妹「ねえお兄ちゃん、私背中から羽とか生えてない?」 (21)

兄「あっ、ほんとだ」

妹「やっぱりかー、寝心地わるいと思ってたんだよー」

兄「それにしても、どうするのそれ」

妹「病院で取ってもらえないかなー?」

兄「難しいんじゃないか? どれ、お兄ちゃんに見せてみな」

妹「えー、でもうなじとか見られるの恥ずかしいし……」

兄「あー、思春期だもんなあ」



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兄「にしても、なんで急に羽なんて生えたんだ」

妹「うーん、心当たりあると言えばあるんだけどさ」

兄「なんだ、あるんじゃないか」

妹「でもなー、それが原因なら、それはそれではずいしなあ……」

兄「まあとりあえず言ってみな」

妹「昨日ね、レッドブル飲んじゃったの。ほら、歯磨いたあとに」

兄「あ、もしかしてお兄ちゃんのやつ勝手に飲んだのか」

妹「えへへ。ごめんね、お兄ちゃん」


兄「今日の楽しみにとっておいたのに……」

妹「お詫びにちゅーしてあげるね」

兄「やめなさい」

妹「やめました」

兄「そんなことはどうでもいい、今は羽をどうにかしよう」

妹「うん、そうだね」

兄「とりあえず動かせるか試してみてくれ」

妹「うーん、どう動いてる?」

兄「ああ。これなら夏に扇風機かわりにはなりそうだ」

妹「でもさ、これ肩周りがすごく熱くなるんだよねえ」

兄「わーれーわーれーはーうーちゅーうーじーんーだー」

妹「もー、扇風機のかわりにしないでよー」

兄「んー、なんだか使い勝手がいまいちだな」

妹「もうつかれたよー背中たたいてー」

兄「ん、これでいいか」

妹「あーきくー」

兄「百回たたいたら交代な」

妹「わかったー」

兄「今何回目だっけ?」

妹「わかんなーい」

兄「そういえばさ、それで空とか飛べないのかな」

妹「飛んでほしいの?」

兄「実は昔からの夢だったんだ、パイロットになるの」

妹「乗るつもりなの?」

兄「もしかして乗れないのか?」

妹「むりだよーお兄ちゃん重いし」

兄「それもそうか」

兄「よし、妹。真剣にその羽をどうするかを考えよう」

妹「実はもう考えてある」

兄「言ってみろ」

妹「天使ビジネスをはじめます」

兄「ほう、詳しく」

妹「私が天使になって、迷える人たちのために神さまからの言葉を授けます」

兄「神様の声とか聞こえるのか」

妹「んーん、ぜんぜん」

兄「詐欺商売か」

妹「会員からは月の始めにそこそこのお金をもらいます」

兄「詐欺商売だ」

妹「お兄ちゃん、そろそろ真剣に考えようよー」

兄「実をいうと俺も考えてある」

妹「いってみろ」

兄「羽毛布団ビジネスをはじめます」

妹「詳しく」

兄「妹の羽をつかって布団をつくり、ネット通販で売ります。原価はほぼゼロです」

妹「布団なんて作ったことあるの」

兄「いや、一回もない。妹は出来るか」

妹「人任せか」

兄「ふすまは閉めとくから、隣の部屋でゆっくりしておくよ」

妹「人任せだ」

妹「うわ、たいへんだ」

兄「どうした」

妹「今日、好きな人に告白するつもりだったの忘れてた」

兄「それは本当に好きなのか」

妹「どうしよう、こんな姿お兄ちゃん意外に見せられないよ……」

兄「お兄ちゃんは複雑なきもちで胸が一杯だよ」

妹「羽の生えた女の子から告白されても、おっけーしてくれるかな?」

兄「男は思ってる以上に単純だからいけるんじゃないか」

妹「すきです、つきあってください!」

兄「マジか」

妹「あ、今のは練習だからね」

兄「あんまりびっくりさせないで」

妹「ドキドキしたの?」

兄「うん」

妹「えへへー、やったー」

妹「本命は同級生の子なんだよ」

兄「へー」

妹「恋の軽い翼で、私はお庭の塀をとびこえてきました」

兄「ずいぶんと仰々しい告白だな」

妹「実際は飛べないんだけどさー」

兄「見掛け倒しだなーこの羽」

妹「わわ、あんまり触らないでよー。くすぐったいよ」

兄「なんだ、神経通ってるんだな」

妹「そうみたい」

兄「じゃあ、取るとすごい痛いぞ」

妹「ええっ、じゃあ取らない」

兄「だけど取らないと寝返りできないぞ」

妹「でも痛いの嫌いだし……」

兄「だったらいい方法がある」

妹「なになにー?」

兄「お酒を飲んで全部忘れたらいい」

妹「うわー、野生の飲んだくれだ」

兄「わんわん」

妹「よしよし」

妹「お酒なんて生まれてはじめて飲んだよー」

兄「感想は?」

妹「まずまず不味い」

兄「慣れたら段々とよくなってくるよ」

妹「そんなものなの?」

兄「そんなものだよ」

妹「あれ、お兄ちゃんがふたり喋ってる」

兄「あちゃー、酔っぱらったか」

妹「むがー、偽物はあっちいけー!」

兄「こらこら、本物を叩くんじゃない」

妹「んー、なんだか眠たくなってきちゃった」

兄「あれ告白はどうしたんだ」

妹「まあ、よくよく考えたらそんなに好きじゃなかったかもしれない」

兄「それなら仕方ないな」

妹「というわけで寝ましょう」

兄「あれもしかして二人で?」

妹「ほかに誰がいるってんだい」

兄「兄のベッドを占領するんじゃない」

妹「ほらー、はやくー」

妹「羽があるからお兄ちゃんの方向くね」

兄「許そう」

妹「寝て起きたら羽がなくなってたりするかな?」

兄「ゼロとは言い切れないな」

妹「なくなってたらいいなあ」

兄「ないならないで寂しくなるかもしれない」

妹「そうかな?」

兄「生きてるとそういうことが良く起きるからな」

妹「お兄ちゃんもそういうことがあったの?」

兄「ああ。たくさんあったな」

妹「そっかー」

妹「次起きたらお兄ちゃんにも生えてるかもね」

兄「悪い冗談はよしてくれ」

妹「えへへ、そしたらお揃いだ―」

兄「そう言われると悪い気はしないな」

妹「じゃあ電気消すねー」

兄「真っ暗になったな」

妹「まっくらだ―」

というわけでここでおわります。
ありがとうございましたー

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