魔王「とにかくダンジョンを作るぞ。誰が何と言おうと作る」

魔王「側近！」

側近「何でしょうか」

魔王「『ダンジョン作り師』を呼べ！」

側近「…魔王様」

魔王「何だ！」

側近「そんな都合の良い役職は居ません」

魔王「そう…なのか」

側近「残念ながら」

魔王「では…『穴掘りダンジョンマスター』を呼べ！」

側近「魔王様」

魔王「これも居ないか」

側近「残念ながら」

魔王「困ったな。もう打つ手がない」

側近「お言葉ですが、魔王様みずから作るしかないかと」

魔王「なんと。そういうものなのか」

側近「はい。スコップ片手に掘って掘って掘り進み」

側近「罠を仕掛けてボスを配置し」

側近「時にはギリギリ解ける絶妙な謎かけを用意したりして」

側近「魔王様みずから作るしかないかと」

魔王「そうか。なんか急にめんどくさくなってきた」

側近「やめますか？」

魔王「うーん」

魔王「ちょっとだけやってみようかなー」

側近「そうですか」

側近「では僭越ながら…私がダンジョン作りのいろはをお教えしましょう」

魔王「なんと！これは心強いぞ！」

側近「魔王様、やるからには絶対に諦めないと誓いますか！？」

魔王「おお！誓うとも！」

側近「では！まずこのスコップを持って下さい！」

魔王「うむっ、持ったぞ！次はどうすれば良い！？」

側近「三日…いや…一週間」

魔王「ん！？」

側近「掘り続けましょう」

魔王「つらい…」

バンカレ

おもしろいよ
やんわりと元気づける魔王かわいい
支援

ゆうしゃのくせになまいきだ

マインクラフトやりたくなってきた

まさか反応もらえると思ってなかった
ありがとう
書くの遅いけど付き合ってもらえると嬉しい

ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

魔王「私は今！スコップで穴を掘っている！」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

側近「はい。見れば分かります」

魔王「くくく…側近！」

側近「何でしょう」

魔王「もはや隠し立てする必要もあるまい！良く聞け！」

魔王「あーきーたー！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀｰ

側近「魔王様」

魔王「なーんーだーよー」

側近「手紙が届いております」

魔王「手紙？」

側近「魔王様がこのあいだ追い返した、無職の勇者からです」

魔王「ああ、もうすぐ魔法使いになれるんだーとか訳の分からないことを言っていた」

側近「そうです。無職童貞勇者です」

魔王「元気にやっているのか？」

側近「何でも魔王様に励まされた事で一念発起し、職につき彼女も出来たと」

魔王「そうかそうか！…くくく、それでこそ滅ぼし甲斐があるというものだ！なぁ側近！」

側近「そしてその話をかつての無職仲間にした所、皆が魔王様に会いたがっていると」

魔王「ん？」

側近「今月末に、30人ほど勇者として来るそうです。自分の時のようによろしくと言っています」

魔王「ばっ…馬鹿を言うな！私は歩く職安ではないんだぞ！？」

側近「良いんですか？スコップ、止まってますが」

魔王「うおお飽きてる場合ではない！早急にダンジョンを完成させて回避しなくては！うおおおお！」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ!

ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

ｶﾞｷﾝ!

魔王「…ん！？」

魔王「側近！岩盤だ！これ以上掘れそうにない！」

側近「ふむ…しかし大きさ的にはまだ二階層って所ですよ」

魔王「二階層だとまずいか？」

側近「簡単な罠を張ってモンスターを配置して…」

側近「勇者サイドからすると、トラップ抜けて3、4戦したらもうボス、って感じでしょうか」

魔王「まるっきりチュートリアルではないか！」

側近「むしろ程良く育成されそうですね」

魔王「ダメだ！私は勇者たちを全力で殺しに行くダンジョンを作りたいのだ！」

魔王「最初の村から出た瞬間にブラックドラゴンが口を開けて待っている、みたいな感じにしたいのだ！」

側近「それは絶望的ですね」

側近「気合で掘っていきましょう」

魔王「しかしスコップでは…せめてツルハシはないのか？」

側近「スコップ以外の道具はダンジョン道に反します」

魔王「そうなのか。困ったな」

側近「というかまぁ…スコップ一本でここまで掘れちゃう時点でバケモノな訳ですが」

魔王「ん？」

側近「正直ここまでやれちゃう時点で予想外だったりするのですが」

魔王「なんだ…この感触は…？」

側近「は？」

魔王「そうか！スコップを体の一部と思えば…！」

側近「え」

魔王「掘れる！掘れるぞ！フハハハハ！」ｻｸｯｻｸｯ！

側近「なに新しい力に目覚めてるんですか！」

魔王「岩がまるで豆腐だ！ハハハ！」ｻｸｯｻｸｯ！

側近「わあ…やっぱりバケモノだよアンタ…」

……

……ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

魔王「……ハッ！？」

魔王「つい楽しくて三日三晩掘り続けてしまった！」

側近「つい、じゃないですよ。彫り過ぎです」

魔王「これぐらいで大きさは足りるだろうか？」

側近「ダンジョンどころか地下神殿が建てられるレベルですよ」

魔王「フハハ！そうかそうか！よし！次は何をすればいい！？」

側近「ボスを配置しましょうか」

魔王「ボスか」

側近「はい。どのモンスターにしましょう」

魔王「最初のダンジョンだが、ドラゴンクラスを置きたい」

側近「えげつないですね」

魔王「四天王を呼ぶか！」

側近「なんという理不尽」

竜人「お呼びで？」

妖狐「我ら４人が集結するとは…」

淫魔「何が起きるのカナー？」

悪鬼「戦争じゃい！戦争じゃろがィ！」

魔王「よし！四天王を全員配置！」

側近「勇者が可哀相になってきました」

魔王「次はモンスターだな！ドラゴンを片っ端から配置しよう！」

側近「もはやただの処刑場ですね」

魔王「次はトラップか！」

側近「もう必要ない気もしますが」

魔王「とりあえず硫酸の溜まった落とし穴と…」

側近「裏ダンジョンでもここまで厳しくないと思いますよ」

魔王「あと、アレを入れよう！あの肉を取ろうとしたらバシーンってなるやつ！」

側近「ネズミ取りですね。いきなり発想が可愛らしくなりましたね」

魔王「あとザラキが流れ続けるカセットテープとか置いとこう！」

側近「効果ありますかそれ」

魔王「あとは装備外しの罠と、パンが腐る罠を！」

側近「どっかの商人が引っかかって泣きそうですね」

……

……

魔王「…出来た！完成だ！」

側近「ええ。何やかんや言って良いものが出来ましたね」

魔王「あれから分岐点やワープポイント、更に謎解き要素も盛り込んだ！まさに最強のダンジョンだ！」

側近「はい。最初からこれだと私なら確実にコントローラー投げます」

魔王「後は勇者どもを待つばかりか！フハハ！楽しみだ！」

側近「そうですね。まぁ瞬殺すぎて面白くないと思いますが」

──二週間後。

魔王「おかしい」

側近「どうなさいました？」

魔王「一向に勇者を仕留めたという報告が来ない」

側近「そう言えば。連絡してみますか？」

魔王「うむ」

とぅーるるるるー

側近「…もしもし。側近です。妖狐ですか？ええ、そうです。ダンジョンの件です」

側近「……ええ。……はい。…え？」

側近「一人も、ですか？……はい。……はい」

側近「はい……え？ああ！なるほど！」

側近「分かりました。魔王様に伝えておきます」

がちゃり

魔王「どうだった？」

側近「はい。それが…」

側近「どうやら勇者たちは、一人も来ていないと」

魔王「一人も…？何故だ！分かりやすく目立つ場所に作ったハズだが！？」

側近「はい、そこなんですが」

魔王「まさか目立ち過ぎて怪しまれたか！？確かに邪悪なオーラはビンビンに発していた！」

側近「いえ」

魔王「では勇者どもが入口で臆して逃げたか！最初はもう少し加減したものを作るべきだったか…！」

側近「いえ、そもそもですね」

魔王「何だ！？」

側近「あのダンジョンにはコレといったイベントもアイテムもないので、入る意味がないと」

側近「勇者たちは皆、素通りして行っているようです」

魔王「何という盲点！」

魔王「あんなに…頑張って作ったのに…」

側近「そうですね」

魔王「そこにダンジョンがあったら…とりあえず入ってみるのが勇者ではないのか！？」

側近「違ったみたいですね」

側近「ちなみに、四天王も暇を持て余しているようです。もっぱらマリカーとスマブラばかりしていると」

魔王「夏休み気分かよ…」

側近「ところで魔王様」

魔王「なんだ」

側近「人間の王が、勇者を300人近く魔王城に向かわせたとの報告が入っています」

魔王「なっ！？」

側近「あのダンジョンで大半は迎撃できると思っていましたが、ダンジョンが機能していないとなると…」

魔王「来てしまうではないか！300人とかいうふざけた数の勇者どもが！」

側近「はい」

魔王「馬鹿な…！そんな数は相手に出来ん…気がくるってしまう！」

側近「どうなさいますか？」

魔王「急ピッチでダンジョンを作る！そこで今度こそ勇者どもを一網打尽にするぞ！！」

側近「あのダンジョンで大半は迎撃できると思っていましたが、ダンジョンが機能していないとなると…」

魔王「来てしまうではないか！300人とかいうふざけた数の勇者どもが！」

側近「はい」

魔王「馬鹿な…！そんな数は相手に出来ん…気がくるってしまう！」

側近「どうなさいますか？」

魔王「急ピッチでダンジョンを作る！そこで今度こそ勇者どもを一網打尽にするぞ！！」

──三日後。

魔王「ハァ…ハァ…で、出来た！第二のダンジョン…！」

側近「早かったですね」

魔王「コツは掴んだからな！最深部にはちゃんと宝も設置したぞ！」

側近「しかし…最初のダンジョンに比べると、やはりお粗末ですね」

魔王「ぐっ…それは仕方ない…っ」

側近「モンスターはスライムが中心。そして最深部の宝の前で待ち構えるボスは、まさかのホイミスライム」

魔王「い、良いではないか！意外と強いぞホイミン！」

側近「トラップも簡単な落とし穴だけ。謎解き要素は皆無で申し訳程度に分岐点が数カ所、ですか」

魔王「突貫工事だったのだ！仕方あるまい！」

側近「まるでチュートリア

魔王「言うな！それ以上！」

側近「しかしまぁ、こんなものでもふるいにかける事は出来るでしょう」

魔王「ふるいにかける？」

側近「そうです。まさか300人の勇者の、その全員が本物という訳ではないでしょう」

魔王「そうなのか」

側近「今まで魔王様が相手にしてきた、無職童貞で実力のないような勇者は、ここで脱落してくれるハズです」

魔王「なるほど」

側近「それに、足止めにもなる。勇者たちがこのダンジョンにこもっている内に、魔王様は次のダンジョンに取りかかれば良い」

魔王「おお！」

側近「という訳で。次のダンジョンに取りかかりますか、魔王様」

魔王「任せろ！フハハ！待っていろよ勇者どもめ…！」

――時は少し遡って、 魔王が最初のダンジョンを完成させた頃。

人間のとある国。



国王「聞けっ！女神とくじ引きに選ばれし300人の勇者たちよっ！」

勇者「「おおおーーーっ！」」

国王「諸君らにはこれから魔王討伐に向かって貰う！」

国王「まず、諸君らには勇者バッヂと支度金500Ｇが支給される！」

国王「後は特にない！」

国王「行け！勇者たちよっ！」

勇者「「おおおーーーっ！」」

んな感じで今日は終わりー
見てくれてる人いたらさんきゅーだぜー

乙、ボスがホイミンじゃ最初に来た勇者と旅に出ちゃいそうだな

頑張れ

つまんねえな

あれだろ
入口に魔王が待機してたんだけど、入った瞬間コケ共に溶かされたり、リリスがスナック開店してたり、出口をドラゴンがウヨウヨ徘徊してたりすんだろ？

つーわけで今日も書くのぜー
こっからちょっと勇者さんの話になるけどよろしくね！

>>31
そういうネタが思いついていれば、こんな勇者さんの話とか挟まないで済んだのにな…
そしてパクったらごめん

勇者「勇者です。皆よろしくな！」

戦士「あ…戦士、です。よ、よろしくお願いします！」

魔法使い「魔法使いよ！よろしくねみんな！」

僧侶「僧侶です。よろしくお願いします」

勇者「よし！このパーティーで魔王討伐するぜ！覚悟はいいかテメーら！」

魔法使い「おっしゃー！」

戦士「は、はいー！」

僧侶「はーい」

勇者「よっしゃ出発じゃー！」

魔法使い「まずはどこに向かうの？」

勇者「隣町だな！まぁ歩いて一週間もかかんねーだろう！楽勝だぜ！」

僧侶「それより勇者さん。王様からバッヂを貰ったと思うんですが…見せてもらえませんか？」

勇者「おお、いいぜ」ぺかーっ

魔法使い「あらやだ、思ったよりカッコ良いじゃない！」

戦士「か、輝いてますっ！」

僧侶「番号はいくつですか？」

勇者「番号？」

僧侶「バッヂの裏に書かれていると思うのですが」

勇者「おおっ、ほんとだ！えーと…288番だな！」

魔法使い「あと少しで300番だったのに！惜しいわねー」

僧侶(……チッ、300番に近い。落ちこぼれの勇者かよ)

勇者「この番号は何の意味があるんだ？」

僧侶「王国側の管理のためだそうですよ」

勇者「へー！物知りだなぁ僧侶！」

僧侶(ついでに番号は王国側の期待順だけどな)

僧侶(さてどうする？こんな落ちこぼれの勇者パーティーはさっさと抜けるか？)

僧侶(…少し様子を見るか)

僧侶(もう少し進んで街につけば、番号一桁なり二桁の勇者パーティーに空きが出ているかもしれない。そこでパーティを変えればいいだろう)

勇者「どした？」

僧侶「いえいえ、何でもありませんよ？」ﾆｯｺﾘ

魔法使い「そう言えば勇者、王様から貰った500Ｇってどうしたの？」

勇者「おやつ買った！」

僧侶「なっ！？馬鹿な！？全部ですか！？」

勇者「うん」

魔法使い「よくやったわ勇者！」

戦士「やったー！」

僧侶「ええぇっ！？」

勇者「最後まで、バナナはおやつに入るか悩んだんだけどよー」

勇者「俺、気付いたんだよ」

勇者「バナナがおやつなのか、それともおやつがバナナなのか…」

勇者「うるせぇ、バナナ美味い」

勇者「ってね！」

魔法使い「アナタについて来て良かった！」

戦士「僕もです！」

僧侶「マジかお前ら！？ダメだ今すぐ離脱してえ！」

戦士「敵です！」

勇者「よっしゃ俺に任せろ！」

勇者の攻撃！
スライムに4のダメージ！

魔法使い「やるわね勇者！なら私も…てやぁっ！」

魔法使いの攻撃！
スライムに27のダメージ！
スライムを倒した！

勇者「おお！攻撃力高いな！」

魔法使い「元バトルマスターだからね！物理攻撃は任せて！」

僧侶「えええー！じゃあ何で魔法使いになったの！」

魔法使い「ちなみに魔法はからっきしよ！」

勇者「なんか…なんかカッコイイな！」

魔法使い「フフン！」ﾄﾞﾔｧ…

僧侶「適材適所って言葉知らねえのかよコイツら…」

戦士「み、皆さんすごいですねー！」

勇者「悪いな、見せ場取っちまって」

戦士「い、いえいえ！僕なんか実は戦士初めてで！」

僧侶「ん？」

戦士「前は吟遊詩人だったので…」

僧侶「げ」

勇者「何で戦士になったんだ？」

戦士「え？えーと…良い機会だなぁと。売れない吟遊詩人だったので…」

勇者「そっか！頑張れよ！」

戦士「はい！」

僧侶(よし、次の町でソッコーこのポンコツパーティー抜けよう！)

──隣町。

勇者「よっしゃ着いた！意外と早かったなー！」

魔法使い「それだけ勇者が強かったのよ」

勇者「いやいや、魔法使いの杖術もすごかったぜー」

戦士「あはは、皆さん強かったですよー！」

僧侶(はいはい褒め合い褒め合い)

勇者「よし、じゃあ一時解散すっか。各自買い物なり情報収集なり頼むわ」

魔法使い「オッケー！じゃあ私は硬そうな杖探して来る！」

戦士「あ、じゃあ僕は情報集めて来ます！」

僧侶(じゃあ私は次のパーティー探して来まーす)

勇者「よし！じゃあ夕方に宿屋集合な！」

戦士＆魔法使い「「はーい！」」

僧侶(ばいばーい！)

……

……

僧侶「あー疲れた。何だよあの奇跡のポンコツパーティー」

僧侶「物理主体の魔法使いと打たれ弱い戦士って終わってるだろ」

僧侶「あーもうツイてないわー。お願いしますよカミサマー」

僧侶「……」

僧侶「……ハッ！まぁ元盗賊の私も終わってるけどな！」

僧侶「だからこそ優秀なパーティーに入らないとね。わざわざ神官に頭下げて転職した意味がないわ」

僧侶「…よし、酒場に行ってみっか」

からんころんからーん

酒場店主「いらっしゃい」

僧侶「こんちには、パーティーの募集はありやがりませんか？」

酒場店主「おお、あるよ！ちょうどさっき勇者さんが募集をかけていったんだ！」

僧侶「マジか！ツイてきたぜー！案内してくれよマスター！」

酒場店主「おう、ちょっと待ってくれよな！」

僧侶「おうよ！」

酒場店主「しかし募集かけて速攻見つかるとはね！すげえわー俺の店！すげえわー！」

僧侶(うぜー！)

不良勇者「お前が新しい仲間か」

僧侶「はい、僧侶って言います♪」

不良勇者「ふぅん…可愛いな」

僧侶「え？」

不良勇者「オイ…これかなり良いの引いたんじゃねえか？なァ！」

不良戦士「いいっすねぇ！前の女騎士よりいいっすわ！好きっす！」

不良賢者「今度は次の街まで保つと良いですねー」

不良勇者「おう！そんな訳でよ。歓迎するぜ、僧侶！」

不良戦士「早く宿屋行きましょうよ宿屋！」

不良賢者「宿屋だと声が漏れそうですね。街の外に行きましょうか」

僧侶「チッ、やっぱツイてねー…！」

勇者「よう魔法使い」

魔法使い「あら勇者、アナタも買い物？」

勇者「まーそんなとこかな。硬そうな杖はあったか？」

魔法使い「このアダマンタイト鋼の杖が欲しいのよねー」

勇者「おお、硬そうな良い杖だな。よしよし、勇者さんが買ってあげよう」

魔法使い「80万Ｇなんだけど」

勇者「別のにしなさい。この木で出来た特価品とかにしなさい」

魔法使い「だよねー。んー、私の力で木の杖だとすぐ折れちゃうのよねー」

勇者「また僧侶が無言で怒るぞ」

魔法使い「あはは、あの子感情隠すの下手だもんねー」

僧侶黒いな

勇者「というか…アイツ帰って来るのかな？ずっとパーティー抜けたそうにしてたけど」

魔法使い「帰って来ないなら、迎えに行けばいいじゃない」

勇者「そんなもんかね」

魔法使い「無断でパーティーを去るなんて、そんな不義理な事は成り立たないわよ」

魔法使い「泣こうが喚こうが、仲間の内は首根っこ引っ張って行かないとね」

勇者「そんなもんか」

魔法使い「そんなもんよ」

戦士「ハァ…ハァッ…た、大変です！勇者さん！」

勇者「お、どうした戦士？走って来たのか？」

魔法使い「まだ体力ないんだから無理しちゃダメよー？」

戦士「僧侶さんが連れて行かれちゃいました！」

勇者「は？」

魔法使い「どういう事？」

戦士「が、ガラの悪い人たちに連れられて…街の外に出て行って…！」

勇者「はー…まぁその内こういう事になるだろうと思ってたけど。どうしたら良いと思う？魔法使い」

魔法使い「勇者はどうしたいの？」

勇者「一発グーでぶん殴って、思いっきり叱ってやりたい」

魔法使い「フフフ、良いわね。じゃあそれで行きましょう！」

勇者「案内してくれるか、戦士」

戦士「は、はい！こっちです！」

不良勇者「オラ！暴れんじゃねえよ！」ﾄﾞｶｯ

僧侶「痛ッ…なにしやがんだテメェッ！」ﾄﾞｶｯ

不良勇者「つっ…殺すぞこのクソ女！」ﾄﾞｶｯ!ﾄﾞｶｯ!

僧侶「くっ…痛っ…！」

不良戦士「ま、まぁまぁリーダー！殺すのは楽しんでからでもいーじゃないっすかー」

不良勇者「あぁ！？テメェ俺に指図してんのか！？」

不良戦士「いやそういう訳じゃ…」

不良賢者「まぁ落ち着け。リーダーは鼻っ柱の強い女が好きだろう？」

不良勇者「おう。そんで殴りながらするのが最高だ」

不良賢者「なら今は我慢すべきだ。我慢した時間が長いほど、殴る時は最高の気持ちのはずだ」

不良勇者「そんなもんか」

不良賢者「そんなもんさ」

不良賢者「それに見ろ。都合の良いことにあそこに洞窟が見える。あそこなら雨が降ろうが嵐が来ようが続けられるぞ」

不良勇者「…悪くねぇな」

不良戦士「アオ姦ならぬ洞窟姦っすか！うおーなんか燃えますねー！」

不良勇者「よっしゃあ！行くぞクソ女！」ﾄﾞｶｯ!

僧侶「くっ…は、離せ…っ」

不良勇者「早く来いオラァ！」ﾄﾞｶｯ!

僧侶「ぐぅっ…」

僧侶(ふ…振りほどけない…！ヤバい…！)

勇者「こっちか！？」

戦士「はい！確かにこっちの方角に！」

魔法使い「見て！あそこに洞窟がある！」

勇者「おい！あそこの連れて行かれてるの僧侶じゃねーか！？」

戦士「見つけましたね！…まだちょっと遠いですけど！」

勇者「お、おい待て！まさかアイツらあの洞窟入ろうとしてんのか！？」

魔法使い「あの洞窟、なんだか邪悪な気に満ちてるわねー」

勇者「あんな所入ったら命がいくつあっても足りねーぞ！？」

魔法使い「追い付くしかないわね」

勇者「間に合うか！？クソッ」

不良戦士「なんすかねーこれ。なんか真っ黒い壁みたいなのがあるんすけどー…」

不良勇者「うるせぇよ！このクソ女黙らすの手伝えボケ！」

僧侶「んー！んー！」

不良戦士「でもこれ…なんかウロコ？みたいなのがあって…なんか…脈打ってて…」

不良賢者「何やってるんだ。早くしないとリーダーが暴れてしまうぞ」

不良戦士「いや…でもこの黒いの…なんか………なんか…………」

不良戦士「まるで……ドラゴンみたいな―――」


ばくんっ


不良賢者「……え？」

不良賢者「せ、戦士？おい！何をやって…」

首なし不良戦士「」ぷしゃぁぁぁ

不良賢者「なっ！？」

不良勇者「な、何だおい！？何がおこってやがる！？」

不良賢者「そ、そんなバカな…なぜこんな所に…」

不良勇者「！？おっ、おいっ！こいつは…ッ！」

僧侶「ウソ…これ…」

黒竜「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ！！！」

ブラックドラゴンがあらわれた！

不良勇者「ま、待て待て！何でこんなド田舎の洞窟にドラゴンなんているんだよ！？」

黒竜「オオオオ！」

ブラックドラゴンの攻撃！
痛恨の一撃！
不良勇者は右腕を食いちぎられた！

不良勇者「ぐああッ！？な、何だっつんだよォ！」

不良賢者「はっ！」

不良賢者はヒャドを唱えた！
ブラックドラゴンはダメージを受けていない！

不良賢者「駄目だリーダー！これは到底かなう敵じゃない！逃げよう！」

不良勇者「痛ェ！クソッ！俺の右腕がッ！」

不良賢者「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろう！早く来い！」

不良勇者「クソッ！クソッ！」

不良勇者たちは逃げ出した！

不良賢者「ハァ…ハァ…逃げ切れたか！？」

不良勇者「おい！ち、血が！血が止まらねェよ！なんとかしてくれよ！おい！」

不良賢者「騒ぐんじゃねェよクソ低脳が！ドラゴンに見つかったらどうすんだ！」

不良勇者「うう…お…俺の…右腕が…右腕ぇ…！」

不良賢者(…チッ、コイツはもう助からねえな)

不良賢者(俺だけでも生き残ってやる)

不良賢者(出口まではあと30メートル弱。走り抜ければ五秒とかからない距離だ)

不良賢者(行ける。全力で走り抜ければ俺は助かる！だが…)

不良賢者(さっきのドラゴンに、背後からブレスを撃たれたらひとたまりもないからな)

不良賢者(ここは…生贄を残して行かねぇとな！)

不良賢者「テメェらここに残れ」

不良勇者「え…」

僧侶「なっ！？」

不良賢者「ヒャド！」

不良勇者「！？」

僧侶「あ、足が凍って…！？」

不良賢者「じゃあなリーダー、今までけっこう楽しかったぜ」

不良勇者「ま、待ってくれ！置いてかないでくれ！」

不良賢者「うるせぇよ。僧侶と仲良くおしゃべりでもしてろ」

僧侶「お前…っ！」

不良賢者「あばよ！せいぜいクソドラゴン様に美味しくいただいて貰うんだな！」

不良賢者は逃げ出した！

不良賢者「ハァ…ハァ…ッ！」

不良賢者「ハァ…よし、行ける…出口まで走り抜ける…ッ！」

不良賢者「あと…20メートル…！」

不良賢者「10メートル…！」

不良賢者「5メートル…！」

不良賢者「よし！出口…」


黒竜Ｂ「グルルル…」


ブラックドラゴンがあらわれた！

不良賢者「ハァ…ハァ…ハッ」

不良賢者「ハハッ！ハハハハハッ！」

黒竜Ｂ「グオオオオ！」

ブラックドラゴンの攻撃！
痛恨の一撃！
不良賢者は胴体を噛みちぎられた！

不良賢者「ハハハハハッ！ヒハハハハハハハハハハッ！！」

不良賢者「ヒハッ！こんなのッ！おかッおかしいだろッ！」

不良賢者「何でこんなクソ田舎のダンジョンでッ！こんなにドラゴンとエンカウントするんだよッ！？」

不良賢者「何とか言えよボケッ！あぁッ！？」

黒竜Ｂ「グルル…」

ブラックドラゴンは不良賢者を丸呑みにした！
不良賢者は死んでしまった…

よりによって魔王渾身のダンジョンか…

僧侶「ハァ…ハァ…だ、ダメだ！足の氷が溶けない！」

不良勇者「ああー…あああー…こんな所で死にたくねぇよォ…」

僧侶「くっ…うるさいな！最後まであがけよ！早く氷を溶かさないとまたドラゴンが来るぞ！？」

不良勇者「おかしいだろォ…？俺は勇者番号42番のエリート勇者様だぞ…？こんな所で死ぬはずねぇだろォ…？」

僧侶「…っ！こんなやつが二桁なのかよ…っ！」

不良勇者「なぁおい…なんとかしろよお前…！俺を救えよ！」

僧侶「うるさい！黙って氷を──」


黒竜「グルルル…」


ブラックドラゴンがあらわれた！

黒竜「グオオオオッ！！」

僧侶「くそっ…終わるのか…？こんな所で…！」

僧侶「何だよ…何なんだよ！ちくしょう…私の人生なんも良い所ねえよ…！」

僧侶「貧乏だからって…生きるためにってチンケなコソ泥やって…！」

僧侶「でも改心して僧侶になりましたって…それで勇者のパーティーに入れてもらいましたって…！」

僧侶「入れてもらったのに…ずっと…自分のこと棚に上げて仲間のことバカにしてましたって…」

僧侶「何やってんだよ…私……」

黒竜「グオオオオッ！」

不良勇者「ヒッ！？くっ、来んじゃねえよ！俺が誰か分かってんのかよ！？」

僧侶「本当は分かってたんだ…ポンコツなのは私だ」

不良勇者「エリート勇者様だぞ！？誰にも負けた事ねぇんだぞ！？」

僧侶「自分はポンコツじゃないって…悪いのはアイツらだって…必死に否定してただけなんだ」

不良勇者「き、聞いてんのかよドラゴン！？おい！こらぁ！」

僧侶「なぁドラゴン…もし彼らに会ったら…伝えてくれないか…？」

不良勇者「ふざけんじゃねえぞ！」

僧侶「ごめんなさい、って」

黒竜「グオオオオッ！」

ブラックドラゴンの攻撃！

勇者「させるかオラァ！」

勇者の攻撃！改心の一撃！
ブラックドラゴンの攻撃はそらされてしまった！　

僧侶「え…？」

魔法使い「私も続くわよ！ていやぁっ！」

魔法使いの攻撃！
ブラックドラゴンに3のダメージ！
木の杖は砕け散った！

魔法使い「うわっ！？一撃で折れた！竜のウロコ硬っ！」

勇者「俺も攻撃そらすので精一杯だったぜ…」

僧侶「え…？何で…」

戦士「動かないでくださいよー？」

僧侶「え？」

戦士は火薬草に火を付けた！
火薬草は勢い良く燃え上がる！
僧侶の足の氷が溶けた！

僧侶「あ…」

勇者「一発グーでブン殴ってやろうかと思ってたけどな…まぁさっきの聞いちまったから、全部許してやらぁ」

僧侶「え？え？」

魔法使い「どうしたの僧侶？」

僧侶「え…だって…何で…？」

戦士「パーティーじゃないですか」

魔法使い「言わせないでよ、恥ずかしい」

僧侶「でも…私…！」

魔法使い「はいはい。懺悔は後でたっぷり聞いてあげるから。今は前を向きましょ？」

僧侶「！…う、うん！」

黒竜「グオオオオオオオオオオッ！！」

戦士「な、なんだかすごい怒ってますよー…？」

魔法使い「食事の邪魔されたんだもんね。そりゃ怒るわよ」

勇者「謝ったら許してくれねーかな」

魔法使い「無理じゃない？」

戦士「無理ですね」

勇者「無理ですか」

黒竜「グオオオオオオオオオオオッ！！」

勇者「あーもう、そんなに怒るなよ、ドラゴン様」

勇者「今から勇者番号288番の、ポンコツ勇者たちが相手してやるからよ…！」

戦闘に勇者パーティーが参戦した！

一区切りついたし今日はこんなところで
どうでもいいけど
不良パーティー書いてて超楽しいだいたい死んじゃったけど

ゆうなま感が凄い
だがそれがいい

戦士「か、カッコイイです…！」

勇者「ふっ…惚れるなよ？」

魔法使い「はいはい。カッコイイのはいいけど、どうするのよ？私の攻撃でも殆どダメージ通らないんだけど」

勇者「僧侶の救出に俺のカッコ付け、目的は果たした。逃げるか！」

黒竜Ｂ「グオオオオッ！」

ブラックドラゴンBが戦闘に参戦した！

勇者「げ」

魔法使い「囲まれちゃったわね」

戦士「ど、どうするんですかー！？」

僧侶「…私を置いていけ」

勇者「ん？」

僧侶「私だって一瞬ぐらい時間が稼げるだろ。私が食われてるその隙に…一か八か、逃げ切ってくれ」

僧侶「どうせ一度死んだ身だ。それに今は…あんたらの為に死ねるなら良いと思ってる」

魔法使い「アンタねぇ…！」

勇者「悪くねえ」

魔法使い「ちょっと！」

勇者「ただし僧侶だけを食わせる訳にはいかねえ。どうせなら全員で食われてやろうぜ！」

僧侶「なっ」

勇者「戦士！元吟遊詩人ならくちぶえは吹けるな！？」

戦士「えっ、はい、出来ます！」

勇者「思いっきり吹け！洞窟中のドラゴン共を呼び寄せるんだ！」

戦士「えっ！はいっ！」ﾋﾟｨｨｨｨ!!

戦士はくちぶえを吹いた！

魔法使い「何やってるのよ！？そんなことしたら…！」

黒竜Ｃ「グオオオオッ！」

黒竜Ｄ「ガルル…」

黒竜Ｅ「オオオ…」

ブラックドラゴンがあらわれた！
ブラックドラゴンがあらわれた！
ブラックドラゴンがあらわれた！

僧侶「バカ…！何で逃げなかったんだよ！？」

勇者「良いじゃねーか。どうせ一か八かのバクチなら、大きく張らなきゃ損だろ？」

僧侶「は…はぁ！？」

勇者「俺は全員が助かる方に賭ける！」

魔法使い「…勝算はあるのね？」

勇者「ああ！俺に預けろ！お前らの命！」

魔法使い「面白いじゃない！乗ったわ！」

僧侶「ちょっ、ちょっと！こんな時に何言ってんだよ！」

黒竜「グオオオオッ！」

僧侶「ほら来るぞ！？早く逃げ──」

ブラックドラゴンの攻撃！
ブラックドラゴンＢに87のダメージ！

僧侶「…え？」

黒竜Ｂ「グァオオオオオオッ！」

黒竜Ｃ「オオオオオッ！」

ブラックドラゴンＣの攻撃！
ブラックドラゴンＢに92のダメージ！

黒竜Ｂ「グルルルルル…！」

ブラックドラゴンＢの攻撃！
ブラックドラゴンＣに89のダメージ！

ブラックドラゴンＤの攻撃！
ブラックドラゴンＣに95のダメージ！

ブラックドラゴンＤの攻撃！
ブラックドラゴンＢに78のダメージ！

僧侶「ど…同士討ち…何で…！？」

勇者「今だ！逃げるぞ！」

魔法使い「おっけー！」

僧侶「あ、ちょっと！」

勇者たちは逃げ出した！

黒竜「グオオオオオオッ！」

ブラックドラゴンの攻撃！
ブラックドラゴンＤに87のダメージ！

ブラックドラゴンの……

……

……

勇者「…よし、ここまで来れば大丈夫だろ」

僧侶「ハァ…ハァ…な、何だよ。何が起こったんだ？」

魔法使い「混乱の呪文でも使ったの？」

勇者「そんなの使えねーよ」

戦士「じゃあ何だったんですか？何でドラゴンたちは同士討ちを…？」

勇者「腹が減ってたんだろ」

僧侶「え？」

勇者「誰が作ったのかは知らねーが…このダンジョン作ったヤツはアホだ。どこを歩いてもドラゴンとしかエンカウントしねえ」

戦士「確かに…」

魔法使い「ぼくの考えた最強のダンジョンって感じね」

僧侶「でも、それがどうしたんだ？エンカウント率も高いし、やっかいなだけだろ？」

勇者「それがそうでもない。ドラゴンしかいないせいで、この洞窟には食物連鎖がねえ」

僧侶「食物連鎖…」

魔法使い「なるほど」

勇者「ドラゴンのエサとなる生物がいなくて、さぞやドラゴン達は腹ペコだったろうよ。そんなときに俺たちみたいなちっぽけなもん食って腹が膨れるか？」

戦士「もっといっぱい食べたいですよね」

勇者「そうだ。そんな所にわらわらとドラゴンが集まって来て…しかもドラゴンＢの口から血の匂いがしてるときた。久しぶりに嗅いだ血の匂いで興奮して、後はもう共食いしかないだろ」

魔法使い「確かに一匹だけ口の周りが血だらけだったわね」

戦士「誰か…食べられてたんですかね？」

僧侶「……」

勇者「まぁそんなわけで同士討ちして、後はお互いの血を見て更に興奮して…って感じだろうな。なんにせよハマって良かった」

魔法使い「うふふふふ」ﾊﾞｼﾊﾞｼ!!

勇者「痛っ…何だよ？」

魔法使い「なかなかやるじゃないの。見直したわよ？」

勇者「ふっ、惚れるなよ？」

魔法使い「この少しずつ仲間の長所が見えてくる感じ…パーティーって良いわよね。ね、僧侶？」

僧侶「……わ、悪かったよ」

勇者「尊敬したか？」

僧侶「…したよ」

勇者「もうポンコツを見る目で見ないか？」

僧侶「見ないよ！悪かったって！てゆーかバレてたのかよ！本当にごめんなさい！」

僧侶「でも、この後はどうするんだ？ドラゴンの群れを抜けたとは言え、出口からは遠ざかってるぞ」

勇者「出口の方にドラゴンが寄って行ったからな…奥に進むしかなかった」

魔法使い「せっかくだから最深部まで行ってみない？」

戦士「え、進むんですか…？」

勇者「そうだな。立ち止まってるよりいいかもしれねえ」

魔法使い「それに…せっかく入ったんだもの。制覇してやりたいじゃない？」

僧侶「魔法使いは男らしいな」

魔法使い「うふふふふ」ﾊﾞｼﾊﾞｼ!!

僧侶「痛い！？何で！？」

魔法使い「あんまりナマ言ってんじゃないわよ？」ﾊﾞｼﾊﾞｼ!!

僧侶「痛い痛い！」

勇者「デリカシーねぇなお前」

戦士「謝った方がいいと思いますよ」

僧侶「何でだよ！？褒めたのに！」

…………

…………

不良勇者「ハァ…ハァ…ハハハッ！」

不良勇者「やった…やったぜ！出口だ！」

不良勇者「ハハハハハッ！一か八か出口に向かって良かったぜ！やっぱり俺はこんな所で死ぬ男じゃねえんだ！」

不良勇者「ハハッ！よくやってくれたぜ僧侶ども！今度会ったら念入りに可愛がってやるよ！」

不良勇者「と…やべぇ、足がふらつく…血流し過ぎたな…」

不良勇者「クソ…早く手当てしねえと…止血だけじゃどうにもならねえ…」

女騎士「……」

不良勇者「ん…？」

不良勇者「おお！女騎士じゃねえか！よく来てくれたぜ！」

女騎士「……」

不良勇者「何突っ立ってんだよ！？街まで俺を運べ！早くしろ！」

女騎士「……」

不良勇者「…あぁ？何だその目は！また可愛がってやろうか！？」

女騎士「……お前のせいで、私は…っ」

不良勇者「うるせえッ！また殴られながらヤられてえかクソ女！さっさと俺の言うこと聞きやがれッ！」

女騎士「うるさいっ！」ｻﾞｼｭｯ!

不良勇者「がっ…………あ？なに…？」

不良勇者「血が…おい…胸から…」

不良勇者「おい…これ………マジで…」

不良勇者「死んじまう…じゃ………」ﾊﾞﾀﾘ…

女騎士「はぁ……はぁ……っ」

女騎士「……っ」



女騎士「………じゃあね、クソ男」

勇者「深ぇ」

魔法使い「思ったよりも先が長いわね」

僧侶「待て、進むな」

勇者「お？」

僧侶「…落とし穴だ」

勇者「げ、危ねぇ」

魔法使い「底には硫酸がたまってるわね」

戦士「もし落ちてたら…」

魔法使い「激痛と共にゆっくり溶けていくでしょうね」

戦士「あわわわわ」

勇者「しかし本当にひでぇダンジョンだな。入る人間の事を何も考えてねえ」

魔法使い「誰が作ったのかしらね」

僧侶「小学生とかじゃない？」

戦士「あははは」




魔王「へっくしゅ…オラァ！」

側近「豪快なくしゃみですね」

魔王「今のは勝ったな」

側近「何くしゃみと勝負してるんですか」

勇者「ラジカセだ」

魔法使い「ラジカセね」

戦士「洞窟の中にポツンと…」

僧侶「再生してみるか？」

勇者「ああ…行くぞ…」

ピッ

ザーーーー…

『ザザ……ザ……れは……どこ…押せばいいのだ？こいつまるで言うことを聞かん！』

『素直に録音ボタンを押せばいいでしょう』

『もう押したわ！』

『じゃあもうできてますよ』

『本当か！？あ、あー！てすてす！本日はお日柄も良くー』

『早く本題に入って下さい』

『う、うむ！』

『では今からザラキの呪文をこのカセットに込める！』

『これはうっかり再生したものが一瞬で死ぬという恐ろしい罠だ！』

『…よし、いくぞ！』

ピッ

勇者「この先を聞くと一瞬で死ぬらしい」

魔法使い「じゃあ聞かない方がいいわね」

僧侶「先を急ごう」

勇者「ああ…！」

勇者「何だこれは…」

魔法使い「これは骨付き肉ね」

僧侶「そして噛み付いたら捕まる仕組みだな」

戦士「ねずみ取りですね」

勇者「そしてドラゴンが捕まっているな」

魔法使い「そしてドラゴンは死んでいるわ」

僧侶「逃げられなかったんだな」

戦士「傷口からばい菌が入ったんでしょうね」

勇者「…何でこんな罠を設置したんだろう。人間がかかるわけないだろう」

魔法使い「バカだからじゃない？」

僧侶「バカだからだな」

戦士「バカだからですね」

勇者「先を急ごう」

魔法使い「ええ…！」

勇者「しかし本当にドラゴンが出て来なくなったな」

僧侶「けっこう罠にかかってたぞ」

戦士「落とし穴にも落ちてましたね」

僧侶「どの罠も即死級過ぎるんだよ。どれだけ味方殺してんだ」

戦士「ねずみ取りのやつもドラゴンが身動き取れなくなるぐらいですもんね。人間が挟まれたら即死です」

勇者「つくづくひでぇダンジョンだな」

魔法使い「……」

勇者「…？どうした？」

魔法使い「…この辺りにドラゴンが少ないのは、それだけじゃないわ」

勇者「どういう事だ？」

魔法使い「この先…この、扉の向こう」

魔法使い「ドラゴンを恐れさせて近づかせないほどの何かが…いる…！」

勇者「……」ｺﾞｸﾘ

僧侶「どうする…この扉、開けるか？」

勇者「…ここまで来て開けない選択肢もないだろ」

僧侶「それはそうだけど…」

勇者「開けるぞ…！」

僧侶「あ、ちょっと！」

淫魔「赤甲羅どーん！！」

悪鬼「うおお俺のトップがああああ！！」

竜人「はい隣失礼ー」

妖狐「はい4着に転落ー」

悪鬼「うおお！クッパ！早く立ち直らんかい…！」

淫魔「ピノキオゴールしましたー！いっちばーん！」

竜人「ヨッシーにばーん」

妖狐「ピーチさんばーん」

悪鬼「ぐっ…クッパよんば…CPUに抜かれた！？」

淫魔「弱いなー悪鬼」

竜人「お前才能ねーよ」

妖狐「やめちまえ」

悪鬼「酷い言われようだ！」

勇者「……えーと」

僧侶「マリカー…やってるな」

勇者「どうする？」

僧侶「一応、あの部屋が最深部みたいだけど」

魔法使い「あんなだけど、全員強いわ。雰囲気が違う。それこそドラゴンの方がマシだ、って思えるくらいにね」

勇者「やり合いたくねえな」

魔法使い「戦闘じゃ勝ち目はないわね」

勇者「じゃあ引き返すか？最深部まで来るには来たしもういいだろ」

僧侶「出口付近にはまだドラゴンがいるんじゃないか？共食いで全滅してるのに賭けるか？」

勇者「…流石に全滅まではしてなさそうだな。賭けるには分が悪い」

僧侶「じゃあどうする？八方ふさがりだ」

戦士「あのー…」

勇者「ん？」

戦士「ぼ、僕…前は吟遊詩人だったんですけど…」

勇者「知ってるよ」

僧侶「今さらなんだよ」

戦士「僕の知ってるサーガの一説に…こんなのがあるんですね」

戦士『男が笛を吹くと竜たちは頭を垂れた。男はその笛の音色をもって、幾千万の竜たちを従えた』

戦士「竜神の笛…と呼ばれるものなんですけど」

勇者「それがどうした？」

戦士「多分…この部屋の人たちも…いくら強いとはいえ、いちいちドラゴンを相手するのは面倒だと思うんです」

戦士「あの部屋の、棚の上にある笛」

戦士「アレ…竜神の笛だと思います」

戦士「アレが手に入れば…きっとこの洞窟を出られますよ」

勇者「なるほど」

勇者「でもどうやって手に入れるんだ？」

戦士「それは…えっと」

僧侶「私がやる」

戦士「え？」

僧侶「空き巣やコソドロは得意分野だ。…ちくしょう、全然自慢になんねーけど」

魔法使い「危険だわ。見つかった時のリスクが高すぎる」

僧侶「でも誰かが行くしかないんだろ？だったらやっぱり、適任は私だ」

魔法使い「それはそうだけど…」

勇者「分かった。任せるぞ、僧侶」

僧侶「うん。死ぬ気で行ってくる」

勇者「僧侶、大丈夫かな？」

魔法使い「元盗賊だけあって気配消すのは上手いわよ」

戦士「中の人たちもゲームに集中してるみたいです」

勇者「このまま気付かれずに行ければ…」

魔法使い「うん。頑張ってね、僧侶…！」

最初の介護やハロワとえらく雰囲気変わったなぁ

僧侶「……はぁ…はぁ…」

僧侶(くそっ…ゆっくり歩いてるだけなのに何だこの消耗具合…！)

僧侶(近付くほど分かる…こいつらケタ違いに強い…！威圧感が尋常じゃない…！)

僧侶(見つかったらマジで死ぬ…！)

淫魔「あ！」

僧侶「！？」

淫魔「落ちたー！レインボーロードきらーい！」

悪鬼「ハッハッハ！ざまぁねえな淫魔！一位は貰った！」

竜人「赤コウラどーん」

悪鬼「またかよちくしょう！何で俺が一位の時ばっかり…！」

僧侶(せ…セーフ…)

妖狐「……」

>>92
魔王様が適当に作った最強ダンジョンで
勇者たちが全力で死にそうになってたら面白いかなーと思ってたんだけど

なんか書き出したら修正きかなくなってきたでござる…