ほむら「私のレズ疑惑を払拭したいわ」(166)
ほむら「突然だけど、私ってガチレズだと思われてるみたいなのよ」
マミ「いきなり呼び出して何かと思えば……」
杏子「てか違うのか?」
ほむら「違うに決まってるでしょ! まどかとは普通のお友達でいたいの!」
ほむら「まったく、誰よ! 私が真性のレズだなんて言い出したのは!」
QB「とりあえず、何があったのか話してごらん」
ほむら「実は、今日ね……」
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さやか「あーあ、今日の体育はマラソンか。しんどいなー」
まどか「やだなぁ、私すぐへばっちゃうよ……」
ほむら「仕方ないわよ。早く着替えて向かいましょう」
まどか「…………」
さやか「…………」
ほむら「な、何よ……」
さやか「まどか、私が見られないように壁になるからちゃっちゃと着替えちゃって」
まどか「うん。ありがとう、さやかちゃん」
ほむら「…………」
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ほむら「見るわけないでしょうが! 私を何だと思ってるのよ!」
QB「それは……お気の毒だね」
ほむら「そりゃ確かにまどかを助けるために何度もループしたり色々やってきたわよ」
ほむら「でも、それとこれとは話が別ってことくらい考えればわかるでしょ!」
マミ「まぁ話はわかったけど……それで私達は何をすれば?」
ほむら「レズキャラを脱却するための方法を一緒に考えてほしいの」
杏子「なんだそれ……無理くせぇ……」
QB「なるほどね。それなら僕に考えがあるよ」
QB「ようは女の子に興味がないってことを示せばいいんだよね」
ほむら「まぁ、確かにそうなるわね」
QB「じゃあ、それっぽいシチュに遭遇した時にまどかに全く興味ないふりをすればいいんじゃないかな」
ほむら「ふりをするっていうか、本当に興味ないんだけど……」
マミ「それっぽいシチュっていうと……やっぱり、着替えとかかしら?」
杏子「あとは……風呂とかか?」
ほむら「それよ!」
ほむら「まどか、ちょっといいかしら」
まどか「何? ほむらちゃん」
ほむら「今度一緒に近くの銭湯に行きましょう」
まどか「……ごめん、今なんて?」
ほむら「銭湯よ。たまには女同士、裸の付き合いってやつね」
まどか「」
ほむら「さぁ、何なら今日でもいいわ。ね? ね?」
ほむら(これでまどかの裸に目も向けなければ、完全に私のレズ疑惑は晴れる!)
ほむら(何て完璧な作戦なのかしら!)
まどか「さ、さやかちゃ~ん!」
さやか「この変態! まどかから離れろ! おーよしよし怖かったねー」
まどか「うぅ……ぐすっ……」
ほむら「余計悪化したわ……」
杏子「お前バカだろ」
ほんとにガチレズというよりガチまどかに目覚めちゃう展開期待
ほむら「何かいい方法はないのかしら……」
マミ「素直に私はレズじゃないですって言うだけじゃ駄目なの?」
ほむら「全然信じてもらえないわ。まどかなんて私が時を止めても盗めないよう、下着入れに鍵をかけてるみたいだし」
QB「そこまでやるかい、まどか……」
杏子「なんでそんなこと知ってるんだよ」
ほむら「美樹さやかと話してるのを小耳に挟んだだけよ」
ほむら「まぁ私のピッキング技術があれば鍵なんて無いも同然だけど」
マミ「どこで身につけたの……まさか本当に下着を盗んでるんじゃ」
ほむら「武器を調達するために習得したのよ……ん?」
QB「どうしたんだい?」
ほむら「……これよ!」
まどか「ただいまー」
まどか「ふぅ……ほむらちゃんには困ったなぁ。レズでさえなければいいお友達になれるのに……」
まどか「あれ? 下着入れの鍵が開いている……ま、まさか……」
まどか「……よかった、何も盗まれてなさそう。てことは、かけ忘れただけかな?」
まどか「ほむらちゃんにバレなくてよかったよ、ホント」
ほむら「まどか、ちょっといいかしら」
まどか「何? ほむらちゃん」
ほむら「昨日、下着入れに鍵かかってなかったでしょ」
まどか「ど、どうしてそれを!?」
ほむら「だって、私が開けたんだもの」
まどか「」
ほむら(下着入れに鍵がかかっていない……つまり、私は盗み放題だった)
ほむら(まどかは数を確認したはず。でも実際は、一枚も盗まれていない)
ほむら(すなわち、私はまどかの下着なんて全く興味がないということになる!)
ほむら(何て完璧な作戦なのかしら!)
まどか「さ、さやかちゃ~ん!」
さやか「この変態! まどかから離れろ! おーよしよし怖かったねー」
まどか「うぅ……ぐすっ……」
ほむら「半径1m以内に近寄ってこなくなったわ……」
杏子「お前バカだろ」
QB「暁美ほむらの知能が想像以上に低いから、別の方法を考えるとしよう」
マミ「そうねぇ……単純だけど、彼氏を作るってのはどうかしら?」
杏子「シンプルだがいい手だな。でもお前、好きな男とかいるのか?」
ほむら「いたらこんなに苦労してないわ」
QB「まぁ別にレズ容疑を晴らすだけなら誰でもいいんじゃないかな?」
マミ「暁美さんは可愛いし勉強も運動もできるし、付き合いたいって男子は多いと思うわ」
杏子「頭はかなり残念みたいだがな」
ほむら「駄目よそんなの。そんな気持ちで付き合うなんて相手に失礼じゃない」
QB「意外と真面目なんだね……」
杏子「ほむらは、女じゃなくて男に興味あるってこと示したいだけなんだろ?」
杏子「なら何も実際付き合わなくてもいいんじゃないか?」
マミ「あ、確かに。告白したけど駄目でした、って話だけでも効果ありそうね」
QB「つまり、おそらくフラれるであろう男子に告白するってわけだね」
ほむら「私の心もちょっと傷つくけど、まどかとお友達になるためならしょうがないわね」
マミ「でも……さっき言った通り、暁美さんなら告白しても多くの男子が喜ぶと思うけど」
杏子「フラれそうな奴、か……既に彼女がいる男とかか?」
ほむら「そんなとこね。上條恭介が志筑仁美って女子と付き合っててちょうどいいわ」
ほむら「上條君、こんな所に呼び出してごめんなさい」
恭介「いや、別に気にしないで。用事って何かな、暁美さん」
ほむら「実は……私、上條君のことが好きなの」
恭介「えぇっ!?」
ほむら「志筑さんと付き合ってるのは知ってるわ……でも、どうしてもこの気持ちを抑えられなくて」
ほむら「断られるのは分かってるけど言わせて。私と……付き合って下さい」
ほむら(これで私がフラれたという噂が流れれば、まどかも私はノーマルだということに気付くはず)
ほむら(志筑仁美とはちょっと関係こじれるかもしれないけど、元々そんな親しくもなかったし問題ない)
ほむら(何て完璧な作戦なのかしら!)
恭介「……ちょっと、考えさせてもらってもいいかな……」
ほむら「思わず時間を巻き戻してしまったわ……」
QB「人間関係の黒い部分が見え隠れしたね」
マミ「この方法はやめた方がいいわね。色々危険だから」
杏子「男にフラれたって噂をでっちあげるだけじゃ駄目なのか?」
ほむら「相手がハッキリしてないと信憑性に欠けるわ」
マミ「かといって本人に確認されたら嘘がバレるしね」
杏子「じゃあその男と口裏を合わせた上で、告白して断られたってことにすればいいんじゃないか?」
ほむら「それはいい考えかもしれないわね」
マミ「相手の男子にも大したダメージがあるわけではないしね」
QB「それに彼女持ちじゃなくてもいいから人間関係も心配ないね」
ほむら「それじゃあモテないことで有名な、隣りの席の中沢君にするわ」
ほむら「……というわけで、あなたが私をフったことにしてほしいの」
中沢「……わかったよ。はぁ……暁美さんに呼び出された時は告白だと思って有頂天だったのに……」
ほむら「ごめんなさい。埋め合わせに一日デートくらいなら付き合ってあげてもいいから」
中沢「ほ、本当に!? つ、ついに俺の人生にもデートというイベントが!?」
中沢「お父さん、お母さん……俺を産んでくれてありがとう……うぅっ……」
ほむら(こんなんだからモテないのね、きっと)
まどか「ほむらちゃん……噂は聞いたよ」
さやか「あんたも、辛かったんだね……」
ほむら「……いいのよ、もう過ぎたことだもの」
ほむら(私が中沢君にフラれたという噂はしっかり流れてるようね)
ほむら(これでようやく、私がレズだという疑いは晴れたはず)
ほむら(何て完璧な作戦なのかしら!)
まどか「中沢君にフラれたショックで、女の子に走ったって……」
さやか「私もフラれたから気持ちは分かるけど、やっぱりレズはよくないよ」
ほむら「噂に尾ヒレがついてたわ……」
杏子「これはちょっと予想してなかったわ」
QB「別の方法を考えようか」
マミ「男が好きってことをアピールするのは悪くないと思うわ」
杏子「でも、今までそれで失敗してきただろ」
マミ「やっぱり相手がリアルの人間だと難しいからね。漫画とかで行きましょう」
ほむら「つまり……少年漫画を読んでいる姿を見せつければいいのかしら」
QB「腐女子キャラまでついてくるのがオチじゃないかな」
マミ「確かに少年漫画だとそうかもしれないわ。だから、もう一捻りするの」
マミ「暁美さんが読むのは少女漫画よ!」
ほむら「少女漫画?」
QB「なるほど。男が好きというより、男女の恋愛に憧れてるってことをアピールするのか」
杏子「あー、確かに少女漫画って恋愛絡みばっかだよなな」
ほむら「少年漫画だとヒロインが空気化しやすいものね」
マミ「少女漫画ならまず間違いなく恋愛絡みの展開になるわ」
QB「そしてこういう男女の恋愛に憧れている……という感じにしてればいい、と」
ほむら「なるほどね。明日早速やってみるわ」
ほむら「…………」
杏子「お、来た来た」
マミ「どうだった? 今度こそうまくいったでしょ?」
ほむら「……大失敗。ますますレズ疑惑が強まったわ……」
QB「あれれ、何でだい?」
ほむら「おかしいわ……ちゃんと少女漫画を読んだのに……」
マミ「暁美さん、何を読んだの?」
ほむら「マリア様がみてる」
杏子「お前バカだろ」
QB「正直、もう無理なんじゃないかな」
杏子「いっそのこと、このままレズとして生きていくってのは駄目か?」
ほむら「駄目に決まってるでしょ! まどか云々以前に私にその気はないし!」
マミ「でも、ここまでやって何も効果ないとね……」
杏子「まぁ失敗の原因の半分以上はほむらのアホな行動のせいだけどな」
QB「諦めた方がいいかもね」
ほむら「うぅ……これから私はレズとして世間に後ろ指をさされながら孤独に生きていくのね……」
マミ「暁美さん……元気出して」
QB「ドンマイほむら。いいことあるさ、きっと」
一ヵ月後
マミ「そういえば、暁美さんはどうしてるかしら」
杏子「最近会ってないしな。まだレズと思われてるんだろうけど」
ほむら「その心配はないわ」ファサッ
QB「あ、ほむらじゃないか。久しぶり」
マミ「こんにちは。でも……心配はないってどういうこと?」
ほむら「私は……明日、ついにレズキャラを脱却できそうなのよ!」
杏子「え、何でだ?」
ほむら「実は今日、彼氏ができたからね」
Q・マ・杏「……へ?」
マミ「か、彼氏って……誰?」
ほむら「中沢君よ。この前の埋め合わせデートから仲良くなっていってね」
杏子「お前、好きでもないのに付き合うのは相手に悪いとか言ってただろ」
ほむら「今はちゃんと好きだから問題ないわ。彼って優しいし、意外といいところ多いわよ」
ほむら「そして……彼氏がいるという圧倒的事実の前には、もはやレズ疑惑など恐るるに足らず」
ほむら「これで彼氏持ちの上に、まどかとも真のお友達に! 私大勝利ね!」ホムッ
QB(わけがわからないよ……)
マミ(何かしら、この敗北感……)
杏子(……ま、本人が幸せそうだからいいのかな……)
ふざけるな...
ふざけるな...ビキビキ
ふざけるなよ...ビキビキ
おい、ふざけんなおい...ゴゴゴゴ..
ふざけんなおい
ふざけるな...っ
ふざけるなふざけるなふざけるな
ふざけるな
ふ
ざ
け
る
な
ほむら「おはよう、今日もいい天気ね」
中沢「おはよう、暁美さん」
ほむら「こら。ほむらって呼んでって言ったでしょ」
中沢「あ、あぁごめん……おはよう、ほむら」
まどか「ほむらちゃん、本当に中沢君と付き合い始めたんだ」
ほむら「ええ、見ての通りよ」
まどか「そっか……ごめん、ほむらちゃんのこと誤解してた」
さやか「私も……転校生のこと、ずっとレズだと思ってたけど違ったんだね」
ほむら「!!!!!」
おい
おい
QB「どうしても契約してくれないのかい」
まどか「そういうわけじゃないけど、わからないの。
ほむらちゃんがどうしてそこまで契約を許さないのか。
だから、今はできないんだ」
QB「なるほどね。
じゃ、とりあえず魔法少女になったときの練習として
テレパシーを使えるようにしてあげるよ。
ただし、その暁美ほむらとだけでね」
まどか「え? いいの?
なんだか携帯電話もらっちゃったみたい」
QB「どうせ彼女が邪魔をするんだ。
じっくりと話をすればいいよ」
・
・
・
ほむら(これは、間違いないわね……)
ほむら(やったわ……ついに、レズ疑惑を払拭できた!)
ほむら(今まで長かったけど、苦労してきた甲斐があったわ!)
ほむら(まどか……今こそ、真のお友達になりましょう!)
さやか「転校生って、男でもイケる人だったんだね!」
まどか「バイってやつだね。ウェヒヒ」
ほむら「ちっがあああああああああああああう!」
END
ほむホーム
夜/寝室
ほむら「……まどか。
必ず、救ってみせる……。
あのときの約束、果たすから。
絶対に、あなたを守るから」
ギシ
ほむら「ごめん……ね、ごめんね。
いつも、辛い目にあわせて。
でも、今度こそ、今度こそあなたを、
……ん」
シュル
ほむら「まどか、まど……か、
まどか……好き。
大好き……まどか……」
パサ
ほむら「ごめんね……、
きっと……きっと……ぁ……。
はぁ、まどか……まどかぁ」
ギシ……ギシ
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