池袋晶葉「逆比の山」 (38)
モバマス・池袋晶葉メインのSSです。
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~晶葉のラボ~
晶葉「君の願いを叶えるに当たって、三つの問題がある」
「・・・はい」
晶葉「まず一つ目だ」
晶葉「仮にこの宇宙が一兆個の原子で構成されているとしよう」
晶葉「これらの原子の運動を一つ一つ詳細に解析しようとすれば、最低でも一兆個の記憶素子が必要となる」
「それってつまり、運動と同じ大きさのコンピュータが必要になる、ということですか?」
晶葉「然り、実際は運動を解析する演算装置も必要となるので一兆ではまるで足りない」
「宇宙よりも大きなコンピュータか・・・」
晶葉「なので、いくつかの原子をグループ分けしておいて、ある程度簡略化したシミュレーションを行うのが現実的な手法だろう」
「でも、簡略化すると誤差がでますよね?」
晶葉「ああ、そうだ。天気予報が外れるのは、この簡略化による誤差が原因の一つだ」
晶葉「気象のメカニズムが解明されても、原子一つ一つを把握出来るわけではないからな」
晶葉「これがまた如何ともしがたい壁であり、一つ目の問題だ」
晶葉「では二つ目だ」
晶葉「君は『一般相対性理論』がどんなものか、説明できるかな?」
「・・・いえ・・・まったく・・・」
晶葉「『ファン・デル・ワールス力』についてはどうかな?」
「高校の物理で習ったような・・・」
晶葉「病院の精密検査に使われるMRI・・・『核磁気共鳴画像法』の原理は?」
「・・・さっっっぱりです」
晶葉「だろうな・・・」
晶葉「人間は、様々な物理法則を発見し、解明し、証明し、それを利用して様々な技術を開発してきた」
晶葉「我々が当たり前に使っている家電や携帯電話・・・」
晶葉「そんな一般的なものでも、私でさえ到底理解が追いつかないほど高度な技術が満載だ」
晶葉「専門の研究機関が使用する機材ともなれば言わずもがな・・・だ」
晶葉「しかしながら・・・」
晶葉「それほど高度な理論・技術を総動員しても、なお・・・」
晶葉「宇宙の全てを解明するには至っていない」
「・・・ええ、そりゃあと百年かけても無理でしょ」
晶葉「うむ、たとえ先述の一つ目の問題をクリアしたところで」
晶葉「『なぜそうなるのか?』を理解していなければシミュレーションなど出来ない」
「因果関係・・・その立証が必要であると?」
晶葉「然り・・・」
晶葉「では最後の三つ目」
晶葉「また、いくつか君に質問をしよう」
晶葉「今、西暦何年の何月何日、何時何分何秒で地球は何度回った?」
「・・・えっと・・・」
晶葉「今、私と君は何ミリ離れている?」
晶葉「今、千川ちひろはどこにいる?私の助手はどこにいる?棟方愛海はなにをしている?」
「愛海はレッスン中のはずですけど・・・他は把握できてないですね」
晶葉「そうだろうな・・・人間一人が把握できる情報量など所詮は少ないものだ」
晶葉「大所帯とは言え自分が所属する事務所のことでさえこれだ」
晶葉「ましてや宇宙などという規模ならあらゆる観測機械を駆使しても」
晶葉「現状把握さえままならない」
「ははあ・・・なるほど。シミュレーションを行うにしても」
「まず、『今、どんな状態なのか?』がわからなければどうにもならないと?」
晶葉「いかにも。加えて、仮に把握できたとしてもその膨大な情報量をコンピュータに入力するだけで洒落にならないほどの時間がかかる」
晶葉「これが三つ目の問題というわけだ」
晶葉「君は私にこう言ったな」
晶葉「未来を、予知したい・・・と」
「・・・はい」
晶葉「残念ながら私からの回答は・・・」
晶葉「以上の三つの問題点から、それは不可能である・・・だ」
「池袋博士であっても・・・ですか?」
晶葉「ああ、たとえ私であっても・・・だ」
晶葉「しかし、この三つの問題はヒントにも成り得る」
「・・・・・・はっ!?」
「つまり・・・『演算装置の性能』、『因果関係の解明』、そして『精確な現在のデータ』」
「これらを理想に近づけるほど、限りなく『予知に近い予測』が可能であると!?」
晶葉「そう、そういうことだ」
晶葉「その三つのうち一つだけ、私が協力できることがある」
「本当ですか!?」
晶葉「ああ・・・ウサちゃんロボよ、来てくれ」
ウサちゃんロボ「ウサ!!」
晶葉「説明しよう、この子は3Dスキャン機能を搭載している」
晶葉「細かい原理の説明は省くが、要するにこの子が見たものを立体的に解析して」
晶葉「グラフィックとして表示する、というものだ」
「おおっ!それなら極めて精度の高いデータを得られますね!」
「その機能の使い方は?」
晶葉「それは簡単だ、口頭で伝えればいい。こんな風にな」
晶葉「ウサちゃんロボよ、3Dスキャン開始。対象は私だ」
ウサちゃんロボ「ウサ!」キュイーン!
晶葉「そして解析結果はこのようにウサちゃんロボの顔の部分に表示される」
「す、すごいですね!お借りしてもよろしいですか!?」
晶葉「ああ、許可しよう。ただし・・・ひとつ、質問に答えてもらおう」
晶葉「これは本当に、より良いプロデュースに必要なことなのか?」
晶葉「棟方愛海のプロデューサー・・・棟方Pよ」
棟方P「もちろんですッ!!!」
晶葉「ふむ、いい返事だ。信用しよう」
晶葉「ではウサちゃんロボよ、彼に協力してやってくれ」
ウサちゃんロボ「ウサ!」
棟方P「ありがとうございます!」
棟方P「それじゃあ失礼しますね!」
ガチャ!バタン!
晶葉「行ったか・・・」
晶葉(さて、今日の予定は助手との打ち合わせだが、まだ時間が余っているな)
晶葉(談話室で本でも読むとするか)
~会議室~
棟方P「というわけで、池袋博士に聞いてきたぞ」
愛海「ふ~ん、なるほど」
愛海「『演算装置の性能』、『因果関係の解明』、『精確な現在のデータ』・・・か・・・」
棟方P「なあ、聞いてもいいか?なんでまた突然、未来を予知したいなんて言い出したんだ?」
愛海「うん、それはね・・・」
愛海「今まであたしはさ、たくさんのお山を愛してきたわけじゃん?」
愛海「その経験は、それはそれは素晴らしいものだったよ?」
愛海「でも、本当にそれだけでいいのかな?って思ってさ」
愛海「本当に、『今』までのままで・・・いいのかな?・・・って」
棟方P「『今』まで?・・・『今』?」
棟方P「・・・・・・ハッ!!?」
愛海「さすがあたしのプロデューサーだね、気付いてくれた?」
愛海「『過去』も、『今』も・・・そして『未来』まで含めたお山を愛してこそ・・・」
愛海「本物の登山家なんじゃないかってね!!」
棟方P「ああ・・・ああ!!それでこそ俺がスカウトしたアイドルだ!!」
棟方P「つまり今回の趣向は・・・」
愛海「お山がどのように成長するのかを予測し、愛でる!!!」
棟方P「素晴らしい!・・・いや、だが・・・」
棟方P「『精確な現在のデータ』の問題は解決できたとして、まだ二つも課題が・・・」
愛海「ちっちっちっ!あたしを舐めないでもらいたいな」
愛海「古今東西あらゆるお山を体験してきた私が、なんの用意もしていないとでも?」
愛海「お山のサイズだけじゃなく、年齢、身長、体重、生活習慣、親姉妹の特徴、遺伝的形質、成長率の推移」
愛海「その他諸々のデータを頭の中にインプットしてきたのさ」
愛海「そこから法則性を導き出せば・・・」
棟方P「『因果関係の解明』・・・!」
愛海「さらにあたしのお山への愛と執念を加えれば・・・?」
棟方P「『演算装置の性能』も解決だな!!」
愛海「それじゃ早速シミュレーション開始だよ!」
愛海「記念すべき被験者一号は、アドバイスとウサちゃんロボに敬意を表して・・・・・・」
棟方P「ドゥルルルルルルル・・・ジャン!!!」
愛海「池袋晶葉博士だぁぁぁ!!!」
棟方P「YEAAAH!!!」
愛海「丁度ウサちゃんロボに3Dデータも残ってるし一石二鳥!」
棟方P「さあさあさあさあ!聞かせてくれよ!博士の未来のお山!その性能とやらを!」
愛海「あたしの脳内での厳正な審査の結果!晶葉ちゃんが到達するであろう頂は!」
愛海「スレンダー美乳!!!」
愛海「この可能性が一番高いと思うね!」
棟方P「ああ納得だ!・・・いや待て!こんなにもすぐに結論を出していいのか!?」
棟方P「もっと他の可能性も・・・」
愛海「待った待った!言いたいことはわかるよ?でもね、あたしはこう言ったよね?」
愛海「予測し、愛でる」
棟方P「愛でる?だが、想像上のお山に触れることは・・・」
愛海「そう、さすがのあたしでもそれは触れられない」
愛海「だから今回は!そこに至ることで何が起こるのか?それを想像してみるの!」
棟方P「どういうことだ!?」
愛海「つまりは、こう!」
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テスト
>>13
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と出てます。投稿エラーだと思いますよ
>>14
ありがとうございます!
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エラー続いてますね。短くするかもう少し時間を置いてみては?
愛海「仮に晶葉ちゃんが二十歳に成長したとしようか!」
愛海「で、ちょっと思い出してみてほしいんだけど、晶葉ちゃんの私服はどんな感じだった?」
棟方P「あまり凝ったものじゃなかったな。割とシンプルで可愛らしい感じのだ」
愛海「そう、シンプルで可愛らしい!」
愛海「ここで取り出したりますは晶葉ちゃんの私服ブロマイド!ピンク色の長袖セーターを着用してるよね」
愛海「このファッションに二十歳らしい大人のエッセンスをプラスしてみましょう!」
棟方P「大人の・・・露出を増やすとか体のラインを強調するってことか?」
愛海「さすがわかってるね!素材をタイト目のニットセーターにしてボディラインを強調!」
愛海「なんだったら袖も取っ払っちゃおうか!」
棟方P「ノースリーブは着る人を選ぶがスレンダー美乳なら無問題だな!」
愛海「そして!晶葉ちゃんのトレードマークといえば!?」
棟方P「・・・白衣か!!」
愛海「イエス!スレンダー美乳!タイトなトップス!!そして白衣!!!」
愛海「そこに立ち現れるのは!十四才ときにはあり得なかった白衣のシルエット!!」
愛海「かつては重力に従い鉛直に垂れ下がるだけだった白衣が!白衣の襟元が!!お山に押し上げられる!!」
棟方P「おお・・・おぉぉ!!」
棟方P「なるほど!アレが拝めるのか!!」
棟方P「ボディラインを強調し!さらに襟元が押し上げられたがゆえに生じる!お腹と白衣の隙間!!」
愛海「イェア!我々登山家にとっては絶対領域にも匹敵する魅惑の隙間!!」
愛海「トップとアンダーの差を眩しいほどつまびらかにする!否応なく魅せつける!!魔性の領域がそこに完成するのさ!!!」
棟方P「ノースリーブゆえにふとした拍子にちらりと覗く脇もニクいアクセントになってるな!」
棟方P「ハハッ・・・こいつは盲点だったぜ・・・」
棟方P「お山の高さや形ばかりに囚われて、麓の景色を楽しむ余裕をなくしていたとは・・・」
愛海「気持ちはわかるよ・・・あたしも登ることばかり考えちゃって、土台を蔑ろにしちゃうことはよくあるもん・・・」
棟方P「遠くから全景を眺めるのもまたお山の醍醐味・・・か」
愛海「深いね、お山は・・・」
棟方P「ああ、深いな・・・」
~談話室~
塩見周子「すぅ~~・・・はぁ~~」
周子「すぅ~~・・・」
周子「フッ!」
シュッ! ストッ!
シュッ! ストッ!
シュッ! ストッ!
パパーン! 180テン!!
周子「もう一丁・・・フッ!」
ストッ! ストッ! ストッ! パパーン! 180テン!!
ストッ! ストッ! ストッ! パパーン! 180テン!!
周子「よーし今日もシューコちゃん絶好調~!」
周子(ん~でもやっぱひとりダーツは張り合いないかな~)
周子「・・・」チラッ
晶葉「・・・」ペラッ
鷺沢文香「・・・」ペラッ
周子(そこにおわしますは読書中のお二人。遊んでくれそうなんは・・・)
周子「・・・」スッ ゴソゴソ
周子「晶葉ちゃ~ん」
晶葉「ん?」
周子「おヒマ~?」
晶葉「もうしばらくしたら助手と打ち合わせがあるが、それまではヒマだな」
周子「そっかーではでは」
周子「ここに八つ橋が一箱ございます」
周子「シューコおねーさんにダーツで勝てばこれを独り占めする権利を差し上げましょう!」
晶葉「ほう・・・」
周子「というわけでひと勝負どう?」
晶葉「魅力的な提案だが、生憎ダーツの心得はなくてな」
晶葉「おそらくまともな勝負にならないだろう」
周子「あ、もちろんハンデはつけるよ?」
周子「普通は1ラウンドに三本投げるんだけど、あたしは二本」
周子「おまけにそのうち一本は利き手じゃないほうで投げちゃおう」
晶葉「よし、乗った!」
周子「そうこなくっちゃね~!」
周子「そんじゃま軽く練習しよっか」
晶葉「ああ!」
晶葉「むぅ~・・・集中力を高めて・・・はっ!」
ポイッ! スカッ
ポイッ! カツン!
ポイッ! スカッ
晶葉「・・・・・・これは想像以上に難しいな・・・一本も刺さらなかった」
周子「うん、もうちょっとこう、手を離す時はスピーディーかつ優しい感じで」
晶葉「ふむ、こうか?」
ポイッ! スカッ ポイッ! スカッ ポイッ! ストッ!
ポイッ! スカッ ポイッ! ストッ! ポイッ! ストッ!
周子「おーおー刺さるようになってきたね」
周子「次はコントロールだね。これはこう、体をシュッとしてビシッ!って感じで・・・」
晶葉「さすがにその擬音ではわからないぞ?」
周子「あっれ~おっかしいな~。フレちゃんや関西出身の子はすぐわかってくれたんだけど」
文香「そういえば大阪のご年配の方はそのような擬音を多用すると聞いたことがあります」
周子「まああたしは京都なんやけどね~。他にも道案内の時にこの道をダーッ!と行って、とか言わへん?」
晶葉「言わないな・・・」
文香「言いませんね・・・」
周子「そっか~じゃあ他にいい例えは・・・あ、そうだ」
周子「文香ちゃん、一回投げてみてくれる?
文香「えっと・・・構いませんが、私もダーツの経験は・・・」
周子「いいからいいから~」
文香「はい、では挑戦してみますね」
周子「じゃあ晶葉ちゃんは文香ちゃんの・・・に注目しといてね?」
晶葉「んっ?今なんと・・・」
文香「行きます・・・えいっ!」
ポイッ! タユン! スカッ
ポイッ! ポヨン! カツン!
ポイッ! プルン! ストッ!
文香「一本しか刺さりませんでしたが・・・」
周子「揺れてたでしょ?アレ」
晶葉「あ、ああ・・・揺れていたな」
文香「あの、何が揺れていたのでしょうか・・・?」
周子「おっぱい」
文香「えっ」
周子「で、今のは悪い例ね」
文香「えっ」
文香「ど、どういうことなのでしょうか・・・///」
晶葉「フフッ、やらせておいて酷い言い草だな」
晶葉「だが、言いたいことはわかったよ」
晶葉「胸が揺れるということは上半身がブレてしまっているので矢の軌道が安定しない」
晶葉「なので体がフラつかないようしっかり固定して投げろ、ということか」
文香「な、なるほど・・・それがシュッとしてビシッ!なのですね」
周子「そ~そ~!シューコちゃんが言いたかったのはそ~いうこと!」
晶葉「よし、シュッとしてビシッ!を意識して練習してみようか」
・・・・・・
晶葉「さて、コツはなんとか掴めてきたぞ」
晶葉「打ち合わせまでそう長い時間があるわけでもないからな、そろそろ始めようか」
周子「おっけー!遊び方は何種類かあるけど今回はシンプルにカウントアップでいこっか」
周子「ルールは合計得点が高いほうが勝ち!それだけ!」
晶葉「ふむ、分かりやすいな」
晶葉「円盤の周囲に書かれている1から20までの数字がそのまま得点になるんだったか?」
周子「いえーす、基本的にはねー」
文香「円盤は・・・いくつかの色に分かれていますね」
周子「ど真ん中は『ブル』っていってね、ドドーンと50点!」
晶葉「なるほど、では真ん中を狙えばいいのか」
周子「おっと~早まっちゃあいけませんぜ」
周子「『ダブル』と『トリプル』ってのがあってね、文字通りそこに当てると得点が2倍3倍になっちゃうボーナスゾーンがあるのよ」
周子「ダブルは円の一番外側、トリプルはダブルとブルの中間にある色が違うゾーンね~」
晶葉「ふむ、ということは・・・20のトリプルで60点。三本投げるので1ラウンドで180点が最高か」
周子「そーそー、カウントアップはそこを狙うのが基本だね」
周子「ただし20の両隣は1と5の低得点ゾーンだから~」
文香「一歩間違えば奈落の底へ・・・」
周子「いやその表現はさすがにオーバーかな~」
周子「そんじゃ晶葉ちゃん、先攻どうぞー」
晶葉「了解だ・・・おっと、その前に聞いておこう」
晶葉「私が負けたら罰ゲームなどはあるのかな?」
周子「ん~それ考えてなかったね」
晶葉「しまった・・・言わなければ何もなかったか・・・」
周子「んっふっふー失言だったね。まあ何か面白いの考えとくよ」
晶葉「あまり恥ずかしいのや痛いのは勘弁だぞ?」
~再び会議室~
愛海「じゃあ、次の可能性を検討してみようか」
棟方P「スレンダー美乳の次は・・・ロリ微乳あたりが濃厚か?」
愛海「うん、イイ線だと思うよ?でもね、あたしは敢えて」
愛海「ムッチリ巨乳を推すね!」
棟方P「なにっ!?・・・いや、もちろんそうなる可能性はゼロじゃない・・・」
棟方P「だがゼロではないというだけで極めて低いだろう?もっと他に検討すべき可能性が・・・」
愛海「プロデューサーともあろう人が晶葉ちゃんの『背景』を考慮することを忘れてないかな?」
棟方P「背景・・・だと?」
愛海「晶葉ちゃんと言えばロボット!これは外せないよね!!」
棟方P「あ、ああ・・・ん?そうか!」
棟方P「頭の良い博士をことだ。二十歳ともなれば当然、大学に通っているだろう!もちろんロボット工学で有名なところだな!」
棟方P「なんだったら飛び級や大学側からのオファーも視野に入れてもいいくらいだ!」
棟方P「講義、研究、実験、論文・・・いずれは博士号の取得」
棟方P「今までの比ではないほどの忙しさ!アイドル業との両立が難しくなってくる頃合い!」
愛海「さすがにアイドルを引退するのはないにしても、一時的に活動を休止することはあるかもしれないよね」
棟方P「レッスンやトレーニングがなくなったことによる運動不足、研究に没頭しすぎて不規則になりがちな生活、片寄りがちな食事!!」
愛海「そして!悲しいかな、付いてしまった余分な脂肪!!」
棟方P「有り得る!ムッチリ巨乳は十分有り得るぞ!!」
愛海「でしょでしょ!?ここで・・・設定を追加するよ?」
愛海「仮に・・・仮にだよ?晶葉ちゃんが助手Pさんに恋心を抱いているとしよっか・・・」
愛海「で、世話焼きな助手Pさんのことだから活動休止中の晶葉ちゃんの様子見がてら一緒にご飯食べに行ったりするよね」
愛海「そこで若干ふくよかになった晶葉ちゃんを目の当たりにする助手Pさん・・・」
愛海「職業柄、女の子の体調と体型には人一倍気を使う彼は、デリカシーと立場を秤にかけて、結局この一言を口にしてしまう・・・」
『晶葉、ちょっと太ったんじゃないか?』
棟方P「あ~アイツは言う!絶対言うなソレ!」
愛海「もちろん晶葉ちゃんはそれを自覚しています!でも、だってしょうがないじゃない忙しいんだもの!!」
棟方P「心の中で言い訳してみても乙女心へのダメージは甚大だぁ!!」
愛海「負けず嫌いな晶葉ちゃん!やられたままではいられない!なんとか助手Pさんをぎゃふんと言わせたい!!」
棟方P「池袋博士に反撃の余地はあるのか!?」
愛海「そこでふと気付く!確かに自分は太ってしまった!しかし同時に手に入れたものがある!!」
愛海「14歳の頃にはなかった女の武器!そう!!」
愛海・棟方P『お山!!!』
愛海「晶葉ちゃん、決意します!今日はちょっとだけ大胆になってみようかな~って!」
棟方P「さあさあさあ!面白くなってきたぜ!!」
愛海「二人で行く食事!いつもなら対面の席に座るんだけど今日はひと味違います!」
棟方P「まさかのお隣に着席!!」
愛海「晶葉ちゃんの意図を掴めないままキョトンとする助手Pさん!!」
棟方P「ここで攻めの手を緩めるわけにはいかぬ!!」
愛海「例えば助手Pさんの向こう側にあるメニューを取るために!いやもう理由は何でもいい!わ・ざ・と体をすり寄せる!!」
棟方P「するともちろん当たりますよね!!」
愛海・棟方P『お山!!!』
愛海「伝わる想定外の大きさ!!予想外の柔らかさ!!!」
愛海「助手Pさんはここでようやく気付くのです・・・」
愛海「池袋晶葉はもう・・・」
愛海「少女ではなく女なのだと・・・」
愛海「・・・」
棟方P「・・・」
愛海・棟方P『Fooooooo!!!』
愛海「どうよこれ!?どうよ!!?」
棟方P「んあ"あ"あ"あ"!!何て言うかもう、んあ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
棟方P「言葉にできねえっ!!!」
棟方P「うおぉっ!助手Pそこ代われぇ!!ぬぁぁ!!」
愛海「ちょっ、ちょっと荒ぶりすぎ!落ち着いてプロデューサー!?」
~談話室~
周子「ぐぬぬ~さすがにこのハンデは調子に乗りすぎたかな~」
文香「思いの外、接戦ですね・・・」
文香(最終ラウンド、先攻の晶葉さんが投げ終わった時点で35点差で晶葉さんがリード)
周子「よ~し一丁気合い入れてこ~」
晶葉「ここで36点以上取られたら私の負けだな」
周子「ほいっ!」シュッ! ストッ!
晶葉(15点!残り20点差か)
文香(周子さんが勝つにはあと21点以上・・・倍率がかかっていないゾーンでは追い抜けませんね)
文香(この場合どこを狙うべきなのでしょうか・・・ブル?)
文香(いえ、20のトリプルですね。これならば仮にトリプルに入らなくとも引き分けに持ち込めますし、ダブルよりも上下の誤差をフォローしやすいですね)
周子「集中、集中・・・」スッ
文香(あら?・・・そう言えば、なぜ周子さんは最後の一投なのに左手で構えて・・・)
文香(今まで左、右の順番で投げていたはずですか・・・)
周子「すぅ~~・・・フッ!」
シュッ! ストッ!
20!
Draw Game!!
周子「ありゃりゃ、ちょびっとずれたかー」
文香「引き分けですね」
周子「まあ経験者の面子は保てたからよしとしましょーか」
晶葉「うむ、この条件で引き分けということは、ハンデなしなら実質倍以上の点差が開いていただろうからな」
晶葉「さすがだな!」
晶葉「ところで引き分けの場合、賞品も罰ゲームもなしということでいいのかな?」
周子「そやね~。決着つくまで延長戦もアリだけど、そろそろ打ち合わせの時間でしょ?」
周子「ここまでにしとこっか」
晶葉「それもそうだな」
周子「八つ橋独り占めならず!残念でした~」
晶葉「ちなみに罰ゲームは何か考えたのか?」
周子「うん、『助手Pさんに理想のバストサイズを聞く』にしようと思ってたんだけど」
晶葉「おいっ!?さすがにそれは・・・」
周子「あははジョーダンジョーダン!シューコジョークだよ」
周子「そんじゃあさ、打ち合わせ終わったらみんなで食べよっか、八つ橋」
文香「よろしいのですか?」
周子「元々そのつもりだったしね~」
晶葉「そうか、では打ち合わせが終わったら私がお茶を淹れよう」
周子「お、晶葉ちゃんのお茶って初めて!楽しみにしとくよ」
ガチャ!
助手P「お待たせ晶葉、打ち合わせ始めようか」
晶葉「ああ、場所はどこにするんだ?」
助手P「会議室を使うつもりだったんだが、棟方Pの奴が先に使っててな」
晶葉「ではこのままここでいいんじゃないか?」
助手P「そうだな・・・塩見さん、鷺沢さん、少しここを使わせてもらっても構いませんか?」
文香「はい、お気になさらずに」
周子「全然いいよー」
助手P「ありがとうございます。じゃあ始めようか」
晶葉「ああ!」
周子「さてと・・・もうちょっと一人で投げようかな~」
文香「・・・あの・・・」
周子「ん?どしたの?もしかして対戦相手になってくれるのかな?」
文香「いえ、お聞きしたいことが・・・」
文香「引き分けは、意図的に狙ったものでしょうか?」
周子「ぎくーん!!」
周子「ふーん・・・どうしてそう思ったのかなーん?」
文香「理由は2つあります」
周子「ほほ~う、じゃあ名探偵文香ちゃんの推理を聞かせてもらおうか」
文香「まず、晶葉さんに先攻を譲ったことです」
文香「後攻ならば晶葉さんの得点に合わせて自分の得点を調整し、接戦を演じることができるのではないかと・・・」
文香「もちろん、狙い通りの得点を出せる上級者であるという前提が必要となりますが」
周子「ふむふむ、一理あるね」
文香「2つ目は、最後の一投を左手で投げていたことです」
文香「確認したいのですが、周子さんは左利きですよね?」
周子「そうだよー」
文香「今回のようなハンデがある場合は・・・まず利き手で確実に高得点を取っておいて」
文香「それから相手との得点差を考慮して、堅実に点を取るか、リスクを冒して高得点を狙うかを決める・・・という戦略をとるのが定石になると思います」
文香「周子さんはこの定石通りに投げていましたが、最終ラウンドだけは逆でした」
文香「つまり最後は確実に引き分けとなる点を狙うために利き手を使ったのではないかと・・・」
周子「ふふふ、半分正解・・・ってことにしとこうか」
周子「接戦を演じたってのはね、ちょっとあるかな」
周子「初心者相手に圧倒的大差で勝つってのも流石に大人気ないよねーと」
周子「ただ勘違いしないで欲しいんだけどさ、ハンデは付けたけど手を抜いたってわけじゃないからね?」
周子「全力を出さなかっただけ」
文香「・・・?どう違うのでしょうか?」
周子「ほら、シューコちゃんってチャランポランでしょ?」
周子「だからさ、『明日死んでもいい!』ってくらいの覚悟じゃないとギアがトップに入らないわけよ」
周子「さすがに遊びでそこまでモチベーションは上がらないかなーって」
周子「それにシューコちゃんは狙った通りの得点を出せるほど上手じゃないよ?文香ちゃんの買いかぶり過ぎじゃないかな~」
文香「そうですか、では・・・」
文香「一人で投げていたときは、全て20のトリプルに命中させていたのは」
文香「見なかったことにしておきますね」ニコッ
周子「またまたぎくーん!!」
周子「ありゃりゃ、文香ちゃんのほうが一枚上手やったか~」
周子「おっぱいいぢりの意趣返しかなーん?」
文香「いえ・・・///そういうわけでは・・・」
PiPiPiPiPiPi!!
助手P「ん?電話か、晶葉?」
晶葉「いや、これはエマージェンシーコールだ」
助手P「エマ・・・?えっ、それ大丈夫なのか!?」
晶葉「まあ大した問題にはならないだろうが・・・」
晶葉「すまない、少しだけ席を外すぞ」
助手P「あ、あぁ・・・」
~会議室~
棟方P「フゥゥ~・・・フゥゥ~・・・」
愛海「落ち着いた?プロデューサー」
棟方P「ああ、なんとかな」
棟方P「いやぁそれにしても素晴らしいな、この試み」
愛海「お山の成長、それに付随するエピソードの予測・・・いいでしょ?」
棟方P「ああ最高だね!」
愛海「だったらこれからやるこべきとはわかるよね?」
棟方P「当然だ!」
愛海「他の子のデータを取りに出発だぁ!!!」
棟方P「イエアァァ!!着いていくぜ師匠!!!」
ウサちゃんロボ「警告、禁則ワードを検知しました。ウサちゃんロボ、暴徒鎮圧モードに移行します」
愛海「!?」
棟方P「!?」
ウサちゃんロボ「ネットガン、スタンバイOK。対象の無力化を実行します」
バシュ!
愛海「うわ、ちょっ!なにこれ!?動けない!」
棟方P「粘着性の投網か!?小癪な!!」
ウサちゃんロボ「対象の無力化を確認。ウサちゃんロボ、通常モードに移行するウサ!」
ガチャ!
晶葉「はぁ・・・やはりこうなったか・・・」
愛海「あ、晶葉ちゃん!」
棟方P「どういうことですか池袋博士!?」
晶葉「君たちの不埒な悪巧みの対象が私だけだったなら、見逃してやっても良かったんだが」
晶葉「他のアイドルにまで被害を及ぼすというのならそうはいかない」
晶葉「私はロボットの生みの親としてその用途を管理、監督する責任があるのでな」
晶葉「被害が拡大しそうになったら先手を打って君たちの企みを妨害するようあらかじめ対抗措置をとらせてもらった」
棟方P「そんな!ヒドイ!信用してくれるって言ったのに!!」
晶葉「ええい!普段の行いを省みろ!!」
晶葉「むしろなぜ信用してもらえると思った!?」
愛海「でもさ!あたしたちがやろうとしたのはデータ収集とシミュレーションだけだよ!」
愛海「直接お山に触れるわけじゃないからいいじゃん!」
晶葉「データ収集といえども度が過ぎれば立派なプライバシーの侵害だ!」
晶葉「それに君のことだから成長率が悪い子を見つけたらサイズアップのためのマッサージと称して登るつもりだったんじゃないか?」
愛海「ぐっ!否定できない!」
晶葉「だいたい何がより良いプロデュースのためだ!私欲と煩悩まみれじゃないか!」
愛海「いやこのシミュレーションはプロデュースに役立つよ絶対!」
棟方P「そうだそうだ!」
晶葉「百歩譲って役立つのだとしてもそれを考えるのは各々のプロデューサーの仕事だ。君たちの出る幕ではない」
愛海「そ、そんなあ・・・」
晶葉「・・・まあ今回は特に実害がなかったようだし、私も助手を待たせているからな。ここまでにしておこう」
晶葉「その網は時間が経てば自然に剥がれるものだ。しばらく今後の身の振り方でも考えるといい」
晶葉「行くぞ、ウサちゃんロボ」
ウサちゃんロボ「ウサ!」
ガチャ!バタン!
愛海「・・・」
棟方P「・・・」
棟方P「行ったか・・・」
愛海「うん・・・」
愛海「ねえプロデューサー・・・」
棟方P「ん?」
愛海「お山によって負った傷はさ・・・」
愛海「お山によって癒すしかないよね!!!」ブチブチッ!
棟方P「イエアァァ!!山狩りじゃあぁぁ!!!」ブチブチッ!
バンッ!!!
ウサちゃんロボ「DESTROOOY!!!」
愛海「!?」
棟方P「!?」
ドカァーーーン!!!
愛海「 」プスプス
棟方P「 」プスプス
晶葉「二つ、伝え忘れていたことがある」
晶葉「一つ、ウサちゃんロボは耳が良い。滅多なことは口にしないことだ」
晶葉「二つ、仏の顔も三度までというが、私の気はそんなに長くないぞ」
晶葉「ではな」
バタン!
愛海「うん、あたし知ってた」
愛海「タイトルに山が入ってる時点でこういうオチになるんだろうなって」
棟方P「ハハッ、そうだな・・・」
愛海「ほとぼりが冷めるまで大人しくしてよっか・・・」
棟方P「ああ・・・」
~談話室~
助手P「・・・」
文香「・・・」ペラッ
周子「・・・」シュッ! ストッ!
デストローーーイ!!!
ドカァーーーン!!!
助手P「!?」
文香「!?」
周子「!?」
周子「なに・・・今の音?」
助手P「様子を見に行って来ます。お二人はここで・・・」
ガチャ!
晶葉「すまない、待たせたな」
助手P「晶葉、いま爆発音が・・・」
晶葉「ああ、それは気にしなくていい。不埒な登山家に天罰が下っただけだ」
助手P「そうか、じゃあ続けようか」
文香(えっ、納得なさるんですか・・・)
周子(まあわりと日常茶飯事だしいっか)
助手P「・・・とまあ、スケジュールに関してはこんなところだ」
助手P「何か質問は?」
晶葉「いや、特に問題ない」
助手P「よし、じゃあ打ち合わせは以上だ」
晶葉「・・・・・・ところで助手よ」
助手P「ん?」
晶葉「君は・・・私にどんな風に成長してほしい?」
助手P「どうしたんだ急に?」
晶葉「いいから答えてくれ」
助手P「そうだな・・・そりゃトップアイドルになってもらいたいが・・・」
助手P「晶葉は晶葉らしく育ってくれるのが、一番いいかな」
晶葉「ふむ、そうか・・・」
晶葉「・・・」チラッ
文香「・・・?」ボイーン
晶葉「・・・」チマーン
周子(はは~ん、なるほどね~♪)
晶葉「さて、どこまで育つかはわからないが・・・」
晶葉「将来を楽しみにしておいてくれたまえ」
周子「愛らし愛らし♪乙女心やね~♪」
おわり
以上。
シューコちゃんに最後の台詞を言わせたいがために愛海を犠牲にしてしまったことを、愛海Pの皆様に深くお詫び申し上げます、はい。
ディスるつもりは毛頭ございませんのでご容赦のほどを。
ともあれ、池袋晶葉はまだまだ成長期可愛い、塩見周子は掴み所がない可愛い、棟方愛海は登山家可愛い。
それだけ伝われば十分だ。
それにしてもテンション重視の部分でグダるとは一生の不覚なり。
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全部晶葉推しSSどすえ。
池袋晶葉「逆襲の谷」
池袋晶葉「逆説の楽」
鷺沢文香「逆光の園」
池袋晶葉「逆調の星」
池袋晶葉「逆睹の衣」
池袋晶葉「逆賭の衣」
池袋晶葉「逆感の僕」
池袋晶葉「逆月の兎」
池袋晶葉「逆胴の道」
池袋晶葉「逆火の倣」
池袋晶葉「逆悪の華」
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