女「屋上サボり同盟」(10)
《屋上》
女「……あー、ダルい……マジでダルい」
女「何が『学園のアイドル』よ……勝手に手前の想像押しつけんなっての……」
女「まあそりゃ私は顔も良ければ実家は金持ち、何でもそつなくこなせる天才肌と来てるけどさ」
女「だからって……こうしかないってイメージで当て嵌められても困るんだよなあ……」
女「あー……屋上でのサボりだけが私の癒しだわ」ハァ
男(先客がいると思ったらなんだあいつ……)
女「……はぁあああああ……」
男「……長ぇ溜息だな。こっちの気も滅入る」
女「!?」
女(ヤバい、全部聞かれた!?)
女(――ってか、私は何をヤバいと思ったんだ)
女(学園のアイドル(笑)にあるまじき呟きを漏らしたから? 思考が支配されてんじゃないのよ)
女(あー……あほらし)
男「あんたもサボりか?」
女「……んじゃ、あんたも?」
男「まーな……」
女「……どっかで見た事ある顔ね、あんた。もしかして同じクラスじゃなかった?」
男「さぁ?」
女「私の事は知らない? 2年C組なんだけど」
男「ああ、だったら同じクラスだな。あんたのことは知らねぇけど」
女「ほー、この学園で私の事を知らない輩がいるとはねェ……」
男「なんだ、さっきの独り言の話か? 学園のアイドルだとか何だとか」
女「ぐっ……聞かれてたか」
男「自意識過剰なんじゃねえか?」
女「事実よ事実。残念ながらね」
男「贅沢な悩みだな」
女「楽じゃないのよ。学園のアイドル()ってさ」
女「成績優秀。公明正大で誰にでも優しく教師の頼み事は何でも聞く優等生」
女「女さんはこうあるべきだ。学園のアイドルなんだから」
女「……奴ら、本気でそう思ってやがるのよ」
男「んじゃ中身は違うのか」
女「ったりまえでしょ。まあ成績優秀なのは事実としても、人の好き嫌いだってあるし教師の頼みはクソめんどいわよ」
男「くくく……その言葉遣いもか?」
女「あー、そうそう。これがデフォ。でもアイドル()はもうちょっとお淑やかだわ」
男「へぇ……大変だなぁ」
女「おー、その超どうでもよさそうな感想マジで痛み入るわ」
男「事実どうでも良いしな」
女「ケッ……」
男「今のお前の姿を録画してバラ撒いたら楽しそうだな」
女「あー、わかるわ。でもそんなことしたらまずあんたが信者にボコられるわね」
男「は? 信者?」
女「私、ファンクラブもあるらしいのよ。詳しい事は知りたくもないけどさ」
男「あんたそんな有名人なのか。知らなかった」
女「あんたマジでここの生徒?」
男「お前を知ってなきゃ人じゃないみたいな言い方やめろ」
女「この学園においてはそれもある意味事実だと思うけどね」
男「マジか……」
女「まーでも、私を知らない方が楽で良いわ。意外だし、何より気にすることがないし」
男「へぇ、そうかい」
女「折角だし自己紹介しとくわ。私、女っての。あんたは?」
男「男だ」
女「そ、じゃあ男。あんたって基本サボってんの?」
男「まぁな」
女「いいわねえ自由気ままで……」
男「お前もサボってんだろ」
女「体調悪いって嘘ついてきたのよね。そう何度も使えるわけじゃないしさ……」
男「あぁ、なるほど」
女「あーでも、生理が重いって言ったらどうにかなるかな」
男「おい学園のアイドル」
女「気にしない気にしない」
男「あんたがそれならそれで良いけどな……」
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