地の文
アイドル視点・P視点でもなく、ある男の視点からです
なので不愉快に思ったり、不快感を感じる可能性もあります
いつも通り教室に入ると、男子がとある男子の机に集まっていた。
俺は背負っていたリュックを机に置き、その集団に加わった。
「おーす。なに集まってんだ」
「おー。コレ見ろよ」
そう言って、座っていた奴が雑誌を差し出してきた。
俺はそれを受け取ると、雑誌の表紙をまじまじと見る。
「ヤンデレか」
ヤンデレ。正式名称は週間ヤングシンデレラ。
実写化やアニメ化された作品が、多数連載されている人気マンガ雑誌。
そして、男子高校生にとってマンガと同等に、巻頭グラビアも楽しみの一つ。
今週は誰だろうと楽しみに見ると、自分の目を疑った。
見慣れた幼馴染が表紙を飾っていた。
俺は幼馴染の横に書かれた彼女の名前を確認する。
そこには、藤原肇と書かれていた。
俺は再び、表紙を飾っている彼女を見た。
黒い長い髪。白磁器の様に白い肌。パッチリとした瞳。少しぷっくりとした唇。
子供の頃からずっと横にいた彼女だ。
「マジかよ」
俺は、慌ててページをめくる。
数ページにわたって、色んな幼馴染が写っていた。
昔から変わらない少しぎこちない笑顔。見たことのないすました顔。真剣なまなざしで轆轤を回す彼女。
他にも諸々。
そして、最後のページには黒色のビキニを着て、見たことのない挑発的な顔をした彼女がいた。
俺は挑発的な彼女に目を奪われてしまった。
「オマエ知ってた」
無言で首を横に振り、雑誌を返した。
「そっか。俺もいつも通り取ったらおどろいたわ」
「俺にも見せて」
「あいよ」
後から輪に加わった奴に雑誌が渡された。
「まじでアイドルやってんだな」
「そりゃな」
俺はテキトウに相槌をうった。
「オマエは連絡取ってんの」
「一応、な」
「まじかよ。アイドルと連絡取り合うってマジあこがれんだけど」
「そっか」
「そっか。じゃねぇよ。全国の男子高校生が憧れてることだぞ」
まるで狂犬のように噛み付いてきた。
「って言われても、肇とはガキの時から一緒だったし」
「それが羨ましいんだよ。ナチュラルに『肇』呼びしやがって」
「お前らだって、高校途中まで同じ学校だったんだから、いいじゃねえか」
「そりゃあそうだが、オマエという幼馴染がいたせいで何ともいえねえんだよ」
「しらねえよ」
「この贅沢者が。んで、ところで最近どんなやりとりした」
狂犬からうって変わって、ゴマをする取り巻きの様に言ってきた。「特に話すことないぞ。元気にしてる?。とか、東京についてとか、他のアイドルの話とかしか」
「あるじゃねぇか。他のアイドルの話ってどんなんだ」
俺はいつの間にかクラスの男子に囲まれていた。
一種の恐怖を感じる。
俺は掻い摘んで肇から聞いた話題を話した。
「まじでか。いい話聞かせてもらったわ」
話し終わると、野郎どもは満足そうな表情をしていた。
「おら、てめーら席につけ」
教室に担任が入ってくるとほぼ同時に、チャイムが鳴り響き各々の席に戻った。
担任は教卓に立つと、いつもと同じように、出席をとり
関係有るのかわからない連絡事項を読み上げ、朝のホームルームが終わった。
そして、授業が始まる。毎日同じ事の繰り返し。
そして、最後の六間目の授業のチャイムが鳴り響き、学校が終わった。
「帰ろうぜ」
友達が声をかけてきた。
「あぁ」
生返事を返して俺は教室を見回し、ある人影を探す。
授業中とうって変わって、教室の中は華やいでいる。
けれど肝心の探し人の姿はない。
「どうした」
友達が不思議そうに尋ねてきた。
「なんでもない」
俺は立ち上がってから、机にかけていたリュックを背負った。
「帰るか」
「そだべ」
俺達は教室を出た。
廊下に出てから俺は教室を見回す。肇の姿はない。あたりまえだ。
東京にいるのだから。
「なにしてんだ」
友達が声をかけてきた。
「いや、なんでもない」
俺は、何もなかった素振りで友達の横を歩く。
「マジで、藤原さんアイドルなんだな」
ヤンデレを見ながら友達が感慨ぶさげに言った。
「だな」
「何度か違う雑誌とか、TVとかで見かけるけど、不思議でな」
「そうだな」
「ほんの半年ちょっと前まで同じ空間にいたなんて信じられん」
「あぁ」
「どうした、今日はやけに上の空だな」
友達が心配そうに言ってくる。
「いつもと変わらんが」
いつの間にか下駄箱についていた。
「ぜってぇ。嘘だ」
「嘘ってなんだよ」
笑いながら言った。上履きと上靴を交換する。
「だって、いつもならもうちょい元気だろ」
「もうちょい元気ってなんだよ」
俺達は上靴を履いた。
「つうか、俺ってそこまで元気じゃないの」
「わからん」
「わからねぇのかよ」
友達の頭を笑いながらはたいた。
はたかれながらも友達も笑った。
「いやー、でもほんと凄いわ」
「なにが」
「そりゃあ、藤原さんだろ」
それ以外何が有るんだと言わんばかりに、呆けた顔をしていた。
「わかるか」
もう一度頭を軽くはたいた。
「いってぇ」
はたいていない場所を摩りながら言った。
「痛かねぇだろ」
「ホントだ」
けろっとした顔で言う。
「大丈夫か、あ・た・ま」
「おう、だいじょばない」
「どっちだ」
俺達は顔を見合してから、笑った。
「とっとと帰るか」
「だな」
駐輪場に向かう。そして、自転車に乗り学校を出た。
「なあなあ」
友達が軽い口調で言ってきた。
「なんだ」
「オマエ藤原さんと、そのー、ドコまでいったの」
「どこまでって何が」
友達の言っている意味が分からない。
「そりゃぁ、あれだ、あれ」
歯切れが悪すぎる。
「あれってだからなんだ」
少し苛立った言葉をぶつけた。
「あれはあれだよ。ほら、そのー」
友は少し言いよどんでから
「ちゅーしたとか、手ーつないだとか。セックスしたかとかだよ」
恥ずかしげもなく言った。
俺はその言葉を聞き、慌ててブレーキをかけて止まってしまった。
「なっ、何言ってんだ急に」
自分自身でも顔が赤くなっているのが分かるほど、顔が熱い。
「ま、まさか」
少し先に止まった友達が、少し顔を青ざめて言った。
「し、してねーよ」
大声で否定した。
「ホントか」
「ウソ言ってどうすんだ。くだらいことで」
「くだらないって」
憤慨だと言わんばかりな目で俺を見た。
「ホントだ、ホント」
相変わらず俺の目を見てくる。
野郎とこんなに視線を合わしたくはない。
「よし」
俺の言葉を信じたのか、それとも俺の目を信じたのか、友達は納得した表情をして
「嘘は言ってなさそうだな」と言った。
「なんだよ、オマエ」
「なんだっていいだろ。大事な事なんだから」
「意味わかんねぇよ」
「わかれよ」
納得できないが、これ以上突っ込む気もない。
俺は再び自転車を漕ぎ出した。
「待てよ」
慌てながら追いかけてきた。そして、横に並ぶ。
「ホントに何も無かったんだな」
「ねぇよ」
「てことは、オマエまだ童貞」
何も答えれない。
ニヤニヤと俺を見てきて、笑った。
「オメェも童貞だろ」
「うっせ」
周りは田んぼしかない。かなり昔に舗装されてから、直されていないガタガタの道を
男二人無言で隣合って自転車を漕ぐ。
甘酸っぱい青春から遠い、泥臭さ。
空では鳶が悠然と飛んでいる。
「セックスしてー」
突然、隣にいた奴が叫んだ。
俺は驚き隣を見た。
顔を赤くし、生暖かい気持ち悪い笑顔で俺を見る。
「なんだよ」
「オマエも叫べよ」
「なんでだよ」
「いいから」
なにがいいから、だ。俺は。
ヤンデレのグラビアを飾った肇が頭をよぎる。
俺は。
振り払うように、俺は力強くペダルを踏む。
昔から変わらない少しぎこちない笑顔。見たことのないすました顔。
真剣なまなざしで轆轤を回す肇を振りほどく様に、自転車のスピードが上がる。
けれど、水着を着て、挑発的な表情をとる肇を振りほどけない。
肇は俺を挑発してくる。
俺も。
勢いよく踏む。
「俺もセックスしてーーーーよっ」
何も遮るもののない空に向かって叫んだ。
自転車を漕ぐことを止めた。惰性で自転車は進んでいく。
肇は俺をあざ笑うように、まだ挑発的な表情をしていた。
自転車は徐々に勢いをなくし、最終的には止まってしまった。
少ししてから、隣に自転車が止まる。
俺はそれを無視した。
「これやるよ」
隣に来た奴が、自転車のカゴにヤンデレを投げ入れた。
肇と目が合う。
「安心しろ、ズリネタに使ってないから。じゃーな」
そう笑い残して、去っていった。
「んだよ」
肇から目を逸らして言った。
そして、ゆっくりとペダルを漕ぐ。
ゆっくりと自転車は進む。
カゴに投げ込まれたヤンデレを取った。
また、肇と目が合う。
俺は、目を逸らしページをめくった。
昔から変わらない少しぎこちない笑顔。見たことのないすました顔。
真剣なまなざしで轆轤を回す彼女。様々な肇に合う。
そして、挑発的な肇と目が合う。
「肇。オマエかわったな」
俺の問いかけに肇は何も答えない。
雑誌を閉じ、しっかりと前をみた。
青々しい山々。雲ひとつない青い空。風に穂を揺らす田んぼ。
変わらない光景。
そして、いままで繰り広げたくだらないやりとり。
これが俺の日常。
肇がいなくてっも変わらない日常。
ただ、肇がいないだけ。
「ただいま」
あれから後は何もなく無事に家に着いた。
けれど、家の中からは誰の返事も返ってこない。
「かーさん」
台所に母親の姿がない。
「ばーちゃん」
居間にばーちゃんの姿もない。
取り合えす荷物を部屋に投げ入れてから家の中を探した。
「ドコいったんだ」
頭をかきながら、台所に戻り冷蔵庫から、麦茶を取り出しコップに注ぐ。
そして、離れにあるじーちゃんの作業場に向かった。
「じーちゃん」
作業場に入るとじーちゃんが真剣な面持ちで、轆轤を回している。
話しかけるのを止め、じーちゃんの手の動きをしっかりと見る。
流れるように大きい鉢を成型させていく。
そして、轆轤は徐々に遅くなり、止まった。
鉢を轆轤から持ち上げると、乾燥させる棚の空いている場所に置き、一息履き捨てた。
それを見計らって「ただいま」と声をかけた。
祖父は俺の方を向くと「おかえり」とやさしい声をかけてきた。
「かーさんとばーちゃんは」
不在の二人の行き先をとりあえず聞いた。
「母さんとばあさんか。二人なら藤原のところにいってるぞ」
「肇の」
「そうだ」
祖父の言葉に疑問符が浮かぶ。それを見てか
「肇ちゃんのことで、どうだこうだって言ってたな」
なぜか思春期の男のように、恥ずかしそうに言った。
「なんでまた」
「そりゃあ」
恥ずかしそうに言いよどむ。
それを見て「まぁ、いいや」と言って作業場を後にした。
部屋戻り、汚れていい格好に着替えてからまた直ぐに作業場に戻った。そして轆轤の前に座った。
土に触ると安心する。
一心不乱に轆轤を回した。
「ふー」
上手くできた、かな。そりゃじーちゃんや肇のじーちゃんに比べたらダメ。けど上手くできた箇所と悪かった箇所。その両方をじーちゃんのと比べて良かった所を更に良くし、悪かった所を直していく。ただそれだけ。
けどそれだけが難しい。たぶん死ぬまで勉強なんだろう。
じーちゃん達が口癖の様に言ってる言葉。
「どうだ」
「うわっ」
作品とにらめっこしていたら突然後ろから、じーちゃんが声をかけてきた。俺は驚き後ろを見た。
「驚くことないだろ」
じーちゃんは呆れるように言ってきた。
「突然後ろから声をかけれれれば驚くよ」
「そうか。ところでどうだ」
俺は自分自身で思った良かった所と悪かった所を言った。そして自分が思いついた改善点を説明した。
「ふむ」
じーちゃんは俺が作ったばかりの作品を見てきた。そして何点かアドバイスをくれた。
じーちゃんのアドバイスと、自分で思いついた改善点を擦り合わせ、もう一度轆轤と向き合った。
さっきより良くなった気がする。
じーちゃんに再度アドバイスを貰おうとしたが、じーちゃんは轆轤と向かい合っている。
じーちゃんの指先を食い入るように眺めた。
「そろそろご飯よー」
いつの間にか帰っていた、かーさんが工房にやってきた。
もうそんな時間。俺は時計を見た。いつの間にか夜の7時を過ぎていた。
「おおそうか。なら今日は終いだな」
じーちゃんは体を伸ばしてから片付けを始めた。
俺も片付けを開始した。
片付けが終わり、じーちゃんと俺は着替え台所へ向かった。
台所につくと既に妹が椅子に座っており、テーブルの上には晩御飯が並んでいる。
「とーさんは」
「今日は取引先の社長さんと食べてくるって」
「へー」
俺は自分の席に座った。そして全員座った事を確認してから全員で「いただきます」と言って食べ始めた。
「あっ、そうそうアンタ」
ご飯を食べているとかーさんが問いかけてきた。
「なに」
「アンタは見たの」
「ナニが」
「ほら、やん・・・デレだっけ。漫画雑誌のグラビア」
グラビア。
一瞬だけ頭にハテナマークが浮かんだが、直ぐに白い水着を着て挑発的な表情をとる肇の姿を思い出してしまった。
俺は頭を振りほどき肇を消そうとした。けれど肇は消えない。
それどころか頭の中で、様々なグラビアのポーズをして俺を挑発してくる。
「あら、やっぱり」
ナニかを察したのかかーさんは笑うように言ってきた。
「おかーさん。一体なんの話」
何も知らない妹が割って入ってきた。助かった。と一瞬思ったが流れ的には助かっていない。
かーさんはニヤニヤと俺を見てくる。
ほれ、アンタが説明しなさい。そう目が言ってくる。
俺はため息を吐き捨ててから「肇がヤンデレのグラビアを飾っただけ」とぶっきっらぼうに言った。
「うっそ。マジ」
「まじ」
「ホントにホント」
「本当に本当。こんなくだらない嘘言ってどうすんだ」
「ねっねっ。おニイ」
妹がニヤニヤと俺を見てくる。そして「どうだった」と道端て下世話な話をするおばさま連中のように言ってきた。
俺は妹を無視してご飯を頬張った。
お米うまいなー。
「もー。おニイつれないなー」
「つれないなって言われてもなー。ただのクラビアだからな」
「えー。全然違うでしょー」
「ナニが違うんが」
「だって肇姉だよ」
「それが」
「それがって、幼馴染がアイドルでしかもグラビアだよ」
「そう言われてもな。だって肇のグラビアってか写真嫌ってほど見たからな。
この前だって、さぎ・・・。なんとかとのユニットでのグラビアだってあったし」
「鷺沢文香さん。ユニット名は月下氷姫」
「そう。それそれ。んで、テレビで[紅葉ゆらめく♪ くつろぎ温泉]なんてもんもあったし」
「おニイ」
俺を呼ぶ妹の声が引いている気がした。
「なんだよ」
「なんだかんだ言って肇姉のこと気にしてんじゃん」
このこのー。と茶化すように言ってきた。
母親が温かい目で見てくる。
「なんだよ。ニタニタとしまらないうすわらいなんかうかべて…。仕方ないだろ。
俺が気にしなくっても勝手に向こうから情報が入ってくんだから」
俺はため息を吐き捨ててから口を言った。
「どーゆうこと」
妹が首をかしげなから言ってきた。
「どーゆうって。クラスメイトの奴らが肇が載った雑誌や出たテレビの話を逐一俺に報告してくんだよ。
今日のヤンデレだって学校着いてからクラスメイトの奴に渡されて初めて知ったし
結局ヤンデレだって無理やり持って帰らされたし」
「うそ。持ってんの。見せて見せて」
妹が食い気味で言ってきた。
「後でな。ごちそうさま」
俺はご飯の残りをかっこみ、台所からさっさと退散した。
部屋に戻ると、ベットに。枕に倒れ込んだ。
肇がグラビアを飾ったヤンデレが目に入った。
帰ってきてベットに投げたんだった。
手を伸ばしヤンデレを取った。
見慣れた幼馴染が表紙を飾っていた。
俺は幼馴染の横に書かれた彼女の名前を確認する。
そこには、藤原肇と書かれていた。
何度見ても変わることはない。
数ページにわたって、色んな幼馴染が写っている。
昔から変わらない少しぎこちない笑顔。見たことのないすました顔。
真剣なまなざしで轆轤を回す彼女。
他にも諸々。
そして、最後のページには黒色のビキニを着て、見たことのない挑発的な顔をした彼女がいた。
俺は無意識にページを捲っていた。
学校で見たグラビアなのに、広角が薄っすらと上がり、キミは変わらないね。
幼馴染は笑うように俺を挑発してくる。
「あぁーーーー」
俺はヤンデレを。肇を投げ捨て天井を眺めた。
見慣れた天井。それなのにやけに天井が低く感じる。今にも届きそうな天井に手を伸ばしたが天井には届かない。
必死に伸ばしたところで天井の高さが変わるわけがない。届かないものは届かない。
「なーにやってんだか」
素に戻った俺は簡単に諦めてしまった。
「おニイ」
声と共にドアが開き妹が部屋に入ってきた。ノックの音がしなかった。
「ノックぐらいしろよ」
「ノックしたよー。ところで肇姉は」
「肇?」
「そそ」
一瞬なんのことかわからなかったが、投げ捨てたヤンデレの存在を思い出した。
どこに投げ捨てたんだっけ。あたりを見渡したら、ヤンデレは枕元に転がっていた。
ヤンデレを手に取り妹に渡した。
「サンキュ」
妹はヤンデレを受け取ると、何食わぬ顔で俺のベットに横になり、そのまま読み始めた。
「自分の部屋で見ろよ」
「えー。別にいいじゃん。返しに来んの面倒だし、それに私マンガには興味ないし」
そうですか。俺はいろいろと面倒臭くなり本棚からテキトウにマンガを取り読み始めた。
マンガを読んでいると「ねね」と妹が声をかけてきた。
「なんだ」
「なんか凄いね」
「ナニがだ」
「肇姉」
「そうか」
「そうだよ。だってこんな格好で写真撮られるんだよ」
「それがアイドルの仕事だろ」
「そうだけど、私にはムリ」
「そうだろうなー。お前ちんちくりんだもんな」
「うっさい」
妹の声と同時に、俺の背中に叩かれるような痛みが走った。
「いってーな」
後ろを振り向くと妹が睨んできていた。
「おニイのばーか。あーあ。こんなおニイなんかより、肇姉のようなお姉ちゃんが欲しかったなー」
白々しい言い方。
「なんだよ」
「なーんでも。ところでおニイって肇姉のこと好きだったの」
唐突すぎる。ナニ考えてんのわかんねえよ、この妹。
俺は冷静を装って「なんだよ急に」と言ってみた。
妹がジロジロと俺を見てくる。
「な、なんだよ」
妹は「はぁ」っと露骨にため息を吐き捨てた。
「だからなんだよ」
「いや。こんな男、肇姉が相手するわけ無いかなって」
「お前しばくぞ」
「だって本当のことじゃん。今話題のアイドルと、こんな平凡な。
ただの幼馴染ってだけの男が釣り合うわけ無いじゃん」
「うっせえな。てかアイドルって恋愛禁止なんだろ」
「そうだけ、いつまでも肇姉がアイドルしていくわけ無いじゃん。
まぁ、志乃さんや礼子さん。しゅがはちゃんにマリナルと美優ちゃん。
それに川島さんみたいな大人なアイドルも居るけどさ。
だけどさ、いつまでも子供じゃないんだよ」
そんなこと言われなくってもわかっている。いつか肇はアイドルの舞台から降りる。
そのまま女優として華やかな世界で生きてくかもしれないけど。
けどいつの日かアイドル藤原肇の終わりの日が来る。華やかな世界にいた肇の周りには沢山の男がいる。はず。
その時俺は・・・。
「あっ、そうそう。お母さんがお風呂入ってだって」
考え込んでいた俺に妹が唐突に話しかけてきた。どれ位考え込んでいたんだ。
俺は部屋の時計を見た。けど時計を見たところで前の時間を覚えていないから意味がない。
ただ八時を過ぎてしまったことしかわからなかった。
「ありがと」
妹が肇のグラビアを。ヤンデレを渡してきた。
「肇姉、すっごく綺麗だった。それに最後の挑発するような写真なんて
今まで見たことのない肇姉で女の私ですらドキってしちゃった」
妹はそう言い残し部屋から去っていった。
部屋に残された俺はヤンデレを広げた。
黒色のビキニを着て、もう見慣れてしまった挑発的な顔をした幼馴染が。肇がいた。
俺は肇から逃げるようにページを閉じ、風呂へ逃げた。
あー。いい湯だった」
風呂から戻ると直ぐにベットに倒れた。
倒れた先に肇が居る。
ヤンデレを手に取り、肇を見ないようにマンガだけを読んだ。
「テンドウジはやっぱ面白いな」
俺は再びヤンデレをテキトウに投げ捨て、天井を眺めた。
今度はやけに天井が高く感じる。
腕を腕を伸ばしたところで届きそうにない。
天井に手を伸ばすのを諦め、手を引っ込めた。手になにかが当たった。
なんだろうと硬いものを取るとそれはヤンデレだった。
見慣れた幼馴染が表紙を飾っている。
黒い長い髪。白磁器の様に白い肌。パッチリとした瞳。少しぷっくりとした唇。
子供の頃からずっと横にいた幼馴染だ。
昔から変わらない少しぎこちない笑顔。見たことのないすました顔。
見真剣なまなざしで轆轤を回す見慣れた彼女。他にも諸々。
そして黒色のビキニを着て、見たことのない挑発的な顔をした幼馴染がいた。
挑発的な幼馴染は俺を見下ろしてくる。
黒い長い髪。白磁器の様に白い肌。少しぷっくりとした唇。パッチリとした瞳がきりっとしている。
そして黒色のビキニ。
小さい頃のぺたんとした幼児体型でもなく、スクール水着とも違う。いやスクール水着はそれはそれでやばかったけど
他に体を隠すものがないせいで、幼馴染の体のラインがはっきりと分かる。
スタイルの良い他のアイドルと比べれてしまえば、ある所は物足りないかもしれない。
けどそれでも俺にとっては違う。
けして大きくないがちゃんと主張している胸。レッスンの賜物なのか、くびれたお腹と、しまった腰回り。
見慣れていたはずの幼馴染の見慣れない体。
そして見たことのない挑発的な彼女に、俺はまた目を奪われてしまった。
触れたい。
ちゃんと主張している胸を。レッスンで鍛えたであろうお腹を。しまった腰回りを。
俺は舐めるように肇の体を見返す。
おっぱいどんだけ柔らかいんだろう。
おっぱいを揉んだら肇はどんな反応を示すんだろう。
きっと恥ずかしがるんだろうな。けど『ばか』って恥ずかしそうにハニカミながら触らしてくれるんだろうな。
そしてそのまま水着を脱がして、直接おっぱいを揉んで。
かわいい声を恥ずかしそうに我慢するんだろうな。
そして『恥ずかしい』って言っちゃたりして。
けどおっぱいを揉んでいくたびに声が我慢できず、可愛らしい声をあげちゃったり。
そんで俺が『ここどう』って水着越しにさわると『イヤ』って甘い声をあげるけど、もう既に濡れてて、
俺が触るたびに肇は『あっ、やっ・・・ん』って可愛い声をあげながらもじもじと。
そして俺が『もう肇のココ。濡れてるね』って聞くと
『いやっ。そんなこと言わないで』
肇は目を潤ませながら恥ずかしそうに。
けど肇のアソコはもう水着越しでもわかる位に濡れてて、俺が水着を脱がそうとすると
肇は『ダメ』って口では言うけど腰を浮かして水着を脱がしやすくしてくれる。
水着を徐々にずらしていく。
すると肇のアソコが現れた。
肇のアソコはグラビアの為か、それとももともとなのか、陰毛は生えておらずツルッとしていた。
『これって』
俺はまじまじと見てしまう。すると『やだ、見ないで』と肇はアソコを手で隠した。
手で隠されてしまっては肇のアソコを見ることはできない。
『恥ずかしがんなよ、昔一緒に風呂に入っただろ』
俺の言葉に肇は『そうだけど』と言ったが煮え切らない。
俺は肇の手を無理やりどけた。
『やっ』
けれど肇の手は力が入っていない。簡単にどかせた。
子供の時のように、やはり肇のアソコには毛が生えていない。
俺は恐る恐る肇のアソコに手を伸ばした。
肇の膣中は白い肌とは違い淡いピンク色していた。
『やだ・・・。そんなに、見ないで』
肇の声は恥じらいのせいかとてもか細い。
『ごめん』
そう言ったが肇のアソコから目が離せない。俺はおそるそる指を肇のアソコに沈めた。
指が簡単に飲み込まれていく。
『やだ・・・。待って』
待てない。俺は指をすべて肇の膣中に埋めた。
『あっ・・・んっ・・・』
肇の口から苦しそうなけどどこか甘い声漏れた。
その声より甘い声が聞きたく、一心不乱に指を肇の膣中で動かした。
『あっ・・・。やっ、待って。んっ・・・』
肇の口から甘い声が洩れてくる。
『あっ…。うっ…。んん。あっあっ。きもち・・・いい』
肇の白い肌が徐々に赤くなってくる。そして声も徐々に大きくなってくる。
『やっ…。ダメ。おねがい・・・。だめ・・・いっちゃう』
肇は体を大きく震わせながらイッた。
イッたばかりの肇は『はぁ…はぁ…』と妙に色っぽい吐息を漏らしながら息を整えている
そのせいで肇の慎ましい胸が上下している。その動きがやらしくてたまらない。
俺のモノは硬くなっている。
早く挿入たい。
俺ははやる気持ちを抑え『気持ちよかった?』と問いかけた。
肇は顔をそらし恥じらいながらもコクリと頷いた。
恥じらう肇もかわいい。
俺のモノが更に硬くなり痛いくらい。
挿入たい。
『肇、いいかな?』
肇はコクリと頷いてくれた。
俺はズボンとパンツを脱ぎ捨てた。俺のモノが自由になる。
肇は初めて見る男性器に驚いているのか、俺のモノから視線が外れない。
『そんなに見られると恥ずかしいな』
『ご、ごめん、ね。でもその、初めて…、見たから』
『子供の頃一緒にお風呂にも入っただろ』
『そうだけど、だってその時こんなに大きくなかったんだもん』
『けどコレが今から肇の膣中に入るんだよ』
肇は少し緊張した面持ちで『う、うん』と言った。その時も、肇の視線は俺のモノから外れることはなかった。
『肇、挿入るよ』
俺は肇のアソコに自分のモノをあてがった。
『ちょっ、ちょっと待って』
肇は慌てながら叫んだ。
『どうした』
『その…、私、初めて、だから』
肇は恥ずかしそうに言った。
『大丈夫。俺もだから』
『キミもなんだ』
『そうだよ』
『なら初めて同士だね』
ハニカンだ笑みを俺に向けた。
『肇、挿入るぞ』
『う、うん』
肇の声微かに震えていた。
ゆっくりと俺のモノが肇の膣中に挿入っていく。
『あっ…うっ、ぅく…ぃっ…ん…あっ』
俺のモノが挿入っていくたびに、少し苦しそうな声を上げた。
『全部挿入った。肇、大丈夫か』
『う、うん』
『ホントか。痛くないか』
『ご、ごめん。ちょっと、うそ、ついた』
肇の目に薄っすらと涙が浮かんでいる。
『やめるか』
『う、ううん、大丈夫』
肇は気丈に首を横に振ってから
『だって…、キミとの初めてなんだから』
その言葉が嬉しかった。
そしてもう一つ。俺が肇の。アイドル藤原肇の初めて。
そう思ったら更にモノが硬くなった。
『や…。また、大きく』
『わ、わるい。抜こうか』
肇は首を横にふるふると振った。
『ううん、もう平気だから』
『ホントか』
『うん。だから、動いて』
俺はゆっくりと動かし始めた。
肇の膣中は優しく俺のモノを包むように握る。
『あっ…んっ、あっ…ぁ』
肇の口から徐々に甘い吐息がこぼれ始めた。
俺は徐々に早くしていく。
『あっ…ぁぁ、やぅ…ぁん。ぅぅ…あっ…くふ』
甘い吐息が徐々に嬌声へ変わっていく。
俺のモノを強く握る。
ヤバイくらい気持ちいい。
『もう出そう』
『いいよ。膣中に出して』
俺のモノが大きくなる。
『肇出すぞ』
『うん。きて』
どぴゅっ。
俺は欲望をティッシュに吐き出した。
俺は尿道に残った精子をゆっくりとしごき出した。
気持ち良かったと同時に、虚無感が襲ってくる。
黒色のビキニを着て、見たことのない挑発的な顔をした肇と目があった。
『ねえ、気持ちよかった』
そう問いかけてきているよう。
気持ちよかった。けど。
また肇で抜いてしまった罪悪感。
欲望を吐き出したティッシュを丸めゴミ箱に捨て、肇から目を逸らしながらヤンデレを閉じた。
そして電気を消し、布団に包まった。
俺は見知らぬ部屋に居や。部屋の中を見渡すがこれと言った家具がない。
ただテーブルとパソコン。それにベットがあるだけ。ただやけにタバコくさい。
これは夢だ、そう思った。
なぜなら、裸の肇が目の前に居るから。
肇の胸は妄想の時より大きい。白い白磁のような肌はほんのりと赤く上気し、体のラインもはっきりとしている。黒々とした陰毛がしっかりと生えていた。
妙に生々しい。
俺のモノは既に固くなっていた。
『もうガチガチですね』
肇はなれた手付きでモノを握ると、笑うように言った。
そして『あ~ん』と口を大きく開け、そのままモノを咥えた。
『はむ…ん…ちゅる。あむ…んむ…ちゅぷ。くちゅ。ぐちゅ』
肇の口の中は生暖かい。腰が砕ける。
けれど肇は俺の事を気にする様子はない。
『ぐちゅ…ぐぽ。あむ…。んむ…、ちゅる…じゅる』
舌をモノに絡ませてくる。
裏筋を。カリを。尿道までも、丹念に刺激してくる。
『どうですふぁ。ひもひいいですふぁ』
『あぁ、きもちいい』
『ふふ』
肇は褒められてのが嬉しいのかモノを咥えながら笑った。
『ぐちゅ。じゅる。じゅぽっ。じゅぽっ。ぐぽっ。』
肇は下を絡めながら根本まで咥える。先端が肇の喉に当たる。
『肇、やばい』
『くひのなふぁに、ふぁひてもひいふぃよ』
肇の言葉を聞く前に頭を掴み、モノを肇に押し付けた。
先が喉の奥の凹凸が当たる。
肇の口の中で大きくなる。
肇、出る
ドピュッ、どぴゅっ。
肇の口の中に欲望を何度も吐き出した。
肇の下が竿に絡みつき尿道に残された精子を吸い出した。
『ちゅぽっ』
肇の口の周りに白濁した精液がついている。けれど肇は気にする様子はない。
肇は口の中に出された精液を、自分の手のひらに出した。
肇の手のひらが白濁したもので汚される。
『沢山出ましたね』
肇はどこか嬉しそう。
肇は自分の手のひらに出した精液をまた口に含んだ。そしてゴクリと呑み込んだ。
『苦くて、喉にこびり付きそうなくらいドロってしてますね、プロデュサーさん(以降p)』
プロデュサー、さん…。ダレだ?ソイツは。
肇の細い指先がモノに触れる。
『pさんの。まだ出来ますよね』
また固いのがわかる。
肇は枕元に置かれた箱からナニかを取り出し、モノに被せた。
『Pさんも明日はオフでしたよね。なら沢山出来ますよね』
やめてくれ…。
肇は男の上にまたがると、男性器を秘所に擦りつける。そしてゆっくりと、男のモノの上に腰を落とした。
やめろーーーーー。
肇は秘所は簡単に男性器を咥えた。
目を開くと見慣れた天井。
「ゆめ・・・だよな」
体を起こし部屋の中を見いた。見慣れた自分の部屋。タバコ臭くもない。
「よかった」
なぜか胸をなでおろした。
「やっぱ夢だよな」
違う。認めたくなかったんだ。
「肇が」
肇があんなにセックスに慣れているなんて思いたくなかった。
だって肇はアイドルなんだから。
やけに汗がベタつく。それにパンツの中も…。
俺はおそるおそるパンツの中を見た。
パンツは白濁したもので汚れていた。
「マジかよ」
夢精していた。
「てか、今何時た」
慌てて時計を確認した。
7時前。
なら、朝シャンのついでにでパンツも洗える。
俺は急いで風呂場へ向かった。
どうにかバレずにパンツを洗うことが出来た。
早く起きたことに、かーさんに驚かれたが、「早起きは良いことね」と言われただけで、
特に訝しがられることはなかった。
早く起きたぶん、早めに学校に向かった。
学校に向かう道中、ヤンデレを渡してきた友達に会った。
「おーす」
「おー」
「なーなー」
「なんだー」
「オマエさー、昨日肇ちゃんで抜いた」
「はぁっ」
慌ててブレーキをかけてしまった。
「抜いたな」
「抜いてねーよ」
「ウソつけ。その反応抜いただろ」
バレてる。
「だから抜いてねーって」
嘘をついた。てか、肇にフェラされた夢で夢精までしたなんて口が裂けても言えない。
友だちを無視して自転車を漕いだ。友達が急いで並走してくる。
「なーなー」
友達の呼びかけを無視する。
「おーい」
無視だ。
「無視すんな。てかさ、肇ちゃん岡山でライブしねーの」
どうなんだろう。この前、岡山で開催されたのシンデレラキャラバンに肇の名前はなかった。
「知らねー」
「幼馴染のよしみで聞けねーの」
「どーなんだか」
確かに気になる。テレビやネット・雑誌で肇の活躍は追えるが、生のアイドル藤原肇の姿を見たことない。
生のアイドル藤原肇を見てみたい。
俺はスマホを取り出し
[肇って岡山でライブしないの?皆、肇のライブ観たいって]
肇にメッセージを送ろうとしたが、この時間では早い。と思い送るのを辞めた。
学校までの道中くだらない話をしながら自転車を漕いだ。
学校に着き、もうすぐ朝のHRが始まる前に、さっき送ることを辞めたメッセジーを肇に送った。
この時間なら怪しまれることはないだろう。
授業中先生の目を盗みながら何度もスマホを確認した。
けれど、肇から直ぐにメッセージは来なかった。
昼休みになり、ようやく肇から返信がきた。
[8月の中程にシンデレラパレードで岡山に戻るよ。
私もまた、皆に会えるの楽しみ。って言っておいてね。
PS,事務所にちゃんと許可貰ってるから安心してね]
と書いてあった。
肇からの返信に男共が湧き上がった。
俺は一人優越感に浸った。
今年の夏の前半はやけに暑かった。
日中、外に少し立っているだけで汗が止まらない。まるでサウナの中に居るんじゃないかってくらい。
日差しも強く、肌に当たると痛く感じる。帽子を被ってなきゃ頭が熱くてしょうがない。
外で遊ぶ子供の声が聞こえない。それどころか、セミの鳴き声すらあまり聞かない。
見上げた空は、青い絵の具をチューブから出してそのまま塗りたくった様に、重たい濃い青い空だった。
8月の中程にシンデレラパレードで岡山に戻るよ。
と、肇から聞いてから、いつの間にか8月になってしまった。
その間、肇の姿を見ない日はなかった。
テレビをつければ、この夏に向けての沖縄旅行のCMキャラクター5人組の一人に選ばれ
そのCMがバンバン流れている。沖縄に行ってみたい。できれば・・・と。
それに雑誌のグラビアにも引っ張りだこ。中には陶芸雑誌も。その中では熱く陶芸について語っていた。
そのインタビューを読む感じ、昔の肇のままだった。
その中で、個人的にはと前置きしながらも、備前の陶芸は日本一と語っていた。そこには同意する。
その間、肇と違い、俺の身に彼女が出来るとかの特段変わったことはなく、平々凡々な日々を過ごしていた。
ただ陶芸のコンクールで、若手の賞に引っかかった。陶芸雑誌の片隅に載った。
その雑誌は肇がインタビューされた雑誌。
けど、じーちゃんからは「まだまだ、だな」と言われた。まぁ、その通りだけど。
こればかりは日進月歩、亀のような足取りでも前に進んでいくしかない。
そんな感じでいつの間にか8月になってしまった。
もちろん肇が出演する、シンデレラパレードの公演チケットは手に入れた。
友達たち。俺含め合計4人で応募券を何通も送ったが、友達のは全滅してしまったが
辛うじて俺のが運良く当選した。
もし落選していたら、肇のじーちゃんに頼んで同行しようと思っていた。
実際肇のじーちゃんに「坊。肇のコンサート。一緒に行くかい」と自慢げに誘われた。
ちなみに俺のじーちゃんは、肇のじーちゃんと一緒に行くことになっている。
けど俺は当選した。
その証のチケットが俺の手元にある。かなり良い席。
肇のじーちゃんとじーちゃんが座る、たぶん関係者席だろう。そこなんかよりずっと良い席だ。
その事を肇のじーちゃんに言ったら「肇のグッズを頼む」とだけ言われ、お金を渡された。
俺はチケットを眺めながら。ライブ前日までニヤついた。
ライブ当日。
俺は物販の列に友達と並んでいた。他の二人は物販に興味ないらしく開演ギリギリに来る。
前半の暑さとはうって変わって、だいぶすごしやすいからっとした陽気。セミも気持ちよさそうに鳴いている。
空の青もどかこかしら軽く感じる。
「なー。オマエ何買うの」
隣に並んだ友達が話しかけてきた。
「肇のグッズ全部」
肇のじーちゃんに頼まれたお使い。けど言ってからこれでは語弊があることに気づいた。
既に友達が生温かい目で見てきている。
「俺のじゃないからな。肇のじーちゃんにお願いされてだな」
俺の言葉は俺自身でもわかるくらい、狼狽をしていた。友達は俺の肩に手を置くと、ニンマリと笑った。
「だからホントだって。肇のじーちゃんにお願いされたんだって」
「無理に嘘つかなくていいんだ。オマエが欲しいんだろ」
「だからちげーって」
「ウソつけ。なんで肇の家族であるじーさんが、なんでオマエに物販を頼むんだよ。
普通貰えたり、買えたり出来るだろ」
「肇のじーさん年だから物販にならんだら倒れかねないだろ。それに複数欲しいんだと」
「複数?」
「そ、もう既に今回の肇のグッズは貰ってるらしいんだけど、一個までしか融通されないみたいで、
肇のじーちゃんは複数欲しいらしいんだと」
「なんでまた」
「なんでも、保存用。観賞用。布教用。と要るらしい」
「わけわっかんねー」
「俺もわからん。けどオマエも居るから、お一人様2個までのが。もう一個買えるからありがたい」
「そうか。・・・ん?」
「どうした」
「結局オマエも買うんじゃねーか」
バレた。けど大人ではないので全部は買えないけどな。
物販を買い終え会場に入った。
会場の中は既にすごい熱気。今か今かと待ちわびている。
俺たちはチケットを見ながら座席を探した。
「あった」
座席に着き荷物を置き、前を見た。ステージが近い。
改めて良い席なんだなと思った。
公演が始まるまで俺たちは、有志が配っていたコール集をみながらコールの練習をした。
会場の明かりが落ち、会場がざわめいた。ざわめく声が徐々に小さくなると、何筋もの光がステージを照らした。
照らされた光の一つの先に肇がいた。
肇は白いドレスのような衣装を身に纏っている。
会場が割れんばかりの歓声で溢れた。けれど俺は歓声を上げることを忘れ、
ただ、光り輝く肇に目を奪われてしまった。
お願いシンデレラが流れ始め、ライブが始まった。
「すごかったな」
ライブはあっという間に終わってしまった。
いつの間にか俺たちは帰宅の途に着いていた。
始めてみたライブは俺の想像を遥かに超え、なんて表現したら良いのかわからない。
自分の言葉が足りないのが悔しい。
「だな」
友達を同じらしく言葉数が少ない。
放心状態な俺達は、ライブについて多く語らず、どこにも寄り道することなくそのまま家に帰った。
懐かしいある日の肇との夢を見た。
その時、肇はまだアイドルにはなっていなかった。
ただのどこにでもいる高校生。
そのただのどこにでもいる高校生の肇は悩んでいた。
肇は小さい器を手に持っていた。素人には立派な器に見えるだろう。
けど、肇のじーちゃんはその器を地味で華がないと評した。
華はないが、質実剛健。侘び寂びがある。とか見方を、捉え方を変えれた言い方は出来る。
俺的にはまっすぐで肇らしいと思った。
けど、肇のじーちゃんは地味で華がないと評した。
そう言われて、肇は落胆する様子はなかった。たぶん肇も同じことを思っていたのだろう。
肇は手に持った器を見ながら「地味で華がない…か」と言った。
俺は直ぐに「そうか。肇らしく、まっすぐで俺は好きだぞ」と言った。
けど肇は俺言葉に首を振った。
「ううん。これは私。挑戦や自己表現が苦手で、無難なものを選びがちな私。
たぶんこのまま陶芸を続けてもダメ。ううん。他のことをやっても同じ」
肇の声が震えていた。どうしよう。
「ならさ」
何か言わなきゃ。
「世界を。世界を変えてみればいいんだよ」
焦った俺はわけのわからないことを言っていた。
けど、肇が俺をまっすぐと見てくる。
「ほら、子供の頃、肇、アイドルに憧れてただろ。アイドルは華やかな世界じゃん。
それに色んな事を経験できるし、それに、俺たちはまだ高校生だ。
ずっと陶芸の道を進んでも良いかもしれないけど、寄り道しながらゆっくりと肇の道を進めば良いじゃんか。
もしかしたらアイドルの経験が陶芸に生きる可能性も」
俺はまくしたてるように言った。
肇はコクリと頷いたが「地味な私にアイドルなんて」と言った。
「そうか」
「そうだよ。それに私なんかにファンが」
「安心しろ。もう肇のファンはいる」
俺は肇の言葉に被せるように大声で言った。
肇は驚いたのか、きょとんと俺を見てきた。
「肇のファンはもう既にココに一人いる」
そう言って俺自身を指さした。
恥ずかしい。けど、本当のことだ。
「そっか」
そう言って肇は笑った。
その翌日。
肇の口からアイドルのオーディションを受けると聞いた。
肇の家でどんな会話がされたかわからない。
けど、肇の新しい挑戦を応援するみたいだ。
それからは早かった。その週末に肇はオーディションを受け、見事に受かった。
そして次の週末には俺の前から居なくなった。
ただ後悔だけが残った。
部屋に電子音が鳴り響く。もう朝か。アラームを止め、起きた。
あまりいい目覚めとは言えない。しこりが残っている。
とりあえず、シャワーを浴びてみた。
さっぱりとしたが、しこりは残り続ける。
とりあえず午前中は、溜まっている宿題を片付けた。
午後は陶芸に向き合った。けど、しっくりいこない。
上手くもいかない。作っては、やり直し、作っては、やり直す。何度も何度も。
じーちゃんにアドバイスを貰いたいが、珍しく朝から姿を見かけない。
このまま続けても土の無駄だ。俺は辞めることにした。
工房を後にし、部屋に戻った。そしてベットに寝転がった。
天井は高い。手を伸ばした。届かない。届くはずがない。絶対に届くはずがない。俺は諦め寝返りをうった。
白い紙袋が目に入った。
それは肇のじーちゃんに頼まれた、肇のライブグッズ。
俺はベットから抜け出した。
ピーン、ポーーン。
俺はある人の家の前にいた。
俺は何度か呼び鈴を鳴らしたが、一向に家主が出てくる気配がない。また呼び鈴を押したが反応はない。
「ごめんくださーい」
声を掛けるがやはり反応はない。
「参ったな。どうすっかな」
手に持った白い紙袋見た。
玄関に置いて帰るのも気が引ける。
俺はもう一度「ごめんくださーい」と言いながら、玄関の引き戸を引いた。
がらがら。と音をたてながら引き戸は開いた。
「不用心だな」
けど玄関の内側に置いて帰れる。
俺は内側に紙袋を置いて、戸を閉めた。そして家へ帰ろうとした。
けど、なんか収まりが悪い。もし家の中で、肇のじーちゃんが一人倒れていたら。
そう思ったが最後。俺は家の中に入った。
「じーちゃん。おーい。肇のじーちゃん」
勝手は知ってるが、無断で入っているから罪悪感が。
けど、もしものことがあっても嫌だ。
俺は叫びながら部屋を一つずつ開けた。そしてある部屋の縁側で誰かが倒れていた。
「おい」
俺は慌てて駆け寄った。
俺は倒れていた人物に驚いた。
なぜなら肇だったから。
「おい、はじ・・・」
俺は声をかけようとしたが止めた。
肇は微かに寝息をたてている。その証拠に肇の胸が上下している。
「なんだ寝てるだけか」
俺は胸をなでおろした。
「てかなんで肇が居るんだ」
いや肇の家だから居てもおかしくはない。それに昨日は岡山でライブしていたのだからなおさら。
けど、なんで肇が一人だけで、しかも寝てるんだ。いや寝ててもいいか。
それなら肇の親が、じーちゃんが居なくては。せっかく肇が帰ってきているのだから。
けど考えてところで答えがわかるわけでもない。
俺はため息を吐いてから、肇を見た。
肇は無地のTシャツに短パンを履き、お腹にはタオルケットをかけている。
けどTシャツの裾が長いせいか短パンを履いていない様に見えてしまう。
ヤバイな・・・。
俺は無意識に携帯を構えていた。
ダメだ。俺は我に返り、シャッターを押すのを止めた。
画面の肇は気持ちよさそうに、寝息をたてている。
ぱしゃ。
俺は無意識にシャターを押していた。
やっちまった。けど・・・。言わなければ、見せなければバレないよな。俺は寝息を立てる肇を消さなかった。
「うーん」
肇は寝返りをうった。
その瞬間、Tシャツの首元から白い肌が覗いた。
「うーん。うーん」
肇は何度も寝返りうつ。そのたびにTシャツから肇の白い肌がチラチラと見え、見る位置を変えればもっと奥まで見えそう。
それにタオルもずれ、お腹も見えそう。
もう何枚か写真を撮った。俺は辺りを見渡し、人が居ないことを確認してから、画像を保護した。
肇はまだ気持ちよさそうに寝息をたてている。
「おじー・・・ちゃん。私の新しい器どうで、すか」
夢の中では陶芸をしているらしい。なんだかんだ陶芸が好きなんだな。なんかホッとした。やっぱ肇は肇だ。
こう見たらアイドルではなく、ただの16才の女の子だ。
けど。
肇はアイドルだ。現に昨日、ステージで輝く肇を見たばかり。それ以外に色んな所でアイドル藤原肇の姿を見てきた。
触れてみたい。
頬を。手を。二の腕を。ももを。お腹を。胸を。アソコを。
ごくり。無意識につばを呑み込んでいた。
俺は辺りを見渡した。人影はない。
言い訳を考えればいいよ・・・な。
俺は起こす素振りで肇の頬を触ろうとした瞬間。
「うーん…」
肇は寝返りをうちながら、うなされた。そして
「……ぷろでゅーさーさん。せめて…きがえ……させて……」
おじいちゃんたすけて…。と言った。
たすけて…。助けて!?
「おい。肇。肇起きろ」
肇の体を揺すっていた。ヤバイ。どうしよう。肇、起きないでくれ。そう思った思い通りにはならなかった。
「う~ん」
肇を目を擦りながら体を起こした。その時、Tシャツの隙間から、チラリと白い肌が。谷間が見えた。
ブラジャーをしていない。
「あれ…。ぷろでゅーさー、さん」
誰かを探している。その姿が儚く妙にエロい。
そして、肇が動くたびに、首元がたわみ白い肌と谷間が見える。
あと少し。あと少し、たわめば、先が。
「ぷろでゅーさーさん…。あれ?なんでキミが」
肇が俺に気がついた。その時、肇の体が正面を向き、ほんのわずか前のめりになった。
ピンク色の乳首が見えた。
「なんでキミが居るの」
すぐに体勢を直してしまった。ピンク色の乳首は見えなくなってしまった。
けど確かに俺は、肇のピンク色の乳首を見た。
肇が胸元を手で隠した。そして、むー、と頬を膨らましながら「あんまり…その、ジロジロ見ないで」と言ってきた。
どうやら無意識に肇の胸をガン見してしまったらしい。
「わ、わるい」
謝ったが、肇はまだ膨れている。
「悪かったて」
「キミもなんだかんだ、男の子なんだね」
「だから、悪かったて。謝ってるだろ」
けど肇はまだ俺を訝しんでいたがが「あっ、そうそう」と何かを思い出したのか急に軽くなった。
そして俺の目を真っ直ぐ見ながら「なんでキミが家に居るの」と言ってきた。
あー。そういえば説明してなかったもんな。
俺は肇の横に座り、肇のじーちゃんに頼まれたグッズを陶芸関連のことに変え、掻い摘んで説明した。
「そうだったんだ。心配にさせてごめんね」
「いや、勝手に家に上がった俺も悪かったし」
俺の言葉に「ううん」と肇は首を振ってから、
「もしキミが言う通り、本当におじいちゃんが倒れていたら」
顔を歪ませながら言った。
やっちまったー。肇に悲しい事を想像させてしまった。昔っから肇はおじいちゃんっ子だったからな。
「だ、大丈夫だって。ほら、俺もちょくちょく来てるし、俺のじーさんも来てるから。
この前俺のかーさんも、来てたみたいだし。安心しろって。ってか、肇のじーちゃんと、肇のお母さんたちは」
「おじいちゃんが、ちょっと…。入院しちゃって」
「入院」
肇のじーさんは昨日、肇のライブを俺のじーさんと一緒に楽しんでいたはず。
なのに。
「待って。たぶんキミが考えているの様なことじゃないの。えっとね、その…」
肇は歯切れが悪くなり、どこかバツが悪そう。
「えっとね、笑わないでね」
「あっ、あぁ」
俺は頷いた。
「えっとね、昨日。おじいちゃん、私達のライブではしゃぎすぎちゃったみたいで、その…。
ぎっくり腰で、入院しちゃって」
肇の顔が赤くなっているのがわかった。
「ぷっ。あははは」
笑ってしまった。けど笑わずにはいられない。肇のじーさんらしいっちゃ、らしいな。
「もう、笑わないっで言ったよね」
「わるい。わるい」
肇は膨れている。けど、グラビアとかで見せることのない素の肇。
ちょっと優越感がある。
「ごめんって。もしかして、俺のじーちゃん。病院に来てた」
俺は無理やり話題を変えた。
「うん。居たよ、午前中から。私達が病院着いた時にはもう来てて、おじいちゃんと将棋を打ってたよ」
どうりで朝から見なかったわけだ。
「おばさんたちは」
「お母さん。お母さんは着替えとか持ってもう一度病院に。二、三日検査を兼ねて入院するみたいで」
「そっか。けど、大事じゃなくて良かったな」
「うん」
「てか、肇はもう一緒に行かなくて良かったのか」
「私も行くって言ったんだけど、お母さんが『お家でゆっくりしてな』って。
それに、キミのおじいちゃんもいて退屈することはないだろって」
確かに俺のじーさんが居れば退屈はしないだろう。
現に将棋を持っていってるし、もしかしたら囲碁も持っていっている可能も。
「それで留守番してたと」
「うん」
「けど、鍵をかけるのを忘れて眠っちゃたと」
「う、うん」
「肇は女の子なんだから注意しろよ」
「そう、だね」
肇は苦笑いをこぼした。
「けどまぁ、何もなくてよかったな。今度から気をつけろよ。ところで、話題変えていいか」
「うん。いいよ」
「肇。アイドル楽しいか」
どうしても肇に聞きたかったこと。
なぜなら、俺の些細な一言が、肇をきらめく世界に踏み込ませたきっかけなのだから。
「うん。楽しいよ」
肇は俺をまっすぐ見ながら言った。
「そっか。良かったな」
肇に言ったんじゃない。俺に言ったんだ。けど肇は知る由もない。
肇は楽しそうにアイドルの活動について、事務所のみんなについて語った。
本当に肇は楽しそうだった。けど、楽しそうに語る肇を見ていると心が苦しくなってくる。
俺の知らない肇。もう近くにいた幼馴染の肇ではない。
「それでね、キミに会って、直接言いたかったことがあるの」
「なんだ」
「あの時、うじうじしていた私の背中を押してくれて、ありがとう。
あの時のキミの言葉がなかったら、今の私はきっといない。だからありがとう。私のファン一号さん」
肇はニコリと笑った。子供の頃から変わらない笑顔だった。
「そっか。でもな、今こうして輝いてるのは肇の努力があってだろ。俺は何もしてないよ」
「それでも、あの時のキミの言葉が私のアイドルの第一歩だから」
「肇がそこまで言うのならそういうことにしとく」
「ありがとう」
肇は子供の頃から変わらない笑顔で笑った。けれどその笑顔が俺の心をかき乱した。
「そうそう。見たよ」
何かを思い出しらしく、肇は嬉しそうに言った。
喜んでるから良いものなんだろうが、肇が何を見たのかがわからない。見当もつかない。
俺は「何を」と聞いた。
「陶芸コンクール。入選おめでとう」
肇は拍手しながら祝ってくれた。
「なんだ、そのことか」
身構えていた俺は肩透かしを食らった気分。
「そのことかって。私、見本誌貰って驚いたんだよ。しかも、歴代最年少入選者って書かれてて」
「けどな、最年少入賞者って言われても、所詮若手部門。全体で入選すらしてない。別に凄くもないよ」
「キミは凄く思わなかったのかもしれない。けど、私からみればとても凄いこと。
もし今の私が作ってもキミの作品に及ばない」
「そうか。肇もアイドルとして色んな経験してきただろ」
「うん。そうだけど、まだ私の物に出来てない」
とても冷淡な口調だった。けど、どこか前を向いている。今まで見たことのない肇だ。
アイドルとして、色んな刺激を受けてるのだろう。そう感じ取れた。
「そっか。俺も、肇に負けないようにがんばんなくちゃな」
「うん。私も頑張るからキミも頑張ってね」
「あぁ」
「あとそれと、もしキミが大きな賞獲ったら、私にインタビューさせてね」
「わかったよ」
互いの目を真っ直ぐ見ながら誓いあった。
その時、ピンポーン。と呼び鈴がなった。
「誰だろう」
はーい。と肇は立ち上がり玄関に向かった。
肇がいなくなり俺は息を吐いた。
「やばかった」
あのまま見つめ合ってたら、肇を押し倒してしまうところだった。
少し潤んだ瞳。キメの細かい白い肌。そして、ぷっくりとした桜色の唇。
初めてのキスはレモン味というが、たぶん桜味だろう。わけわかんねーけどたぶん。
しばらくして肇が戻ってきた。その横にスーツを着た見知らぬ男。どこかで嗅いだことのあるタバコの臭い。
それにしても、妙に肇との距離が近いし、馴れ馴れしい。
ダレだ。
「えっとね、この人は、私が所属している事務所のプロデューサーさん」
「始めまして肇のプロデュースをしている、Pと言います」
「ども」
Pと名乗った男はナチュラルに肇を藤原でも、肇さんでもなく、肇と呼んだ。
そして俺を不審者を見るように見てくる。
「彼は陶芸の」
「あぁ、キミが」
肇は俺の事を説明しようしたが、肇の説明を聞く前に合点したのか納得の声を上げた。
「けど、なんでキミがココに」
と言ってきた。まぁ、そうなるよな。アイドルの家。実家といえど、関係ない男が居れば警戒はする。
ましてや肇の事務所の関係者なら余計に。
俺は弁明するように顛末を話した。
俺の話を聞き、Pと呼ばれた男はため息をついてから
「実家でゆっくりするのもいいが、注意する所は注意しろよな」
肇に向かって言った。
「はい」
肇はしょんぼりと言った。
「それとキミ」
俺を見てきた。
「なんですか」
俺は身構えた。
「肇に変なことしてないよな」
どきっ。変なことはしてない。が、変なことは考えたし、寝ている姿を撮った。
「してませんよ。居ないはずの肇が、縁側で倒れてて驚いたんですから」
嘘をついた。けど驚いたことには変わりない。
「そう…、だったな。疑ってすまん」
子供の俺の言葉を信じ、簡単に頭を下げ謝った。
「いえ、気にしないでください」
拍子抜けも良いところだ。けどまぁ、子供の俺に頭を下げれるんだからいい人なんだろう。
それに、肇も信頼してるみたいだし。
俺は立ち上がり「もう帰るわ」と言った。
正直言うと、肇ともう少し話したかったが、事務所の人間が肇の家に来たんだ。
何か話したいことがあるのだろう。そこに部外者の俺が居たら話が出来るはずがない。
「あっ、そうだ」
俺はPに問いかけた。
「なんだ」
「外にパパラッチなんて居ませんよね」
「あぁ、安心しろ。そんなのは見なかったよ」
Pは笑いながら言った。
「じゃぁ肇。俺もう帰るから、頑張れよ」
「うん。ありがと。キミも頑張ってね」
「あぁ」
そして、俺はまたPを見た。そして
「肇をお願いします」
頭を下げた。きっかけがどうあれ、肇を華やかな世界へ背中を押したのは俺だ。
「あぁ、わかった」
Pは何も察してるのか聞いてこない。ありがたい。
「じゃあ、またな」
肇に手を振って肇の家を後にした。
「肇可愛くなったなー、元から可愛かったけど」
俺は一人さみしく帰っていた。
久しぶりに会った肇は、雑誌やテレビ何かで見るより、遥かに可愛かった。
それに妙に色っぽくて、なんだろう。女になったみたいな。
いや、元から女なんだけど。女の子から成人の女になったみたいな。
「てか、もっと話したかった」
なんだかんだ言って後悔が残る。
それに、なにか伝え忘れているような。
思い出した。頼まれた肇のグッズ、玄関に置きっぱだ。
でもまぁ、そのままでもいっか。
けど俺の足は肇の家に向かっていた。
戻ってきてしまった。
呼び鈴を鳴らした。けど、家の中から反応がない。
引き戸を引いたが鍵がかかっている。
「あれ」
さっきまで居たのに。どこかに行ったのか。
もう一度呼び鈴を鳴らしたが、やはり中からは反応がない。
「まぁ、いっか」
俺は肇の家を後にしようとした。けど。なんだろう。
何かが・・・。胸騒ぎがする。
俺はさっきまで居た、縁側がある庭へ向かった。
縁側に肇が腰をかけていた。
やっぱ居るじゃん。
「おーい。はじ…」
俺は声を殺し、物陰に隠れ、そっと縁側をのぞき見た。
肇は縁側に腰をかけ、その横に男。Pが腰をかけている。
そして、仲睦まじげに笑いながら話をしている。
ナニ話してるんだ。俺は聞き耳をたてた。
「そっか。さっきの彼が例の」
「うん」
俺の話?
男は胸元からタバコの箱を取り出し、一本咥えた。
「もうPさん」
タバコを咥えたPを直ぐに肇は咎めた。
「わるい。わるい。癖でな」
タバコに火がつけられることはなかったが、Pはタバコを咥えたまま。
「Pさん」
さっきより強い口調で肇が咎めた。
「火、つけてないから良いだろ」
「そういうことではなく、タバコは体に悪いんですよ。私はPさんの体の事を思って」
「わかってるって。けどな」
「けど。なんですか」
「なんだかんだ言って、役に立つんだよ。現場でお偉いさんがタバコを吸うタイミングを見計らって
火忘れたとか言って火借りたりふりして、話の取っ掛かりを作ったりさ」
「それは知ってます。けど」
「それにもう、癖になっちまってな。あと」
そう言ってPは肇を見た。その目は何かを企んでいる。
「あと、なんですか」
肇は企みに気づきながらも、企みにのった。
「口が寂しんだよ」
「そうですか。なら今度アメをプレゼントしますね。今の季節なら塩キャンディーとかが良いですか?」
「お、おう」
肇は企みを上手く交わした。よし。一方、Pはどこかつまらなそうに咥えたタバコを揺らしている。ざまぁ。
「Pさん」
「なんだよ」
「た・ば・こ」
「別に良いじゃんかよ。咥えてるくらい」
けど肇はニコリと笑い、Pの口からタバコを奪った。そしてキスをした。一瞬ナニが起きたのかわからなかった。
「ふふ、唇、寂しくなくなりましたか」
肇は笑うように言った。
「いんや」
「そうですか。なら」
肇はもう一度、自分の唇でPの唇を塞いだ。
「どうですか」
「全然」
「なら」
肇はまたPの唇を覆った。
今度のキスは長かった。肇は唇を押し付けるようにしている。まるでラブロマンス映画のディープキスシーン。
けど画面の向こうの世界ではなく、現実のできごと。
満足したのか肇から、ゆっくりとPから離れていく。
銀糸が引いた。
二人の交わった証。
「どうでした」
「よかった。けどな」
Pはそう言って肇の手を自分の股間に押し付けた。
「今度はコッチ」
笑うように言った。
「もう、Pさん」
肇は恥ずかしそうに言った。けど肇は手を股間から離れず、辺りを見回した。その間、スーツの上からずっと股間を撫でている。
「塀に生け垣も高いから平気だろ」
「そうですが」
「それに玄関の鍵もかけておいた。さっきみたいにチャイムは無視すればいい」
「・・・。そう…ですね」
肇は頷くと、慣れた手付きでベルトを外した。そのままPのスーツのチャックを下ろし、ズボンを脱がした。
Pの既に大きくなった男性器が現れた。
「大きいですね」
肇の表情はどこかうっとりとしている。
「肇のキスがエロかったからな」
「もう」
肇は顔はほんのりと赤く染まり恥じらっている。
けど、男性器に触れた手は、優しくゆっくりと上下に動かし始めた。
「どうですか」
「あぁ、気持ちいいぞ」
「そうですか」
肇はそう言うと、男性器の先端に指で触れてから、男性器に顔を近づけた。
「あは♡」
肇は恍惚な表情を浮かべながら、すんすんと男性器の匂いを嗅いでいる。
「すごい︙臭いですね。けどこの臭い。好きです」
肇はうっとりとした表情で言ってから、男性器の先に口づけをした。
そして舌をぺろっ。と出し、まるでアイスを舐めるように男性器を舐め初めた。
「ふふ。ビクビクしてますね。ならこれなら」
そう言うと、口を大きく開け、そのまま口に男性器の先を咥えた。
「あむ…。んむ…。ちゅぷっ…」
肇は上目遣いでPの様子を見ている。
「んむ…くちゅ…ぬぷ。ちゅぷ…ぬぷっ。じゅぷ…」
「あぁ、いいぞ」
肇はPに褒められ、ふふっと笑った様に見た。
「なら、ふぉっと、ひもひひょくなっふぇくだふぁい」
肇は男性器の根本まで咥え込んだ。
「ちゅぷ…んむ。あむ…ちゅる、くちゅ、んちゅ。やっふぁ、おおひい。んふ…」
肇は一心不乱に咥えている。
「はむ…ちゅる。んぷ…ぐちゅ…じゅる、んふぅっん。ちゅぐ」
舐めるいやらしい音は大きくなっていく。けど肇は気にする様子はない。
「はむ︙ぐぽっ︙ずりゅ、んむ︙。ちゅぷ︙ぬちゅ、あむ︙はむ」
「肇もう出る」
突然Pが叫んだと思ったら、肇の黒髪を、頭を掴み、引き離すのではなく、逆に頭を股間に押し付けた。
「んふ・・・ぐふっ・・・うぷ」
肇はむせているが、男性器を離そうとはしない。
Pも気持ちよさそうにしているだけで、肇を気にする様子はない。
「ふー」
Pは息を吐き捨ててから、肇の頭から手をどかした。
肇はゆっくりと。けれど、どこか名残惜しそうに口を離した。
口はナニかで膨れている。
肇は手で器を作ると、口に含んだものを出した。
口から白濁したものがドロっと吐き出され、肇の手を汚した。
「いっぱい出ましたね」
肇はうっとりと白濁したものを見ながら言った。
そして、すんすんと臭いをかいでから、手の中に出したモノを再度口に流し込んだ。
「とても生臭く、苦いですね。それに粘り気もすごく、まだ喉の奥にこびり付きます」
Pは「そっか」と肇の頭を撫で
「こんど食レポの仕事やってみっか」と言った、
「もうPさん」
「冗談だって」
Pの冗談に肇はぷくっと頬を膨らませた。
「それにしても…。まだ、元気みたいですね」
肇は男性器をマジマジと見ながら言った。男性器はまだ大きく、肇の唾液のせいで艶かしく光っている。
「前にヤった時から抜いてなかったからな。だからまだ出来るぞ」
「そう…ですか」
「なんか嬉しそうだな」
「そんなわけじゃ…きゃっ」
いつのまにかPの手が肇のパンツの中に侵入していた。
「ひゃっ…。ちょっ…やっ…ん、あん…や、止めてください」
「えー。でも肇のココは」
「そうじゃ…あん♡やっ…んん…あん♡」
パンツの中でPの手が動くたびに肇は体をよじらせ、口から甘い声がこぼれ落ちていく。
「ダメ…あっ…んっ…やっ…ひゃん」
「肇のココどんどん凄いことになってきてるぞ」
「そうじゃ…んっ…」
「じゃあなんだ」
Pはいじるのをやめ、手を引いた。
Pの指は濡れていた。
「あっ…」
肇の口から漏れた吐息のような声はどこか満足していない。
「どうした」
「いえ、その」
「しっかり言わないとわからないだろ」
「えっと。その」
肇は恥ずかしいのか目が泳いでいる。
「こっ、ここじゃその、恥ずかしいので、お…お部屋で・・・」
肇は顔を真赤にしながら言った。
肇の言葉を聞きPは「ははっ」と笑ってから
「肇もエロくなったな」と言った。
「ちが…くわないです」
肇は恥ずかしがりながらも認めた。
「ならえっちな肇ちゃんのお部屋に行こっか」
笑いながらPが言った。
「もう」
肇は頬を膨らませたが立ち上がり、Pに手を差し伸べた。
Pは立ち上がると、肇の手をとった。
「案内して」
肇はコクリと頷いて、Pを部屋へ案内する。
俺はスマホを握りしめ、急いで肇の部屋の外へ向かった。
俺が肇の部屋を、窓から覗いたときには既に二人はいた。
二人は互いの腰に手を回しながら深いキスをしている。
まるで恋人同士。
二人は満足したのかゆっくりと離れていく。
Pは肇をベットに座らせると、そのまま押し倒した。
そして服の上から胸に触れた。
Tシャツに皺が寄る。
「肇、オマッ」
肇はPから顔をそむけた。
「オマエなー、実家で安心してるのかもしれないけど、ブラぐらいしとけよ」
「えっと、その」
「えっともないだろ。あのガキに見られただろ」
肇はコクリと頷いた。
「はぁ~。あのガキャー。嘘ついたな。でもまぁー、しゃーねーか。
肇のような良い女が寝てりゃ、童貞には刺激が強すぎるもんな。今頃肇で、ますかいてるかもな」
「ますかいてる?」
「あぁ、[田島「チ○コ破裂するっ!」]してるって意味」
「おなっ」
「そっ。[田島「チ○コ破裂するっ!」]。肇もしたこと有るだろ」
肇は顔を真赤に染めた。その様子で答えはわかる。
「有るんだな」
肇はコクリと頷いた。
「なら、誰を思ってしたんだ」
「言わなきゃ…ダメですか」
「もちろん」
Pはどこか楽しそう。肇は羞恥心からか震えている。
「ぴっ、Pさんを思って…してました」
声を震わせながら言った。
「そっか。ならあの幼馴染は」
俺!?
アイツの言葉に俺はドキッとした。けど、俺は願った。
肇は首を横に振った。
「残念だったな」
俺をあざ笑う様にPは言った。
「なら、肇。俺をどんな風に思いながらしてたんだ」
肇は驚きながらPを見た。
「えっと、その。しなくちゃ…。いけないですか」
Pは笑顔でコクリと頷いた。
「わ、わかり…ました」
肇は自分の手をパンツの中に忍び込ませた。
もぞもぞと肇の手が動く。その度に「んっ…ぁっ…」とくぐもった声が漏れる。
「あっ…。んっ…。ふぅふぅ…んっ…」
肇のくぐもった声だけが聞こえる。
「んっ…。P︙さん。そ︙こ、も」
Tシャツの中にもう片方の手を忍び込ませた。
「あっ︙んっ︙ふくっ︙んっ、んふっ︙」
くちゅ、くちゅっ。とかすかな水音が聞こえてくる。
「んっ︙ふーふー。んっ︙ふー」
くぐもった声だけが聞こえるだけで、甘い声はしない。
「んっ︙くっ︙あっ︙んっ︙い、く」
肇はTシャツの首元を咥えながら静かにイッた。
イッた肇は顔を隠しながらベットにグダっと倒れ、息を整えている。
肇の胸が上下しているのがはっきりとわかる。
「へー。いつもそうやってしてるんだ」
Pは肇の髪を撫でた。黒いつややかな髪が揺れた。
肇はコクリと頷いた。
「なら、いつも服着てるんだ」
肇はまた、コクリと頷いた。
「なんで?」
高圧的な言葉。
「だって」
「だって?」
「だって、その…他の子に…声…聞かれちゃうし、突然部屋に来る子ももいますし」
「そっか。肇、寮暮らしだもんな」
肇はコクリと頷いた。その頭をPはまた撫でた。
「けど、その背徳感が気持ちいいんだろ」
Pは肇のパンツの中に手を忍び込ませた。
「やっ」
肇の体がビクつき、やけに響く声がした。
Pの指は濡れていた。その指を肇に見せつけた。
「こんなに濡らして。もう準備は出来てるな」
肇はコクリと頷いた。腰を軽く浮かし、自分からショートパンツを脱いだ。
黒いパンツ。
清楚なイメージの肇とはかけ離れている。けど、白い肌とのコントラストがエロい。
肇は躊躇することなく黒いパンツも脱いだ。
パンツに隠れていた秘部が露わになる。秘部は黒々とした陰毛がしっかりと生えていた。画面の向こうではなく、初めて生で見る女性の秘所に、俺は釘付けになった。
肇が動くたびに秘所がチラチラと見える。
あれが肇の…。
けど肇が座り方を変えてしまったため見えない。微かに陰毛が見えるだけ。
Pは肇が脱いだパンツを取り上げ、ジロジロとクロッチを見た。
「P…Pさん」
「はは。凄いな」
Pは肇にクロッチを見せつけている。クロッチは肇のものでシミが出来ていた。
「や、やめてください」
「別に良いだろ。肇の気持ちよかった証拠なんだから」
「でも」
「それにこれからもっと凄いことすんだから」
Pの言葉に肇は何も言わず、頷いた。
「肇もエロくなったな」
Pは肇の黒い艷やかな髪をワシワシと撫でた。髪が乱れる。
「Pさん」
肇は乱れた髪を必死に整えている。
「肇、脚広げて」
Pは髪を整えている肇を無視するように言った。肇は髪を整えてから足を広げた。
秘所が露わに。
肇の秘所はピッタリと閉じているのではなく、微かに開いていて、すでに濡れていた。
Pの指が秘所に触れた。
「んっ…」
肇は体をビクつかせ、口からくぐもった声をもらした。
けどPは気にする様子はない。Pは慣れて手付きで肇の秘所をいじり始めた。
くちゅっ。くちゅっ。と微かな水音が聞こえてくる。
肇はシーツを握り、歯を食いしばり必死に声を我慢している。
Pは肇の様子を伺いながら、ゆっくりと指を秘所に沈めていく。
「んっ…あっ…んン」
肇の秘所は簡単に、指の付け根まで呑み込んでしまった。
Pは直ぐに沈めた指を動かした。
「ん…くっ…んん…。やっ」
肇は必死に声を我慢している。けど、ぐちゅっぐちゅ。秘所からはいやらいい水音が聞こえてくる。
「肇我慢しなくていいんだぞ」
Pの問いかけに肇は必死に首を横に振った。
「そっか。なら」
Pは指でぐりっと、膣中をえぐった。
「あん♡」
甘い声がこぼれ落ちた。
ぐりゅ…。くにゅ…ぐにゅ…。
肇の中を指が何度もえぐる。その度に
「あん♡…やっ…だ…め。あっ…ん、あん。やっ…ダメ……ィイ」
くぐもった気持ちよさそうな甘い声をこぼした。
ぐにゅぐちゅぐちゅっぐちゅ。
指の動きがどんどん速くなっていく。
「や、ん。あっ…だめ…そこ、きもちイイ。あん♡やっ…んン♡」
肇は顔を赤らめ、シーツを握り必死に堪えている。けどぷっくりとした唇から聞こえてくるのは甘い切ない嬌声。
俺には肇がベットの上で、気持ちよさそうにしているようにしか見えない。
「あっ︙だめ♡Pひゃん♡もう…いっひゃいます。だめ、いく…」
肇は体を大きく震わせベットに倒れ込んだ。
「はぁ…はぁ…」
まるで運動後のような荒い呼吸。
Tシャツが汗のせいで肇の体にへばりついている。胸の形が浮き出て、胸の先端が膨れているのもわかる。
Pはゆっくりと指を秘所から抜いていく。
肇は体を微かに震わせながら「んっ…ぁっ…♡」甘い切ない吐息をこぼした。
指が抜かれた肇の秘所は、ぱっくりと口を開いている。
白い肌に黒い陰毛。ピンク色の秘所。
あまりのも非現実で、グラビアでは絶対見ることの出来ない肇の姿に俺は釘付けになっていた。
「肇」
Pも言葉に我に返った。
Pはいつの間にか裸になっていた。そしてスーツの内ポケットから四角いモノを取り出し、肇に渡した。
迷いなく、渡されたモノの封を肇は開けた。
現れたのはコンドーム。
肇は慣れた手付きでコンドームを男性器に被せた。
「肇」
Pの言葉に肇は自分から秘所を広げた。
くぱぁ。とピンク色の秘所が口を開ける。秘所から溢れ出た愛液がシーツに垂れていく。もう十分に思えるくらい濡れている。
Pは秘所に男性器の先をあてがった。
「あっ♡」
肇の口元が微かに上がった気がした。
男性器がゆっくりと肇の膣中に挿入っていく。ことはなかった。
Pは焦らすように、先を秘所の入り口にこすりつけているだけで挿入ようとしない。
「んっ…あっ…。んン」
肇の焦れっぽい甘い声が響く。けどPは挿入しようとしない。
「あっ…んっ…♡。もう、はやく♡」
肇は自分から男性器を手に取った。そして秘所にあてがった。
ぬぷっ。ぬぷぷっ。
ゆっくりと。簡単に、男性器が肇の膣中に挿入っていく。
「んっ…あっ♡ぅん。全部、挿入っちゃいましたね。どう︙ですか、Pさん♡」
肇の秘所は簡単にPのモノを全部咥えてしまった。
「あっ…んン。やっぱ、Pさんの、大きいですね」
肇は自分の膣中にある男性器を確かめる様に触りながら、うっとりとした表情で言ってた。
肇の言葉を聞かなくても分かる。もう肇は。ちがう。肇は既に処女ではなかった。
もしかすると、昨日のライブの時点では既に…。違う。違う。わからない。いつからなんだ…。わからない。
だだわかるのは肇は処女ではなかった。しかももう何度もセックスをしている。
昨日、今日の初めてしたわけではない。もう、何度もしている。
血の気が引いてくのわかる。顔が異様に寒いし、心臓がばくばくうるさい。
それなのに体の一部分が異様に熱く、痛い。
「もう、動いて…いいですよ」
もう動いて平気。そう言ってるつもりなんだろう。
けど、なかなか動こうとしないPに、痺れを切らしているようにしか思えない。
肇に催促され、Pはゆっくりと腰を動かし始めた。その顔は笑いを堪えているように見えた。
けど肇は気がついていない。
「んっ…あ…♡」
甘い嬌声をこぼした。
Pは膣中の感触を確かめるように、ゆっくりと腰を動かしている。
「んン…。あっ…。んっ♡んふ…あっ…♡」
甘い嬌声を漏らしながら、ビクッ。びくんっ。と肇の体が微かに跳ね、ベットが微かに軋む音をたてる。
「んっ…あっ、あん。あっ…ン、んく…。あっアッ…」
肇シーツを握りしめ、必死に我慢している。けど、甘い嬌声は徐々に大きくなっていく。
Tシャツの内側で、こぶりな胸が揺れているのがわかるくらい揺れている。
「あっ…はん…アッ…あ♡あん、いっい♡んっ…あっぁ♡気持ち、いいです…P…、Pさん…Pさん♡」
肇はPの背中に手を回し、抱きついた。
ぱんぱんぱん。腰が打ち付けられる音が聞こえ、ぐちゅ。ぐちゅ。と卑猥な混ざり合う水音も聞こえてくる。
「あっ…Pさん♡んぁ…もっと…もっと、きて…ください♡」
肇は気にする様子はない。それどころか気持ちよ…さそうによがっていた。
ぐちゅっ、ぐちゅ。ぱんっ、ぱんぱん。ずちゅっ、ぬぷっ、ぬぷん。ぐちゅっ、ぐちゅん。
「あっ…はん…あっあっ…ンん♡あっ…」
肇は鳴くように甘い嬌声をもらし、ひっくり返ったカエルのように股を広げ、ベットの上でよがっている。
秘所からもいやらしい音が聞こえてくる。
俺は目を背けたかった。けど、目を背けことができない。わかんない、わかんねーよ。
俺は無意識にズボンのずらしていた。
「おい、肇」
Pは肇の体に手を回した。そして肇の体を持ち上げた。
簡単に肇の体は持ち上がった。対面座位。
「ちょっ…待って、イキな…ン♡んっ♡あっ♡ぁぁ♡だめ♡」
最初は驚いたようだったが、気持ちのいい所に当たったのか肇は
とろんとした甘い嬌声をもらしながら、ぐだっとPに体を預けた。
「肇」
Pは肇のTシャツの裾をめくりながら声をかけている。けど肇はPに体を預けて動こうとしない。
肇の白い背中が露わになる。けれど胸はPの体に預けているため、捲られない。
「おい、肇」
Pが再び声をかけるが動く気配がない。
「ったく」
Pは唾棄するように言って、シャツの裾を離した。
だらりとシャツが肇の白い肌を隠す。
Pの手がTシャツの中に忍び寄る。けど長い裾のせいで隠れてしまいナニをしているのかがわからない。
ただ、肇のお尻を触れているのが動きによって辛うじてわかるくらい。
「んヒィ」
突然おかしな声を肇は上げた。
肇は目をぱちくりさせ驚いている。
「ま、待って。Pさん、そ、そこは待ってく…。んっ…あっ…さい…やっ…ダメ…アン♡」
びくっ。ビクッ。肇の体が反応する。
肇の言葉とは裏腹に、肇の声はどこか喜んでいる様に感じる。
「だっ…め…。そこ…は、違います。ッン♡」
「んなこと言ったって感じてんだろ。マンコだってスゲー締め付けてきてっし」
「んっあ…。で…も、ヒァッ…そこは…ちが…あっ♡んっ…います…ッッ♡」
肇はPさんにしがみつく。
「止めてほしかったらとりあえずバンザイしろ。バンザイ」
「あっ…わかっ…ンッ…わかりました。わかりぃましたひゃら、やめへくだはい」
肇はPから体を離しバンザイをした。
バンザイした分だけTシャツの裾が持ち上がった。
持ち上がって現れた光景に俺は驚いた。
…。
Pの…。Pの指が、肇のおしりの穴に埋まっていた。
肇のおしりの穴は窮屈そうに。けど、しっかりと指を咥えていた。
指が、ぐりっ。っと動く。
「んあっ…。P、Pひゃん。話が…んっ♡あっ♡…んん♡ち、違いま…す♡」
肇はバンザイをやめ、Pに体をまた預けた。お尻はTシャツの裾にまた隠れてしまった。
「おい、おい。誰がバンザイやめて良いって言った」
「んひぃ。ダメ♡そんひゃに…いじらないで…」
「ならバンザイしろ」
肇はゆっくりと両腕を上げた。
白いおしりが現れた。やはり肇のおしりは指を咥えていた。
「しました。しましたからはやくぬいてください」
肇は捲りたてる様に言った。
Pはつまらなそうな表情を浮かべながら、言われた通り指をゆっくりと引き抜く。
「んっ…あっ…おっんン。あっ…ぐりぐり、しないでくだしゃい」
「わかったよ」
Pは勢いよく指を引き抜いた。
「おぅん」
肇はおかしな声を上げた。ただ、目はとろんとし、どこかすっきりとしていた。
Pは肇の様子を気にする様子はなく。Tシャツの裾に手をかけた。そして一気にめくりあげた。
たゆん。
Tシャツの裾が下乳に引っかかったのか肇の胸が、揺蕩いながら現れた。
特段大きいわけでもないし、小さいわけでもない。けど、ものすごく形の整ったおっぱい。
美乳ってこの胸のことを言うんだろ。
胸が露わになったのに肇は恥ずかしがらない。今更恥ずかしがることではないのだろう。
それでも、少しは恥じらって欲しかった。
肇はPの首に手を回し、体を密着させる。胸が窮屈そうに押しつぶされ、形を変える。
Pは肇の耳元でナニかを囁いた。
何も言わずに肇は頷いた。
「んっ…あっ…」
ゆっくりと肇の腰が動き始める。
「んっ…あっ…ぁ…んン。あっ…ん、ふく…んっ…あっアン♡うくっ…ふーっ。んっ…。あ♡」
肇は秘所をPの股間に密着させながら、ぐりっ、ぐりっ。と気持ちいい場所を探すように腰を動かしている。
「あっ…はっぅん。くっ…ん…あっ♡あん♡あっ…うん♡あっ…ぁん♡
んく…あっ…あっぁっ♡…っ。んっ…あっ♡あっ…っん♡あっ…あっ…はん♡」
ぐりっ、ぐりっ。と押し付けるような腰の動きが、ぐりぐりと激しく、小刻みになっていく。
肇の甘い嬌声も徐々に大きくなっていく。
「んっ…ちゅっ。あむ♡んむ。ぷはぁ♡Pさん、どう…ですか」
肇は自分からPにキスをして聞いた。
「あぁ、いいぞ。ただな、肇」
そう言ってPは肇と繋がった肇をベットに押し倒した。
「俺はこれぐらい激しい方が好きなんだ」
Pは腰を激しく動かし始めた。
パンパンパン。激しく腰が肇の打ちつけられ、ベットがシギシギシと激しく軋む。
ぐちゅっ…じょぶっ…じゅぶじゅぶ…ぐちゅっぐちゅん。秘所から混ざり合う卑猥な水音が聞こえてくる。
「あっ…やん♡あっ♡あん♡だめ…んン♡そんなに…ンッ。あっ…あん♡ダメ…やん♡
激しいく…んっあっあっ…しないで…」
肇もベットの上で恥ずかしげもなく乱れている。
「あん♡あっあっ…はぅ♡っん…あっ、あん♡あっ…んン♡もっと…もっと奥を…奥を♡」
数秒前はダメって言っときながら、今はよがりながらもっと奥をと強請っている。
もう清純派アイドルの面影はない。
Pの腰の動くは更に激しさを増していく。
ぐちゅぐちゅっ。ズボ、ぬぽ♡ぐりゅっ、ぐちゅぅぅ。
「あっ…だめ♡…そこ…いい♡んンっ♡あっ、はぅン♡」
肇の体は何度もビクつく。
「どこがイイんだって」
「奥…奥が気持ちいいんです。だから…だひゃら。もっと奥をぐりぐひ虐めへくだふぁい」
Pは腰を勢いよく肇にうちつけた。
「あん♡」
男性器が最奥に届いたのか、気持ちよさそうな声で肇は鳴いた。
ぐりぐりっと男性器は肇の奥を刺激しいく。
「あっ…あっ♡うく…。あっ…やん♡あぅ…そこ♡もっと…もっと♡あっ、あん♡気持ちいい♡きもひいいです♡」
肇はシーツを掴みながら体をよじらせている。
「肇…そろそろ出すぞ」
Pの声に余裕が消えていた。
「んっあっ…まって、もう少しで…ん♡わたひも…あっ♡あん」
「だめだ・・・もう、出る」
「なら…私の膣中で出してください」
肇は腕をPの首に回し、足でPの体を抱き寄せ、Pを離そうとしない。だいしゅきホールド。
Pも腰を肇にこれでもかと激しく打ちつけ、動かなくなった。
「はぁはぁ」
聞きたくない男の吐息が聞こえてくる。
息は徐々に整ってくる。Pは抜こうとするが、肇はだいしゅきホールドを解こうとしない。
「肇」
Pの強い口調に肇は渋々だいしゅきホールドを解いた。
Pは肇も秘所から男性器をゆっくり抜いた。
コンドームの先は白濁したモノで満たされていた。それも恐ろしい量。
もし生でしていたら妊娠してただろう。
肇は体を起こし、男性器からコンドームを外した。
そして白濁したものをうっとりとした表情で見てから、口を開けた。
ドロりとした白濁したモノが肇の口に落ちていく。
全て口の中に落ちたことを確認すると、あ~。と肇は口の中をPに見せてから、
ごくん。
肇の喉が動いた。
「まだドロっとしてますね。あと量も沢山。まだ…」
肇は男性器を見つめ
「出来ますよね」と言った。
「出来るには出来る。だが、俺が持っているゴムはソレだけだ」
肇が持つコンドームを指さした。
Pの言葉を聞き俺はほっとした。流石にゴムなしじゃ…。
「そうですか…」
肇も落胆している。ちがう。そうじゃない。落胆なんてしなくていい。
肇、お前はアイドルなんだ。そう叫びたかった。けど叫んでしまっては…。
俺は必死に叫びたい気持ちを我慢した。
肇はベットから這い出て、机に向かった。
白いおしりがぷりぷりと動いている。
肇は机い置いた棚から何かを取り出し、ベットの上に戻った。
そして恥ずかしそうに取り出したモノをPに見せた。
「ぶはっ。あはははは」
Pは吹き出し笑っている。
肇は笑われてのが嫌だったらしく、つーんを頬を膨らませながらそっぽを向いた。
「悪い悪い」
Pは謝っているつもりなのだろう。けどどう聞いても笑っている。
「肇ちゃんが用意してくれてると思わなくて」
Pは肇の手から取り出したものを奪い取った。
それはコンドームだった。
コンドーム…。
それも肇の机に置かれた棚から出てきた。ってことは…。
肇が自分の意思で買ったということ。
いや違う。友達から貰ったって可能性も。それなら…。違うそんなことはない。
そうだとしたら、アイドルになる前に貰ったいうことになってしまう…。
もうしそうだとしたら、俺が知っている肇の時に、既に使う様なことをする男が居たことになってしまう。
いや、ふざけて友達と買った可能性も…。けど肇も肇の友達もそんなことしない。
…あっ。けど肇の友達と誰かと付き合ってたっけ。ならその子から。
でも…。もし貰うとということはやっぱり、誰かと良い雰囲気になっていことに…。
吐き気と共に腹の下が異様に熱い。
「なー肇」
Pがヒラヒラと肇の目の前でコンドームを揺らしている。
「これどーしたんだ」
俺の知りたいことを質問した。
肇は目を俯かせ、もじもじと恥ずかしがりながら「その…友達から貰いました」と言った。
まじ…かよ…。
俺の知っている肇。アイドルになる前に既に、コンドームを使う相手が…。
うぷっ。俺は口を抑え、こみ上げてきたものを再度、ムリヤリ呑み込んだ。
「そっかー。友達から貰ったんだ」
「…はい」
「なら、なんで貰ったの」
「言わなくっちゃ…だめですか」
満面の笑みでPはコクリと頷いた。
「えっと、その。友達からいざという時のために持ってなさい。って」
「へー。てことは誰かとシたんだ」
肇は首を横に振った。
「なら、なんで」
「もし、万が一の時に使えって」
「へー。ならその子は、ダレかと肇がすることを想定してたんだろうな。一体ダレだろうなー」
二ヘラと薄気味悪い笑みを浮かべながら言った。
「言わなきゃダメですか」
「いや、別に。結局使わなかったわけだし。それにダレかは検討はつくし。なぁ肇」
Pは肇にコンドームを返した。
肇はコンドームを受け取ると、直ぐに封を切らずに男性器に口に含んだ。
あむっ。んむっ。ぐむっ…ぐちゅっ。はむっ…ずちゅっ。ちゅるっ。ごくん。
まるで夢のように、尿道に残った精液を肇は吸い出した。
肇にお掃除された男性器は綺麗になっている。
「まだ出来ますね」
肇は男性器に手を触れてから、コンドームの封を切り、コンドームを口に咥えた。
そしてそのまま男性器を咥えた。
「あむ♡でひました。どうでした♡」
男性器には見事にコンドームが装着されていた。肇はちゅっ。と男性器の先にキスをした。
こんな事まで・・・。俺の知ってる肇はもういない。
ただそこにいるのは、男に調教された卑しい女。
「あぁ、良かった。ケツコッチに向けろ」
肇は四つん這いになり、フリフリとお尻を振っている。
そんな肇を見てPは口元に笑みを浮かべながら、秘所に男性器をあてがった。
ぬぷっ。ぬぷぷぷ。
男性器が秘所に挿入っていく。
「んっ…あっ♡あは♡」
男性器を秘所は全て呑み込んだ。
Pは肇の細りとした腰を掴み、腰を動かし始めた。
パンッ。パンッ。パンッ。
肇の白いお尻に股間が何度も打ちつけられ、ベットは絶え間なく軋んだ音を奏でる。
「あっあっ…んっ♡あっ…はうっ…ぅっ…あっあん♡あっ…あっ♡もっと…
もっと激しくしてください♡あっ…んっ…あっあん♡」
目はとろんと溶け、口をだらしなく開け、甘い嬌声で肇は鳴いている。
俺の知っている、轆轤を前にしたキリッとした表情でも、どこか抜けているほわんとした表情でもない。
獣の様に後ろから突かれ、獣のように快楽に溺れている。
「んっあっ♡あっあっ♡あん♡はうっんンっ…あっあっ。Pのさんの…あっ…んン。
Pさんの形が…わかります…あん♡あっ…膣中がいっぱい…Pさんので埋めれれて…
あっ、やん♡あっあっ♡んあっ…キモチイイ…んン♡です…きもひひいいです。あぁん♡」
肇は恥ずかしげもなく叫んだ。
なのにPは腰を動かすのをやめていた。けれどベットは軋む音をたている。
そして、ぱちゅんぱちゅんぱちゅん。と水音まで混じった肉と肉がぶつかり合う音がする。
肇の体が前後に激しく揺れていた。
たゆん、たゆんと肇の胸も体の動きに合わせて揺れている。
肇が動きに合わせ、秘所は男性器を飲み込んでは、名残惜しそうに抜く。そして途中でまた全てを咥える。
「ン♡あっ…はん♡キモチイイ♡Pさん、キモチイイです♡もっと♡もっと激しくしてください」
さらに肇は催促をしてくる。
肇の言葉にPは苦笑いをした。
それもそうだ。だってP自身は動いてないんだから。
肇が…。肇自身が激しく動いている。獣なんかじゃない。獣のメスだってこんなに自分から動かない。
ははは。
目頭が熱いや。
「っ…あっ…はっ…んン♡あっ…はぅ♡うく…んっあっあっ…うくぅ♡あっ…んひーーー」
肇が激しく、気持ちよさうに動いていると、パーン。と乾いた何かを叩く音がした。
パシーン。ペシン。ベチッ。何度も乾いた音が部屋に響く。
その都度
「ひゃん♡」「きゃっ♡」「あぅん♡」「やん♡」
と気持ちよさそうな声で肇は鳴いた。
白い肌が赤く紅葉に染まる。
「どうだ肇」
「あん♡きもちいいです♡」
「ヘンタイな肇ちゃんは尻を叩かれるのが好きなんだな」
「はいっ♡ヘンタイな私は…あん♡おしりを叩かれて…ひゃん♡喜ぶ…んン♡
いやらしい女です♡あん♡だから、もっと♡もっとぶってください♡」
乾いた音をたてながら白かったおしりは、赤色に染まっていく。
ぐちゅ。くちゅっ。ぷちゅっ。ぶじゅっ。
秘所はいやらしい音をたて、白い太ももには幾筋の秘水の筋。
シーツには溢れ出た快楽の証拠が染みを作っていく。
「あっ…んひ♡だめ…あん♡あっ…ぅく♡ひゃん♡」
「何がダメなんだ」
「もういっしゃう♡」
Pはおしりを叩くのをやめ、肇の腰を掴んだ。そしてこれでもかというくらいに腰を肇にぶつける。
ぐちゅっ…じゅぼっ…ぐにゅん、ぐぽっ…。じゅぶじゅぼ。
「あっ…あっ…。だめ…いっちゃう♡いっちゃう♡
あっ…あん♡…っ♡んン♡イク…あっ♡りゃめ♡もう♡…あっ…あ~~~~~」
肇はおしりを股間にこれでもかというくらい押し付け密着させながら、イッた。
「はぁ…はぁ…」
男性器を秘所で咥えたまま、身を丸めながら息を整えている。
けれどイッていないPは腰を動かし始めた。
「…っ。まって…ください…。私…イッた…ばっかで…。まだ…動か…おふ」
吐息の混じった甘い声が突然、ノドが潰れたような呻きの様な声で肇は鳴いた。
「おう…うぐ…あっ…あぐ…ソコは…ちがいます…」
身を丸め肇は必死に抗っている。俺はPの手元を見た。
指が肇のおしりの穴に触れている。違う…。指が肇のおしりの穴に埋まっている。
ぐりっ…ぐりっ。Pの指が動く。
「ふくっ…。うぐっ…。お…おぉぉん。あっ…ぁく♡んン。あっ…やっ…んぁ♡ぁっあっ♡うくっ…あっ♡」
男性器をハメらられ、おしりの穴をイジられながら肇は気持ちよさそうな声を上げている。
ぐりゅっ、ぐちゅっ。ぐにゅっ、じゅぶっ、ぐぼぉっ、ぬぷっ。ずちゅぅぅ。
秘所からは、とめどなく秘水が溢れ出てくる。
くに、くに。ぐりん、ぐりっ。Pは器用におしりの穴をいじめる
「アナルいじるとホント締まんな」
「おっ、おっ♡おん♡らめ…そんなにいじらないへ♡」
肇は苦しそうな声を上げた。けど、どこか感じている気が…。
「肇。そろそろ出すぞ」
Pは指をもう一本おしりに突っ込んだ。
「おっ、おぉぉぉ♡」
絞り出すような声が肇の部屋に響いた。
秘所の奥まで男性器をぶち込まれ、おしりの穴に指を2本も挿入されながら肇はイッてしまった。
Pは指を肇のおしりの穴から抜いた。指がテカッと光っている。おそらくおしりの粘膜なんだろう。
指を抜かれたおしりの穴は、くぱぁとだらしなく開いている。
Pは男性器を秘所から抜いた。
秘所もだらしなく。くぱぁ。と口を開け、何かを咥えている。
俺は秘所を凝視した。
コンドーム。たぶん劣化してたのだろう。
Pはコンドームに気がついてるか、取るとしない。
肇は違和感に気がついたのか、ぺたんと座り、秘所からコンドームを抜き取った。
そして、コンドームの中の精液を眺めた。
「3回目なのに、すごい量ですね」
「言っただろ、最近抜いてないって」
「そうでしたね」
肇は男性器に触れた。まだ男性器は猛々しい。
「まだ…出来そうですね」
「出来るが。もうゴムないぞ」
「…そう…でしたね」
肇の手は男性器を握ったっきり離そうとしない。
「アナルって、手も有るが」
「いえ結構です」
「なんでー」
「そのまだ…キツくて」
「…そうだったな。この前した時、翌日大変だったな。
まだこの後ライブは続くし。それにヤった後の処理もメンドイ」
肇はコクリと頷いた。肇の手は男性器をシゴイている。
二人の会話を聞いて俺は苦笑いをこぼした。
清純派アイドルは秘所だけじゃ飽き足らず、おしりの穴まで経験してたとは。
しかもセックス中の反応といい、会話といい数回はおしりでしている。
清純ってなんだろう。
「今から買って来るか、それとも…」
Pは全て言わなかった。けど肇はその後に続く言葉が何かを理解しているようだった。
「俺は別に肇のかわいいお口でも構わないが、それじゃー、肇は物足りないんだろ」
肇はこくんと頷いた。
「なら買ってくるか」
「いえ、今から買ってくるとなると、お母さん達が帰ってきちゃう可能性が」
「ならどうする」
男性器をシゴイていた手を止め、Pを押し倒した。
Pはベットに仰向けに倒れている。
肇はPに跨がると、男性器を握り、秘所にあてがった。
腰がゆっくりと男性器に落ちていく。
避妊具を着けていない男性器が、秘所に飲み込まれていった。
「んっ…あっ…。大きい。それにとても熱い。隔たりが無いだけで、こんなにPさんを感じることが出来るんですね」
肇はうっとりとしながら言った。
「Pさん、私の膣中どうですか。やっ♡…あん♡」
Pが肇を下から突き上げた。
突然の出来事に肇は体勢を崩し、Pの胸板に倒れた。
「やっ♡あん♡あっ…ダメ♡動かないでください」
肇はPの胸に顔を埋めながら悶ている。
Pは下から肇を何度も突く。
「あっ…だめ♡あン…待って。動くの待って♡」
けれどPの腰は止まらない。
肇のおしりを鷲掴みしている。白い柔らかそうなおしりが、むにゅっ。と男の手の形に変わる。
「まって♡ン…あっ♡だから、動かないでください…んン♡」
肇はPのほっぺたを思いっきり引っ張った。
「はひめ。やめほ」
「Pさんが…動くのを…ンッァ♡やめたら…やめます」
pは渋々動くのを止めた。
「もうPさん。止めてって言ったじゃないですか」
「ワルイ、悪い。久々のナマが気持ちよすぎて」
「もー」
肇はPにまたがったまま、ぷくーと頬を膨らました。
「今回は私が動くので、Pさんは動かないでくださいね」
宣言した肇はPの胸板に手をつき、ゆっくりと腰を浮かした。
男性器が肇の秘所から現れる。コンドームをしていない男性器は、秘蜜でテカっている。
先まで抜くと、また肇はゆっくりと腰を落としていく。
「んっ…あっ…んン…んくっ…あっぁっ」
ゆっくりとだが、徐々に腰の動きが速くなってくる。
ぱちゅ…。ぱちゅ…。ぱちゅ…。
秘所からイヤらしい音が聞こえる。
肇の美乳が腰の動きに合わせ、たゆん。たゆん。と上下している。
「どっ…どうですか、Pさん♡んっ…♡気持ち…いいですか。んっあっぁ♡」
「あぁ、気持ちいいぞ」
「よかった…っ♡私も、気持ちいいです…♡奥まで、Pさんのがいっぱいで…♡
おちんちんが、こつん、こつんと奥に…んぁっはん♡あたるのが気持ちいです♡♡♡」
「そっか。ならもっと気持ちよくしてやる」
Pは肇の腰を掴み、下から突き上げた。肇の胸がひときわ大きく揺れた。
「んっあっいやん♡あっあっあん♡私が動くって…んあっ♡言ったじゃないですか…あん♡あっはっはぅん♡」
肇は抗議している。けど、頬を緩めだらしなく口を開け、腰の動きを止めようとしない。
それどころかPの動きに合わせるように腰を動かしている。
ずんっ!ずぼっ!ずりゅぅ、ズコン!
肇は何度も下から突き上げられる。
パンパンパンパン。
ぶつかりあう音と同時に
「あん…あっ♡あっ♡あっあン♡いい♡気持ちいい♡」
甘い声をこぼしている。
ぐちゅ。ぐじゅ。じゅぶ。じゅぼ。
男性器を咥えた秘所は溢れ出た秘蜜で泡立っている。
ずりゅっ…ずぽっ♡ずちょ、ぐぽっ♡
秘所からだらだらと秘蜜が溢れ落ちる。
「んっ…あっ♡もうらめ♡奥そんなにこんこんされたら、わたし♡らめ♡あっ…あっ♡んっあっ…ぁっぁっ♡」
Pはさらに腰を激しく突き上げ、むりやり肇の腰を下げた。
「んひっ」
肇の体がビクつき、大きく弓形になりなったかと思うと、Pに向かって倒れた。
男性器を咥えた秘所はヒクヒクしている。おしりの穴も。
イッたんだろう。肇はPに体を預け動こうとしない。けれどPはまだイッていない。
肇の事を気にせず、下から肇を突き上げる。
「んあっ♡やめへ、やめへください♡わたひ♡イッたばっかで♡」
それでもPは下から肇を突き上げる。
「おっ。あっ…あっ♡らめぇ♡Pさん。Pさん♡らめ♡また、わたひいっちゃう♡あひっっ♡あんっあっらめ♡ぁあンっ♡」
呂律が回っていない。まるでAV。けど今見ているのはAVなんかじゃいし、AV女優でもない。
皆が憧れるアイドルの藤原肇。そして俺の幼馴染。
幼馴染は下から男性器に突き上げられ、よがっている。
じゅぼ。じゅぶっ。ぐじゅ。じゅぐ。
秘所から溢れ出た秘蜜が、秘所に突っ込まれた男性器によってかき混ぜられる。
「あっ…あっ♡らめ…Pさんらめ♡」
肇のおしりの穴がヒクヒクする。秘所も男性器を咥えながらもヒクヒクしている。肇はPの上でまた体を丸めた。
またイッてしまったらしい。
その証拠か肇の目はとろんとして、焦点が定めていないように見えた。口も、あは♡と開いている様に思える。
「おぉん♡」
ノドを潰したような声で肇は鳴いた。
「らめ、まっへ♡」
またPが肇を下から突き上げた。
肇の秘所を割って挿入っている男性器はまだ猛々しい。
「あっあっ。♡らめ♡わたひまたいっへる♡いっへるから~♡」
ひたすら下から突き上げ秘所を。その更に奥を嬲る。
「らめっ♡これいじょうされたら♡わたひ、ばふぁになっふぁう♡んぁっアッあっあぁ~♡」
下から突き上げれれるたびに肇の体はビクつき、秘所からぶしゅっ。ぐじゅっ。っと秘蜜が溢れ出る。
「肇そろそろ出る」
「れめ♡膣中はらめれす♡」
膣中はダメ。そう肇は叫んだ。けど肇は自分から秘所を抜こうとも、Pの上から離れようとしない。
それどころかPに抱きつき、秘所を男性器に押し付けている。
「らめっ♡膣中はらめれす♡んっ♡あっあっあぁぁ~~♡」
Pも肇の尻を掴み、逃げないように男性器を秘所に突き刺した。
出る。
どくんっ♡びゅりゅっ、びゅりゅるるる♡
肇の膣中に精子が注がれているのがわかる。それも大量に注がれているのがわかってしまう。
それくらい激しいく、全てを膣中に注ごうと動いていた。
「出てる。Pさんのが、どくどくわたしの膣中で出てる♡膣中にたくさん温かいのが♡」
Pは全て出し終えたのかようやく腰を動かすのを止めた。
男性器をまだ咥えているのに、秘所からは白濁したものがこぼれ落ちてきている。
おしりの穴がヒクヒクと物欲しそうに動いている。
「はぁはぁ♡はふっ、はぁはぁ…。んひっ…。はぁはぁンぁ♡」
肇は緩みきっただらしない顔でPに見を預けている。
Pは肇を抱きしめると、肇の体ごと体を起こして、繋がったまま肇をベットに仰向けに寝かした。
所謂正常位。けどPは動くことなく男性器を秘所から抜いた。
「あっ」
肇は名残惜しそうな声をもらした。
ごぽっ。どろっ…。
男性器を抜かれた瞬間、秘所からは剥奪したものが溢れ出た。
どろりとしたものがおしりを経て、シーツにこぼれていく。
Pは放り投げたスーツのポケットから、タバコを取り出した。
「…っ…タバコはダメですよ…」
「わかってるって」
そういいながらタバコを口に咥えた。
肇はベットにぐだっと体を預けながらも、Pを。いやPのタバコを咥えた唇を見ている。
「なんだよ」
「いえ…」
肇はぷいっと顔を背けた。
「なんだよ。言いたいこと有るなら言え」
けど肇は何も言わずにPの唇を見た。
Pはタバコを咥えたまま、はあっ。と、ため息を吐き出してから、タバコをしまい、肇にキスをした。
一瞬の感触に肇の表情がぱぁっと晴れ渡った。
「正解…だな」
「……。無粋です」
「そうか」
Pは肇の髪を優しく撫でたから、頬をさすった。
肇は頬をさすってる手に両手で触れ、頬を擦りつけた。
「Pさんs」
肇が言葉を紡ぐ前にPはもう片方の薬指で、唇を塞いぎ
「そろそろお袋さん達が帰って来てもおかしくない。シャワー浴びとけ」
誤魔化すように言った。
「でしたらPさんから」
「いや。俺は後でいい。俺は肇と違って髪を乾かすのに時間がかからない。
それにお茶こぼしたから、シャワー借りたと言えば怪しむが詮索してこないだろ」
「…そうですね。なら私から失礼します」
何事もなかったように肇はベットから抜け出した。
けれど秘所から精液がどろりとこぼれ落ちる。肇は慌ててティッシュを秘所に当て、拭った。
何度も秘所を拭うが、秘所からは精液が落ちてくる。
「もー、Pさん出しすぎです」
「わるいって。てか平気なのか」
「何がですか」
「何がって…。ほら、あれだよ」
初めて歯切れの悪い言葉を聞いた。
肇は思い当たった節が合ったのか「あぁ」と、秘所にティッシュをあてがいながら言った。
俺にはまったく検討がつかない。
「平気です、安心してください」
肇はニコリと言った。
「そう言ってもな」
「私、不順ではなく毎月ちゃんとキテますし、それにこの前終わったばかりですので」
肇はガニ股になり、秘所からこぼれ落ちる精液を処理しながら言った。
Pは肇を見ながらため息をついた。
肇は溢れ出る精液を拭うのを諦めたのか、脱ぎ捨てられたパンツを履き直した。
「あっ、そうだ。Pさん」
「なんだ」
「一緒にシャワー浴びませんか」
肇の申し出にPはため息を吐き捨てたから
「もしお袋さんに見られたらどうすんだ」と言った。
「…。それもそうですね」
てへっ。と肇は笑った。
「なら先に浴びてきますね」
肇は着替えを持たずに風呂場へ向かった。
部屋に一人残されたPはタバコをまた咥えた。そして、窓へ。俺の方へやってくる。
やばい。
俺は慌ててにズボンを履き、スマホを握りしめながら逃げた。
窓の下の土に白いシミだけが残った。
俺はこの道をこれまで何度通っただろう。今のように一人きりで。
じーちゃんとも。かーさんとも。あと肇のじーちゃんとも一緒に歩いたっけ。
それに肇とも。
けど…。
けど、こんな悲しい気持ちで歩いたことはなかった。
それなのに、肇の性行為。セックスのことしか考えられない。
チンコが痛いくらい大きくなっている。
手に持ったスマホの中で肇が喘いでいる。
この動画を使えば…。
邪な気持ちが芽生えていた。
いつのまにか夏休みは終わってしまった。
肇は何事もなかったように。いや実際、肇自身はなんと思っていないんだろう。
ライブキャラバンで全国を駆け巡った。
俺は一方、肇の動画を観ながら怠惰を貪っていた。
始業式。肇の居ない学生生活が再開した。
教室に着くと既に教室の中は。いや…。先生を含め、学校中が肇の話題で染まっていた。
すでに二週間近く経ってるはずなのに。
俺は苦笑いしながら右から左に肇の話題を流した。
なかにはしつこく肇に会ったか聞いてきたヤツも居たが、会ってないと嘘をついて突っぱねた。
そんなこんなで始業式は終わり、帰宅の途についた。
その途中、友達が「お前、肇ちゃんに会っただろ」とズバッと聞いてきた。
俺は観念して、肇に会った。と言った。
「そっか。やっぱな」
首根っこを掴まれるかと思ったが、そんなことはなかった。それどころか気持ち悪いくらいに穏やか。
「怒んねえの」
「なんで俺が怒んなきゃいけねーんだよ」
「いやだって、肇に会ってないって嘘ついたんだぜ」
「俺だって、あの雰囲気で会ったなんて言いたかねーよ」
自笑するように言った。そして、
「てかどのタイミングで肇ちゃんに会ったんだ」
と聞いてきた。
「ライブの次の日、肇のじーちゃんに物販を渡しに行った時、たまたま肇が家に居て会った」
「そっか。役得だったな」
「あぁ」
果たして役得なのだろうか。幼馴染の。好きな子の痴情を目撃して…。
……あぁ。やっぱ俺、肇のことが好きだたんだな。改めて自分自身に気持ちに思い知らされた。
ホント今更だよ。
頭の中肇は男性器を口頬張り、自分から男に跨がり、男性器を自分から秘所に突っ込みよがっている。
せっくすしてー。
俺は邪な感情を拭うために自転車をおもいっきり漕いだ。
風が邪な気持ちを剥ぎ取ってくれるそう思った。けど。けど肇のことは剥ぎ取ってくれない。
肇が気持ちよさそうに喘いでいる。
「セックスしてー」
青い。青い空に向かって叫んだ。
自転車が惰性で前へ進んでいく。
徐々に自転車はスピードを失くしていき、止まってしまった。
周りは田んぼしかない。かなり昔に舗装されてから、治されていないガタガタの道。
甘酸っぱい青春から遠い、泥臭さ。
空では鳶が悠然と飛んでいる。
友達が隣にやってきて、俺の頭を叩いた。
「アホだろ」
友達の言葉の通り俺はアホだ。
俺は俺に対して笑った。
友達はため息を吐いてから「そーいえば、ジャッキーに彼女出来たらしいぞ」と話題を変えてくれた。
「マジで」
新しい話題に俺は食いついた。
俺たちは再び自転車を漕ぎ始めた。
「マジで、しかも花火大会後、ホテルから出てきたとこをムッシュ達に見られたらしいぜ」
「マジかよ」
俺は笑った。
「けどいいなー」
「何がだよ」
「だってホテルから出てきたんだろ。ってことはセックスしたってことだろ」
友達はまた俺の頭をはたいた。
「アホか。お前セックスにしか頭回んねーのかよ」
「うっせーな。てかオマエもセックスしたかねーのかよ」
俺の言葉に友達は言葉をつまらせた。
「ほらなー」
友達を俺は嘲笑った。
「うっせ。童貞が」
「オメーもだろ」
俺たちは顔を見合わせ笑いあった。
青々しい山々。雲ひとつない青い空。風に穂を揺らす田んぼ。
変わらない光景。
そして、いままで繰り広げたくだらないやりとり。
これが俺の日常。
肇がいなくてっも変わらない日常。
ただ、肇がいないだけ。
あの日からだいぶ月日は流れ去ってしまった。
あの日から俺は変わったんだろうか。変われた気がしない…。
それなのに手元にある陶芸雑誌に肇と一緒に俺が載っている。
俺は肇との縁側での約束を守るべく、陶芸に没入し、約束ギリギリの年に俺は賞を穫れた。
そして、授賞式当日。
陶芸好き。陶芸を嗜んでいた。との理由から肇が授賞式に呼ばれたらしい。
久しぶりに会った肇は上品な大人の女性になっていた。
語彙が無いことが悔しいほど綺麗になっていた。
あの痴態の数々の面影はどこにもなかった。
授賞式は粛々と進み終わった。
式後、俺は肇との一対一のインタビューが行われた。
内容は、まぁ当たり障りのないありきたりの内容。ただ、異様に緊張したことしか覚えてないが…。
それでも肇も俺も約束を守った。ただ違ったのは肇はアイドルを辞めてしまったという事。
けどそれでも女優として残ってるからセーフだろう。
「改めて史上最年少受賞おめでとう」
満面の笑みで、拍手を添えながら肇が言ってくれた。
「ありがとな」
「やっぱキミはすごいね」
「すごかねーよ」
肇の言葉に俺は首を振った。
俺の陶芸は、肇に対しての鬱屈した感情が言動になってしまってたんだから。
「ううん。私にはこんな煽情的な器を作ることは出来ない」
肇の言葉には苦笑いすることしか出来ない。
「褒め言葉として受け止めとくよ」
「もー。私、褒めてるんだよ。それにおじいちゃんも物凄く褒めてたよ。キミはもう少し自分を誇っていいんだよ」
肇は子供の頃のように、ぷくーと頬を膨らませた。
はは、変わんねーな。俺は笑った。
「わるいな、こんな性分で。てか、肇ゴメンな」
苦笑いしながら肇の左手薬指を見た。
肇は高校卒業後、アイドル一本で行くのでなく、大学に進む選択をした。
そして、大学の4年になると同時にアイドルの活動を一時止め、
大学卒業と同時にアイドル引退宣言をし、女優に転身した。
そしてその1年半後結婚をした。
結婚時には様々な憶測を呼んだが、アイドル時代に浮世話が一切なく
女優転身後も浮いた話がなく、好意的に世間には受け止められた。
けど俺は見てしまったし、動画も撮っていた。
だけれどそれを公開することはしなかった。
だって…。
薬指には指輪が光輝いている。
「あぁ、そのことね」
俺の視線に肇は分かってくれた。
「本当は出れたんだけどさ、肇との縁側の約束に意固地になって、欠席で返送しちゃって」
「縁側の約束って私がキミインタビューするって」
「そう、それ。なんか受賞するまで、肇に会わないって俺の勝手の俺自身への約束ってか縛りを…」
「なにそれ」
肇は笑った。肇の笑い顔をみて心の荷物が降りた気がした。
「けどね、私悲しかったんだよ。皆が参加で返してくれたなか、キミだけが欠席だったんだから」
「わるいって」
「けど、許してあげる。キミは私との約束をしっかりと、守ってくれたんだから」
肇は子供の頃と変わらない笑顔で言ってくれた。
俺たちが笑い合ってると、コンコンと部屋にノックが響き渡った。
「失礼するよ」
男を見るなり、いや。声を聞いた瞬間に、肇の顔は咲き誇るひまわりのように輝いた。
「紹介するね、この人が私の旦那さんのPさん」
男が部屋に入って来るなり俺に紹介してきた。
「初めまして、ではないよな」
「ですね」
Pと俺は顔を見合わせながら互いに苦笑いをした。
「あの~すみませーん」
Pの背後からひょっこりと女性が顔を出した。そして俺を見てきた。
「なんですか」
「あ、あの、新聞社さんとテレビ局の方がインタビューしたいと」
おずおずと言ってきた。
「わかりました。肇悪いな。またどっかで機会が合ったらそこで話そう」
うん。と肇は首を縦に振ってくれた。
「あとPさん」
「なんだ」
「肇をお願いします」
頭を下げた。本当は頭を下げる義理も、お願いする義理もない。向こうも同じだ。ただこれは俺のエゴだ。
「あぁ、わかった」
Pは何も察してるのか聞いてこない。ありがたい。
「肇またな」
「またね」
肇は手を振ってくれた。薬指の指輪が光った。
俺は女の人の後を着いて部屋を出た。そしてドアを閉める直前。
「肇を泣かしたた殴りに行きますから」
Pに宣言した。
俺の唐突な発言に肇は驚いている。けどPは全く驚く様子はないそれどころか
「それは無理なお願いだな」
いけしゃーしゃーと言いやがった。この場で殴ったろっか。
肇もPの言葉を聞いて、Pを睨みつけた。
睨まれたPは方をすくめ
「涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない」と言った。
もう既に何度も肇のことを泣かしているのだろう。
けどその零れ落ちた涙は悲しみで出来てはいない。そう思えた。
「なら沢山泣かせてあげてください」
「わかった」
俺はPの言葉を聞いて部屋を後にした。
さよなら俺の初恋。
以上で終わりっす
もし次があれば改行のを工夫します
ようこの量書いたなお疲れ
このSSまとめへのコメント
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