女騎士「貴様、そこで何をしている」 (269)



男「…」さっさっ


さっさっさっさっ


男「ふぅ…ここら辺の掃除は終わったな」

男「このお城の掃除は広くて大変だなー…
まぁ給料がいいから文句なんて言えないんだけど」



女騎士「貴様、そこで何をしている」

男「は、はっ!掃除をしておりました!」

女騎士「ほう、私の見間違いなのだろうか
私が見た貴様の姿は、壁にもたれ掛かりボヤいていたぞ」

男「お見苦しい姿を見せてしまい、申し訳ありません!」

女騎士「ふむ、あまりサボるでないぞ」すたすた

男「ご助言ありがとうございます!
以後気を付けます!」
(嫌なところを見られちゃったなー、これからは気を付けよう…)




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夕方


男(ふぅ…ようやく終わった
早く帰って母さんのご飯作らなきゃ)すたすた


兵士1「あれー?男くんじゃーんどこ行くんだよー」

男「お疲れ様であります、今から帰路につこうと思っております」

兵士1「そう堅くなんなよー、というかさ」



逃げんなよ?


男ゾクッ


兵士1「今日もたっぷりといじめてやるからさ、ほら付いてこいよ」すたすた

男「は、はい…」すたすた



お城-とある部屋-


兵士1「今日は俺一人じゃねーんだよー」

兵士2「おせーよ兵士1ー」

兵士1「悪ぃ悪ぃ、このクソ野郎がトロくて、さっ!」バキッ

男「ぐっ…」ドサッ

兵士2「おーおーいきなり顔にパンチかよ、じゃ俺も遠慮なく!」ドゴォ

男「かはっ…」

兵士1「おいおい、ペース早くねーかー?あんまり腹蹴ってるとゲロ吐かれて臭くなるんだよ」ドゴォ

兵士2「あ、そうなん?じゃあ死んだら困るし腕とか足だけにしとくか」バキッ

男「や、やめてくだ、さい…」

兵士1「貧乏人が兵士様に口聞いてんじゃねーよっ!」バキィッ

男「うぐっ」

兵士2「ははっ、兵士1の言ってた通りこれはいいストレス解消になるわ」ドゴォ

兵士1「だろー?これから暇なときに遊んでやれよなー」バキッ

兵士2「はははっ!」バキッ

男「くっ…」


男家-居間-


男「ただいま…」

母「あら、おかえりなさ…その怪我どうしたの?大丈夫?」

男「あ、いやこれは、そのー…」

母「まさか誰かにやられたの?」

男「そ、そんなわけないじゃん!
今日ちょっとお仕事で怪我しちゃってさ、でも大丈夫!
ほらっ俺って丈夫だから!はははっ」

母「そう?それなら良いんだけど…
本当に怪我は大丈夫なの?」

男「大丈夫だよ!それより遅れてごめんね、すぐにご飯作るからさ」

母「無理しなくていいんだよ?」

男「何言ってんだよ母さん、それに最近寒くなってきたし横になってないと身体悪くなるよ?」

母「なんのこれしき!私は大丈夫!ごほっ」

男「ほら咳してるじゃん!何が大丈夫だよ、いいから横になってて
ご飯出来たら持って行くからさ」

母「むぅ…」

男家-寝室-


男「母さーんご飯出来たよー起きてるー?」

母「起きてるよー、この匂いは野菜のスープ?」

男「相変わらず匂いで何でもわかっちゃうんだね」コト

母「主婦になったらわかるのよ」

男「じゃあ俺は一生わかんないかもなー、ははは」

母「そうねー、もし男くんが主夫なんてなったらその時は死んだお父さんに頼んで説教してもらわないと」

男「ははは…父さんは死んでもおちおち寝てられないね…
そんなことより冷めちゃうから早く食べよっ」

母「そうね、いつもごめんなさいね、こんな私の為に」

男「良いんだよ、病気何だから仕方ないだろ?
あと、今からご飯何だからそうゆう話はしない!」

母「そうね、じゃあいただきまーす」

男「いただきまーす」

母「ふぅ、美味しかったわ
ごちそうさま」

男「お粗末様です
あ、薬持ってくるから待ってて」



男家-居間-

男「あれ、もう薬一つしか無いや」ガサゴソ

男(明日給料貰える日だし、仕事終わったら薬貰いに行かないと…)

オクスリアッター?

男「あるから大丈夫だよー、今持ってくー」


男家-居間-


男「さて、洗い物も終わったしそろそろ寝ようかな」

男「しかし、そろそろこのおんぼろソファーで寝るのも大変になってきたなー…」


ソファー「おんぼろぼろ」


男「まぁでも文句は言ってられないや、これを買う余裕があったら母さんに薬買ってあげなきゃいけないし」

男「こんな時に父さんが生きてたらなーって思うよ」

男「無い物ねだりだな…寝よ」バタンキュー



母(ごめんね…)すたすた


翌日-夕方-
城-事務室-


事務員「はい、お疲れ様、これ今月の給料ね」

男「ありがとうございます」

事務員「これからもう帰るのかい?」

男「はい、早く帰らないと薬が買えないんで」

事務員「薬?確かに傷はあるみたいだけど…」

男「あ、いえ、僕の薬ではなくて母親の薬を」

事務員「なるほどねー、なんて親孝行だ…感心するね」

男「ははは、そんなことないですよ
実際今も結構キツキツな生活ですから」

事務員「そうか、それじゃあ一緒に飲みに行こうと思ったけど無理そうだ」

男「すみません、いずれ余裕が出来た時にこちらから声を掛けさせていただきます」

事務員「そんなかしこまるなよ、まぁでも頑張りなよ」

男「はい、ありがとうございます
では失礼します」ぺこり


城下町-大通り-


男「はぁっ…はぁっ…」タッタッタッ
(薬間に合うかな…)



兵士1「くっそー給料貰ったばっかなのに全部すっちまった!」

兵士2「ははは、お前ばかだよなー
だからあそこで引いてろって言ったのに」

兵士1「うっせーよ」

兵士3「ん?あれって…」

兵士1「どうした?お?男じゃん良いところにいた」

兵士2「まさかお前あいつから金まで取るつもりかよ、ひでーな、はははっ」



兵士1「おーい男ぉー」

男ビク

男「は、はい、何でしょうか」

兵士1「そんなに走ってどうしたよー、ええ?」

男「あの、すみません急いでるんで…」

兵士1「まぁまぁ、いいじゃんよ、ちょっと飯くらい奢れよ」

男「すみません、僕貧乏人ですからお金なんて…」

兵士2「じゃあこの袋はなんだよー」バッ

男「そ、それはっ!」

兵士1「んー、シケてんなぁー、まぁこれだけありゃ飯は食えるか」

男「か、返してください!」

兵士1「ああ?てめぇ、誰に向かってそんな口聞いてんだよおい」

兵士2「まぁまぁ落ち着けよ
今度返すからさ、これ少しの間貸してくれよ」

男「か、貸せません…」

兵士2「んー?ちょーっと何を言ってるか聞こえなかったなー」

男「そのお金返してください!」バッ

兵士2「おっとぉ、そう簡単に返すわけねぇだ、ろ!」バキッ

男「ぐぁ…」バタ

兵士1「お前それじゃあ強盗じゃねえーか」

兵士2「良いんだよ借りただけだからさ」



あはははははははは


男(くそ…っ)

兵士1「お?やるのか?」

男(父さん…ごめんなさい…)

兵士2「返り討ちにしてやるよ貧乏人」





待て!


男「!」
兵士12「「!」」


女騎士「貴様らここで何をしている?」

兵士1「は、はっ!
親交を深めようとこの男と談笑をしておりました!」

女騎士「ほう…殴ることが親交を深めることに繋がるのか?」

兵士2「い、いえ…お言葉ですが、じゃれ合っていたのです!」

女騎士「ふむ、あまり過度なじゃれ合いはよせ
周りから見ればそれはただの暴力に見えかねん」

兵士2「し、失礼しました!」

女騎士「まぁいい、早く去れ」

兵士12「「はっ、失礼します!」」タッタッタッ


女騎士「大丈夫か?」

男「あ、ありがとうございます」

女騎士「何があったんだ?」

男「そ、それは…」

女騎士「…」

男「…」

女騎士「言いたくないのであれば無理に言う必要はない、ただ気を付けろよ」すたすた

男「お、お気遣いありがとうございます」

城下町-商店街-

男「どうしよう、お金取られたまんまだ…
このままじゃ薬買えない」

男「とりあえずご飯作りに一旦家に帰ろう」



男家-居間-


男「ただいまー」

母「おかえりなさい、今日は遅かったわね」

男「ちょっと事務員の人と話が盛り上がっちゃってさ
すぐにご飯作るね」がちゃがちゃ

母「あら、事務員さんと仲が良いの?」

男「いや、今日初めて話し掛けられたよ
一緒に飲みに行かないかーって」

母「行かなくてよかったの?」

男「ははは、この貧乏家にそんな余裕は無いから断ったよー」

母「ごめんなさいね…」

男「い、いや別に余裕があっても無くても行かなかったっていうか!
ほら!初対面だから行きづらかったしさ、ははは」

母「そうゆうところはお父さんに似たわねー」

男「お父さんと違ってひょろひょろで悪かったねー」

母「そうよ!あの人みたいにムキムキにならなきゃ!」

男「ははは、僕には無理だよ」

男家-寝室-


母「ご馳走様です」

男「お粗末様です
あ、ちょっとだけ出掛けてくるね」

母「あら、どうしたの?」

男「ちょっとだけ散歩でも行こうかなーって」

母「んー、女?」

男「あはは、ないない
ちょっと行くところがあってさ」

母「いくら城下町って言っても外に出たら魔物がいるんだから気を付けなさいよー?」

男「わかってるってー、じゃあいってきまーす」

母「はいはい、いってらっちゃい」



バタン



母「薬でも買いに行ったのかしら?」


城下町-商店街-

男(まだそんなに夜も遅くないし、いろんなお店で頭下げよう)




男「あのっ僕をここで働かせてもらえませんか!」ぺこり

武器屋「おー、そりゃ助かるねー、ここもちょっと人出が足りなかったところでさー」

男「ほ、本当ですか!?」

武器屋「ああ、こっちは嬉しい限りだよ」

男「あ、あの、でも一つお願いがありまして…」

武器屋「お願い?」

男「はい、給料の前借りってできませんかね…」

武器屋「あん?あー、金だけ取って逃げるやつか
あーすまんけど他当たってくれ」

男「お願いします!必ず働きますから!絶対に給料分の働きをします!」

武器屋「あのねー、世の中そんなに甘くないんだよ
初対面の人間にほいそれと金を貸せる奴がこの世の中にいると思うか?
いるとしたらそいつはとんでもないバカかお人好しだけだよ」

男「それでも!」

武器屋「だめだめ、うちで盗まれても良い物はこの店を作った時に背負った借金だけだよ
ほらさっさと行きな」

男「夜分遅くにすみませんでした」ぺこり



男「お願いします!」

道具屋「無理」



男「お願いします!」

商人「ちょっと厳しいかなーっなんて」


男「お願いします!」

宿屋「とっとと失せな!」


城下町-とある橋の上-

男「やっぱり無理だよなー…」ぐてー

男「初対面の人にお金貸してもらうなんて無理な話だったんだ
でも本当にどうしよう…」


男「はぁ…どうしてこんな生活になったんだろ」


男「…」


父『母さんを守れる強い男になると約束しろ』


男「約束は守るもんだよな…
こんなところで諦めてちゃだめだ…
まだ商人街の方には行ってないし」すたすた

女騎士「ん?貴様は先ほどの」

男「お、女騎士様!」ビシッ

女騎士「ああ、今は勤務外だからそうかしこまるな」

男「で、ですが…」

女騎士「私が良いと言っているんだ」

男「は、はい」

女騎士「こんなところで何をしているんだ?
まだ家に帰ってなかったのか」

男「あ、いえ、ちょっとだけ用事がありまして」

女騎士「ふむ、用事か、それはすまない事をしたな引き止めてしまって」

男「い、いえ
あの女騎士様は今からご帰宅で?」

女騎士「いや、私の家、もとい部屋は城内にある」

男「では何故?」

女騎士「少し買い物をな」ドッサリ

男「す、凄い量の買い物袋ですね…」

女騎士「うむ、少し料理なる物をしてみようと思ってな」

男「料理…ですか?」

女騎士「ああ、いつもは城の料理人が食事を振舞ってくれるのだが、上司がうるさくてな」

男「はぁ…」

隊長『お前はもう少し女として振舞う事は出来んのか
せめて料理くらいできるようにしておけ』

女騎士「私は女である前に騎士なのだから必要無いと言っても、聞く耳を持たなくてな」

男「大変何ですね女騎士様も」

女騎士「ん、先ほども言ったが私は今勤務時間外だ
様付けなんてやめろ」

男「す、すみません!
えーっと…女騎士…さん?」

女騎士「うむ、それでいい
しかしこれは飽く迄、勤務時間外だけだ
もし城でその様な呼び方をしたら他の物に示しが付かなくなるのでな」

男「あ、はい」

女騎士「して、先ほども聞いたが用事とはなんだ?
まさか私に言わせておいて、自分は言わないとは言わんよな?」ニヤニヤ

男「は、はめられた!?」


女騎士「ははは、冗談だ気にするな」

男「いえ、別に隠す様な事でもないので」

男「実は今仕事を探していまして」

女騎士「仕事?前に城内で清掃活動をしているのを見た覚えがあるのだが、まさか?」

男「いえ、クビにはなってません
ただ少しお金に困ってまして…」

女騎士「ふむ」

男「ここで女騎士さんに会うまで商店街の方でずっと頭下げていて
今から商人街の方に出向いてまた仕事探しですね」

女騎士「なるほどな、今の給料じゃ物足りないのか?」

男「い、いえ、物足りない訳ではないんですが…
少しいろいろとありまして」

女騎士「そうか」

男「はい…」

女騎士「…」

男「…」

女騎士「どの位あればいい?」

男「はい?」

女騎士「二度も言わせるな、どの位の額が必要なのか言ってみろ」

男「あー、えっと、10万Gくらいなんですけど」

女騎士「10万Gか…」

男「出来れば今すぐに欲しいんですよね…
給料の前借りを頼みながら仕事を探してるんで
どこも雇ってくれなくて」


女騎士「わかっているのに何故頭を下げる?」

男「実は母が重い病に掛かってまして
薬を買う為にお金が必要で」

女騎士「そんなにも高い薬なのか?」

男「いえ、次の給料までの薬を買わないといけないで大金が必要なんです」

女騎士「…」

男「ははは、もう少し頑張ってみます
女騎士さんも気を付けて帰ってくださいね
お話聞いてくれてありがとうございました」すたすた

女騎士「待て」

男「え?」

女騎士「ついてこい」すたすた


寝んます
更新遅くてごめんなさい

寝る前に携帯でぽちぽち書いていきます故

あと誤字多くてごめんなさい
明日からレスする前に確認するます
おやすみなさい

こんばんは
野球終わったら再開します

あと一応とりつけます
ちゃんと付けれるかな

ごめん嘘ついた
SPEC見たいです

少しだけ書いてく

城-女騎士部屋-


男「あの、ついてきたのはいいんですが…」

女騎士「まぁ待て、お茶でも飲みながら話そう」かちゃかちゃ

男「はぁ…」


男(部屋汚いなぁ…資料とか防具とかが散乱してる…
でも良い匂いがする…)

女騎士「君はお茶は飲めるか?」

男「お茶…ですか?」

女騎士「ああ、貰い物の茶葉が余っててな」

男「あの。お茶ってなんでしょうか?」

女騎士「飲んだ事がないのか…
ふむ、では良い物をご馳走様しよう」

男「い、いやそんなの悪いですよ」ガタッ

女騎士「いいから座っていろ、もう淹れ終わる」

男「す、すみません…」

女騎士「ほら、これがお茶だ
好き嫌いがよくある飲み物だから無理せずに飲んでくれ」コト

男「い、いただきます」ゴク

女騎士「どうだ?お茶を淹れるのだけは得意なんだ」

男「美味しいですねこれ!
匂いもいいですし
こんな美味しい飲み物初めて飲みました!」

女騎士「ふふふ、それはよかった
淹れた甲斐があったよ」

男「あ、それでこの部屋に招いてもらった理由ってのは?」


女騎士「君の仕事についてなんだが
私の秘書として働いてみないか?」

男「え、ひ、秘書って…」

女騎士「まぁ秘書と言っても簡単なものだ
この部屋を見てもらえばわかるかもしれないが、騎士としての働きをしているとどうしても部屋が片付かなくてな」

男「でも、この部屋にある書類って僕が見ていい物なんですか?」

女騎士「一つでも国外に漏れよう物なら最悪戦争が起こるかもしれん」

男「簡単じゃないじゃないですか!」

女騎士「君が外に漏らさなければいい話だろう?
それに万が一漏れた場合、首は飛ぶと思え
だが、それ相応の金は払うつもりでいる」

男「…」

女騎士「どうだ、今の君には悪くない話ではないか?」

男「僕はこの身なりを見てもらえば分かる通り、貧相な家の者です
そんな僕を雇うとなると女騎士様の名を汚してしまうでしょう」

女騎士「…」

男「折角の話ですが、申し訳ありません」ぺこり

女騎士「そうか…それは残念だな…」

男「すみません」

女騎士「そう謝るな、こちらまで気が滅入る
まぁ私はいつまでも待ってる、その気になればまた声を掛けてくれ」

男「お気遣いありがとうございます
そろそろ夜も遅いですし、これで失礼します」

女騎士「ああ、引き止めてしまってすまないな」

男「いえ、こちらこそ美味しいお茶をいただきありがとうございました
では、失礼します」ガチャ




バタン



女騎士「ふぅ…」


女騎士「君の仕事についてなんだが
私の秘書として働いてみないか?」

男「え、ひ、秘書って…」

女騎士「まぁ秘書と言っても簡単なものだ
この部屋を見てもらえばわかるかもしれないが、騎士としての働きをしているとどうしても事務仕事が片付かなくてな」

男「でも、この部屋にある書類って僕が見ていい物なんですか?」

女騎士「んむ、一つでも国外に漏れよう物なら最悪戦争が起こるかもしれん」

男「簡単じゃないじゃないですか!」

女騎士「君が外に漏らさなければいい話だろう?
もし漏らそうものなら私が首を刎ねてやる
だが、それ相応の金は払うつもりでいる」

男「…」

女騎士「どうだ、今の君には悪くない話だとは思うのだが?」

男「僕はこの身なりを見てもらえば分かる通り、貧相な家の者です
そんな僕を雇うとなると女騎士様の名を汚してしまうでしょう」

女騎士「…」

男「折角の話ですが、申し訳ありません」ぺこり

女騎士「そうか…それは残念だな…」

男「すみません」

女騎士「そう謝るな、私が悪い事をしたみたいじゃないか
うむ、ではその気になった時また声を掛けてくれ」

男「お気遣いありがとうございます
そろそろ夜も遅いですし、これで失礼します」

女騎士「ああ、引き止めてしまってすまないな」

男「いえ、こちらこそ美味しいお茶をいただきありがとうございました
では、失礼します」ガチャ




バタン



女騎士「ふぅ…」


城下町-大通り-


男「はぁ…なんで断ったんだろ…
いや、でもだめだ、女騎士様には迷惑はかけられない」すたすた

男「もうこんな時間だし、今から商人街に行っても誰もいないだろうなぁ…」すたすた

男「はぁ…薬どうしよ…」




「おい」



男「え?」



兵士1「てめぇさっきはよくも恥を掻かせてくれたな」バキィ

男「いっ…」ドサ

兵士2「もうこんな時間だし次は助けは来ないなぁー?」ドゴォ

男「うっ…」

兵士1「ここは城じゃあねえんだし吐いてもいいんだぜー?おらぁっ!」ドゴォッ

男「うっ…おええぇぇぇぇ…」べちゃべちゃ

兵士2「おいおい、まじで吐く奴がいるかよ
しかも靴に付いたじゃねぇかおい!」ゲシッ

男「げぇっ…」

兵士1「そう言えばさっき刃向かおうとしてたよな
一応念の為に腕でも潰しておくか」

兵士2「腕は目立つだろ、指にしておこうぜ」ギュッ

男「や、やめ…」

兵士2「せーのっ!」



ボキッ



男「がぁぁああぁぁぁあああぁ」

兵士1「はははっ、まじでやりやがった!」

兵士2「叫ぶなうるせぇ!」ドゴォ

男「ふがっ」ドサ

兵士1「空いた口が塞がらないなら蹴って蓋しろってか?えぐいなぁー」ゲシッ

兵士2「あーららー歯は抜けなかったけど口の中血だらけだなー痛そー、はははははっ」

男「う、うぇ…」

兵士1「スッキリしたし俺はこれ位でいいやー、おい、帰ろーぜー」すたすた

兵士2「そうだな、叫んでたしもしかしたら誰か来るかもしれねーしな」すたすた



男「うっ…うっ…」ポロポロ


商人「おい!大丈夫か!?」タッタッタッ


男「くっ…」ゴシゴシ

商人「血だらけじゃねぇーか!しっかりしろ!」

男「だ、だいひょうぶです…
すみません、急いでるので…」すたすた

商人「…」


男家-居間-


男「ただいま…」

母「あら、遅かったわね?どうしたの?」

男「あはは、ごめんねちょっと話が盛り上がっちゃってさ
あと、薬を明日まで待ってくれる?ごめんね」

母「あらま、薬くらい大丈夫よ、私は丈夫だから!」フンス

男「あはは、それもしかして僕の真似?」

母「あら、ばれちゃった?ごほっこほっ」

男「今は丈夫じゃないんだからもう寝た方がいいよ?」

母「そうね、そろそろ寝るわ
男くんも早く寝なさいよ?
おやすみなさい」

男「ん、おやすみなさい」



バタン



男(家に着く前に血だけでも拭いておいてよかった、バレてないよ…ね?)

男「指だけでも元に戻さないと…」グッ

男「くぅっ…」ググググ

男「はぁはぁ…はぁ…」

男「そろそろ僕も寝よう」ドサッ



男「すー…すー…」


母「…」


翌日-明朝-
男家-居間-


男(父さん…ごめんなさい
父さんの剣、売らせてもらいます)ぺこり

男「じゃあ仕事に行ってくるねー、お昼ご飯は作ってあるから
いってきまーす」ガチャ

イッテラッシャーイ

男「よし!行くか!」タッタッタッ



母「あなた、許してあげてね
あの子があなたの剣を売るのは私のせいなの…」

母「ごめんなさい
でもね、あの子は本当に頑張って私を守ってくれてるわ
ちゃんと見てる?」


ちょいと休憩

はじめますん

城-商人街-


男「あのーすみません、この剣を売りたいんですけど…」

商人「はい、いらっしゃー…ってお前さん昨日の怪我してたやつじゃねぇか!」ガバッ

男「あ、あの時の人ですか」

商人「いやー、俺はびっくりしたよ
最初は口から血ぃ吐いてたから死んでるかと思ってさー」

男「すみません…あの時転んで怪我したんですけど
なんだか恥ずかしくて逃げちゃって、あはは」

商人「お前さん結構運が無い奴なんだな
まぁそれは置いておいて剣売りたいんだって?」

男「はい、この剣なんですけど」ゴソゴソ

商人「ほー、こりゃまたすげーの持ってきたな…」

男「手入れだけは欠かさなかったので」フンス

商人「いや、あまりにも古い剣でこっちは驚いてるんだよ…」

男「えぇ!?あ、あの、もしかして売れないとか?」

商人「んー、剣自体は悪くないんだが
もうこの型の剣は結構出回ってるからなー
高くても精々行って1万Gくらいかなぁ」

男「じゃ、じゃあ1万Gで買い取ってもらえませんか!?」ガバッ

商人「おおう、そんなに寄るなよ
いや1万5千Gで買うよ、昨日の怪我この金で治しな」チャリン

男「い、いやそんなの悪いですから!」

商人「いいんだよ!困った時はお互い様だろー?」

男「あ、ありがとうございます!」ぺこり

商人「良いってもんよ、まぁこっちとしてはこれからもここを通ってくれると嬉しいんだがね」

男「今度余裕が出来たら必ず来ます!」

商人「おうおう、その調子でうちのもん全部買ってくれ!」

男「あはは、本当にありがとうございました!
じゃあまた来ます!」タッタッタッ



商人「何が転んで怪我しただ、あの傷は誰かにやられた傷だろーが
まぁ強くなれよ」

「おじさーんこれちょーだーい」

商人「おじさんじゃーないんだけどなー、へいへいその薬草なら…」


城下町-大通り-


男「よしっ、このお金があれば少しの間は何とかなりそうだ
今日は先に薬だけ買いに行こう」タッタッタッ





同日-夕刻-


男「掃除終わったー…」

男「でも右の人差し指が動かないせいで大変だったなー
まぁそんな弱気も言ってられないよな」

兵士1「よー、元気にしてるかー?」

男ビク

兵士2「そうビビるなよー、昨日の傷は治ったかー?
治ったならまた壊してやるからよー」




あはははははははは



女騎士「貴様ら!」

男兵士12ビク

女騎士「もう少し静かに話さんか、兵士1と兵士2、貴様らは城に仕える兵としてその体たらくは何だ!」

兵士12「「し、失礼しました!」」ビシッ

女騎士「そして貴様!」

男「は、はっ!」ビシッ

女騎士「この前に続きまただらしのない姿を見せおって
この際だから三人に言わせてもらう
この場は神聖な場所だぞ、貴様らの様な腑抜けがいるとこの場が汚れる!
身を弁えて行動しろ!」

男兵士12「「「し、失礼しました!以後気を付けます!」」」

女騎士「次は無いと思え!」

男兵士12「「「はっ!」」」

女騎士「それから貴様ついてこい」すたすた

男「はっ!」すたすた


兵士1「くそっ、うるせえアマだな…」

兵士2「おいやめとけ、聞かれたら本当に斬られるぞ」

兵士1「ちっ…」ガンッ


城-女騎士部屋-


男「し、失礼します!」

女騎士「うむ、今お茶を淹れよう」かちゃかちゃ

男「は?」

女騎士「何だ、まだ説教されたかったのか?」

男「い、いえ!」

女騎士「座って待っていろ」

男「失礼します」ドサッ

女騎士「…」かちゃかちゃ

男「…」

女騎士「…」かちゃかちゃ

男「…」

女騎士「よし、ほら飲むといい、昨日と同じお茶だ」コト

男「お気遣いありがとうございます」

女騎士「ふぅ…」ドサッ

男「あ、あの、僕がここに連れて来られた理由って…」

女騎士「今更だが、名前は何と言う?」

男「はっ!僕はこのお城で清掃員として働かせていただいてる男と申します!」

女騎士「男か…良い名前だ
ふむ、理由だったな、もちろん昨日の話だ」

男「…」

女騎士「やはり私一人ではこの書類にまで手が回らん
手伝ってもらえないか?」

男「その仕事に関してですが、昨日と答えは変わりません…
何より女騎士様に迷惑をかけられないので」

女騎士「頑固者め…昨日君が帰った後に考えてみたんだが
君が私の秘書として働く事を拒む理由はただ一つ
私に迷惑をかけたくない、これだ」

男「ええ、貴族の一人である女騎士様の側に僕の様な貧民が立っていれば、周りの者は女騎士様を見る目が変わるでしょう
そのせいで女騎士様の今の生活や人間関係、地位、などを崩したくないのです」

女騎士「ふむ、君の言い分はわかった
だが、その気遣い事態が私にとって迷惑だ」

男「…」

女騎士「私にとってこの国の民の命は、皆私の命よりも遥かに大切な物だ
そこに裕福も貧しいも無い
貴様が心配する程私は高い地位にいるつもりはない
もし貴様を雇って地位が下がる様ならまた上がればいい」

男「どうしてそこまで僕を高く買われるのでしょうか?」

女騎士「同情では無いとハッキリ言っておこう
なに、勘だよ」

男「勘…ですか?」

女騎士「ああ、これでも私の勘は当たる方でね
男、君を私の側に置けば何か良い事がありそうなんでな、ふふふ」

男「そ、そんな簡単に決めてもいいんですか?」

女騎士「しかし仕事はしっかりとこなしてもらうぞ」

男「本当によろしいのでしょうか?」

女騎士「ああ」

男「…」

女騎士「…」

男「これからよろしくお願いします」ぺこり

女騎士「うむ、こちらこそよろしく頼む
よし、そうと決まれば書類を書かなければな」ガサゴソ

男「あの…」

女騎士「ん?どうした?」ガサゴソ

男「まず、最初に掃除をさせてもらえませんか?」

女騎士「…すまんな汚い部屋で」

男「い、いえ!そんなつもりで言ったわけでは…」

女騎士「いや、いい…
私も自覚はしているんだ、ただ時間が無くてな」ポリポリ

男「じゃあ掃除用具を持って来ますね!」ガチャ

女騎士「ああ、それまでには記入してほしい書類を探しておくよ」




バタン




女騎士「勘な訳ないだろう馬鹿者が
男か…まさかあの方の息子さんだったとは…」ペラ


城-兵舎付近-


男「よしっ、よしっ、これでもう少しまともなご飯が作れる様になる!」タッタッタッ

男「このまま行けば母さんの病気も治せる!」タッタッタッ



ヒュッ



男「がぁっ…」ドサ

兵士1「おー悪ぃ悪ぃ、たまたま投げた石が当たっちまった」

男「い、いえ、お気になさらず…
では、急いでいるのでこれで…」

兵士1「あ?」

男「え?」


ボキィッ


男「くっ、がぁはっ!」

兵士1「お前さぁ、貧民の癖に生意気じゃねえーか?おい」

男(み、右腕が…)

兵士2「お、おい、腕が変な方向に曲がってんじゃねーか」

兵士1「うるせぇ!このクソ野郎にはいいんだ、よっ!」ドゴォ

男「うっ…」

兵士1「おいおいまた吐くのかぁー?」グリグリ

男「がぁぁあぁぁああぁあっ!」ミシミシ

兵士1「チッ叫ぶなよ…おい、立て」

男「え?」

兵士1「いいから立ってついてこい」すたすた

男「で、でも仕事が…」

兵士1「あ?左も折りたいのか?」

男「うっ…」ビク



城-とある部屋-


兵士1「さっさと入れってんだぁ!」ドカッ

男「っ」ドサァ

兵士1「ここなら叫ばれても問題ねぇなぁー」バキィ

兵士2「おい、やり過ぎだって!」

兵士1「うるせえぞ!黙ってろ!」

兵士2「うっ…」

兵士1「あのクソアマもてめえもムカつくんだよ」ドゴォ

兵士1「一々、一々、くどくど、くどくど」バキィ

兵士1「あぁぁぁぁぁっ!」バキィ





男(だ、だめだ…意識が…)





同日-夜間-
城-女騎士部屋-


男「し、失礼します…」ガチャ

女騎士「遅いじゃ…どうしたその腕」

男「あ、あの掃除用具入れが倒れてきて…」

女騎士「ほう、ではこの城からその様な危険な掃除用具入れは撤去せねばな
そうなるとまた貴様の仕事が増えそうだな」

男「うぅ…」

女騎士「もう一度聞くぞ、その腕は何だ?」

男「…」

女騎士「…」

男「…」

女騎士「…」

男「言えません…」

女騎士「そうか、それは自分の為か、それとも他人の為か?」

男「他人の為です…」

女騎士「ふむ、まぁ話したくないならいい
こっちに来い」グイ

男「うわぁ!」ドサ

女騎士「完全に折れてるな…まずは元の形に戻さねばな
この時間だ、治癒魔法の使える奴もいないだろう
少々手荒だが我慢しろ」ガサゴソ

男「ま、まさか?」

女騎士「これを噛んでいろ」ポイ

男「これは、何です?」

女騎士「ただの木だ、少し大きいが噛めるだろう」

男「はひはひは」

女騎士「よし、歯を食いしばれ、こっちを見るなよ」グッ

男「ぎぎぎ…」

女騎士「ふっ」ググググ

男「~~~~?!」

女騎士「よし、元には戻っただろう、そこで待っていろ包帯を探してくる」ガサゴソ

男「い、痛かったぁー…」

女騎士「ほら、さっきまで噛んでた木を貸せ」

男「は、はい」

女騎士「…」

男(慣れた手付きだなぁ、綺麗に包帯が巻かれていく…
あ、ついでに指もやってもらえばよかった)

女騎士「よし、こんな物だろう」

男「ありがとうございます」ぺこり

女騎士「気にするな、しかし利き腕がやられたとなると秘書としての仕事は限られてくるな」

男「すみません…」

女騎士「まぁ明日までには仕事を考えておく
それから私の秘書としての勤務時間だが、清掃の仕事が終わり次第この部屋に来てくれ
多分私はいないだろうが、書き置きをしておく」

男「はい、畏まりました」

女騎士「そうだ、この部屋の鍵を渡しておく
絶対に無くすんじゃないぞ
無くなったら斬り殺すぞ」

男「は、肌身離さず持ち歩きます」

女騎士「うむ、では今日は帰りたまえ
その腕だ、生活に多少不便があるかもしれんが頑張れよ」

男「ありがとうございます、ではまた明日…
失礼します」ガチャ


男家-居間-


男「ただいまー、遅れてごめん!」

母「おかえり…ってどうしたのその腕!」

男「あ、いや、これはちょっと新しい仕事でやらかしちゃってさー」

母「折れたの?」

男「そんなわけないじゃん!ほ、ほらピンピン動くよ」ズキズキ

母「心配だわ…今日くらいはご飯私が作るわよ?」

男「大丈夫だって!ちょっと大袈裟に包帯巻いてるだけだしさ!
ご飯作るから待っててね」がちゃがちゃ

母「んもう!馬鹿息子!」プイ






男母「「ご馳走様でした」」

男「あ、そういえば薬、ほら
遅れてごめんね」

母「ありがとね、そう言えば新しく仕事始めたの?」

男「うん、ちょっと珍しい仕事をね」

母「あら、どんなお仕事?」

男「女騎士様の秘書」

母「お、女騎士様の秘書!?」

男「何か誘われちゃってさー」

母「そう…」

男「どうしたの?」

母「何でもないわよ、今日はぐっすり眠れそうだから早めに寝るわ
おやすみなさい」

男「んー?おやすみなさーい」がちゃがちゃ




母(女騎士…)


翌日-明朝-
城下町-商人街-


男「おはよーございます!」

商人「おーっす…ってまた怪我したのか!?」ガバッ

男「あー、いや、これはいろいろとありましてー…あはは」

商人「おいおい大丈夫かよ?
この調子なら明日には両足動かなくなる怪我でもすんじゃねぇのか?」

男「それだけは勘弁してほしいなぁ…あはは」

商人「まぁいいや、そんな事よりこんな朝早くにどうしたよ?」

男「ちょっとお昼ご飯の材料を買いに寄っただけだよ」

商人「おうおう、仕方ねぇそんな不運なお前に良い物やるよ
ちょっと待ってろ」がさごそ

男「い、いや昨日に続いてそれは悪いよ」

商人「良いんだよ、ほらパンだ」ポイ

男「えぇ!?こんなにも貰っていいんですか?」

商人「余りもんだから気にすんな
それとあんまり他に言いふらすなよー?
ハイエナ共が群がってくるからな」ヒソヒソ

男「あはは、こんなにも良くしてもらってるんだから言うわけないじゃん!」

商人「ははっお前が良い奴である事を信じるぞ」

男「じゃあそろそろ家に帰ってご飯の用意しないといけないんで、また来ますね!
パンありがとうございました!」タッタッタッ

商人「おう気をつけろよー」



商人「ありゃいじめられてんのかー?
にしてもやり過ぎだよなぁー
明日は我が身かもしれんしあんまり考えないでおくか」


「おーじさん!」


商人「だからおじさんじゃないっての!」


眠い
あんまり進まなくてごめんなさい

同日-夕刻-
城-女騎士部屋-


男「男です」コンコン

女騎士「入れ」

男「失礼します」ガチャ

女騎士「うむ、ご苦労
早速だが今日の仕事はこの資料に印を押していってくれ」ドサッ

男「お、多いですね」

女騎士「全て目は通してある、印を押すだけなら片手でもできるだろう」ペラ

男「はい、では早速取り掛かりますね」

女騎士「まぁ待て、先程仕事が終わっただけだろう?
お茶でも飲んでゆっくりしてくれ」がちゃがちゃ

男「いえ、お仕事を貰えるだけありがたいのに、ゆっくりなんてしてられないですよ」ポン

女騎士「なんだ、私のお茶が飲めないと言うのか?」がちゃがちゃ

男「い、いやそんなつもりではないんですが…」ポン

女騎士「ふふっ冗談だ、それに今日中に終わらせてくれれば問題ない
あとお茶を入れたら私は少し席を離れる」

男「では女騎士様が戻ってくるまでには終わらせておきます」

女騎士「ああ、頼んだぞ
ほらお茶だ」コト

男「すみません、いただきます」ゴク

女騎士「では頼んだぞ」ガチャ



バタン



男「信頼してもらってるのは嬉しいんだけど…
俺を一人で置いておくのはどうなんだろう…」

男「まぁいいや、口を動かす前に手を動かさなきゃな」




ポン



同日-同刻-
城-中庭-


女騎士「さて、私も踏ん張るとするか」

隊長「何を踏ん張るんだ?」

女騎士「はっ、お務めご苦労様です隊長様!」ビシッ

隊長「まぁまぁそう堅くなるな、今から魔物の討伐に向かうんだから今は肩の力を抜いておけ」

女騎士「はっ、お心遣い感謝いたします
ですが、私なら大丈夫です、今日も必ず手柄を挙げて見せましょう」

隊長「はぁ…もう少し女らしくできんのか」

女騎士「何度も言う様ですが、私は女である前に騎士であります
産まれた時から私は女である事を捨てております」

隊長「あー、はいはい
じゃあとりあえず今日の作戦について話すか、兵士達も集まったみたいだしな」チラ

隊長「ごほん…
では女騎士頼んだ」

女騎士「また私ですが…
注目っ!」

兵士ビシッ

女騎士「ではこれからの作戦について話していく
二度は言わん、聞き漏らしのない様心して聴け!」

女騎士「今回の作戦は…」



兵士1「ようやく最高のストレス発散ができるぜ」

兵士2「おい、喋ってるとまた怒られるぞ」ヒソヒソ

兵士1「最近はあのくそ貧乏人しか殴れてなかったからな
久しぶりに剣を振れるんだ
楽しみでしょうがないだろう」


女騎士(…)





女騎士「では作戦は先程話した通りだ、久方振りの魔物の討伐だ
気を抜かず、訓練通りに動け、そうすれば必ず成功する事ができる!
では行くぞ!」



おおおぉぉぉぉぉぉっっ!



隊長「うむ、お疲れ様
では私達も行くとするか」

女騎士「はっ!」ビシッ

隊長「だから堅くなり過ぎだ、堅くなるのは俺の…」

女騎士「隊長」

隊長「う、うむ…よし行こう」すたすた


同日-夜間-
城-女騎士-


男「んーっ、ようやく終わったぁー…」グタァ

男「しかし結構な量あったなー…
もう外は真っ暗だなー
女騎士様はまだ帰って来ないし、少し掃除しておくか」ガタ


サッサッサッ
ドタドタ

バタン


男「あれ?この写真って…」コト

女騎士「どうした?」ガチャ

男「お、お務めご苦労様です!」ビシッ

女騎士「うむ、まさかサボっていたのか?」ギシッ

男「い、いえ、頼まれていた仕事が終わったので少し部屋の掃除をしようと思いまして」

女騎士「そうか、すまんな」

男「あの…この写真って…」

女騎士「っ…!」バッ

男「あ…」

女騎士「見たのか?」ギロ

男「い、いえ…」

女騎士「ふぅ…そうか
掃除をしてくれるのは助かるのだが、私の机にだけは触れないでほしい
まだ目を通してない資料などもあるのでな」

男「す、すみません」ぺこり

女騎士「いや、私が話していなかったのが悪い
それはそうと、鎧を外すのを手伝ってくれないか」

男「はい」


がちゃがちゃ
ガシャンガシャン


男「この血って…」

女騎士「ああ、私の物ではない…全て魔物の血だ」

男「魔物…」

女騎士「ああ、勇者が魔王を倒したからといっても、まだ魔物はうんといるからな
今日は魔物の討伐をして来たんだよ」ギシッ

男「そうだったんですか…」

女騎士「さて、今日の仕事は終わったみたいだな
ではもう帰るといい、母上が待っているんだろう?」

男「すみません、気遣ってもらって
では、僕はこれで失礼します」

女騎士「ああ、明日も頼む」

男「はい、では失礼します」ガチャ

女騎士「ああ、お疲れ様」


バタン


男(さっきの写真…父さんが写っていたような…
気のせい…か?)

男家-居間-


男「ただいまー」

母「おかえりなさい、今日もお疲れ様」

男「ありがと、起きてて大丈夫なの?」

母「今日は調子が良くてねー、掃除までしちゃったわ、ふふふっ」

男「掃除くらい俺がやったのに」

母「いいのよ、家事は私の仕事だからね」フンス

男「ははは、じゃあすぐにご飯作るから待ってて」すたすた

母「今日は私も手伝おうかしらね」すたすた

男「ご飯一緒に作るなんて久しぶりだね」

母「小さい頃ずっと手伝ってくれてたもんねー
『おれだって、できるもん!』ってねー」

男「む、昔の話だろー?恥ずかしいからやめてよー」トントン

母「ふふっ、あの頃は可愛かったわねー」トントン

男「もういいから早く作るよ!」トントントン

母「はいはい」トントントン





男「いただきまーす」

母「いただきます」

男「んんーっ!美味い!
やっぱり母さんの料理は美味いなぁ」

母「そう?ありがとね
私は男くんの料理だって好きよー?」

男「母さんの料理には負けるよー」

男「ご馳走様でした」

母「ご馳走様」

男「母さんは薬飲んで横になっててよ
洗い物とかはやっておくからさ」

母「あら、その手でできるの?」

男「だからこの腕は大したことないって!
いいから休んでて!」

母「はいはい、あんまり無理しないでね?」

男「大丈夫だよ、あ、後さ今度の給料が入ったらもう少し裕福な生活になるかもしれないから、もう少しだけ待っててね」

母「あら、楽しみね」

男「これで母さんの病気も治るかもね!」

母「ふふ、そうだと嬉しいわね」




男(そうだ、最近上手くいってるから絶対に母さんを守ってやる…
父さん…俺母さんのこと守れてるよね?)


夜頑張るます

ちょっとだけよー///

数日後-明朝-
城下町-大通り-


男「よーし今日も頑張るぞー」ノビー

事務員「よっおはよーさん」

男「あ、事務員さんおはようございます!」

事務員「まぁまぁそう堅くなんなよー、俺と同じでお前も同じ城で働く一員だろー?」

男「って言っても僕は清掃員なんでね…あはは」

事務員「あ、そー言えばお前あの女騎士様の秘書になったんだってな!
最初は冗談かと思ったぞ!」

男「あー、いや、まぁいろいろあってさ」

事務員「あの女騎士様をたらしこむとはよくやるなぁー」



「おはよう」


男「あ、おはようございます女騎士様」

事務員「いぃっ!?お、おはようございます!」ビシッ

女騎士「今は勤務外なのだから敬礼はいい
それよりも私はそこの男にたらしこまれたみたいだな」

事務員「いーやー、あのですねー…
先に行ってます!」タッタッタッ

男「あ、行っちゃった…」

女騎士「冗談が通じないのか奴には…」ウムム

男「女騎士さんの冗談は、冗談に聞こえないんですよ…
それよりこんな朝早くにどうしたんですか?」

女騎士「ああ、少し偵察にな
魔物がいなくなった後は人間の犯罪率が高まったからな
こうゆう現状を見ていると、本当に魔王は倒すべきだったのか考えさせられるよ」

男「でも、魔王に仕えていた魔物達もまた人間を襲っていたんですから、僕は魔王がいなくなって正解だったと思います」

女騎士「ふむ…過ぎたことを話していても仕方がないか
ああ、そうだ、こんな話をするのもなんだが…
生活の方はどうだ?」

男「特に問題はないですよ
あるとしたら最近母さんが元気になり過ぎてうるさいくらいですね、ははは」

女騎士「そうか…それならばいいが…」



女騎士(気付いてないとでも思っているのか
だんだんと細くなっているその身体、まともな食事は母上だけに取らせているみたいだな)


女騎士「よし、今日は君の仕事は無しだ」

男「え?まだ昨日の仕事が残ってますよ」

女騎士「いや、厳密に言えば仕事はある
が、今日はいつもと違った仕事をしてもらおう」

男「何をするんですか?」

女騎士「ふふ、それは私の秘書としての仕事の時間になるまでの秘密だ」フンス

男「はぁ…あ、ではお城に着いたのでここで…」

女騎士「うむ、職務をしっかりと完うしたまえよ」

男「はっ!では失礼します!」タッタッタッ



女騎士「よし、今日は私の仕事はこれと言ってない…
今のうちに挨拶だけでもしておくか…」

同日-昼間-
男家-居間-


母「ふんふふーん♪」サッサッサッ

母「最近は本当に楽になったわ、これも全部あの子のお陰ね」

母「さて、そろそろお昼ご飯食べようかしら…」



コンコン


母「はーい?」タッタッタッ



ガチャ




「久方振りでございます」

母「どなた?顔を上げてもらってもいいかしら?」

「失礼します」スッ

母「あなたは…」

同日-夕刻-
城-女騎士部屋-


男「男です」コンコン




男「女騎士様?」コンコン





男「入りますね、失礼します」ガチャ

男「あれ、いない…どこ行ったんだろ…」キョロキョロ

男(あの写真は…)



男「やっぱり…写っているのは父さんか…」


男(父さんと女騎士様の二人が写った写真
でもどうしてこの写真を見せたくないんだろう…)


男「考えてもわかるわけないよなー…
そんなことより本当にどこに行ったんだろう…」


コンコン


男「はい?」

事務員「失礼します、あれ、もう居たのか
女騎士様から伝言『今日は帰って良し』だとよ」

男「あ、はい」

事務員「いや、しかし本当にお前秘書になったんだな」キョロキョロ

男「冗談の方がよかった?」

事務員「ははは、まぁ女騎士様ってああ見えてかなりの美人だろ?
俺は羨ましいね」

男「でも前に女は捨てたって言ってたよ?」

事務員「そこなんだよなー、まぁそうゆうところも含めての美人だから、いつか頑張る!」グッ

男「あはは、じゃあ俺は応援しておくよ」

事務員「あんまり居座ってるとまた朝みたいに聞かれかねんから、早く出た方がいいかもな」

男「そうだね」ガチャ




バタン






男「鍵をしてっと…」がちゃがちゃ

事務員「お前はもう帰れていいよなー、俺なんかまだまだ終わらねーってのー」グテェ

男「事務仕事ってそんなに大変なの?」

事務員「ああ、やばいぞ、いろいろ書いたり歩いたり、もう辞めようかな」

男「辞めてどうするの?」

事務員「んー、勇者にでもなるかー」

男「あはは、それ女騎士様の前で言ってみなよ、多分すぐに勇者なんて諦めるよ」

事務員「あの人スパルタだからなー…
というかもしかしたら勇者より強いかもな」

男「あはは、それは流石にないでしょー」


同日-夜間-
男家-居間-


「そうそう、そのままゆーっくり」

「こ、こうですか?」


男「あれ?この声、誰かいるのかな」

男「ただいまー」ガチャ

母「あら、おかえりなさい」

女騎士「邪魔しているぞ」

男「え?」

母「今日お昼頃に来てねー『今晩はいつもお世話になっている男にご馳走をしたく、参りました』ってねー」

女騎士「は、母上…その事は内密にと…」

男「え、いやだって仕事って…」

女騎士「ああ、あれは冗談だ」

男(やっぱりこの人の冗談は冗談に聞こえない…)

母「ほら、もうすぐできるから座って待ってて」

女騎士「うむ、心して待つが良い」

男(というかなんだこれ、なんだこれ、なんなんだ…)



女騎士「できたぞ」コト

母「見た目はちょっとあれだけど、美味しいわよ」


ぐちゃあ


男「な、何と言うか、大胆な料理ですね。ははは…」

女騎士「ふふ、見た目にも少しこだわってみてな」フンス

男(こだわりも何も、ぐちゃぐちゃでわからないよ…)

男「じゃ、じゃあいただきます…」ゴクッ

女騎士「うむ」

男「…」アーン

女騎士「…」ジー

男「…」パク

女騎士「…」ジー

男「あ、美味しい…」モグモグ

女騎士「そ、そうか、ふふふ、やはり私に出来ぬ物はないな
うむ、それで仕事と言うのはだな、先程は冗談で済ませたが、この私の料理の味見だ」

男「食べるだけが仕事ですか?」

女騎士「うむ、城では厨房を借りて何度か練習はしたのだが、味見をしてくれる者がいなくてな
それで君を抜粋したわけだ」

男「なるほど…」

男(確かにこの見た目はなぁー…)

母「ふふふ、仲が良いのね、二人は付き合っているのかしら?」

男「ぶふぅ!?」

女騎士「は、母上…」

母「あら、図星?」

男「違うに決まってるだろーっ!」

女騎士「うむ、私と彼の関係は上司と部下であり、その様な色恋の関係ではありません」

母「あらあらまぁまぁ…」

女騎士「話は変わりますが…以前彼から母上の話を聴きまして
どうやら母上は身体を患っている様ではありませんか、それで今日は母上にと思い特別な物を用意しました」

母「ん?」

女騎士「お茶と言う飲み物をご存知ですか?」コト

母「あら懐かしいわねこの香り」

女騎士「ご存知だったか、このお茶は万病に効くと言われる茶葉です
風邪くらいならこのお茶を飲めば治る程の治癒力を持った茶葉です」

男「それって高いんじゃ…」

女騎士「いや、いつもお世話になっている君の母上へと贈り物をするのは当然だろう
それに君にも用意はしている」

母「じゃあ私はせっかく貰ったお茶を淹れてくるわね」すたすた


女騎士「む、気を遣わせてしまったな…
男、君にはこれだ」ジャラン

男「これって…お金?」

女騎士「ああ、少し早いかもしれないが君への給料だ」

男「えぇ!?こ、こんなにも受け取れません!」ガタッ

女騎士「何を言っているんだ、初めの頃に言っただろう」

男「た、確かに言いましたけど…」

女騎士「なら文句はあるまい、最近の君の身体は見るに耐えれない程に弱々しくなっている
私に隠し事ができると思うなよ?」

男「うっ…」

女騎士「その金で少しは裕福になるだろう
これからは母上だけにではなく、自分にもまともな飯を与えろ
先人の言葉にもあるように、腹が減っては戦はできん
そしてこれからは今まで以上に職務に励みたまえ」

男「本当にありがとうございます」ぺこり

母「お茶淹れたわよー」すたすた

女騎士「うむ、すみません、ではいただくとしよう」



男(これが幸せなのかな)


ご飯と野球にいろいろやったら書きます
何かだんだんとぐたってきた

女騎士「ではこれで失礼するとしよう」ガタ

母「あらもう帰るの?」

女騎士「ええ、明日も早いので」すたすた

母「男くん、送っていってあげなさい」

女騎士「いえ、お気遣い無く、こう見えてもこの国一の剣達者なもので」

母「念の為よ、念の為」

男「諦めて送らせてください」ガタ

女騎士「ん、ではお願いするとするか」

男「じゃあ送ってくるねー」ガチャ

母「女騎士さん、また待ってるわ」ニコニコ

女騎士「ええ、暇を見つけたらまた来させてもらいます
今日は押し掛けて申し訳ありませんでした
では失礼します」ぺこり



バタン



女騎士「良い親を持ったな」

男「そうですね、でもその子供がこんなのですから」

女騎士「ふふ、そうだな、これからはもっと厳しくせねばな」ニヤ

男「そ、それはちょっと…」

女騎士「ふふふ、冗談だ」

男「もう寒くなってきましたねー」

女騎士「そうだな、そろそろ雪が降りそうだ…」

男「冬って僕は嫌いですね
音がない真っ白の世界って、僕は怖くて嫌いです
もしかしたらこの世界で今僕は一人なんじゃないか、って」

女騎士「そんなわけないだろう、現に君を愛してくれている母上がいる
それに君をしごき上げている私がいる」

女騎士「そして何より…君の父上が常に見守っている」

男「父さんかぁ…どうしてあの人は死んだのか未だに僕は知らないんですよね…」

女騎士「…」

男「いつも近所では人気者でした
困っている人がいたらすぐに手を差し伸べて、剣の腕も一流
愛想も良くて、本当に完璧な人でした」

女騎士「その話についてなんだが…」

男「ん?」

女騎士「私は君の父上の事をよく知っている」

男「え?」

男「ど、どうしてですか?」

女騎士「昔、君の父上から剣を学んでいた」

男「そ、そうだったんですか」

女騎士「私も君の様にあの方を羨み、尊敬していたよ…
人はここまで輝けるのか、と」

女騎士「私もあの方の様になりたかった
そして努力に努力を重ねて私はあの方の後ろを歩んでいた
剣を振れば褒められ、粗相をすれば叱られ、共に月日を過ごしていった」

男「ははは、父さんらしいや」

女騎士「そして私はあの方を本当の父上の様に愛し、愛された
家族とはこうゆう物なのか、と
話していなかったが私は孤児でな、路頭を彷徨っていたところを君の父上に助けてもらったのだ」

男「そうだったんですか…
でもどうしてうちには来なかったんですか?」

女騎士「私は強く、逞しく、勇敢な人間になり、この国の国民を守りたい、そう、あのお方の様になりたいと願った
すると次の日には私は貴族の養子へと迎えられ今に至る」

男「そうだったんですか」

女騎士「何故私が貴族の養子へと迎えられたかは知らないが、きっと君の父上が良くしてくれたのだろう
貴族生まれと言う事なら、私の願いは叶えやすい
しかし、私があの時普通の人生を歩みたいと願ったのなら、きっと今は君と同じ家に住んでいただろう」

男「ははは、それはそれで楽しそうですね」

女騎士「そしてここからが本題だ、君の父が亡くなった理由」

男「え?そこまで知っているんですか?」

女騎士「ああ、私は見ていた…忘れもしない、冬の嵐の日」


数年前-深夜-
山岳地帯


父「この天気はマズイな」

女騎士「雨…凄いですね」

父「これでは今日中に帰れそうにないな
雨宿りのできる洞窟を見つけておいてよかった」ドサッ

女騎士「くしゅん」

父「冷えるだろう、私のマントを使うといい」ファサ

女騎士「ありがとうございます師匠」

父「すまないなこんな事になって」

女騎士「い、いえ!私が自分の故郷を見たいと言ったばかりにこんな…」

父「そんなことはないぞ?女騎士、君は当然のことを願っただけだ
皆生まれ出た故郷を懐かしく、寂しく思う物だ」

女騎士「師匠…」

父「そんな顔をするな、この辺りの魔物は差程強くはない」ガシガシ

女騎士「あうー」ぐわんぐわん

父「しかし女騎士は見違える様に成長したな
昼間のあの剣捌きはよかったぞ」

女騎士「あ、ありがとうございます!えへへ…」

父「この成長っぷりなら私もそろそろ離れても大丈夫だな」

女騎士「え、師匠どこかに行くんですか?」

父「ああ、少し勇者に声を掛けられてな、これから魔王を倒す旅へと出ることになった」

女騎士「わ、私もついて行きます!」

父「ははは、それは頼もしいな
だがこんな汚れ仕事は大人だけで十分だ
長く険しい旅になるだろう、そんな旅に女騎士は連れていけないな」

女騎士「わ、私だって頑張ります!」ビシ

父「そうゆうことではないんだよ
私は危険と分かっている旅に女騎士は連れていけない
子供だからって理由もあるかもしれないが、君の様な人間はこれからの国を守っていかなければならない
ここで将来への貴重な宝石を汚す訳にはいかないんだ」

女騎士「で、でもっ…」

父「よし、ならば私が魔王討伐の旅から帰ってきたら共に旅をしよう
私が歩んだ道を一緒に歩むんだ」

女騎士「そ、それ凄くいい提案だと思います!」

父「ははは、では早目に帰ってこねばな
女騎士は泣き虫だからなー」

女騎士「な、泣き虫じゃありません!」ゲシ

父「あたた、そうだな
もう立派な騎士だったな」

女騎士「はい!」フンス

父「では更に立派な騎士になるためにもう寝なさい
寝る子は育つと言うだろう?」

女騎士「はい!立派な騎士になるために寝ます!」

父「うむ、良い心がけだな
おやすみ」

女騎士「はい、おやすみなさい師匠」


父「本当に逞しく育ってくれたな」

父「さて、女騎士が風邪を引かない様に火でも見てるか」



パチパチパキッ


父「あったかいな、早く家に帰ってやらんと、うちの息子も泣き虫だからな
ははは、泣き虫が二人もいると親も大変だ」

同年-明朝-
城-父部屋-


父「ふぅ、お疲れ様」

女騎士「師匠もお疲れ様です!」

父「ん?家に帰らないのか?」

女騎士「私…あそこは嫌いです」

父「どうしてまた?」

女騎士「あの家の人は凄く優しいです、ご飯も用意してくれるし、欲しい物も何でも買ってもらえます
だけど、師匠がいないと…」

父「何を言っているんだ、女騎士の家族はあの家の者だ
私は女騎士の家族ではないぞ?」

女騎士「そ、それでも師匠の方がっ!」

父「困ったなー」ボリボリ

女騎士「うぅ…」ウルウル

父「はぁ、わかったよ、私が旅に出るまでこの部屋で一緒に暮らそう」

女騎士「ほ、本当っ…ですか!?」

父「ああ、嘘はつかない
ただし、一つだけ約束しなさい
私が旅に出ている間は必ずあの家で寝食を共にしなさい」

女騎士「うぅ…」

父「約束できるか?」

女騎士「は、はい…」

父「んー?聞こえないぞー?」

女騎士「や、約束は必ず守ります!」

父「よし、良い返事だ
では私は今回の件を女騎士のご両親に説明をしなければいけないし、着替えなども家に取りに行かねばならんのでな
兵舎の方で少し修練に励んでいなさい」

女騎士「はい!今日こそは必ず隊長さんを倒してみせます!」

父「ああ、その調子で倒してやれ
さっ、出るよ」ガチャ

女騎士「はい!」タッタッタッ




バタン



男家-居間-


父「ただいまー」ガチャ

母「あら、おかえりなさい
随分と遅かったわね、まさか浮気ー?」

父「そんな器用な事はできないよ、それに私は母一人しか見られないよ」チュ

母「ふふふ、男くーん、お父さん帰ってきたわよー」



ドタドタドタドタッ


男「おかえりなさいお父さん!」ダキッ

父「おーうただいまー」

男「ねっ!ねっ!お父さん!学校でね!」

父「んー?どうしたー?」



母「ふふふ、あの子ずっと泣いてたのに…本当にお父さんっ子ね」


父「おおー!それは凄いな!
父さんも鼻が高いぞー」

男「にししーっ!」

母「今日はご飯食べるんでしょう?」

父「ああ、その件についてなんだが…」

母「あら、お仕事でもあるの?」

父「いや、あの子がどうしてもと言ってな…」

母「この家に連れてくればいいじゃない?」

父「それは私も考えたんだがな、まだあの子にはまだ早いかもしれない
今回も家に帰りたくないと言っていた」

母「んー」

父「過去に両親に捨てられたのが今でも忘れられないのだろう
家族という物を拒んで見える」

母「それじゃあ連れて来るのは酷なことねー」

父「いつも一人にしてすまないな…」

母「あーあー私は寂しいなー」ギュ

父「んー、困ったなー」ボリボリ

男「あー母さんだけズルいーっ!」ギュ

父「二人して重いぞー」




あははははははははは



父「じゃあ旅に出る前には一度帰ってくるから」

母「ん、頑張ってね」

男「父さんもうお仕事に行くの?」

父「すまないな、少し仕事が忙しくてな
そうだなー、あと5年待ってくれ
その時に新しい家族を迎えてみんなで旅をしよう!」

母「あら、それは楽しそうね」

男「旅?」

父「そうだ、見たこともない世界をみんなで歩き回るんだ
いろんな街に行ったり、いろんな景色を見て世界を歩く」

男「お、お父さん!それ楽しそう!」

父「ははは、だからそれまでもう少し我慢してくれるか?」

男「うん!我慢する!」

父「良しいい子だ」ガシガシ

男「にししーっ」

父「男、父さんがいないあいだ母さんを守ってやってくれよ?
お前は強い子だ、必ず守れ
約束できるか?」

男「うん!絶対に守る!」

父「よし、ではいってくるよ」

男「お仕事頑張ってねーっ!」

母「いってらっしゃい」ニコ

父「ああ、いってきます」すたすた


数日後-昼間-
城-父部屋-


父「ふぅー終わったー」ギシ

女騎士「お疲れ様です師匠!」コト

父「お?このお茶は女騎士が淹れたのか?」ガバッ

女騎士「はい!頑張ってみました!」フンス

父「ははは、じゃあ心して飲まないとな」ゴクゴク

女騎士「ど、どうですか?」ドキドキ

父「ん、美味い!
こんなに上手く淹れられるのは女騎士だけだな」

女騎士「えへへ…」

父「よし!元気になったしご飯でも食べに行くか!」

女騎士「今日はお城の食堂で食べるんですか?」

父「そうだな、そうしようか」ガタッ

女騎士「じゃあ隊長も誘ってきますね!」タッタッタッ

父「ははは、あいつは嬉しがるだろうな」



同日-昼間-
城-食堂-


女騎士「師匠ー!ここでーす!」ブンブン

父「おおー、先に着いていたか」

隊長「お疲れ様であります!」ビシ

父「ああ、そんな畏るな、飯の時くらい肩の力抜いておけ」

隊長「じゃあお言葉に甘えて…」

女騎士「師匠は何を食べますか!私取ってきます!」

父「ああ、すまないな
じゃあランチセットを頼もうかな」チャリン

女騎士「今日は私がお金を出します!」

隊長「おお?気前がいいねー、じゃあ俺の分も頼もうかな…」

女騎士「隊長はだめです、今日私に負けましたからね」フンス

父「お?等々負けたのかお前」

隊長「ぎりぎりですけどね、この調子だとすぐに追い抜かれそうですよ…
それに貴方に剣を教えてもらっているの卑怯です!
是非俺にも教えてください!」

父「ははは、型の問題じゃないだろう?
あの子の努力がお前を優っただけだよ」

隊長「あーっ、子供っていいですねー、伸び代があるって羨ましいですよほんと…」

父「そうだな、私たちの様な大人にはもう伸び代なんて物は無いからな」

隊長「あ、そう言えばこんど勇者と一緒に旅に出るみたいですね
この城を長期に空けるからって、俺が代わりに貴方の地位に登るみたいですよ」

父「おお?知ってたのか
女騎士に負ける前に地位が決まってよかったな、ははは」

隊長「いや、ほんと洒落にならないですよそれ
お土産頼んでもいいですかね?」

父「そんな気楽な旅になればいいんだけどな…
最近の魔王の動きを見ると、お気楽な旅にはならないそうだ」

隊長「少し前に魔王城の近くの村が潰されてから一気に足が早くなってますからね
魔物も増えていってるみたいですし」

父「ふむ、これはいつ帰れるかわからんな…」

女騎士「師匠ーっ、ランチセット持ってきました!」タッタッタッ

父「おおー!すまないな
ん?私の分だけ?」

女騎士「大丈夫です、隊長!」

隊長「え?」

女騎士「私の分もお願いします!」

隊長「おいおい、まじですか…」

父「はははっ、こればかりは仕方ないな」

隊長「はいはい、ランチセットでいいよね?」



1年後
城-城門-

勇者「では行ってまいります」

王「ああ、くれぐれも気を付けての」



父「よし、行くか…」

女騎士「師匠…」

父「ん?」

女騎士「やっぱり私…」

父「約束しただろー?私がいない間はあの家でちゃんとするって」

女騎士「は、はい…」

父「すぐに帰ってくるさ、何かあったら私の家を尋ねるといい
妻が良くしてくれる」

女騎士「ししょー」ウルウル

父「ふぅ…」

父「女騎士?君の願いは何だった?」

女騎士「え?」

父「私の様に立派な騎士になり、この国の民を守る、そう願っただろう?」

女騎士「はい…」

父「私が帰ってくるまでにこの願いを果たしていなさい
そして私が帰ってきたら旅をするんだ…
約束しただろう?」

女騎士「はいぃ…」ポロポロ

父「少しの間待っていてくれるか?」

女騎士「はいっ!」ポロポロ

父「うむ、いい返事だ」ガシガシ


勇者「父、そろそろ…」

父「ああ、すまないな
では女騎士、私が帰ってくるまでに立派な騎士になっているんだぞ?」

女騎士「はいっ」ポロポロ




うわぁぁぁぁぁぁぁん


現代-夜間-
城下町-大通り-


女騎士「少し話し込んでしまったな…」

男「…」

女騎士「この場で話していたら風邪を引いてしまう…また後日…」

男「最後まで聴かせてください…」

女騎士「…」

男「お願いします」

女騎士「仕方ない…私の部屋で話そう」すたすた



男(こんな事があったなんて…どうして母さんは話してくれなかったんだ)




同日-昼間-
男家-居間-


母「ふんふふーん♪」サッサッサッ

母「最近は本当に楽になったわ、これも全部あの子のお陰ね」

母「さて、そろそろお昼ご飯食べようかしら…」



コンコン


母「はーい?」タッタッタッ



ガチャ




「久方振りでございます」

母「どなた?顔を上げてもらってもいいかしら?」

「失礼します」スッ

母「あなたは…」

女騎士「今更になって顔を出し申し訳ありません…」

母「そんなに畏まらないで、今日はどうしたの?」

女騎士「今日は少しお話がありまして…」

母「立ち話をなんですから入ってください」

女騎士「では、失礼します」

男家-居間-


母「ごめんなさいね、何も出せなくて」

女騎士「いえ、お気遣いなさらず」

母「それで、話って?」

女騎士「今、私の下で母上の息子さんである男が働いています」

母「あら…」

女騎士「これが運命なのか偶然なのかはわかりません
ですが母上の耳には入れておこうと…」

母「あれからもう何年も経ったわね」

女騎士「はい…」

母「別に責めてるわけじゃないのよ?
あの人らしい亡くなり方だと思ったわ」

女騎士「あの時私があのような子供じみたことをっ…」

母「いいのよ、人は誰しも間違える事はあるわ
そして、それを正しく導くのが私たち大人の仕事なの
だからあの人は貴方の事を恨んでなんかいないわよ」

女騎士「それでも、やはり私はあの過ちを未だに引きずっています
今回も私の下で男が働く様な事があったので、ここへと足を向けられた物を…
男がいなければ私はこの家にさえ、来れなかったでしょう
いえ、来る以前にずっと背を向けていたでしょう」

母「いいのよ、私も何とも思ってないわ」

女騎士「母上…っ!」ウル

母「今だけは私が家族になってあげるわ、おいで」

女騎士「うっ…うっ…」ポロポロ

母「よしよし、あの人の言ってた通り泣き虫さんねー」ナデナデ

女騎士「私はっ…私はっ…何度も後を追おうとしましたっ!
でもあの人の笑顔を思い浮かべる度に死にきれなくてっ!
亡くなった後でも私を守ってくれている様な気がしてっ!」ポロポロ

母「あの人は本当に凄い人ね」ナデナデ

女騎士「私が殺してしまったのに、なのに笑顔で見ていてくれてっ!
死んだ時も笑っていましたっ!
私が殺したのに…っ
私が全てを奪ったのに!」ポロポロ

母「そんなことはないわ、あれは仕方がなかったのよ…」ナデナデ

女騎士「私は…ぁぁぁっ…!」ポロポロ



同日-夕刻-


母「落ち着いた?」ナデナデ

女騎士「も、申し訳ありません…みっともない姿を見せてしまって」グス

母「あら、私の可愛い娘の泣き姿じゃない
どこがみっともないの?」

女騎士「は、母上…」ゴシゴシ

母「仕事には戻らなくていいの?」

女騎士「今日は非番なので」

母「あらそうなの?じゃあうちでご飯でも食べていきなさい」

女騎士「押し付けがましい事ですが、今日は私が料理をしてもよろしいでしょうか?
今日は男と母上へ料理を贈りたく思いまして」

母「あら、じゃあお買い物に行かなきゃいけないわね」

女騎士「その心配はいりません、今日は既に持ってきておりますので」ドサ

母「ずっと気になっていたその袋の中身は食材だったのね」

女騎士「ええ、それから料理の手解きもしてもらおうと思いまして…
我が儘ばかりで本当に申し訳ありません」

母「ふふ、いいのよ
でも私が帰れって言ってたら、その食材どうするつもりだったの?」

女騎士「いえ、それは無いと師匠が仰っていました
昔師匠に言われたのです」

父『何かあったら私の家を尋ねるといい
妻が良くしてくれる』

母「あの人ったら…ふふふ
最近は身体の調子も良いし、今日はたっぷりと教えてあげるわ」


中途半端な終わり方に怒らないでね
おやすみなさい

おはようごぜうまふ
今日休みなんで適当に更新していきまふ

同日-深夜-
城-女騎士部屋-


女騎士「ふぅ…それにしても今日は本当に冷え込むな…」

男「寒いですね」

女騎士「お茶を入れるから少し待っていてくれ
今思い出すと君の父上も同じだった」

男「え?」

女騎士「君の様に大袈裟にはしゃぎながら、私のお茶を美味しいといつも飲んでくれていた
私はどこかであの方と君を重ねているのかもしれないな」かちゃかちゃ

男「僕は父さんみたいに強くないですよ
それに誇れる事は何一つ持っていません」

女騎士「それはただの謙遜だ
私はしっかりと見ているさ、君の働きぶり、日々の生活の仕方
そして、誰かを守ろうとする強い意志」

男「な、なんだか恥ずかしいのでそこまでで…」

女騎士「ふふふ、さて、淹れたぞ」コト

男「ありがとうございます」

女騎士「では、続きを話すとしようか…」ギシッ



数年前-昼間-
貴族屋敷-居間-


女騎士「おはようございます…」

貴族父「おー、おはよう女騎士、ささっ朝ご飯が用意してあるから一緒に食べようじゃないか」

貴族母「おはようございます、早いわね女騎士は…
それに比べてあの子は」

貴族子「おはようございます」

貴族母「おはよう、ほら貴方も早くご飯を食べてちょうだい」

貴族子「いただきます」

女騎士「…」

貴族父「どうしたんだい?調子でも悪いのかい?」

女騎士「い、いえ、その様な事は…いただきます」

貴族父「それにしてもようやくこの家で住んでくれる様になって私は嬉しいよ、ははは
後は私と妻の事を父母と呼んでくれれば完璧なのだがな」

貴族母「こらこら、女騎士ちゃんのタイミングで言わせなさいな
急に父母と呼ぶのは難しいでしょう?」

女騎士「母…」貴族子「ご馳走様」ダンッ

貴族父「こらもう少し静かにできんのか」

貴族母「最近のあの子はどうしたのかしらね
学校ではいつも通りみたいだけれど」

女騎士「…」

貴族父「反抗期という奴だろう
こうゆうのは暖かく見守るしかないだろう」

貴族母「あの子に比べて女騎士ちゃんは本当に良い子ねー
養子に迎えて正解だったわ」

貴族父「ははは、本当に誇らしいな
将来は立派な騎士になった時にはもっと誇らしく思うよ」

女騎士(やはり私の功績のみが目的なのだろうか…)

貴族母「何を言っているのあなた、騎士なんて危ないわ」

女騎士(いや、そんな事はない…
師匠の知り合いなのだから…しっかりしろ)




やらかした
>>110

数年前-昼間-

数年前-明朝-

同日-昼間-
貴族屋敷-女騎士部屋-


女騎士「ふぅ…変な事ばっかり考えちゃう…
隊長と手合せでもしてこよう」バッ



ガチャ


貴族子「…」

女騎士「何でしょうか?」

貴族子「…」すたすた

女騎士「あの…」



ガバッ


ギシッ


女騎士「え?」

貴族子「お前のせいだ、お前が全部を僕から奪った…
お前が悪い…お前が憎い」スンスン

女騎士「くっ…は、離してください!」グッ

貴族子「はっ、女のお前が男の俺と力比べでもするつもりか?」スンスン

女騎士「か、顔を近付けないで、ください!」グッグッ

貴族子「この家から僕を追い出したいんだろう
だから養子なんかになって、猫かぶりやがって」グッ

女騎士「叫ぶぞ!」グッグッ

貴族子「じゃあ叫べない様にしてやる」


ビリビリィ


女騎士「!」

貴族子「こんな恥ずかしい格好で人が呼べるなら呼ぶといい
君はそうゆう性癖の持ち主という事になるけどね」

女騎士「は、離して!」グッ

貴族子「お前は今から僕の憂さ晴らしに付き合うんだよ」ハム

女騎士「んっ…や、やめ…っ」ビク

貴族子「孤児の癖して胸だけは豊満なんだな」モミモミ

女騎士「い、やぁ…」ビクビク

貴族子「感度は良好だな、さて」スッ

女騎士「だ、だめ…そこはっ…んぁっ」

貴族子「ちっ、さっさと濡らせよ」スリスリ

女騎士「や、やめ…って」ポロポロ

貴族子「じゃあこの家から出て行けよ
そうなったらまた孤児になるだろうな
ようやく濡れてきたか」クチュクチュ

女騎士「ひぅ…っん、あぁ…」ビクビク


貴族子「準備はできたみたいだな
じゃあこれでも咥えて静かにしてろ」ボロン

女騎士「やめ…んっ」

貴族子「歯ぁ…立てたら殴るぞ」ジュポジュポ

女騎士「んふっ…ふっ」ポロポロ

貴族子「そうだ、お前はしっかりと咥えてればいいんだ
よし、喉まで突っ込んでやるよ」グッ

女騎士「んふぅーんんー、ぉえ…っ」ポロポロ

貴族子「ははは、どうだ?
これからは毎日世話をしてもらうからな」ジュポジュポ

女騎士「んぁ…ふぁっ」ポロポロ

貴族子「さて、上は飽きたしそろそろ本番と行くか」ジュポ

女騎士「も、もうやめ…て…」ポロポロ

貴族子「じっとしてろよ」グッ



女騎士(もう嫌だ…師匠…)


ちょいと出掛けるんでまた夜

それは申し訳ないことをした
でもこれ以上出すつもりはないんで許してください

同じ騎士職の連中とか大人とか、魔物になら力負けするだろうが
なんの取り柄もないボンボンに負けるような腕力じゃあ、騎士は勤まらんだろ

>>117
それについて補足すると
父のお陰で家族を手に入れたのに、その家族へ粗相をするのは父への恩を仇で返すと思っての行動です

力配分としては

父>魔物>隊長>女騎士>兵士12>一般男性

>>118

何も払いのけなくとも近寄らせない程度の事が出来ないなら尚更騎士なんか無理だろ
大体ボフッっていう効果音からして、場所はベッド
一転攻勢の要領で体を入れ替えて逃走すれば怪我はしない
それに憂さ晴らしに脅して強姦しかできないような奴なら自分で血みどろになって暴力を振るわれたとかいうマッチポンプもやる度胸無いだろうし



コンコン


貴族父「入ってもいいかな?」

貴族子「チッ…布団に隠れて黙ってろ」バッ

女騎士(た、助かった…)ポロポロ

貴族子「どうぞ」

貴族父「いやはやすまんね、おや貴族子までいたのか」ガチャ

貴族父「丁度いい、今日は外食をするつもりだから今から準備をしてもらえるかな
ん?女騎士はどうした?」

貴族子「少し眠っている様で、先程私が布団へ入れ直したところです
女騎士、起きろ今から外へ出るから準備をしろ、とさ」

女騎士「は、い…」

貴族父「仲が良くしてくれて私は嬉しいよ
ではまた後ほどな」ガチャ


バタン


貴族子「萎えた…もういい…
喋るなよ?まぁ喋らないとは思うけどさ
明日はちゃんと最後までしような?」ガチャ



バタン



女騎士「し、師匠…もう耐えられないよ…」ポロポロ


>>120
近寄らせない様な事をすれば相手への心象は悪くなります
貴族子が上から覆い被さり女騎士の両腕を片手で抑えての行動です
それから咥えさせるまでの行動は馬乗りになれば問題ないと思います
逃げようと思えば逃げられましたが、服を破られているので外には出られない

もちろん貴族の屋敷なので召使いなども多数存在しております

貴族子が女騎士が何も出来ないと思った理由は、上に書いた女騎士を気持ちを知っていました
この頃の女騎士は現代程気が強くないため、特に何もできなかった


こんな感じでよろしいですか?

細かいところは個人の見解に任せます
自分が正しいと思った意味合いでお願いします

あと因みにこの時点でまだ騎士にはなってないです


こんばんは

同日-夕刻-
城下町-城門-


兵士4「いやー今日も暇だったなー」グタァ

兵士5「おいおい、それは平和で良いってことだろ」

兵士4「でもよー、俺らいる意味ないよなー」

兵士5「俺たちがこうやってグダグダできていることは良いことなんだよ」

女騎士「あの…」

兵士4「お?女騎士ちゃんじゃないか、どうした?」

女騎士「えっと…ちょっと果物を取りに行きたくて…」

兵士4「店で買わないのかい?」

女騎士「お店には売ってなくて…」

兵士4「んー…もう夕方だしなー」

兵士5「まぁ大丈夫だろう、何たってあの人が師匠なんだから
そう言えば聞いたぜ、とうとう隊長さんから一本取ったんだってな!
いやー見ていたかったなー」

兵士4「げ、隊長さんに勝ったのかよ…
んー…まぁいいか」

女騎士「ありがとうございます」

兵士5「ただし、いくら剣の腕が立つと言ってもすぐに帰ってくるんだぞ?わかったか?」

女騎士「あの、剣ってお借りしてもよろしいでしょうか?」

兵士4「まぁ、確かに手ぶらは流石に危ないわな
んじゃあ余りもんの剣持ってくるから待ってろよー」

兵士5「おう、いやーしかしここ最近で大きくなったなー
師匠、師匠って擦り寄っていた女騎士ちゃんはどこに行ったのか…」

女騎士「師匠…」

兵士5「何だ?やっぱり寂しいのか?
仕方ないここはおじさんがだな…」ジリジリ

女騎士ビク



ガンッ


兵士4「何やってんだよ良い年したおっさんが」

兵士5「いってーっ、剣で頭殴るかよ普通!
冗談に決まってるだろ!」

兵士4「お前のその強面で言われても説得力ねーよ
ほら、剣だよ
まだ女騎士ちゃんには重いかもしれないが、もし魔物と対峙して危ないと思ったら、剣なんか捨ててここまで逃げてこいよ?
人間と魔物では戦い方は違うからな」

女騎士「は、はい…ありがとうございます」

兵士5「本当に気を付けるんだぞ?
幸いここから森は近いんだから、何かあったら叫べばいい
俺たち門番は耳が良いからな」

女騎士「はい、気を付けます、では…」すたすた

兵士4「あんながきんちょが隊長に勝ったのかー
これが才能ってやつかよ」

兵士5「…」

兵士4「どうせあの隊長の事だから気ぃ抜いて負けたんだろーな」

兵士5「…」

兵士4「ん?おいどうしたよ?」

兵士5「いや、少し様子が変じゃなかったか?」

兵士4「女騎士のか?確かにちょっと怯えてたよーな、緊張してたよーな
今から森に入るんだし当然じゃないか?」

兵士5「そうだと良いんだが…」





女騎士「兵士4さん、兵士5さん、ごめんなさい…」すたすた

女騎士「もうすぐ日が沈むけど、早く移動しないと見つかっちゃうし…
今日は頑張って歩こう」

女騎士「街に着いたらマントも買わなきゃ…」



ぷにょん


女騎士「す、スライム!?」チャキ

スライムプルプル

女騎士「大丈夫、これ位ならやれる…
それにこれからはもっと強くなるんだ、頑張らないと」

スライムプルーンッ


スライムの攻撃、女騎士に2のダメージ


女騎士「くっ、剣が重い…木刀にしておけばよかったかも…」

女騎士の攻撃、スライムに12のダメージ
スライムは倒れた

女騎士「剣のお陰で倒せたのかな…
街に着いたら木刀も買っておこう…」

女騎士「師匠…私約束破っちゃったけど、許してくれるよね?」



翌日-昼間-
とある港町-酒場-


女騎士(何とか港にまでこれた…
前の街でマントと木刀と食糧は買えたし…
あとは…)

マスター「何飲む?」

女騎士「えっと、オレンジジュースで…」

マスター「…」かちゃかちゃ

女騎士「あの、勇者一行ってどこに向かったかわかります?」

マスター「ああ、北の方へ向かっていたよ」

女騎士「北、ですか…
ここから船で北へは行けますか?」

マスター「どうぞ」コト

女騎士「ありがとう」

マスター「明日のこの時間には船が出ますよ」

女騎士「そうですか、ありがとうございます」ゴクゴク

マスター「…」

女騎士(明日…今日は宿屋に泊まろうかな…
誰も追って来てはいないし、ゆっくり休もう)



「よう嬢ちゃん」

女騎士「…」ゴクゴク

「無視かよ…おい聞いてんのか?」ダン

女騎士ビク

女騎士「な、何か?」

「まぁ、そうビビるなよ、勇者の事を聴いてたみたいだが、追いかけるのか?」

女騎士「あなたには関係ないです…」ゴクゴク

「まぁまぁ、聴けって
俺は盗賊って言うんだ、分け合って勇者に会わなきゃいけない」

女騎士「そうですか、私は勇者を追っているわけではないので」

盗賊「ありゃ?そうなの?」

女騎士「ええ」

盗賊「なんだよぉーっ!折角かっこ良く一緒に旅でもしようぜ、って言おうとしたのによー…
俺の頑張りを返せ」ジロ

女騎士「知りません、あなたの勘違いです」

盗賊「ちっ、まぁいいや」

女騎士「では、私はこれで…」ガタ

盗賊「待った」

女騎士「まだ何か?」

盗賊「やっぱり勇者を追うだろお前」

女騎士「…」

盗賊「立った時にようやくわかったが、旅をする格好だそれは
負担の掛からないブーツ
日の光からも守り、寒さを凌ぐマント
それに剣ときた
マントの裏にはパンとか持ってるな?」

女騎士「ど、どうして…」

盗賊「あのな…盗賊ってのは目が良くなきゃやってられないんだよ
それに一挙手一投足を見ればわかるが、お前剣の扱いまで慣れてるな
それにその手のたこ
やっぱりビンゴだったな」

女騎士「わ、私が勇者一行を追うからと言って、何か問題でもあるんですか!」

盗賊「俺も一緒に連れて行ってくれ!」バッ

女騎士「え?」

同日-夜間-
とある港町-宿屋-


盗賊「いやー、助かるねー」

女騎士「あなたの部屋は隣ですけど…」

盗賊「まぁ、いいじゃんよ
自己紹介したら戻るからさ
俺は訳あって勇者に会わなきゃいけないんだ
でもほら俺ってすばしっこいだけで、そこまで強くないんだよ」

女騎士「私を用心棒として、ってことですか?」

盗賊「ビンゴ!そんな感じだよ、いやーまじでツイてるなー!しかもオマケに美人だし!」

女騎士「あの、私が言うのもなんですが
私みたいな子供が用心棒なんかでいいんですか?」

盗賊「ガキって言ってももう14くらいだろ?それなら十分だっての」

女騎士「そうですか、ですが私はあなたが言う程強くないです
強くないから旅をしています
この旅も逃げるような旅です、なのでついてきてもいいですが
私はあなたを助けられるかわかりません」

盗賊「おう!自分の身はなるべく自分で守る!
ちょっと強い魔物とかは頼んだ!」

女騎士「女騎士です、よろしくお願いします」

盗賊「じゃ、明日からがんばろーぜー
おやすみー」ガチャ



バタン



女騎士(一人ではこの旅も厳しかったけど、仲間が出来てよかった…
でもあの盗賊って人どこかに違和感があるのは気のせいなのかな…)

女騎士「師匠…早く会いたいです…」

ねーるねるねーる

翌日-昼間-
とある港町-船着場-


盗賊「よし、じゃあ行くか」すたすた

女騎士「…」すたすた

盗賊「どうした?元気ないじゃんよ?」

女騎士「別に普通です、あと離れてください」

盗賊「いいじゃんか!これから一緒に旅するんだしさ!」

女騎士「それは関係ないです、大体…」


「いたぞーっ!」


女騎士盗賊「「!?」」

兵士6「女騎士さん!あなたこんなところで何を!」

女騎士「もう見つかりました…」ジリ

盗賊「おいおい、囲まれたぞ
お前何したんだよ?」

兵士7「む?貴様が誘拐したのだな?」

盗賊「はぁ?お前何言ってんだ!」

貴族子「女騎士…君は何をしてるんだ…」

女騎士ビク

盗賊「おいおい、貴族までお出ましかよ
いよいよ本当に何モンだよ…」

隊長「女騎士ちゃん!」

女騎士「た、隊長…」

隊長「どうしてこんなことをっ…」

女騎士「私はもう嫌なんです!
あの家には帰りたくない!
私は師匠と一緒じゃなきゃ嫌なの!」

隊長「君は…」

盗賊「んー、話は見えんが、取り敢えず撒いて逃げればいいんだな…」

兵士6「貴様!女騎士から離れろ!」チャキ

盗賊「俺にエモノを向けるとはいい度胸じゃねぇか!」チャキ

女騎士「ま、待って!」

兵士6「行くぞ!女騎士を助けるぞ!」



おおおぉぉぉぉぉっ


盗賊「ちっ、数が多いな
おい、嬢ちゃん船まで走れ
俺でも時間稼ぎにはなる」

女騎士「で、でもそれだとあなたが…」

盗賊「言っただろ、俺はすばしっこいって
早く行け!」

女騎士「っ…」ダッ

兵士7「おい女騎士どこに行く!」


キィン


盗賊「行かせるわけねぇだろ!」グググ

兵士7「貴様ぁっ!」グググ

貴族子「…」ダッ

盗賊「てめ…」ダッ

兵士6「行かせるかぁっ!」ブン

盗賊「くそっ」

隊長「ここは任せたぞ!」ダッ

兵士7「隊長っ!頼みましたよ!」キィン


女騎士「はぁ…はぁっ…」タッタッタッ

貴族子「速いな、くそっ仕方ない…」スッ

貴族子「小氷魔法!」フォン

女騎士「ぐぁっ…」ザシュ

貴族子「手間を掛けさせやがって…
俺から逃げられると思ってるのかお前はぁっ!」ドゴォ

女騎士「かはっ…」

貴族子「生意気なんだよお前はぁっ、俺から家族を取っておいて
そしてそれをすぐに捨てる!
俺をどれだけ侮辱すればいいんだよぉ!」ガスッバキッドゴッ

女騎士「くっ…」(あ、足に氷が刺さって動けない…)

隊長「何をしてる!」

貴族子「これはこれは隊長様、少々躾をと思いまして
これは我が家の問題なので、口出しはせぬように」

女騎士「はぁっ…くっ…」ズリズリ

貴族子「まだ逃げようとするかっ」ドカッ

隊長「おい、やり過ぎだ!」ガバッ

貴族子「おや、僕を羽交い締めなんてしてどうするんですか?
わかりますか?僕は貴族です
あなたの様な平民上がりの騎士如きが私に何をしているんでしょうか?」

隊長「くっ…」

女騎士「騎士…如き、だと?」ピク

貴族子「何だ何か文句があるのか?
お前もお前だ
大体気に入らないんだよ、孤児の癖に貴族の養子になるなんて
初めから俺はお前の事なんて嫌いだったよ
殺してやりたかった、どうしてお前みたいな穢れた血筋が我が一族に入るのか
理解しかねるよ」

女騎士「その言葉取り消せぇっ」バッ

隊長「女騎士斬るな!」

貴族子「ひぃっ!」バタ




ザシュ



女騎士「え?」

隊長「お前…こんな事しても何も変わらんだろ…」ポタポタ

貴族子「よ、よく私を庇ってくれた!
女騎士ぃ!」

隊長「ちょっと黙ってろ」バキッ

貴族子「ぐへっ」バタ

女騎士「た、隊長何を…」

隊長「うるさいから黙ってもらっただけだ
それから…」


パシンッ


女騎士「あ…」

隊長「お前は何を思って騎士になりたいと思ったんだ
お前はいつも言っていただろう…
この国の民を守れる様な、師匠の様な騎士になりたいと
それがどうして守る筈の民に剣を向けている!」ポタポタ

女騎士か「た、隊長…」

隊長「く、そ…叫びすぎた…」ガクン

女騎士「隊長!」




盗賊「おい!何してんだ!行くぞ!」ガバッ

女騎士「は、離して!隊長がっ…」

盗賊「この機を逃したらもう船には乗れんぞ!」タッタッタッ

女騎士「私…私…」ポロポロ

盗賊「泣くのは後だ、船はもう出始めてるから飛ぶぞっ」

盗賊「跳躍魔法」フォン




ダッ




盗賊「よし、ぎりぎり乗れた…」ストン

女騎士「あ、あ…」ポロポロ

盗賊「何があったか知らんが、お前はあれから逃げ切ってまで勇者一行を追いたかったんだろ
なら、踏ん切りを付けろ
俺は疲れたし、船代も払わなきゃならねーから中入っとくぞ」すたすた



女騎士「師匠…私…もうやだ…」ポロポロ




兵士6「くそっ逃げられた!それに何だあの魔法、見たことなかったぞ」

兵士7「過ぎた事は仕方ない、それより貴族子様と隊長を…」

隊長「逃げられたな…くっ」ポタポタ

兵士7「隊長!その傷はっ!」ダッ

隊長「そんな事より貴族子様を頼む」

兵士6「くそっ、女騎士はどうしたんだ…」

隊長「さぁな…反抗期ってやつじゃないか、っと」フラ

兵士7「しっかりしてください隊長!」ダキ

隊長「悪い、ちょっと寝るわ」


同日-深夜-
船-甲板-


女騎士「…」


貴族子『生意気なんだよお前はぁっ、俺から家族を取っておいて
そしてそれをすぐに捨てる!
俺をどれだけ侮辱すればいいんだよぉ!』

隊長『お前は何を思って騎士になりたいと思ったんだ
お前はいつも言っていただろう…
この国の民を守れる様な、師匠の様な騎士になりたいと
それがどうして守る筈の民に剣を向けている!』

盗賊『何があったか知らんが、お前はあれから逃げ切ってまで勇者一行を追いたかったんだろ
なら、踏ん切りを付けろ』


女騎士「何してるんだろ私…」

盗賊「お前いつまでウジウジしてんだよ、船ん中探してもいないと思ったら、ずっとここにいたのか」

女騎士「…」

盗賊「はぁ…」

女騎士「私は間違った事をしたんでしょうか…」

盗賊「それは知らん」

女騎士「…」

盗賊「俺は生きる事は選択の連続だと思ってる
だがその選択の答えは正解か不正解かわからん
だから生物ってのは生きていられるんだよ
未来が見えて生きて行くのは生物じゃない、それはただの人形だ
今回の件は詳しく聞かないけど、お前がこの選択を選んだ先にある答えが正解でも不正解でも、お前が選んだんたから後悔だけはするな」

女騎士「難しい話ですね、似合わないです」

盗賊「うるせえなぁ、お前を励まそうにもどう励ませばいいかわかんねえんだよ
ほら、お前って堅そうなイメージだから?
俺も堅い感じで話したんだよ」

女騎士「一応お礼だけは言っておきます」

盗賊「可愛くねーやつだなぁ
あ、一つだけ聴きたい事があった」

女騎士「何でしょうか?」

盗賊「お前の会いたいって言ってる師匠ってのは何モンだ?」

女騎士「私の…父です」

盗賊「あれ?でも貴族がいたから…」

女騎士「いえ、私は貴族の養子に迎えられたのです
元々孤児であった私をここまで育ててくれたのが師匠です」

盗賊「あら、なーるほど
まぁよく考えたらそうだよな、貴族何かが魔王討伐に行くわけねぇしな
それでその師匠ってのは強いのか?」

女騎士「ええ、国一番の剣の達人です」

盗賊「はぁーん、なるほどね」

女騎士「急にどうしたんですか?」

盗賊「いんや、何でもない
ただ、師匠って奴の話をする時はウキウキしてんだなーって」

女騎士「…」すたすた

盗賊「あれ?怒った?おい待てって!」すたすた


数日後-昼間-
とある北の都-酒場-


女騎士「…」ゴクゴク

盗賊「おーい、勇者一行見つかったぜー」

女騎士「ほ、本当ですか!」ガタ

盗賊「どうやらこの先の魔物の砦の攻略に苦戦してるみたいでな、今日の夜にはこの街に帰ってくるってよ」

女騎士「魔物の砦ですか…行きましょう」

盗賊「おいおい、死ぬ気かよお前
あの勇者一行が手こずってるんだぜ?
そこにお前みたいなガキンチョが行ってもすぐに死ぬだけだろ」

女騎士「で、でも!」

盗賊「まぁ会いたい気持ちはわかる、でも死んだら元も子もないだろ?」

女騎士「そ、そうですよね…」シュン

盗賊「気長に待とうぜ
んじゃ、俺はちょっと用事があるからまたな」すたすた

女騎士「どこに行くんです?」

盗賊「そりゃあ…」

女騎士「?」

盗賊「女遊びに決まってんだろ」ニヤリ

女騎士「不潔」

盗賊「うっせ、じゃあな」すたすた

女騎士「はぁ…最初に感じた違和感は気のせいだったみたい…
なんか緊張して損した
それよりようやく師匠に会える…ふふっ」


同日-夕刻-


「準備はできてるか?」

「はい、言われた通りに事は進んでいます」

「うむ」

「それにしても楽しみですね勇者の驚く顔が…」

「まさか私が城から離れて会いに来るとは思ってもいないだろう…」

「ええ、勇者の恐怖に染まる顔が楽しみですね」




『魔王様』


ちょいと休憩

女騎士ちゃんぺろぺろ眠い

同日-夜間-
とある北の都


勇者「何とか攻略できたな…」

父「辛い闘いだった、いや勇者は凄いな」

僧侶「何を言っているんですか、あなた様も凄かったですよ?」

魔法使い「何でもいいから早く宿屋に行こーよー、もう疲れたぁー歩けないいいー!」

父「ははは、じゃあ早く宿屋に行くか」



「師匠!」



父「女騎士!?」

女騎士「えへへ、来ちゃいました…」

父「お前、来ちゃいましたって…」

女騎士「師匠…」タッタッタッダキッ

父「お、お、お?」

僧侶「あら、娘さん?可愛らしいお方ですね」

女騎士「師匠、ごめんなさい…約束破って…でも!」




ぐぅぅぅぅー


魔法使い「あははー…ごめんなさい」

父「あ、ああ、取り敢えず詳しい話は宿屋で聴こう」




「…」


とある北の都-宿屋-


ゴロゴロゴロ

勇者「早く帰ってこれてよかったな、一雨来そうだ…」

僧侶「あら本当、天気悪くなっちゃいましたね」

魔法使い「めしいいいい!」ダンダン

父「ちょっと部屋で話してくるから、先に食べていてくれ」




ガチャ



バタン



父「で、どうしてここにいるんだ?」

女騎士「あ、あの…」

父「怒らずに聴くから話してみなさい」

女騎士「師匠…」





父「ふむ、その様なことがあったのか」

女騎士「は、はい…ごめんなさい」シュン

父「何を謝っている、女騎士の危ない時に側にいてやれなくてすまないな…」ナデナデ

女騎士「ん…」

父「しかし、それが本当なら今から帰らせられないな…
どうしたものか…
そういえばここまで一人で来たのか?」

女騎士「んーん、盗賊って人と一緒に来たの」

父「盗賊?何者だ?」

女騎士「よくわからない、ただ、悪い人じゃないと思うんだけど…」

父「そうか、女騎士を守ってここまで来てくれたなら礼を言わなければな
して、その盗賊は今どこに?」

女騎士「わかんない、お昼に用事があるって言ってそれから見てない…」

父「そうか、もう日も暮れて天気も悪くなってきた、明日一緒に探そう」ナデナデ

女騎士「ん、でもいいの?勇者達と一緒に行動しなくて?」

父「ああ、明日は今日までの疲れを癒す為にお休みだ」

女騎士「ねぇ…師匠…」

父「ん?どうした?」

女騎士「私、ここまで来て本当にによかったのかな…
兵士のみんなに嘘ついて、あのお家から逃げて、隊長にまで迷惑かけて…」

父「んー…難しいな
だが、正解なんて無いに等しい物だ
問題は、自分が納得し、後悔をしなかったか否かだ」

女騎士「私、師匠に会えてよかった…」ギュ

父「うむ、それならそれでいいじゃないか
それに私の大事な娘がここまで頑張って来たんだ、私は嬉しいよ」ナデナデ




ザー




タッタッタッタッ



バァンッ

勇者「父!大変だ!」

父「む?どうした?」

勇者「凄い数の魔物が押し寄せて来ている!」

父「何だと!?」ガタッ

勇者「今日になって砦の魔物が減っていてどうもおかしいと思っていたんだ、まさかこれが狙いだったとは…」

父「そこまで来ているのか?」

勇者「ああ、このままだとこの街がマズイ…
先に僧侶と魔法使いと行っている!」

父「ああ、すまない、すぐに行く」

女騎士「し、師匠!」

父「すまないな、少しここで待っていてくれ、すぐに片付けてくる」

女騎士「気を付けて…」

父「ああ、大丈夫だよ、私はなんたって女騎士の師匠だぞ?
ではいってくる…」ガチャ



バタン



女騎士「師匠…」


とある北の都-大通り-


勇者「くそっ、雨が厄介だな…地面もぬかるんできた…」

僧侶「風も強くなってきましたね…
最悪の状況ですね…」

魔法使い「文句も言ってられないでしょ!
何とかしないとこの街がっ…!」

勇者「わかってる!とにかく時間を稼いで皆を避難させないと…」

父「すまない遅れた」

勇者「遅いぞ
陣形の説明をする、俺と父が前衛に行く、その後ろに魔法使い、最後に僧侶だ
魔法使いのデカイ一発でなるべく多くの魔物を手負いにさせる
手負いになった魔物を俺と父で何とかする
僧侶は補助に回り、後ろからの奇襲に気を付けろ
あの数の魔物だ、あれを一々相手にしていたらキリがない
この作成は魔法使いがバテたら終わりだ、頼んだぞ」



勇者「さて、やるとするか…」



魔物「グギャアアアアア」バッ

僧侶「来ます!」

勇者「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」バッ



ザシュッ


とある北の都-宿屋-


女騎士「す、凄い数…私も避難した方がいいのかな…」


キィィィ


女騎士「盗賊?今凄い数の魔物が来てるんです!」

盗賊「ああ、あれはヤバイな…俺等も避難するぞ」

女騎士「でも師匠が!」

盗賊「ああもううっさい!どうでもいいだろ…」






「どうせここで皆死ぬんだからな…」



女騎士「え?」

盗賊「…」

女騎士「な、何を言ってるんですか!」

盗賊「お前は大事な大事な人質だ、死なれたら困るんだよ
使える駒は使わないとな
側近…」

側近「はっ、睡眠魔法」フォン

女騎士「あ、あな…た…は…」バタン

盗賊「ああ、俺は」



「魔王だよ」


同日-深夜-
とある北の都-大通り-


勇者「うぉりゃあ!」スバッ

魔物「ギィ!」バタ

勇者「はぁ…っはぁっ、みんな無事か!?」

父「ああ、なんとかな…」

魔法使い「はぁっ…はぁ…魔力が切れる前に終わってよかったぁー…」

僧侶「み、みな、はぁっ…皆さん、お疲れ、様です…」

勇者「無事みたいだな…何とか倒せたな…」

父「ああ、流石にもう動けん…」

魔法使い「もう、無理…眠い…」

僧侶「では、避難した皆さんに声を掛けて来ます…」



勇者「伏せろ!防御魔法!」バッ

「大炎魔法」フォン


勇者「ぐぐぐぐ…」ゴゴゴゴゴゴ

僧侶「勇者様!」


「ほう、耐えるか…」

勇者「お、お前はまさか…」

「ああ、そのまさかだぞ」

魔法使い「ま、魔王…」

魔王「私がいつまでも城で踏ん反り返ってると思ったか?
私が直々に殺しに来てやったぞ」

勇者「くっ、こんな時…に…まさか、この襲撃も!」

魔王「念には念を入れてな
消耗しきったところで私が葬る」

父「くっ、やられた…」

魔王「だが」

勇者「あ?」

魔王「我もそこまで非道では無い、選択肢を与えよう
自決するか、我に殺されるか
さぁ、選べ」


勇者「何を馬鹿な事を、お前を殺して俺たちは生きるんだよ!
陣形はさっきと同じだ!死ぬ気でやらなきゃ殺されるぞ!」ダッ

父「勇者!俺も行くぞ!」ダッ

魔法使い「大氷魔法!」フォン

僧侶「大回復魔法!」フォン

魔王「下等な種には難しい選択だったかな?
側近…」

側近「はっ、大防御魔法」フォン


勇者「な!魔法使いの魔法がかき消されただと!?」

父「怯むな!それならば私たちが斬ればいい!」ブン

側近「ふっ…」キィン

父「何っ!?私の一太刀を止めた!?」ググググ

側近「どうした人間よ?この程度では私にも勝てんぞ?」ググググ

勇者「俺を忘れんなよなっ!」ブン

側近「くっ…」サッ

魔法使い「大炎魔法!」フォン

側近「大防御魔法」フォン

魔法使い「今!」

勇者父「「うぉぉぉぉぉ!」」



ザシュ


側近「私に傷を…よくもやってくれたなぁあああああぁぁ!」

魔王「ふむ、中々やるな」

側近「ま、魔王様…この様な奴らは私一人でもっ…」

魔王「いい、ここでお前を失いたくはない
あれを持ってこい…」

側近「くっ…」シュ

勇者「さーてと、側近があの程度ならお前もたかがしれてそうだな」

魔王「ふっ…果たしてどうかな?」

側近「魔王様、こちらに」シュ


父「な…っ!?」


魔王「さて、この小娘…何故ここにいるのだろうな?」スリスリ

父「今すぐ女騎士から離れろぉっ!」ダッ

魔王「側近」

側近「はっ」キィン

父「くそっ、邪魔だ!」グググ

魔王「今は眠っているだけだ、それが永遠になるかはこれから決まる」

勇者「父!落ち着け!」バッ

父「離せ!あの子は!」

勇者「わかってる!だが、今ここで冷静さを無くしたらみんな死ぬぞ!」

父「くっ…!」


魔王「中々賢いのだな…まぁいい
さて、この子を助けたいのであろう?
ならば、選択肢を与えよう
父と言ったな?
勇者を斬るか、小娘を捨てるか選ばせてやろう」

父「き、貴様はどこまで腐っているんだ!」

魔王「口の聞き方には気を付けろ?
今この小娘の命を握っているのは私だぞ?」スリスリ

父「貴様ぁぁ…!」

魔王「さて、手足は縛っておるし、起こしてやるか
側近」

側近「はっ、解呪魔法」フォン


女騎士「ん…んー…はっ、盗賊!」バッ

父「女騎士!」

女騎士「し、師匠?あれ、ここ…」

魔王「やぁ、お目覚めの様だなお嬢様よ」

女騎士「ま、魔王!?」

魔王「それともこちらの方がお好みかな?」フォン

盗賊「なぁ?嬢ちゃん?」

女騎士「ま、まさか、盗賊が魔王だったなんて…
じゃあ私がここまで魔王を連れて来たってこと…」

魔王「ご苦労であったぞ、快適な旅とは言いづらい物だったが、それなりには楽しめた」

女騎士「くっ…」ギリ



魔王「さて、答えは決まったのか?」

父「くっ…」

勇者「父、俺なら大丈夫だ、適当に剣を交えて隙ができるまで我慢しろ」ヒソヒソ

父「す、すまない」ヒソヒソ

父「私は…勇者を斬る」

女騎士「な…!師匠!何を考えているんですか!」

魔王「ふははははは、ならばさっさとやれ」

父「すまない勇者…」ダッ

勇者「魔法使い、僧侶!女騎士は任せたぞ!」ダッ

側近「そうはさせるか!大水魔法!」フォン

魔法使い「中防御魔法!」フォン



魔王「面白くなって来たな
ここまでやった甲斐があったものだ」

女騎士「私を人質に…くっ…」

魔王「人間とは愚かな生き物よ…」

女騎士「師匠…」



父「どうするつもりだ勇者…」グググ

勇者「今考えてる、集中させろ」グググ


魔法使い「固過ぎあいつ!これなら、鎌鼬魔法!」フォン

側近「当たるわけないだろう!氷壁魔法!」フォン


魔法使い「ふっ、甘い!僧侶!」

僧侶「攻撃力大増加魔法!」フォン

側近「なに!?まさか魔法を使わずに!」

僧侶「喰らいなさい!」



ドゴオオォォォォオン


だめ無理しぬねる
中途半端ごめんなさい

側近「く…がはっ…」ガクン

僧侶「神の鉄槌はいかがでしたか?」

側近「わ、私がこんなところで…魔王…さまぁ…」バタ


魔王「側近がやられたか…」

勇者「うぉおおぉぉおぉ!」ブン

魔王「小賢しい!大炎魔法!」フォン

魔法使い「中水魔法!」フォン

魔王「その様な魔法如きで我を止められるわけないだろう!」

父「甘いぞ!」ブン

魔王「貴様、血迷ったか!この娘の命が惜しくないのか!」グイ

女騎士「ぐぁっ…」バタ

父「僧侶今だ!」

僧侶「はい!」ガシ

魔王「我にしがみつくなど、100年早い!」ブン

僧侶「ぐぁ!」

勇者「よし、今の隙に女騎士を奪え!」

父「ああ!」ダッ

魔王「しまった!」

勇者「よし、これで心置き無く使えるぞ
喰らえ!大雷魔法!」フォン

魔王「ぐっ…おのれぇ!」カクン

魔法使い「よしっ効いてる!みんな行くよ!
攻撃力、防御力増加魔法!」フォン

勇者「うぉりぁ!」ズバッ

魔王「くっ…このままでは…」

勇者「はっ!何が魔王だ…大したことねぇな!」



父「女騎士大丈夫か!」

女騎士「わ、私のせいで…魔王を…」

父「気にするな、へんげの杖を使っていたみたいだ、気付かないのは仕方のない事だ」



魔王「…ふっ」チラリ

勇者「何がおかしい?」

魔王「いやなに、人間とは儚い終わりが好きだったのを思い出してな」

勇者「何を…」

魔王「大炎魔法!」フォン


魔法使い「くっ…だめ、魔力もう無い」

僧侶「魔法使い様!」ダッ


魔法使い「きゃぁぁぁぁぁっ」ゴゴゴゴ

勇者「魔法使い!くそっまだ余力があるのか!」ダッ

魔王「中氷魔法!」フォン

勇者「なっ…足がっ」カチカチ

魔王「貴様はそこで見ておけ、沈黙魔法」フォン

勇者「!」


僧侶「魔法使い様!」

魔法使い「わ、私はいいから勇者の方に行ってあげて…」


魔王「これが友情と言う物か、笑わせる」

僧侶「!攻撃…」

魔王「甘い!」ブン

僧侶「ぐはっ!」


魔王「ふはははは、所詮は束にならねば何もできない貴様ら人間が、我に勝てると思ったか!」

父「魔王!」ブン

魔王「まだ生きていたのか…貴様には良い終わりを見せてやる」シュ

父「はや…ぐあっ」バタン


女騎士「師匠!」

魔王「さて、すまないが貴様には死んでもらうぞ」スッ

女騎士「わ、私だって!」チャキ

魔王「うむ、ならば試してみるか?小氷魔法」
フォン

女騎士「ぐぁっ…」カランカラン

魔王「呆気ないな、さて…」スッ

女騎士「あ、あ…」

魔王「死ね」ブン





ザシュ


魔王「そうだ、これだ、この終わり方こそ人間が最も好み感動する終わりだ
どうだ?私は最高のプレゼントを与えられただろう?」

女騎士「あ…あ…」

父「怪我は…ないか?」ポタポタ

女騎士「ど、どうして…」

父「家族を守るのが、父親の仕事、だからだ…」バタ

女騎士「師匠ぉぉぉぉ!」ダキ


勇者「魔王ぉぉぉぉ!お前はぁああぁぁ!」

魔王「自力で沈黙魔法を破ったか、だが今日は疲れた、私からの最高のプレゼントを貴様らで楽しむが良い、移動魔法」フォン

勇者「くそ、逃げられたか…」


女騎士「師匠!師匠!」

父「ああ、どうした?」

女騎士「だめ…死んじゃだめ!」

父「ああ、すまない…それは約束できない…」

勇者「父!大丈夫か!?」ダッ

父「すまんな、私はここまでの様だ…」

勇者「何言ってんだ!僧侶、頼む」

僧侶「え、ええ…ですが、もう…」

勇者「何言ってんだ!まだ治せる!」

僧侶「くっ、治癒魔法!」フォン

父「いい、やめろ…無理なのはわかってる…」

女騎士「だめ、だめ!だめ!師匠お願い!
私何でもするから!これからはちゃんと約束守るからぁ!」ポロポロ

父「はは、それは頼もしい…な…」

勇者「おい、死ぬな…お前が死んだら誰が俺の隣に立つんだよ!」

父「すまないな…」

魔法使い「ねぇ、今度美味しいご飯連れてってくれるんでしょ?
だめ、だよ…死んだら」ポロポロ

父「すまない…」

僧侶「父様…私が非力なばかりにっ!」

父「僧侶は十分に凄いさ…」

女騎士「師匠ぉ…」ポロポロ

父「約束、守れ…なくて、すまない」ナデナデ

女騎士「そんなのいいから!お願いだから一人に…しないで…」ポロポロ

父「大丈夫、私はいつまでも女騎士を見守っている
だから…立派な騎士に…なる…んだ…ぞ…」ガク

女騎士「嫌だ!側にいてよぉ!」ポロポロ

父「…」

女騎士「ねぇ、師匠?どうしたの?」

父「…」

勇者「くっ…そぉっ!」

女騎士「しゃべってよ、おねがい…なんでもするからぁ!
おねがい師匠!もうやだ…ひとりは寂しいよ…」

僧侶「女騎士ちゃん…」ギュ

魔法使い「うぅっ…」ポロポロ




いやぁぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁあぁ

現代-深夜-
城-女騎士部屋-


男「そんなことが…」

女騎士「あの出来事は全て私が子供であったために起きた悲劇なのだ
それからの私は子供であった自分を捨て、騎士としての道を歩むことにした…」

男「…」

女騎士「すまない、この話をできなくて
私はやはりまだどこかで逃げていたのかもしれない」

男「いえ、気にしないでください
僕は父さんの最後が聴けて嬉しかったです
それに最後の最後まで騎士でいた父を誇りに思えるようになりました
ありがとうございます」ぺこり

女騎士「あ、頭を上げてくれ
礼を言うのは私の方だ、こんな私の話を聞いてくれてありがとう
そして、君の父上を死なせてしまって本当に申し訳ない」ぺこり

男「謝ることはないですよ
人間誰しも間違いはします、それを正すのが大人の仕事であり義務です
これ受け売りですけどね、ははは」

女騎士「そして、これからの事なのだが…
こんな話をした後になんだが…
私の秘書としての仕事、これからも続けてもらえないか?」

男「そんなことですか、僕は辞めないですよ
辞めたら母さんに楽をさせてあげられないので…」

女騎士「そうか…
こうなってしまったのも私の責任だ、もう私は逃げてはいられない
これからは私も母上と男に力を貸そう
何か欲しい物があれが言ってくれ」

男「気持ちは嬉しいのですが、それは女騎士さんには悪いので…」

女騎士「いや、させてくれ
責めてもの償いを…頼む」ぺこり

男「あ、頭上げてくださいよ!
これから困ったことがあったら頼みますから!」

女騎士「本当か!?よかった」パァ

男「ええ、そこまで頼まれたら、断るのも悪いですし」

女騎士「そうか!うむ、よかった、ふふふ」

男(女騎士さん笑ってる…今までずっと背負ってきたんだろう
これからは僕も女騎士さんを支えなきゃ…)

男「では、もう夜も遅いのでそろそろ帰りますね」ガチャ

女騎士「うむ、それもそうだな、母上も心配してるし行くとするか」スクッ

男「そうですね、母さんは心配で…すか…ら?」

女騎士「ん?どうした立ち止まったりして
私が出られないじゃないか」キョトン

男「今、何て言いました?」

女騎士「?どうした立ち止まったり…」

男「そ、そこじゃなくて!
その前です!」

女騎士「どうしたのだ?母上が心配しているから早く行くかと言ったんだ」

男「え?行くってどこへ?」

女騎士「君の家だが?」キョトン

男「いやいやいやいや、どうしてそうなるんですか!?」

女騎士「先程話したばかりだろう、これからは私も力になると」

男「え?そうゆう意味だったんですか?」

女騎士「それ以外に何があると言うのだ
ほら、さっさと行くぞ」




男「え?」


男家-居間-


男「…ってことがあって…」

女騎士「これからここで寝食を共にしようと思っております
何卒ご迷惑をお掛けすることがあるとは思いますが、その時は厳しく叱ってください
よろしくお願いします」ぺこり

母「あら、そうなの?
ようやく一緒に暮らせるのね、ふふふ
私の娘がようやく来てくれて私は嬉しいわ」

女騎士「む、娘だなんて…私はこの家の者では…」

母「でもあの人が育ててくれたんでしょう?
それなら私達は家族だわ
これから頑張っていきましょう」ギュ

女騎士「は、母上…」ギュ



男「もうわけわかんない…
じゃあ明日早いんでもう寝ますね」

女騎士「ん?どこで寝ようとしてるんだ?」

男「え?床ですけど?
あ、寝床なんですが、ソファーで我慢してもらってもいいですか?
ベットは母が使っているので」

女騎士「いやそうじゃない
私は厄介になる者だ、私が床で寝るさ」

男「だめですよ、そんなことはできません
僕だって男なんですから、女の人を床で寝かせるなんてできません」

女騎士「わ、私は女ではなく騎士だから気にするな!
あ、あと…私を女扱いしないでくれ…」カァァ

男(あれ?何この反応?)


そういうだ、すまん

女騎士「と、とにかくだ!私はこの家のむ、娘にはなったみたいだが騎士なのだから!
そして貴様の上司だ!命令だ!ソファーで寝ろ!」ビシッ

男「何かもう言ってることめちゃくちゃですね…
もう僕は決めたことですから
おやすみなさい」ゴロン

女騎士「あ、こら貴様…」

母「女騎士ちゃん」

女騎士「母上…男が…」

母「少しはこの子の気持ちを汲んであげて?
この子も新しい家族が増えて嬉しいのよ
それに女騎士ちゃんは女の子でしょ?
あの人によく言われてたのよ、女の子には優しくしなさいって」

女騎士「っ…で、では仕方なくソファーで寝かせてもらいます
では、母上おやすみなさい」

母「ふふ、おやすみなさい」すたすた



男(母さんに娘って言われてから様子がおかしいな…
やっぱり女騎士さんも騎士である前に女だし、娘として扱ってくれるのが父さんしかいなかったから、戸惑ってるのかな
何でもいいや、寝よ)


スローでがんばる
ねるねるねーる

数日後-夕刻-
城-女騎士部屋-


男「ふぅ…書類整理終わり!」バサ

女騎士「頼んだことは終わっているか?」ガチャ

男「あ、お疲れ様です女騎士様」スク

女騎士「ああ、楽にしててくれ…」

男「あ、書類整理は終わりました、これですね」ドサ

女騎士「ああ、ありがとう
君が来てくれてから私は楽になったよ
それに、帰る家があると言うのは悪くないな」

男「あ、そういえば今日女騎士様のベッドが家に来るんでしたっけ?」

女騎士「ああ、流石に私がソファーで寝るのは悪いからな
私と君と母上のベッドを頼んだのはいいが…」

男「あの狭い家に置く場所あるかな…」

女騎士「…」

男「…」

女騎士「…」

男「…」



男「母さんが大変だ!」ガタ
女騎士「母上が大変だ!」ガタ


男家-居間-


男「母さん!」バン
女騎士「母上!」


母「あら、良いところに帰ってきてくれたわ
これ、どうしようかしら」


グチャア


女騎士「やっぱり新しいベッドを三つも頼んだのは失策だったな…すまない…」

男「そんなことないですよ、僕と母さんの分までありがとうございます」ぺこり

女騎士「家にいるときにその話し方はやめろと言っただろう?」

男「あ、その…ありがとう」

女騎士「うむ、それより早くベッドを動かそうか」

母「女騎士ちゃん私の分までありがとね」

女騎士「いえ、私の寝床のみを新しくするのは失礼なので
そ、それに、かあ…は、母上のお体が良くなることを私は望んでいます」

母「あら?私はいつまで母上なのかしら?」

女騎士「か、かあ…さん…」モジモジ

母「ふふふ」


数日後-夕刻-
城下町-酒場-


兵士1「くそっ…!」ドガン

兵士2「どうしたよそんなに荒れて」ゴクゴク

兵士1「今度の魔物討伐の隊列に俺の名前がなかったんだよ!」

兵士2「それは俺もだ、何なんだろうな一体」

兵士1「しかも最近のあのクソ野郎は女騎士とべったりだ
呼び出す隙がねぇし…」

兵士2「ストレスが溜まって、飲んでるって感じか
お、そういえば面白い話があるぜ」

兵士1「あん?」

兵士2「何でも簡単に魔物を呼び出せる魔方陣があるらしいぜ
それを使えばいつでも好きな時に、好きな数だけ殺せるんだよ」

兵士1「俺は魔法は使えねぇんだよ」

兵士2「いやいや、それが魔法使わなくても何とかなるみたいでよ
ほら、最近の商人街の方に怪しい占い屋ができたろ?
どうもあそこで聞けるみたいだぜ」

兵士1「何だよ、その胡散臭い話は」

兵士2「試すだけ試してみればいいじゃねぇか
どうせやることないんだしよ」

兵士1「まぁ、魔物をぶっ殺せたら、このイライラも解消されるだろうしな…
明日行ってみるか」

兵士2「お、明日行くのか
丁度俺も非番だしついてくぜ」

兵士1「いや、待て…
もっと楽しいことができるかもしれねぇな…」

兵士2「おいおい、あんまりやらかすんじゃねぇーぞ?」

兵士1「あの男のを痛ぶる楽しいことだよ…
明日が楽しみだなこれは…」ゴクゴク




翌日-明朝-
男家-居間-


男「よし、じゃあいってきます母さん」ガチャ

女騎士「うむ、では私も行ってまいります母上」

母「はい、気を付けてね
いってらっしゃい」フリフリ



バタン



男「今日は女騎士さんは非番ですよね?」

女騎士「ああ、そうだが
まだ片付いていない書類があるんでな」

男「それくらい俺がやっておきますよ」

女騎士「いや、十分男には助けてもらっているからな
これ以上は甘えられない」

男「そうですか
じゃあ母さんと二人っきりになれますね」

女騎士「ちゃ、茶化すな…」

男「二人っきりの時だけ母さんって呼んでるの知ってますよ
俺がいても、気にせずに呼べばいいのに」

女騎士「そ、そんなんじゃない
ほら、急ぐぞ!」スタスタ

男「今日のお昼は母さんと一緒に食べてくださいね
俺は夕方には帰れるんで」スタスタ




同日-昼間-
城-女騎士部屋-


女騎士「ふぅ…ようやく片付いたな」ドサ

女騎士「しかし、かなりの量だったな
さて、早くに帰って母上と昼食でも…」パサ

女騎士「ん?何だこの書類は…
ああ、商いについての視察書か、ふむ」



女騎士「特に問題はないな、明日にでもまた詳しく見るとするか…」ガチャ




バタン





同日-同刻-
城下町-商人街-


兵士1「ここがあの占い屋か…」ガチャ


兵士1「暗いな…
おい、誰かいるか?」キョロキョロ

「おや、客ですか」

兵士1「最近この店の噂を聞いてよ、何でも魔物を召喚できる魔方陣があるって…」

「ああ、あれですか
ありますよ、買いますか?」

兵士1「ああ、その前にどれ程の物なのか見てみたい」

「貴方も好き者ですね
では、試してみましょう」フォン

魔物「グギャァァァアァアア」

兵士1「お、おい、この魔物って…」

「ええ、そんじょそこらにいる雑魚とは違いますよ
安心してください、陣で召喚した魔物は全て自身の支配下に置けます」

兵士1「ははは、こりゃあいい…
買おう、いくらだ?」

「いえ、代金はいりません…
代わりに、貴方がこの国でその魔方陣を使い、いろいろと宣伝してくれるだけでいいのです…」

兵士1「はっ、宣伝ねぇ…
いいよ、してやるよ」

「ありがとうございます
その魔方陣はとても複雑な物となっておりますので、扱いにはくれぐれもお気を付けください」

兵士1「へいへい…じゃあな」ガチャ




バタン



「ふひひひ…これでこの国も滅びる…
魔王様…この私が必ず貴方様の夢を叶えてみせむす…」

「この…側近めが…必ずや…」


同日-夕刻-
城-城門-


男「おーわったーっ!」

男「もうすぐ他国との会談があるせいで、いつもより仕事が大変だったなぁ…
会談までこれが続くのかぁ…」

事務員「おう、今から帰るのか?」

男「あ、事務員さんお疲れ様です」

事務員「俺も今から帰るところなんだよ
どうだ?今日くらい一杯やらねぇか?」

男「ははは、気持ちは嬉しいのですが、今日も余裕はなくて…」

事務員「なに、気にするな
昨日カジノで買ったから俺は余裕しかないんだよ
だから今日くらいいいだろ?」ガシ

男「でも、悪いですよ、僕の分まで出してもらうのは…」

事務員「いいっていいって、気にすんな!
困った時はお互い様だろ?」

男「事務員さん…すみません
ではお言葉に甘えます」

事務員「おう!じゃー、今日はお前に夜の遊びを教えてやるよー!」

男「ほどほどでお願いします…はは…」

事務員「そういえば、最近さ
お前女騎士様と一緒にいるけど、まさか…たぶらかしたとか?」

男「え、何ですかそれ…
俺そんなに軽い男に見えますかね…」

事務員「いや、くそ真面目な貧乏人にしか見えんな
寧ろ、キスもしたことなさそうだ」

男「ははは…嬉しいのか嬉しくないのか…」

事務員「ま、そんなことよりどうなんだよー
教えろってー」

男「な、なんでもないですって…
それに女騎士さんは…」




キャアアアアアアアアア



男「悲鳴!?」

事務員「城下町の住宅街の方からだな」

男「くっ…」タッタッタッ

事務員「あ、おい待て!」タッタッタッ


城下町-住宅街-


魔物「ギャァァァァァッ」ブンッ

「ぐぁっ…」バタ

魔物「キシャアアアアアアアアッ」

「く、くるなあああああああっ」



男「な、なんだ、これ…
どうしてこんなに魔物が…」

事務員「おいおいおい、やべーぞこれ!
兵士達を呼んでくる!」タッタッタッ

男「国の門番達は何やってるんだよ!」

魔物「ギャァァァァッ」ブン

男「くっ…」サッ

男「このままじゃ俺がやられるよ…
剣でもあれば少しは…」タッタッタッ



兵士4「おい!大丈夫か!」タッタッタッ

男「門番さん!これは一体…」

兵士5「いやわからん…
ただ門からは入ってないことは確かだ」

兵士4「さぁっ、危ないから避難していたまえ
幸いに住宅街にしか魔物はいないみたいだ、城に向かって逃げるといい!」

男「魔物と戦う術なら小さい頃に父親から教えられました!
僕も戦いますよ!」

兵士4「いいや、だめだ、素人がどうこうできる相手じゃない!」

兵士5「だが、そうも言ってられんぞこの数は…」

魔物「シャァァァァァァッ」ブンッ

兵士4「くっ…援軍が来るまで手伝ってもらう
ただし、絶対に俺たちより前に出るなよ!」キィン

兵士5「ほら、俺の剣を使え」スッ

男「でも貴方の武器が…」

兵士5「少しだけだが魔法は齧ってる
何とかなるさ!」フォン

男「では、借ります」

魔物「グギャアアアアアアァァァァ」

男「魔物相手なら…
父さんを一番近くで見ていたんだ…
何とかしないとっ!」ブンッ





同日-同刻-
男家前


女騎士「くっ…どうして魔物が…」ブンッ

魔物「ギャァ…ァァ…」バタ

母「大丈夫?女騎士ちゃん…」ヒョコ

女騎士「心配はご無用
私はこう見えてこの国一番の剣の使いです
それより、家の中に隠れていてください、外は危ないですから」チャキ

魔物「ガァァァァァッ」ブン

女騎士「強いな…だがっ」サッブンッ

魔物「ガァッ」バタ

女騎士「この魔物達…よく見ると今度討伐する筈だった魔物達に似ているが…
まさか…」


魔物「ギャァァァァァァ」

女騎士「いかん…考察は後だ
魔物共!来るがいい!私が一瞬で葬ってやろう!」ブンッ


同日-同刻-
???


兵士1「はははは…こりゃぁすげえっ!
いくらでも呼べるし言うことも聞く!」


魔物「グガァァァァァッ」


兵士1「いいぞ、お前ら…このまま住宅街を潰したら次は商店街、商人街だ
最後に城を潰して…
これは魔王の気持ちもわかるかもな」

兵士1「ひひひ、この調子で魔王にでもなるかぁ?
はははっ、悪くねぇなぁ!」


「どうですか?魔方陣の調子は?」


兵士1「おう、占い屋のやつか
最高だな、こんなにも清々しい気分は久しぶりだ!
いや、初めてだな!」

「気に入っていただけて嬉しい限りです」

兵士1「そういえば、お前ずっとフード被ってて顔を見せようとしないけど
顔くらい見せろよ」

「気になるのですか…
では先にご質問よろしいでしょうか?
貴方様の先程何と仰っていましたか?」

兵士1「あん?清々しい気分ってか?」

「いえ、その前ですよ…
私の聞き間違いかを確かめたいので、もう一度お願いします」

兵士1「ああ、魔王にでもなろうと思っててよ
どうだ?俺の側近として働いてみないか?」

「……ま…」

兵士1「あ?何だって?」

「貴様如きがなれるものではないわぁっ!」スパッ

兵士1「え?」ボト

「人間風情が粋がるなよ…
人間如きが魔王様になるだと?
思い上がるのもいい加減にしろ」

兵士1「う、う、うう腕…腕ががぁぁぁぁぁぁっ」

「魔王様の名を口にするなど、何たる愚行っ!
万死に値する」スパッ

兵士1「や、やめぇ…」



ゴト





「はぁ…はぁ…我々より下等な生物が…」

魔人「側近様…」

側近「なんだ?」

魔人「この国の外に大軍を用意できました…」

側近「よろしい…
ふふふ…魔王様…見ていますか?
私が必ずや人間共を絶滅させてみせましょう…」




ははは、ははははははっ、はーっはっはっはっはっ





るぱーんさんせーい

終わったから頑張る

男家前


女騎士「貴様が、最後だっ!」スパッ

魔物「キシャァァァッ」バタ

女騎士「よし、粗方片付いたな…
母上、城へ避難します」

母「そうね、ここは危ないわね」


男「女騎士、母さん!」タッタッタッ

女騎士「男!」

男「はぁっ…はぁっ無事でよかった…」

女騎士「ああ、私達は無事だ
それよりこの状況は何なんだ…」

男「さっき兵士の人たちに聞いたけど、外に大量の魔物が集まってるみたいなんだ!」

女騎士「なに!?」

兵士4「目測だけで1000は越えているかと…」

兵士5「国内に存在する魔物はほぼ全滅
既に半数の兵が城内に集まっており、隊長さんが指揮をとっておられます
残りは外の魔物の侵入を防いでおります」

女騎士「うむ、よくやってくれた流石だ
では、わたしはこのまま魔物の殲滅に向かう
貴様らは城までこの二人を警護してくれ」

男「女騎士さん!俺だって魔物相手なら戦力になります!」

女騎士「ふむ…今は猫の手でも借りたいくらいだ
では国内に残っている魔物を頼む
ではまた会おう!」タッタッタッ

兵士4「では、お二人とも早く避難しましょう!」



城-中庭-


隊長「我が国は魔王の誕生以来、平和を保ち続けてきた!
その平和が今崩れんとしている!
お前らにも守りたい物はあるだろうっ、この国だけではなく!
家族、恋人、友人、全てを守る為に今剣握れっ!」



オオオォォォォォォッ



隊長「私は後ろで指揮を取る、前線には女騎士がいるだろう!
彼女と共に全てを切り開け!」



隊長「やっぱり、こうゆうのは慣れんな…」

母「あら、隊長さん?」

隊長「む?こ、これは母上殿!」ビシッ

母「あらやだ、私はあの人じゃないんだから、そんなのやめてください」

隊長「は、失礼しました
無事でよかった…」

母「ええ、あの人の意思を継いだ自慢の息子がいるもの」

男「お、お久しぶりです」ペコリ

隊長「ははは、どうせ覚えてないだろう?
しかし大きくなったな」ナデナデ

男「こ、子供扱いしないでください…」

隊長「そうか、さっき兵士4に聞いたが
国内の魔物は任せたぞ」

男「はい、やれるだけやってみます」

隊長「ただ、無茶はするなよ?
君は兵士でも騎士でもないんだ、危なくなったら逃げなさい」

男「ありがとうございます
ですが、僕だって父親の血を引いているんです
そして、背中を見て育ちました
必ず魔物を倒してみせます」

隊長「はっはっはっ、これは事が収まり次第私の後釜候補だな」

母「後釜って…」

隊長「もう私も年なんでね、それに女騎士がいる
私みたいなオヤジは素早く去るのが一番なんです」

母「隊長さん…」

隊長「では、私もいってきます
城内には兵士が残りますので、ご安心してお待ちください
失礼します…」スタスタ


国門前


女騎士「でやぁぁぁっ」ズバッ

兵士8「うわぁぁぁぁっ」

魔物「キシャァァァッ」

女騎士「伏せろ!」ズバッ

兵士8「あ、ありがとうございます女騎士様」

女騎士「怪我をしているな、今援軍が向かっているみたいだ
もう少し踏ん張れるか?」

兵士8「は、はい!」

女騎士「よし、良い返事だ」





兵士2「おいおいおい、まさかこれって兵士1の仕業じゃ…
洒落になってねぇぞ!」

兵士1「」フラフラ

兵士2「お、おい!こんなところにいたのか!
お前、何やってんだよ!」ガシッ

兵士1「」

兵士2「お、おい、どうしたんだよ…」

兵士1「」ニタァ

兵士2「え?」




グシャァッ



数分前



側近「しかし、ここで殺したのは失敗だったか
いや、だがあの発言は許せない」

魔人「この人間は?」

側近「私の操り人形ですよ
そうか…人形か…ふふふ」

魔人「何をお考えで?」

側近「この人間を魔物へと変化させる
そして、私の魔力を入れれば最高の人形になるだろう…ふふふ」ガシッ

魔人「…」

側近「人間の頭ってのは軽いものですね
さて…生まれよ私の僕よ…」フォン



兵士1「」

側近「さて、この人形へと魔力を入れれば完成だ
知能度の低い魔物を一匹」フォン

魔人「は、既にここにおります」スッ

魔物「キュウ?」

兵士1「」

側近「我ながら最高の人形を作ってしまったな…」


兵士1「」フラフラ

魔物「キュゥッ」


グシャァ


側近「この人形は生物を食すことによって、その姿形を変えていく
そして力も魔力も増幅する…
ふふふ…」

兵士1「」ニタァ

側近「ん?なんだ?まだ食い足りないのか…
ではすぐに転送して満腹にさせてやる」フォン



商人街


男「はぁっ…はぁっ…もうここにはいないのかな」タッタッタッ




商人「た、助けてくれええええええっ」

魔物「グオオオォォォォォォォォォッ」ブン

男「くっ…」キィン

商人「あ、あんたは…」

男「早く逃げて!」

魔物「グォォォッ」ブン

男「こ、こいつ…強いな…」キィン

商人「た、助かった!」タッタッタッ

男「だけど!」ズバッ

魔物「グォ…ォォォォ…」バタ

男「はぁ…はぁっはっ…」カクン

男「くそっ、日頃から運動しておけばよかった…
こんなに体力が無いなんて…
女騎士さんは大丈夫だろうか…1000の数の魔物なんて…
やっぱり可戦しに行くか…」スクッ

商人「おーい!武器持ってきたぞ!
ってもう倒したのかよ!」

男「武器…
そういえば商人さん、前に僕が売った剣ってありますか?」

商人「おう、あるぞ!
けど、こんな古い剣でいいのか?」ブン

男「ありがとう、これには秘密があるんです…」パシッ

商人「秘密?」

男「ええ、ちょっとした魔法剣になっていて
昔父の知り合いの人が魔法を付与してくれたんです
それより、僕は今から戦場に向かいます
商人さんは城に逃げてください」

商人「あ、あほか!お前は兵士じゃないただの一般人だろう!
すぐに死んじまうぞ!」

男「考えたくはないですが、もし戦場で闘っている人たちが負けたら、どの道僕らも終わりです
数は少しでも多い方がいいでしょうし
それに…」

商人「ん?」

男「守れる力を持つ人間は強いんですよ」タッタッタッ

商人「あ、おい!なんだよかっこつけやがって…」




商人「あーもう!くそっ!」タッタッタッ


国門前


兵士1「グォォォォオッ」バクンッ


兵士9「な、なんだよあれ…魔物も人間も食ってやがる…」

兵士1「」ニタァ

兵士9「く、くるなぁっ!」

女騎士「はぁっ!」ズバンッ

兵士1「グギャァァァッ」

女騎士「な、なんだあの魔物は…
無事か?」

兵士9「あ、ありがとうございます
あの魔物だけ他の魔物とは違うんです…魔物も人間も関係なく食べてるんです」

女騎士「食べる…だと?」

兵士1「」ムクリ

女騎士「やはり浅かったか…」チャキ



兵士1「」アーン

魔物「ギャァァァッ」


グシャッバリンッグチヤァッ


女騎士「形振り構わずか…」

兵士9「お、女騎士様…あれ何か様子がおかしいですよ」


兵士1「グ…グググ……グァ」ボコン


女騎士「…」

兵士9「な、何をするつもりなんだ?」


兵士1「グォォォォオオォォォオオォォオオオォォオォオ」



兵士9「で、でかくなった…」

女騎士「厄介だなこれは…」


なんかいろいろありがとうおやすみんたい

夜頑張れる気がする



男「はぁっ…はぁ…まだ魔物の残りがいたから遅れたけど…戦場はどうなっているんだ…」タッタッタッ



兵士1「グォォォォォ」ブンッ

女騎士「がっ…」バタ

男「お、女騎士さん!」タッタッタッ

兵士9「ま、まずい女騎士様までもが…」チャキ


男「女騎士さん!しっかりしてください!」ユサユサ

女騎士「男…か…」

男「あ、あの魔物は一体…」

女騎士「くっ…私としたことがしくじってしまった…
あの魔物は厄介だ、生物を食せば食すほどに強くなる…」

兵士9「おい!お前!誰だかわからんが女騎士様を運んでくれ!
あいつの足止めは俺等に任せろ!
傷の手当てをするくらいの時間は稼げる!」

男「で、でも…」

兵士9「早くしろ!ここで全滅するよりはマシなんだよ!」

男「くっ…ごめんなさい!
女騎士さん、しっかり掴まっててください」タッタッタッ

女騎士「お、おい…やめろ…ぐぅっ…」




兵士1「グオオオォォォォ」

兵士9「ははは…カッコつけたのはいいけど、こっちはほぼ全滅状態
魔物はあいつが食ってくれたから良いものを…
かっこなんてつけなきゃよかったかもな」チャキ

兵士1「グガァォォァォオッ」ブンッ

兵士9「うぉぉぉぉぉっ!」ブンッ






国門付近


男「しっかりしてください!女騎士さん!」


兵士10「おいおい、まじかよ…
まさか女騎士様が運ばれて来るなんてな…
おい!腕の良いヒーラー呼んでこい!」


女騎士「くぅっ…」

兵士10「こりゃすげー傷だな
出血も凄いし、骨もぐちゃぐちゃ、唯一の希望が潰えたか…」

男「そんなっ…」

女騎士「わ、私はまだ闘える…早く…戻らねば…」

男「何言ってるんですか!こんな傷じゃやられてしまいます!」ガシ

女騎士「離せ!私は…私が…闘わなくては…
守らなくては…それが騎士の務めだ…」グッ

僧侶「すみません、今着きました
って女騎士ちゃん?
まさかあなたがここまでやられるなんて…
今治療を始めます」フォン

男「あなたは、僧侶様…
女騎士さんと知り合いなのですか?」

僧侶「ええ、以前彼女の父とパーティーを組んでいたの
その時に知り合ってね
この様子を見る限りじゃ絶望的の様ね…」

男「勇者様や魔法使い様はこの国にはいないのですか?」

僧侶「運悪く他国に出掛けているのよ
最近の魔物の出生の調査にね…」

女騎士「そ、僧侶か…大きな傷だけでいい、早く治してくれないか?」

僧侶「はい、動かない
大きな傷を治すだけでも時間がかかりそうなの、よくこんな身体になるまで闘っていいたわね」

女騎士「私は…騎士です
あの人と約束しましたから…」

男「…」


兵士11「た、大変だ!あの巨大な魔物がこっちまで迫ってきている!
どうやら他の兵士は全滅したみたいだ!
手の空いてるやつは集まってくれ!」




女騎士「兵士9…私がもっと強くなっていれば…」

男「俺…行ってきます」スタスタ

女騎士「何を言っているんだ…君は…ぐっ…」

男「数は少しでも多い方が時間を稼げます
とにかく今は治療に専念してください、完治するまで何とか持ち堪えてみせます」スタスタ

女騎士「ま、待て!」



男「僕も行かせてもらえませんか?」

兵士11「君は一般人の様だが…」

男「一般人でも囮くらいにはなります」

兵士11「だが…」

男「僕だってこの国を守りたいんです、お願いします!」ぺこり

兵士11「そうか…すまないな、今は少しでも数が欲しいところなんだ」

男「謝らないでください、これは僕の意思ですから…
それに…」グッ

兵士11「?」

男「僕にはこの剣がついています」




商人「おーい!」

男「商人さん?避難したのでは?」

商人「お前が行くって言うのに、俺だけ逃げてられるか!
そうだ、武器はたんまりとある!
みんな、好きなやつを使ってくれよ!」ガシャン

兵士11「すまない、助かるよ」チャキ

商人「もちろん代金は後で貰いますからね」

兵士11「じゃあ、生きて帰らねばな…」

兵士1「グォォォォォォォォッ」

兵士11「足が早いな…よし、みんな聞いてくれ!
今女騎士様が治療を施してもらっている
完治するまで我々で何とか時間を稼ぐ、女騎士様が復活すれば何とかなるはずだ!
それまで死ぬんじゃないぞ!」


オオオオオォォォォォォッ



男「やっぱり少ないな…」

隊長「そうでもないよ」

男「え?」

兵士11「た、隊長様!」ビシッ

隊長「今は緊急だ、敬礼はいい
国内に存在した全ての魔物は排除した
今城から援軍がこちらに向かっている、多分女騎士より先に到着するだろう
そして、私も出る」

兵士11「で、ですが…指揮官が前に出ては…」

隊長「では君に指揮を取ってもらう
私も出ねば状況は更に悪化する
そしてあのような魔物が国内に入ることは断固として許されない」

男「隊長様…」

隊長「ん、君は何故ここにいるのだね?」

男「僕もこの国を守りたいので…」

隊長「そうか…
む?その剣は?」

男「ああ、父の形見です
この剣は…」



兵士1「グォォォォォォッ」ブンッ

兵士12「ぐわぁっ!」バタ


隊長「悠長に話してる場合ではなかったな
皆のもの!行くぞ!」



オオオオォォォォォォォッ



男「父さん、力を貸してください…」



数年前-魔王討伐の旅の前-


魔法使い「この剣に父の魂を?」

父「ああ、私の妻と息子に何かあったときに、と思ってな」

魔法使い「ふーん、できないことはないけど
効果は知ってるんだよね?」

父「私の魂の一部をこの剣に付与することによって、持ち手に私の剣技を瞬間的に覚えさせることができる」

魔法使い「そうそう
ただ、便利な魔法でもあるけど、これは魔剣の一つになってしまう為、国では禁止されている魔法」

父「更に私の寿命を減らしてしまう、というリスクもある」

魔法使い「禁止魔法ってわかってて私に頼んでるの?」

父「ああ、すまない…君にしか頼めないと思ってな
もちろんそれ相応の報酬は払うつもりでいる
禁止魔法とわかっていても家族を守りたい」

魔法使い「私は昔からやってみたいって思ってたからいいけど
バレたら即刻死刑だよ?」

父「魔法使いの名前は出さないさ、いや、出したら死んでもまた殺されそうだからな」

魔法使い「ふふん、よくわかってるじゃない
本当にいいの?」

父「ああ、頼む…息子には強くなってほしいんだ…
今まで父親らしいことはあまりできなかった
最後に父からの贈り物として渡したいんだよ
もし、旅から無事に生還できたときにはすぐにこの剣は破棄し、罪を認める」

魔法使い「それじゃあまるで死ぬってわかってるような行動じゃない」

父「何となくだが、そんな予感がするだけさ」

魔法使い「最後の確認ね
本当にいいのね?」

父「ああ、頼む…」



ごろん

9時から多分頑張る

現代


兵士1「グォォォォオオオオッ」ブンッ

隊長「ふん、力比べか?」キィン

男「と、止めた!」

隊長「ふんっ」グッ

兵士1「オオォ?」グラッ

隊長「私の部下によくも傷をつけてくれたな
お前にも味合わせてやる!」ズバッ

兵士1「ギガャァァァァァァォォ」

男「僕だって…」グッ

男「あ、あれ?」グッグッ

男「ど、どうして抜けないんだ…」グッ



兵士1「グヒャァァォァゥ」ドスンドスン

隊長「む?逃げるのか?」

兵士1「グァァァァーン」ガシッ

魔物「ギャーギャー」バタバタ

隊長「ま、まさか…」



グシヤァッ



隊長「共食いをするとはな…それに…」

兵士1「ハァァァァァ…」

隊長「私の切り傷が消えている…
これにやられたか女騎士…」チャキ


「たいちょーっ!離れてください!」フォン


隊長「む?魔法砲か!」スタッ


「特大炎魔法砲ーっ!発射ぁぁーっ」

兵士1「アン?」



ズドォォォォォン





隊長「す、凄い威力だな…」


シュゥゥゥゥゥ


隊長「しかし、土埃でよく見えない…」

兵士12「隊長様!ご無事ですか?」

隊長「ああ、私は大丈夫だ」

兵士12「大型の魔物に直撃が確認されたみたいですが…
見えませんね…」

隊長「む?」



兵士1「ぐぉぉ…あぁ…」ズルズル


隊長「おいおい、人が倒れてるぞ!
おい誰か!仲間が巻き込まれたみたいだ!」

兵士12「あ、あれは兵士1さん
でも、さっきの魔物は一体どこに…」

隊長「木っ端微塵になったみたいだな…
それらしき影は全く見えない
それよりも彼の治療が先だっ」タッタッタッ



男「す、凄い兵器だ…
それに比べて俺は…」グッ

男「やっぱり抜けない…どうして…」グッグッ



隊長「おい!大丈夫か!?」ガシッ

兵士1「あ…あぁ…」

隊長「酷い出血だな…待ってろ血だけでも止めてやる…」ビリビリ

兵士12「隊長様、私はヒーラーを呼んでまいります!」タッタッタッ

隊長「頼んだぞ!
もうすぐの辛抱だがら生きろよ
しかし、君は一体どこにいたんだ…」

兵士1「あ、あああぁ…」スッ

隊長「ん?手を伸ばしてどうした?」




グシャアァッ




男「え?」


兵士1「はぁ…はぁ…っ」グチャグチャバキンッ

隊長「お、お前っ!」ドクドク

男「隊長様!」タッタッタッ


兵士1「ギィイイィイィイオオォォッ」ボコン


男「い、生きてますか!?」ガシッ

隊長「あ、ああ…右腕を食われたくらいだ…
まさかあいつかあの大型の魔物だったとはな…ぐぅっ…」

男「しっかりしてください!すぐに運びます」



兵士1「グォォォォォォォッ」


兵士12「隊長様ー!ヒーラーを連れて…
た、隊長様!?」

隊長「すまん、やられてしまった…
さっきの人間が魔物だったようだ…」

兵士12「そ、そんな…人間が魔物になるなんて…」

男「出血が酷いです、話は後にしましょう
隊長様をお願いします」

兵士12「き、きみは?」

男「何とか時間を稼いでみます、それに僕一人で戦うわけではないですし」

兵士12「た、確かに今も我々の仲間が闘っているが…」

男「では、お願いします」タッタッタッ




男「鞘から抜けなくたって受け止めるくらいできる…
ただ、鞘から抜けないと父さんの剣技が使えないのは痛いな…」

男「……嘆いたってしょうがない
とにかく時間を稼ごう」タッタッタッ




兵士13「うぉぉぉぉっ!」スパッ

兵士1「ガァァァッ」ブンッ

兵士13「ぐぶっ」バタ

兵士14「く、くそ…何なんだよこの化物…
さっきよりでかくなってやがる…
それに仲間もみんな…」


兵士1「グァァアーン」アーン

兵士15「や、やめろぉっ」ブンブン



グシャァッ



兵士14「も、もう終わりだ…」ガクン


兵士1「グォオォォォオッ」ブンッ


兵士14「くっ…」ギュッ






兵士14「あ、あれ?」

男「ぐぐぐぐぐ…は、早く逃げて
もう持たない…」ググググ

兵士1「ゴガァァァォッ」ブンッ

男「ぐふっがっ…」

兵士14「あ、ああぁ…」

男「あ…あ…がっ…」ポタポタ

兵士14「だ、大丈夫か!?」タッタッタッ

男「ぎ、ぎりぎりなんとか…」グッ

兵士14「い、一緒に逃げよう!
さぁっ、早く背中に乗って!」

男「ぼ、僕の事なら大丈夫です…
まだ。やれますから…」


兵士1「グォォォオォァアアァーッ」ブンッ

男「く、そっ…」キィン

兵士14「あ、あぁ…」

男「早く逃げてください!」スッ

兵士1「オオア?」ドスン

男「やっぱり身体がでかいだけだ…
足元をすくったら簡単に転んでくれた…」



兵士14「…」




男「はぁっ…はぁっ…」ガクン

兵士14「あああああもう!」ガシッ

男「え?」

兵士14「何でお前は俺より勇敢なんだよ!兵士にでも騎士にでもなれよ!くそ!
おい!さっさと剣抜けっ!あいつ立つぞ!」チャキ

男「で、でもこの剣抜けなくて…」

兵士14「はぁ?」

男「さっきここに来る前は抜けたんですけど…
今はどうしてか抜けなくて…」グッ

兵士14「不良品なんじゃねーの?」


兵士1「グアア…アアア…」スクッ

兵士14「やばい立ったぞあいつ!とにかく構えろ!
抜けなくても無いよりはマシだ!」

男「あいつ足元が弱いみたいです!
さっき簡単にすくえました!」

兵士14「よし、俺が前から突っ込んで囮の役をやるから
後ろから足の健を切ってやれ!
元は人間なんだからあるだろう、ほらナイフ使え、いくぞ!」タッタッタッ

男「はい!」タッタッタッ


兵士1「グオォォォアアアッ」ブンッ

兵士14「ははは…怖過ぎてぶっ倒れそうだぞ…」スッ

兵士14「でも…」

兵士1「グアアオオォォォッ」ブンッ

兵士14「何とかギリギリかわせるな
でもどうして女騎士様は負けたんだ…」

兵士1「ガアアアアアアアアアッ」フォン

兵士14「魔法かよっ…」



ズドォォォォンッ




男「兵士さん!」


兵士1「ハァァァァァァァ…」シュー

男「ま、魔法も使えるのか…」

兵士1「グァ」ギロ

男「や、やばい、後ろを振り向かれた…」

兵士14「う、ぉぉ…おぉおおおおぉぉぉっ」ザシュッ

兵士1「ギャアァァァアァァァッ」

兵士14「今だ!俺の剣が刺さってるうちに…」

兵士1「ガグァァッ」ガシ

兵士14「ぐはっ…」

男「あああっ…」




グシャァッ





兵士1「ハァァアアァァッ」ブンッ

男「に、握り潰した…」

男「く、くそぉぉっ」

兵士1「ガアアアアアアアアアッ」フォン


男「ま、魔法!?ま、まずい!」








男「あ、あれ?」

女騎士「よく持ち堪えてくれた」

男「女騎士さん!」

女騎士「あの程度の魔法切ってみせろ
隊長からその剣の事は聞いた
君の父ならやってみせたぞ」

男「でも…これ抜けないんです…」グッ

女騎士「なに?」


兵士1「ハァァァァァァ…」シュー


男「ここに来るまでには抜けていたんです
でも何故か今になって抜けなくて…」

女騎士「やつが立て直す前に簡単に話してやる
魔剣という物は込められた魂に応えて初めて姿を表す物だ
ここに辿り着くまで一人で人々を守っていたから抜けたんだ
だが、今この場には私や隊長がいる
どこかで安心し、頼っているのだろう」

男「ぼ、僕は本当にみんなを守ろうと…」

女騎士「だが抜けないのが事実だ
一般人の君はよくやってくれた、私達を頼るのは仕方のない事だろう」

兵士1「グオォォォォッ」ドスンドスン

女騎士「お喋りはここまでだ…離れていろ」チャキ

兵士1「ウガァアアアッ」ブンッ

女騎士「先ほどまでの私とは違うぞっ」スッ

女騎士「これが全快の私だ!」ズバッ


兵士1「グォォ…ガァ…」バタンッ


女騎士「元は人間だそうだな、誰だかわからないが
安らかに眠るといい」




ズバンッ





男「い、一撃で…」

女騎士「大軍を相手にしていなかったら、犠牲は少なかったんだがな…」シャキン

女騎士「私の無力さを痛感させられるよ」

男「そんなことはないです、僕がもっとしっかりしていれば…」

女騎士「ふむ…」




側近「おやぁ、やられてしまいましたか」シュン

女騎士「誰だきさ…ま…は…」

側近「ん?貴様は…」

女騎士「生きていたのか…」チャキ

側近「ああ、あの時の人質か…」

女騎士「まさか、今回の襲撃は貴様が…」

側近「ええ、ですが…あなたが死ななかったのは残念だ
あともう少しのところだったのにも関わらず…」ゴゴゴゴゴ

女騎士「…」

側近「私の詰めが甘いと言うのか…
それとも…見誤ったとでも言うのか…」ゴゴゴゴゴゴ

女騎士「まずい、すぐに離れろ
あれを相手にしながら君を守ることはできなさそうだ」チャキ

男「お、俺だってやれます!
それにこの剣だって!」グッ

側近「別れの言葉は済みましたか?
私は紳士ではないのでね…二人まとめて殺してやる…」フォン



ごろんごろん



側近「死ね!大炎魔法!」フォン

女騎士「ふんっ」ズバッ

側近「私の魔法を切るか!ならば、これならどうだ!大爆発魔法!」フォン

男「え?」

女騎士「馬鹿者!逃げろ!」ダッ







男「お、女騎士さん!」

女騎士「…」

男「お、俺を庇って…」ガシ

側近「女はもう立てない、そして腕も飛んだようだな
これで一番の邪魔者は消えた
さて、そこをどけ
その女には私の人形になってもらう
先の人形は素材が悪かったようだ、だが次は違う」

男「どうしてそこまでこの国を恨む…」

側近「魔王様の首を落としたのはこの国から出た勇者のせいだと聞きましてね
まず手始めにこの国から落とすつもりなんですよ
私の怒りがこの国だけで収まると思いますか?」

男「魔王にでもなるつもりか?」

側近「魔王様は魔王様だけ
私はそんな恐れ多い事などしません
ただ、魔王様の果たせなかった事を私が代わりにするだけ
まぁいい、その女を寄越しなさい」

男「俺はこの人を守る…」

側近「そうですか、ではあなたも一緒に死ぬがいい
大爆発魔法」フォン




側近「少し魔力を消耗し過ぎた…
しかし、あとは人形を作るだけ」

男「まだ死んでないぞ」

側近「な、なに!?」

男「何とか間に合ったよ
これが抜ければもう負けない」チャキ

側近「ふん、骨董品如きで私を切れるとでも?」

男「もう誰かを死なせたりしない
必ず守ってみせる!」タッタッタッ

側近「では守ってみせなさい!大炎魔法!」フォン

男「うおおぉっ!」ズバッ

側近「な、なに?やはり魔力を消耗し過ぎたか!大風魔法」フォン

男「くっ…」

側近「ははは、やはり見えない物は切れないみたいですね
そのまま私の魔法で切り刻まれるといい、大稼風魔法」フォン

男「見えないなら…全部切ってやる!」ズバンッ

側近「な、何てでたらめな…」

男「これで…終わりだあああああぁぁぁぁっ」ズバッ








側近「がはっ…」バタ

男「はぁ…はぁっ…た、倒せた…」

女騎士「お、とこ…」

男「女騎士さん!大丈夫ですか!」

女騎士「ああ、何とか…な
だが、もう剣が握れないみたいだ…」

男「女騎士さん…」

女騎士「これでは騎士は続けられないな
私は一生をかけて人々を守ると誓ったのに…」

男「ごめんなさい…俺のせいで…」

女騎士「ふふふっ、冗談だ
君を守ったと思えば安いものさ」




側近「ふ、ふふ…
いいですねぇ…楽しそうで」

男「まだ生きてたのか…」

側近「だが、この命ももうもたない…
なので、他の誰かに願いを託すことにしましょう」

男「まだこんなこと続けるのか…」

側近「私は魔王様の右腕…
一生の忠誠を誓ったのだ…死ぬまでやりますよ
だから…」





一緒に死にましょう




男「く、くそ!間に合うか!」タッタッタッ

側近「魔王様…今行きます
極大爆発魔法」フォン



数年後
城-女騎士部屋-


女騎士「ふぅ…ようやく片付いた…
しかし、この義手はまだ慣れないな…」


コンコン


隊長「失礼するよ…」

女騎士「隊長様」ビシ

隊長「あー、二人きりだ気にするな」

女騎士「仕事の邪魔をしにきたのですか?」

隊長「ははは、まさか
同じ義手仲間仲良くしようと思ってね」

女騎士「では、今から剣を交えますか?」シャキン

隊長「じょ、冗談だ
それより、今日も一人か?」

女騎士「…」

隊長「そろそろ忘れなさい
ズルズルと引きずっていると心身共に良くない
その証拠に最近の君は見ていられない
気を抜いて部下から一本取られる、話を聞いていない
そして、ここにある書類、これ間違っているぞ」

女騎士「私は…騎士失格です…
守れたと安心して、気を抜いた次の瞬間には守られていた
そして彼は…」

隊長「少し休暇を取れ
あの事件以来、魔物はめっきり見なくなった
今の状態なら私だけでも十分だ」

女騎士「ですが…」

隊長「これは命令だ
とにかく今日はもう帰れ
休暇申請書は私が出しておく、またな」ガチャ





バタン







あの最後の側近の爆発の後、私は彼に守られ何とか一命を取り留めた

そして死傷者の数は142人、内死者が72人
彼らは英雄としてこの国に名を刻んだ

何もかもを食らってしまう巨大な魔物、元は人間だったということで中を探ってみると
兵士1という者の頭が出て来た
どうやら彼が今回の事件を巻き起こしたみたいだ
側近に上手く操られていたのも事実だが、今後城に仕える兵士達は、二度とこの様な事がないよう厳重注意を受けた

私は彼を庇ったせいで右腕を失くした
しかし、帰ってきた魔法使いに話をしてみると、他国の技術を応用した腕を作ってくれると言ってくれた
キカイなる物と魔法を組み合わせた物らしく、本当に自分の腕の様に動かせる
しかし、見た目は、歯車や鉄の塊が剥き出しになっているのであまり人には見せられない








それから彼は…






「…」さっさっ


「ふぅ…ようやく掃除が終わったー…」

「家の掃除だけでもまだ大変だなぁ…
早くもっと動ける様にならないとなぁ」

「このままあの人のお金で暮らすのは申し訳ないし…
それに、あれ以来家に来てくれなくなったし…」

「どうせ、母さんに合わせる顔がないとかどうとか思って来れないんだろうなぁ…」




「貴様、そこで何をしている」

「掃除が終わった所ですよ、ようやく帰ってきてくれましたね」








おわりんご



中盤から適当になってごめんなさい
もし次があるならちゃんと書きます
さよおなら

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月06日 (土) 11:18:27   ID: LakwW7MD

補足するとだってアホ過ぎるw
現実の武士は身長50cm離れた若くて体格のいい農民を撫で殺せるんだぞw

2 :  SS好きの774さん   2015年01月25日 (日) 13:39:21   ID: AqNlbSty

面白乙

3 :  SS好きの774さん   2015年04月29日 (水) 22:51:45   ID: MF3WnPg0

過去話が長すぎてウザい。蛇足感たっぷり。
もっとまとめろよ。

4 :  SS好きの774さん   2015年05月23日 (土) 23:28:20   ID: 70D3mMph

男がちゃんと兵士1達を告発しておけばこんなことにはならなかったのに。街があんなことになったのは男のせいだろ。

5 :  SS好きの774さん   2015年06月04日 (木) 09:40:57   ID: BXES8zmI

話作るの下手くそだなぁ
キャラの行動にツッコミどころがありすぎて読んでて笑える

6 :  SS好きの774さん   2016年01月26日 (火) 02:40:59   ID: PKvVhGRY

確かに痛い話なんだが、別に何か武術をやってるわけでもない奴が武術語るなよ……。
なんだよ現実の武士はって……お前は数百年も生きてんのかよ。すげぇな。
作者の臭さ以上にコメントが臭すぎ。

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