男「す、すいません・・・休みをいただけないでしょうか・・・?」
気弱な青年は、目付きが悪く、機嫌の悪そうな上司に懇願した
上司「ああ?」
青年は入社してから1年が経過した、新入社員ではないが、まだまだ新人である。
彼は、あまり良い大学を出たわけではないので、現在の会社に就職している。
青年の仕事は、激務で、毎日帰るのは終電間際だった。
彼の職場には、彼と上司だけではない、数名の同僚と先輩がいる。休みが欲しいのは何も青年だけではない。
このガラの悪そうな上司だって、ここ数年有給休暇は使っていない。
そんな中、入社から1年足らずの青年が、有給休暇を申し出たことに、職場の空気はピリっと変わった。
上司「なんでだよ?」
上司はイラだった様子で尋ねる、すると青年は恐る恐る返答した
男「に、人間適性検査なんです・・・」
その言葉に上司はハッとし、同僚たちも、「ああ・・・」という反応をした。
上司「えっ」
上司は思わず驚きの声を漏らした。
上司「に、人間適性検査って・・・お前まだ済ませてなかったの!?」
この上司が驚くの無理はない。
本来、この人間適性検査は、新社会人なら入社前の2月か3月に済ませている。
しかし、人間適性検査を受けるのは6月なのだ。
季節はずれの検査に、上司は驚いたのだ。
男「はい、すいません・・・そのー・・・本当は5月だったんですけど、忙しくて先送りしてたら・・・期限が・・・」
上司は呆れた、例え5月でも時期はズレている。しかし、ゴールデンウィークも休みなしだったので。
上司は、彼の人間適性検査のための休暇を承諾した。
男「ありがとうございます。」
上司「そういえば、お前は・・・一年留年してたな。」
青年は大学を1年留年していた、学生時代の不摂生で、単位が足らず留年したのだ。
自業自得と言えば自業自得なのだが、留年中に彼は「どうせやることもないし」と思い、就職活動に有利かと
自己判断で、6月に人間適性検査を受けたのである。
実際、人間適性検査は1年中いつ受けても構わない。
国の法律で定められているため、いかに仕事があろうが、大事な用があろうが、この適性検査だけは
決められた期間以内に必ず受けなくてはならない。
そして、それを何者も阻害してはならない。もし阻害したならば。
重い刑罰が課せられる。
さて、この検査なのだが、免除されているものも居る。
彼が6月に受けれたのも、公的に認められている学生という立場の者は、免除されているのだ。
この検査に合格し、適正者証書を認められれば、それは社会上かなり有力な身分の保証商になる。
逆に、この検査に受からないと、就職できないどころか・・・人間不適合者として、扱われてしまうのだ。
彼は、入社して直ぐは、新入社員ということもあり、5月は1日だけ休みがもらえたが
今年は色々と忙しく、検査を受けに行く余裕がなかったのである。
この検査は、平日だろうと休日だろうと朝10時から19時の間ならいつでも受けれる
しかし、検査時間は3時間から4時間も掛かるため、人数によっては丸一に、もしくは朝一に並んでも
終わるのは終電すぎなんていうこともある。特に新社会人の多い2月から3月は特に混雑する。
上司も、2月に受けに行っているし、他の同僚たちも受けに行っている。
同僚「おいおい、普通は2月か3月だろ?」
男「お、俺・・・大学生活を1年エンジョイしたから・・・ヒマだし6月に受けちゃったんだ」
同僚「まあ、でも6月で正解かもな、俺なんてスゲー多いんだよ、検査の人数、8時に並んで検査終わったの16時」
男「お、俺もゴールデンウィークはそれくらいかかったよ、始まる1時間前には並んだけど」
この検査は期限の切れる1っヶ月前から受けることができる。しかし、期限をすぎることは決して許されない。
自動車の免許は、期限の切れる、一ヶ月前と一ヶ月後以内に受けることができるが、これは一ヶ月前である。
男は、明日の検査のことを考えて、今日は仕事をいつもの倍のペースでこなした
できるだけ、仕事を残したくなかったのだ。しかし、それでも仕事が終わったのは
終電の2本前の電車で帰れる時間だった。
適性検査の朝、男はいつもの起床時間より4時間近くも遅く起床できた。
久々にゆっくり寝むれた、身支度を整え、男は通知書を確認し、人間適性検査場に向かう。
男の暮らしているところからは、それほど遠くなく
徒歩で向かうのには、少し優雅な散歩気分で行くことができる距離だった。
しかし、優雅な気分で行くことができない。
何故ならこの検査に不合格なら、男は人間として認められないのだから。
男「おお、6月の平日は思ったほど混んでないな」
男が到着した頃には会場は始まっていたが、それでも以前来たときに比べれば数はまばらだった
最近は、他にも会場が増えたので、より穴場の場所を狙う人もいるようだ。
大きな建物、といっても学校の体育館のような外見のビルで、窓はなく受付のドアからしか
中の様子は見れない、男は自動ドアを抜けて受付に入った。
男「あのー、この通知が来たんです」
男は、人間適性検査の期限までに受けるようにの通達書を見せる。
受付「はい、ではそちらの機械に通してください、それで番号が出るので呼ばれたら、奥の扉に向かってください。」
受付の女性が丁寧に笑顔で説明してくれた、職場の同僚や男の生活域はこのような態度をとる人は少ない。
久しぶりの、営業スマイルに男は少し嬉しくもあり、切なくもなった。
まもなくして、男の番号が呼ばれた。
男が呼ばれた扉の奥は、狭い通路だった、しかし、その通路には沢山の扉があり、扉の向こうは沢山の小部屋がある。
小さい部屋のテーブルには、人間の適性を調べるための検査用の機械が置かれている。
この機械には脈拍、心電図、脳波、視力、レントゲン、色々な検査もする、まるで健康診断のような事をさせられる。
男は、慣れたように、機械の赤いランプのついた場所に、自分の手を差し出す。
すると、機械が自動で男の脈拍を測り、同時に脳波や心電図も腕で測ってくれる。
バチっと何かの音がする。
どうやらレントゲンで男を撮ったみたいだ。
この機械が作動したまま、音声ガイダンスが流れる
「では、これより、人間適性検査を行ないます。あなたの番号を口頭でお伝え下さい」
男「はい、121353242」
この機械とのやりとりが1時間くらい続く。
非常に退屈なやりとりである。
まるで、答えなど無いんじゃないかという質問を延々繰り返される。
「リンゴ、バナナ、ハマキ、チクワ、あなたが車の中に飾るアクセサリーとして使いたいにしたいのはどれ」
はっきり言ってしまえば、どれも車のアクセサリーには使用したくない。
しかし、この質問を不まじめに答えれば、自分は人間の資格を剥奪される。
もしかしたら、どうでもいい質問を永遠聞かせて試しているのかもしれない。
退屈な質問を出して、途中で重要な質問をだし、それに答えられるかテストしているの違いない。
男はそう思うと、くだらない質問に考えながら丁寧に答えた。
少し、休憩を挟み、次の検査が行われる。
血液を採取し、今度は色々な絵や映像を見せて質問をされた
「この絵の中で、あなたが不適切だと思うものを選びなさい」
しかし、出された映像はよくある公園の風景にベンチがペンキ塗りたてと書かれた札が貼ってあるくらいだった
一体、何が不適切で、何が不適切じゃないのかはまったく分からないが。
もしかしたら、これにも意味があるのだろう。そう思いながら男はペンキのベンチと答えた
時折、理由を述べよとと言われるが
今回は聞かれなかった、正直聞かれたらどうしようかと男は思った。
このような質疑応答はだいたい2時間で終わり、検査の結果が出るまで1時間少々待つことになった
途中の休憩を入れれば、4時間近いが、それでも今日は早く終わったほうだ。
待合室の、自動販売機の前でコーヒーを買おうとする。
男「いいな、うらやましい」
男は自動販売機に取り付けられた、電子カードの読取口を見てそう漏らした。
この読取口に、学生証、国が学生と認めたもののICカードをかざすと、この自動販売機は
飲み物を無料で提供してくれる。
男は学生ではなく、社会人であり、1、人間であるため
このようなサービスは受けられない。
男は硬化を入れて、ホットコーヒーを買って、待合室でチビチビと飲んだ
いよいよ、検査の結果が出る。
この検査場で、新しい人間証明証となるICカードが渡される。
カードには写真も文字もなく、どっちが前で後ろかは一瞬ではわからないほど、真っ白だ
実際は触れば、感触前と後ろは分かる。
男は今までのカードを返却し、新しいカードを受け取った。
ここまでは、まだ合格か、不合格かは分からない。
男は合否を確認するため、確認部屋と呼ばれる場所に向かった。
そこは、自動販売機に着けられているような、読み込み口があり、それにカードをかざして
合格なら、部屋のドアが開き、帰ることができる。
ちなみに、不合格だとどうなるかは分からない、実際不合格の人を男の周りでは見たことがなく。
これに不合格する奴はいない、誰で受かる。不合格になるのは都市伝説だ。
まで言われている。実際男も、あんな質疑応答で人間の何が分かるんだと思いながら自分の合格を信じていた。
ビッビーーービビビッビーーー!!!!
男が読み込み口にカードをかざした瞬間、以前来た時には聞いたことのない音が流れた。
男は一瞬、何のことか分からなかったが、もしかして、これは!?と思った瞬間。
男の足元は抜け、男は下へと落下していった。
男が床に消えて直ぐ。床は復活した。
男の次に、合否を確認するものが部屋に入ると
次の人は、前の人はあのドアから出たんだろうなと思った。
男が落ちた時、風圧と気圧差で、本来出ていくはずのドアが少し開いてたのだ。
男は、長い長い滑り台を降りていた。
暗闇の中を滑り落ちていく恐怖に男は情けない悲鳴をあげた。
やがて、すべり台の傾斜は緩やかになり、前方に明かりが見えた。
男は暗がりから急に明るいところに出たので、まぶしくなり目を覆った。
すると、先程試験で聞いた音声ガイダンスの声が聞こえた。
「貴方は、検査の結果、不合格であると判定されました。」
恐る恐る目を開けると、男の目の前には合否の確認部屋の数だけの滑り台と
何名かの不合格者が、大きな広場でに集められていた。
男「そ、そんな・・・不合格なんて・・・」
男は落胆した、折角大学を卒業して、やっとの思いで就職して。
辛い仕事に慣れて、ようやく一年が経過したのに、人間として不適合だなんて。
男がうなだれていると、後ろの方から悲鳴が聞こえた。
きっと別の誰かが不合格になったんだろう。
男はこのままだとぶつかってしまうと思い、滑り台を降りた。
ちょうど降りてからすぐ、会場の待合室で見かけた女が滑り落ちてきた
女は、暗がりから明るいところに出たため、目を覆っていた
そして、男が聞いたガイダンスが再び流れると、女は恐る恐る手をどけた
とりあえず、近くに居た男と目があうと
女は全てを悟ったように泣き出した。
男「とりあえず、ここに居ると、後ろの人がつっかえちゃうんで、移動しませんか?」
男は冷静を装い、女を誘導しようとしたが。内心男も女と同じ泣きたい気分だった。
だが、女は、男の申し出に対し「うるさい!大きなお世話だ」と突っぱね、泣きじゃくるのみであった。
仕方なし、男は女を放置し、部屋の中央に向かった。
この広い部屋には、滑り台の降り口と、壁にもたれかかって泣く者、泣いてはいないが
絶望真っ最中といった、顔面蒼白、顔色の悪い連中がそれぞれに落ち込んでいた。
部屋の真中には、大きな丸いテーブルと沢山座れる様のイスが設置されており
ティーポットにお菓子などが置いてあった
こんな状況で、そんな悠長にお茶なんか飲んでられるものは居ない。ハズなのだが
年配の人や、中年の人、少し、ヒョロッとした兄ちゃんなど、数人はくつろいでいる様子だった。
キモが座っているとはまさにこのことなのだろうかと、男は少し冷静さを取り戻した。
中年「おお、兄ちゃんは落ち込まないんだな、お茶でも飲むか?」
中央のテーブルでくつろいでる人達を眺めていた男に気づいた中年は男にお茶を勧めてきた。
とりあえず、ただ立っててもしかたないので、お茶を頂くことにした。
集めのお茶をすすり、袋に入ったクッキーを摘むと、中年は語りかけてきた。
中年「まあ、兄ちゃん、まだ若いから、そう気落ちするなよ?人生生きてりゃ挽回できるから」
中年は笑顔で励ましてくれた、なんだかずいぶん達観した人だなと感じた。
しかし、人間の資格を剥奪されたので、人生なんて言葉はもう使えないんだよなと思うと
啜るお茶が、少しシブく感じた。少し落ち着き男は、中年に質問した。
男「あのー・・・これからどうなちゃうんでしょうか、僕達?」
中年はうーんと唸りながら、とりあえず苦笑いで
中年「なるように、なるんじゃないかな?まあ、生きてりゃいい事あるし気にしないほうがいいさ」
男の求める答にはなってないが、それでも、男を気遣ってくれる気持ちは伝わった。
男は、あまりクヨクヨしててもしょうがない。と自分に言い聞かせてお茶を飲み干した。
しかし、これからどうなるのだろうかという不安は拭い切れない。
ある程度不合格者が部屋に集まった時、突然部屋が揺れだした。
男「地震!?」
しかし、揺れ方が地震とは違い、なんだかいつも感じてる揺れを感じた。
この揺れ方は、電車。男が普段乗り慣れてる電車の揺れに似ていた。
どうやら、部屋が移動しているようだ。
ゴウンゴウンと音を立てて部屋はどこかに移動しているようだ。
やがて揺れは収まり、部屋は停まったようだ。
そして、今ま壁だと思っていた場所が立てに割れ、ドアが開いた。
「どうぞ、こちらにお進みください」
音声ガイダンスの声が流れた。
音声ガイダンスに従い20名の不適合者は、案内された通路を歩く。
もしかしたら、このまま処刑されるのではないだろうか?
男は疑心暗鬼に駆られ、呼吸が荒くなった。
しかし、先ほどの中年は取り乱すこともなく、特に怯える様子もなく普通に歩いている。
どちらかと言うと、中年より下の年齢の人ほど、足取りは重く、何かに怯えてるようだった。
通路を歩くと、今度はまた別の扉がある。
ドアが開くと、検査を受けた時と同じような小部屋が用意されていた。
「開いている席にお座りください」
先ほど受けた検査のように、皆席に座りだす。
「では、これより、皆さんの処遇をお伝えします。」
「皆さんは、検査の結果不適合と判断されたため、人間の権利を剥奪します。」
機械の淡々としたアナウンスに人間の優しさは感じられない。
ただ冷たく死の宣告を言い放つ。男はそう感じた。
男「人間の権利を剥奪されたらどうなるんだ?」
男の疑問は、不適合を言い渡されたものなら誰しもが思うことだ。
「はい、それを今から説明します。よくお聞きください。」
男はつばを飲み込み、死刑宣告を待つ被告人のように
機械からの処遇を待った
「まず、あなたは人間の権利を失いましたので。人間証明書が保証する権利やサービスは利用できません。」
男は、人間として権利を機械がサービスなどと一緒にする扱うことに腹が立った
「カッカしてはいけません、血圧が上がります」
どうやら、男の血圧などのデータから今の状況や表情、発汗状態で状況を分析したようだ。
男「そんなことはどうだっていい!俺はどうなるんだよ!!!」
男が声を荒げると、機械は淡々と答えた
「先ほど申し上げたとおりです。とりあえず、人間としての身分がなくなりました」」
機械は続けた
「とりあえず、もう一度検査を受けてみてはどうですか?」
男「え?・・・」
男は以外な返答に拍子抜けした。
男「もう一度受けれるんですか?」
「はい、受けれます、しかし、このままだと貴方はまた不合格になる確率が高いでしょう。ですので」
男は機械が言う次の発言に全神経を注いだ。
「人間適性訓練校に通うことをおすすめします。」
人間適性訓練校
聞いたことのない言葉だった、男は機械にその事を尋ねると機械は説明した。
どうやら、不適合者は、そこの訓練校に通い、人間としての証明を受ける訓練をするという。
そして、訓練校でのカリキュラムを終えて、人間適性検査を再度受けるというのだ。
男「どのくらいの期間でまた検査を受けれるんだ?」
「わかりません、検査を受けても大丈夫と見極めが出たら、また受けに来てください」
機械の素っ気無い返答に、男は次に気になっていることを尋ねた
男「人間の権利を剥奪されたんだが・・・そのー・・・俺は明日からどうなるんだ?どうやって生活すればいい?」
「そのことですが・・・」
「あなたの身分は人間ではありません。なので、アパートを新規で借りたり、銀行から融資を受けたり」
「その他金融機関からの融資は受けれません。パスポートも以前のものは使えません。」
「あらゆる、業種への就職はできないと思ってください。また、一部行政サービスも受けれません。」
男「そんな・・・完全に詰んだ・・・」
まさに、生活することに必要なことは一切できない状態に陥ってしまった。
この機械は、男に、死ねと言い渡したのだ。
男「ふざけるな・・・ふざけるなよ!!!そんなんで!そんなんで生きて行けるかよ!!!!」
男は激しい怒りをぶつけた
「果たしてそうでしょうか?」
男「黙れ!!人間でないお前に!!」
「いえ、別に今言ったことができないだけで、生活はできるんじゃないでしょうか?」
男「じゃあどうやって生活するんだよ!!!」
「あなた、データによりますと、アパート暮らしですね」
男「そうだよ!だからなんだよ!」
「アパート借りてるから、住む所あるでしょ?」
男「はぁ?」
機械の返答に男は間抜けな声を出した
男「し、就職できないんだろ?」
「はい、できません。」
男「まさか・・・就職できないだけで・・・以前からの仕事は続けられるとか?」
「いえ、人間の身分が無い人を雇うメリットはないでしょうから、貴方は解雇されると思います。退職金も出ませんし、不当解雇にもなりません」
男「じゃあどうやってアパートの家賃払うんだよ!!!」
「国が免除してくれます」
男「うっ!・・・おおぅ」
男「だ、だが・・・飯とか、どうするの?」
「知りません、ご自身で自炊するなり、外食するなり」
男「収入がないのにどうやって飯を喰うんだよ!!」
「補助金が出ます」
男「ああっ・・・そうなんすか・・・」
「その他、かかる費用は国により免除されますが、ケータイ電話料金などは御自身で支払ってください」
「後で、何が免除されて、何が対象外なのかをまとめた紙をお渡しいたします。そちらをよく熟読してください」
「何かありましたら、その紙に書いてある」
淡々とした機械の説明に何がなんなのか分からないまま
男は紙を渡され、退出するように命じられた。
男は放心状態のまま、自宅に辿り着いた。
先ほど言われたことが本当なら、男は人間という身分から外されたのだが
なんだか、伝えられたことはあんまし、今までと変わらない感じがした。
男は渡された紙をよく読んでみた
まず、まとめると
人間の身分は剥奪されたが、訓練校に通う資格は新たにいただけたようだ
そして、訓練校に通うと、学生という身分が国から与えられる
訓練校に通う間は国から15万円の補助金が支給され
家賃、水道光熱費、電気代は一定量免除、以前からのローンの支払いは剥奪された時点で、支払は停止
権利が戻った時点で、支払を再開する
税金、年金、医療保険は免除、しかし消費税は支払う
医療費は私立でなければ全額免除される
パスポートは停止されるが、権利が戻ればパスポートは最発行される。手続きと費用は無し。
他にもあるが、今の頭で整理できる部分はここまでだ
とりあえず、男は訓練校に通うために、紹介された訓練校に電話をかけた
「はい、人間適性訓練校、N県校です。」
男「あのー、できれば早急にそちらで訓練を受けたいのですが・・・」
「はい、分かりました、ではお名前とお電話番号を、それと、明日から説明会しますんで12時には来ていただけますか?」
男「あっ・・・はい・・・」
男は言われるがまま、訓練校の説明会の予約を取った
そして男は、布団にねころび、天井を見つめながら、明日からの仕事をどうすればいいんだろうと悩んだ。
しかし、男が不合格になったことは直ぐに、会社に伝えられていた。
この日、男の机は片付けられ、私物は後日宅配便で送られてきた。
男は約束の時間に訓練校のある場所についた
一見、ここが訓練校とは思えない、路地裏の雑居ビル
人間じゃない人が通う学校なので、こんな場所に追いやられたと思ったが
ここが、訓練校だと周りに思われないための配慮なのかもしれない
そう自分に言い聞かせて、訓練校のビルに入った
受付のある階までエレベーターで行くと
中は以外と綺麗で、女性の受付の人が迎えてくれた
男「昨日電話をしたものですが」
「お待ちしてました、どうぞこちらへ」
男が通されたのは、20人くらいが入れるような教室だった
教室の中には、男の他に、昨日泣きわめいていた女と見知らぬ人が数名いた
男「あっ、どうも」
女は気まずそうに会釈をすると、窓の方を向いて、話しかけないでオーラを出していた
男も、なんとなく話しづらいので、教室の真ん中の席で、説明の時間が来るのを待っていた
やがて、教官の人が紙を持って入ってきた
「どうも、この訓練校の教官です、早速ですが紙を渡します、よく読んでくださいね」
紙に目を通すと、教官は紙に書いてることをただ読むだけだった
この訓練校は人間適性検査の合格を目指す訓練校
ここでは一ヶ月に4時間の講義を受けてもらい、1年間通ってもらう
1っヶ月に4時間は受けてもらうが、この4時間は何時受けてもいい
連続で同じ日に受講してもいいし、一日置きだろうが週1だろうが間が開いてもいい
仮に、受講できる日が無くて1ヶ月に4時間受講できなくても次の月にまとめて受講できる
受講数が卒業に必要な分足りてなくても、別に人間適性検査は受けても良
すごくゆるい内容だった
男「あのー・・・どんな事を、ここで訓練するんですか?」
「人間として必要なことを訓練します。その都度講義で説明しますので、今ここでは言えません。」
男は納得がいかなかったが
まあ、聞いても答えてくれそうもなかったし、変に固くるしい場所でも嫌なので
この訓練校に通うことを決めた
早速、明日から通うことができたので、一気に4時間受講することに決めた
男は、訓練校の帰り道、自分の貯金がどうなってるのかが気になった
まさか、財産没収されているんじゃないかと思い、ATMを探し、残高を確認した
男「あれ・・・増えてる?」
確認すると、前日に15万円振り込まれていた
そして、今までの貯金と一緒に、引き下ろすことができた
臨時収入が入ったような気分だったので、少し食事でもして帰ろうかと思った
近くのファーストフード店に入ったときに、見慣れたカード読み込み口が目に入った
訓練校に通うことを決めた時、その場で学生証を貰ったのだ
もし、この学生証が、この店で使えるなら、男はドリンクが1杯無料になる。
男は恐る恐るカードを提示し
サンドイッチとドリンクを注文した。
店員は「こちらにカードをお当て下さい」と笑顔で対応してくれた
この学生証も、人間証明書と同じで、写真も文字も印刷されていない、色は少し赤いが
それでも、パッと見は分からない
カードを当てると、レジに学生サービスと表示されていた
この時点で、男の身分は学生として証明された。
しかし、普通の学生と違いパスポートは無い。
海外に行くことはできないが、正直今の状態で海外に行く気分ではない。
その他制約もある
会社も、クビになってるだろうし、これから訓練校に通う以外の予定がない。
途端に暇になってしまった
食事をすませ、家に戻ると、布団にごろんと横になった。
何もやることがない、普段なら昼食がとれるか取れないかの時間だ
でも、今は家で寝転がってる。
あんなに忙しく働いていたのが、まるで嘘みたいだ。
もうあの会社で働かなくていいんだ・・・と思えば気も楽だが
次の就職先どうしようと思うと途端に憂鬱になった。
気がつくと、テレビを見ていた
この時間帯はドラマとワイドショーがやっている
最近、ニュースすら見ていないので、世間で何が起きてるのかさっぱりだった
そして流れてる情報はすごく自分には関係なく、どうでもいいタレントの話題ばかり
凶悪なニュースはないが、政治家が汚職をしているだの、あんまし自分には興味がない話題だった
スポーツも、働いてから見なくなったし、今誰がどの球団の監督をしているのかも分からなかった。
男「へぇ・・・大ちゃん巨人の監督やってんだ・・・」
ドラマにチャンネルを移すと、なんか聞きなれない言葉で会話をしているドラマだった
ああ、主婦には大人気だけど、やってる中身が古臭い海外ドラマだな
男はとりあえずテレビを消した
することがない!!!
男はすごくソワソワしていた
ここしばらく、まとまった休みがなかったため、休日の過ごし方などとうに忘れていた
こんな時はパソコンでもしようかと思ったが、ノートパソコンは会社においてある
取りに行くのバツが悪い。
男は、ここしばらく忘れていた欲求を思い出した
男「最近・・・オナニーしてないな・・・」
なんだか妙な胸の高鳴りを感じて
男は、ゴソゴソとビデオラックを漁り、捨てるのを忘れていた古雑誌を取り出した
なんか、ワクワクしてきたぞ
男は古雑誌をめくると、誰得だよという熟女ヌードを見つけた
夕日芸能は本当に誰が喜ぶんだという黒くてデカイ乳輪のババアの袋とじを着けてくる
男はコイツは役に立たなそうだと思いながら、古雑誌を一通り見た後
ビデオラックで漁った、5枚で500円のDVDを見つめていた
男「こんな時だからこそ・・・洋ピンに行ってみるか」
正直、男の性癖からすれば、金髪爆乳、クリピアスのネーちゃんは
あんまし好きではないが、こんな時だからこそテンションを上げたい
なんかそんな気持ちになっていたので
普段ならたべない回転寿司の金の皿を取るように、積みゲーならぬ積みAVに手を出していた
なんだこのテンションは!
異様にドキドキとワクワクが止まらない
パッケージの絵だけでは大して興奮しないAVなのに、今の男が置かれている雰囲気
この状況。なんだか中学生、高校生時代を思い出す。
鼻息を荒くし、AVを再生する
最初から見るつもりはない、チャプターの真ん中らへんを再生すると
パツ金ネーちゃんがでかい声で喘いでいた
こんなの、日本人が見たら萎えるだろ、もっとお淑やかにつつましく喘ぐから
興奮するんだろ!!とテレビに向かってつぶやくも
男の竿はオギンギンらんどだった
もう、ここしばらくぶりのエナジーを解放するしか無い!
そういう思い出、ズボンを脱ぎ、握ろうとした瞬間
ピンポーーーン
男は慌てて、ズボンを履き、テレビを消した
そして、ちょっと取り込んでて、と言った感じを装い
宅配便を受け取った。
送り主は、会社だった。
この重さからして、ノートPCやら自分の私物だろう
男は急に現実に引き戻され
なんだかそんな気分じゃなくなり、布団の上に寝転んだ
そして惰眠を貪っていた
気がつくと夜
時計を見ると、本来ならまだ会社で働いている時間だ
しかし、家に居る
更に、さっきまで寝ていた
本当にこんな事をしていいのだろうか、なんだか自分が途端に贅沢なことをしている気分になった。
普段睡眠がとれてない分、今日一日でずいぶん睡眠がとれたので
目が冴えてしまった、こんな時はオナ・・・という気分ではない
明日からどうしようという気持ちが徐々にこみ上げ、ご飯を食べるということさえ忘れていた
男は今までの激務で空腹など慣れていた
もう晩ご飯をたべないでの生活など慣れていた
布団の上でゴロゴロしていたら深夜の3時だった。
そういえば、今日から訓練校に行くんだった。
男はその事を思い出し、こんなに夜更かししてどうするんだと自分を責めた
しかし、訓練校も10時から始まり17時に終わるというすごく短い時間にやっている
本当に、こんな所で人間の適性が取れるのだろうか?
そんな事を考えていたら、頭がぼーっとして来て、再び眠りへと落ちていた。
目が冷め、時計を見ると10時を過ぎていた
寝坊した
急いで顔を洗い、簡単な身支度を整え
駆け足で訓練校に向かう。
もう既に講義は始まっている、男が訓練校に到着したときは
11時になっていた。
恐る恐る講義室のドアを開けると
誰も居なかった。
ロビーの所のスケジュール表を見るとちゃんと講義があるはずなのだが
男は申し訳なさそうに自分が遅刻したことを伝えると
「では、11時からの講義ではなく12時からお受け下さい」
とだけ伝えられた。男は12時の抗議が始まるのを、講義室で待っていた
12時になる、しかし、誰も現れない
自分以外の学生も居ない。もしかして部屋を間違えた!?などとも思ったが
狭い雑居ビルの講義室は3つだけで、他の部屋も誰も居なかった
不安になりながら待っていると
昨日説明をしてくれた教官が入ってきた
「はい、ではこれより講義を始めます」
自分位が誰もいない講義室、まさか教官と1対1でやることになるとは
「ええ、では・・・質問です、一日は何時間でしょう?」
教官の質問に、何いってるんだこいつと思いながらも24時間と答える男
「正解です」
と教官は答えて、部屋を出ていった
男「えっ」
男はまた一人部屋に取り残された
流石にそれはないだろうと思い、講義室を出て
どこかに向かう教官に問いただした
男「ちょっと待ってください、あのー講義は?」
「今終わりましたよ」
男「いやいや・・・」
流石にあのやり取りだけで終わりはないだろう
しかも、11時に来て、1時間待って、一言会話をしただけで
もう終わり?男は、あと3時間講義を受けるという趣旨を伝えると
とりあえず、次は1時からだからとだけ言われた。
男は講義室に戻っていた
次は1時から、そんな事を言われても、すること無いんですけど
とは言えずに、ただ講義室でケータイをいじっていた
なんだこれ・・・なんだか、すごくヌルくないか?
というか、なんだよ人間適性訓練って・・・あんなアホなやりとりで十分なのかよ
じゃあなんで1時間も時間が必要なんだよ!!
色々と怒りも吹き出してきたが
だが、発散する方法も、ここはそういう場所でもないため
ただケーターをいじって時がすぎるのを待っていた
そして1時の講義が始まった
「はい、ではこれより講義を始めます」
「では問題です、24時間は長い?短い?」
男「えっ、言ってる意味がよくわからないんですが・・・何と比較してですか?」
「では2時までに考えてください」
男「ええっ!?」
「考えは出ましたか」
男「は、はい・・・たぶん、長いとおもい」
「はい、ではそういうことです」
「あと1時間は自習しててください。」
結局男は、ただ4時間を無駄に過ごしただけだった
自習しろと言われてもすることが無いので、男はケータイをいじりながら
馬鹿正直に15時まで残っていた
男「なんだったんだよ!!クソ!!」
男は、苛立ちながらファーストフード店で朝ごはん&昼ごはんを食べていた
結局時間だけを無駄にして過ごしてしまった。
家に帰ってもすることがないので、男は何か暇つぶしでもしようと
駅の周りをブラブラすることにした
洋服屋を見て回ったり、本屋を見て回ったり、CD屋、雑貨
色々見て回った、気がつくと夜の7時だった
結構見て回ったのに以外と時間は立ってない
なんだろうか、あんなに時間を無駄に過ごしたのに
いざ、時間の暇つぶしをすると
まだまだ時間がある気がする
うーん・・・
とりあえず帰るか
家に帰ってもすることはないない
寝る、にしても目が冴えている
何もない・・・
今まで、仕事漬けの毎日だったから
家に居ることは少なかったから、家の中の娯楽が少ない
訓練校のノルマは等にこなしてしまった
あと1ヶ月間・・・男は何をして過ごせばいいんだろうか
そう思いながら、オナニーをした
あれから1週間が経った
あれから男は暇つぶしの方法を探し、お店を回ったり
家の中に暇つぶしのものを置いた
ゲームを買ったり、AVじゃない映画のDVDとかを買ったり
ギターなんかも買ったりした
朝は公園を散歩したり
夜は早く寝るようにしたりもした
あと、ご飯もちゃんと3食食べるようにした
ふと鏡を見ると、肉付きが良くなったような気がした
それでも、太ったというよりは健康的な感じがしている
肌の血色もいい
心なしか、なんか健康な気分?
体力もついた気が・・・
ふと気がつくと、一日の過ごし方をちゃんと過ごせている気がした
暇な時間の過ごし方と言うか、色々と暇つぶしができるようになっていた
読書、自転車、ギター、ゲーム、テレビ、映画
気がつくと色々な趣味に手を出していた
そんなこんなで、1ヶ月が過ぎ、訓練校に行くことにした
今度は、前回と違い、時間つぶしの道具も持ってきた
「はい、では講義を始めます」
教官は前回と同じように、質問をぶつけてきた
「一ヶ月は長いですか?」
男は一瞬考えた後
男「短い、かな?うーん、でも長いっちゃ長い?」
すると教官は
「おや、ずいぶんといい顔色をしてますね、じゃあ次は1時です」
教官は、質問の答えに出はなく、男の顔色で答えてきた
男は時間つぶしの本を読み、お菓子を食べながら音楽を聞いた
そんな風に時間を潰していると、久しぶりの顔を見た
女「あっ・・・」
男「あっ、どうもー!」
女は講義室の後ろ側の席に座った
男は特に気にせずに、本を読んでいたが、なんだか暇つぶしをしていると
色んな物に興味が湧いてきており、後ろの席の女が気になりだした
男「ねえねえ、アレからどう?毎日暇じゃない?」
女「えっ・・・あっ、はい・・・」
女は以前と同じようにオドオドしている感じだった
だが、あの時のような暗さは少しは消えていた
男「ここの講義って、すごく短いよねー。さっきも一言二言で終わったよ」
女「あっ、やっぱりそうなんですか・・・」
どうやらこの子は、人間剥奪で暗いんじゃなくて
元から、大人しい感じの子なんだろう
女「いつも・・・何をされてます?」
男「えっ、聞きたい?ギターでしょ、自転車でしょ、色んな雑貨屋回ったり、あっそうそう!読書も!」
女「ははは・・・すごい充実してますね」
へぇ、この子こんな顔するんだ
男は女と雑談をして時間を潰した
互いに趣味の話で盛り上がった、何より
ここしばらくまともな会話をしていなかったが
それでも、喋るということに抵抗はなく、むしろここしばらくの暇つぶし自慢を
人に話したくて話したくてしょうがなかった
/. ノ、i.|i 、、 ヽ
i | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ |
| i 、ヽ_ヽ、_i , / `__,;―'彡-i |
i ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' / .|
iイ | |' ;'(( ,;/ '~ ゛  ̄`;)" c ミ i.
.i i.| ' ,|| i| ._ _-i ||:i | r-、 ヽ、 / / / | _|_ ― // ̄7l l _|_
丿 `| (( _゛_i__`' (( ; ノ// i |ヽi. _/| _/| / | | ― / \/ | ―――
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'ノ .. i )) '--、_`7 (( , 'i ノノ ヽ
ノ Y `-- " )) ノ ""i ヽ
ノヽ、 ノノ _/ i \
/ヽ ヽヽ、___,;//--'";;" ,/ヽ、 ヾヽ
この後の講義も、一言二言教官の質問答え、後は二人で会話をして過ごした
そして、講義が終わった後、二人で食事をしに行くことにした
男「それでさあ、その映画がね」
女「あっ、まって、気になる!言わないで」
そして、二人で映画を見に行く約束もした
ケータイの番号を交換し、お互い暇な時はメールを交わし合った
基本二人はいつも暇なので、メールのやりとはほぼ毎時間だった
2ヶ月が経った
教官が講義室に入ると、講義室にはペアルックを来ていた男と女が居た
「おや、お揃いですね」
男「へへへ」
女「///」
「じゃあ、今日は自習にしましょう」
二人で過ごす時間はとても短く
一人でいる時間は、とても長く感じた
いつの間にか、彼女とずっと一緒にいたいと思い始めていた
二人はお互いの家を交互に行き来した
今日は男のアパート、明日は女のマンション
そして、気がつくと男のアパートで女が過ごす時間が長くなった
何ヶ月か経ったある日
「ええ、では皆さん、来週から講義がガラっと変わりますよ」
男「えっ」
女「ええ!」
思ってもみない教官の話に二人は驚いた
教官はこう続けた
「来週は皆さんに海外で研修をしてもらいます」
彼等のパスポートは停止されている
しかし、訓練校に通っている学生は学校の研修課程で
海外研修を選択すれば、特別に海外に行くことができる
なお、これは自由選択なので、行かないという選択しもある
だが、二人は行動パターンがある程度まんねりしていたので
ここらで海外にいけるというので、海外研修を快く選択した
ちなみに、訓練校の費用と、この研修の費用も国が出している
男「いやーまさか、グアムに行けるなんて」
女「グアムって何語かな?」
男「よくわかんないけど・・・グアム語?」
二人は海外旅行の準備と、暇な時間を英会話の時間に当てた
家に居るときは二人の会話は常に英語だ
男「アイラーーヴューーー」
女「みゅーーーとゅーーーー」
ぶっ殺してやりたね!!
ああ、失礼
男も女もノリノリだった
大学時代は、英語なんて絶対に覚えたくも話したくもない言葉だったのに
海外旅行に行くとなると、進んで英語を覚えた
初めての海外旅行
1週間のグアムに二人は4時間くらいのフライトをキャッキャウフフしながら過ごした
そして、海で泳いで日焼けして、めしくって、せっ、愛を育み
一緒に海外を満喫した
ここでの研修は訓練校の4時間と同等だそうで
旅行から帰ったら、また訓練校に行かなくてもいいようになった
そして、二人は海外に旅行する楽しみを覚えた
男「また研修いきたいねー」
女「ねーー」
久しぶりの訓練校
いつもの教官が来ると、教官は
「また、海外研修はありますよ、今度は北京です」
海外研修とは言うが、特に何をするわけでもなく
与えられた時間をホテルで過ごしたり外を観光したり好きなことしていいらしく
普通にただの旅行だった
一体何を研修したのかはさっぱり分からなかったが
二人のデジカメは一杯になっていた
色々と二人で過ごしてきたが
そろそろ、限界になっていた、別に不仲になったのではない
やりたいことや行きたい所が多すぎて、すごくソワソワしているのだ
海外旅行は研修じゃないと行けない、毎月15万はもらっているが、二人で使えるお金は
あくまで支給されている分
毎日が暇なので、遊ぶことにお金は消える一方
税金などが免除されているとはいえ、それでも浪費に走ってしまう
ふと男は以前のことを思い出した
以前は、働くことだけで遊ぶ時間もなく、女性とのお付き合いどころか職場の同僚としか人と喋らない
幸い、お金は一人暮らしするだけならそれなりだが、それでも贅沢はできない額だった
人間適性検査で不合格をもらってから
色々と時間が出来て、遊ぶことや、運動、食べる。全ては充実したが
やれるだけのことをしてしまった感とまだまだやれることが一杯あることへのフラストレーションが
かなり溜まっていた
男「ね、ねえ・・・」
女「なーにー?」
男「俺さあ、なんか、色々してみたいんだよね」
女「・・・・・・・うん、あたしも、してみたことある」
二人は多くを語らなかった、以前失ったものが今は、次への欲求を満たすために必要なものであると気づいたのだ
そして、二人は訓練校の教官に自分達の思いを伝えた
「そうですか、分かりました。では、いよいよ持ってお話することがあります。」
教官は語った
「ここを卒業したなら、人間適性検査はほぼ合格します、仮にここに通わなくても合格します。」
男「じゃあ、なんの為にここがあるんですか?」
「さあ?体裁?出会いの場?暇つぶし?人それぞれだと思います、でもそれでいいんです」
いつもの教官のような返答だった
そして、男と女は卒業式を迎えることとなった
卒業式を迎えた後、男と女は直ぐに、人間適性検査の会場に向かった
男「すいません、検査を受けたいんですけど」
受付「あなた達、一度不合格もらってますね?じゃあ、検査室とは違う別室に来てください」
男女は、以前受けたところとは違うところに通された
「あっ、どうも、一度不合格の方ですねーーおお!お久しぶり!」
男は別室に居る人物を見て驚いた
そこに居たのは、以前人間適性検査で不合格になった中年の人だった
男「どうしてここに!?」
中年「あっははははー不合格だったけど、また合格したから、再就職したの」
男「えっ、ここの施設にですか!?」
中年「うん、そうだよー、以外と多いよ~ここに就職する人」
中年「それじゃあ、今から君たちに合格書渡すんだけど、一応これは1回きりの特別のやつだからね」
男「一回きり?」
中年「うん、なんでかって言うとね、これがあると、たぶんどこでも就職できるから」
女「ど、どこでも就職!?」
中年「うーん、まあ、一般の企業だったらすんなり再就職、警官とか消防士なら体力測定するけどね」
男「そ、そんなことが可能なんですか?」
中年「公務員なら、あのー霞が関さえ目指さなければほぼなれるよ、うん」
どうやら、この合格書があれば、どこの企業でも受け入れてもらえる
実は、一度不合格を経て再度合格したものを雇用すると、一年間はその人間の給与が保証されて
会社にも、補助金と、税金の負担額が増えるのだという。なのでこのような人達を雇用することで
企業はかなり特をし、大手企業はこのような人材を凄く欲しがっている。
男「信じられないな・・・まさか、就職の斡旋までしてくれるなんて」
女「本当に、どんな職にもつけるんですか?」
中年「免許が必要なのはダメだよ?医者とかね、ははははは」
男「おじさんも、それを使ってここに?」
中年「うん、そうだよ、おじさんね、以前はジャンボジェットのパイロットしてたけど、不合格でたから休養してここで働くことにしたの」
おじさんは多くを語らなかったが、この合格書について軽く説明してくれた
男と女は合格書を受け取り、企業情報誌を見ていた
男と、女は、それぞれやりたい仕事をするために、企業を吟味している
たぶん、仕事につくと忙しくなるだろう。
でも男女は何故仕事をするのか、目的を持って仕事につけるだろう。
それは、忙しいけど、お金が手に入る仕事か、収入は少ないが、自由な時間がある仕事か
どれを取るか、色々と迷っている
人間適性検査
この会場には毎月大勢の人間が来る
ここでは、人間としての適性を図る審査が行われるが
そのほとんどは、健康診断である。
健康診断をして、その人物の疲労度を図り、病気がないかを確認し
公的にその者たちに休養を与えている。
そして仕事がしたくなったなら、また仕事をさせるという実に簡単なシステムである
人間の身分の剥奪だなんて脅しをかけるが、ある程度の緊張感があると
頑張る意欲が湧くものも居るだろう。
この適性審査の本当の目的は国家機密である。
例えその正体が分かったとしても、誰にも言ってはいけない
もし言うと・・・ わざと体調不良を起こして休みを取りたい人が可哀想だからだ
エンド
じゃあね おやすみ
誤字脱字スマンな、頭に思い浮かんだことただダラダラかいてるだけなんよ
書き留めておくと、連続投稿でなんか規制とかされたから
それで、こんなスローペースなんよ
こんな時間まで付き合ってくれた全ての人に感謝
あっごめんwww減るだねwww
海外行けないのも 自由に海外行きたって思わせるためのやつ
海外旅行行ってきたのでついついそう思っちゃっただけなの
一応言い訳なんですけど
お金出して読んでいただこうとか、ではなく
暇な時間の暇つぶし程度のものなので、目にあまる所は凄くあるとおもいます
なので、気楽に読んでいただいて
文字のまちがい探しゲーム的に感じていただけたら幸いです
それじゃあこれで本当に寝ます おやすみ
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