ほむら「虚」 (47)

ほむら(まどかから円環の理の力を奪ってから1年)

ほむら(変わってしまったこの世の法則も、最初と比べれば大分受け入れられてきた)

ほむら(皆が感じる微かな違和感も薄れてきた)

ほむら(特に顕著だった美樹さやかも、今はそんなことを気にすることもなく)

ほむら(普通の女の子として生きている)

ほむら(もちろん、杏子もマミも、まどかも)

ほむら「・・・」

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ほむら「今日の経過はどうかしら」

QB「魔獣の反応はないね」

QB「安心していいよ、今日は平穏に1日が終わりそうだ」

ほむら「・・・」

QB「君も今日は休むといいよ、連日の魔獣退治で疲れているんだろう?」

ほむら「疲れ?悪魔に疲れなんてものは無いわ」

QB「君はその存在を超越したとはいえ元は単なる魔法少女だよ、いつその時が来てもおかしくはない」

ほむら「だからたまには休めって?」

ほむら「あなた、おかしいことを言うのね」

QB「・・・やれやれ、何が君の琴線に触れるか分からないから迂闊なことは言えないね」

ほむら「円環の理はどう?」

QB「鹿目まどかの事かい、それなら・・・」

ほむら「まどかじゃない、円環の理よ」

QB「・・・あれなら、大丈夫」

QB「意思と感情の欠如以外には何も危険なところは見られない」

QB「無機質ながらも、その役割をちゃんと果たしているよ」

ほむら「・・・」

ほむら(いいえ、やっぱりそれじゃダメ)

ほむら(絶望へ向かう全ての希望を、救う)

ほむら(そこに意思が伴わないのなら、感情が伴わないのならやはりそれは機能してるとは言い難い)

ほむら(それはまどかの願い足りえない)

ほむら(無機質から生まれるその救済に世界のシステムが違和感を感じ始めて、いずれ亀裂が入る)

ほむら(入った亀裂を修正するために、円環は、「まどか」に近づく)

ほむら(それだけは避けなければいけない)

ほむら(あんな不意打ちめいた手がまどかに2度も通用するとは思えない)

ほむら(記憶を取り戻した彼女はきっと私を排除しに来るはず)

ほむら(命までは奪わないとしても、記憶や能力を奪いに来る)

ほむら(・・・私がその一生を終えるまで)

ほむら(私は自分の願いを忘れ、魔法少女である事実を忘れて生きるに違いない)

ほむら「手に取るように分かるわ、ええ・・・!あなたのことがね・・・!」

QB「・・・」

QB「それは恨みかい?」

ほむら「ええ」

ほむら「こうせざるを得なかった自分の不甲斐なさに対しての、恨みかしらね」

学校

ほむら「・・・」

ほむら(それでも、一応はこの世界は平穏だわ)

ほむら(皆が運命恨むこともない、絶望の生まれない、素敵な世界)

ほむら(ステキナセカイ)

さやか「よっ、ほむら」

ほむら「・・・おはようございます、美樹さん」

さやか「あははー、そんなに固くならないでよ、せっかくまた同じクラスになったんだしさ」

ほむら「・・・」

さやか「・・・」

ほむら(・・・美樹さやか・・・私に近づいてくるのは記憶を取り戻しているから?)

ほむら(それとも単に彼女の性格?)

ほむら(察しがいいとは言えない、でも彼女が私にとって1番危険であることは否定出来ない)

ほむら(彼女は唯一、最後まで私の改変に抗ったのだから)

さやか「あんたさー、いっつも一人でいて寂しくないの?」

ほむら「寂しくはないです」

さやか「ま、学外に友達でもいるのかもしれないけどさ、たまには学校の奴らとも仲良くしてもいいんじゃない?」

さやか「ほら!さやかちゃんとかさ!」

ほむら(・・・確かめないといけない)

ほむら(彼女に記憶が戻っているかどうかを・・・)

ほむら「・・・」バシュッ!

さやか「え・・・?」

ほむら「・・・」

さやか「ほむら・・・それ・・・何?」

ほむら(呼吸が乱れている、予想だにしないことが起きてると思っているのね)

ほむら(・・・)

ほむら「びっくりしましたか?私って手品が得意なんですよ」

さやか「あ、えっ!?手品!?それ手品なの!」

ほむら「はい」

さやか「凄いじゃん!何も無いところからアクセサリー出すなんて!もっかい!もっかい!」

ほむら「ふふ、そんなにやたらめったら人に見せるものじゃないんです」

ほむら「・・・」

さやか「ちぇー、もう一回見たかったなー」

ほむら「まぁでも」

ほむら「またいずれ、これを見ることになるかもしれませんよ」

ほむら「ゲホッ!ゲホッ!!」

ビタッ

ほむら「・・・」

ほむら「脆い体になったものね」

QB「当然だよ」

ほむら「誰が入ってきていいと言ったのかしら」

QB「僕の主のことは、よく知っておかなければならないだろう?」

ほむら「虎視眈々と私を殺す算段でも立てているのかしら?」

QB「そういう訳じゃないけれどね、それにしてもソウルジェムの出し入れだけで吐血するなんて」

ほむら「魂のあり方を3度も変えたのよ、これくらいは当然かしらね」

QB「僕のセリフを取らないでほしいな」

ほむら(リミットが近付いてきている)

ほむら(私はもう、肉体の生命を維持する機能が徐々に失われつつある)

ほむら(強すぎる力に耐えきれないのか、いいえ違うわね)

ほむら(これはきっと、単なる罰よ)

ほむら(神を穢し貶めた、私への罰)

ほむら(相変わらずどん詰まりね、まどかとさやか達と自分)

ほむら(そのどれもがギリギリのラインで揺らいでいる)

ほむら(・・・)

QB「・・・奪いに行くんだろう?円環の理を」

ほむら「・・・」

QB「君の体はもう既に動いているのが不思議なくらいボロボロだ」

QB「無機質な円環の理も、いずれ自分に欠けているものを探しに来る」

QB「彼女たちも、自分たちのために願った少女のことを忘れない」

QB「その3つを解決する方法は、君が円環の理に成り代わるしかないんじゃないのかな」

ほむら「・・・」

QB「肉体を捨て、魂だけの存在となり、君が意志と感情を持って役割を果たせば、彼女たちも気が付かない」

ほむら「・・・」

QB「だとしたら、早く事を進めるべきだったね、と僕は言いたいよ」

QB「今の君は少し魔力を使っただけでこの有様だ」

QB「膨大な魔力のお陰で何とか動いていられるけど、戦うことはもはや出来ない」

ほむら「どうして早く事を進めなかったかって・・・?」

ほむら「・・・」

ほむら「ちょっとだけ、ほんの少しだけでも、遠くからでも」

ほむら「大切な人を見たかったから、じゃダメかしら」

QB「・・・」

ほむら「・・・なんてね、単に機会が無かっただけよ」

ほむら「全ての準備が揃ってしまえば、私は今度こそまどかから根こそぎ奪う」

ほむら「まどかが普通に生きていけるように、救済なんて馬鹿げた願いを、まるで自分の天命であるかのように言わないように」

ほむら「私は、全てを奪う」

学校

ほむら「・・・」

ほむら「おはよう、さやか」

さやか「おはよ・・・ってあれ?ほむら?」

ほむら「何かしら?」

さやか「いや、ほむらから話しかけてくるなんて珍しいなーって」

ほむら「そうかしら?」

さやか「そうそう、珍しいよ」

ほむら「昔もこうして話していたと思うけれど」

ほむら「私が転校してきてから、私を気にかけてくれたのはあなたとまどかだったわね」

さやか「・・・!?」

ほむら「それに、私に酷いことを言ったのもあなただった、勿論私もあなたに酷いことをした」

さやか「あんた・・・何を・・・!?」

ほむら「不思議?どうして今更自分から手の内を晒すようなことを言うのが」

ほむら「ねえ?さやか?」

さやか「・・・!!」

ほむら「思い出さないわけが
ない、だってあなたはまどかの親友で、誰より誰かのことを思うことが出来るのだから」

さやか「何時から気がついてたの・・・?」

ほむら「確信は無いわ、でもそうね、逆に言えばあなたを信じていたのよ」

ほむら「あなたが思い出さないはずがないってね」

さやか「・・・」

ほむら「だとしたら、気がついて尚話しかけてきてくれたのは、あなたの純粋な優しさだったのかしら?」

ほむら「ふふ、いいえ、気がついてなくてもあなたは話しかけてくれるわね」

さやか・・・

ほむら「不思議?どうして今更自分から手の内を晒すようなことを言うのが」

ほむら「ねえ?さやか?」

さやか「・・・!!」

ほむら「思い出さないわけが
ない、だってあなたはまどかの親友で、誰より誰かのことを思うことが出来るのだから」

さやか「何時から気がついてたの・・・?」

ほむら「確信は無いわ、でもそうね、逆に言えばあなたを信じていたのよ」

ほむら「あなたが思い出さないはずがないってね」

さやか「・・・」

ほむら「だとしたら、気がついて尚話しかけてきてくれたのは、あなたの純粋な優しさだったのかしら?」

ほむら「ふふ、いいえ、気がついてなくてもあなたは話しかけてくれるわね」

さやか「・・・」

さやか「・・・どうするつもり?」

ほむら「それを言ったところで、あなたは止めに来るだけ」

さやか「当然だろ!あんたは・・・!」

ほむら「いい、もうあなたの優しさは十分に知った」

ほむら「全てを知った上で、あなたはどちらの要求も通らないことを知っている」

ほむら「私にも分かる、この世界の限界が」

ほむら「魔なるものに作られた歪な世界の崩壊する音が、大きくなってるのが聞こえる」

さやか「・・・っ!」

ほむら「止めようと思っても無駄よ、今や私は誰にも止められない」

さやか「まどかのために・・・?あんた、狂ってるよ」

ほむら「他人の為に祈るのがおかしいこと?」

さやか「・・・」

ほむら「どれだけ私の存在を否定しようが、魔法も奇跡も否定しようが、この思いだけは否定させない」

ほむら「私の願いは、私にとって、正しい」

さやか「違う!あんたの願いとかじゃない!」

さやか「まどかは、あんたのことだって思ってた!それでも自分の役割を信じて、涙を飲んでそれを願ったんだ!」

さやか「どうしてまどかがあんたを置いていったか分かる!?あんたのことを誰より信じていたからなんだよ・・・!!」

ほむら「なんとでも言えるわね」

ほむら「でも、私はそんなこと願っちゃいなかった」

さやか「・・・っ!この・・・!」

ほむら「・・・」バサッ

さやか「・・・!?」

さやか「・・・うぅっ!」

ほむら「・・・分かる?」

ほむら「神を穢した罰なのか、私の体はもうボロボロ」

ほむら「私の体には、何も残っちゃいない」

ほむら「空っぽなのよ、私の体」

ほむら「この虚が、私の罰」

さやか「・・・どうして・・・!こんなになるまで・・・!?」

さやか「もう、何も無いじゃんか・・・!なんで生きてるのか不思議なくらい・・・!」

ほむら「ズタズタで、ところどころ大穴が空いてる?」

さやか「まどかのためなら・・・!その痛みさえ愛おしいって言うの!?」

ほむら「いいえ、痛いわ、彼女のことを思う日は一層この傷が痛む」

さやか「ならなんで・・・」

ほむら「・・・」

ほむら「ねぇ、さやか」

ほむら「願いってなんだと思う?」

ほむら「奇跡ってなんだと思う?」

ほむら「どうして私たちは、思い1つで願いが叶うんだと思う?」

ほむら「きっとそれは、感情によってこの世界が動くから」

ほむら「魔法少女は祈りの象徴、想いが力」

さやか「・・・」

ほむら「私にとってまどかは、たった一人の親友なのよ」

ほむら「途方もなく尊い、たった一人の友達なの」

ほむら「それに基づいた願いによってもたらされたリスクなら受け入れられる、そうは思わない?」

さやか「・・・」

ほむら「私は今から、円環の理を奪いに行く」

さやか「・・・!!」

ほむら「全てを奪って、この世界とまどかを永遠に紐付ける 」

さやか「・・・それを許すとでも・・・!!」

ほむら「・・・」

ほむら「どうせあなたは・・・いえ、あなた達は私を止めに来る」

ほむら「だから、お願いしに来たの」

ほむら「これは私にとって単なる独り善がりの行動だから」

ほむら「叶う確率なんてゼロに等しいんだから」

ほむら「邪魔しないでくれないかしら」

さやか「・・・」

ほむら「・・・」

ほむら「お願い」

ほむら「もうこれから先、どんなチャンスも奇跡も要らないから」

ほむら「あと一回だけ、私にワガママを通す機会を頂戴」

さやか「・・・ほむら・・・」

さやか「・・・」

さやか(・・・もちろん、あいつは私にとって敵だ)

さやか(私の親友を貶めた、最悪の敵であり、これから先助け合うことなんてない)

さやか(・・・でも)

杏子「・・・どうした・・・?死んだような顔して?」

さやか「・・・杏子」

マミ「やっぱり頼れる先輩が居なくて寂しいのかしら?」

杏子「いや、お前が居なくて寂しいってことはないだろ」

マミ「美樹さん、ケーキ2つ食べる?一つ余ったのだけれど」

杏子「嘘嘘嘘嘘!嘘だよ!」

さやか「・・・」

マミ「・・・学校が終わってから、ずっと上の空ね?」

さやか「・・・」

杏子「なーにを落ち込んでんだか」

さやか「・・・ねえ、二人とも」

杏子「?」

マミ「・・・」

さやか「大事な友達が居てさ、その友達の願いを踏みにじる酷いやつもいて」

さやか「でも、その酷いやつは、そいつなりに大事な友達のことを考えての行動をとってる」

さやか「・・・もし、そんなことがあったとして、私はどうすればいいのかな?」

杏子「・・・」

マミ「・・・」

さやか「その酷いやつを止めるべきだよね、でも、私・・・」

さやか「・・・私、どうしちゃったのかな」

さやか「心のどこかで、1度くらい我儘を言ってもいいんじゃないかって思うんだ」

さやか「そいつの願いが通れとは言わない、でも、せめて」

さやか「・・・我儘を言うくらいは・・・」

杏子「何が言いたいのか分かんねえけど」

杏子「その酷いやつも、お前にとって大事なやつなんだろ?」

さやか「・・・っ」

マミ「大切な人2人の喧嘩、って所かしら?」

さやか「・・・それは・・・」

杏子「私は馬鹿だからお前が何を言いたいかほんとに分かんねえけど」

杏子「でも、2人の要求が通ることは無いんだろ?」

杏子「だったらもう、2人に解決させるしかないじゃんか」

マミ「・・・まぁ言い方は少し乱暴だけれど」

マミ「・・・でも、そうね」

マミ「たまには喧嘩くらいしちゃってもいいんじゃないかしら」

さやか「・・・でも・・・!私の立場的には・・・!どっちに着いとかないといけないのか決まってる・・・!」

さやか「誰の味方をするべきかも!誰を否定するべきかも!」

杏子「馬鹿だなー、お前、それが出来ないのがお前だろ」

さやか「・・・っ!」

杏子「なんであんたが抱えんのさ」

杏子「例えそれであんたが割って入ったところで、負けた方は絶対またいつか同じことをしに来る」

杏子「納得のいかない決し方は誰だってムカつくからな」

マミ「・・・間違った道を正すのはたしかに友達の役割だけれど」

マミ「悔しい想いをしたあと、そばに居てあげるのも、友達の役割だと思うわ」

マミ「一人で抱え込まないで、美樹さん」

さやか「・・・」

さやか「・・・ほんと、2人にはかなわないなぁ・・・」

さやか「・・・」

さやか(そうだ、私にとって、ほむらも大切な友達なんだ)

さやか(ほむらの思いも、まどかの思いも、私は理解してる)

さやか「・・・魔法少女」

杏子「・・・っ!!」

マミ「・・・!」

さやか「呪いを払うことを代償に、奇跡を願った少女達がいた」

さやか「2人は、何かを願ったことに、後悔はしてないんだよね」

さやか「もちろん、あの二人も」

さやか「それが願いの結果なら、受け入れるしかないんだよね」

さやか「・・・」

杏子「・・・」

マミ「・・・」

さやか「見届けに行こう」

さやか「2人の願いの結果を」

杏子「くくっ、行けんのか?」

さやか「行けるよ、だって私は、円環の理のかばん持ちなんだから」

ズズッ

ほむら「・・・はぁ・・・!・・・はぁ・・・!!」

ほむら(・・・いくら円環の理の力を持っているとはいえ、大元はあっちにある・・・!)

ほむら(奪われた力を取り返すために、この空間全ての意思が刺すような痛みに変わる・・・!!)

ほむら「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

ほむら「・・・」

ほむら「あなたの元へ辿り着くのが、これ程遠いものになるなんてね」

ほむら「馬鹿げてる、皮肉っぽいわね」

円環の理「・・・」

ほむら「無機質で、無感情で、私が貶めた神様」

ほむら「全部を奪いに来たわよ、あるべき所に全て還元するために!」

ほむら(止まれっ!!)ガチッ

ほむら(今の私に不可能はない!だとしたらまずはこいつの機動力を削ぐ!)

ほむら(足を切り飛ばして、動けなくすればもう・・・!)

円環の理「・・・」

円環の理「・・・」グルンッ!!

ほむら「・・・なっ・・・!!」

円環の理「・・・」ズドドドド

ほむら「ぐぅっ・・・!!」

ほむら(やっぱり・・・時間停止は彼女には効かない・・・!いえそれどころか・・・!)

ほむら(魔法さえ・・・きっと・・・!)

ほむら「・・・ゲボっ!!」ビシャビシャッ!

ほむら「魔法が効かないなら・・・これはどうしら・・・!」ダララララ!!!

ほむら(下手な魔法より威力のある銃火器・・・!これさえ通るのなら・・・!)

円環の理「・・・」ツー

ほむら「・・・通った・・・!いえでも・・・」

ほむら(ほとんど避けられた・・・当然よね・・・!)

円環の理「・・・」ズドドドド

ほむら「くぅっ・・・!」

ほむら(超高速で追尾してくる魔力の塊・・・明らかに私のとは威力が違う・・・!)

ほむら(1度当たればほぼ絶死、こっちはほとんど効かない)

ほむら「・・・ええ・・・!慣れたものよ・・・!根比べなんて!」ダララララ!!!

さやか「・・・ほむら・・・まどか・・・」

杏子「・・・」

マミ「・・・」

杏子「・・・あんなに鬼気迫るほむら、見たことがねえな」

マミ「・・・それに、感情が無いとはいえ、鹿目さんの一部であるあれをあそこまで攻撃するなんて・・・」

さやか「・・・形振りかまっちゃ居られないんだろうね・・・」

さやか(・・・頑張れなんて言えないよ・・・)

さやか(でも、ほむら・・・!!)

ほむら「はぁっ・・・!はぁっ・・・!」ツー

ほむら「・・・」ゴシゴシ

ほむら(・・・目が・・・そう、いよいよあとすこしって所かしら)

ほむら(・・・虚が確実に大きくなってきてる、長引けば長引くほど、確率は低い)

ほむら「・・・!」ダララララ!!!

ほむら(・・・もういい!まどか!)

ほむら(私に勝たせて!あなたを奪わせて!!)

ほむら「あああああっ!!」ズドォォォン!!!

ほむら「はぁ・・・!はぁ・・・!!」

杏子「・・・」

マミ「・・・」

杏子「勝ち目なんてある訳がねえ」

杏子「どう考えても負け戦だ」

マミ「・・・諦めたいのかしらね、暁美さんは」

円環の理「・・・」

ほむら「・・・」ギリッ

ほむら「・・・」

ほむら(・・・落ち着け・・・!よく見なさい・・・!)

ほむら(無感情故の彼女の弱点・・・!攻撃ばかりで1つも回復する素振りを見せない)

ほむら(彼女に付け入る隙があるとしたらそこ・・・!)

バチッ!

ほむら「・・・っ!?」

ほむら「・・・」

ほむら(油断した・・・1度当たっただけでこの威力・・・)

ほむら(頭じゃなかっただけ喜ぶべきかしらね)

ほむら(着弾点を吹き飛ばされた、いえ、軽くなっていいかもね)

ほむら「・・・ぐぅぅぅうう・・・!!」ダララララ!!!

ほむら「ぁぁあああぁ!!」ダララララ!!!

杏子「着弾した場所を問答無用で吹き飛ばす魔法?」

マミ「そんな複雑なものじゃないわ、あれに込められた途方もない、度の過ぎた魔力が着弾と同時に破裂したってだけよ」

杏子「・・・それでも壁や地面にゃ傷一つついてねえ、あれがこの空間を作ったんだとしたら、バケモンぶりが伺えんな」

さやか(・・・目から・・・もう、あんた目も・・・!)

杏子「何目を逸らしてやがる、さやか」

杏子「あんたが見届けるって言ったんだ、しゃんとしろよ」

さやか「・・・うん・・・分かってる・・・」

ほむら「・・・はぁー・・・!はぁ・・・!!」

円環の理「・・・」ズドドドドドドドドドッ!!

ほむら「・・・」ダッ!!

ほむら(ねぇ、まどか)

ほむら(・・・私、とっても頑張ったよ)

ほむら(あなたの為に、大切なあなたを傷付けてでも、あなたを救おうとしたよ)

バチッ!バチッ!

ほむら(・・・うん、大丈夫、私はまだ動ける)

ほむら(後ろから追いかけてくる・・・最後、かな)

ほむら「・・・ああああっ!」ギュゥゥゥッッ!!

円環の理「・・・!」

円環の理「・・・ほむ・・・」




ほむら(些細なことなら、譲ってあげる)

ほむら(あなたの為なら、我慢する)

ほむら(嫌われたって、構わない)

バチバチバチバチバチッ!!!

ほむら「・・・」

円環の理「・・・」

ほむら(でもこの勝利だけは、貰っていく)

円環の理「・・・」ドサッ

杏子「・・・何が・・・!?」

マミ「・・・攻撃が・・・暁美さんの体を・・・通り抜けた・・・!?」

さやか「・・・違う・・・!!」

さやか(・・・空っぽだったんだ・・・!!あいつの体はもうとっくの昔から・・・!)

さやか(吹き飛ばすべき場所を通り抜けて、攻撃はその先のまどかに・・・!!)

さやか「ほむらぁっ!まどかぁっ!!!」

ほむら「あはっ!あはははははっ!!!あははっ!!」

さやか(耳が・・・!!こいつもう・・・!!)

ほむら「あはははははっ!!ははははは!!」

ほむら(勝ったんだ!!私はまどかに勝ったんだ!!!)

ほむら「勝利が訪れるのがある!!私は円環が故に誰がために!!」

ほむら(もう何も見えないけれど!!これでまどかは人間に戻れる!!)

ほむら「暗がりに佇む円が、人に成り代わって!!!」

ほむら(みんなと同じ様に、永遠に過ごすことが出来る!!)

ほむら「共に過ごした永遠と、辟易するあの外の庭が・・・!!!」

ほむら(私の願いは叶ったんだ!!)

ほむら「寝返る悪魔の、私の果ては・・・!!あはっ!あはははっ!!」

さやか「ほむらっ・・・!!」

さやか(もう、何いってんのか分かんないよ、ほむら)

さやか(あんたの言う罰がこんな事だとしたら)

さやか(あんたは一体、どうやって救われるって言うのさ!!!)

さやか「ほむっ・・・!?」

さやか「・・・あ、あんた・・・どうして・・・?」

ほむら「あはっ!あはははははっ!!」

ほむら(さぁ!円環の理!私の元に来なさい!私のものになって!)

ほむら(私がその役割を全うしてあげるから!私から大切な人を奪わないで!!!!!!)





まどか「ほむらちゃん」

ほむら「・・・」

ほむら「・・・ま、ど・・・か・・・?」

まどか「・・・」

ほむら「あ、ああぁ・・・!」

まどか「どうして、こんなになるまで・・・気がついてあげられなかったのかな」スッ

ほむら「あああああっ!!!」

ほむら「うあぁぁぁっ!!!嫌!!拒否する!来るな!!」

ほむら「お前のここで来ちゃいけない!!ここはもう!」

ほむら「・・・私が場所・・・だから・・・!」

ほむら(・・・嫌だ・・・嫌だ・・・)

ほむら(見ないで、まどか・・・)

まどか「・・・」

まどか「・・・」

まどか「・・・」スゥゥゥゥッ

ほむら「・・・あ」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「・・・まどか・・・どうして・・・?」

ほむら「漸くあなたに勝てたのに、あなたに人間としての人生を取り戻してあげたのに・・・」

ほむら「・・・あなたはそれを否定するの・・・?私の願いを踏み躙るの・・・?」

ほむら(・・・どの口が、言うのよ・・・!)

ほむら「私がやってあげるって言ってるじゃない!」

ほむら「私の願いは全ての希望を絶望なんかでは終わらせないこと!!」

ほむら「あなたよりも私のほうがふさわしいからそれを私に寄越しなさいっ!!ねえ!まどかっ!!」

ほむら(・・・やめて・・・!!もう・・・!!)

ほむら「どうして私の邪魔をするのっ!?」

ほむら「私はあなたのことなんて少しも考えちゃいない!!」

ほむら「単に私がもっと強くなりたいから!あなたの片割れを殺したに過ぎない!」

ほむら「謝るくらいなら、返してよ!!私の為を思っている振りをしながら止めになんて来ないでよ!!」

ほむら(やめろ!!)

ほむら「あなたなんて、大っ嫌い!!!!!」

まどか「・・・」

まどか「・・・」

まどか「・・・」

まどか「・・・私は、大好き」

ほむら「っ・・・!!」

まどか「どんな時だって私はあなたが大好き」

まどか「円環の理になって、辛いこともあったけど」

まどか「皆ともう逢えないんだって思ってしまったけれど」

まどか「でもあなたが居てくれたから」

まどか「あなたが私のことを忘れずにいてくれたから」

まどか「・・・」

まどか「ねえ、ほむらちゃん、私、何度だって言うよ」

まどか「あなたが否定しようと、嘘だと喚こうと、それを言われるのがホントのところは気持ちの悪くて耐え難いことであろうと」

まどか「何度だって言うよ」

まどか「あなたは、私の最高の友達だよ」

ほむら「・・・」

ほむら(・・・)

ほむら(虚がどんどん小さくなっていくのを感じる)

ほむら(空っぽが埋まっていくと同時に、奪った力がまどかに流れていくのが分かる)

さやか「・・・だって、それはまどかの願いだから」

さやか「まどかの役割を奪おうと、力と記憶を奪おうと」

さやか「それはまどかの願いによってもたらされた力じゃん」

さやか「じゃあ、あんたの願いって、なんなのさ?」

ほむら「・・・私の、願いは・・・」

さやか「そんなこともうとっくに分かってる」

さやか「あんたが私達をこの世界に留めてくれて、あんたがあんたなりに優しい世界を作ってくれて」

さやか「そんなことはもう、分かってる」

さやか「ねえ、ほむら」

杏子「・・・」

マミ「・・・」

さやか「私たちは、あんたが死んだら、悲しいよ」

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