鈴乃「わ、私が魔王の事を好きになるはずがないだろ!」真奥「お、おうそうだな」 (27)

 ―――夏
 エンテイスラとかイエソドの欠片関係とかアラス・ラムスとかアシエスとかがなんやかんやで片が着いた翌年。
 魔王はいつものようにヴィラローザ・笹塚にいた。
 芦屋は買い物に出ており漆原はいつものようにも押し入れでパソコンに向き合うドラえもんと化しておりいないものとして扱われ。
 いま現状部屋にはアシエスと休日の真奥、そして鈴乃しかいなかった。

 真奥「ったく、毎年毎年暑いったらないな。バリバリくんもアシエスの馬鹿が食っちまうしなぁ」

 アシエス「だってだって! マオウ食べるの遅いからいらないのかなーって思ったんだもン! 溶けちゃうともったいないしネ! ってアイタタタ頭グリグリやめてーヘルプミー」

 真奥「だからって人のもん勝手に食うなよ! 珍しく鈴乃のやつがアイスなんて買ってくれたんだぞ。しかも超品薄のコンポタ味!」グリグリ

 アシエス「うん、おいしかった。もっと食べたいナ! ってあたたた」

 真奥「お前全然反省してないよな」グリグリ

 アシエス「ごめんなさーいもうしませーン!」

 真奥「たく、何度めだその言葉は」

 いつも通りの漫才にいつも通りのじゃれあいであった。

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鈴乃などはそのやり取りを横目に

 鈴乃「……お前たちはいつでも変わらんな。買ってきた私が言うのもなんだが、アイス一本くらいで喚くほどじゃないだろうに……」

 などと呆れるくらいにはいつもの日常をあじわっていた。
 昔と違うのは皆の距離感がぐっと近くなったということだろうか。
 エミリアこと恵美。ベルこと鈴乃。
 この二人の心の距離はエンテイスラでの恵美誘拐の事件を機に、ぐっと縮まっていた。
 あれから一年と言う時間も経過したせいもあるだろう。
 鈴乃は、恵美を奪還する途中に自覚した、自分の真奥に対する不確かな恋心を確かなものにしており……

 鈴乃「まったく、魔王ともあろうものが相変わらず威厳のない。汗もこんなにかいて……ほら、顔をこっちに向けろ」

 真奥「ぶおわ! って鈴乃! 汗ふくくらいなら自分でできるからやめろって」

 鈴乃「馬鹿もの、魔王は臣下の心遣いを快く受け入れておればよい。……ほら大人しくしていろ……ふふ」

 なんて、結構ぐいぐいと攻めていたりした。
 あの時不確かなまま、見て見ぬふりをしようとした恋心は時間の経過が、再熱するための燃料をくべたのであった。
 ちょっとは抵抗しつつも鈴乃の強気に真奥は結局なすがままであった。
 自分で臣下認定した身としては鈴乃の言葉にもそれなりの説得力があり、反論することもできなかった。

 ちょっと悔しい思いをしつつもなすがままの真奥にアシエスは

 アシエス「マオウなすがままだネ! スズノ奥さん見たイ!」

 それなりの爆弾を落としていった。
 主に鈴乃用のだが。
 もちろん鈴乃は、顔を赤色に染めどもりなら、ちょっと高いプライドと今まで真奥に取り続けてきた態度のせいもあり思わず反論する。

 鈴乃「ばばば、馬鹿もの! だ、誰が奥さんか! わ、私は聖職者だぞ、魔王となぞと……ゆ、ゆゆ結納を上げることすらおこがましい!!」 

 アシエス「えーでもスズノってば楽しそうだったシー」

 鈴乃「ば、馬鹿ものそれは真奥の反応が少し可愛かった上に嬉しいからつい……」

 と、鈴乃は、はっと自分の失言に気付き真奥に振り向く。
 
 真奥「あー……いや、俺はなんにも聞いてないからな」

 真奥は、「ちょっとまずいこと聞いちゃったな……」なんて反応になる。   
 真奥も、薄々鈴乃の恋心には気付いていた。
 ツンケンしていた鈴乃がこんなにも甲斐甲斐しくなっているのである、むしろ気付かない方がおかしい。
 というか気付かないというのは流石に馬鹿であろう。
 が、勘違いの可能性も0じゃなく実は本当に仲がよくなっただけ、という可能性も捨てきれず今まで気づいていないふりをしていた。
 が……こんな不本意な形でばれるのも嫌だろう、ということで本人のためにも聞いてなかったことにした。

が、そうはいかないのが現実であり当たり前だが本人にはなんの救いにもならないのであった。
 鈴乃は,真奥に気を使われているのが分かっている。
 真奥が返事をできるほどには余裕が無いことも知っている。
 まだ学ぶことが沢山あり、自分の胸の内を明かすのは今の真奥には迷惑なのもわかっていた。
 だが、ばれた。
 
 鈴乃「あ、う、いやこれは」

 鈴乃は赤面しながら口ごもる。
 言いたいことは、あった。
 本当に聞いていないのか? とか相変わらず気を回し過ぎる奴だとか、そうい所に惚れたとか思考がぐるぐる頭を回りフリーズしかける。
 だがアシエスは無邪気にもそんな状態の鈴乃に言葉を続ける

 アシエス「スズノはマオウのこと好きなんだよネーっていあたたた」

 真奥「人のプライバシーにヅカヅカ突っ込んでんじゃねーよ馬鹿」グリグリ

 真奥あ力づくアシエスをとめた。
 これ以上放置しているとより深いどつぼに入ると判断したからだ。
 ……確かに真奥の判断は正しかった。

 少し遅かった上に今のフリーズしかけの鈴乃という状態でなければ。

 鈴乃「わ、わたしが真奥のことを好きなどと…………魔王!」

 真奥「お、おう」

 突如呼ばれた真奥は背筋を伸ばして即座に返事をした。
 それだけの威圧感があった。
 なんというか顔を赤く染め上げテンパったように目を右往左往とキョどらせてはいるものの、鬼気迫るものがあった。
 そして鈴乃は真奥に指をさし

 鈴乃「わ、私が魔王の事を好きになるはずがないだろ!」

 真奥「お、おうそうだな」
    
 鈴乃「そうだ! そういうことだ! 納得したな……く……私は、気分が悪いから帰る」

 そう言って鈴乃は立ち上がり逃げるように隣の部屋に帰ろうとする。
 それに真奥は

 真奥「お、おう大丈夫か」

 鈴乃「魔王に心配されるほど私も落ちてはいない!」

 声をかけたが一蹴され鈴乃は帰って行った。
 鈴乃が帰り、しばらくした後、真奥も冷静になってきたのか一度頭を掻き。

 真奥「………あーまいったな……こりゃもう少し言葉を選べばよかったな……」

 アシエス「まいっタ」

 真奥「お前のせいだろ」

 アシエス「アイタッ! ハタクのはなしだヨ!」

 アシエスは真奥に抗議する。
 が、もともとの元凶がなにを言おうが魔王は聞き耳持たなかった。
 と―――それを横目に押し入れから声がした、

 漆原「魔王って相変わらずああいうのの対応下手だねー」

 今まで黙っていた押し入れのドラえもん以下のごくつ潰しがなにか言ってきた。

 真奥「お前なー聞いてたなら少しはフォローしろよ」

 漆原「いやだよ。僕馬に蹴られたくないもん」

 漆原「……いやこの場合勇者と女子高生だけどさ」

 などと押し入れで言うが、真奥には聞こえていない。
 しかし真奥は、困っていた。
 告白の言葉を言われていないとはいえ、あそこまであからさまであれば、鈴乃の好意は余裕で伝わる。
 真奥は漆原に聞く。

 真奥「なあ、鈴乃のやつ、あれってあれだよな」

 漆原「まああれだね。流石にわかるでしょ、あそこまであからさまなら」

 真奥「まあ、な。別に……好かれるようなことした覚えはないんだけどな」 

 漆原「無自覚って奴じゃない? アニメでもその手のものは多いし。まあ僕からしたら、ベルと出会ってから凄い勢いで好感度上げたようにしか見えなかったけど」

鈴乃「なんで好きになる必要があるんですか(動揺)」
アシ「ウソつけ絶対意識してるゾ(指摘)」
真奥「お、そうだな(すっとぼけ)」

などの会話を経て(ry

今原作ではどうなってるのkwsk

>>9
恵美誘拐されて、ハゲにレイポされた

>>10
和姦だろ?

とりあえず続きはよ

 真奥は、漆原の言葉に少し呆れ気味に返答する。

 真奥「あのなぁ、アニメとかと一緒にすんなよ。映画とか漫画みたいなのが現実に起こるわけねえだろ」
 
 漆原「アニメとか映画の住人そのものみたいな人がそういうこと言ってもあんまり説得力無いけどねー」

 真奥「……うぐ」

 漆原におもいっきり図星つかれた真奥はなにも言えなかった。
 それに漆原は若干の呆れとため息で真奥にアドバイスする。

 漆原「あのね魔王。こういうのもなんだけど、いい加減自分の周りを整理したらどうかな。いつまでも似たようなことでギクシャクしてるわけにもいかないでしょ」

 真奥「……なにがいいたいんだよ」

 真奥は、漆原のアドバイスの裏にあるものを薄々感じつつも聞き返す。
 それに漆原は、「分かっているだろうに相変わらず不器用だね」とでもいいたげなため息を吐き

 漆原「いい加減身を固めれば?」

 真奥「……んな!」
 
 衝撃の発言! というわけでもなかった。
 まあなにを言いたいかは薄々気づいていたが、しかし改めて言われれば結構くるものがある。
 しかし漆原はそんな真奥を放置してパソコンを弄りながら言う。

 漆原「魔王がさ、忙しくて金が無い上に余裕が無いのは分かってるけど、このまま放置は流石に不味いってことくらいわかってるよね? なにより、佐々木千穂が告白してから一年以上経過してるし。だからさ、まぁつまりはさっさと一人決めちゃえばいいんじゃないってこと。エミリアでも佐々木千穂でもベルでも後腐れなくさ。もちろん全員選ばなくてもいいけど」
 
 「別に皆が嫌いなわけでもないんでしょ?」と付け加えて、漆原はパソコンに向き合う。
 そして真奥は……悩んでいた。
 確かに、不味いのは分かる、そして元敵のエミリアやベルを含め嫌いというわけでもない。
 それにただでさえちーちゃんに返答もしていないのに、このままの状態で日常を過ごすのは最低すぎることも分かっている。

 だが、真奥には恋心とか愛とか、そういうのがいまいち理解できていない。
 悪魔であり、幼いころから暴力や侵略、殺し、闘争そして魔王として、ずっと黒い道を歩いてきたのだ。
 だからか、真奥は、恋愛というものを察することはできても、理解するのが難しいのだ。
 たしかに自分の事をパパと慕う愛娘アラス・ラムスを愛してはいる。
 しかし、だ。それは親としての愛であり、異性を好きになるとは、また別のものであった。
 自分の周りにいる女の子たちが美人であり、可愛い。それは認めてはいるが、それが恋愛に繋がるかといえば、また別の話だった。
     
 真奥「やっぱ恋愛ってわかんねーな……」

 漆原「……まぁそうだろうね。じゃないとこんなこと一年以上続けてもいれないだろうし」

寝る!

おやすみ!

マダー?

はよ

続きマダー?

続ける気はあるのかねぇ?

見ようかと思ったが、原作未読の俺にはネタバレが多過ぎた

頼むからアニメのみのやつにはネタバレありとか先に言ってくれ

まだー?

こりゃ落ちるな

期待してただけに残念

誰が落ちるって?
たかが2ヶ月ぐらいで何をいってんの?

一応、あげときます

>>25
いやここ作者が2ヵ月書き込まなかったら落ちるから…

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