日本「キレイな花火ですね。」(103)
○月△日 晴れ
毎日書き続けていた日記が、7日間空いてしまった。
旅先に携行していなかった事が悔やまれる。日記帳を鞄に仕舞い忘れていた。
しかし、僕はこの日記の、空白の7日間について書くことが出来る。
それほどに思い出深い7日間だった。
だから、今日このページには、その7日間について書き留めることにする。
ジャップ人に生まれるとか人生超ハードモードじゃん何の罰ゲームよww前世でよっぽど悪い事してきたにちがいない御愁傷様
支援
そうなんだwww
べつに俺はぎゃくなんだがなwww
そういうお前はただただ「日本人に生まれたかったニダ!」だと嫉妬しているようにしかみえねぇぞチョンwww
―あれは、初夏に差し掛かった頃―
トルコ「……やった!!最終選考に残った!」
トルコ「僕のプレゼンが評価されたんだ!」
トルコ「何度もやり直して作成した甲斐があったよ…。」
―今回、僕は『架空の都市開発シュミレーションコンテスト』なるものに参加した。
架空の設定で、インフラ、財政等々本格的な計画を立てて、その出来栄えを競う大会のようなもの。
実は何度もこのコンテストには参加してる。しかし、最終選考まで残ったのは初めてだった。―
トルコ「インターネットにも早速載ってるな。他に誰が選ばれたんだろう?」カタカタ
トルコ「えと…。スペインさんと…日本さんも!?」
トルコ「……2人が残ったのか…。」
トルコ「…気が抜けられないなぁ…。」
トルコ「…よし!まだ次のプレゼンまで時間はあるし、早速資料の整理と作成に取り掛かろう。」
カタカタカタ カタカタカタカタ
トルコ「………。」
トルコ「…日本さんも残ったのか…。」
トルコ「そういえば日本さん元気かな?最近会ってないから分からないけど。」
トルコ「……。」
トルコ「…今年日本さんから暑中見舞い来たっけ?」ガサガサ
トルコ「……来ていないか……。」
トルコ「…毎年届いていたんだけど…何かあったのかな?」
トルコ「……。」
トルコ「会いに行ってみようかな。久しぶりに。」ガタッ
―こうして半ば衝動に駆られた形で、僕は日本さんのところに行ってみることにした。
船に揺られながら、自分が持ち出した荷物の中に日記帳が無いことに気付かず、
そういえば最後に日本さんに会ったのは何時だっけ?などと、他愛の無い事を考えていた。―
ミ~ンミンミンミンミン……ミ~ンミンミンミンミン……
トルコ「……暑い…。」
トルコ「特に湿気が…汗が乾かない……。」パタパタ
トルコ「ええと?日本さんの家は何処だったっけ?…早くしないと持ってきたアイスが…。」
トルコ「……ドライアイスまだ残ってるよね?」ガサガサ
??「…あれ?……あの…すいません。」
トルコ「……はい?」
台湾「あ、やっぱりトルコさんだ!お久しぶりです!」
トルコ「あ、台湾さん。どうもお久しぶりです。こんな所で会えるとは!」
台湾「そうですねぇ。わたしもビックリです。…ところで、どうして今日はこんなところに?」
トルコ「え?…ああ、日本さんの家を訪ねようかな…なんて思って。」
台湾「日本さん?どうしてです?」
トルコ「ほら、例のコンテスト、日本さんも最終選考に残ったから、気が早すぎるけどお祝いに…。」
台湾「…ああ!そういえばトルコさんも選ばれていましたよね!おめでとうございます!!」パチパチ
トルコ「あ、ありがとうございます。素直に嬉しいです。」ポリポリ
台湾「でも気が早すぎませんか?まだ誰が最優秀賞を獲るのか決まってないのに。」
トルコ「そ、そうかな?まぁ、『これからもお互い頑張りましょう』とあいさつに行くようなものですよ。」
台湾「……本当に『あいさつ』の為だけに来たんですか?」チラッ
トルコ「…えっ?」
台湾「……トルコさん?」ニヤッ
トルコ『……!!』
トルコ「……と、兎に角急ごう!いくらここに来るまで冷凍保存してたとは言え、こんな暑さじゃアイスなんてあっという間に溶けてしまう!」
台湾「…は~い!」
短いですが区切りがいいので今回はここまでにします。
設定が強引、かつ事実とは反する場面が多々ありますが、
大目に見てもらえると幸いです。
支援
乙
ヘタリアを考えたのは俺だけじゃないはず
―日本宅前にて―
ミ~ンミンミンミン……
台湾「うへぇ…暑い……あ、トルコさん。着きましたよ!」
トルコ「ふぅ…ありがとうございます。台湾さん。」
トルコ『…もうアイス、ダメかもしれない…。』
台湾「あ、でも日本さんまだ帰って来てないかもです。」キョロキョロ
トルコ「え?どこかに出掛けてるんですか?」
台湾「ううんと、確か裏の畑で……と、噂をすれば!」
台湾「お~い。日本さん!!」パタパタ
トルコ「あ!ホントだ…に、日本さん!!」
―台湾さんが手を振る先に、野菜が入った籠を抱えた日本さんがいた。
笑顔で台湾さんに手を振る日本さんは相変わらず元気そうで、僕は少しほっとした。―
日本「台湾ちゃん、今日も来てくれたんですね!…と、そちらの方は…。」
トルコ「お久しぶりです。日本さん。」
日本「…と、トルコさん!?お久しぶりです!!」
トルコ「お元気そうで何よりですよ。あ、そうだ…。」
日本「…あ!コンテスト最終選考選出おめでとうございます!!トルコさんの名前が出ていて、ビックリしましたよ!」
トルコ『あ……さ、先に言われちゃった…。』
トルコ「に、日本さんも選出おめでとうございます!お互い、最後まで頑張りましょうね!」
日本「…はい!頑張りましょうね!」
日本「とりあえず、家に上がりませんか?ここは暑いですし…。」
トルコ「あ、ありがとうございます。早くしないとアイスが……。」
台湾「…もしかしたら溶けてるかも…。」
トルコ「その可能性は高いんだよね。はは…。」
日本「そ、そうなんですか!?と、兎に角急ぎましょう!!」
―久しぶりにお邪魔した日本さんの自宅。中に入ると、畳の匂いが鼻をくすぐった。
きちんと整頓さていて、部屋が広く感じられた。
日本さんは台所に行き、僕が渡したアイスを急いで冷蔵庫に仕舞ってくれた。―
日本「まあ、ゆっくりくつろいでください。たいした物も何も無い家ですが。」
トルコ「いえ、そんな、とんでもない!何だか落ち着きますよ、この部屋。僕はこういうの好きです!」
日本「あ、ありがとうございます!」
日本「…相変わらず優しいですね。トルコさんは…。」ボソッ
トルコ「…へっ?今、何か…?」
日本「…いえ?何も言ってませんよ?」
トルコ「そ、そうですか…。」
台湾「日本さ~ん、こっち手伝ってくださいよ~!!」
日本「はーい!!今行きます!」
日本「それでは、ごゆっくり。」
タッタッタッタッタッ…
トルコ「………。」
チリーン・・・チリリーン・・・
トルコ「あ、…風鈴。」
トルコ「そういえば日本さん、エアコンを取り付けていないのかな?」キョロ
トルコ「…あ、あった。天井に埋め込まれてるのか。」
トルコ「でも、つけなくても十分涼しいし、許可貰って動かす必要も無いか…。」パタッ
チリーン・・・チリリーン・・・
日本「ふぅ!疲れました…。」
日本「あ、そうだトルコさん。今後の予定は?」
トルコ「あ、えと、そうですね…。」
―この時になって僕は、今回の旅行の計画を全く立てずにいた事に気付いた。
何の躊躇いも無く日本さんの家にお邪魔してしまったが、これからどうするのか、ノープランだった。―
トルコ「あ…えと……。」
日本「……?」
トルコ「……ははは、じ、実は考えていなくて…。」
日本「…!では、今日はここにお泊りになりますか?部屋なら空いていますし。食事程度なら出しますよ?」
トルコ「ええっ!?そ、そこまでしてもらっちゃ…悪いですよ!」パタパタ
日本「そんな気遣いなさらなくていいですよ!あんな暑い屋外を当てもなく歩き回るのは酷です…!」
トルコ「ですが…。」
日本「それに、折角トルコさんから贈り物を頂いたのに、こちらは何もせずに帰してしまうなんて出来ません!」
日本「船旅の疲れも有るでしょうから、今夜くらい、ゆっくり休んで行ってください。」
トルコ「……わ、分かりました。」
トルコ「それでは、お言葉に甘えて…。」
日本「……はい!」ニコッ
―僕は最初、日本さんのお誘いを断ってはいたものの、
自分が持って来た鞄の中には、代えの服が一式しっかり用意されてあった。
今思うと、最初からその気だったんじゃ無いかと日本さんに思われていないか心配だ。―
今夜はここまでにします。
この先物語の進行が早くなると思われます。
鈍足ですが最後までよろしくお願いします。
乙
チリリーン・・・リリーン・・・
―あれから、夕食をいただいて、さらに一番風呂にまで入らせて貰った僕は、
縁側に座って夜空をぽかんと見上げていた。自宅でもやっていることだ。
日本さんは、僕が風呂に入っている間に寝るための布団を既に用意してくれていた。―
トルコ「至れり尽くせりとはこのことか…。何だか申し訳無い気持ちになってしまうなぁ…。」
トルコ「せめて、明日は日本さんの手伝いをしてから帰ろう。僕に何が出来るか分からないけど。」
ススーーッ トン (障子を開ける音)
日本「あ、トルコさん。お上がりになりましたか。湯加減は?」
トルコ「申し分無いですよ。旅の疲れなんて一撃でした。」
日本「それは良かったです。」
トルコ「…あの、日本さん。」
日本「はい?」
トルコ「明日のご予定は…?」
日本「え?……えと、今日と変わらず、畑の草むしりや、他にももっと……。」
トルコ「…だったら、僕も手伝います!何か力に成りますよ…!」
日本「え!?そんなトルコさんを働かせるだなんて…。」
トルコ「いいですよ1日くらい!僕もずっとお世話になるわけにはいきませんから!」
トルコ「今日のお返しをさせてくださいよ!」
日本「ですが…。」
トルコ「…『困ったときはお互い様。』そうでしょう?」
日本「…あ……。」
日本「……では、明日はよろしくお願いします。」ペコリ
―日本さんとそんな会話をした後、僕は明日の為に早めに寝床に就いた。
『困ったときはお互い様。』懐かしい言葉が自然と口から出てきた自分には驚いた。
明日はたくさん日本さんを手伝って、今日の恩返しをしよう。そう思いながら、
何時ぶりかの敷布団に潜り込んだ。 いい夢が見られるといいのだが。 ―
チュン・・・チュチュン・・・・チュン・・・
トルコ「ん……あ、朝か…。」
トルコ「よっこいしょ…アテテ、久しぶりの布団だから身体が…。」
ススーッ トン
日本「あら、トルコさん。おはようございます。早いですね。」
トルコ「おはようございます。何だか頭が今日は冴えてて…。」
日本「そうですか。もうすぐ朝食なので、暫くお待ちくださいね!」
―昨日と変わらず、気温は高めだった。午前中は畑に生えた雑草を刈り取った。
昼からは部屋の掃除。予想以上に本格化してしまって、2人で家具を動かしながら、
部屋の隅々まで掃除をしていた。まるで新年を迎える前の日のよう。と、日本さんは言っていた。―
トルコ「………っ…。」
トルコ「ぷはぁ…一仕事の後のお茶は格別ですね!」
日本「そうですね!普段よりもおいしく感じます。」
トルコ「あともう少しですから、今日中には何とかなりそうですね。」
日本「ありがとうございます。ここまでして貰うつもりは無かったんですが…。」
トルコ「気にしないでください。こっちは好きでやってるだけですから!」
トルコ「それよりも、雲が厚くなってきましたね。これから雨でしょうか?」
日本「そうですかね…?」
ポッ ポツッ ・・・サァァァァァ
トルコ「あ、降ってきた。」
日本「あらら。やはり雨雲だったんですね。」
サァァァァァ ・・・ザザザザザザァァァァァァァ
トルコ「…これはスコールですかね?す、すごい雨量…。」
日本「は、はい…これはすごい…。」
トルコ「とりあえず中に入って、戸を閉めましょうか……。」
ピリリリリリリリ ピリリリリリリリ
日本「…?」
トルコ「どうしました?」
日本「いえ、電話が…台湾ちゃんからですね…。」
日本「はい、もしもし……。」
台湾《に…(ザザザ)日本さん…!!た、たすけ…(ゴゴゴ)》
日本「…?台湾ちゃん?」
台湾《日本さんの船が…流されそうになってて…ロープをしっかり繋ごうとしたら…》
日本「……台湾ちゃん?今何処ですか?船内ですか!?」
《ザザ・・・プーップーップーッ》
日本「台湾ちゃん?返事をしてください!!」
トルコ「に、日本さん!落ち着いてください!」
日本「締めが甘かったんだ…!台湾ちゃんがそれに気付いて…。私の代わりに…」
日本「私、台湾ちゃんを…!」
ガシッ
日本「…!?」
トルコ「僕が行きますよ。」
日本「そういうわけには…!」
トルコ「ご心配なく。泳ぐことには長けてますから!」ガタッ
日本「あっ…トルコさん!?」
トルコ「日本さんは、そこで待っててください!!」ガラッ タッタッタッ・・・
バシャバシャバシャバシャ
トルコ「……今度は台湾さんに、道案内のお返しをすることになりましたね。」
トルコ「絶対助けるから、…しっかり船にしがみ付いていてよ!」
ザザザザザザサァァァァァ
何だか自分でも想像しない展開に…。
(夜中のテンションは本当に恐ろしい…。)
今回はここまでです。ありがとうございました。
乙
まさかトルコ、泳げるのか
―豪雨の中を、僕は傘も差さず、合羽も着ずにひたすら走った。
台湾さんが危ない。早くしないと…ただそれだけを思っていた。―
トルコ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。」バシャバシャ
トルコ「こ、これはスコールなんかじゃ無い……台風ってヤツか…!」
トルコ「風まで強くなってきた。海が荒れる。急がないと…!」
ザザーン・・・ゴゴゴ・・・ザザーン・・・ビュォォォォ・・・
―港に着いたとき、当たり前だけど辺りに人影は見当たらなかった。
僕は必死に目を凝らして海を見る。船が何処に浮かんでいるのかを探した。
波は想像以上に荒れていた。台湾さんの乗っている船の大きさによってはあっさり転覆してしまうと思われた。―
トルコ「…見つからない……。」
トルコ「…何処だ?まさかもう沈んで…。」
―そう言い切るより先に、荒れる波の合間から、小さな船を見つけた。―
トルコ「……見つけた…!!」
トルコ「台湾さーーーーーん!!台湾さーーーーーん!!…聞こえるハズ無いか…。」
―波に揉まれる小さな船に乗った台湾さんは、船上で必死にバランスを取っていた。
その時に、偶然顔がこちらを向いた。僕に気付いたと思うと、しきりに口を大きく開いていた。―
トルコ「…ダメだ!波の音で何も聞こえない!!」
トルコ「波は静まりそうも無い、でもこのまま台湾さんを待たせるわけには…!」
―距離はそう遠くも無い。しかし、ロープを投げて手繰り寄せるには遠い、
なんとも言えない距離に船はあった。
どうするか、どうしたら良いか。取りとめも無く悩んでいると…―
トルコ「ああっ!!!」
―刹那、台湾さんは波に引き込まれるようにして船から落ちた。
台湾さんを失った船も、後を追うかのように波に飲み込まれ、沈んだ。―
トルコ「台湾さん!!」
ザブン
―僕は躊躇うことなく荒れた海に飛び込んだ。
今思えば、よくもあんな海に飛び込んで生きて帰ってこれたと思う。―
ゴボボボボ・・・
―水流が凄まじい。洗濯機にかき回される衣服になった気分だ。
祖父が昔、乗っていた船が沈没し、溺れてしまったことがあり、それをきっかけに、
僕の父と僕は、徹底的に水泳の訓練をさせられた。
小さい頃から練習をしていたので、自信はあった。少々の波なら、耐えられると思っていた。―
トルコ『うぐぐ…思うように進めない…。』ゴボボ
トルコ『やっぱりこの波には勝てないか…。』
トルコ『だけど…ここまで来たからには…!』
―自分を鼓舞し、闇雲に泳いでいると、目の前に何かが迫ってきた。
気を失った台湾さんだ。―
トルコ『…!波でここまで来たのか!』
トルコ『…よし!後は台湾さんと岸に戻るだけだ!』
トルコ『…でもどうやって?台湾さんは自力じゃ泳げない。』
トルコ『…まずいぞ、このままじゃ二次被害だ!』
トルコ『と、兎に角上へ…。息が…!』
ザパァッ・・・
トルコ「ゴボッ…!な、波さえ無けれ…ガボッ…!」
トルコ「や、やっぱりダメだっ…グフッ…!」
トルコ「に、日本さ……。」ブクブク
―体力が尽き、体がもう一度海に沈もうとしていたとき…
パサッ
僕の真横に、ロープの着いた浮き輪が飛んできた。―
日本「トルコさん!!それにつかまって下さい!!」
―結局、波で岸まで押し戻されていた僕と台湾さんは、岸で待っていた日本さんに助けられた。
浮き輪にロープをくくりつけ、それにしがみついた僕達を引き上げてくれた。
台湾さんは、日本さんの人工呼吸のおかげでしばらくして息を吹き返した。―
―所変わって日本さんの家にて。僕は濡れた服と身体を拭いていた。―
トルコ『はぁ……。』フキフキ
トルコ『カッコつけるもんじゃ無いな。』
トルコ『結局自分まで救助される側になってしまった。』ゴシゴシ
トルコ『どうやらこの嵐は日暮れまでには止むらしいし…。』
トルコ『日本さんにカッコ悪い所見せちゃったし、この嵐が過ぎたらさっさと帰ろう…。』バサッ
ススーッ トン
日本「トルコさん。いいですか?」
トルコ「は、はい?」
―日本さんは僕の前に正座して、ゆっくりと口を開いた。―
日本「トルコさん。台湾ちゃんを助けてくださり、本当にありがとうございます。」
トルコ「い、…いえいえ!!僕は何も…結局助けられた身で、…それに日本さんの船だって…。」
日本「船なんて後でどうにでもなります!私は、2人が無事でありさえすれば良かったんです…!」
日本「…台湾ちゃん、トルコさんを見たとき、とても嬉しかったそうですよ。」
トルコ「え?」
日本「荒波の中1人で心細かったでしょうに。トルコさんが助けに来てくれたおかげでかなり安心したそうです。」
日本「それで、バランスを崩して船から落ちてしまったようですが…。」
トルコ「…やっぱり僕の…」
日本「そんなことありません!」ガシッ
トルコ「わっ!?」
日本「私だって、トルコさんが家を出て走ってく後姿を見て、どれほど頼もしく思ったことか!」
日本「私からも、感謝させて貰います。」
トルコ「…おりがとうございます。」ポリポリ
日本「……今夜も泊まって行ってください。寝る時の服は客人用のものがあります。」
トルコ「ええっ!?…い、いくら何でもそこまで…!」
日本「いいえ!そうさせてください。こちらからお願いします。」
―こうして日本さんに半ば強引におされて、更に一泊させて貰うことになった。
元気を取り戻した台湾さんが、泣きながら僕にありがとうを言ってきた時は、
僕自身も助けられた身なので、どうしたら良いか分からなかった。
台湾さんは最後まで僕が助けたものと思っていたらしい。
ちなみにあれ以来、台湾さんが僕をおちょくる事は無くなった。
それはそれで、寂しい気持ちにもなったのだが。―
トルコ「あ、あれ…?」ゴソゴソ
トルコ「……無い…。」ガサゴソ
トルコ「……しまった!忘れてきたのか!!」
―この日の晩になって初めて、僕は日記帳を忘れていることに気が付いた。―
今夜はここまでです。
ありがとうございました。
―深夜。―
トルコ「…ん……。」ゴソッ
トルコ「……んん…。」
ガバッ・・・
トルコ「……頭がボーっとする。…まさか、熱出したか?」
トルコ「んん…何だかそんな気がする…。」
トルコ「…調子に乗ったバチが当たったのかな…。」
トルコ「…ね、寝てりゃ治るかな…?」ゴロン
トルコ「も、もうこれ以上お世話にはなる訳には…。」
トルコ「絶対帰るぞ…明日は絶対…。」
―神様は僕を日本さんの家に縛り付けようとしているのだろうか。
朝。見事に熱が悪化していた。ついでに咳までする始末だ。―
日本「…38℃…今日は安静にしていてください。無理なさると余計拗らせるだけですし…。」
トルコ「…は、はい……。」
日本「水分はこまめに取ってくださいね。」
トルコ「…はい…ありがとうございます…。」
日本「昨日から体が冷えていたんでしょう。今日も雨で気温は低めですし。」
トルコ「……ご、ごめんなさい。何度も迷惑をかけてしまって。」
日本「お気になさらないでください。私は全く苦に思っていませんから。」ニコッ
トルコ「……。」
バン!バン! (戸を叩く音)
日本「…誰です?」
??「Hello!日本!!オジャマしていいかーい!?」
日本「あ、アメリカ。何しに来たんですか?」
アメリカ「オイオイ、せっかく来たのにそっけないリアクションだなぁ~!」
日本「あなた暇ならしょっちゅう来るでしょう?いちいち歓迎してられませんよ。」フゥ・・・
アメリカ「Oh …。coolだね。日本…。」
トルコ「…アメリカ?」
アメリカ「ん…?Hey!ターキー!!君もいたのか!!」
トルコ「た、ターキーって…だからその呼び方止めてくれって…。」
アメリカ「ハハハ!Sorry !!慣れちゃってさ!」
日本「…はいはい。ところで今日はどんなご用件で?」
アメリカ「そうそう!明後日、花火大会やろうよ!!」
日本&トルコ「「花火大会?」」
アメリカ「Yes!みんなで花火持ち寄ってさ。やっぱり夏に花火を一発はぶちかましておきたいじゃん!?」
トルコ『…ぶちかます…?』
日本「…まさか…アメリカ…。」
アメリカ「Yes!!今年も打ち上げ花火作ったよ!!いや~毎年作ってるとハマっちゃって!!」
トルコ『ま、毎年…。』
日本「はぁ…まったく懲りないですね?」
アメリカ「いいじゃん!!一昨年みたいに爆発はしないよ!」
トルコ『爆発!?』
日本「まぁ…さすがに要領は掴んでるでしょうからね…。」
アメリカ「ね?明後日だよ!台湾も呼んでさ!!ドーンと!!」
日本「…分かりました。今年もしましょうか。」
アメリカ「Great!決まりだね!!今年も打ち上げまくるぜぇ~~!!」
日本「……。」チラッ
トルコ『……?こ、こっちを見て、何だろう?』
日本「アメリカ。時間有ります?」
アメリカ「ん!?まさかデートのお誘いかい!?」
トルコ「えっ…!?」
日本「そんな筈無いでしょう?留守番お願いできますか?」
アメリカ「Why?」
日本「トルコさんの話し相手になってあげて欲しいんです。私なんかより、お話しし易いでしょうから。」
トルコ「で、でも僕は風邪引いてますし、アメリカに移す訳には…。」
アメリカ「Don't worry!抜かりないね!」サッ (マスクを取り出す)
トルコ『なぜ携行している…。』
日本「…アメリカらしい…。」クスッ
トルコ「…へっ?」
日本「…じゃあ、お願いします。鍵は掛けずにおいておきますね。」
乙
日本と台湾は女性でアメリカとトルコは男性なのかな?口調で考えると。
アメリカが一見チャラそうwww
(報告)
私事により約1週間更新できません。
鈍足に拍車がかかることをお許しください(涙)
>>46
日本と台湾は女性。アメリカ、トルコは男性で合っています。
最近こういう擬人化よくみるな。ヘタリアのおかげかね。逆かな?
まってる
―日本さんが買い物に出掛けている間、僕とアメリカは2人で留守番をすることになった。―
アメリカ「Hey!ターキー!!暇だな!!こんな時はアニメ見ようぜ!!」
トルコ「だから、ターキーって呼ぶなって!」
アメリカ「Wait ええとね…確か…ここの棚にあったはず……。」
トルコ「話を聞けよ…!と言うより、ここは日本さんの家だぞ?勝手に物色していいハズ無いだろ?」
アメリカ「No problem!ちゃんと片付ければ許してくれるさ!!」
アメリカ「…But、散らかしてるとかなり怒るけどね…。」
トルコ「…え?日本さんも許してるのか?」
アメリカ「Yes!Me、日本の家にあるアニメ大好きだからさ!!よく観にオジャマしてるよ!!」
アメリカ「その時は日本も一緒に観てるからさ。別に気にしないでOKさ!!」
トルコ「へ、へぇ……。」
―日本『…アメリカらしい…。』―
トルコ「……そうなんだ…。」
【……『非常弁、全閉鎖!!』】
アメリカ「Oh!ターキー!!もうそろそろ来るぞ!!」
トルコ「…え!?あ、う、うん。」
アメリカ「何だよターキー!さっきから浮かない顔してさ。宇宙戦艦ヤマト、嫌いか?」
トルコ「ん?い、いや。そういうワケじゃ無いよ。」
アメリカ「んじゃもっとエンジョイしろよ!!…あ!来るぜ!!」
【『安全装置、解除!』】
アメリカ「Hey!Come on Come on Come on!!」
トルコ「……。」
トルコ『………。』
トルコ『…そうか、アメリカと日本さんは案外親しい仲なんだ…。』
トルコ『アメリカを僕と一緒に留守番させた理由もそこにあるのかな…。』
【『エネルギー充填。120パーセント!!』】
トルコ『……そう言えば。日本さんってアメリカには「~さん」って付けないな…。』
トルコ『それに、僕や台湾さんには敬語なのに、アメリカにだけは打ち解けた感じだし…。』
トルコ『……やっぱり…。』
トルコ「なあ、アメリカ…あのさ……
【『波動砲、発射!!』】
アメリカ「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!キタァァァァァ!!!」ガタン!
トルコ「……。」
―アニメ鑑賞後―
アメリカ「いや~~楽しかった!な!?ターキー!!」
トルコ「ん。そうだね。」
アメリカ「何だよターキー!!全然元気が無いじゃないか!ホントに楽しかったのかよ!?」
トルコ「…僕。風邪引いてるんだけど…?」
アメリカ「Oh……すっかり忘れてた。Sorry…。」
トルコ「気にしないで。それよりマスクしたまま叫び続けて息苦しくないの?」
アメリカ「Don't worry!Meの肺活量ナメないでおくれ!!」
トルコ「へ、へぇ……。」
ガラガラッ……
アメリカ「ん?帰って来たのかな?」
今夜はここまでです。
待って下さった方々に、お詫びと感謝の気持ちをこめて。
日本「ただいま……。どっこいしょ。」ドサッ
トルコ「日本さん!荷物おもそうです。持ちましょうか?」
日本「いえいえ!トルコさんは休んで下さい!風邪をひいてる身ですし…。」
トルコ「え?い、いや!大丈夫ですよ!!ご心配なく!もう治りましたよ!!」
日本「…ご無理をなさらず。トルコさん。お気持ちだけでも嬉しいです。」ニコッ
トルコ「そ、そんな…。」
日本「……アメリカ!」
アメリカ「Oh?何だい!?」
日本「あなたが私を手伝うべきでしょう?どうしてくつろいでいるの?」
アメリカ「ハハハ!こいつは失礼致したねぇ!!」
日本「もう……トルコさんに無茶させないで。」
トルコ「……。」
トルコ「……熱。まだあるっぽいな…。」ボソッ
―あの後、アメリカは日本さんの手伝いをしてさっさと帰ってしまった。
相変わらず僕のことをターキーと呼んでいた。正直どうでもよい気もしてきたのだが。
そしてこの日の晩、僕は自分の私物を鞄にまとめる作業をした。―
トルコ「よっと……。」パタン
日本「…?トルコさん?どうしました?」
トルコ「いや。そろそろ帰る支度を、と思いましてね。」
日本「帰る支度ですか…。」
トルコ「はい。…熱も今朝よりマシになりましたし、明日には回復するでしょうから。」
トルコ「それに、いつまでも日本さんにお世話にはなれませんから。」
日本「……。」
日本「………そうですよ、ね。」
日本「私、久しぶりにトルコさんに会えたものですから、つい浮かれちゃって…。」
日本「理由を作って無理やりここに泊まらせたりと、トルコさんには些か迷惑だったかも知れないですね。」
トルコ「え!?あ、いや!そう言う訳じゃ無くて!!」
トルコ「た、ただ単純に、僕も何時までもここに居座っていたら邪魔だろうと思って…!」
日本「…そんなこと無いですよトルコさん。邪魔だなんて。私は一時も思いませんでしたよ。」
トルコ「そ、そうですか…?」
日本「疑ってますね?」チラッ
トルコ「えええ!?ち、違いますよ…!」パタパタ
日本「ははは……でも、もう少しここに居ても良いのに。というのが私の本音ではありますが…。」
トルコ「え……?」
日本「ちゃんと言ってませんでしたが、トルコさんも、花火大会に参加しませんか?」
日本「大会といっても、みんなで集まって花火をするだけですから。特別準備も要りませんし。」
日本「アメリカ主催ですから。面倒なことは彼に全部押し付けても構いませんから。ね?」ニッ
トルコ「に、日本さん!アメリカに悪いですよ!?」
日本「ふふっ…失礼しました。でも、彼もまんざらでは無いそうですがね…。」
トルコ「へ、へぇ…。」
日本「どうですか?ぜひ、夏の思い出に…。」
トルコ「………そうですね…。」ポリポリ
トルコ「……参加、してみましょうか、ねぇ…。」
日本「では、決まりですね!アメリカにも伝えておきます。」
日本「そうと決まれば、トルコさんは早くお休みください!明後日までに元気になって貰わないと…!」
トルコ「は、はい!」バタバタ
日本「ご心配なくお休みください!!明日からも三食昼寝付きで大丈夫ですからね!!」
トルコ「それは有難い限りです!」
日本「それでは、ごゆっくりお休みくださいね。」
ススーッ トン
トルコ「……。」
トルコ「ふふっ、花火大会…か…。楽しみになってきたぞ…!」
―この頃には、自分は今、何故日本さんの家にお邪魔しているのか、
その理由をすっかり忘れてしまっていた。
確か、『コンテスト入選のお祝いを言いに。』が理由だったはずだ。―
今夜はここまでです。
ありがとうございました。
―次の日、僕は昨日よりも目覚めよく朝を迎えることが出来た。
額に手を当ててみると、さほど熱くない。熱は1日で治まったようだ。―
日本「おはようございます。調子はどうですか?」
トルコ「おはようございます。どうやら熱も下がったようです。調子も良いです。」
日本「それは良かったです!明日が楽しみですね。」
トルコ「そうですね…!僕も楽しみです!」
―その日の僕の計画では2日目と変わらず、日本さんの手伝いをしようと思っていた。
田圃周辺の草むしりと、畑で実った夏野菜の収穫等々。病み上がりの身体には少々応えたが、
しばらく身体を動かせば慣れていった。―
トルコ「あ、その籠持ちますよ。……よいしょっと…。」ズシッ
日本「本当に大丈夫ですか?無理なさらないでくださいよ?」
トルコ「なぁに、この程度なら大丈夫ですよ。とにかく体が動かしたくて…。」
日本「そうですか……。」
トルコ「……ど、どうしました?」
日本「いえ。トルコさんが元気になって良かったな、と。」
トルコ「それはこちらも同感ですよ。」
日本「そうですね。」
―日本さん宅、縁側にて。―
トルコ「いやぁ、それにしても今日はいい天気で…。」
日本「そうですね。昨日までの悪天候がウソの様です。」
トルコ「おかげで、汗もかけてお茶もおいしいですよ……。」ゴクゴク
日本「それは嬉しい限りですね。」クスクス
「日本さーん。おじゃましまーす!」
日本「ん…?この声は台湾ちゃんですかね?」
トルコ「そうみたいですね…。行ってみましょうか。」
台湾「こんにちわ!日本さん。トルコさん!」
日本「こんにちは。台湾ちゃんも元気になって良かったです。もう大丈夫ですか?」
台湾「はい!全然大丈夫です!!」
日本「さすが台湾ちゃんですね……ん?」
トルコ「…台湾さん。後ろにいるのは?」
台湾「ん?…あ、ホラ。隠れてないで、挨拶して!」
??「………。」ヒョコッ
―1人の少年が、台湾さんの後ろから顔を出した。
台湾ちゃんよりも幼いようだ。僕と日本さんを交互に見ていた。―
トルコ「……?」
日本「あら、もしかして……。」
パラオ「……こ、こんにちは…日本…。」ボソッ
日本「パラオ君じゃないですか!お久しぶりですね!」
パラオ「うん…!ひさしぶり…!」
台湾「明日の花火大会に誘ってみたらパラオ君も行きたいって!」
日本「そうですか!アメリカも喜ぶかも知れませんね!」
パラオ「………。」ムスッ
台湾「に、日本さん…!」
日本「あっ……!ご、ごめんなさい。パラオ君。」
パラオ「………うん。日本だから、…いい!」ニカッ
日本「パラオ君…。」ホッ
日本「それでは、中に入りましょうか。外は暑いですし、ちょうどお茶も淹れてますよ。」
台湾「やったー!パラオ君も良かったね!」
パラオ「…うん!」
ミ~ンミンミンミン……ミ~ンミンミンミンミン……
台湾「…ぷはぁ…!やっぱり美味しい!」
パラオ「………。」ゴクゴクゴクゴク
トルコ「お、おいおい。そんなにガブガブ飲まなくても…。」
台湾「ははは。パラオ君も気に入ったみたいだね。このお茶が。」
トルコ「そのようで……あ…そうだ。台湾さん。」
台湾「…ん?どうしました?トルコさん。」
トルコ「何でさっきは日本さんがパラオに謝っていたんですか……?」
台湾「ああ……。その事ですか…。」
台湾「パラオ君のお父さん。昔アメリカさんに酷い目遭わされて、パラオ君本人も相当傷ついたらしいんです。」
台湾「だから、あまりパラオ君はアメリカさんの事、よく思って無いそうで…。」
トルコ「…なるほど。そういう事が…。」
台湾「…あ!こんな話をしたことは2人だけの内緒という事で……。」
トルコ「もちろん。分かってますよ。」
パラオ「……?」
台湾「ん?どうしたの?」
パラオ「……何でも。」
台湾「そ、そう?何か言いたそうだけど?」
トルコ「も、もしかしたら聞かれてたんじゃ…。」ボソッ
台湾「そ、そんなぁ…。」
トルコ「と、兎に角。話をして紛らわせるよ。」
台湾「お、お願いします…。」
今夜はここまでです。
更新ペースが遅いですが、何とかペースが上がるよう努力します。
ありがとうございました。
トルコ「よっと…となり失礼するね。」ドスッ
パラオ「……。」
トルコ「ふいー…今日も暑いねぇ……。」
パラオ「……。」
トルコ「君は慣れてるのかな?僕も暑さには強い筈なんだけどね。」
パラオ「……。」ゴクゴク
トルコ「だけどここは暑い上にムシムシするからね。汗が止まんないよ。」パタパタ
パラオ「……。」
トルコ「ははは……。」
ススーッ トン
日本「皆さん。カキ氷ご用意しましたよ!!」
パラオ「!!」ガバッ
トルコ『日本さんナイスタイミング!?』
かき氷とか
…日本だね
日本「お茶ばかりで飽きたでしょうから…。シロップが苺味しかなかったのは残念ですが…。」
パラオ「……!」キラキラ
トルコ「丁度良かったですよ!ありがとうございます!」
台湾『タイミング的にも…ね。』
日本「ささ、解けてしまう前にどうぞ。」
パラオ「……!」シャリシャリ
台湾「…それじゃあ、いただきます!」
トルコ「僕も、いただきます。」
ミ~ンミンミンミン…ミ~ンミンミンミンミン……
台湾「ん~~~!冷たい!!けどおいしいです!」シャリシャリ
日本「そうですか、やっぱり夏はこれですよね。」
パラオ「…!……!!」シャリシャリシャリシャリ
トルコ「ぱ、パラオ…落ち着いて食べて…!」
パラオ「…!……!!」シャリシャリシャリシャリシャリシャリ
日本「おなか壊すと大変ですから、パラオ君、もう少しゆっくり食べてくださいな。」
パラオ「………。」コクリ シャリシャリ
トルコ『…パラオは日本さんの話なら聞くんだな…。』
―食後―
トルコ「お皿、流しまで持って行きますよ。」カチャカチャ
日本「ああ、ありがとうございます。」
トルコ「いえいえ。」
トルコ「……しかし、パラオの機嫌が良くなってよかったですよ。」
日本「そうですね。私もほっとしています。」
トルコ「僕と話しているときなんて全くの無反応でしたし…。」
日本「…それじゃあ、カキ氷を用意して、正解でしたね。」
トルコ「そうですね……え?」
日本「……おいしい物を食べると、人は機嫌が良くなるものですよ。」ニコッ
トルコ「…なるほど……。」
―夕方、台湾さんとパラオは2人、自分達の家に帰っていった。
僕と日本さんは2人で明日の準備に取り掛かることにした。―
トルコ「ええと、バケツは……。」ガサガサ
日本「はりきっていますね。」
トルコ「折角するんですから、思いっ切り楽しみたいじゃ無いですか?」
日本「…そうですね。私も今年は楽しみですよ。」
トルコ「そうでしょう?だから、出来る準備は怠らないように…。」
日本「トルコさんも一緒ですし、ね…。」ボソッ
トルコ「あと、他に何が必要ですかね…?日本さん?」
日本「そうですねぇ…。」
―花火大会前夜の話。
明日を楽しみにする僕は、さぞかし日本さんには子供のように見えただろう。―
今夜はここまでです。ありがとうございました。
最近、花火大会での事故のニュースがよく流れているので、
花火大会ネタは自粛しようかとも考えましたが、代わりの展開が思いつかなかったので、
このまま路線変更無しで続けてくことにしました。
なるべく過激にならないように注意します。
―次の日の早朝。―
トルコ「……ン……。」ゴソゴソ
トルコ「もう朝か……って、暗い…。」
トルコ「えっと、時計時計…。今何時だろう?」
カチッ・・・
トルコ「…4時半起床とは、遠足前の子供のようじゃないか。花火は夕方にするんだぞ?」
トルコ「…だからと言ってもう一度寝付けそうも無いし…。」
トルコ「しょうがない、ちょっと外に出てみるとしますか。」
ガラガラ……
トルコ「んん…ちょっと涼しいな。」
トルコ「蝉も鳴いていない。静かな朝だ…。」
トルコ「東の空が少し明るい。もうすぐ夜明けかな?」
トルコ「雲も少ないし、風も少々吹いている。」
トルコ「……今日もいい天気になりそうだ。」
日本「そうですか?それは良かったです。」
トルコ「うわぁっ!!??」
日本「わっ!?ご、ごめんなさい!つい、いつもの調子で…。」
トルコ「日本さん!?何故こんな時間に?」
日本「はぁ…どうしてなのか、今朝は早起きしてしまったもので…。」
日本「二度寝もどうかと思ったので、庭の草むしりでもして日の出を待とうかと…。」
トルコ「へ、へぇ…。」
トルコ『日本さんも、案外かなり楽しみにしてるんだ…。』
トルコ「そうですか…。」ニコニコ
日本「…?…そういえば、トルコさんも、何故こんな時間に?」
トルコ「ぼくも、日本さんと同じですよ。なかなか寝付けなくて…。」
日本「そうだったんですか…。」
トルコ「しかし、2人とも同じ理由とは…不思議ですね?」
日本「本当。お互い。不思議ですね。」クスッ
日本「もうそろそろ日の出です。…近くに、水平線からの日の出が見られる場所があるんですが…いかがです?」
トルコ「それはすごい。是非!」
日本「…では、私に付いて来て下さい。」
―その日も昨日と変わらず、日本さんの日課のお手伝いに勤しんだ。
少し変わったことと言えば、昼下がりの小休憩で、今までのお茶から、カキ氷に変わったことだろうか。―
―夕方。綺麗な夕焼け空が広がっていた。―
トルコ「…さて、と。」カタン
トルコ「日本さん。もうそろそろ、アメリカが来るんでしょうか?」
日本「そうですね。もうすぐ定刻ですし、このままここで待っていても大丈夫な筈です。」
トルコ「分かりました。じゃ、準備を整えておきます。」ゴソゴソ
日本「そうですね。私もぐずぐずせず、準備をしましょう。」
日本「…と言っても、着るものはいつもの物と変わりませんが…。」
トルコ「?」
日本「普段より、ちょっぴり、足元だけでもお洒落になろうかと…。」
カラン……コロン……。
トルコ「わあ、これまた立派な下駄ですね。」
日本「ありがとうございます。私の大切な宝物なんです。」ニコッ
トルコ「似合ってますよ。普段から履いていれば良かったのに…。」
日本「あまり汚したくないので、特別な日に履く物にしているんです。」
トルコ「そうなんですか。」
トルコ「sかし、いいですね。僕も何か他にもっと見栄えのする服などを持って来たならば良かったんですがね…。」
日本「…でしたら、トルコさんも、浴衣を着てみますか?」
トルコ「えっ!?そんな…!」
日本「私のお父様が、結局お使いにならなかったものがまだ、押入れにあった筈ですので…。」
トルコ「そ、そんな大切なもの、容易く引っ張り出して大丈夫なんですか!?」
日本「誰にも使われていなかった浴衣ですし、そのまま置いておくのも浴衣に申し訳ないでしょう?」
日本「『トルコさんにお貸しします。』と言えば、お父様も許してくださると思いますよ。」
トルコ「そ、そうでしょうか…?」
日本「…ええ。」ニコッ
トルコ「で、では……お言葉に甘えて…。お願いします。」
日本「はい!ではこちらで…。」
―日本さんに浴衣を着るのを手伝ってもらった。
ちなみに、今回は日本さんと共同。というわけで、下着の上から着ることにした。―
日本「まあ!似合っていますよ!!素敵です!」
トルコ「そ、そうでしょうか…?」
日本「ほら、こちらの鏡で…サイズも丁度で良かったです。」
トルコ「……なんだか別人に乗り移った気分ですよ…。」
日本「ふふっ…面白いことを言いますね。」
日本「でも、浴衣も喜んでいると思いますよ?トルコさんに着て貰えて…。」
トルコ「そうでしょうか?」
日本「ええ!きっと!」
バンバン!!(戸をたたく音)
アメリカ「Hey!!日本!ターキー!!来たよーー!」
日本「…やっと来ましたね。それでは、私達も行きましょうか。」
トルコ「…はい!」
―僕たちは、自分達の用意した花火やその他の道具を持って、
みんなが待っていると言う海辺へと向かった。―
今夜はここまでです。
ありがとうございました。
―歩くこと、約15分…―
トルコ「おっとっと…。」フラッ
日本「あっ!…大丈夫ですか?…流石に、下駄は止めて置いたほうが良かったでしょうか?」
トルコ「いえいえ。大丈夫ですよ!それに、こっちの方が雰囲気が出て良いですから!」
日本「……そうですね。」ニコッ
トルコ「僕もこういうの一度着てみたかったんですよ。着れてうれしいです。」
日本「それはそれは。」
―浜辺―
台湾「日本さーーーん!トルコさーーーんこっちこっちーーー!!」
トルコ「あ、台湾さん。…もう集まっているかな?」
日本「そうですね…しかし、今日はやけに賑わっているようですが…。」
ブータン「おや、これはこれは、日本さん。どうも。」
日本「あ、あれ!?ブータンさん?どうしてこちらに?」
ブータン「いや、今日は夜風が気持ちいので、少し散歩をしておりました。」
ブータン「すると、何やら面白い催しがあると聞いたので…。」
日本「そうだったんですか…お会いできて嬉しいです。」
ブータン「いえいえ。こちらこそ。」
トルコ「…こんばんは。ブータンさん。」
ブータン「これは、トルコさん。こんばんは。例のコンテスト、最終審査通過おめでとうございます。」
トルコ「あ、ど、どうもありがとうございます!
トルコ『そういえばそんなことがあったな……。』
日本「それにしても、今日はたくさん集まっているようですが…。」
ブータン「そうですね。私が把握しているうちでも、インドやパラオ。フィリピンにも先程お会いしました。以外なところでイギリスやカナダやその他にも…。」
日本「…アメリカ…。」
トルコ「相当宣伝してまわったようですね…。」
日本「まぁ、それだけ今年の花火には自信があるんでしょう…。」
日本「温かく見守ることにしましょう。」
トルコ「そうですね。」
ブータン「ははは…ん…?あれはパラオ君と台湾ちゃんですかね?2人を呼んでいるようですよ?」
日本「あぁ!待たせてしまってました!」
トルコ「と、兎に角急ぎましょう!」
―ブータンさんに別れを告げ、僕たちは台湾さんのもとへ急いだ。―
日本「すみませんね。お待たせしました。」
台湾「もう!待ちましたよー!なにブータンさんとのんびりお話ししてるんですか!」
トルコ「ごめん。台湾さん。僕からも…。」
台湾「…!?トルコさんどうしたんですかその格好!?」
トルコ「え…?ああ!そうか、今日は着物で…。」
台湾「カッコいいですよ!意外と似合ってますね!!」
トルコ「そ、そりゃあ…どうも。」
日本「……。」ニコニコ
トルコ「初めて着たけど…似合ってるなら嬉しいよ。」
台湾「雰囲気も大人って感じですし…。
アメリカ「Hey!!いよいよ祭りの始まりだぜ~~~~!!!!」ガバッ
トルコ「うわぁっ!?」ビクッ
台湾「び、びっくりした…いきなり出てこないでくださいよ!」
アメリカ「Sorry!でも、この日のために準備をしてきたんだ!今日は遠慮無しにハジけるよぉ~~~!!」
トルコ『確かに、アメリカは人一倍ノリノリだな…ハッピ着てハチマキまで巻いてるし…。』
台湾「もうすぐ打ち上げるんですか?」
アメリカ「Oh Yes!!カナダにお願いして手伝ってもらってるから、前よりも手際よく行ってるよ!」
日本「流石アメリカ、学習したんですね。」
アメリカ「……そ、それはホメていると受け取って良いんだよな?日本?」
日本「ええ?もちろんですよ?」
アメリカ「…OK!やる気出てきたよ!!よぉし!早速ぶっ放しに行ってくる!!Bye!!」ダッ
タッタッタッタッ…。
トルコ「……行ってしまいましたね。」
日本「ある意味、アメリカは単純で素直ですから…。」
台湾「そうですねぇ…。」
トルコ「…やっぱり。」
台湾「アメリカには内緒です。」
トルコ「り、了解…。」
日本「さて…もうすぐでしょうから、このまま待ちましょうか。」
―僕たちはそのまま、真っ暗な夜空を眺めながら、
花火が打ちあがるのを待っていた。―
今夜はここまでです。ありがとうございました。
正直、作品の方向性を見誤った感が否めなくて困っております(苦笑)
が、はじめに考えていたエンディングに無事向かえるよう頑張ります。
こんな輩ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
―更に待つこと5分…―
台湾「もうそろそろですね。」
日本「そうですね。さて…今年はどんな出来でしょう?」
トルコ「僕は初めてなので、楽しみです!」
台湾「日本さんは毎年見てますからね…日本さん。またダメ出しいっぱいするつもりですか?」
日本「ええ。もちろんですよ。酷評して差し上げるつもりです。」
トルコ『…さらっと怖いこと言わないでくださ~い…。』
ヒュ~~~~~~……
見物人達の1人「あっ! 打ちあがった!!」
ド~~~ン…… パチパチパチ…
見物人達「おお~~!」「た~まや~~!…で合ってる?」「すごい音だ!」「わぁ!キラキラ!!」
ヒュ~~~ ド~~~ン…… パチパチパチ……
台湾「わぉお!!」
トルコ「ひゃぁ~~デカイ花火だなぁ!」
日本「………。」
ヒュ~~~ ドド~~~ン…… パチパチパチ…
パラオ「……!!」
台湾「パラオ君も気に入ったようだね!」
パラオ「…空にお花が!!」
台湾「そりゃぁ、《花火》だからね!!」
パラオ「……花火!!きれい!!」
トルコ「しかし、アメリカもこんな凄いものを…。」
日本「………。」
ヒュ~~~~ ドト~~~゙ン…… パチパチパチ…
トルコ「……日本さん?」
トルコ「日本さ~ん…大丈夫ですか?」
日本「……え!?あ、はい!全然大丈夫ですが!?」
トルコ「なら良いんです!ずっと無口だったものですから…。」
日本「ああ、すみません。ただ……。」フイッ
日本「…花火に見惚れていただけですよ。」
トルコ「…いいものですね。花火も。」
日本「ええ…夏の夜にふさわしい光の花だと思いますよ。」
トルコ「いかがでしょうか?アメリカは合格点でしょうか?」
日本「そうですね…何でも大きければ良いと言うわけではないので、その点において減点ですね。」
トルコ「…手厳しいですねぇ……。」
日本「それはどうも。」クスクス
ヒュ~~~~ ドド~~~ン… パチパチパチ……
見物人達「まだまだ上がるぞ!」「綺麗だなぁ!」「来て良かったよ。」「ヒュ~~ッ!(口笛)」
トルコ「皆さん。楽しんでいるようで何よりですね。」
日本「そうですね。アメリカも向こうで大成功だとはしゃいでいるでしょうね。」
トルコ「僕も来て良かったです。いい夏の思い出が出来ましたよ。」
日本「それが私とって何よりも嬉しい知らせです。」ニコッ
トルコ「………。」
日本「あ…れ…?何か、気に障ることでも…?」
トルコ「いえ!…ただ、ひとつ……。」
日本「……ひとつ?」
トルコ「いや、その…日本さんって……。」ポリポリ
日本「………?」
ヒュ~~~~…
トルコ「あ、アメリカとすごい仲良くて…い、いいなぁ!…と…。」
ドド~~~ン… パチパチパチ……
日本「……?」
トルコ「あ、いや!?その…違うんです…なんていうか?」
ヒュ~~~ ド~~ン… パチパチパチ……
日本「トルコさん?…落ち着いてください?」
トルコ「なんと言うかその…僕達とは違った…その2人の間の雰囲気?みたいな…。」
日本「はぁ………。」
トルコ「僕は日本さんにとってやっぱり《お客様》の枠を超えられていないのかなぁ…なんて……。」
日本「……トルコさん!!」
ドド~~~ン…
トルコ「はっ!はいっ!?」
日本「次、四尺玉が飛びます!」
トルコ「へっ!?」
ヒュ~~~~~… ドドド~~~~~~~ン
トルコ「う、うぉ~~っ……!」
パチパチパチパチパチ……
日本「………。」
見物人達「すごいすごい!」「一番大きかったぞ!!」「なんて大きさだ!」「幻想的だったわ!」
トルコ「………。」
日本「……キレイな花火ですね。」
トルコ「……はい。」
トルコ「忘れなれないほど、とても美しい花火でした。」ニコッ
日本「私も。今日の花火大会は忘れられない素敵な思い出になりました。」
トルコ「それは良かったですね。アメリカはあの大きさは初めてなんですか?」
日本「いいえ。トルコさんと一緒に花火が見られたことが。忘れられない思い出になったんです。」
トルコ「……へ?」
日本「…今までよそよそしい態度で申し訳ありませんでした。…ですが、あまりに砕けた感じだと無礼かと思いまして…。」
日本「アメリカとは昔からいろいろと接点があるので、別に気を遣う必要も無かっただけなんです。」
トルコ「…そうだったんですか…。」
日本「…考えれば、私もトルコさんに助けてもらったり、良くしてもらったり、恩がたくさんありますものね。」
トルコ「い、いえいえ!僕はただ……。」
トルコ「…これからも、日本さんと仲良くしていけたらなぁ…と思っただけです!」
日本「…私も同感です。」
トルコ「……『都市開発コンテスト』。お互い頑張りましょうね。」
日本「…ええ!私も全力を尽くしますよ!」
トルコ「僕もです!真っ向から挑ませていただきます!」
日本「……困ったときはお互い様。」
トルコ「…これからも何卒。よろしくお願いします。」
ヒュ~~~ ド~~~ン…… パチパチパチ……
日本「……なんで私たちはこんな話をしているのでしょう?」
トルコ「……さぁ?」
日本&トルコ「…………。」
日本「……ふふっ」
トルコ「……っ」
日本&トルコ「あはははははっ!!」
日本「な、何で笑い出したんですか!?…トルコさん!」クスクス
トルコ「さ、さぁ?に、日本さんも!!ハハハッ…!!」
パラオ「……?ふたり、なにしてる?」
台湾「ん~~?……そっとしておいてあげようね。」クスクス
パラオ「……??」
日本「…さて!もうアメリカの花火も打ち尽くしたようですし、私たちの持ってきた花火でもしましょうか!」
トルコ「そうですね!今此処にいる皆さんでしましょう!」
トルコ「そうと決まれば早速みんなを呼び留めないと!」
日本「すごい楽しそうですね。トルコさん。」
トルコ「当たり前ですよ!アメリカの独擅場で終わらせはしませんよ!!」
日本「ふふっ…面白い方。それじゃぁ……。」
日本「行きましょうか!トルコ!」
トルコ「はい!」
トルコ「……って、え!?」
日本「……い、急ぎましょう!皆さん帰ってしまいます!」
トルコ「ま、待って!い、今何て…!?」
日本「何も言ってませんよ!トルコさん!!」
トルコ「ええっ!?」
―この日の出来事はこの日記帳何ページを使えばすべて書き留められるだろうか。
あの後、浜辺に残ったみんなと、打ち上げ台から帰ってきたアメリカも加わって、
花火大会の二次会(?)が催された。
パラオや台湾さんが無邪気に花火を振り回していたのが印象深かった。―
あの花火大会後。
僕は更に2日日本さんの家にお世話になった。
下駄の緒で足を擦り。怪我をしてしまったのだ。
また、アメリカが来年用の花火のアイデアを僕達と考えたい。と、僕の帰省を引き止めたのも理由の1つだ。
ただ、そのおかげで僕のお見送りの面子が豪華になったことも言及しておこう。
この夏、いつもと代わり映えの無い夏を過ごすはずだった。
しかし、それは僕のほんの小さな出来心で大きく変わった。
この夏は、さまざまな意味で忘れられない夏になった。
何時の日か、またこの日記の、このページを読み返して、
あの思い出に浸ることになるのだろう。
これからも、幾度と無く。
おしまい
やっとのことで完結しました。
突然ですが実はこのSS。前作があります。(気付かれてないことに安心した反面、すこし悔しかった。が本音です。)
前作 日本「私はいつだって 日本 ですよ。」
前作をまとめていただき、そのコメントの中に、
「トルコやパラオも出して欲しかった。」というのがあり、
「やっぱりトルコやパラオも出すべきだったか。」と思い。せっかくなので「続編」という形で出させていただきました。
今作はもう何も考えずにネタに突っ走りました。
あれこれ構造を考えた結果、「もう、ネタに走ろう。」ということに…。
ただ、ある程度前作の設定を引き継ぐように注意はしました。(下駄など。)
前作の反省が活かされた気がしないSSになった気がしますが…。
最後までお付き合いありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
乙!!面白かった!