ミカサ「桃の勇者?」エレン「機織りする鶴?」(34)

エレンとミカサがうろ覚えで「桃太郎」と「鶴の恩返し」を語ります
アルミンは最後にちょっと出てきます
恋愛展開はないです
完結させてあるので淡々と投下していきます

書き終わってから、11巻のエレンの発言に殺人鬼、という言葉を発見しました・・・
すみませんが2人は鬼をよく知らないということでお願いします・・・



エレン「暇だ」

エレン「雨だから外で自主訓練できない」

ミカサ「なら私と筋トレしよう」

エレン「さっきまでしてただろ。それにお前が一緒だとなんかヤル気でない」

ミカサ「では座学の勉強をしよう」

エレン「昨日アルミンと散々した。そのアルミンは教官の手伝いに行っちまったし」

エレン「暇だ」

エレン「なぁミカサ。昔みたいにお話してくれよ」

ミカサ「お話とは、おとぎ話のこと?」

エレン「そうそう。暇つぶしに聞きたくなった」


ミカサ「あいにく、あの頃から私のレパートリーは増えていない。ので、聞き飽きた話しかできない。即興で作ることも私にはできない」

エレン「いいよ。アレにしてくれ。俺の好きなやつ」

ミカサ「わかった」

ミカサ「昔々、雪の降る寒いところに、ある若い男がいた。
外を歩いていると、男は一羽の鶴が罠にかかって苦しんでいることに気づいた。
鶴は『どうかこの罠を解いて私を助けて。そしたらきっと、私はあなたのために尽くそう』と

エレン「おい」

ミカサ「言った。男は鶴を可哀想に

エレン「おい」

ミカサ「エレン、話を遮るのは良くない」

エレン「俺がしてほしいのはそれじゃない」

ミカサ「では何?」

エレン「桃の勇者がオニって言う巨人を駆逐する話」


ミカサ「エレンはそれが好きだったの?」

エレン「お前がしてくれるお話の中では一番好きだ」

ミカサ「鶴が恩返しする話ではないの?」

エレン「それはお前が話したがる話だろ」

ミカサ「ではエレンがその桃の勇者の話をして。私もエレンにお話してほしい」

エレン「えー、やだよ。俺は聞く方がいい」

ミカサ「私もエレンの声を聞いていたい」

ミカサ「ここは公平に交互にお話をするのはどう?」

エレン「うーん、まあいいか」

ミカサ「では次はエレンの番」

エレン「え、完結してからじゃないのか?」

ミカサ「そんなに待てない」


エレン「そういえば、お前が鶴の話ばっかするから桃の勇者の話は2、3回しか聞いたことないんだけど」

ミカサ「大丈夫、内容はそんなに問題じゃない」

ミカサ「それに私も幼い頃に聞いたお話なので記憶が曖昧になっている。お母さんが私が寝付くまでしてくれていたお話も、もうこの二つしか覚えていない」

エレン「ミカサ・・・。わかった。できるだけ面白く話してみる」

ミカサ「ありがとう、エレン。ではお願い」

エレン「早く目、閉じろよ」

ミカサ「なぜ?」

エレン「お話は寝る時にするものだから、同じように目を閉じてくれないとやりにくい」

ミカサ「別にお話は寝る時にするものと決まってはいないけど」

エレン「ずっと見られてると話しにくいだろ。目を閉じないなら俺はお話しない」

ミカサ「わかった。目を閉じる」

エレン「じゃあ桃の勇者の話だ」


エレン「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
二人は幸せに暮らしていましたが、オニが旅人を殺したり、家の壁を登ろうとしてくるのは恐ろしいと思っていました。
オニのせいで自由に外に出ることもできない。オニは憎い存在でした。
二人が年老いてさえいなければ、オニを打ち負かすために戦うこともできたでしょうが、二人には勇気も力もありませんでした。
ある日、そんな二人の家の近くの川に、大きな桃が流れてきました。
二人は桃を拾い上げると、大きな包丁で横一閃に削ぎました。
そうすると、中から元気な勇者の赤ちゃんが出てきました。
子どものいなかった二人は喜んで勇者を育てました。

・・・何かもう思った以上に覚えてないな。んじゃあミカサの番な」

ミカサ「え?もう?」

エレン「順番だろ?」

ミカサ「では機織り鶴のお話の続きをしよう」


ミカサ「男は鶴を可哀想に思って罠を外してやった。
鶴は『ありがとう。このご恩はきっとお返しする』と言って空へ飛び立った。

はい。エレンの番」

エレン「さすがに短くないか」

ミカサ「そんなことはない。この話は短いので細かく切らないとすぐ終わってしまうから」

エレン「そうかあ?なんか俺ばっかり話すことになりそうだな」

ミカサ「目を閉じた。早くして」

エレン「勇者の赤ちゃんはすくすくと育っていきました。
強くたくましくなった勇者は、おじいさんおばあさんや村のみんなを苦しめるオニを駆逐したいと考えるようになりました。
その考えをおばあさんに伝えると、おばあさんはオニに殺されてしまうからやめろと言いました。
おじいさんはこう言い出したら勇者を止めることは出来ないので、おばあさんをなだめて、勇者に特殊なパンを持たせてやるように言いました。
そうして勇者はオニを駆逐する旅に出たのです。

ここら辺までだろ。はい、交代」

ミカサ「勇者が心配。オニの駆逐は命懸けのはず」

エレン「勇者がそうしたいんだ。まあ勇者だし大丈夫だろ、たぶん」

エレン「鶴の続き早くしてくれ」


ミカサ「男が鶴を助けてからしばらく経った。その晩は雪が降っていた。男の家の戸を、トントンと叩く音がした。
『こんな寒い夜に外を歩いてたのかよ。誰だ』と言って戸を開けたら、そこには見知らぬ美しい娘が立っていた。
戸を開けていると吹雪が吹き込んできて、男は思わず体が震えた。『そんなところへ立ってないで、入れよ。あったかいぞ』男は娘を家に招き入れた。男は優しい。

はい。エレンの番」

エレン「駆逐の旅の途中で勇者は犬に会いました。
『勇者さん、その美味しそうなものは何ですか』犬は尋ねました。
『これはおばあさんが作ってくれた特殊なパンだ』
『一つもらえませんか』
『オニの駆逐に協力するなら一つやる』
『もちろん協力しますとも』
こうして犬が仲間になりました。

・・・交代だ」


ミカサ「エレン、声色を変えるならもっと強そうな犬にした方がいい。それではまるで子犬みたい」

エレン「えー、十分強そうだっただろ。お前こそ抑揚付けて話せよ」

ミカサ「・・・やってみる」

ミカサ「『お前、名前は何ていうんだ?』と男が聞くと、娘は、
『私はつうと言います。ごめんなさい。今夜だけ泊めてほしい』と答えた。
男は、何か事情のある旅の途中なのだと思った。また、途中で吹雪にあったことを気の毒に思って泊めてやった。やはり男は優しい。
旅の途中かと思われたつうだったが、次の日も、その次の日も男の家にいた。

はい。エレンの番」

エレン「お前・・・怪談じゃないんだから・・・」

ミカサ「抑揚をつけてみただけ」

エレン「違うって。全体的なテンションを下げて凄みを出すんじゃなくて、弱弱しい女の声にするとかだろ、正しい抑揚は」

ミカサ「『ごめんなさい。今夜だけ泊めてほしい』」

エレン「そうそう。優しげに頼りなげに、だな」

ミカサ「『エレン、桃の勇者の続きを話してほしい』」

エレン「その声色で話しかけるのはやめろ」


エレン「駆逐の旅の途中で勇者は猫に会いました。
『勇者さん、その美味しそうなものは何ですか』猫は尋ねました。
『これはおばあさんが作ってくれた特殊なパンだ』
『一つもらえませんか』
『オニの駆逐に協力するなら一つやる』
『もちろん協力しますとも』
こうして猫が仲間になりました。

・・・交代」

ミカサ「猫?」

エレン「・・・違ったか?」

ミカサ「犬よりも強そうだった」

エレン「お前が声色がどうとかいうから混ざったんだよ」

ミカサ「目を閉じていると色々と想像してしまう」

エレン「そうだな。もう子どもじゃないけどお話も楽しいな。さあ続きだ続き、早く」


ミカサ「男の方も、仕事から帰ってみると食事の用意が出来ているし、掃除も洗濯もつうがしていたので、特に旅立ちをさせようともしなかった。
ある日、男が薪を集めて山から帰って来ると、つうが『おかえりなさい』と出迎えて、『私は、あなたの家族』と言った。

はい。エレンの番」

エレン「急に家族になったのか」

ミカサ「問題はない」

エレン「男だって戸惑うだろ」

ミカサ「大丈夫」

ミカサ「それより桃の続きを話して」

エレン「お前、目を閉じたら勝ちだと思ってるだろ」


エレン「駆逐の旅の途中で勇者は雁に会いました。
『勇者さん、その美味しそうなものは何ですか』雁は尋ねました。
『これはおばあさんが作ってくれた特殊なパンだ』
『一つもらえませんか』
『オニの駆逐に協力するなら一つやる』
『もちろん協力しますとも』
こうして雁が仲間になりました。

・・・交代だぞ」

ミカサ「雁?」

エレン「違ったか?」

ミカサ「あの鳥は壁の外に飛んでいくのをたまに見る」

ミカサ「シガンシナでも見た」

エレン「・・・人間は飛べないからな」

エレン「さあミカサの番だ」


ミカサ「男が『からかうなよ。俺は貧乏で、自分一人で食うのが精一杯だ。家族が増えたりしたら、食っていけねえ』と言った。
つうは、ちょっと間をおいて『それは心配ない。私にいい考えがある』と答えた。

はい。エレンの番」

エレン「貧乏なのかよ」

ミカサ「そう」

エレン「何日も家事だけさせておいて家族としては暮らせませんって最低だな」

ミカサ「そばにいてくれるだけでいい」

エレン「男には名前はないのか?」

ミカサ「よ・・・よ・・・思い出せない」

エレン「ずっと男って呼ぶのも何だから決めてくれ」

ミカサ「エレンが決めて」

エレン「えー、・・・よで始まるならヨーゼフだな」

ミカサ「・・・適当」

エレン「確かに・・・つうとヨーゼフってバランス悪いな・・・」

ミカサ「次からはヨーゼフでお話していく。ので、桃を」


エレン「オニはオニガシマというところを根城にしていました。
そこに村人たちから奪った宝物や食べ物を溜め込んで、酒飲んで歌って踊って騒ぎながら過ごしていました。
・・・オニは何のために村人たちから大切なものを奪うんだ。オニは宝物や食べ物を必要とするのか?
巨人なら飲み食いする必要ないだろ・・・こいつら・・・一体何なんだ・・・
大体、酒なんて最も巨人に必要ないだろ・・・嗜好品なんだから・・・


ミカサ「・・・エレン?」

エレン「このオニっていう巨人は生きていくために人類から奪うのか?
いや・・・オニの側に何か理由があったとしても・・・

ミカサ「エレン、目を開けていい?」

エレン「ん?ああ、いいぞ」

ミカサ「途中からエレンの独り言になっていた」

エレン「ああ、悪い」

ミカサ「オニはお話の中の存在。実際の巨人とは違う」

エレン「・・・そうだな。巨人が何かの目的をもって行動するはずがない。奴らには知性がないんだから」

ミカサ「ええ。座学で習ったばかり。でも巨人の生態はまだわからないことが多い」


エレン「調査兵団に入れば生態の研究もできるな。もっと効率よく奴らを駆逐する方法も分かるかもしれない」

ミカサ「やはり調査兵団に入団したいという気持ちは変わらないの?」

エレン「当たり前だろ」

ミカサ「・・・」

エレン「そんな顔するなって」

ミカサ「これは真顔」

エレン「嘘だな。俺には分かる」

ミカサ「それなら仕方ない。どうやったらエレンが調査兵団を諦めるか考えていた」

エレン「そんなこと考えてたのか」


ミカサ「俺には分かると言ったのに」

エレン「いや、正直、そこまで具体的に読むのは無理」

ミカサ「分かると言ったのに。エレンの嘘つき」

エレン「お前も最初に嘘ついただろ」

ミカサ「・・・」

エレン「その顔の意味は誰でも分かる」

ミカサ「『桃の勇者のお話をして』」

エレン「表情と声色が全く合ってないぞ」

ミカサ「『エレン・・・』」

エレン「だからその声色で話しかけるのはやめろ」

エレン「いや、ちょっと待て、今度はお前の番だろ」

ミカサ「・・・チッ」

エレン「あぶねえ。だまされかけた。ほら、話の続き」


ミカサ「『そうか?まあ、そういうことならまあ、い』『それは承知したということ。では私たちは家族』
ヨーゼフが答え終わらないうちに、つうは二人が家族だと宣言した。
翌朝、つうはヨーゼフに、『これから7日間、倉庫に籠る。決して中を見ないでほしい』と頼んだ。ヨーゼフは決して見ないと誓った。
それから7日の間、休みなくキッコパタンキッコパタンと何かの音がし続けた。
ヨーゼフは謎の音のために恐怖に震えたが、ついに中を見ることはなかった。

はい。エレンの番」

エレン「なんか不穏になってきたな」

ミカサ「そんなことはない。つうはヨーゼフのために一生懸命」


エレン「ていうか、機織り鶴のお話なんだから、つうが鶴で機織りしてる音なんだろ?」

ミカサ「エレン、エレンは機織りの音を聞いたことがある?」

エレン「ない」

ミカサ「では、鶴が人間に化けるのを見たことは?」

エレン「ない」

ミカサ「なら、つうが鶴で謎の音が機織りの音かどうかは分からないはず」

エレン「・・・え?」

ミカサ「さあ、早く桃のお話をして」

エレン「ごまかすなよ」

ミカサ「エレン、これ以上は不毛」

エレン「えー」

ミカサ「もう目を閉じた。早く」

エレン「・・・納得いかねえけど、じゃあ続きな」


エレン「なんだっけ?ああ、オニガシマか。
勇者たちはオニガシマにたどり着きました。そこではオニたちが酒飲んで歌って踊って楽しく騒いでいました。
ちくしょう・・・何楽しそうになんかしてんだ・・・人殺しが・・・
勇者たちは次々とオニのうなじを削いでいきました。
削ぐのは勇者で、犬と猫と雁はその補佐です。
犬が噛みつき猫が引っ掻き雁がオニの目をつつきます。
まずオニの動きを止めてから削ぐべきなのでこの勇者たちの戦い方は正しかったのです。
また、目を潰せばオニは少なくとも一分間は暗闇の中。
そう、勇者たちはオニを駆逐するために最善を尽くしたのです!!!!!

はー、交代だ」

ミカサ「ところでエレン、オニガシマはどこにあるの?」

エレン「んー、あれだな、たぶん、海の向こうだ」

ミカサ「うみ?」


エレン「そうだ。アルミンに聞いたんだけど、この世界の大半は海っていう水で覆われてるらしい」

エレン「しかも海は全部塩水だ」

ミカサ「塩・・・!」

エレン「すごく広いから商人も海の塩を全部取っちまうことはできないらしい」

ミカサ「広い塩水・・・!すごい・・・」

エレン「ああ!行ってみたいな!」

ミカサ「では、いつか巨人がいなくなって、壁の外の世界を見に行くときには、犬と猫と雁も連れていこう」

エレン「なんでだ?」

ミカサ「もし・・・もし本当にオニがいたら困る。彼らはきっと役に立つはず」

エレン「・・・そうか」

ミカサ「ええ」

エレン「お前意外と子どもっぽいよな」

ミカサ「エレンに言われたくない」


エレン「まあ同い年だしな。ヨーゼフの続き話してくれ」

ミカサ「わかった」

ミカサ「7日の後、つうは倉庫から出て来た。
『この織物を街へ持って行って売ってくるといい。びっくりするほどの高値で売れる』そう言ったつうはなんだか痩せて見えた。
『これがそんなに高く?じゃあ行ってくる。それよりお前大丈夫か』
『ええ。問題ない。早く行って』つうがそう言うので、ヨーゼフは街に出かけた。
その織物はつうの言う通り、すごく高く売れた。
商人は、もう一反あればこんどは倍の値段で買いたいとヨーゼフに言った。
ヨーゼフは家に帰り、もう一反織れるか、つうに聞いてみた。

はい。エレンの番」

エレン「つう・・・大丈夫か・・・。なあ、高値ってどれくらいなんだ?」

ミカサ「調査兵団の馬が5頭買えるくらい」

エレン「まじかよ!つうすごいな!」

ミカサ「ええ。つうは強い」


エレン「やっぱり謎の音はつうが機織りする音だったな」

ミカサ「ええ」

エレン「俺の予想当たってたな」

ミカサ「例えそうでも、お話が途中である以上、そういうことは言ってはいけない。それがわからないエレンは子どもっぽい」

エレン「だから同い年だろって。根に持つなよ」

ミカサ「『エレン・・・桃の勇者の続きを話して・・・』」

エレン「だからやめろって」

ミカサ「『なぜ・・・?』」

エレン「なんか落ち着かない」

ミカサ「『ふふふ・・・目を閉じよう』」


エレン「オニを駆逐するために、勇者たちは不眠不休で戦い続けました。
そしてついにオニガシマのオニを駆逐することに成功しました。
やったな勇者!すげえ!俺も訓練頑張ってそんな力を付けたいな!
勇者と犬と猫と雁はオニを駆逐したことを村人たちに伝えると、そのまま世界を見て回る探検に行きました。
1人と3匹は、世界で一番自由でした。
俺もいつか、外の世界を見に行くんだ・・・!

おしまい」

ミカサ「終わってしまった・・・」

エレン「まあ勇者たちの探検は始まったばかりだけどな」

ミカサ「もっと聞いていたかった」


エレン「また話してやるよ」

ミカサ「うん。またゆっくりお話ししよう」

エレン「そうだな。今度はアルミンも一緒に・・・」

エレン「っておい、鶴の話は完結してないだろ」

ミカサ「エレンの声が聞けなくなった。ので、もうモチベーションを保てない」

エレン「・・・俺、お話、楽しみにしてたのに・・・」

ミカサ「!」

ミカサ「エレン・・・、そんな顔しないで」

エレン「じゃあ続き話してくれよ・・・」

ミカサ「・・・もちろん。エレンのため。頑張る」

エレン「よし!さあ早く!」


ミカサ「つうは『もう一反織れるかわからない。でも、もう一度やってみよう。前と同じように、七日の間、決して中を見ないこと』と言って、倉庫に籠った。
そしてまた、キッコパタンキッコパタンというあの音が聞こえてきた。
七日目の朝、ヨーゼフは、『どうやってあんなきれいな布を織るのだろう』と思うと、すごく中を見たくなった。
そして、ついに我慢できなくなり、倉庫の中をのぞいてしまった。
そこにはつうの姿はなく、一羽の鶴がいた。
自分の見事な羽を一本ずつ抜いては織り、また一本抜いては布に織りこんでいた。もうほとんど羽もなく、赤い肌が見えていた。
ヨーゼフは走って倉庫から逃げた。
夕方になってつうは、ひどく疲れて痩せた様子で倉庫から出てきた。ヨーゼフの前に布を差し出し、
『やっと織れた。でも、約束したのにあなたは私の正体を見てしまった。ので、もうここにはいられない。
私は以前、あなたに助けてもらった鶴。恩を返そう、優しいあなたそばにいたい、と思って、人間に化けていた。短い間だったけど、楽しかった』
というと、家の外へ出て行っ

エレン「ダメだ行くなミカサーーーーーーー!!!!!」

ミカサ「!!」


ミカサ「エレン!エレン!大丈夫、私はここにいる」

エレン「あ・・・」

ミカサ「エレン、どうしたの。急に大きな声を出して」

エレン「いや、なんでもない」

ミカサ「エレン、私はどこにも行かない。ずっとあなたのそばにいる」

アルミン「エレーン!ミカサー!どうしたの!?大きな声出してさ!」

エレン「アルミン、もう教官の手伝い終わったのか?」

アルミン「うん、それで、どうしたんだい?びっくりしたよ」

ミカサ「エレンが、私が空に帰ると勘違いしたらしい」

アルミン「え?」

エレン「説明になってねえよ」


ミカサ「エレンとお話の聞かせ合いをしていた。エレンは機織りする鶴の話を聞いて、私が空に帰ってしまうと思ったらしい」

エレン「目を閉じてたし、途中でミカサがつうの声色で話しかけたりするから、頭の中でつうのイメージがミカサになってたんだよ」

ミカサ「私も勇者はエレンをイメージして聞いていた」

ミカサ「エレンは私にどこにも行ってほしくないらしい」

エレン「そこまでは言ってないだろ」

ミカサ「私がいなくなってもいいと言うの?」

エレン「そうじゃないけどよ・・・」

アルミン「ふーん、僕がいない間に2人だけで楽しそうなことしてたんだね」

エレン「別に暇つぶしだよ暇つぶし」

ミカサ「今度はアルミンも一緒にお話ししよう」


アルミン「お話ってミカサが開拓地でよく話してくれた東洋のおとぎ話だよね」

ミカサ「そう。でももうほとんど覚えていない」

エレン「俺も鶴の話と桃の勇者の話しか覚えてないな」

アルミン「そうなの?僕がお気に入りだったのは猫亀合戦だけどなあ」

エレン「なんだそれ?」

アルミン「亀が一生懸命育てた木の実を猫が独り占めした挙げ句に亀を殺してしまうのが話の発端」

アルミン「そして残された亀の子供たちが他の仲間と協力して猫に仕返しするんだけど、それぞれの仲間が得意なことで、効果的に猫を懲らしめるんだ」

アルミン「僕は体力がないけど、このお話に出てくる栗や石臼みたいに何かできることがあったらいいなって、思うんだ」

エレン「亀は親を殺されたのか」

アルミン「うん、・・・あ、ごめん、僕、そういうつもりじゃなかったんだ」


エレン「いや、謝ることないぞ、アルミン。巨人に殺された人はたくさんいるんだ。
もちろん、俺の母さんもそうだ。アルミンの両親だって巨人がいなけりゃ死ぬことはなかった。そうだろ?」

アルミン「うん・・・」

エレン「だから、俺たちは強くなる。アルミンの言う通り、自分の得意なことを活かして巨人どもを一日も早く駆逐しようぜ!」

アルミン「エレン・・・」

ミカサ「・・・私は強い、ので、エレンを守りながら巨人と戦おう」

エレン「だからそんなことしなくていいんだっての」

アルミン「はははは、二人は相変わらずだね」


アルミン「二人と一緒なら、僕も戦っていけそうな気がするから不思議だなあ」




おわり


以上になります。
読んでくださった方、ありがとうございました。

支援しにきたら終わってた、乙!

なんでいちいち前書きでだらだら注意書きするのか
それがある時点で読む気無くす

よかったよ 乙

やっぱ幼馴染は良いな
しかし二人とも私情入りまくりでワロタ

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