~おばの家~
おば「ごめんね。まだ5歳のあなたにこんなつらい思いをさせて・・」
僧侶「いいの。私だってみんなを救いたいもの」
おば「姉さんになんて言ったらいいか・・」
僧侶「きっとお母さんだって望んでるわ」
コンコン
そろそろ時間だぞ、早く来い
おば「そろそろ時間だわ。本当にいいのね?」
僧侶「ええ。」
おば「それじゃこれ。僧侶ちゃんにとって最後の食事になっちゃうけど・・」
僧侶「ありがとう。おばさん。・・・行ってくるね、みんなを救いに」
ガチャ
村長「行くぞ、僧侶」
僧侶「はい」
~村の広場~
村長「お前には今夜、この牢屋の中で身体を清めてもらう」
僧侶「はい」
村長「牢に入ったら飲食はもちろん、喋ることもできない。目をつぶり身体を清めることだけを考えろ。いいな」
僧侶「ええ。おばさんからもらったおにぎり食べてもいい?」
村長「早くしろよ」
僧侶「ありがとう」モグモグモグ
僧侶(・・・まずい、でもおばさんがせっかく作ってくれたんだし・・)
村長「最後の腹ごしらえはすんだな。それじゃ牢に入るんだ」
僧侶「はい」
村長「鍵、閉めるからな。生贄の時間は明日の早朝だ。それじゃ」
ガチャ
僧侶(私の命もあと少しで終わりか・・・)
僧侶(今夜はせっかくの星空なのに、目をつぶってるせいで何も見えないわ・・)
僧侶(・・・・)
「あれが今度の生贄か」
「さっさと生贄になってこいよな」
「おい、関わんないほがいいぜ」
「そうだな。早く家に帰るべ」
僧侶(・・・・)
僧侶(・・・・なによ・・)
~数時間後~
僧侶(今何時だろう・・・外はどうなってるんだろ・・・)
僧侶(音が聞こえないし、みんなもう家で過ごしてるのかな・・・)
ざっざっ
僧侶(!・・誰か来た・・)
「君、こんな広場で牢屋に一人・・どうしたんだ?」
僧侶(・・・生贄のこと知らないなんて・・・この村の人じゃないのかしら?)
「どうした?何で喋らない?何で目をつぶってるんだ?」
僧侶(・・どうしよう)
「理由は知らんが、とりあえずここから出してやる」
僧侶(・・え?)
「そこのお前!!何してる!!!」
僧侶(この声は・・村長)
村長「お前ここの村のものじゃないな!よそ者は出ていけ!!」
「いや、でもこの状況は見過ごすわけには・・」
村長「そいつは生贄だよ!」
「生贄・・」
村長「そうだ。今の時代これだけ言えば察しがつくだろう。よそ者はさっさと消えよ!」
「わかりました・・・。ちなみに相手は?」
村長「生贄を欲しがる魔族のことか?そいつならこの村を北に行ったところに住んでいる。」
「なるほど、わかりました。」
村長「お前・・まさかそいつの所に行くんじゃないだろうな!?」
「朝までには戻ります。」
村長「・・・行きおった。バカな奴だ・・」
僧侶(・・・・)
村長「僧侶・・希望は持たぬことだな・・」
村長「村の男があの魔族に何人も殺されたことは知っているだろう・・」
僧侶(・・・・)
村長「・・・しっかり身体を清めろよな」
ざっざっ
僧侶(行っちゃた・・。誰なんだろうあの人・・)
僧侶(そんなことよりしっかりと清めないと・・・そうよ・・・時代が悪いのよ・・私だってそんなことわかってる・・・)
僧侶(みんなのせいじゃない・・・生まれてきた時代が悪いのよ・・)
「・・・僧侶ちゃん!」
僧侶(!?)
「大丈夫?」
僧侶(この声は・・友A君!?)
友A「そっか喋れないんだったよね・・じゃあそのままで聞いて。」
僧侶(・・・?)
友A「一緒に逃げよう!」
僧侶(!)
友A「どこか遠くに一緒に逃げてそこで暮らそう!」
僧侶(・・・)
友A「ねえ僧侶ちゃん!こっち向いて!返事を聞かせて!」
僧侶(・・・・なによ・・勝手に・・・)
友A「僧侶ちゃん!!」
僧侶(何よ!!勝手なこと言わないで!!!私だって好きで・・・)
僧侶(あれ?声が出ない!)
僧侶(それに身体が石になったみたいに動かない!目も開かない!!)
僧侶(何で!!)
友A「返事なしか・・そうだよね子供二人じゃどうもできないものね・・」
友A「ごめんね・・僕が非力だから・・」
僧侶(助けて!!)
友A「・・・・ごめんね」
ざっざっ
僧侶(なんで動かないのよ・・)
「けっ、これが今回の生贄かよ」
僧侶(・・!?)
「こんなもの見たせいで、せっかくの酔いが覚めちまった。さっさと帰るか」
僧侶(・・・そうよ私は生贄なんだ・・別にいいじゃない、身体が動かなくたって・・)
僧侶(どうせ明日には死ぬんだもの・・勝手に焦ってバカみたい・・)
僧侶(バカみたい・・)
~朝~
村長「時間だ。大人しく清めていたようだな。」
僧侶(・・・・・)
村長「それじゃ、生贄の祭壇に行くぞ」
僧侶(・・身体・・動くようになってる・・)
僧侶(・・・どうでもいいことだわ。私今から死ぬんだから・・)
僧侶(最後に会いたかったな・・・お母さん・・)
「待て!!」
僧侶(この声は!)
村長「お前は!!夜の・・・」
「村人総出で子供を生贄に捧げに行くとはな」
村長「黙れ!!お前こそ何のようが・・」
「ここを縄張りにしている奴は俺がしとめた。これが証拠だ!」
ぽい
村長「これは、あの魔族の首!!まさか!!」
「おい!マジかよ!!」
「もしかして俺たち」
「助かった!」
「「「やったっっっ!!!!!」」」
「俺たちあいつの支配から解放されたんだ!!」
「自由だ!!」
村長「おい!まだ本物だとは・・」
「本物だよ。疑うならあいつのアジトを見てくればいい。もう跡形もなく消えてるがな。」
村長「お前は・・・」
「ただの旅人だよ」
僧侶(・・・・・)ポロポロ
「お、泣くとやっぱり子供なんだな。昨日はずっと目つぶってたから本当に子供か心配してたんだ。」ニマ
僧侶「うわぁぁぁんーー」
「もう大丈夫。怖かっただろ。この魔族との戦争ももうすぐ終わる。 だから精一杯生き抜いてまた会おうぜ。」
僧侶「ヒック・・あ、ありが・・・とう・・・えっと・・」
「特別に君には俺の名前を教えてあげよう。俺の名前は戦士だ。」
僧侶「あり・・がとう・・戦士さん・・・」
戦士「おう。じゃあなお嬢ちゃん。」ニマ
「そこの人!!ありがとう!何かお礼を・・」
戦士「いや、俺はいかなきゃいけないところがあるからな。」
「お、おい・・・行っちまった・・」
村長「不思議な奴だ・・」
僧侶(戦士さん・・・)
~その日の夜~
「「「宴だ!!!!」」」
ワイワイガヤガヤ
村長「まったくしょうがない奴らだ・・」
僧侶「・・・・・」
村長「なんだ、食べないのか?」
僧侶「いらない・・です・・」
「僧侶ちゃん死ななくてよかったな!」ぎゃはは
「生贄なんて俺はおかしいと思ってたんだよ」
僧侶(・・・)
村長「何でこんなばか騒ぎができるのかって顔だな」
僧侶「はい。さっきの人昨日の夜、私のことこんなもの扱いした人でした。」
村長「・・・」
僧侶「正直、今あなたとも一緒にいたくありません。」
村長「すまんな・・・」
村長「これは言い訳になるかもしれないが、村の奴らも仕方がなかったんだ。最初のころには反抗もしていたが、見せしめに殺され、いつの間にか生贄しか生き残る方法がなくなっていた・・・」
僧侶「・・・・」
村長「初めは生贄をみな哀れに思っていた。だが、いつまでも続く生贄にいつからか哀れに思うことすら疲れてしまったんだ。哀れに思っていたら心が持たなくなってしまった。」
僧侶「・・・わかってます。」
村長「邪魔者扱いすれば心が痛くならずに済むことを覚えてしまったんだな・・」
僧侶「・・・」
村長「本当にすまなかった・・」
僧侶「いいんです・・別に・・」
村長「お、あれは?おばさんじゃないか?」
僧侶「え?」
おば「僧侶ちゃん!ここにいたのね!」
僧侶「おばさん!!」
おば「話は聞いたわ。無事でよかった。」
おば「それじゃ帰りましょ。」
僧侶「うん!」
村長「それじゃな、僧侶」
僧侶「・・はい」
おば「それでは失礼します、村長さん。」
僧侶「おばさん!どこ行ってのよ。家に帰ってもいなかったし」
おば「ごめんね。森の方へ薬草を取りに行ってたのよ。」
僧侶「また?気をつけてよね。」
おば「わかってるわよ。それより帰ってから何食べたい?」
僧侶「何でもいい!!」
おば「それが一番困るのよね。」
僧侶「本当に何でもいいの。」
おば「それじゃ、ついてからのお楽しみってことにしときましょうかね」
僧侶「うん!」
~3か月後~
友A「どうだ!この動き凄いだろ!」
僧侶「左右に動いてるだけじゃない・・」
友A「僧侶ちゃんにはこの動きの凄さが理解できないのか・・可哀想に」
僧侶「全然理解できないわね。それよりなによ?最近やけに鍛えた成果を見せてくるけど。」
友A「いやさ、僕も強くならなくちゃと思って。」
僧侶「子供の私たちに何ができるのよ・・」
友A「関係ないよ!子供だろが強くなるんだ!」
僧侶「変なの・・」
友A「それで僕は君を・・・」
ワイワイガヤガヤ
僧侶「なんか広場のほうが騒がしいわね?」
友A「本当だ。行ってみよう!」
~広場~
「聞いたか!?ついに戦争が終わったんだ!人間が魔族に勝ったんだ!!」
「ついにか!!」
「マジかよ!!宴の準備だ!!」
友A「ついに終わったんだね・・」
僧侶「だね・・」
友A「僕、母さんに知らせてくる。」
僧侶「私もおばさんに知らせてこなくちゃ。」
友A「それじゃまた明日!」
僧侶「うん。またね。」
僧侶(早く知らせなくちゃ・・)
~おばの家~
僧侶「おばさんただいま。」
おば「あら?早かったのね」
僧侶「実はさっき広場で聞いたんだけどね、戦争が終わったらしいの!」
おば「まあ、それはぜひお祝いしなくちゃね!今夜はご馳走よ!」
僧侶「やった!」
おば「でもまだ料理作るには時間が早いわね。」
僧侶「それじゃ、お母さんの話をしてよ。いつもみたいに」
おば「あら、いいわね。それじゃこっちに座りなさい。」
僧侶「うん。」
おば「姉さんは・・つまりあなたのお母さんはとても美しくて、頭もよくてね・・」
僧侶「それで?それで?」
おば「ある夏の日なんて・・・・・」
~その日の夜中~
ガタッ
僧侶(!)
僧侶(何の音?)
おば「・・・・」
ガチャ
僧侶(?)
僧侶(・・・おばさん・・・・こんな夜中に外に出てどうしたのかしら・・)
僧侶(・・気になる)
僧侶「・・・見にいこ」
~村近くの森~
僧侶(こんな時間になんで森に?・・・あ、止まった。)
おば「・・・・」ブツブツ
僧侶(なんだろう木の前に立ってブツブツと?)
おば「・・・くそ・・・・くそ」ブツブツ
僧侶(なんか怖いな・・帰ろうかな・・・・・)
おば「・・・し・・・そ・・・・ね・・」ブツブツ
おば「・・・・・しね・・・」ブツブツ
おば「・・僧侶・・・しね・・」ブツブツ
僧侶(え?)
おば「・・・くそが・・僧侶の奴しね・・・くそが・・・」
僧侶(そんな・・おばさん?)
僧侶(と、とにかく逃げなと・・・)
ガサッ
おば「誰だ!?」
僧侶(しまった!)
おば「おやおや、僧侶ちゃんじゃないか。どうしたんだいこんなところで?」
僧侶「あ・・え・・・・」
おば「言わなくてもわかるわよ。聞かれちゃったんでしょ?駄目じゃない?盗み聞ぎなんて。」
僧侶「・・なんで・・・」
おば「ん?なんだい?」
僧侶「なんで・・・私のことあんなに・・・かわいがってくれたのに・・・・」
おば「そりゃかわいがるわよ。だってあなたは姉さんの娘だもの。」
僧侶「なら・・なんで・・・こんな・・・・こと」
おば「それはあなたが憎いからよ。当たり前じゃない。」
僧侶「・・え?」
おば「そんなにおびえないでよ、僧侶ちゃん。別に殺そうなんて思ってないわ。ただ死んで欲しいだけなの。」
おば「その顔、本当に姉さんにそっくりで愛らしい」
おば「でも、憎たらしい!!!!」
僧侶「!」ビクッ
おば「そのビックリした仕草も愛おしいけどそれと同時に憎らしい!」
僧侶「・・・どういう」
おば「私の姉さんは最高の人だったわ。美人で頭がよくて私の憧れだった。私だけのものだった。なのに私の元から離れていってしまった・・・・」
おば「あんたは姉さんによく似ているから私は大好きよ!でも時々あなたと姉さんが重ならなくなる時があるの・・・それがものすごく憎い!!!!!そんなときに凄く死んでもらいたくなるの!!」
僧侶「そんな・・・」
おば「でも、私は殺せないわ。あなたの姉さんの部分が邪魔をするの。だからこうして呪いをかけてたってわけ。あなたが私の元に来てからずっとね!!」
僧侶「ひどい・・」
おば「ひどいのはあなたの方よ!!姉さんの影をチラつかせていやらしい!!!」
おば「せっかくこの前の生贄でチャンスが来たのに!!!あなたが途中で逃げないように身体の自由を奪う毒まで用意してたのに!!!」
僧侶「あの時、身体が動かなかったのはそのせい・・」
おば「おにぎりおいしかったでしょ?まったく悪運が強い女!!」
僧侶「私を・・・どうする・・の・・・?」
おば「さっきも行ったでしょ。別にどうもしないわ。それじゃお休み僧侶ちゃん!」
僧侶「え?・・・・行っちゃった・・」
~次の日~
僧侶「・・・・」
村長「おーい、ここにいたのか僧侶!!」
僧侶「村長さん!」
村長「こんな所にいたら危ないじゃないか!おばさんが心配してたぞ!」
僧侶「え?」
村長「いいから早く家に戻りなさい!」
僧侶「いや!帰りたくない!!」
村長「わがまま言うな!喧嘩か何か知らんが帰りなさい。」
僧侶「私一人で住む!!」
村長「子供がわがまま言うな!!無理やり連れてってやる!!」
僧侶「きゃ!!離してよ!!」
村長「子供が大人に勝てると思うなよ!いいから来い!!」
~おばの家~
おば「まあまあ村長さんわざわざありがとうございます。ほら僧侶ちゃんもお礼言って。」
僧侶「・・・・」
村長「気にせんといて下さい。喧嘩はほどほどにお願いします。まだ子供で大変だと思いますが。」
おば「ええ、すみません。よく言って聞かせます。」
村長「では、これにて失礼。」
おば「ありがとうございました。・・・・・・おかえり僧侶ちゃん。」
僧侶「・・・」
おば「言ったでしょ。何もしないって。でもあなたは私からは逃げられないわよ。子供だもの。一人じゃどこへも行けない。ここにしかあなたは変える場所がないの。」
僧侶「・・・・」
おば「わかったら。お風呂入って寝なさい。どうせ昨日あれから寝てないんでしょ?私は買い物に行ってくるから。」
ガチャ
僧侶「・・・・くそ」
~遊び場~
友A「遅いじゃん、僧侶!」
僧侶「・・・ごめん」
友A「ん?どうした?元気ないけど」
僧侶「実は・・・」
~~~~~~~~~~~~~
友A「そんなことがあったなんて・・」
僧侶「どうしよう私・・」
友A「村長にいいなよ!きっと力に・・・」
僧侶「私あの人信用してないの!他の大人もそう・・。生贄の時に思い知ったの・・」
友A「あ、ごめん・・・」
僧侶「いいのよ。それより友Aの家に今日泊めてくれない?」
友A「僕は大歓迎だけど、親がどうか・・・」
僧侶「そうよね・・・結局私たちなにもできないのよね。子供だもの・・」
友A「・・・・」
僧侶「ごめんね。こんなこと話したりしちゃって。」
友A「いいんだよ。それより今日はどうするの?」
僧侶「家に戻る。それしか選択肢がないから・・・」
友A「そっか・・」
僧侶「じゃあね」
友A「僧侶ちゃん・・・」
~夜、おばの家~
おば「ご馳走様。おいしかったね?僧侶ちゃん?」
僧侶「・・・」
おば「もう、不愛想だな。そんな仕草も姉さんに似てるから素敵よ!」
僧侶「・・・」
おば「さて食事も終わったし、森であなたに呪いかけてくるわね!食器洗いしといてね?それじゃ行ってきます。」
僧侶「待って!そんなに私が憎いなら殺せばいいじゃない!」
おば「確かに憎いわ。でも殺したいと死んで欲しいは別なのよ。ましてや殺したいと殺すでは大違い。」
僧侶「・・・」
おば「それじゃあね、僧侶ちゃん!」
僧侶「・・・・なんで私が」
~一週間後~
友A「どうなの最近」
僧侶「あいかわらず前と変わらなく接してくる。露骨に呪いに行くようになったこと以外は進展なしよ。」
友A「そうか」
僧侶「もうわけわかんない。」
友A「ねえ、僕思うんだ。やっぱり他の大人に相談したほうが・・」
僧侶「それは無理!絶対に!」
友A「だって僕たち子供だけじゃどうしようも・・・」
僧侶「うるさいわね!そんなのわかってるわよ!!」
友A「!」ビクッ
僧侶「ごめん・・。今日はもう帰る・・・」
友A「うん・・・わかった。」
僧侶(・・・私はなんでこんな無力なんだろ。・・・くやしい・・)
~夜、おばの家~
おば「今日は久しぶりに姉さんの話でもしましょうか」
僧侶「え?」
おば「昔はよく聞きたがったでしょ?姉さんの話。」
僧侶「・・・いい」
おば「本当に姉さんは綺麗で頭もよくてね。僧侶ちゃんそっくり!!」
僧侶(・・・)
おば「姉さんが子供のころに遊んでたらお気に入りの服に泥が跳ねたの。その時にしていた顔と今の僧侶ちゃんの顔すごく似てる。もっとこっちに来て。見せて。」
僧侶「・・・やめて・・」
おば「その顔も姉さんそっくりだわ。ほらもっとこっちを向いて・・・姉さん・・」
僧侶「もうやめて!!!何なの!!」
おば「あら怒っちゃった?どうする、家出する?どこか当てあるの?」
僧侶「それは・・」
おば「ないんでしょ?あなたにはここしかないのよ。大人しくしていなさい。」
僧侶「わたしは・・わたしは・・」
おば「ん?」
僧侶「こんな所出ていく!!」
おば「だからここを出てもあてなんて・・」
僧侶「この村から出ていくんだ!!!」
おば「冗談でしょ?戦争が終わったとはいえアンタみたいな子供が一人で生きていけるわけないでしょ。」
僧侶「バカにするな!!!私は子供じゃない!!!こんな糞みたいな場所こっちから出てってやる。」
バタン
おば「・・・・バカな僧侶ちゃん」
僧侶(こんなとこ・・・こんな村・・・糞だ。くそだ。クソだ!!)
僧侶(こんな所にいたらいつまでも子供だ!!いつまでも自由になれない!!私は大人になる!!自由になるんだ!!!!)
そして、月日は流れた
~ある城下町、裏町~
チンピラ「へへ、お嬢ちゃんかわいいね。いくらだい?」
僧侶「1万でいいわよ。」
チンピラ「それは少し割高じゃねえかい?お嬢ちゃん」
僧侶「お兄さん。私をよく見てよ。いくつに見える?」
チンピラ「確かに言われてみればかなり若いな・・。17・・14・・まさか12か?」
僧侶「10よ。」
チンピラ「10だと!!そりゃたのしみだ。よしいいだろう。」
僧侶「まずはお金を見せて?」
チンピラ「ほらよ」
僧侶「それじゃ、行きましょう。すぐそこなの。」
チンピラ「けっけっけ。楽しみだ。」
~人気のない路地~
チンピラ「こんなところでやるのか?」
僧侶「ごめんね!」
チンピラ「は?」
僧侶「眠れ!ラリポー!!」
チンピラ「くそ・・・だまさ・・・」
チンピラ「ぐーーー」zz
僧侶「今日もなかなかの収穫ね。」
僧侶「それにしてもこの町はカモには困らないわね。本当に。」
このSSまとめへのコメント
これ面白い