恵美「働きたくない。」 真奥「!?」 (30)
こんばんは、あけましておめでとうございます。
1、このSSは、はたらく魔王さま!のSSです。
2、以前に書いた、恵美「あいつらと一緒に映画を観に行くですって!」 と、
恵美「真奥、映画を観に来たわよ!」の間の話になっています。
ですが、その2つを読んでなくても大丈夫です。問題ないです。
3、別作品のキャラが少しだけ登場します。
何か意見がありましたら教えて頂けると幸いです。それでは、よろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388854928
魔王城という名のアパートにて・・・
真奥「いきなり来て、開口一言目がそれかよ! 一体どうしたんだ?」
恵美「言った通りよ。なんか、働くのに疲れたの。」
漆原「うれしいよ、エミリア。ようやく働かない事の素晴らしさを分かってくれたんだね。 」
恵美「うるさい、黙れニート。この世界で働いた事がないくせに、一緒にしてんじゃないわよ。」
芦屋「お気を付け下さい、魔王様。遊佐が罠を仕掛けている可能性があります。 」
恵美「うっさいわね、残念ながら罠を仕掛ける気力もないわよ。」
真奥「相当、疲れてるみたいだな。でもなんでウチに来たんだ?」
恵美「…あんたの顔を見れば、少しは気分が晴れるかと思って。(小声」
真奥「うん? なんか言ったか?」
恵美「な、なんでもないわよ/// とりあえず、茶菓子は買ってきたから、お茶を出してくれない?」
真奥「おっ、そうなのか。ちょっと待ってろ、今出す。」
そんな真奥と恵美の様子を見て、漆原と芦屋は部屋の隅に移動した。そして小声で話しだす。
漆原「・・・ねえ、芦屋。エミリア、真奥に対しては態度が柔らかくない?
というか、デレてない?ツンの部分はどこに行ったの?いやまあ、僕に対してはツン全開だけどさ。」
芦屋「確かに、最近は以前のように完全に敵対するような態度は見せなくなったな。」
漆原「真奥がエミリアに対して何かしたの?そういえば数ヶ月くらい前に、
芦屋と真奥、エミリアとその友達の4人で映画を観に行ってたよね。
何かその辺りからエミリアの態度が軟化したように感じるんだけど。その時に何かあったの?」
芦屋「どうだろうな。映画を見終わった後は、大体終始映画の話をしてたんだが。
あっ、でも確か、映画館からの帰り道に魔王様とエミリアが二人きりで会話してた時間があったから、
もしかしたらその時に、エミリアが心変わりするような出来事があったのかもしれないな。」
漆原「へえ。まあ僕としては、このままエミリアの態度が軟化していってくれれば、
エミリアから理不尽な暴力を受けることがなくなるだろうから大歓迎だけどね。」
芦屋「ならお前に良い事を教えてやろう。
お前がきちんと働くのなら、私から文句を言われたり、暴力を受けることがなくなるぞ。(ニコッ」
そう言って芦屋は、求人誌を漆原の前に置いた。
漆原「・・・さてと、そろそろ日課のランニングの時間かな。」
漆原は、部屋から飛び出した。
芦屋「おい待て、逃げるな!お前の日課にランニングの五文字は無いだろ!
普段ゲームとネットサーフィンの時以外ほとんど動かない癖に、こんな時だけ動くな!!!」
芦屋「すみません、魔王様! ちょっと漆原を捕まえてきます!」
真奥「分かった、頑張れよ。なんなら、ロープで縛って隣山に捨ててきてもいいぞ。」
芦屋「はい!分かりました!!!」
芦屋はそう言って、漆原を追いかけて行った。
恵美「・・・あんた達、漆原に対しての扱いがアレすぎない?」
真奥「ん?そうか? 大体いつもこんな感じなんだが。」
恵美「そ、そう。ならいいわ・・・」
真奥「まあそれはそれとして、どうして仕事に疲れたんだ?仕事中に何かあったのか?」
恵美「・・・私、テレアポの仕事してるでしょ。」
真奥「ああ、docodemoのテレアポセンターの仕事だよな。」
恵美「私は今その中で、ユーザーサポートの仕事をしてるんだけど、あるお客様が、やたら私の事に関して聞いてくるのよ。」
真奥「ん?何でだ?普通、ユーザーサポートって、その会社への要望とか、商品に関する問い合わせをするところじゃないのか?」
恵美「確かに最初は、商品に関する問い合わせ、というかクレームだったんだけど、
途中から私の私生活に関することを聞かれるようになったのよ。」
真奥「?? 何で商品のクレームから、お前の私生活に関する話にシフトしたんだ?」
恵美「簡単な話よ。お前の普段からの生活に問題があるから、
商品にも不具合がでたんじゃないのか?っていう感じで話がシフトしていったの。」
真奥「それは、かなりの言い掛かりだな・・・」
恵美「まあ、ユーザーサポートの仕事をやってればそういう事は偶にあるんだけど、今回の場合はとにかくしつこいのよ。
私の名前も覚えられちゃって、別のスタッフが電話にでても、遊佐をだせってわざわざ指名してくるし。」
真奥「そ、そうなのか・・・それは、大変だな・・・」
恵美「ちなみに今日は、私の食生活について聞かれたわ。私が惣菜屋に通ってるって言ったら、鼻で笑われたけど。」
真奥「お、おう・・・」
恵美「というか、あのクソ野郎・・・じゃなくてお客様は、私が惣菜屋で買い物する事に何の文句があるのよ!
惣菜屋くらい誰だって行くじゃない!それに私だって、時間があればちゃんと自分で料理作るわよ!
毎日、例のOL晩ごはんじゃないから!」
真奥「へえ、すごいな。恵美は料理出来るんだな。俺はいつも料理は芦屋に任せちゃってるから、全然出来ないんだ。
ちなみに、どんな料理が得意なんだ?」
恵美「え? そ、そうね、肉じゃがとか超得意よ。(額から汗を流しながら」
真奥「肉じゃが!? 芦屋が言ってたけど、肉じゃがって煮崩れしやすいとかで、
すごい作るの難しいんだろ?恵美って料理上手なんだな。」
恵美「ま、まあ、そうね。私は、りょ、料理上手かもしれないわね。
なんなら、今度あんたに作ってあげましょうか? (額から大量の汗を流しながら」
真奥「本当か!頼む、作ってくれ! 金が無くて、最近まともな食事をとってないんだ。
にしても、肉じゃがかあ、旨そうだなあ。」
恵美「ふ、ふふっ。じゃあ、今度の日曜日に作ってあげる。 (額から滝のような汗を流しながら」
真奥「おう、ありがとな。楽しみにしてるぞ。」
恵美「(・・・どうしよう。つい、肉じゃがが得意って言っちゃったけど、
肉じゃがなんてほとんど作ったことないわ・・・帰って作るの猛練習しないと・・・!)」
恵美「あっ、そうだ! この後、用事があるんだった! 今日は帰るわねー!」
恵美はそう言って、部屋から出て行った。
真奥「お、おう。またな。」
真奥「・・・またずいぶん急に帰って行ったな。ちょっと慌ててた気もするが、気のせいか?」
真奥「・・・まあなんにしても、元気になったみたいで良かった。
恵美の元気のない姿を見てると調子が狂うんだよな。なんでだろ?」
真奥「・・・ま、いいか。さて、俺も漆原を捕まえにいこうかな。」
大分短いですが、本編はここまでです。ここからはおまけを投下していきます。
色んな意味で、キャラ崩壊にご注意ください。
おまけ
それから数時間後、恵美の部屋にて・・・
梨香「急に料理の作り方を教えて欲しいっていうから、どうしたんだろうと思ってたんだけど、
真奥さんに料理を作ってあげたいのが理由だったなんて・・・恵美もついに素直になったのね!」
恵美「ち、違うわよ/// たまたま、料理の練習をしたいなって思って、
たまたま、真奥が実験台になりたいっていうから、食べさせてあげるだけよ!」
梨香「自分の作った料理を実験品扱いするのもどうかと思うけど・・・。」
梨香「恵美が恋心を自覚するのはまだ先の話かー。ついに、乙女プラグインを搭載したかと思ったのに。」
恵美「だから恋なんかじゃないって! ・・・・・・・・ところで、乙女プラグインって何?」
梨香「え、あ、あはは。何でもない! 何でもない! 何でもない! 何でもない!」
恵美「4回も言った・・・」
梨香「こまかい事は気にしなくていいの! ・・・ちなみに、どんな料理を作りたいの?
料理の作り方を教えて欲しいっていうのは聞いたけど、何の料理を作りたいかはまだ聞いてないんだけど。」
恵美「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肉じゃがです。」
梨香「・・・・・・・・・うん、まあ、なんというか、その、・・・チョイスがベタだね。ベタベタだね。」
恵美「・・・ごめん。」
梨香「でもそうかー、肉じゃがかあ。じゃあ気合い入れて恵美においしい作り方を教えないとね!
今度の日曜日に真奥さんの所に作りに行くんだっけ?」
恵美「そうなの。だから、時は一刻を争うのよ。」
梨香「・・・ちなみに、日曜日は芦屋さんもいるの?」
恵美「うーん、たぶんいるんじゃない?」
梨香「本当! 私も恵美について行っていい?」
恵美「いいけど、ついて来てどうするの?」
梨香「その・・・私も芦屋さんに何かおいしい料理を作ってあげたいなーって思って///」
恵美「えっ?」
梨香はこの時気づいていなかった。
今のこの現状では、恵美よりも梨香の方がよっぽど乙女な状態にあることを。
おまけ2
それから数日後、マグロナルドにて・・・
マグロナルドは盛況で、たくさんの人で混みあっていた。
そんな中、真奥はいつも通り一生懸命働き、気付けば休み時間となっていた。
真奥は休み時間の中で、マグロナルドで一緒に働いているメンバーと、近況について語りあう。
真奥「・・・という訳で、クレームだけじゃなくて、私生活についても色々言われてるらしいです。
テレアポの仕事ってすごい大変みたいですよ。俺が助けられるものなら助けてやりたいんですが・・・」
千葉「そうなのか。ところでその・・・恵美さんだっけ?
色々気に病んでるとのことだが、恐らく、そこまで気にする必要はないんじゃないか?」
真奥「? どういうことですか?」
千葉「その電話をかけてくる人物が、商品のクレームや恵美さんの私生活を暴きたいという理由で、
執拗に恵美さんに電話をかけている・・・・・・ということではないかもしれないからだ。」
真奥「??? すみません、よく意味がわからないんですが・・・・」
千葉「以前、私の知り合いにも似たようなことがあったんだ。その知り合いは女性で、電話応対の仕事をしていた。
彼女も恵美さんと同じように、電話相手から商品に関するクレームがきて、その後は商品以外のことを色々聞かれたらしい。
だが後でわかったんだが、相手は別に、彼女を困らせたくて色々聞いていたわけではなかったんだ。」
真奥「それってどういう・・・?」
千葉「・・・ちなみに、君自身の感想として聞きたいんだが、恵美さんの声は綺麗か?」
真奥「ちょっ、えっ? いきなりなんですか!?」
千葉「これは重要なことなんだ。はぐらかさずに教えてくれ。」
真奥「・・・それは、まあ、綺麗な声をしてるとは思いますけど・・・///」
千葉「なぜ君が照れる? だが、そうか。ではやはり・・・」
千葉が続きを言いかけた時、真奥の携帯の着信音が流れた。
真奥「恵美からだ・・・・すみません、ちょっと携帯に出てもいいですか?」
千葉「どうぞ。」
真奥は電話に出る。
真奥「もしもし、どうしたんだ急に?」
恵美「バイト中に悪いわね。でも、どうしても伝えたいことがあって電話したの。」
真奥「どうしたんだ?」
恵美「スカウトされちゃった・・・」
真奥「はい?何だって?」
恵美「歌手としてデビューしないかって、お客様からスカウトされちゃったの!」
真奥「え?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」
真奥「(その後、恵美に詳しく話を聞いたところ、恵美に執拗に電話をかけてきた相手というのが、
とあるレコード会社のスカウトの人だったらしい。)」
真奥「(最初は単純に商品のクレームをしようと思って電話をかけたそうだが、
恵美の声を聞いて、才能を感じたそうだ。)」
真奥「(それで、もっと恵美の声を聞きたいと思った結果、商品以外の事も聞いたそうだ。
何度も電話をかけた理由というのも全て、恵美の声を聞きたかったから、ということだった。)」
真奥「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人生、何が起きるか分からないもんだな。)」
それから数年後、とあるCDショップにて・・・
店内にアナウンスが流れる。
<TIBA_RECORDより、大型新人登場! 遊佐恵美が歌うデビューシングル、「勇者エミリアのOL晩ごはん」!!
780円にて全国発売!!!!! から揚げとコロッケと白いご飯への思いが詰まった、壮大なバラードになっています!!!>
千葉は、そのCDショップの視聴スペースにて、「勇者エミリアのOL晩ごはん」を聴いていた。
千葉「・・・やはり、私の目と耳に狂いはなかった。このミュージックは最高だ。やはり彼女は逸材だった・・・」
千葉「(・・・死神を辞めて、マグロナルドでバイトをして資金を貯め、レコード会社を設立して本当に良かった・・・。)」
終わり
以上で終わりです。読んでくださった方々、ありがとうございました!
ちなみに、このSSに登場した千葉は、死神の精度という作品にでてくるキャラクターで、
ミュージックが好きな死神です。
前回のSSで取り上げた、魔王-JUVENILE REMIX-という作品にも僅かですが登場しています。
それでは改めて、ありがとうございました。
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