姉「秋ですね、妹」 (30)
※注意
・百合
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妹「秋だね、お姉ちゃん」
姉「ええ、そうですね」
妹「秋といえば?」
姉「読書、でしょうか」
妹「んー、あー、まあ、そうなんだけど、ほら、イベントとか」
姉「イベント……ああ、妹の学校では、確かそろそろ学校祭ですね」
妹「あー……うん、そだね……」
姉「なにかあるんですか?」
妹「……んー、ううん、なにも」
姉「……? そうですか」
~登校中~
妹「……自分の誕生日くらい覚えといてよね、まったく」
妹「あーあ、プレゼント、どうしよ……」
妹(お姉ちゃんが喜びそうなもの…………うーん)
妹「物欲がない姉を持つと、苦労するなぁ」
妹(とりあえず今日の帰りに探そっかな……)
妹「……」
妹「あー……こないだのお姉ちゃんも、こんな気持ちだったのかなぁ」
友「やほー、妹」
妹「おはよー!」
友「ひとりでぶつぶつ言ってたけど、どうかした?」
妹「うげ、聞かれてた……」
友「で?」
妹「……お姉ちゃんの誕生日が近くて、プレゼントどうしよっかな、って」
友「プレゼントか……」
妹「お姉ちゃんってあんまり欲しいものとか無さそうだから、悩んでて」
友「んー……妹があげたいって思うものをあげたらいいんじゃないかな?」
妹「私があげたいって思うもの?」
友「うん。 これはお姉ちゃんに似合う、とか、そういうの」
妹「ふむふむ……」
友「妹が真剣に考えたプレゼントなら、きっとなんでも喜んでくれるよ」
妹「そっか……わかった! ありがとね!」
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「ありがとうございましたー!」
妹「……うーん、結局無難なところを選んじゃったけど……」
妹「なんかもっと、いいのないかなぁ……」
妹「……ん? この広告……」
妹「…………」
妹「……いいこと思いついた!!」
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~数日後~
姉「……」
姉「最近、妹の帰りが遅い……」
姉(こう何度も何度も夜遅くに帰ってこられると、不安で不安で……)
タダイマー!
姉「あっ」
妹「わはーっ、ただいま、お姉ちゃん!」
姉「おかえりなさい」
妹「んーっ、お腹すいたーっ!」
姉「夕飯にしましょうか」
妹「はーい!」
妹「いただきまーす!」
姉「いただきます」
妹「はむ……ん~、おいひ~」
姉「……」
姉(どうして帰りが遅いんでしょうか……)
姉(まさか、浮気……?)
姉(妹がそんなことするわけ……)
姉「……」
妹「お姉ちゃん? どうしたの?」
姉「……最近帰りが遅いのですが、なにかあったんですか?」
妹「……あー、うん、ちょっとね」
姉「……そうですか」
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姉(妹が、わたしに隠し事なんて……)
姉「……」
妹「ふうっ、お姉ちゃん、お風呂どうぞー」
姉「……」
妹「……お姉ちゃん? えっ、ひゃあっ!?」ドサッ
姉「……妹」
妹「お、おねえちゃ……んぅ……」チュ
姉「んふ……」
妹「ど、どうしたの……?」
姉「どうして、隠し事なんかするんですか?」
妹「え」
姉「私のこと、嫌いになったんですか?」
妹「えっ、なっ、んんっ!?」
妹「ぷはぁっ……」
姉「はぁっ……私にも、言えないことなんですか」
妹「お姉ちゃん……」
姉「私、心配で……あんな、遅くまで帰ってこなくて……っ」
姉「私、信用ありませんか? こんなに……グスッ、こんなに、妹を想ってるのに……」ポロポロ
妹「え、あ……」
姉「ごめんなさい……なにか悪いことをしてしまったのなら、謝ります。 だから、だから……」
姉「嫌いに、ならないで……っ」
妹「……ごめんなさいっ!!」ギュウッ
姉「ふぇ」
妹「ごめん……ごめんね、お姉ちゃんっ……」
妹「お姉ちゃんを嫌いになんて、絶対にならないから! 私、お姉ちゃんをちゃんと信じてるから!」
妹「でも……この隠し事だけは、もうちょっとだけ、待ってて」
姉「……」
妹「ちゃんと、ぜっっっっっったいに、ちゃんと話すから! だから、その時まで待ってて! お願い!」
姉「……わかりました」
妹「ほっ……よかったぁ……ごめんね、お姉ちゃん」
姉「いえ、あの、私も……取り乱してしまって」
妹「ううん、だって、私が悪いもん」
妹「それに、私のこと、あんなに想ってくれててすっごく嬉しかったよ? 私が浮気してるって思ったんでしょ?」
姉「あ……いやあのっ、あれはっ」
妹「えー? ウソだったのー?」
姉「…………妹の、ばか」
妹「ふふー、ばかでいーもーん」ギュー
~数日後~
妹「ただいまー!」
姉「おかえりなさい」
妹「ふふー、ねえねえ、見て見て!」ピラッ
姉「ん、と……これは?」
妹「これね、旅館のチケット!」
姉「旅館のチケット……? なんでそんなものを?」
妹「明日行くからね! 準備よろしく!」
姉「え? あ、ちょっと、妹!?」
姉「……行っちゃった」
姉「どうやってあのチケットを手に入れたんでしょうか……」
~翌日~
妹「旅館、とーちゃああああく!」
姉「綺麗ですね、周りの紅葉」
妹「うん、ここで良かった~」
姉「ところで妹、どうやってあのチケットを……」
女将「お待ちしておりました、妹さんですね?」
妹「はいっ」
女将「遠路はるばるようこそお越しくださいました。 お部屋はこちらです」
妹「はーい!」
女将「荷物はお運びいたしますよ」
~部屋~
妹「おお、和風だね~」
姉「外の景色も綺麗ですね……」
妹「わあ、夕焼けだぁ」
姉「いい眺めです」
妹「なーんか、秋って感じだね~」
姉「そうですね……」
妹「……よし! お姉ちゃんはお風呂入ってて!」
姉「え?」
妹「私、ちょっと買ってくるものがあるから!」
姉「はあ……私も行きましょうか?」
妹「ううん、だいじょぶ!」
姉「そうですか……わかりました」
~露天風呂~
姉「はふぅ……いい眺めですねぇ……」カポーン
姉「紅葉も見られて、秋満喫、というところでしょうか」
姉「ん~~、いい湯です……」チャプ
姉「……」ボー
妹「ばあっ!!」ザパッ
姉「……っ!? ~~っ!!?!?」ザブーン
妹「ぷっ、あははははっ!! お姉ちゃん、びっくりしすぎー!」
姉「はっ、はぁ~~っ……びっくりしたぁ……」
妹「いやいや、お風呂に来てみたらお姉ちゃんが蕩けきってたから、つい」
姉「勘弁してくださいよ……寿命が縮まりましたよ……」
妹「えへへー、ごめんごめん」
妹「あー、いい湯だねぇ」
姉「ですねぇ」
妹「さてお姉ちゃん」
姉「はい?」
妹「温泉といえば?」
姉「温泉といえば……温泉卵?」
妹「せーかい! ほら、もうちょうどいい頃合いだと思うよ!」ジャーン
姉「おお~、いただきます」
妹「えへへ、どうかな?」
姉「はぐ……うん、美味しいです」
妹「そうでしょそうでしょ!」
姉「なんだか、いたれりつくせりって感じで申し訳ないですね……」
妹「いいのいいの! ほらほら、お背中流しますよ~」
姉「わわっ、もう体は洗いましたってば~!」
妹「きにしなーいきにしなーい!」
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女将「こちら、お夕食になります」
姉「わあ……」
妹「すごい……」
女将「では、ごゆっくり」
姉「豪華ですね……」
妹「うん……って、まだ食べちゃダメっ!」
姉「え?」
妹「まだやることがあるの!」
姉「はあ」
妹「ちょっと後ろ向いてて!」
姉「後ろ……これでいいですか?」
妹「目も瞑っててね! いいよって言うまで見ちゃダメだよ!」
姉「はい」
妹「んと、電気消して……」パチ
妹「よいしょ……」ガサガサ
姉「まだですかー」
妹「んー、もうちょっとー」
姉「わかりましたー」
妹「……これでよし! はい、もういいよ!」
姉「はい……と、これは、ロウソク……ケーキ?」
妹「お姉ちゃん、誕生日おめでとーーっ!!」パパーン
姉「誕生日……あっ、そういえば今日でしたね」
妹「むううっ、やっぱり忘れてたのかっ」
姉「それじゃあ、この旅館はやっぱり妹が……」
妹「うん。 この旅館を予約したのは、もちろん私だよ」
姉「どうやって予約を……?」
妹「あのね、最近、帰り遅かったじゃん?」
姉「ええ」
妹「それね、バイトしてたの」
姉「ば、ばいと……!?」
妹「うん、今日のためにね!」
姉「そ、そんな、そこまでしていただかなくても」
妹「ううん、私がしたかったんだもん」
姉「妹……ありがとう……」
妹「えへへ、じゃ、ロウソク消して!」
姉「はい……ふーっ」
妹「誕生日おめでと、お姉ちゃん」
姉「ありがとう、ございます」
妹「それじゃ、いただきまーす!」
姉「いただきます」
妹「……って、あっ!!」
姉「?」
妹「あ、あっ、忘れてたっ!」ガサゴソ
姉「何をです?」
妹「お姉ちゃん、これっ、誕生日プレゼント!」
姉「まだプレゼントが」
妹「えへへ、豪華でしょ?」
姉「どれどれ……」ガサガサ
姉「……これは、写真立て?」
妹「そう!」
姉「この写真は……あっ、これっ、お花見に行った時の……!」
妹「えへへ、お姉ちゃん、可愛いでしょ」
姉「……」
妹「いろんな写真、飾ってね?」
姉「……」ストン
妹「お姉ちゃん……? お姉ちゃんの席、向かい側だよ?」
姉「……妹の隣にいたいんです」
妹「お姉ちゃん……」
姉「ありがとう、妹……すっごく、嬉しい」ギュ
妹「ん……えへへ」
姉「私のために、どうもありがとうございます」ナデナデ
妹「うん……お姉ちゃん」
姉「はい」
妹「これからも、ずっと、私のお姉ちゃんでいてね」
姉「……当たり前です。 これからも、妹のお姉ちゃんで……そして、妹の恋人でいます」
妹「お姉ちゃん……大好きっ!」
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妹「うあーっ、おいしかったー!」
姉「ですねぇ」
妹「ところで」
姉「はい」
妹「いつまでくっついてるのかな」
姉「ずっとです」
妹「……お姉ちゃん、キャラ変わってない?」
姉「今日だけは、私が妹を好きにしていい日です」
妹「もう……しょうがないなぁ」
姉「というわけで」
妹「うん」
姉「次は、妹をいただく番ですね」
妹「へっ!?」
姉「最後のプレゼントといえば、妹自身でしょう」
妹「えっ、それはっ、あのっ」
姉「ふふ、せっかく二人きりですし、愉しみましょうね……」
妹「え、あ、あ、だめ、あっ…………」
~翌日~
妹「んっ……んぅっ、んんっ……」
姉「ちゅ……んふ、ちゅるっ……」
妹「んはぁっ……」
姉「ぷは……おはよう、ございます」
妹「おはよぉ、おねえちゃん……」
姉「は、ん……んちゅぅ……」
妹「ん……」
姉「ふぅっ……朝食に、しましょうか」
妹「……うん」
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女将「当館をご利用頂き、ありがとうございました」
姉「こちらこそ、美味しい食事をありがとうございました」
女将「また、ご利用くださいませ」
妹「はーいっ!」
女将「それでは、お気を付けて」
妹「ありがとうございました!」
妹「んーっ、いい旅館だったなぁ」
姉「ですね」
妹「また来たいなぁ」
姉「紅葉も綺麗ですし」
妹「だよね! 紅くて、オレンジ色で、すっごく綺麗」
姉「落ち葉ひとつひとつに、しっかりと色がついてますからね」
妹「うん、ひらひら落ちてくるのも、すごくキレイ」
姉「秋ですね、妹」
妹「……うん、秋だよ、お姉ちゃん」
妹「さてお姉ちゃん」
姉「はい?」
妹「実は、このあとにもイベントがあるのです」
姉「イベント……?」
妹「そそ! 秋といえば?」
姉「……んー、食……?」
妹「ぶぶーっ! 正解は、これっ!」ジャーン
姉「これは……オーケストラのチケット?」
妹「うん! 芸術の秋だよ、お姉ちゃん!」
姉「……妹、寝ちゃうんじゃないですか?」
妹「失礼な! 寝るわけ無いでしょ!」
姉「そうですか……?」
~コンサートホール~
~~♪~♪♪
姉「……」
妹「ん……すぅ……」
姉(思いっきり寝てるし……)
妹「ふへ……おねぇちゃん……」
姉「……はいはい」ナデナデ
妹「はぅ……」
姉「まったく、結局寝ちゃうんじゃないですか」ナデナデ
妹「んん……」
姉「……ありがとね、こんな素敵なサプライズを用意してくれて」
姉「お姉ちゃん、嬉しいよ……ん、ちゅ……」
妹「んぅ……」
姉「はふ……ふふっ、妹の誕生日、楽しみにしててね?」
終わり
ありがとうございました。
ちなみにこのSSは一応、
姉「夏ですね、妹」
の続きとなっているので、よろしければそちらもどうぞ。
ええな
そのまま冬もいこう
乙
癒されるわぁ
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