冬馬「……アンタ、誰?」未来「ふぇっ?」 (53)


天ヶ瀬冬馬(以下、冬馬) 「ったく、翔太の奴……今日来れないってなんだよ」

冬馬 「人の事待たしといて何言ってんだ……」ガックリ

冬馬 「しゃあねぇな、帰るか」トコトコ

冬馬 「……お?」チラッ


春日未来(以下、未来) グテーン


冬馬 「……見なかった事にするか」サッ

未来 「……おなかへった」グゥウウ

冬馬 「…………」

冬馬 「……あー、もう!」ダッダッ


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冬馬 「ほらよ、菓子パン一つだけど足りるか?」

未来 「えっ?で、でも悪いですよ!」アセアセ

冬馬 「さっきから駅前広場で腹空かして倒れてるの見てる方が迷惑だってーの。とっとと食っちまえよ」

未来 「で、でも知らない人から食べ物貰っちゃダメって静香ちゃんが……」

冬馬 「あん?そんなに腹減ってるのに遠慮するのか?」

未来 「あ、あぅ……」グゥウウ

未来 「で、でも知らない人からはやっぱりダメです!」ゴクッ

冬馬 「唾飲んで食う気満々じゃねえか!……くそっ」スッ

冬馬 「ほい、これで誰か分かるか?」

未来 「あれ?どこかで、見たような……うーん」


冬馬 「ジュピターの天ヶ瀬冬馬だよ。知らないなら、今夜放送予定のどっとっぷTVをしっかり見ておくんだな」フッ

未来 「……あーッ!冬馬くん、冬馬くんだ!サイン、サインください!」キラキラ

冬馬 「はぁ!?ま、待て落ち着けって!こんな所で騒ぎなんて起こしたら……」チラッ

ザワザワ アレトウマクンジャナイ? オンナノコトイル……

冬馬 「……やべぇ、後でおっさんに怒られる」ダラダラ

未来 「ね、ねえ冬馬くん!」キラキラ

冬馬 「うっせぇバカ!とりあえずこっち来い!囲まれないうちに逃げ出すぞ!」ガシッ

未来 「ふぇっ?」ズルズル


―――――

冬馬 「最悪だ……明日の朝のワイドショーは独占出来ちまうな」ガックリ

未来 「あ、あの……」

冬馬 「ん?ああ、こっちの話だ。気にすんなよ」

未来 「で、でも冬馬くんに迷惑かけちゃって……」ワタワタ

冬馬 「良いんだよ。困った人を見捨ててちゃ、カッコつかないしな」

冬馬 「それより、とっととそのメロンパン食っちまってくれ。返されても困るしな」

未来 「あ、ありがとうございます!い、いただきまーす……」パクリ


未来 「んー!このメロンパン美味しい!コンビニのじゃないんですか?」

冬馬 「コンビニのなんて食ってられっかよ。俺オススメの店の奴だ、味わって食えよ?」

未来 「はーい!もぐもぐ……」

未来 「ホント、美味しいー!」キラキラ

冬馬 「そいつは何より……で、お前はいったい誰なんだ?いや、聞いても困るけどよ」

未来 「え、えぇっと……言っていいのかな」

冬馬 「言いたくないならそれでいいさ。別に、教えて得するわけじゃないしな」

未来 「じゃ、じゃあ名前だけ。私、春日未来って言います!」

冬馬 「春日か、良い名前だ。宜しくな」


未来 「早速だけど、冬馬くん!サインください!」

冬馬 「……俺のファンなの?」

未来 「はい!『恋をはじめよう』ダイスキです!!」

冬馬 「そうか?そいつは嬉しいな……どれに書けばいい?」

未来 「えーと……じゃ、これに!」スッ

冬馬 「……これ、学校で使うノートじゃねーの?」

未来 「冬馬くんのサイン見てやる気出しますから!」グッ

冬馬 「ホントかよ……」カキカキ

冬馬 「ほらよ」

未来 「ありがと、冬馬くん!」

冬馬 「別に、アイドルとして当然だしな。礼を言われる事じゃねえよ」


未来 「じゃ、私のサインも書いてあげようか!?」キラキラ

冬馬 「要るかよそんなもん……大体、なんで一般人のサインなんて貰わなきゃいけないんだよ?」

未来 「えー……御礼代わりになるかなぁって思ったんだけど……」ショボーン

冬馬 「いや、だから一般人のサインなんて……」

未来 シュン

冬馬 「……分かった、この手帳のとこに頼むわ」

未来 「!はーい、了解です!」キラキラ

冬馬 (まったく……めんどくさい事になったぜ)

未来 「書けたよ、冬馬くん!」スッ

冬馬 「あ、ありがとな……」タジタジ

冬馬 (……どうすんだ、これ)グッタリ


―――――

最上静香(以下、静香) 「プロデューサー!」

ミリP(以下、P) 「なんだよ静香。俺、今日はちゃんと仕事してるぞ」

静香 「いつもしてるのが当然でしょう!?」

P 「ごもっともで……で、どうした?今日未来と遊びに行くんじゃなかったのか?昨日、未来も楽しみにしてたと思うんだが」

静香 「その予定だったんですけど……未来、電話に出なくて」シュン

静香 「着信拒否にでもされたのかなぁ……」ポロポロ

P 「な、泣くなよ……はい、ハンカチ」スッ

静香 「あ、ありがとうございます」ゴシゴシ


静香 「プロデューサー、私はどうしたらいいんでしょうか」

P 「どうしようって……うーん、何か引っかかるんだが」

P 「とりあえず、未来の携帯に電話を……」

静香 「かけても出ないんです!」

P 「ふむ……分かった、俺がちょっと探しに行ってくるよ」

P 「静香は、事務所でのんびりとしててくれ。大した事はないと思うけどな」

P 「じゃ、行ってくる!」

静香 「はい、いってらっしゃい!」

静香 「……あれ、これって」チラッ

未来の携帯電話

静香 「…………」


―――――

冬馬 「で、春日?アンタ、これからどうするんだ?」

未来 「え、ええっと……」

冬馬 「ま、どうしようが俺の知った事じゃないか。じゃ、俺はそろそろ……」

プルルルル

冬馬 「お?俺の携帯か……誰からだ?」

冬馬 「……げっ」ギョッ

未来 「どうかしたの?」キョトン

冬馬 「あー、いや……めんどくさい事になっただけだ」ピッ

冬馬 「もしもし、おっさん?」

黒井社長(以下、黒井) 『冬馬!一体どこをほっつき歩いてたのだ貴様!』

冬馬 「……なんか、問題があったか?今日オフなんだけどさ」

黒井 『とぼけるな!冬馬、貴様女といるだろう!先ほどからこちらでは大騒ぎだぞ!』

冬馬 「いや、道中で倒れてた女を介抱しただけで……」

黒井 『そんな理由はどうでもよいのだ!マスコミがスキャンダルじゃないかと騒ぎ立てている!』


黒井 『馬鹿者め……やるならバレないようにやれ!』

冬馬 「いや、だから!こいつは関係ないんだって!ホントにさっき会っただけの女だ!」

黒井 『ぐ、ぐぬぬ……本当だろうな?』

冬馬 「ガチだ!」

黒井 『……分かった。なんとかこちらで収拾を付けてみよう』

冬馬 「す、すまねえなおっさん……」アセ

黒井 『気にするな、私が困るのを解決しようというだけだ』

黒井 『……それで?この女は、と言ったか?』

冬馬 「ああ、言ったけど……」

黒井 『その場に居るのなら都合がいい。そこの女の口を何とかして封じろ。いいな?』

冬馬 「はぁ!?そ、そんなの961プロがやっていいのかよ!?」


黒井 『お前の不祥事を広げない為だ、黙って従え!別に命を奪えと言っているわけではない!普通に口封じをしておけと言うだけだ!』

黒井 『それぐらいの不始末は自分で片づけろ!』

黒井 『それと今日のオフはもう家に引き籠っておけ、いいな!』プツッ

冬馬 「おい、ちょっと待ておっさん!……クソッ、切りやがった」

未来 「冬馬くん、大丈夫?」

冬馬 「ああ、なんとかな……」

冬馬 「なぁ、春日。お前……俺の家来る気ある?」

未来 「えっ、いいの!?」キラキラ

冬馬 「……そういう反応なのかよ」ガックリ


―――――

未来 「おっじゃましまーす!」

冬馬 「……ただいま」ガックリ

未来 「うわーッ!ここが冬馬くんの……あれ?なんか小さくない?」

冬馬 「悪かったな!大体、デカい家なんてあったって一人暮らしするのには大きすぎるだろうが」

未来 「そういうもの?」

冬馬 「そういうもん。さ、良いから上がってくれ。おっさんが何とかするまで、家に居てもらわなきゃならないんだからな」

未来 「おっさんって、さっき電話してた人?」

冬馬 「そう、うちの社長なんだ。悪い奴ではないんだが……いかんせん、ちょいとガキっぽい所があってな」

未来 「ガキっぽいとか言っちゃって大丈夫なの?」キョトン

冬馬 「本人がいないから大丈夫だろ」シレッ


冬馬 「……でも、おっさんいつまで拘束しておけると思ってんだ?一日越しとか流石に無理だぜ……?」ボソリ

未来 「あーっ、冬馬くんってこういうロボット好きなんだね!」

冬馬 「良いじゃねーかカッコいいんだし!いいから、早く手を洗ってくれ!」

未来 「はーい!」

冬馬 「……俺、どうすりゃいいんだ?」グッタリ

未来 「わぁッ!?」バシャ!

冬馬 「何やってんだよ!?」


―――――

未来 「……で、何するの?」キョトン

冬馬 「いや、別に居てもらうだけで構わないが……どうすっかなぁ」

未来 「ゲームでもする?」

冬馬 「構わねえが……俺は強いぜ?」キリッ

未来 「いいよ、一緒にやろ!」



冬馬 「…………」ボロッ

未来 「えへへ~勝っちゃった!」ニコニコ

冬馬 「お前強くね……?どうやったらそんなに上手くなるんだよ!」

未来 「なんたって杏奈と一緒に特訓したゲームだからね!」ドヤッ



未来 「ふっふーん、冬馬くんに勝っちゃった!」

未来 「静香ちゃんにも自慢しよーっと!」

冬馬 「……ま、まだだぜ!諦めてたまるかよ!」

冬馬 「春日、もう一戦だ!俺は……負けられねえ!」

未来 「いいよ、もっかいやろ!」

冬馬 「こんなの楽勝、だぜ!」グッ



冬馬 「…………」ボロボロ

未来 「と、冬馬くん……もうやめた方が良いんじゃ」アワアワ

冬馬 「くそぅ……」グタッ


冬馬 「はぁ……春日、お前ホントつえーのな」バタン

未来 「冬馬くんも強かったと思うよ?」

冬馬 「励ましは要らねえよ……いや、楽しかったぜ。ありがとな」

未来 「でへへ、どういたしまして!」

冬馬 「……っと、もうこんな時間か。おっさんからは……」チラリ

冬馬 「まだ終わってなさそうだな。やらかした場所が悪かったか……」

未来 「ご、ごめんなさい」ペコリ

冬馬 「謝らなくて良いって。じゃ、次はなにすっかな……」グー

冬馬 「……そういや飯食ってなかったな。夕飯作っちまうか」

未来 「えっ、冬馬くん料理できたの!?」

冬馬 「出来るっての!一人暮らし舐めんな!」


冬馬 「さて、何作っかな……」

未来 「あ、あの冬馬くん!」

冬馬 「ん?なんだよ、春日。俺一人で十分だから、座ってテレビでも……」

未来 「料理、教えてくれませんか!?」ズイッ

冬馬 「……はぁ?なんでまた料理なんか」

未来 「その……」モジモジ


冬馬 「……はーん、さては好きな男にでも作ってやりたいとかか?」ニヤッ

未来 「そ、そんなんじゃないよ!」カァア

冬馬 「照れんな照れんなって!そういうの、男心にはグっと来るから良いと思うぜ?」

冬馬 (ギャルゲーの受け売りだけどな)

未来 「そ、そうかな……」エヘヘ

冬馬 「でも料理か……詳しく教えるには材料がねえし」

冬馬 「じゃ、とりあえず俺の手伝いしてくれよ。その中で、一個一個の作業は教えていくからさ」

未来 「はい、宜しくお願いします先生!」ビシッ

冬馬 「おう、しっかりとついてこい!」


―――――

冬馬 「じゃ、カレーでも作るか。スパイスとかは俺がやっちまうから……春日は具材とかをまず切ってみてくれよ」

未来 「カレーってなんか……地味じゃない?私好きだけど」

冬馬 「地味になるくらい一杯食うって事だろ?ガッツリ食うからこそ、美味さが目立つのさ」

冬馬 「さて……じゃ、飯炊く所から始めるか」

未来 「はーい!じゃ、お米を入れて……」サラサラ

冬馬 「次は水入れて研ぎ洗いだ……って、これくらいは分かるか」ハハ

未来 「それくらいわかるよ!じゃ水を入れて」キュッ

バシャーッ

未来 「……あれ?入れすぎちゃったかな」

未来 「ねぇ、どう思うとうまく……」

冬馬 ビシャァ

未来 「わぁ!?ご、ごめんなさい!」ペコリ

冬馬 「もう少し、考えてから捻ってくれ……」ガックリ


―――――

未来 「野菜切るの、私がやって良いの?」

冬馬 「ああ、肉とかは俺がやっとくからさ」

冬馬 「頼むから指切るとかやるなよ?まず、俺が見本をだな……」

冬馬 「にんじんは……こう」トントントン

未来 「わぁー!冬馬くん、本当に料理上手なんだね!」

冬馬 「こんくらいで料理なんて言えねえよ……じゃ、ゆっくりとやってみな」

未来 「了解です!」シャキン

冬馬 「……頼むから、指切るなよ?」アセリ

未来 「そんな事しないよ~」アハハ


冬馬 「って言ってる傍から危なっかしいじゃねえか!ほら、手はこう!」

未来 「えー、でもそれだとスパスパ切れないよ?」プクー

冬馬 「そんな一気に切らなくても良いんだっての。ゆっくり切ってけ」

未来 「はーい……」シュン

トン トン

未来 「出来たよ、冬馬くん!」

冬馬 「どれどれ……へぇ、しっかりと切れてるじゃないか」

未来 「冬馬くんみたいに上手く切れなかったけどね……」アハハ

冬馬 「……なあ春日。別に上手くなくたって良いんじゃねえの?」


未来 「えっ?でも、美味しい方が良いよね?」

冬馬 「そりゃ料理だしな……けど、女の子が作ってくれたってだけで大抵の男は嬉しいもんだからな」

冬馬 「不器用でもな……心を込めて作られた飯ってのは、サイコーに美味い飯になるんだぜ!」グッ

未来 「!」パァアア

冬馬 「……もっと練習してみるか?」

未来 「練習する!」キラキラ

冬馬 「はいよ!ガンガンいくぜ!」



冬馬 「……流石に切り過ぎたな」

未来 「ご、ごめんなさい……」

冬馬 「良いって。俺がやってもらったんだしな」

冬馬 「ただ、この量は……どうしたもんか」

未来 モジモジ

冬馬 「仕方ねえ、北斗を呼んで……」

未来 「あ、あの冬馬くん!」

冬馬 「あん?どうしたよ」

未来 「その……私の知り合いを呼んでも良い?折角、美味しいなら……食べさせてあげたいかなぁって」


冬馬 「……あー、気になる男って奴か?」

未来 「だ、だから違うよぉ!」カァアア

冬馬 「隠さなくったっていいっての」ハァ

冬馬 (でも、どうする?ここで人を連れてこられると……少なくとも、俺の家の住所バレるし)モンモン

冬馬 「……なぁ、春日。そいつって信用できる奴?」

未来 「モッチロン!すっごく頼りになるんだよ!」

冬馬 「……分かったよ。元々、強引に連れてきてるわけだしな」カキカキ

冬馬 「ほい、これウチの住所だから探しに来てもらってくれ」

未来 「ありがとう!じゃ、早速電話借りるね!」


冬馬 「おう……さてと」ピッポッパ

冬馬 「……てか、あいつデートじゃないだろうな?」プルルル

ピッ

伊集院北斗(以下、北斗) 『やぁ冬馬、今日はどうしたんだい?』

冬馬 「あれ、デートじゃなかったのか?」

北斗 『生憎と、今日は空いていてね……そっちこそどうしたんだ?今日は翔太と出かけるとか言ってなかったっけ』

冬馬 「急に予定が入ったんだとよ。それで、今家でカレー作ってたんだが……生憎と、量を間違えちまってな」

冬馬 「カレーだから日持ちするといえばするんだが……食べに来ないか?」

北斗 『冬馬の手料理かい?確かに、興味があるな』

北斗 『分かった、今から向かうよ』

冬馬 「ああ、頼んだぜ」ピッ


―――――

P 「さて、とりあえず駅前に来たけど……」キョロキョロ

P 「未来の奴、どこにいるんだ?」プルルルル

P 「おっと、電話か。固定電話?」ピッ

P 「はい、こちら765プロのプロデューサーです」

未来 『プロデューサーさん、未来です!』

P 「未来!?お前、今まで何処に行ってたんだよ!静香心配してたぞ!」

未来 『ごめんなさい……ちょっと、家に来てくれって言われて』

P 「今何処だ!俺が今から向かうから……」

未来 『あ、あのプロデューサーさん!』


P 「どうした?」

未来 『プロデューサーさん、夕飯食べましたか?』

P 「何を急に……食べてないよ。未来を探すために慌てて飛び出してきたからな」

未来 『じゃ、じゃあ食べないでここまで来てもらえませんか?』

P 「えっ?なんでまたそんな」キョトン

未来 『実は私、と』ブツッ

未来 『えっ、ダメなの!どうせ分かるのにぃ……』

P 「未来?」

未来 『ごめんなさい。名前は言っちゃダメだって……』

未来 『とにかく!料理教えてもらって作ったので、食べてもらいたいんです!』

未来 『ダメ、ですか?』

P 「……はぁ、言いだしても今更どうしようもないだろ」

P 「分かった、有難く頂きに行くよ。その人にはよろしく伝えておいてくれ」

未来 『了解でーす!それじゃ、場所は……』


―――――

P 「これでよしっと……静香にも一応連絡は入れたし」

P 「よし、とりあえず向かうか……」タッタッタ

ドン!

? 「きゃぁ!」

P 「いってて……すみません、前見てなくて」アセアセ

? 「いえいえ……って、プロデューサーさん!」

P 「あれ、春香じゃないか。ごめん、オフの邪魔しちゃったな」

天海春香(以下、春香) 「い、いえ!そんな事ないですよ!?」ブンブン

春香 (オフなのにプロデューサーさんと会えるなんて……今日はツイてるのかも!)グッ

P 「春香?」キョトン

春香 「な、何でもないですよ!」


春香 「それより、プロデューサーさん……急いでたみたいですけど、何かあったんですか?」

P 「そうだった!実は、未来が野郎の家で飯作ってるとか何とかでな」

春香 「……ヴァイ!?」

春香 「そ、それってマズくないですか?」アワアワ

P 「マズい。だから、今から俺が迎えに行くんだ」


P 「まぁ、スーツ姿の大人が引き取りにいけば誤魔化せない事も……ないのかなぁ、心配になってきた」ガックリ

春香 「あ、あの!私もついていっていいですか?」

P 「春香がか?どうしてまた」

春香 「そ、それは……そう!未来ちゃんとプロデューサーさんが一緒に出てきたら、それだけで問題になっちゃうかもしれないじゃないですか!」

春香 「私が未来ちゃんと出てくれば、アイドルが遊びに行ってたってだけで済みますし!」

P 「そう上手くいくか……?」ジトッ

春香 「そ、そう言われると……ちょっと自信ないかも」アセリ

P 「まぁ良いか。それじゃ、一緒に来てくれるか?」

春香 「はい、喜んで!」


―――――

P 「……っと、ここか。なんか、普通のマンションなんだけど……」

春香 「一軒家にでも行ってるのかと思ってました……」


北斗 「あれ?765のプロデューサーさんと春香ちゃん?」

P 「北斗?どうしてこんなところに……」

春香 「お、おはようございます!」ペコリ

北斗 「やだなぁ、北斗くんって呼んでくれていいのに」ハハハ

P 「……うちのアイドルに手は出すなよ」ギロッ


北斗 「もう、心配性だなぁ。大体、春香ちゃんは……」チラッ

春香 「ほ、北斗さん!」カァア

北斗 「ハハハ!ごめんごめん」

P  「それで、なんでここにいるんだ?まさか、お前も未来の手料理食べに来たのか?」

北斗 「未来?ああ、765の新しいエンジェルちゃんですね……あの子ともいつか、話してみたいんですけどね」

北斗 「でも、俺の用件は違いますよ。冬馬が飯作り過ぎたから食ってくれって」

P 「冬馬が?アイツ、ここら辺に住んでるのか?」

北斗 「はい、このマンションに」

P 「……なんか、嫌な予感してきたんだけど」ガックリ

春香 「私も、そんな予感がしてきました」ブルリ

北斗 「?」キョトン


―――――

ピンポーン

冬馬 「……っと、来たみたいだな。春日、開けてくれ」

未来 「はーい!」タッタッタ

ガチャリ

P 「どうも」

未来 「プロデューサーさん!」

P 「未来、お前な……仮にもアイドルなんだから、スキャンダルになりそうな事をするんじゃない!」

未来 「でへへ~すみません!」

春香 「くんくん……わぁ、美味しそうなスパイスの香り……カレー、なのかな?」


未来 「春香さん!来てくれたんですか?」

春香 「たまたまプロデューサーさんと会ったからね……私もご馳走になって良い?」

未来 「勿論ですよ!いっぱい作っちゃったって冬馬くんも言ってたので!」

P 「やっぱり、冬馬か……」

北斗 「すみません、うちの冬馬が……」

P 「いや、こっちにも落ち度はあるよ」

北斗 「お互い大変ですね……」

未来 「あーっ、北斗くんですよね!?」

北斗 「エンジェルちゃんに名前を憶えててもらえるとは嬉しいな。宜しくね、未来ちゃん」キラッ


未来 「はい!……あれ?私、名前教えましたっけ?」

北斗 「君たちのプロデューサーさんから話は聞いたからね」

冬馬 「おい、玄関で騒ぐんじゃ、ねぇ……」ピタリ

P 「よう冬馬」

春香 「冬馬くん、こんばんは!」

冬馬 「765のプロデューサーに、天海!?なんでお前らがいるんだよ!」

P 「俺は未来に呼ばれてきただけだ」

冬馬 「……あん?」


―――――

冬馬 「はぁ……って事は何か?春日は765の新しいアイドルだったってのか?」

P 「そうだとも。未来は話さなかったのか?」

冬馬 「道理で異様にサインが上手いと思ったぜ……」

冬馬 「春日、悪かったな。連れ込んだりしちまってよ」

未来 「そんな事ないよ!私楽しかったし!」

P 「楽しけりゃいいってもんじゃないんだぞ?冬馬だったから良かったものを、他のヤバイ奴らに捕まってたらとんでもない事になってたんだからな」ムスッ

未来 「ご、ごめんなさい……」シュン


冬馬 「ってか、俺なんでそんなに信頼されてんだよ」

冬馬 「765プロとは因縁の仲だろうが」

P 「冬馬、悪いことは出来ない性格だろ?理由なんて、それくらいで十分だよ」

冬馬 「……ったく、信用しすぎなんだよ」ボソリ

未来 「えー?でも、私と一緒に遊んでくれたりしたし……」

冬馬 「余計な事言わなくたっていいんだよ!」カァ

春香 「冬馬くん、ありがとね」ニコッ

冬馬 「……お、おぅ」

北斗 「全く……冬馬はいっつも女の子に弱いんだから」ハァ

冬馬 「お前にだけは言われたくねえな!」


―――――

冬馬 「ほらよ……予定は狂ったが、一応完成したからな」コトリ

P 「ありがとう……これは、カレーか?」

冬馬 「ああ、春日が具材は切ったんだ。スパイス関連は、流石に俺がやったけどな」

北斗 「女の子のエスコートだなんて……成長したじゃないか冬馬」ウンウン

冬馬 「お前の中の俺はどんだけ女と接するのが下手なんだよ!」

春香 「すん……凄い、お店のカレーみたいだよ!」キラキラ

冬馬 「そ、そうか?ま、天海の作る飯より美味くなっちまったかもな!」

春香 「むー……でも、私にはお菓子があるもん!」


P 「ハハ、大丈夫だよ。春香のお菓子は世界一だ、俺が保証する」

P 「料理はこれから勉強していけばいいさ」

春香 「プロデューサーさん……はい!天海春香、頑張ります!」

冬馬 「……アンタ、いつか刺されるんじゃないか?」

P 「何のことだ?」

冬馬 「なんでもねえよ!」

未来 「さ、プロデューサーさん!早く食べてみてください!」

P 「おう。では……」

全員 『いただきます!』

P 「はむっ……ん、美味い!」


春香 「ホントにお店のカレーみたい……カレールーじゃないんだよね?」

冬馬 「当然!カレールーなんて邪道だぜ!」

北斗 「……これが、女の子のご飯なら非の打ちどころはないんだけどね」ボソリ

冬馬 「聞こえてんぞオラァ!」

北斗 「アハハ!ごめん、とっても美味いよ!翔太にも食べさせてあげれば良いのに」

冬馬 「……翔太の奴、笑いそうだろ?」

北斗 「こんな美味いカレーを笑うなんて、誰もやらないって」

冬馬 「そうか……?それなら、考えとくかな」

未来 「ぱくり……か、辛い!水、みじゅ!」バタバタ

P 「あらら……はい、水」スッ

未来 「ありがとうございます!」ンクンク

未来 「っぷはぁ……助かったぁ」

冬馬 「あっ、すまねえな……春日、辛いのは苦手だったか」

未来 「大丈夫、とっても美味しいから!」グッ

冬馬 「……無理はすんなよ?」

P 「……おっ、このニンジンは」チラッ

未来 「あぅ、それ……」

P 「もぐ……うん、良い硬さじゃないか!程よく具材として形が残ってて美味いよ!」

未来 「!もぉ~!プロデューサーさんってばぁ!」テレテレ

北斗 「美味しいな……筋が良いのかもしれないね」

未来 「先生が良かったんですよ!ね、冬馬くん!」

冬馬 「そ、そこまで褒められると流石に照れるが……ま、美味いって言ってくれるならいいか」

未来 「お代わりもありますからねー!」


―――――

P 「お腹いっぱいだ……悪かったな、冬馬。邪魔しちゃって」

冬馬 「構わねえよ。俺としても、アンタだったのは助かった」

P 「それはこっちの台詞だって。これからも、スキャンダルにならない程度に仲良くしてやってくれないか?」

冬馬 「良いのか?アンタだって、良い気はしないだろ?」

P 「お前らが悪い奴じゃないのは知ってるしな。多人数なら、別に遊んでるだけで済むかもしれないだろ?」

冬馬 「危機感なさすぎるんじゃねえの?大丈夫なのか」

P 「……大丈夫かなぁ」アセリ

冬馬 「おいおい……」


北斗 「まぁまぁ。また、機会があればご一緒しましょう」

P 「気を使わせて悪いな北斗」

北斗 「いえいえ、俺もエンジェルちゃんと話すのは楽しいですから」ニコッ

春香 「じゃ、またね!冬馬くん!」

冬馬 「また今度フェスで当たったら容赦はしねえからな!」

春香 「分かってるよ!一緒に、お客さんを盛り上げようね!」ニコ

冬馬 「…………」

未来 「冬馬くん?」

北斗 「気にしないでやってくれ未来ちゃん」


P 「ホント、お前って奴は……」

冬馬 「なんだよ!」

P 「何でもないよ。じゃ、そろそろ帰るわ」

冬馬 「ああ。アンタくらいなら来ても問題ないだろ。気が向いたらまた来いよ」

P 「ああ、今度はゲームとかして駄弁らせてもらう事にするよ」

春香 「冬馬くんいいなぁ……」ジトー

冬馬 「男に嫉妬してどうすんだよ。嫉妬するなら、同じ事務所の星井とかにしとけっての」

春香 「べ、別に美希は……そんなんじゃないし」プクー

P  「はいはい、そこまで。じゃあな」フリフリ

未来 「またね、冬馬くん!」フリフリ

冬馬 「……ああ!」フリフリ


―――――

翌日

冬馬 「……すまなかった、おっさん」ペコリ

黒井 「全くだ……駅前なんぞで騒ぎを起こしおって」

黒井 「駆けまわってヘトヘトだぞ……」

冬馬 「ん?おっさん、自分で駆け回ったのか?だとしたら、悪かったな……」

黒井 「そ、そんな事はない!勘違いするんじゃない!」

冬馬 「おっさんのツンデレなんて見たかねーよ……」


御手洗翔太(以下、翔太) 「冬馬くん!北斗くんとカレー食べたってホント!?」

冬馬 「はぁ……それがどうしたよ?」

翔太 「ズルイじゃん!僕も誘ってよ!」

冬馬 「お前が来れなかったからだろうが!」

北斗 「まぁまぁ……冬馬も、もっと自作の料理を食べさせてくれればいいんだけどね?」

冬馬 「……分かったよ。また今度な」

翔太 「ホントだよね?約束だよ、冬馬くん!」

北斗 「冬馬、良いのか?」

冬馬 「へへっ……楽勝、だぜ!」グッ


―――――

未来 「プロデューサーさん、出来ました!」

P 「ん、今日もか……今日の、これは?」

未来 「オムライスにしようかなって……」

P 「お、おう……」

未来 「ごめんなさい、ちょっと無理し過ぎちゃって」シュン

P 「いや、大丈夫だけどさ……オムライスって難しいよな、仕方ないよ」

未来 「うう……」

P 「……よし、いただきます!」パクリ

未来 「ど、どうですか?」

P 「うん、美味しいじゃないか!チキンライスが良い味出してるし」

P 「卵に関しては、これから頑張っていけばいいしな!」グッ

未来 「そ、そうですか?でへへ~……」テレテレ

未来 「プロデューサーさん、これからも私の特訓付き合ってくださいね!」

P 「ああ、勿論。頑張ろうな!」


未来 「はい!師匠を超えるために、頑張っちゃいますよ~!」グッ

おわり

誰が得するんだって?俺が得した
あまとうは、個人的にはアイマスじゃなきゃ天下取れると思うんだ……冬馬とバカやりたい人生だった

お疲れ様でした

sideMの冬馬もプロデュースしてやってくれ!乙

羅刹さんはな…男にも好かれる男性アイドルポジション目指せるとは思う脇が甘いところとか乙

あまとういいやつだな
乙です

>>1
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/5sB9omY.jpg
http://i.imgur.com/aQyOApp.jpg

天ヶ瀬冬馬(17)
http://i.imgur.com/gPmwHmd.png

>>8
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/ST3UHF5.jpg
http://i.imgur.com/CfNZjkM.jpg

>>26
伊集院北斗(20)
http://i.imgur.com/g75a1W3.png

>>29
天海春香(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/j7Xx67A.png
http://i.imgur.com/7RYWSze.jpg

>>46
御手洗翔太(14)
http://i.imgur.com/jDJIddG.png


赤いのが集まると楽しくなるな

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