流石にちょっと…」

裕美「…どうすればブリッツェンの声聞こえるかな?」

   パラッ

○月△日 曇

ブリッツェンの人を見る目には恐ろしいものがある。

本人がカリスマJCを自称しているが、本人はやる気充分、凛との折り合いも良好である。

しかしながら少々スキンシップが激しいというか……凛の視線が痛い…。

あと妹をスカウトしたら姉もついてきた。

姉としては妹がアイドルやるだなんて言い出したら心配になる気持ちも分かる。

事務所で真面目に話をして理解を得ようとしたら姉妹でアイドルをやるという話に…。

俺なりに必死に説明したつもりだったがそんなに心配だったか…彼女にはし訳ないことをした。

しかし、これで城ヶ崎莉嘉、城ヶ崎美嘉の姉妹を新たに事務所に迎える事が出来た訳だ。


裕美「真面目に話したからアイドルやりたくなったんだから大丈夫だよ」

裕美「…日記に言ってもしょうがないね」クスッ

   パラッ

>>22 
訂正
△彼女にはし訳ないことをした。

○彼女には申し訳ないことをした。

○月△日 晴

忙しかったことと、体中が筋肉痛で痛くてペンを持つ気分じゃなかったので間が大分開いてしまった。

兼ねてから温めていた、新たなアイドルの卵のお披露目だ。

島村卯月、本田未央の二人だ。

事務所メンバーには内緒でトレーナーさんと共に地力をあげるためにここ最近ずっとレッスン場にこもっていた。

調子に乗って俺も一緒にレッスンを受けるとか言ってしまったこと以外は順調だ。

一ヶ月で五キロ痩せた。もう絶対やらない。


裕美「…レッスン場に拒否反応示すのってこれのせいだったんだ」クスクス

   パラッ

○月△日 雨

先輩である凛に卯月、未央を付けることにした。

ユニット名、ニュージェネレーション(仮)といった所か、形になったら正式に発表しよう。

凛が引っ張っていってくれる形で二人がレベルアップしてくれるのなら言うことはない。

凛にはお世話になりっぱなしだから後でケーキでも買って帰ろう。

俺は俺で今のうちにやれることをやらなくては。


裕美「プロデューサーさん…色々考えてたんだね…」

裕美「私が出てくるのはもうちょっと先かな…?」

裕美「…ここまで読んじゃってるけど、やっぱりこれって私が読んじゃ駄目だよね…」

裕美「うぅ……」

裕美「わ、私の出てるページだけだからっ!」

   パラパラ
      パラパラ

○月△日 曇

新たな所属アイドルだ。

名前は「関裕美」無事にスカウト出来たことに自分自身驚いている。

自分をどうも過小評価するきらいがあるようで、私、可愛くないよね。と頻繁に聞いてくる。

可愛いと思ったからスカウトしたのだ。頬を軽くつねってやる。

ニコニコ笑顔、アイドルの基本だ。


裕美「ニコニコ笑顔、アイドルの基本かぁ…」

裕美「プロデューサーさん、私がアイドル始めた頃はずっと言ってたね…」アハハ

   パラッ

○月△日 晴

若干無理を押して裕美をステージに立たせてみた。

凛、卯月、未央、みくなどのうちの古株…と言っていいのだろうか?本人に言ったら怒られそうだが…。

彼女たちのフォローもあり、ぎこちないながらも初めてのステージをこなせたようだ。

ニコニコ笑顔、60点と言うと私、半分以上もこなせた!と嬉しそうだった。

このステージが次の彼女の糧になったことを嬉しく思う。


裕美「は、初めてのステージで半分以上取れただけ嬉しかったんです!」

裕美「…変じゃないよね…?」

   パラッ
     …パラッ

○月△日 雨

朝から裕美がご機嫌。

とりあえず理由を聞いてみた。

…内緒とのことだ。

結局、凛がこっそり初めてのファンレターを貰ったらしいと教えてくれた。

…通りでさっきから机の下に手をやってモゾモゾやっている訳だ。

俺へのファンレターはなぜかカッターの刃とかしか入ってないんですがどういうことだ。

送り主は間違いなく野郎です。


裕美「ばっ、バレてたのっ!?」

裕美「うぅ…恥ずかしい……」

裕美「…というか、たまにプロデューサーさんが軍手で手紙開いてたのって…」

   パラッ

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城ヶ崎莉嘉(12)

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城ヶ崎美嘉(17)

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島村卯月(17)

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本田未央(15)

○月△日 曇

裕美の前でわざと手紙とかファンレターとかそれっぽいことを連呼してみる。

一瞬ピクッと反応するところが可愛い。

凛がジト目でこっちを見ているが気にしない。

裕美がこっちを見ながらそわそわしている。

あんまり焦らすのも可哀想なので危なくないか確認したものを渡してやる。

良かったな。前より枚数増えてるぞ。

無理して仏頂面するな。頬がヒクヒクしてるぞ。

こっちが笑っちゃうだろ。


裕美「ひっ、酷いっ!」

裕美「あれわざとだったんだっ!」

裕美「日記見たから怒ってますとも言えないしどうしよう……」

   パラッ

○月△日 晴

ドアを開けるとこっちに向かって頬をむにーっと引っ張る裕美が。

事務所の入口で笑い転げた。

鏡に向かって笑顔の練習をしていたみたいで、割りと本気で怒られた。

最近は仕事をしてるときの裕美は自然と笑えているから大丈夫だろう。

それに仕事を楽しいと言えるぐらいだからそんな心配は要らない。

素直に言うのも癪なので言わないが。


裕美「言ってくれればいいのに…‥」

裕美「…意地悪」ボソッ

   パラッ

一旦これで切ります。
画像さんいつもありがとうございます。
N+の関ちゃん見た時の衝撃は台詞含めて忘れられない…

○月△日 曇

仕事帰りの車の中で裕美に、育てて貰った恩、きっと笑顔でお返しするからなどと言われた。

もはや、裕美については、ただフォローに回るだけのプロデュースは要らないだろう。

世話焼きプロデューサーとしてではなく彼女の個性を伸ばしてやらなくては。

書いてる途中なのにまた泣きそうになってしまった。

とりあえずトイレでもう一回泣いてから今後の裕美については考える。

これが、これが娘の成長を喜ぶ父親の気分か。


裕美「娘って…あはは…でも喜んでくれてるんだよね…?」

裕美「でも成長した…かぁ」

裕美「私、笑顔でお返し…出来てるかな…」

   パラッ
     パラッ

裕美「あれ…?暫く私は出てこないのかな?」

   パラッ

裕美「あ、あった…ここから…?」

○月△日 曇

兼ねてから準備していた、アイドルサバイバルハロウィンの企画がやっと進みそうである。

かなり大きな仕事だが、今のうちの状態なら問題はないだろう。

というかなんで俺がイベントの企画まで一人でやっているんだろう…。

まぁ一人のほうが好き勝手しやすくていいけどさ…。

深夜まで仕事してるとちょくちょくイヴが差し入れに来てくれたり、簡単な雑務を手伝ってくれる。

せっかく女子寮建てたんだからそっちに住めばいいのに…そんなに事務所住みが気に入ったのだろうか…?


裕美「…ハロウィンの時のお仕事ってプロデューサーさんの企画だったんだ…」

裕美「イヴさん…プロデューサーさんのこと、心配だったんだね…」

裕美「私もそういうところ気が回らなかったな…気をつけよう」

   パラッ

○月△日 雨

朝から雨が酷い。

横から吹き付ける風で濡れて可哀想だったのでブリッツェンを綺麗に拭いて玄関まで入れてやる。

もの凄く丁重にお礼を言われた。

お前なら放っておいてもバリケードくらいなら作りそうだし本当に気にしないで欲しい。

ブリッツェンを見て裕美がウズウズしてるので抱き上げてブリッツェン乗せてやる。

持ち上げた時に少し暴れたが実際乗ると文句を言いながらも嬉しそうなのでやっぱり乗りたかったのだろう。

ブリッツェンに軽く手を合わせるジェスチャーをすると我なら裕美を乗せたまま本命穴馬かきわけられるくらい余裕だとのこと。

お前はマキバオーか。まぁ、見た目は似てる気がしないでもない。


裕美「だ、誰だって一回は乗りたいと思う…よね…?」

裕美「…まきばおーってなんだろう?」

   パラッ

○月△日 雨

二日続けて雨だ。

こういうときこそ車が送り迎えに大活躍だ。

戻ってくると裕美に真っ先に唇に指先を押し付けられる。

ちょいちょいと指差す先を見てみると、莉嘉がブリッツェンに寄りかかって眠っていた。

指先を押し付けられて若干ドキドキした自分を殴りたい。

せっかくなので裕美に教わりながら一緒にアクセサリーを作る。

もちろん出来はお察しだったが、それでも心温まる一時だった。


裕美「あっ、あれは起こしちゃ可哀想だと思ってっ…!」

裕美「でも、プロデューサーさん、楽しんでくれてたんだ…」

裕美「男の人ってやっぱりそういうの作るの嫌かなって思ったけど…」

裕美「……よかった…」

   パラッ
     パラッ

○月△日 晴

やっとだ!

やっとアイドルサバイバルハロウィンの日程を決められるあたりまで企画を詰められた!

自分達以外のプロダクションからアイドルを呼ぶというのは利権やらなにやらでガチガチで阿呆みたいに大変だった。

もう誰か事務員とか経理でも一人雇ったほうが早いと思う。

イヴには夜中に雑務を手伝って貰ったりと大分迷惑をかけてしまった。

いっそのこと俺も事務所に住もうか…。あれ、そしたらそれってイヴと同棲ってことに…んなわきゃないか。

なんだかんだであの台風の日から凛と同じくらい世話になっているアイドルかもしれない。


裕美「…私、プロデューサーさんのこと分かってないことだらけだ…」シュン

裕美「これじゃお返しどころかプラスマイナスゼロにも届いてないかも…」

   パラッ

○月△日 曇

新しいアイドルをスカウトしてきた。名前は喜多見柚。

本人は面白そうなことを探していたらしいが、面白いことだけは胸を張って保証してやれると思う。

この仕事を始めた頃からブラブラしてる時にこういう出逢いばっかりしてる気がする。

イヴしかり、裕美しかり、城ヶ崎姉妹は…その括りでいいのか疑問だが。

よく考えたらまともにオーディションしたのって凛、卯月、未央だけ……?

あ、あれ…?オーディション開く時ってなにからやればいいんだったっけ…?

人数多すぎても一人じゃ手が回らないから暫くはこのままでいいか。


裕美「それってプロデューサーとしてどうなの…?」

裕美「人手足りないなら誰か雇えば……」

裕美「…でも、やっぱり私は、プロデューサーさんに見てて欲しいな…」

裕美「あっ、でもそのせいでプロデューサーさんが体壊しちゃったら……」

裕美「……イブさんにプロデューサーさんのお手伝いの仕方…教えて貰おう」ボソッ

   パラッ

○月△日 雨

柚は裕美の後輩としてつけてやる。

裕美にとっての初めての後輩だ。人に教えることで裕美自身、何か得るものがあればと思う。

柚は体を動かすことが好きなようでよく裕美や俺をを引っ張り回している。

軽い運動なら付き合ってやるからお願いだからレッスン場に引っ張っていくのはやめて欲しい。

卯月と未央は笑ってないで助けろ。お前らは俺とレッスン地獄を切り抜けた仲間だろうが。

結局レッスン場まで引っ張られた俺が最後に見たのはトレーナーさんの満面の笑みだった。

なんで当たり前のようにレッスンする人数の頭数に俺を入れるんですか。

そこから先は思い出したくない。


裕美「あはは、私も最初は大変だったなぁ…」

裕美「柚さんのペースに私も最初は戸惑いっぱなしだったから」

裕美「トレーナーさんもプロデューサーさんが気に入ってるだけだよね」

裕美「もっとレッスン場に顔出してあげればいいのに…」

   パラッ

○月△日 晴

朝起きると体中が筋肉痛で痛い。

レッスン場でのことから翌日はなんともなかったので油断していたが、筋肉痛が後から来るとは…。

若さ…若さが足りない…なんというか若さもガブっと噛み付いて吸収出来ないだろうか。

凛とか裕美あたりならガブっとすれば吸えそうだ。イヴに噛み付くと俺が灰になって消えそうだが。なんとなく。

おぉ、そうだ。ハロウィン衣装はヴァンパイアにしよう。


裕美「ヴァンパイア衣装だったのってそんな理由だったの!?」

   パラッ

これでまた一旦切ります。
なんか事務所メンバーでイヴだけ浮いてるのに存在感がヤバい。

http://i.imgur.com/YyvvVhb.jpg
http://i.imgur.com/G0feNVT.jpg
喜多見柚(15)

○月△日 晴

窓の外が騒がしい、気になったので覗いてみると、小さな女の子と遊ぶ未央が。

女の子はステッキのようなものを振り回しながらマジカルチェンジなどと言っている。きっとそういうのが流行ってるんだろう。

俺の時代のステッキは太陽のマークに目が付いたような趣味の悪い杖だった気がする。飴玉みたいのが大量に入っってたのもあったな。

マイクくるくるマジカル未央ちゃんじゃねーよ。マイク勝手に持ち出すな。なんでお前が一番ノリノリなんだ。


裕美「…マジカルひろみんっ!」

裕美「な、なんて…」

裕美「あ、あはは…つ、次!次!」

   パラッ

○月△日 晴

イヴがブリッツェンに乗りながらマジカルサンタですよーと昨日の女の子と遊んでやっている。

マジカルサンタってなんなんだ。ファンタジー要素がインフレしている。

でもよく考えたら乗られてるブリッツェンのほうがファンタジーだった。

それだけでなく、昨日よりも人数が増えている。未央だけでなく、凛、卯月、莉嘉、美嘉、みく、柚……勢揃いじゃねーか。

それを見ながら裕美が苦笑いをしていたが、特に仕事も無かったので裕美にあいつらの様子見に行ってこいと寄越してやる。

一仕事片付く頃には笑い声に裕美が混じりだしていた。玄関に女の子含め全員分の飲み物とお菓子だけ置いといてやる。まぁ、誰か気づくだろ。


裕美「…あの時イヴちゃんが持ってきた飲み物とお菓子ってプロデューサーさんが用意してたんだ‥」

   パラッ

○月△日 曇

今日はレコーディングの仕事が入っていた。

レコーディングのスタッフの一人との打ち合わせの最中で、スタジオボーカリストってどんな職業だと思うと聞かれて、

スタジオボーカリストって格好良い肩書きですよね!

とか答えた馬鹿は多分俺だけ。

爆笑された。君は面白いなぁ、気に入ったよって絶対褒められてない。

せっかくなので昼食を一緒にどうかと誘われ、一緒に頂くことに。

本人曰くレコーディングのプロフェッショナルらしい。

悔しいので帰ってから一から勉強し直す。情けない。


裕美「このスタッフってもしかして木場さん…?」

   パラッ

○月△日 雨

雨が降っているから外で遊べないらしい。事務所の中で柚と女の子がトランプで遊んでいた。

…トランプでタワーを作っていた…。いや、確かにトランプで遊んでるけどさ、もうちょっとこう…まぁ、いいや…。

というか柚、勝手にこの子事務所に連れ込むな。

とりあえず、柚に、この子のうちにお預かりしていることを伝える電話を掛けさせる。

多分、俺がおたくの子はお預かりしていますとか電話したら大惨事になる。

そういえば近々、先日お世話になったスタジオボーカリストの方が訪ねてくるそうだ。


裕美「…世知辛い世の中だね‥」

   パラッ

○月△日 曇

例のスタジオボーカリストの方が訪ねてきた。名前は木場真奈美。

私を使ってみないかとのこと、うちのアイドルはレベルが高いから仕方ないなとドヤ顔の俺。

またしてもやっぱり君は面白いなと笑われた。なぜだ。
  
しかし、スタジオボーカリストして使うつもりはない、アイドルとして迎えたいと伝える。

なぜだ、と一瞬で険しくなる顔に俺の心臓がバクバクと破裂するかと思った。その顔を見てこれだ、とも思った。

感情がビリビリと伝わってくるような感覚。この人をただの裏方として終わらせる訳にはいかない。

喰らいついていくように真剣に彼女を見る。込めた覚悟の一割でも彼女に伝わるよう。

永遠にも思えたにらみ合いが、負けたよ、君は物好きだな。の一言で終わったことにどれだけ安心したをか文字に起こすのは無理だろう。


裕美「な、なんか木場さんだけスカウトする展開が凄い…」

   パラッ

○月△日 晴

発注しておいたヴァンパイア衣装が届いた。

みくが嬉々としながらにゃんパイアだにゃ♪

とか抜かしながら衣装を着ていたので、すれ違いざまにみくの猫耳を裕美お手製の蝙蝠の羽バンドをすり替える。

本人は気づいてない、これがプロの業だ。

莉嘉の尊敬の眼差しが心地良い。美嘉が苦笑いしながら蝙蝠バンドを付けながらにゃんにゃん言っているみくを見ている。

…ちょっと可哀想になってきたので後で戻しておいた。


裕美「プロデューサーさん…大人げない…」

   パラッ

○月△日 曇

卯月と莉嘉がヴァンパイアについて絵を書きながら話し合っている。

なんかこうえっちな感じなんです!卯月、多分それサキュバス。

がおーっ!って感じゃないかなー♪それはお前だろ。莉嘉。

十分後ほど席を外し戻ってくると机の上に四足歩行でたてがみのついた八つの首の生えた化け物の絵だけが残されていた。

どうしてこうなった。

ノソノソと歩いてきたブリッツェンがその絵を見た後、懐かしいなとか言っていたのが気になった。


裕美「…一体何がどう混ざったらそうなるんだろう‥」

   パラッ

○月△日 晴

木場さんは裕美がお気に入りらしい。

裕美はアレで笑うと可愛いからなぁとか言ってたのでいつも裕美は可愛いだろと言うと笑い出す。

裕美のヴァンパイアの魅了の視線は完璧なようだ。とのこと。それには俺も同意だ。

結局二人して喉をくっくと鳴らして笑うハメに。この人との会話は楽しい。しかしながら傍から見たら怪しすぎる。


裕美「みっ…魅了の視線…」

裕美「……えっ、えへへっ…」

   パラッ

○月△日 晴

久々に未央やイヴと遊んでいた女の子が遊びに来てくれた。

遊んでくれてたお姉ちゃんたち最近忙しくて今遊べないんだと頭を撫でてやった。

忙しくなるのはいいことだが、少し寂しい。

夕方になるまでうちのアイドルたちについて話して暗くならないうちに帰した。

話を聞いている間、楽しそうにしてくれていたので、つまらなくはなかったのだろう。少し安心した。


裕美「…この次の日かぁ‥」

   パラッ

○月△日 晴

朝からドタバタと大変だった。

大変だったというのも昨日の女の子が家族を引き連れてうちにやってきたからだ。

名前は横山千佳、うちの子をアイドルにとのことだ。本人の希望もあるが、九歳だ。ぶっちぎりで最年少だ。

散々悩んだが、目の前の家族の了承もあるし、アイドル達も期待の眼差しで見ているので了解した。

するとすぐに、美嘉がアタシの妹になるのだー★と千佳に抱きつき、莉嘉がおねーちゃんずるいー!と更に抱きつきに行った。

千佳が目を回してるからその辺でやめなよ。と凛。

また事務所が賑やかになりそうだ。


裕美「ふふっ、なつかしいな」

   パラッ

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木場真奈美(25)

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横山千佳(9)

○月△日 曇

千佳のプロデュース方針を一日中考える。

出来るなら本人の好きなようににやらせてやりたい。

……千佳の好きなようにってなんだ?変身ヒロイン?いやいや無理だろ…。

しかしながら一番の問題。

千佳用の衣装がない。莉嘉用の衣装のスペアですら着れない。

どうしよう。


裕美「…ダボダボの服着てる千佳ちゃんも可愛いと思うけど‥」

   パラッ

○月△日 晴

思わぬ突破口が見つかる。

俺の零した愚痴が千佳を通して彼女の母親にまで届いたらしい。

千佳の母親が紙袋に大量の魔法少女衣装を入れて事務所に訪れた。

全部自作だそうだ。親バカって怖い。

せっかくなので大きいサイズのバージョンも作れないか聞いてみる。

イヴあたりならうまく騙せば着てくれそう。

…げへへ


裕美「げへへって…」

   パラッ

ここで一旦切ります。
おかしい。コメディタッチで20レスくらいで終わらせようとしてたのに真面目にプロデューサーしだした…。
キャラが空気にならないように登場キャラこれでもかなり絞ってます。まぁ、大体ハロウィン。

>>54
修正 
△永遠にも思えたにらみ合いが、負けたよ、君は物好きだな。の一言で終わったことにどれだけ安心したをか文字に起こすのは無理だろう。

○永遠にも思えたにらみ合いが、負けたよ、君は物好きだな。の一言で終わったことにどれだけ安心したかを文字に起こすのは無理だろう。

○月△日 曇

どうでもいいが最近千佳がモテモテである。

凛に限っては軽く溺愛レベルである。妹分が欲しいとかそういう願望でもあったのだろうか。

これまでの最年少は莉嘉だった訳だが、よく考えたら妹というよりは美嘉の妹だしな。

別に最近はみんなが千佳にべったりでちょっと寂しいとかそういうのじゃない。


裕美「あはは‥」

裕美「…千佳ちゃんかわいいんだもん、仕方ないよね‥?」

   パラッ

○月△日 晴

千佳の母親から魔法少女衣装が届いた。この人仕事が早すぎる。

イヴサイズである。渡す際にサイズ調整しかすることなかったんで楽でした。とか耳打ちされた。

どういうことだ。この衣装、以前使われたことがあるのかだけは凄く気になった。


裕美「…どういうこと?」

   パラッ

○月△日 雨

例の衣装、イブならうまく騙せば着てくれそうとか以前書いたが、いい案が浮かばない。

なんとかナチュラルに着させる方法はないだろうかと一日中考えてたが、

気づけばアイドルサバイバル用の会場の予約手続きやらスタッフの手配やらで仕事が山積みになっていたので頭を切り替える。

よく考えたらこの衣装の存在がナチュラルじゃなさすぎる時点で割りと積んでる。


裕美「今更っ!?」

   パラッ

○月△日 曇

午前中は共演する予定の各プロダクションを駆け回っていたので事務所に着くのが午後になった。

午後は皆仕事に出てるかなと思ったが美嘉だけは残っていた。

事務所のドアを開けると置きっぱなしにしていた魔法少女衣装を着た美嘉が。

なるほど、イヴと美嘉ってそんなスタイル変わらないのか。…アリだな。

目を白黒させる美嘉が可愛くてついあっ、その表情いいですね!とか煽ってしまった。

顔を真っ赤にした美嘉に事務所の外まで追い出された。いかん、絶対怒ってる。

なんとかドアを開けてくれたが、その頃には恐ろしく気まずい空気が流れていて結局一日中美嘉とは話せなかった。


裕美「なんであんなに空気が重いんだろうと思ったらそんなことがあったんだ‥」

   パラッ

○月△日 曇

いかん、本格的に美嘉と話せない。

どんなに話を振っても、アタシちょっと雨降りそうだから様子見てくるねー★といった具合に逃げられる。

嫌われた?…美嘉にここまで避けられるのも初めてかもしれない。

そういえば美嘉がうちに所属して暫く経って、オンリーワンより、ナンバーワンになりたいって言われた時は嬉しかったなぁ。

……うふふ。


裕美「うふふって微妙にプロデューサーさん壊れてない…?」

   パラッ

○月△日 雨

裕美と柚に大丈夫かと心配された。

裕美は心配性だからともかく柚に心配されるっていうのはヤバいかもしれない。

柚なんかは心配する前に元気付けるタイプだからなぁ。

明日になったら美嘉にきちんと謝ろうと思う。煽ったのは俺だし。

自分の中で切り替えが付いたらスッキリした。なんとなく手持ち無沙汰になり、裕美に教えてもらったアクセサリー作りを始める。

みくが初めて事務所に来た時落ち着かなくて作ってたのは紙飛行機だったっけ。最近だんだん器用になってる気がする。

出来たものは、莉嘉が欲しいと言っていたので全部あげた。俺が持っていてもどうしようもないものだし。


裕美「私が心配性って…」

裕美「ずーっと笑顔、笑顔って私に言ってたのプロデューサーさんなんだから心配するよ?」

裕美「ふふっ、何言ってんだろ私」

   パラッ

○月△日 晴

朝、開口一番に美嘉に声を掛けようと思っていたら美嘉の方から謝られた。

その手には莉嘉にあげたお手製アクセサリー、なぜか俺から美嘉へのプレゼントということになっていた。

隣で莉嘉がニヤニヤしていた。…莉嘉のやつ、変な所で気が効き過ぎである。正直に実は違うと言うと、姉妹の追いかけっこが始まった。

事務所で走り回る姉妹を見る皆の目が優しい。良い人達に恵まれたなと思う。

結局騒動の元になった衣装は返却が決定した。

別に惜しいとか思ってない。本当である。


裕美「…実は未練たらたら?」

   パラッ

○月△日 晴

みくがユニットが欲しいとのこと。

よく考えたらみくはうちに来てから長いけど誰かと組ませるってことが殆ど無かったな。

凛、卯月、未央のニュージェネレーション組と美嘉、莉嘉と美嘉の姉妹ユニット、柚は裕美に付けてるし…。

木場さんに限ってはみくと組んでる姿が想像出来ない。

俺が組んでやると言うとすっごく嫌そうな顔をした。

なんでお前は俺がボケると全力で引くんだよ。

お前、イヴと一緒に漁港ロケな。


裕美「あはは、プロデューサーさんと仲良いなぁ」

裕美「私にとっては凄い先輩なんだけどな…」

   パラッ

ちょっと更新遅くなった。
こんな感じで城ヶ崎姉妹の掘り下げでした。
これで一旦寝る。今日は丸一日お休み取れたからもうちょい頑張ると思う。

○月△日 雨

柚の、雨が降ってるからバドミントンしよっか!

の一言でなぜか事務所総出でバドミントンをする空気に。

仕方ないので近所の体育館の小ホールが開いているとのことなので借りてきた。

いつの間にかキャッキャウフフ組とガチ組に分かれていた。

君も運動不足だろう?という木場さんの計らいで俺もガチ組に。

柚、裕美、木場さんがガチ組らしい。正直裕美がガチ組は以外だ。

結局俺は殆ど勝てずに終了。ぐぬぬ。

木場さんは運動不足解消に誘うだけあって、明らかに俺にレベルを合わせながらギリギリ勝つくらいで調整してくる。

柚には完全に若さで負けた感じだ。ちょくちょく点数入れられるあたり頑張ればいつか勝てそう。

裕美に負けることはないだろうと思っていたが、器用にネット前にストスト落としてくる。

こっちが振り回しても息が上がらないし、昔はレッスンの度にゼーハー言ってたのが嘘のようだ。少し嬉しい。

負けてばっかりだったが楽しかった、またやりたい。


裕美「私だってこれでも成長してるんだよ…?」

裕美「最近やってないな、今度お休み重なったら誘ってみようかな」

   パラッ

○月△日 晴

明日インタビューが入るらしい。

なぜか俺に。

世の中の人々はプロデューサーという職業に興味があるらしい。

もうちょっと大きい事務所に取材したほうがTV映えすると思うのだが。

…散髪とかしといたほうがいいのだろうか‥あと髭剃り新しいの買っておこう。


裕美「プ、プロデューサーさんこの時点でテンパってる…」クスクス

   パラッ

○月△日 晴

インタビューの日なのに、結局一睡も出来なかった。

俺はあれか、遠足の前日に眠れない子供か。

アイドル達に睡眠はしっかり取れとかいっときながらこのザマだ。

結局インタビューにはうちのアイドルは可愛いですよくらいしかまともなことを喋らなかった気がする。

アナウンサーの貴方にとってのアイドルは?という質問に娘のようなものと答えたのは覚えている。

そう言いながらPCの検索履歴を見せたらアナウンサーが小さく吹き出した。経営などの堅苦しい検索履歴に紛れて

「思春期 娘 接し方」 「手作りアクセサリー 作り方」 「トナカイ 飼い方」 「バドミントン ラケット 子供用」

…笑われても仕方ない気がした。

アナウンサーの君は本当にアイドルが好きなのね。わかるわ。の一言がすっと自分の中に染み入っていった気がする。

確かに俺はアイドル大好きだ。

しかしながら、このアナウンサー美人さんである。


裕美「バドミントンラケット……?」

裕美「千佳ちゃんの使ってるちっちゃいラケットってプロデューサーさんがあげたのかな…?」

   パラッ

○月△日 曇

久々にブリッツェンと散歩。

最近忙しくて構ってなかったな。お前。

乗せてくれるというのでイヴを拾った河原を疾走。

こいつを外で乗るって法律的にどうなんだろうか。

というか意外とこいつ速い。普通に怖い。


裕美「わ、私もお願いすれば乗せてくれるかな…?」

   パラッ

○月△日 曇

どうやら以前のインタビューが放送されたらしい。

どう考えても黒歴史なので見ないことにしてたのだが。

凛がやたら構ってくる。私たち娘なんだ。ふーん。すっごい楽しそうにニヤニヤしてらっしゃる。

みくは子猫ちゃんだからあながち間違ってないって別に俺の子猫な訳じゃないからみくはいいです。

冗談抜きで恥ずかしすぎる。正直もう許して欲しい。


裕美「あれはあれでカッコ良かったよ?」

裕美「録画しておいたやつ後でプロデューサーさんに見せてあげようかな?」

   パラッ

○月△日 晴

…新アイドルが所属した。どうしてこうなったのか自分でもよく分からない。

名前は喜多日菜子。

また河原の周辺をブリッツェンと散歩していると、知らない女の子に呼び止められた。

白馬と王子様を一緒に見つけられましたむふふ♪…こいつが白馬に見えてるのか。

ブリッツェンに白馬とトナカイ、どっちがいいと小声で聞くと、白馬ではプレゼントを運ぶのにロマンがないであろう?とブリッツェン。

トナカイにロマンを語られる日が来るとは思わなかった。


裕美「…多分普通の人はトナカイと話すこと自体がないんじゃ…」

   パラッ

○月△日 晴

アイドルサバイバルまで時間が無いので口癖がむふふな彼女のアイドルサバイバル出場は見送りにしようと思っていたが、

彼女、素質としては相当のものを持っているようだ。全部トレーナーさんの受け売りだが。

そしてなによりあの周りを自分の世界に巻き込んでいくタイプ、イヴ以来である。

急げばアイドルサバイバルまでに間に合うだろうか…?

…彼女をプロデュース出来ることが結構楽しみだったりする。

…むふふ。


裕美「プロデューサーさんそういう娘好きだもんね」

裕美「むふっ……な、なんちゃって…」

裕美「……うぅ‥」

   パラッ

○月△日 雨

前にみくがユニットが欲しいとか言ってたので日菜子を付けてやる。

もうちょっと普通の娘がいいにゃあ!とか言ってたが大丈夫。お前も割りと普通じゃない。

なんだかんだで面倒見がいいやつなのでそんなに心配はしてない。

日菜子の方も、初対面の時に、猫ちゃんみたいな娘ですねぇ…むふふが止まらないですよぉ♪

って感じだったので多分害はないと思われる。

……多分。みくのキャラが喰われないことだけは祈っておく。


裕美「こういうのも凸凹コンビっていうのかな…?」

   パラッ

日菜子が所属してやっとこさお話が進みそうなので書き溜めしたり、少し話練ってきます。

○月△日 曇

トレーナーさんと木場さんによる、日菜子の集中トレーニングをやるそうだ。

新入りのしごきは軽く伝統と化している気がする。これがブラック企業か。

君も参加したがっているとみくから聞いたよって…。……これがブラック企業か…。ぐぬぬ。

おのれみく、計ったな。

お姫様は王子様と居たいみたいみたいだけどにゃ?って日菜子そんな期待した目で見ないで。

…今日は湿布と冷却材を買い込んで帰る。


裕美「‥結局流されちゃうのがプロデューサーさんだよね」

   パラッ

○月△日 晴

喉が痛い。

そうか、今回は木場さんのボーカルレッスンが入ってるから喉が痛いのか。

……なんで俺、ボーカルレッスンまで受けてんだろ。

木場さん曰く、喉で声を出そうとするとそうなるそうだ。

常日頃レッスンを受けているみくはともかく、日菜子も平気そうだし精進しなくては。


裕美「…レッスン受けることに抵抗なくなってる‥」

   パラッ

○月△日 晴

日菜子の初めてのステージ、ダンスレッスンの成果をお見せしますよ♪

と本人が言うだけあって規模は小さいながらもかなりの盛り上がりだった。

ステージ終了後にみくが立ち位置や歌い出しのタイミングの細かい指摘。

最後に、でも最初でここまでできるにゃらみくの相方にしてやるにゃ☆の一言。

なんだ、きちんと先輩出来てるじゃないか。

…明日のレッスン後になにか甘いものでも差し入れしてやろう。

洋菓子…?それとも和菓子の方がいいだろうか…?


裕美「やっぱり凄い先輩だ」ニコニコ

   パラッ

○月△日 晴

散々悩んだ末に結局差し入れがバラエティたい焼きに。

少し千佳の自宅に寄る用事もあったので手土産用に多めに、

あんこ、チーズ、カスタードクリーム、チョコクリームその他諸々片っ端から買っていった。

我ながら、中身的に洋菓子とも和菓子とも言えない感じの絶妙な着地点。

それにしてもたい焼き普通に食べていたが魚嫌いでもたいやきはセーフなのか。みく…。


裕美「なんでいきなりたい焼きって思ったけどそういうことだったんだ…」

裕美「…抹茶あずき味美味しかったな」

   パラッ

○月△日 雨

今日は事務所でイヴと二人きり。

以前は事務所住みのイヴと二人になることはよくあったのだが最近はめっきり減っていた。

最初の頃から大分人が増えましたね〜♪大体ブリッツェンのお陰だけどな。

一日中そんな軽口を叩き合った。

…こいつの女子寮の部屋は用意してるのに一体いつ使われるのだろうか。

移ったら移ったでちょっと寂しいかもしれない。


裕美「…多分使われないんじゃないかな?」

裕美「そういう関係‥ちょっと羨ましいかも…」

   パラッ

○月△日 雨

明日はニュージェネレーションのライブがある。

比較的所属したのがが最近な千佳と日菜子を連れて行くことに。

莉嘉、美嘉のライブを見せても良いのだろうが、

三人の強い要望でニュージェネレーションに。

お前ら千佳に対してお姉さん風吹かせたいだけだろ。


裕美「お姉さん風吹かせたいって…」

裕美「あ、あれ…?私も人のこと言えない…?」

   パラッ

oh…コテ記憶消してない

○月△日 晴

一日中千佳が妙にそわそわしていた。

凛、卯月、未央のLiveを見学させたのが効いたようだ。

あたしもりんちゃん達みたいにカワイイ女の子になってプロデューサーくんを世界一のプロデューサーにしてあげるねっ!

きっとラブリーチカに世界一にして貰える俺は幸せものなのだろう。

俺は俺でラブリーチカの魔法が解けないように頑張らないと。


裕美「世界一にしてあげるかぁ…」

裕美「私が言っても喜んでくれるかな?」

裕美「…それで笑ってくれればいいな」

   パラッ

○月△日 晴

凛、卯月、未央に影響を受けたのは千佳だけではなかったらしい。

朝からみくの周りをうろうろしては話しかける日菜子。

むふふ♪日菜子はいつでも王子様をお迎えする準備をしなくちゃですからぁ♪

なるほど、先輩から直接教えてもらうのが一番だもんな。

みくがちょくちょく助けを求める視線を投げかけてくるが無視する。

お前の相方だろ?しっかり世話してやれ。

一日中ニヤニヤが止まらなかった。


裕美「ふふっ、ひどいなぁ、プロデューサーさん」

   パラッ

○月△日 晴

笑顔でLIVEするよ!

つい笑ってしまった。そんなにムスっとした顔で見ないで欲しい。

いつも怒ってると思われてるんだ。そんな私がアイドルなんて…

と俺を振ったやつの台詞とは思えないな。と言うと、

スカウト断ったことを振ったって言わないでよ!と顔を真っ赤にして返してきた。

インタビューの時に言った娘みたいなアイドルって裕美が一番近いかもしれない。

世話焼きたくなるとことか。


裕美「ふぇっ!?わ、私っ!?」

裕美「そ、そんなふうに思われてたんだ」

   パラッ

○月△日 晴

アイドルサバイバルハロウィンまで後少し。

レッスンをアイドルサバイバル用に切り替えていく。

丁度いいタイミングで千佳の母親からの連絡が入ったので明日になったらブツを受け取りに行く。

日菜子のモチベーションが高いうちに本人に渡しておくべきだろう。


裕美「…ブツ?」

   パラッ

○月△日 晴

以前たい焼きを買った際に頼んでおいた日菜子のハロウィン衣装を引き取りに行った。

魔法少女衣装を見た時にも思ったがやはりこういう衣装作りに慣れてる。

お礼をどうしようかと迷っていたが、本人から娘のこと、ずっと見ててくれることがお渡しする条件です♪

と先回りされてしまった。

残念ながらもう俺はラブリーチカのハートビームにやられてますからと苦笑いしながら応えると満足したようだった。


裕美「千佳ちゃんのお母さん…凄いなぁ…色々と…」

   パラッ

http://i.imgur.com/4xGgVR2.jpg

ここで一旦切ります。
どうやら自分遅筆ってやつみたいです。
次か次の次の更新くらいでアイドルサバイバル突入したい。
おまけは全部書き終わった後に書くかもしれないけど多分日記形式にはならない。

修正
>>17
△案の定河川敷ででビクビクしていたので拾って帰る。

○案の定河川敷でビクビクしていたので拾って帰る。
>>50
△飴玉みたいのが大量に入っってたのもあったな。

○飴玉みたいのが大量に入ってたのもあったな。


ありがとう。最近仕事忙しくて少し焦ってた。
書いてきます。

○月△日 曇

日菜子に出来上がったハロウィン衣装を渡してやる。

小道具にステッキが付いていた。この衣装作者の趣味全開じゃねーか。

これで日菜子の王子様も日菜子に釘付けですね。むふふふふ♪

よく分からないが気に入ったみたいで何よりだ。

凄く可愛いぞ、と褒めてやる。

なぜか真っ赤になって俯いてしまった。


裕美「…私にはそんなこと滅多に言わないくせに‥」

   ペラッ

○月△日 曇

朝から頭のなかがポヤポヤして熱っぽい。

まぁ、このくらい問題ないだろうと思い事務所に行くと十分と保たず、木場さんにバレた。

しかもそのことがあっと言う間に事務所中に広まってしまった。

たいしたことないからと言うと、凛に、へぇ、千佳に風邪移したいんだ?の一言でバッサリ。

そんなこと言われたら流石に引き下がらざるを得ない…。

日菜子が喉乾いてません?お、王子様に口移しで風邪薬……むふふ♪

とか言ってた気がするが多分俺の幻聴だろう。帰って薬飲んで寝よう。


裕美「…風邪引いたくらいで幻聴は聞こえないと思うよ」

   パラッ

○月△日 雨

一晩寝れば、良くなるかと思ったがまだ微妙に熱っぽい。

このくらいなら誤魔化せば行けると思い、事務所に入ると体温計を構えた柚に捕まる。

だ、大丈夫!平熱だから!と言うと、

プロデューサー、アタシと今からバドミントンするのと体温計くわえるのどっちがいい?

……素直に体温計くわえときます…。この状態でバドミントンしたら死んじゃう。

結局微熱が残っていたので、事務所のイヴの部屋に軟禁された。

結局イヴの布団を借りてしまって気が気でなかったが、横になるとスッと寝入ってしまった。

起きた時にイヴが隣に寝ていて死ぬほどビックリした。

私の部屋なんですから全然おかしくないですよぉ〜☆

…そうでした。なぜか枕元に、昔どこかになくした俺のシャツとズボンの着替えが置いてあった。

あれ、着替えってなくしたんだったっけ…?あまり覚えてない。


裕美「もしかして、まだ二人共プロデューサーさんのシャツとズボン持ってたの!?」

裕美「う、うん…なくしたってことにしておいたほうがいいんじゃないかな…?」

   パラッ

○月△日 晴

熱が今度こそ下がったと言っても安静にしろとアイドル達に出社拒否される。本当なのに…。

おとなしくしていようと思っていても、気になって気になってしょうがなくなり卯月に電話。

時間は合っているか、仕事は順調か、俺が居ない間何かなかったか。聞きたいことは山ほどあった。

嘘つきさんには何にも教えてあげません。つーんっ!

の一言で電話を切られる。

卯月…卯月が……。…うづきぃ……。


裕美「卯月さん、優しいほうだよ」

裕美「それに私だってこれでも結構怒ってたし…」

裕美「…あんまり無茶しないで欲しいな」

   パラッ

○月△日 晴

今度こそ完全回復。

事務所に行くと、卯月が俺に背中を向けながら、今回は許してあげます。次はないですよ?

……ありがとう。

我らニュージェネレーションは頑張るプロデューサーの味方だもんね!

おちゃらけているようでいつもお前には助けられてるよ。未央。

え、私もその味方枠入ってるの…?

凛…お前、俺の味方はそんなに嫌か。


裕美「…凛さんってプロデューサーさんの反応見て楽しんでるよね‥」

   パラッ

○月△日 曇

久し振りにみくに会ったらみくがおかしい。

みくはご主人様を探す猫ちゃんなのにゃ!…にゃふふ♪

……日菜子にキャラ喰われるなってあれほど言ったじゃねーか。

斜め45度から小突いたら元に戻った。お前は昔のTVかよ。

元気になったかにゃー?お帰りにゃさい!Pチャン!

…お前らのプロデューサーは幸せものだよ。


裕美「…お帰りなさい、プロデューサーさん」

裕美「って日記だったねこれ‥あはは」

   パラッ

一旦切ります。
こんな感じで焦らずゆっくり書いていこうかと。
みくにゃんは可愛いです。

○月△日 晴

あと少しだ。

俺が新人の頃、夢見た舞台まで。

思ったより時間が掛かってしまった。きっとこれがラストチャンスだろう。

彼女達は俺の予想を軽々と飛び越えていく。

これを逃せばきっと彼女達はその枠には収まらなくなる。

イヴにだけは唯一仕事を手伝って貰う際に、一から企画を練った新たなアイドルサバイバルの概要を話したが、

凄くプロデューサーらしいですねぇ〜。と楽しそうだった。

当たり前だ。誰が一から企画したと思っている。ちょっと嬉しい。


裕美「私も参加したアイドルサバイバルの話…なんだよね?」

裕美「……?」

   パラッ

○月△日 雨

みんなでアイドルサバイバルに向けた合宿がしたいらしい。やる気があるのはいいことだ。

しかしながら、なぜ事務所でやるんだ。事務所でいいなら寮でいいだろうが。

こういうのってわくわくしますねぇ〜♪元々事務所に住み着いてるやつが何を言ってるんだ。

千佳も参加するようならきちんと千佳の母親に話通しに行かなくちゃだな。

日菜子の衣装、本人も喜んでたってきちんとお礼も言っておこうと思ってたし、丁度いいかもしれない。

いやぁ、なんか学生みたいで微笑ましいですね。と木場さんと話していたのだが、もちろん君も頭数に入ってるぞ?

……どういうことだ。というか普通そういうのに男が入っていくって嫌がられるだろ。

プ、プロデューサーさんもだったの!?

…裕美、お前がきちんと女の子やっててお父さん嬉しいよ。


裕美「勝手にお父さん増やさないでよっ!」

   パラッ

○月△日 晴

合宿初日。

今日は門限無いから遊び放題だねーっ☆城ヶ崎家、結構しっかりしているらしい。

レッスン気合い入れてこーっ!柚がやる気満々、莉嘉がガッシと腰から抱き上げられ、あっという間に拉致されていった。

…頑張れ莉嘉。

柚は姉レベル高そうだねー★と美嘉。

……姉レベルって何?

アイドルサバイバルの会場に出向いての準備があったので今日はあまりこいつらを見てやれなかったことが残念だ。

事務所に戻ると、木場さん以外、全員寝間着に着替えて眠っていた。そんなハードだったのか。

こんな機会滅多にないので、簡単なつまみとお酒を買ってきて二人で一杯やる。

この人との会話は打てば響く感じが実感できて楽しい。

君はいつも楽しそうで一緒にいて飽きないよ。

そう言って貰えるだけでありがたい話だ。いつかのアナウンサーも言ってた通り、俺はアイドルが好きだから。

しかしながら、日記自体を事務所に置いてるので書くタイミングを図るのが無駄に大変。

書かなくてもいいような気もするが、習慣っていうのは恐ろしいものだ。


裕美「私も起きてれば…お酒まだ呑めないけど‥」

   パラッ

○月△日 曇

合宿二日目。

今日はじっくりみんなを見てやれるな。と言うと、なぜか嬉しそうなトレーナーさん。

な、なんで男物のジャージなんて持ってるんです…?

いやだっ!俺はレッスンなんてしないぞっ!

…柔軟とか体それ以上曲がらないんです。押さないでください。お願いします。

凛、面白がって思いっきり背中押さないで、痛い痛い痛い!


裕美「これ、自分で書いてるんだよね?」

裕美「…やっぱりそんなに嫌がってない?」

   パラッ

○月△日 晴

合宿三日目。

平然とみんな寮で洗濯したり、荷物を取ってきたりしている。

正直もはや合宿なのか怪しい。

次はゆずちゃん描いてあげるねー!へへっ、可愛く描いてね?

こんな具合に千佳と柚がなんかやたら仲良くなってる。

…哀れ、裕美…二人の後輩に見捨てられたか…。


裕美「べ、別に捨てられた訳じゃないって!」

裕美「それに、私、その前に千佳ちゃんに描いてもらっただけもん!」

   パラッ

仕事なので一旦切ります。
凛ちゃんの茶目っ気がヤバい。

>>38
訂正
△抱き上げてブリッツェン乗せてやる。

○抱き上げてブリッツェンに乗せてやる。

今日で終わりでごぜーます。
長い間お付き合いありがとうございました。

○月△日 雨

合宿四日目。

ハードなレッスンにより、俺も健康な体を手に入れたような気がする。

機敏に動けるプロデューサーになれそうだ。

……誰が得をするんだろう。

そろそろ疲れてきたから合宿はお開きかなー?

未央のそんな一言で本日合宿最終日に決定。

誰も反対しないし、割りと長期間の合宿もどきだったので疲れたのだろう。

しかしながら、なぜか夕食が闇鍋。

鍋はスリル、ショック、サスペンス〜♪

待って、その替え歌やめて卯月、それ確実に誰か死ぬから。

凛、目が死んでる。

噛んだ時にぶにゅぶにゅしてて‥甘くて……

……正直思い出したくない。


裕美「鍋……闇鍋……思い出したくない…」ヒクッ

裕美「ごめん、次やるときは逃げるね…」

   パラッ

http://www.youtube.com/watch?v=ZeLXrbbHQko

○月△日 曇

明日だ。

とうとうアイドルサバイバルハロウィンが始まる。

朝起きた時からそわそわしてしまってどうしようもないので、ブリッツェンを散歩に連れ出した。

そのように落ち着きがないようでは我が主は任せられんぞ。

…ごもっともです。精進します。

午後になって大分落ち着いたので、明日の準備や、アイドルたちとの打ち合わせをした。

自分が直接立つわけではないが、自分の用意した舞台で、自分の育てたアイドルたちがスポットライトを浴びるのだ。

わくわくしないはずがない。

もっとも、殆どのアイドルたちは誰が用意した舞台かなんて知らないままだが。


裕美「やっぱり子供みたいだね、プロデューサーさん」

裕美「次の日がアイドルサバイバルかな…?」

   パラッ

○月△日 晴

新人の頃から捨てられなかった夢が一つだけあった。

お年寄りが少し離れた場所から、ハロウィンの仮装衣装で会場を走り回り、歌って踊るアイドル達を優しい目で眺めている。

子供連れの夫婦の父親が娘に肩車をして彼女たちのステージを見せてやっている。

ニュージェネレーションに下克上にゃ!みくの魅力でみーんなイチコロかもにゃ?

流石みく、期待を裏切らない。早速身内にLiveバトルを仕掛けやがった。いいぞ、もっとやれ。

仕方ないので日菜子もセンパイにお付き合いしますよぉ〜♪

凛、卯月、未央がギョっとした顔でステージを飛び出して会場にあらかじめ複数設置された即席ステージを駆けまわる。

追いたてるようにみくと日菜子が追随する。観客も走り回るアイドルを追いかけてステージを転々とする。

逃げることを諦めた三人がみくと日菜子に立ち向かう。

私たちが一番楽しんじゃいますからっ!

そうだ卯月、そのためだけに用意した舞台だ。観客とアイドルたちの距離を限りなく近くしたイベント。

新人だった頃に俺が抱いていた夢は今、お前らが叶えてくれている。

いずれ彼女たちはトップアイドルになるのだ。そしてそうすると約束した。

きっとこれ以上人気が出てしまえばこんな派手な真似は出来ないだろう。

この夢が叶うにはきっとこれがラストチャンス。


裕美「これがプロデューサーさんの夢…」

裕美「…私たち、叶えてあげられたのかな…?」

   パラッ

○月△日 曇

莉嘉と美嘉が連戦連勝。

やっぱりこの二人はユニットとしては、ニュージェネレーションの三人と同じく頭一つ抜けている。

前にもオンリーワンよりナンバーワンになりたいって言ったっしょ〜★

嬉しくて自然とニヤけてしまった。

それなら私がお相手しますね〜、たまには先輩の意地、見せちゃいます〜♪

イヴが自分のこと先輩って言うの初めて聞いたかもしれない。

ふむ、それなら私はこちらに加勢するとしようか、こういういたずらもありだろう?ハロウィンだしな。

最高のいたずらだ。イヴと木場さんが組む所が見られるなんて思わなかった。

あくまで自然体で唄うイヴに同調するように声を重ねていく木場さん。

観客もその異色のコンビに影響されて自然と集まっていた。

お姉ちゃん!楽しそうに見てないでこっちも頑張らないと負けちゃうよぉー!

イヴと木場さんは強いだろ?頑張れよ。莉嘉、美嘉。


裕美「結局どっちが勝ったんだろう‥?」

裕美「…あとで本人に聞いてみよう」   

   パラッ

○月△日 晴

裕美と柚は朝からLiveバトルを繰り返している。

というか柚が裕美を各地に引っ張りまわしながら強そうな相手に片っ端からLiveバトルを挑んでいる。

俺が見つけた時には、休憩していたのか、ステージ裾で飲み物を飲んでいた。

見られていることに気づくと柚は小さく舌を出し、裕美が一瞬俯いてすぐ顔を上げる。

……何なんだ‥?

一瞬真剣な顔をしてこっちを見たかと思えばステージに飛び出し、今度は微笑みながら歌い出す。

一テンポ送れて柚が笑いながら裕美の後を追いかけ、歌い出す。

勝負する相手がいる訳でもないのに歌い出した二人の周りには少しずつ人が集まっていた。

歌が終わる頃には沢山の観客が両の掌を打ち合わせ、拍手を送っていた。

呼び寄せたのは観客だけではなかったのか、他の事務所のアイドルたちにLiveバトルを挑まれ出した。

ほら、お前らの実力で呼び寄せたライバルたちだ、しっかり相手してやれ。


裕美「私、変われたってきちんと証明出来たかな……?」

裕美「…成長したって思ってくれてたらいいな」

   パラッ

○月△日 晴

アイドルサバイバルハロウィン三日目。

千佳の体力を考慮して、彼女の参戦は三日目と最終日の二日間のみとした。

一日目と二日目も短時間だけ参戦させるのも良いかと思ったが、どうせ一度参戦させたらセーブさせるなんて無理だろう。

案の定、小さな魔女さんはいつも全力投球だ。全身でラブリーチカを表現する。

今日はーあたしがー主役ー♪

その通りだ。しっかり見てるぞ。

ふと歓声がして、隣のステージを見てみると、みく、日菜子と凛、卯月、未央のLiveバトルだった。

観客が一日目から五倍程度に膨れ上がっている。

今回の勝ちで私たちがリードしたよ?

むふっ、まだ負けと決まった訳じゃないですよぉ…?

…まさか、三日間ずっとやってたの?


裕美「もしかして三日間他のアイドルとLiveバトルしてないんじゃ…」

裕美「…流石にそれはないよね‥?」

   パラッ

○月△日 晴

アイドルサバイバル最終日。

といっても、午前中だけのぶっちゃけた話ファンサービスだ。

裕美が小さな女の子に話しかけられていた。

彼女の後ろに控えている二人の男女がきっと彼女の父親と母親なのだろう。

きゅうけつきさんってどんなごはんたべるの?えっと…血かな…?

おー、うろたえてる、うろたえてる。

それいがいたべられないの‥?ト、トマトジュースも飲めるよ…?

くっ…ふっ…。口元を押さえて笑っている柚。流石だな。助けなくていいタイミングを分かっている。

のみものしかのめないのかわいそう…。じ、実はケチャップかければだいたい食べられたり…?

柚と後ろに控えていた女の子の両親が堪え切れずに吹き出した。

……締まらないなぁ。そう思いながら俺も結局笑ってしまった。


裕美「うぅ、かわいそうって言われてつい…」

裕美「それにしても、私の出てるところだけにしようと思ってたのに大分読んじゃった…」

裕美「ごめんなさい、プロデューサーさん……」

ヒョコッ

イヴ「おはようございますぅ〜」

裕美「ひゃっ!?」パタンッ

イヴ「あれ?今日はお早いんですねぇ〜♪」

裕美「イヴさんこそお早いんですね…?」

イヴ「朝から掃除機の音が聞こえたので起きちゃいましたぁ〜♪」

裕美「す、すいません…」

イヴ「いいんですよぉ〜」

イヴ「綺麗になると気持ちが晴れ晴れしますからぁ〜」

裕美「あははっ、と、とりあえず掃除機片付けちゃいますねっ!」

タタタッ
    トンッ
       バサッ

イヴ「プロデューサーの机の上の物落としましたよぉ〜?」

イヴ「……ってもう行っちゃいましたぁ…」

イヴ「しょうがないですねぇ〜♪」

ヒョイッ

イヴ「なんでしょうこれ?」

イヴ「落ちた時にページが曲がっちゃってますぅ」

イヴ「……きちんと伸ばしておいてあげましょうかぁ」

   パラッ

○月△日 晴

今回のハロウィンのお仕事、楽しかったよ。

裕美のその言葉が俺にとってはなによりも嬉かった。

俺の叶ったばかりの小さな夢を彼女は知らない。知らないからこそ、そこに嘘はない。

もちろん彼女が嘘を吐く娘だという訳ではない。

きちんと笑えてたよね?今回は笑顔、百点満点かな?

まだまだだな。と頭をポンポン叩いた。

不満そうな目でこっちを見ていたが気にしない。

きっと初めて百点満点をあげるのは彼女がトップアイドルになった時だから。


イヴ「………」

イヴ「…もしかしてこれって…」

   パラッ
     パラッ

【プロデュース日記】



イヴ「プロデューサーの日記ですかぁ〜?」


END

長い間お付き合いありがとうございました。

関ちゃんのステマ書いてたつもりが恐ろしく脱線したような気がします。

おまけは書いたら蛇足感が酷かったのでやめときます…。ごめんね‥。

イヴちゃんが再SR化して嬉しい。関ちゃんがSR化したら起こしてください。

乙!
他に何か書いてたら読みたいかなーって

>>157
普段そんなに書かないのでそこそこ長いのはこれで全部かと。

モバP「性格を書き加えるブローチ?」泉「はい」
晶葉「待たんかこの鬼ぃぃ!」モバP「ひぃぃぃ!」
まゆ「まゆもぷちが欲しいです」晶葉「…は?」
モバP「あの頃はせんせぇって」まゆ「はいはい」
桃井あずき「あずきのお花見大作戦!」

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