ほむらちゃんをようやく導けると思ったあの時、私は口で言い表せない程に喜びました。
これでようやくほむらちゃんの肩の荷を下ろしてあげる事ができるって、そう思って手を差し伸べました。
でも、ほむらちゃんにとってそれは満足できる結果では無かったようです。彼女は私の手を取った瞬間に円環の力を奪い、そして神様としてのまどかと人間としてのまどかを引き剥がしました。そうして記憶の無くなった人間の私は改変された世界に連れていかれ、残った神様、すなわち私は……捨てられたのです。
過去と未来を見通せるようになった時、ほむらちゃんがどれだけ私に尽くしてくれたのか、大事にしてきたのかを私はこの目で見ました。だからこそ、その好意に乗っかる形で私も甘えていたのかもしれません。彼女に唯一私の記憶を残したのも、円環としての力を使った私のわがままでした。
何があってもほむらちゃんは私を好きでいてくれる。そして、時には重いとすら感じられる愛をぶつけてくれる。そんな都合の良い考えをしていた私は、肝心のほむらちゃんの事を何も考えていませんでした。その結果が、彼女に神様として生きる鹿目まどかではなく、人間として生きる鹿目まどかを選ばせたのだとしても、何も不思議な事ではありません。今、世界の主導権はほむらちゃんに握られています。私は力を失って、ただ傍観するだけの存在……外から悪魔となった彼女を見つめる事しかできません
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さやか「あんたが悪魔だって事……忘れないからね」
やめて、さやかちゃん。ほむらちゃんを悪く言わないで
だって、ほむらちゃんが自分の願いの為に頑張った結果の世界なのだから。
今までずっと他人である私の為に願いを捧げてくれたほむらちゃんが初めて、自分の勝手を押し通した世界。それがどんなに歪なものだとしても、願いの為に動かす魔法少女は美しいの。円環として導いた魔法少女達もみんなみんな、程度の差はあれ尊い願いを持っていたのだから。
学校での彼女は、人間としての私に関わろうとしません。ただ、時々慈しむような目で私を見るばかり。そんな視線を一身に浴びる人間の私に……軽い嫉妬を覚えました。
まるで親が産まれたばかりの子を見るように、目をわずかに細めて、そしてまた元の目つきの悪い顔に戻ります。あの世界でほむらちゃんは孤独です。でも、それを気にもせず、日々を過ごす。私の日常を守る事だけを糧に生きています。
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どこまでも自分勝手で、それでいて傲慢。そんな私にあの子はいつだって手を差し伸べようとする……こんな都合の良い話があると思う?
私はそうやって自問自答する。勿論、答えは決まって一つだけ。
ほむら「無意識のうちにあの子の人格に手を加えてしまったとしたら……本当に私は穢らわしい女ね」
出来る限り、いや、100%彼女の人格に改変は加えていない。あの子がありのままで幸せになれるように配慮した。
でも、深層心理で私が「彼女に好かれたい」などという身勝手な意識を働かせてしまったら……それによって彼女が私に接触を図っている事になる。
あの子が私に寄り付かないように、最大限の環境を整えた。彼女は転校生、まっさらな友人環境の中、クラスで露骨に浮いている存在とは間違いなく仲良くなりようがない。
美樹さやかを始めとした魔法少女たちと仲良くなった後は簡単だ。悪口こそ言わないものの、彼女からすれば人間関係を全く築いていない私と仲良くなる選択肢は存在しない。
……最後まで、彼女が記憶を留めておこうと努力をしていた事は覚えている。その結晶であるノートは今、私の机の中だ。中身は勿論見ていないし、それを破棄する事もしていない。あれは私の罪の一つ、踏みにじった想いの象徴のような存在だ。
ほむら「……私は何としても、貴方たちの日々を守り抜く。成長して、大人になり、安らかにこの世を去るまで。それが、私にとっての幸せ。神を汚し、仲間たちの想いを裏切った私にとっての使命だから」
学校に通い、授業を受け、一人で昼食を済ませ、帰りのホームルームを終える。
まどか「あ、あの……今日も先に行ってていいよ?」
さやか「そんなぁ、また先生のとこ行くのー?」
まどか「そ、そうなの……ほら、最近の範囲は分からなくてね……」ティヒヒ
また、彼女は私の方に向かってくる。こんな私の一体何が彼女を引き寄せるのか。浮いている私に話しかける事で、周りのクラスメイト達からも訝しむような視線を投げかけられているのに。それでもまどかは私に話しかける事を諦めない。
まどか「あ、あの……暁美さん?今日、屋上に来てもらっていいかな……」
半分怖がりながらも、なんとか話しかけようとする。これが私の望みによって叶えられた物なら、本当に最低の人間だ。私はまどかにこんな思いをして貰いたくない。
ほむら「……いいわよ。今から行きましょうか」
まどか「えっ!?いいの!?」
今まで釣れない反応をしてきただけの私が突然誘いに乗ってくれたのだ。まどかにとっては僥倖だろう。
でも、これから行うのは文字通りの決別宣言。もう二度と、彼女が私なんかに話しかけないように。
屋上に行こうと言われた私は、わざと彼女の手を乱暴に引いて歩く。まどかは戸惑いながらも、嬉しそうに後をついてくる。
まどか「うっ……あ、暁美さん?ちょっと強く握りすぎかなって……」
まどかに痛い思いをさせる事は心苦しいが、できる限り彼女に嫌われる為には必要な事だ。
屋上に着き、私はまどかにあえて強い言葉を使う。彼女の良心を少しでも傷つける為に。
ほむら「で、一体なんの用なの?」
まどか「よ、用って程じゃないんだけど……」
ほむら「はぁ?じゃあわざわざ無駄足を踏ませる為に私を呼んだって認識でいいのね?」
まどか「ち、違うよ!そういう訳じゃなくて、その……」
ほむら「ふーん、違うのね……じゃあなに?嫌われてる私を馬鹿にしたいの?」
まどか「そ、そうでもなくて!あ、あの……私と、友達になってくれないかな……なんて……」
慈愛の表情で見るには、私はあまりにも穢れている。そんな表情を向けるべきなのは私ではない。もっと、その顔を見せてあげるべき人間が貴方の周りにはたくさんいる筈だ。
ほむら「……残念ね。私、貴方の事が嫌いなの」
まどか「えっ……」
ショックを隠しきれない様子のまどか。そんな彼女に、私は追い討ちをかける。
ほむら「だいたい貴方のような八方美人、ちょっと悪い態度を取られたら直ぐに本性を表すでしょう?私、そういう人間が1番嫌いなの」
まどか「そんな事ないよ!私、そんなつもりじゃ……」
ほむら「貴方がそう思ってなくても私はそう見てるってだけ。まあ安心すれば良いんじゃない?私以外の人間はみんな、貴方を好いているわ。嫌いなのは私だけ、これで分かるでしょう?嫌われ者の私だけが貴方を嫌いなの」
平然と罵詈雑言を並べ立てる事ができる自分自身に嫌気が差す。彼女は俯いて、黙り込んでしまった。これでいい、ここまで言えば流石のまどかも私への嫌悪感が勝るはずだ。それに、まだとっておきが残っている。
ほむら「ね、鹿目さん?私のお願い事を一つだけ聞いてくれる?そうしたら、お話ぐらいはしてあげてもいいわ」
まどか「……本当に!?」
ほむら「ええ、本当よ。私の事を見つめてくれる?」
まどか「う、うん!分かったよ!」
じっと、私を見つめる。その純真な瞳は誰よりも美しい。そしておそらく、私が直視して貰える最後の機会。その数秒を噛み締めるように味わった後、私はーーまどかの頬に思いっきり平手打ちを浴びせた。
まどか「っ!?」
思わぬ衝撃に、彼女はよろけ、倒れ込む。
さやか「あ、あんた!何してんのよ!!!」
「虫の知らせ」という形で、私は美樹さやかに後をつけさせていた。まどかは例え私に何をされたとしても、それを隠してしまうだろうから。外堀を埋める為には証人が必要だった。
ほむら「見ての通りよ。嫌いな人間に対して態度で示しただけ」
さやか「あんた……まどかになんの恨みがあって……」
恨みなんてあるはずも無い。彼女の為なら私は命だって捨てられる。それなのに、もはや嘘をつく事に慣れきった私の口はいとも簡単に虚言を並べ立てる。
ほむら「恨みなんてないわ。本当に、単純に、鹿目さんを嫌ってるだけよ。もちろん、貴方の事も嫌いだし、周りの人間も嫌い。好きなのは自分だけって奴ね」
さやか「暁美ほむら……あんた、本当に最低の人間だね」
多分、この世の誰よりも、暁美ほむらという存在を憎たらしく思っているのは私だ。
うずくまっているまどかを抱き抱えるようにして美樹さやかは屋上を後にする。これで全てが終わった。この噂を広めれば、私はますます孤立を深めるだろう。
まどかだって、私の事を諦めるはずだ。仮に諦めなくても、周りの人間が私の元へは行かせないようにする筈……
ほむら「もう……悲しみの感情すら薄くなってしまったわね……本当に、救いようのない悪魔だこと」
私に残ったのは破滅の背徳感。全てを失った瞬間の、ゾクゾクするような、心の底から冷えていくようなあの感覚が、身体中を支配する。
翌日、私の机の上には小さく「[ピーーー]」と書かれていた。机の中には大量のゴミ。クラスの輪はまどかを中心に形成されていた。
ほんの少しの世界改変によって、私に対する憎悪は通常以上の物へと変わった。その日は些細な嫌がらせに加え、聞こえる声で悪口を言われたり、体育の授業中に意図的に除け者にされたりした。
ほむら「これで……流石に近付かなくなるでしょうね」
美樹さやかは勿論、この噂は巴マミや佐倉杏子にも広まったはずだ。これで万が一にも私と仲良くしようとまどかが考えても、彼女達が引き止めてくれるだろう。
それなのに……また、あの子は私の前に姿を現した。
規制避けし忘れてました。一応、規制された部分は死ねと書かれていただけです
ほむら「……消えなさい」
夕暮れの屋上で柵に寄りかかるようにして黄昏ていた私の元に、またしてもまどかは現れた。
まどか「それはいや。私は、暁美さんと仲良くなりたいから」
ほむら「……お願いだから、これ以上私の前に姿を現さないで」
恐ろしかった。自分が彼女をここまで突き動かすようにしてしまったのだとしたら。ここまで理不尽な目に遭ってなお私に対しての執着を捨てられないなんて、明らかに異常だ。
ほむら「言ったでしょう?私は貴方の事が心底嫌いだって、それだけじゃないわ。今日だって私の事を哀れむような目で見てたでしょう?どうせ貴方からすれば『施し』を与える感覚なんでしょうけど、私は貴方のそういう所が嫌いだと言っているのよ、鹿目さん……いえ、鹿目まどか」
本当に、吐き気がする。理由なんて関係ない。大好きな人間にすら平然と暴言を並べる事ができる暁美ほむらという人格に心の底から吐き気を催す。私の生きてきた中でここまで性根の曲がった人間は存在しないだろう。
ほむら「そもそも、貴方のそのとぼけた顔が嫌い。声も嫌い。優しいだけの優柔不断な性格も嫌い。周りの人間に好かれる、八方美人な性格も嫌い。そして、私のような人間にすら手を差し伸べるような、そんな極め付けの愚行をーー」
「ほむらちゃん」
ほむら「……っ!」
思わず、反応してしまった。久しく呼ばれていなかったその呼び方。遥か昔に私がそう呼ばれていた事、それを思い出した。
まどか「……そんなに泣きそうな顔をして悪口を言っても、ちっとも怖くないよ?」
ほむら「……そ、そんなこと……!」
指摘されて初めて気付いた。もはや感情なんて枯れ果てたと思っていたのに、私の目には涙が溜まっていた。
……だめ。絶対に見せてはいけなかった。彼女に弱みを見せてしまえば、もう私と関わる事を諦めないだろう。そうなってしまえば、記憶の戻るリスクも高まる。彼女の記憶に手を加える事は最終手段、絶対にこれ以上彼女の記憶に干渉したくなかったのに、これでは……
そんな精神状態とは裏腹に、涙はとめどなく流れ出る。まどかはすっと寄ってきて、私をそっと抱き締める。
まどか「私……ずっとほむらちゃんに何かを感じてたんだ。それがなんでかは分からないけど、とにかく放ってなんておけないって、だからしつこく話しかけてたんだ……」
ほむら「うぅ……っやめて、離れてっ……」
違う、私が泣いているのは彼女の為じゃない。これは自分の性格の悪さに対する自虐の涙。誰よりも大切な人に対して平気で暴言を吐ける我が身に対する涙。どこまでも自分勝手な涙。
まどか「ほむらちゃんって……そう呼ばせて欲しいんだけど……いいかな?」ティヒヒ
ほむら「……今だけっ、今だけはお願い……!」
もう、記憶を消すしかない。彼女が私と関わらないように、記憶の中に私への恐怖を擦り込むしかない。だから、これが本当に最後の甘え。彼女に甘える最後の時間。
だから、今だけは……彼女と触れ合っていたいと、心の底から願っていた。
だからこそ、気付かなかった。屋上の柵の建て付けが「偶然」悪くなっていたこと。
まどかが私に体重をかけ、その柵がいとも容易く折れたこと、抱き合っている二人が共に落下するその時、まどかは、確かに笑っていたこと。
当然ながら、まどかは飛ぶ術を持たない。瞬時に私は悪魔としての羽根を出し、空を飛んだ。
ほむら「くっ……!」
見られてしまった。彼女に、まどかに決定的な場所を見られてしまった。
これで記憶が戻ったら……そんな思いが瞬時に身体を走る。
しかし、意外にもまどかは驚かなかった。また、危惧していた記憶の復活も起こらなかった。
まどか「……すごいよ!ほむらちゃん!もしかしてほむらちゃんも魔法少女だったの!?」
ほむら「!!……ええ、まあね……」
まどか「うわー、きれいな羽根……まるで天使様みたいだよぉ」
ほむら「天使、ねぇ……どちらかといえば堕天使じゃないかしら?」
流石に悪魔と形容してしまうのは直接的すぎるし、彼女の発想的にもそちらの方が似合うだろう。
お姫様だっこの体勢で地上へと降り立った私は、そっとまどかを地面に下ろす。
まどか「ね、ほむらちゃん……今日のこと、私はわすれたくないから……最後に手を繋ぎたいな……」
ねだるような目でこちらを見つめるまどか、そうだ。どうせ記憶を消すのだ。私の最後の思い出としては最高だ。昨日のような別れではなく、こうして最高の時間を味わえただけでも、「神様」の慈悲だろう。
手を差し伸べるまどかに、私はそっと手を伸ばす。
デジャビュ。手を差し伸べる「神様」を引き裂いたかつての私。そして、今まさに差し伸べられた手を握る鹿目まどかの目がほんの僅かに金色に染まっていた事に、最後の一瞬でしか気付けなかった。
その一瞬で気付いた時にはもう遅い。彼女が両手でしっかりと私の手を掴んだ瞬間、私の世界は、文字通り真っ白になった。
「この時を待っていた……なんてね」
いつか私の言ったその言葉が、そっくりそのまま返される。刈り取られる意識の中で最後に聞こえた声であった。
目覚めた場所は、小さな部屋。白い壁と白い床、白のベッドに寝かされた私の身にはソウルジェムが無かった。
……失敗したのだ。全て、元通りになった。もう悪魔の翼は出せない。円環の力も失った。
まど神「おはよう、ほむらちゃん♪」
ベッドの真横には、再び神様に戻ったまどかが居た。その顔を見ると、またもや涙が止まらなくなる。
まどか「ちょ、ほむらちゃん?そんなに私が神様に戻ったのか嫌だった!?」
ほむら「……違う、違うの……」
彼女を騙した事。傷付けた事。そして、彼女を再び家族や友人と引き離した事。何よりも、彼女の力を使って世界を引っ掻き回したこと。それらあらゆる思いが私の中で溢れ、涙へと変わっているのだ。
まど神「……大丈夫だよ、ほむらちゃん。私、気付いたんだ。ほむらちゃんを1番幸せにしてあげられる方法……それは、私がほむらちゃんを捕まえておく事なんだって」
私を……捕まえておく?
まど神「その通り!私が責任持って、ほむらちゃんを円環で保護してあげるの!これならお互い問題ないよね?」
ほむら「ま、待って!そもそもなんで貴方は記憶を取り戻したの!?」
そうだ。私は完璧に彼女の記憶を封じていたはずなのに……それに、もしあの時既に神様としての力を取り戻していたとして、何故私がその力に気付かなかったのか。膨大な力を持つが故に、その力を隠し通すことは不可能に近いはずだ。
まど神「それはね……『愛』って表現じゃ、ほむらちゃんの真似になっちゃうかな?」
ほむら「愛……?そんな、よりによって貴方を騙した私に……」
まど神「確かに、ほむらちゃんは私を騙したけど……でも、私も分かったんだ。愛の力がこの世で1番強いものなんだって。希望よりも熱く、絶望より深いもの。つまり、私はほむらちゃんの事が……」ウェヒッ
ほむら「そんな……私には貴方の愛を受ける資格なんて……」
まど神「違うよ。愛する資格があるかどうかを決めるのはほむらちゃんじゃなくて私。ほむらちゃんへの罰は、絶対に私の愛を受ける事。それが、円環としてのほむらちゃんに対する処分、そういう訳だよ」
ほむら「まどか……それは、私とずっと一緒に居てくれる事?」
密かに願い続けていた。私がずっとまどかと一緒に居れる事。余りにも身勝手な願い、それを一度は彼女を裏切った私が享受していいのか。
まど神「だーかーらー、ほむらちゃんに決定権はないの!ほむらちゃんに関しては私が全てを決めるの。ほむらちゃんに異論反論は認められていません!以上!とりあえず私は救済に行ってくるから、そこで待ってる事!」
ほむら「あっ、待って……」
言うが早いが部屋から大急ぎで消え去るまどか。私はと言えば、彼女から赦しを得た事実を噛み締める事で精一杯だ。
ところで……ソウルジェムはどこだろうか。見たところ、悪魔でなくなった代わりに元の紫色のジェムがあるはずなのだが、見つからない。
……まあ、構わないか。なんだか急に眠くなってきたし……ん、なんだろう。眠くなるのとは別に意識が……
まど神「ほむらちゃんはもう絶対に、永遠に逃がさない……ソウルジェムを離してしまえばほむらちゃんは仮死状態になる……」ブツブツ
円環様、もといまどかの手に握られているのは、ほむらのソウルジェムだろう。
大事そうに持ち歩いているそれは、まどかが直々に魔法でシールドをはっており、例えワルプルギスが全力で攻撃してもヒビひとつ入らないだろう。
さやか「でも……こんなの良くないよ……流石にほむらの所に戻してあげないと……」
今のほむらは、おそらく抜け殻のように眠っているはずだ。彼女だって、半ば強制的に意識を失った状態でいるのは不本意だろう。
しかし、まどかはそうは思わないらしい。
まど神「ちがうよ。ほむらちゃんにはこれが1番なの。あの子は私が面倒を見ないと、責任を感じてまたどこかに行っちゃうと思うから……だから、私が責任持って管理するの」
そんな歪んだ愛はおかしいって指摘したい所だけど、正直事実でもあるから困る。ほむらは素直じゃない。だから、放置していたらまたどこかへ行ってしまうだろう。その点においては間違ってない。
まど神「とりあえず、全力でインキュベーターを潰しに行こうか。今まで導いてきた魔法少女達をかき集めて、今すぐにね」
さやか「ま、その点に関しては同意しますよ……行こうか、なぎさ」
とりあえず、全ての元凶とも言えるあの白いのを潰してから考えよう。死体の一つでも持っていけばほむらも少しは和むかもしれないし
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