兄「あっ、ほんとだ」
妹「やっぱりかー、寝心地わるいと思ってたんだよー」
兄「それにしても、どうするのそれ」
妹「病院で取ってもらえないかなー?」
兄「難しいんじゃないか? どれ、お兄ちゃんに見せてみな」
妹「えー、でもうなじとか見られるの恥ずかしいし……」
兄「あー、思春期だもんなあ」
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兄「にしても、なんで急に羽なんて生えたんだ」
妹「うーん、心当たりあると言えばあるんだけどさ」
兄「なんだ、あるんじゃないか」
妹「でもなー、それが原因なら、それはそれではずいしなあ……」
兄「まあとりあえず言ってみな」
妹「昨日ね、レッドブル飲んじゃったの。ほら、歯磨いたあとに」
兄「あ、もしかしてお兄ちゃんのやつ勝手に飲んだのか」
妹「えへへ。ごめんね、お兄ちゃん」
兄「今日の楽しみにとっておいたのに……」
妹「お詫びにちゅーしてあげるね」
兄「やめなさい」
妹「やめました」
兄「そんなことはどうでもいい、今は羽をどうにかしよう」
妹「うん、そうだね」
兄「とりあえず動かせるか試してみてくれ」
妹「うーん、どう動いてる?」
兄「ああ。これなら夏に扇風機かわりにはなりそうだ」
妹「でもさ、これ肩周りがすごく熱くなるんだよねえ」
兄「わーれーわーれーはーうーちゅーうーじーんーだー」
妹「もー、扇風機のかわりにしないでよー」
兄「んー、なんだか使い勝手がいまいちだな」
妹「もうつかれたよー背中たたいてー」
兄「ん、これでいいか」
妹「あーきくー」
兄「百回たたいたら交代な」
妹「わかったー」
兄「今何回目だっけ?」
妹「わかんなーい」
兄「そういえばさ、それで空とか飛べないのかな」
妹「飛んでほしいの?」
兄「実は昔からの夢だったんだ、パイロットになるの」
妹「乗るつもりなの?」
兄「もしかして乗れないのか?」
妹「むりだよーお兄ちゃん重いし」
兄「それもそうか」
兄「よし、妹。真剣にその羽をどうするかを考えよう」
妹「実はもう考えてある」
兄「言ってみろ」
妹「天使ビジネスをはじめます」
兄「ほう、詳しく」
妹「私が天使になって、迷える人たちのために神さまからの言葉を授けます」
兄「神様の声とか聞こえるのか」
妹「んーん、ぜんぜん」
兄「詐欺商売か」
妹「会員からは月の始めにそこそこのお金をもらいます」
兄「詐欺商売だ」
妹「お兄ちゃん、そろそろ真剣に考えようよー」
兄「実をいうと俺も考えてある」
妹「いってみろ」
兄「羽毛布団ビジネスをはじめます」
妹「詳しく」
兄「妹の羽をつかって布団をつくり、ネット通販で売ります。原価はほぼゼロです」
妹「布団なんて作ったことあるの」
兄「いや、一回もない。妹は出来るか」
妹「人任せか」
兄「ふすまは閉めとくから、隣の部屋でゆっくりしておくよ」
妹「人任せだ」
妹「うわ、たいへんだ」
兄「どうした」
妹「今日、好きな人に告白するつもりだったの忘れてた」
兄「それは本当に好きなのか」
妹「どうしよう、こんな姿お兄ちゃん意外に見せられないよ……」
兄「お兄ちゃんは複雑なきもちで胸が一杯だよ」
妹「羽の生えた女の子から告白されても、おっけーしてくれるかな?」
兄「男は思ってる以上に単純だからいけるんじゃないか」
妹「すきです、つきあってください!」
兄「マジか」
妹「あ、今のは練習だからね」
兄「あんまりびっくりさせないで」
妹「ドキドキしたの?」
兄「うん」
妹「えへへー、やったー」
妹「本命は同級生の子なんだよ」
兄「へー」
妹「恋の軽い翼で、私はお庭の塀をとびこえてきました」
兄「ずいぶんと仰々しい告白だな」
妹「実際は飛べないんだけどさー」
兄「見掛け倒しだなーこの羽」
妹「わわ、あんまり触らないでよー。くすぐったいよ」
兄「なんだ、神経通ってるんだな」
妹「そうみたい」
兄「じゃあ、取るとすごい痛いぞ」
妹「ええっ、じゃあ取らない」
兄「だけど取らないと寝返りできないぞ」
妹「でも痛いの嫌いだし……」
兄「だったらいい方法がある」
妹「なになにー?」
兄「お酒を飲んで全部忘れたらいい」
妹「うわー、野生の飲んだくれだ」
兄「わんわん」
妹「よしよし」
妹「お酒なんて生まれてはじめて飲んだよー」
兄「感想は?」
妹「まずまず不味い」
兄「慣れたら段々とよくなってくるよ」
妹「そんなものなの?」
兄「そんなものだよ」
妹「あれ、お兄ちゃんがふたり喋ってる」
兄「あちゃー、酔っぱらったか」
妹「むがー、偽物はあっちいけー!」
兄「こらこら、本物を叩くんじゃない」
妹「んー、なんだか眠たくなってきちゃった」
兄「あれ告白はどうしたんだ」
妹「まあ、よくよく考えたらそんなに好きじゃなかったかもしれない」
兄「それなら仕方ないな」
妹「というわけで寝ましょう」
兄「あれもしかして二人で?」
妹「ほかに誰がいるってんだい」
兄「兄のベッドを占領するんじゃない」
妹「ほらー、はやくー」
妹「羽があるからお兄ちゃんの方向くね」
兄「許そう」
妹「寝て起きたら羽がなくなってたりするかな?」
兄「ゼロとは言い切れないな」
妹「なくなってたらいいなあ」
兄「ないならないで寂しくなるかもしれない」
妹「そうかな?」
兄「生きてるとそういうことが良く起きるからな」
妹「お兄ちゃんもそういうことがあったの?」
兄「ああ。たくさんあったな」
妹「そっかー」
羽だと虫をイメージしてしまう
妹「次起きたらお兄ちゃんにも生えてるかもね」
兄「悪い冗談はよしてくれ」
妹「えへへ、そしたらお揃いだ―」
兄「そう言われると悪い気はしないな」
妹「じゃあ電気消すねー」
兄「真っ暗になったな」
妹「まっくらだ―」
というわけでここでおわります。
ありがとうございましたー
乙
いいテンポだった
なんとかわいい
おつ
いやいや続きまってるからね
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