穂乃果「穂乃果の物語?」 (22)

穂乃果「ここは?」

ここは貴女が今まで辿って来た道のりだよ。

穂乃果「私が辿って来た道のり?」

そう。だから、ほら?道はまだ続いているでしょ?

穂乃果「本当だ。ん?道がいっぱいあるけど…」

そりゃあ、そうだよ。人生ってのは選択の連続だからね。今までだってそうだったでしょ?

穂乃果「はい。それが間違ってなかったのかって聞かれたらまだ分からないけど」

だろうね。現に今だって君は迷ってるだろうし。いつだって悩んでる。

穂乃果「え?うん?そうかな?悩んでるかなぁ?」

選択は間違えてはいけない。そんな事は子供にでもわかる事だしね。

穂乃果「あの…お姉さん…誰?」

あはは。まあ、いずれ分かるよ。

穂乃果「いや、今教えて下さいよ」

あはは。じゃあ、一緒に散歩しながら話そうか。

穂乃果「あっ、はい」

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さて、では行こう。

穂乃果「あれ?さっきまで目の前が別れ道になっていたのに一本道になってる」

それはそうだよ。ここは君の人生のスタート地点だからね。

穂乃果「私が産まれたって事ですか?」

そう。君は○○年の8月3日に高坂家の長女として誕生したんだ。ほら?見てご覧?

穂乃果「え?」

赤ん坊『オギャーオギャー』

穂乃果母『ほら?見て…貴方に似てとっても元気…』

赤ん坊『オギャーオギャー』

穂乃果母『ふふっ。きっと…私は…この瞬間の為に今日まで生きて来たんだわ』

穂乃果「これは…」

君はこんなにも愛されて産まれて来たんだね。この時、君は泣いていたけど周りにいた皆んながどれだけ笑顔だったかは計り知れないな。

穂乃果「そっか。私…知らなかったかも」

だろうね。自分の産まれた瞬間になんか立ち会えないしね。さて、ここから暫くは一本道が続くね。

穂乃果「うん」

ここから見える景色の殆どが君と君の家族の幸せな光景ばかりだ。君は元気いっぱいだったんだね。よく笑ってよく泣いて。喋り出すのも早かったみたいだね。

穂乃果「そうだったんだ」

そして、君が産まれてから2年前後かな?

穂乃果「雪穂?」

そう。君に妹が出来るんだ。

穂乃果母『ほら、お姉ちゃんですよ~』

雪穂『キャッキャッ』

穂乃果『あはっ』

穂乃果母『ふふっ。雪穂ちゃんはお姉ちゃんが大好きだって』

穂乃果『?』

穂乃果「雪穂…。あんなに可愛かったんだ」

それじゃあ、今は可愛くないみたいだよ?

穂乃果「いやぁ、そんな事はないですけど」

ほら?小さい頃の雪穂ちゃんは君の後ばっからくっついて歩いてたみたいだね。

穂乃果「あ、でも…なんか覚えてるかも…どこに行くにも雪穂が付いて来て…一時期それが嫌で雪穂をまいたら迷子になっちゃって…」

そうだね。そんな事もあったね。

穂乃果「はい。思い出しました」

さて、暫く歩くとここで…。

穂乃果「ここで?」

ここで君は人生の宝物を見つける。

穂乃果「宝物…」

海未とことり。

穂乃果「あ~」

ことり『お~い。穂乃果ちゃ~ん』

穂乃果『ことりちゃん!』

ことり『何して遊ぼうか?』

穂乃果『鬼ごっこ!皆んなもいいでしょ?』

海未『……』

この後、君が海未ちゃんに声を掛けたんだったね?

穂乃果「そうそう。あの時の海未ちゃんって恥ずかしがり屋で自分から仲間に入れてって言えなかったんだよ。本人は否定してるけど」

穂乃果『見~つけた!次、あなたが鬼ね』

海未『……』

それから、小学校に入学して…

穂乃果「あっ、校門の前で写真撮ったの覚えてる!お父さんスーツだ!あはは~」

そ、そうだね。一年生の学芸会では君は主役の王子様を演じたんだったね。

穂乃果「あ~そうだ。なんでお姫様じゃないんだろ?」

運動会や遠足、修学旅行と楽しい事は沢山あったね。

穂乃果「うん。懐かしいなぁ」

卒業式。いつも泣き虫だった君は遂に泣かなかったんだよね?

穂乃果「まあ…ね」

中学、高校受験、そして入学。

穂乃果「お~、どれも懐かしい。しかし、いつもことりちゃんと海未ちゃんと一緒にいるなぁ」

そうだね。高校に入学しても尚君達は一緒だもんね。

さて、高校二年生の春。君の人生を語る上で欠かせないある出来事が始まるんだったよね?

穂乃果『見て見て。アイドル!』

ことり『え?』

海未『何です?急に』

穂乃果『私、考えたんだ』

穂乃果「まだ、μ’sを始める前の私達…」

しえん

ちょっと先に進もうか。

穂乃果「あっ!真姫ちゃんだ!」

そう。真姫ちゃんと出会ったのもこの時だ。

穂乃果「真姫ちゃんのピアノ…やっぱり好きだなぁ」

おっと。どうやらここから道が二手に分かれみたいだね。

穂乃果「分かれ道?」

うん。ファーストライブの時だ。

穂乃果『……』

海未『穂乃果…』

ことり『穂乃果ちゃん…』

穂乃果「ファーストライブ…お客さん居なかったんだったね」

この時、やめる事だって出来たはずだけど君は続ける事を選んだ。

穂乃果「もし、続けなたかったら…」

解散していたかもしれないね。

穂乃果「そっか。それにあの時は花陽ちゃんが来てくれたんだったよね」

実は花陽ちゃんだけじゃなかったんだよ。

穂乃果「え?あっ、後は絵里ちゃん?」

ふふっ。さあ?後は誰が見に来ていたんだろうね?

穂乃果「え?教えてくれないの?後…凛ちゃんも居たっけ…」

さあ、進もう。お世辞にも成功とは言えなかったファーストライブだったけど君は続ける道を選択した。

穂乃果「うん」

その選択が新たな仲間を…

穂乃果「花陽ちゃん達だ!」

うん。西木野真姫、小泉花陽、星空凛の三人だね。

もし、君がファーストライブを諦めていたら…あそこでμ’sを諦めていたら彼女達の人生も全然違ったかもしれない。

穂乃果「そうかなぁ?」

μ’sに入って小泉花陽は本当の意味での強さを持ったし星空凛も殻を破る事が出来た。西木野真姫は心の底で一番欲しかった物が手に入ったんじゃないかな?

穂乃果「う~ん。あの三人なら心配ないけどなぁ」

矢澤にこは三年生になって夢を諦めかけていた。

にこ『こんな事で押し切れると思ってるの?』

穂乃果『押し切る?私は相談しているだけです。音ノ木坂アイドル研究部7人で歌う、次の曲を』

にこ『……厳しいわよ?』

『はいっ』

絢瀬絵里とは何度も衝突したよね?

穂乃果「した!今じゃ考えられないくらい絵里ちゃん尖ってたし」

自分を見失っていた彼女に君は手を差し伸べた。

穂乃果『生徒会長。いや、絵里先輩お願いがあります』

絵里『何?練習ならさっき言った』

穂乃果『絵里先輩。μ’sに入って下さい』

絵里『……』

穂乃果『一緒に歌って欲しいです。スクールアイドルとして』

彼女は君の手に救われた。

穂乃果「…うん」

東條希にしたって君達の登場は大きな望みだった。

穂乃果「え?希ちゃんも?」

そう。彼女はあまり表には出さないけどね。

君は迷い悩みながらも進んだ結果、仲間も増え廃校も阻止出来、全てが順風満帆に進んで行った。

穂乃果「いや…そんな事は…」

後はラブライブだけ。君はとにかくのめり込んで行った。そうする事が正しいと思い込んでいたんだ。

その結果が学園祭でのライブ。

穂乃果「うん」

ドサッ

穂乃果『……』

海未『穂乃果っ』

絵里『凄い熱…』

穂乃果「……」

絵里『ラブライブには出場しません…』

穂乃果『え?』

絵里『ランキングにはもうμ’s名前はないわ…』

ラブライブの辞退。さらに畳み掛ける様に発覚することりの留学の件。

海未『突然ですが、ことりが留学することになりました。2週間後に日本を発ちます』

ことり『前から服飾の勉強したいって思ってて…ごめんね、もっと早く話そうと思っていたんだけど…』

穂乃果『どうして言ってくれなかったの?』

そして君はついにスクールアイドルをやめると宣言する。

穂乃果『スクールアイドルやめます』

パシィィン

海未『あなたがそんな人だとは思いませんでした』

穂乃果「我ながら…痛そう」

痛かっただろうね~。体も心も。

君の選んだら選択により目標もなくなり親友からも見放され君の心はズタボロだ。

どう?改めて見ると?

穂乃果「ん~…どうって聞かれてもなぁ…。もっと上手くやれたんじゃないかな?あはは…」

かもね。この後、君は再びスクールアイドルをやる事を決意してことりを引き止めに行くんだ。

穂乃果「うん。海未ちゃんや他のみんなに支えられて」

そう。それが歩んで来た道の途中で君が手に入れた物だ。

確かに君はもっと上手くやれたかもしれない。失敗しないで進めたかもしれない。でも、それじゃあ手に入らない物もある。

穂乃果「え?それじゃあ、なんか失敗した方が良いみたい…」

それは違うよ。誰だって出来る事なら失敗したくはないだろう。

穂乃果「え?意味が分からないんですけど…」

期待

さあ、行こうか。

穂乃果「って、え~?教えてくれないんですか?」

ふふっ。おっと…

穂乃果「また、分かれ道だ…」

ラブライブに参加するかしないかを決めた時だね。この時君は過去の失敗から参加する事に消極的だったんだよね?

穂乃果「うん。また、周りが見えなくなっちゃうかなって…」

自分の気持ちに嘘をついてね。

穂乃果「あはは。すぐに撤回したけどね」

その結果、最終予選を勝ち抜き。

穂乃果「あっ、私達がSnow halation歌ってる。こうやって見るの初めてだなぁ。動画では見てるんだけど」

また一つ壁にぶつかる。

穂乃果「解散…」

そう。君達は解散するのか?このまま続けていくのか?

穂乃果「解散するよ」

知ってる。

穂乃果「え~」

続けていくという選択肢もあったのに君達はμ’sを自分達だけで終わらせる事にした。

穂乃果「うん」

そっか。ほら?見てご覧?

穂乃果「え?うわぁ。道がいっぱい」

そう。ラブライブに優勝してμ’sは終わりにしたかもしれない。
けど、君の物語が終わった訳じゃない。

穂乃果「……うん。知ってるよ」

あはは。君らしいなぁ。


穂乃果「ん?私は何をしてたんだっけ?」

穂乃果ーー?

穂乃果「あっ!?そうだ!お昼何食べようか悩んでたんだ」


穂乃果「う~ん。どっちにしよう。悩むなぁ」

おわり

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