モバP(以下P表記)「そうだ。パッションのところがシンデレラでやるらしくてな」
P「おおかたキュートのも白雪姫あたりで続くだろう。そこで―・・・え、やなの?」
凛「絶対に七海が延々鱚の天ぷら食べさせる話になるもん」
P「そうは・・・・・・ならないさ」
凛「間」
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渋谷凛
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浅利七海
リン「いつ?」
P「シンデレラが二ヶ月後、その後白雪姫を挟んでだからもう二週間ってところだな」
凛「ふうん、ちゃんと準備できそうだね。劇をやりながら設定を作り上げていくんだよね?」
凛「どうしよう・・・ある程度事前に自分の中で設定を作り上げていた方が主導権握りやすいかな・・・」ブツブツ
凛「とりあえず、奈緒達と相談してみるよ。そういう世界観のゲームとかアニメ持ってるかもだし」
P「うん。役は早い者勝ちだからな」
凛「わかった」
・・・
凛「ついに私たちの番だね」
奈緒「いやーシンデレラ面白かったよな! 特に50回目とかさ!」
凛「うん。ついにシンデレラと議長が議会を解散させたんだけど、まったく同じメンバーが再任したときなんか、ぷっ、くくくく・・・!」プルプル
北条加蓮「だ、ダメ・・・! お、思い出させないで・・・!」プルプル
奈緒「白雪姫の方も毎回ドキドキさせられるんだよなー」
凛「この前の4回目。女王が毒リンゴ味見した時はさすがに今回は終われないって思ったよ」
奈緒「あとさ、こっちでも取り合いになったけど2作続けてナレーターが結―」
P「そろそろ始まるぞ」
凛「わかった」
凛「行くよみんな。残していこう、だれにも負けない、私たちの・・・私たちだけの足跡を―!」
ブー…
・・・
いつものシリーズですな……誰がヒロインなんだろう?
・・・
鷹富士茄子『眠れる森の美女』
茄子『これは昔々の物語』
茄子『とある小さなこの国では、お世継ぎがなかなか生まれずにいました』
茄子『子宝はなによりの幸運ですから、王様や王妃様はもちろん国民の全てがその時を待ち望んでいました』
・・・
奈緒(ステファン王)「だ、大丈夫か!? なにかしてほしいことないか!?」ワタワタ
鷺沢文香(王妃)「アナタ・・・少しは、落ち着いて下さい・・・」ヒッヒッフー
奈緒「け、けどさぁ・・・」
岡崎泰葉(大臣)「陛下、王妃様のお身体に障ります。部屋の外で待っていましょう」
奈緒「た、立ち会ってちゃだめか!?」●REC
泰葉「なりません。さあ―」
文香「私なら・・・大丈夫ですから・・・くっ、 ううう・・・!」ヒッヒッフー
ギィ… バタン…
あかんナレーターが強すぎる
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鷺沢文香
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岡崎泰葉
奈緒「~・・・!」ソワソワ
泰葉「・・・陛下、すでに日付は替わりました。少し休まれた方が・・・」
奈緒「いやだぞ! 自分の子供が生まれるって時なんだぞ!?」
泰葉「そうですが・・・国王たるのも少しは落ち着きを。もし喜びに胸が爆発したとあっては―」クドクド
オギャー オギャー
奈緒「あっ、い、いやったああああああー!」
泰葉「あっ、もう・・・ふふ♪」
泰葉「おめでとう、ステファン」クスッ
奈緒「やったー!」
奈緒「よおしっ、今日は祝日にするぞ! 国民全員で祝うんだ! あ、あとフィーバードの奴も呼んでくれ!」
奈緒「久しぶりに三人で飲み明かすぞー!」
泰葉「はい!」クスッ
奈緒「それから、それからっ・・・!」
奈緒「そうだな名前だっ! 何がいいかな~・・・ん? うん、そうだな」
奈緒「決めたぞ。夜明けの光・・・オーロラだ!」
・・・
茄子『オーロラ姫の誕生はすぐに国土全域、それから周辺諸国へと知らされ、多くの人がお祝いにお城へと向かいました』
泰葉「準備を急ぎなさい」
トンテンカン トンテンカン
泰葉「えっと、祝日にして、フィーバードにも知らせて、妖精も呼ばせて・・・それから・・・」
茄子『生まれたその日に大勢の人を呼び宴を行うことは準備があっても一大事です』
泰葉「・・・」
茄子『―だからこそ、この時は誰もが考えもしませんでした』
泰葉「・・・」
茄子『彼女にも知らせるべきか否か、招待するべきか否かなど―』
・・・
パンパカパーン
「オーロラ姫―!」
「おめでとうでありまーす!」
泰葉「お隣の国より、フィーバード王とフィリップ殿下―!」
パパパパーン
アナスタシア(フィーバード王)「プリヴィエート、ステファン! おめでとうございます」
奈緒「フィーバード! 良く来た!」ガシッ
アナスタシア「当然です、ね? 親友の子供が生まれたんですから」
アナスタシア「喜びで胸が爆発しそうです♪」
奈緒「ははは、こいつめ」
アナスタシア「さぁ、フィリップ? 姫にご挨拶を」
佐々木千枝(フィリップ王子幼少期)「こ、こんにちは赤ちゃん・・・♪」
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アナスタシア
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佐々木千枝
アナスタシア「それにしても女の子で良かったです」コソッ
奈緒「そうだな。なあ、あの約束覚えてるか?」コソッ
アナスタシア「もちろんです。二つの国を一つに」コソッ
奈緒「ああ、二人を許嫁にしよう」コソッ
茄子『ふふ♪ オーロラ姫とフィリップ王子。運命で結ばれた二人はこの時出逢ったのでした』
泰葉「続きまして、この国を見守って下さる良き妖精のお三方―!」
パンパパーン
川島瑞樹(妖精)「この度はおめでとうございますわ、陛下、王妃さま」
三船美優(妖精)「まあ、なんて可愛らしいのかしら! 私も―」
高垣楓(妖精)「姫が良き人生を歩めるよう、私たちから贈り物を送らせて下さい。一人一つずつ」
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川島瑞樹
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高垣楓
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三船美優
瑞樹「私からは『美しさ』を。時間という概念の存在しない永久の美貌を―!」シャランラーン
楓「では、私からは『歌声』を。聞く者の心を潤す慈愛の響きを―♪」シャララララーン
美優「それでは、私からは『健康』を。風邪ひとつひかない、筋骨隆々とした鋼の―」
ゴロゴロ… ズガガァーンッ
速水奏(マレフィセント)「―ずいぶんと素敵な催しをしているのね。私も混ぜてもらえないかしら?」
泰葉「! マレフィセント・・・」
茄子『・・・』ドキドキ
奏「王族、貴族・・・それから平民に至るまで、全員いるのかしら?」カツ コツ…
奏「招待状くらい送ってくれてもいいのに、失礼しちゃうわね。私、まだ誕生日を気にするような年齢じゃ―」
奏「あら? ごめんなさい、貴女達もいたのね」クスッ
瑞樹「ふふふ・・・どうしてそんな話の最中に気付いたのかしら?」ピキッ
楓「あらあらうふふ」ピキッ
美優「本当に、大した大人になれていないままこんな年になってしまって・・・」ハァ
瑞樹「はいそこ落ち込まなーい! 用がないもの、悪い魔女なんて呼ばないに決まってるでしょ!」
奏「用がない・・・? まぁ、それなら本当に呼ばれていなかったことは手違いではなかったということかしら」
奏「気をきかせて出向いてあげたけど、それならお暇した方が良さそうね」クルッ
文香「怒っては・・・いらっしゃらないのですか?」
奏「ええ、もちろん。そうね、それじゃあ私からもお姫様に贈り物を差し上げようかしら?」
奏「良く聞きなさい。オーロラ姫はそれはそれは美しく成長し、その優しさから如何なる存在からも愛され、そして―」
奏「16歳の誕生日の日没を迎える前に糸車の針を刺し、老いを知ることなくその生涯を終えるでしょう―!」グオオオオン
文香「ひ、ひどい・・・!」ヒシッ
奈緒「この魔女を捕えろ!」チャキッ
ジャキッ
奏「下がりなさい!」ゴッ
泰葉「くっ!? なんてオーラ・・・! 近づけない・・・!」
奏「うふふ♪ あは、あははははは!」スゥ…
奈緒「逃げられたか・・・くそっ!」
楓「お気を落とさず。まだ美優さんの贈り物が残っております」
奈緒「じゃあこの恐ろしい呪いを解いてくれ!」
瑞樹「それは・・・出来ないの。マレフィセントの力は強すぎて・・・」
瑞樹「でも、今ならまだ結末を変更することはできる」
美優「はい。いきます・・・!」
美優「オーロラ姫。たとえあの魔女の呪いの通り針が刺さろうとも死ぬことはありません。ただ、長い眠りにつくだけ。そして、心からの愛の印により呪いが解かれ目覚めるでしょう」シャララララーン
茄子『なんということでしょう。恐ろしい呪いをかけられてしまったオーロラ姫。辛うじて最悪の結末からは逃れましたが―』
奈緒「国中の糸車を焼き払え! 例外なく全部だ!」
ゴッ メラメラ バチバチ
茄子『オーロラ姫を案じるステファン王は国中から糸車をなくしてしまいました』
楓「こんなことをしたくらいでは彼女には対抗できないのに・・・」
瑞樹「きーっ! あの女! 絶対なにかしてくるに決まっているわ!」
美優「なにか、対抗できないでしょうか? 16歳の誕生日を超えるまで、マレフィセントから逃れるために・・・」
楓「うーん・・・あっ、魔法でもう大人にしちゃえばいいんじゃないでしょうか? お酒も一緒に飲めますよ」
瑞樹「駄目よ、青春を無くすなんて残酷すぎるわ」
美優「マレフィセントを倒す、とか・・・」
瑞樹「出来るかしら・・・そもそも、私たちの魔法は誰かを害することには使えないし・・・」
瑞樹「やっぱり直接ぶつかりたくはないわ。リスクが高すぎる」
瑞樹「16歳の誕生日までオーロラ姫をマレフィセントから隠し通すような・・・そうよ、隠れちゃいましょう!」
楓「かくれんぼですか?」
瑞樹「裏をかくのよ。あっちもこちらの抵抗は予想しているでしょう。だからあえて何もせず、魔法も使わないでその痕跡も残さないようにして、ひっそりと森で育てるの!」
楓「どなたが・・・?」
瑞樹「私たちがよ」
美優「まあ。でも、出来るでしょうか・・・? そんな経験まだ一度も・・・」
瑞樹「人に出来るなら大丈夫♪ さあ、王様たちの所に行くわよ!」
・・・
・・・
茄子『妖精たちの申し出を王様と王妃様は身が引き裂かれるような思いで了承しました』
奈緒「頼んだぞ・・・」
瑞樹「この命に代えても」
茄子『その日の夜、闇にまぎれて妖精とオーロラ姫は旅立ちました』
奈緒「これが、最善なんだ・・・」
文香「アナタ・・・」
奈緒「ああ・・・本当は行かせたくなんかない。してあげたいこと、一緒にしたいこと、いくらでもあるんだ」
奈緒「初めて出来た子供なんだぞ。それに、あの子は親を知らずに育つことになる・・・」
奈緒「でも・・・ダメなんだ。今一緒にいても、あの子を守ってあげられないから・・・」
泰葉「・・・騎士団長」
大和亜季「ここに」
泰葉「後をつけて。くれぐれも気付かれないように」
亜季「御意」シュンッ
・・・
・・・
茄子『そして、十余年の月日が流れました・・・』
加蓮(オーロラ姫)「何度も夢に見る人がいる」
新田美波(フィリップ王子)「・・・♪」ニコッ
―――
――
―
加蓮「散歩して、お話して、別れ際に優しく抱きしめられて、そこで―」
加蓮「いつも、目が覚める」
加蓮「アナタは、いったい誰なの・・・?」
シャイニングゴッデス美波とあの奏が対峙するのか…
楓「ついに、今日が16歳の誕生日ですね」
瑞樹「ええ、良く今まで無事でいられたものね・・・」
美優「何度か魔法、使ってしまいましたね」
瑞樹「仕方ないわ、あの子ちっちゃいころは体弱かったし・・・」
楓「でも、細心の注意を払いましたから」
瑞樹「そうよ、マレフィセントはまだここにたどり着けていない! そして呪いがあるのは今日まで! そしたらあの子は―」
美優「―オーロラ姫に、戻るんですよね」
楓「・・・」
茄子『呪いが解ける。それはオーロラ姫と過ごす日常の終わりも意味していました・・・』
茄子『三人の妖精はオーロラ姫にブライア・ローズという名を与え、我が子も同然に深い愛をもって育ててきたのです』
瑞樹「・・・初めから分かっていたことでしょう。それに、いつまでもこんなところに押し込めていちゃいけないわ」
瑞樹「あの子の帰りを待っている場所があるんだから・・・」
瑞樹「はーい! 暗い話はここまで! ここで最後に過ごす誕生日! ならやることは、分かるわね?」
楓「盛大にお祝いしてあげなくちゃ、ですね」
美優「会おうと思えばいつでも会いに行けますしね」
瑞樹「そういうこと。それでね、プレゼントなんだけど―」
加蓮「三人でなんの悪だくみ?」
瑞樹「ぎくうっ!?」
楓「大変っ! 川島さんがぎっくり腰に!」
瑞樹「え゙」
美優「ロ、ローズ! すぐに薬草を採ってきてくれない!?」グイッ
加蓮「ええっ、ぎっくり腰に効く薬草って何・・・?」トコ…
楓「食べられるものなら何でも大丈夫だから」グイグイ
瑞樹「ちょっと」
美優「あんまり遠くに行っちゃだめよ? あと、知らない人に声をかけられてもついて行っちゃだめですからっ」グイグイ
加蓮「わ、分かったから・・・! いってきま~す・・・?」トコトコ…
バタンッ
楓「ふう」
美優「ふぅ・・・」
瑞樹「アナタ達・・・」
美優「きゃ、きゃはっ・・・」
楓「キャハっ!」
瑞樹「この・・・!」
・・・
ピヨピヨ チチチチ… ホーホー
加蓮「la~♪」
加蓮「あ~あ、いつまでたっても子供扱い。誰にも会わせてくれないし、いやになっちゃう・・・」
加蓮「ソード~ミ~ファ~ミレミ~レーソソ~♪」
パカラッ パカラッ パカラッ ヒヒーン
美波「なんて素敵な歌声・・・いったいどこから・・・」キョロキョロ
茄子『オーロラ姫が薬草を探しているちょうどそのころ、奇しくもオーロラ姫が戻る祝賀会に呼ばれたフィリップ王子が森を通っていました』
美波「祝賀会は夜からだし、ちょっとくらい寄り道してもいいよね。ハッ」
ヒヒーン パカラッ パカラッ パカラッ
美波「あっ」バッタリ
加蓮「la~・・・♪ あっ」バッタリ
美波(この子、夢で逢った・・・)ズキューン
加蓮(この人、夢で逢った人にそっくり・・・)ズキューン
加蓮「―ってないない。知らない人と話すなって言われてるし」ソソクサ
美波「あっ、待って!」
加蓮「ええっ!? い、いやあの私・・・! ごめんなさい知らない人とは話すなと―」プイッ
美波「そんな、お忘れですか? 夢で逢ったじゃないですか」ニコッ
加蓮「ええ~!? ほ、ホントに!? 昨日は!?」
美波「湖でボートに。三日前は?」
加蓮「! 一緒に、乗馬・・・じゃ、じゃあ一週間前は!?」
美波「畔で、少し焦がしてしまった―」
加蓮「「バーベキュー」・・・嘘みたい」
茄子『一目で二人は恋に落ちました―いえ、一目ではありませんでしたね』
茄子『夢で何度も逢っていたのでしたから♪』
・・・
瑞樹「あの子遅いわねぇ・・・大丈夫かしら?」
コンコン
美優「あら? ノックなんて・・・」
楓「薬草、両手いっぱいに持ってきたんですかね? はーい」
瑞樹「そうだった、ローズにこの人たちの年寄り扱いを訂正するのがまだだったわね」
ガチャッ
奏「こんばんは♪」
楓「!? マレフィセントっ!!!」
奏「動かないでもらえる?」ギンッ
楓「ぐっ・・・ああっ!?」グググ
美優「う、動けな・・・」グググ
瑞樹「あいっ、かわらずの馬鹿力ね・・・!」グググ
奏「寄る年波で衰えたくはないものね」スト…
奏「お茶の一杯もでないのかしら?」
瑞樹「どの口で・・・!」グググ
奏「うふふ♪ どんな気持ちなのかしら? 自由に海を泳いでいたと思ったら、生簀の中だったと気づいた時って」
楓「わざと、この日まで・・・?」ギリ…
奏「感謝してるわ。呪いが発動せぬままついに最終日」
奏「行き場のない怨嗟は時と共に増大し、今ならこの国ごと飲みこめる」
奏「アナタ達のおかげよ」ニコッ
瑞樹「このっ・・・!」
加蓮「ただいまっ! ねぇ、会ってほしい人が―」
瑞樹「ローズ!!! すぐに逃げてっ!!!」
加蓮「!? な、なにっ・・・?」
奏「お久しぶりね、オーロラ姫」
美波(オーロラ姫だって・・・!?)
奏「といっても、アナタが生まれた日以来だから、覚えてなんていないわよね」カツ コツ
加蓮「誰なの・・・? いや、来ないで・・・!」
ブォンッ
奏「!」スカッ
美波「私の馬に乗って、ローズ」チャキ
美波「大丈夫、賢い子だからちゃんとお城まで連れて行ってくれるから」
加蓮「で、でも・・・フィリップ」
美波「早くっ!」ブォンッ
茄子『ここにいても邪魔になるだけ。後ろ髪引かれる思いを振り切り、オーロラ姫は辛くも逃げ切ったのでした』
加蓮「っ!」ダッ
パカラッ パカラッ パカラッ
奏「ふうん、天も味方した、か・・・」
奏「そう、アナタフィリップ王子だったのね。こんな辺鄙なところで会えるなんて、光栄だわ」
美波「―話には聞いていた。ローズが・・・オーロラ姫。そして―」
美波「マレフィセントォ!!!」ブォンッ
キィン! キィン! ガキィン!
奏「いいわね。その情熱、激情―!」バッ
奏「せっかくだから、アナタにも舞台に上がってもらおうかしら?」ギンッ
美波「なっ!?」ビシッ グルグル
奏「捕えなさい」グオオォン
美波「くっ! むぐっ!? んぐー!!!」ギチギチチギチ ギシギシ
奏「連れて行きなさい」パチンッ
グイッ
美波「むぐぅ・・・!」ズルズル…
楓「お、王子・・・!」
奏「殺しはしないわ。アナタ達はオーロラ姫についていてあげなさい」
奏「うふふ♪ あはは、あはははははは!」スゥ…
・・・
おかしい
縛られてる美波からエロスしか感じられない
王子なのに
新田美波:読み仮名【せっくす】
だからちかたないね
・・・
ドンチャン ドンチャン
奈緒「はあ・・・オーロラは、まだか・・・」
アナスタシア「間もなくですよ。日が暮れたらすぐです」モグモグ
アナスタシア「冷めてしまいます。ステファンも一緒に前祝い、ね?」モッモッ
奈緒「フィーバート・・・アタシはこの16年間ずっと心配してたんだぞ? あの子の顔を見るまでは―」
アナスタシア「一緒にいたんだから知っています。でも大丈夫です」モッシャモッシャ
アナスタシア「あの魔女がことを済ませていたら絶対にここへ顔を見せに来てます。それがないということがなによりの証拠」
奈緒「そう、だな・・・ありがとな」
アナスタシア「さあ飲みましょう。スカンプス!」スッ
奈緒「スカンプス!」チンッ
アナスタシア「ぷはっ、そしてフィリップとの結婚! これからはいいこといっぱいです、ね!」ゴクッ
奈緒「ええ、もう結婚かぁ!? ちょっとは親子の時間をだなぁ・・・」グビッ
アナスタシア「フィリップも息子になるだけの話です。そうそう、二人の新居ですが、二つの国の境に夢の三世帯住宅を―」
奈緒「家まで!? いつ建て始める気だよ」
アナスタシア「もういつでも住めます」にやり
奈緒「はは・・・お前ってやつは・・・」
コンコン ガチャ
泰葉「ステファン、オーロラ姫が先ほど―」
奈緒「オーロラが帰ってきたのか!?」ガタッ
泰葉「ええ・・・ですが―あっ、待って!」
タッタッタッタッタ…
・・・
奈緒「オーロラ!」バンッ
加蓮「・・・」
奈緒「おお・・・! こんなに大きくなって・・・!」
奈緒「この父に顔を良く見せておくれ」スッ
加蓮「私は・・・ブライア・ローズよっ!」バシッ
加蓮「ああっ、もうっ! 意味分かんないっ!」
茄子『・・・オーロラ姫が混乱するのも無理もありません』
茄子『訳も分からぬまま逃げ、その先でこれまでの人生がひっくり返るようなことを聞かされたのですから』
茄子『王女であること、呪いのこと、育ての親が妖精であること、本当の両親のこと・・・』
加蓮「そうだ、今はそんなことよりおばさま達が・・・! フィリップも・・・!」
奈緒「マレフィセントに見つかってしまったか・・・ああ、すぐに兵を!」
泰葉「ただちに」スッ
加蓮「私も・・・!」
奈緒「お前はここにいるんだ! みんなお前を心配して―」
加蓮「っ! ずっと放っておいたくせに、今更父親面しないでっ!」
奈緒「なっ!? ア、アタシはお前のためを思って・・・!」
瑞樹「―ここにいて、ローズ」
加蓮「! おばさま達! 良かった! 無事だったのね!」
美優「フィリップが・・・彼が時間を作ってくれたの」
楓「・・・そう。でも、すぐにいかないと。一人では苦戦するでしょうから」
瑞樹「でもその前に、アナタの安全を確保しないと」
加蓮「そんな・・・! 私も行きたい・・!」
瑞樹「我がまま言わないで、いい子だから」
瑞樹「マレフィセントの本当の狙いはアナタ。そのアナタが安全でないと、みんな不安で仕方がないの。分かるわね?」
瑞樹「・・・扉を」
ギィ…
加蓮「おばさま!」
瑞樹「愛しているわ、私達のローズ・・・」
バタンッ ガチャ
美優「うっ・・・」グスッ…
泰葉「・・・鍵は私が」
楓「・・・ええ、お願いします」
瑞樹「・・・よしっ、じゃあやるわよ! この部屋に結界を!」パアアアァァ
美優「はい・・・! 今日が終わるまで、どんな魔法も及ばないように!」パアアアァァ
楓「この限定された時間のうち、三人の力を合わせれば、マレフィセントにも対抗できるっ!」パアアアァァ
ガチッ
瑞樹「これでよしっと」
奈緒「・・・いろいろと、世話になった」
瑞樹「いいんです。私たちもかけがえのない時間をいただけましたもの」
楓「それに、まだ終わりではありません。フィリップ王子を助けないと」
奈緒「そうだったな。間もなく兵も出るだろう。助けてやってくれ」
美優「もちろんです」
茄子『厳重にオーロラ姫の守りを固めた妖精たちは休むことなくフィリップ王子の救出へと向かうのでした・・・』
・・・
泰葉「・・・」
泰葉「騎士団長」
亜季「ここに」
泰葉「オーロラ姫の知らない顛末はありますか?」
亜季「・・・姫の呪いについてですが―」
・・・
泰葉「この国ごと飲み込むほどに大きく・・・」ゴクリ…
亜季「既にフィリップ王子救出の隊は出しました。その後は引き続き日が替わるまで時間を稼ぐ手筈であります。では私も―」
泰葉「待ちなさい」
泰葉「・・・リスクは、回避するために二の手三の手を講じなければなりません・・・」
泰葉「もしマレフィセントの呪いがかかり、国民の全てが眠りについたらどうなる・・・?」
泰葉「国ごと、世界から何年、何十年、もしかしたら数世紀、遅れをとることになる・・・」
泰葉「そんなことになれば・・・終わりです。未来はない・・・」
亜季「オーロラ姫の警備も妖精殿達の結界が―」
泰葉「それも絶対の保証がありません!」
泰葉「呪いの絶対回避。明日までの時間稼ぎ以外に出来ること・・・・・・それは、糸紡ぎの針に刺さるより前に、その生涯を終えること―」
亜季「なっ!? そ、それは忠義に―!」
泰葉「騎士団長。アナタが忠義を誓ったのは国王? それともこの国?」
亜季「―!」
亜季「・・・・・・この、国であります」
泰葉「けっこう。行きましょう」
・・・
先輩が動いたぁぁぁ!?
加蓮「フィリップ・・・おばさま・・・」ハァ
コンコン ガチャ ギィ…
加蓮「! 誰・・・?」
泰葉「失礼いたします」
加蓮「あなた・・・確か、大臣の・・・」
泰葉「・・・王女殿下」
泰葉「貴女にかけられた呪いは、とても大きい・・・この国を飲み込まんばかりに」スラリ…
加蓮「!?」
亜季「その剣は国王の・・・いつのまに」
泰葉「迸る魔力を秘めた宝剣。これならば、あるいは・・・」
加蓮「ね、ねぇ・・・それ、どうする気・・・?」
泰葉「・・・」ザッ…
加蓮「い、いや・・・!」
泰葉「・・・私には」ザッ… ザッ…
加蓮「やだ、やだっ・・・!」
泰葉「私には・・・この国を守る責任があるんです・・・!」チャキッ
―グサリ・・・
ポタ… ポタ…
奏「ずいぶんと面白いことを考えるのね。素敵よアナタ」ズルリ
泰葉「マレフィ、セントォ・・・! ごほっ・・・!」
バタリ… カランカラン…
加蓮「ひっ・・・!?」
亜季「なぜここに!!」ジャキンッ
奏「控えなさい」ギンッ
亜季「ぐうっ!? ばかな、魔法まで・・・!」グググ
奏「わけないじゃないこのくらい。私は全ての悪の支配者よ?」グォン
亜季「がはっ!?」ドンッ
奏「まあでも、せっかくだから鍵が開くのを待ってたのよね」
奏「だってその方が招かれたみたいで素敵じゃない?」フフフッ
泰葉「おのれ・・・!」ググッ…
奏「うふふ♪ これでもアナタには感謝しているのよ?」
奏「アナタが招待状を出さなかったから口実ができ―」
奏「そして、今はアナタが招いてくれたからここにいる。うふ♪ うふふふふ♪」
泰葉「くっ・・・!」グググッ…
奏「そうそう、オーロラ姫? これを」ポイッ
加蓮「糸紡ぎの、針・・・?」
奏「大切に持っているのよ?」
泰葉「! すぐに逃げなさい・・・!!! ごほっ、ごほっ! ぐうう・・・!」
奏「全ての顛末の発端はアナタ。とてもお辛いでしょうね」
泰葉「くっ・・・!」
奏「今、幕を閉じてあげるわ♪」チャキッ
ブォンッ
奈緒「うおおおおおおお!!!!」ダッ
パシッ ブォンッ ガキィンッ!
泰葉「ステ、ファン・・・!」
奈緒「無事か!? 泰葉!!」
奈緒「たくっ・・・アタシの剣、一声かけて持って行けよな」チャキッ
奈緒「おい! お前もさっさと行けって!」
茄子『息つく暇のない剣戟に茫然としていたオーロラ姫はステファン王の檄に我に返るとすぐさま部屋を飛び出し、王都からより遠くへ、国境に建てられた新たな城へと馬を走らせました』
加蓮「・・・っ!」ダッ
奏「・・・愛されてるのねぇ」
奏「さて、追いかけっこも何度目かしら」カツ コツ
奈緒「待てよ、このまま行かせると思うか?」チャキ
奏「うふふ。光栄なお誘いだけど、アナタにはそれ程用がないの♪」スゥ…
奈緒「あっ、逃げるな!」ブォンッ
スカッ
奈緒「くそっ・・・!」
泰葉「ステ、ファン・・・」ググッ
奈緒「! 無理に動くな。すぐに医者を・・・!」ダキッ
泰葉「ごめん、なさい・・・全部、全・・・部・・・私が・・・」ポロポロ…
泰葉「ごめん・・・ごめんなさい・・・!」ポロポロ…
奈緒「・・もう、いい」
奈緒「もういいんだ・・・」ギュッ…
泰葉「おね、がい・・・この、く・・・にを・・・オー、ロラ・・・姫を・・・ごほっ・・・!」グッ
奈緒「ああ・・・ああ・・・! あとは全部、アタシに任せろ・・・!」
泰葉「ステ、ファ・・・―」
ダラリ…
奈緒「泰葉・・・」ソッ…
奈緒「ああ、行ってくる!」
・・・
加蓮「はあ・・・はあ・・・!」
奏「ここまでいいの?」
加蓮「っ!?」バッ
奏「素敵な見晴らしね、いい屋上じゃない。ここ、アナタの新居になるんですって」
加蓮「・・・っ!」キッ
奏「おしゃべりはお嫌い? それじゃあ、時間もないことですし、さっそく―」
加蓮「・・・ねぇ、アタシの呪いって強くなってるんだっけ?」スッ…
奏「? ええ、そうね。今ならこの国丸ごと・・・でも、ここは国境だしどうかしら? 王都までは届くでしょうけど・・・」
加蓮「ふうん・・・じゃあさ、ここで呪いにかかったら、一番近くににいるアンタはどうなるのかしら・・・!」
奏「! アナタ・・・そんなことを考えて・・・よしなさい」
加蓮「アタシはね、やられっぱなしっていうのが嫌いなの!」
加蓮「心配いらないわ! フィリップが迎えに来てくれてアンタと決着をつける時、幸せな夢見たままサヨナラだからっ!」グッ…
奏「よしなさい!」ダッ
奈緒「よせええええ!!!」ダッダッダッ
奏「! しつこいのね・・・!」
加蓮「! ふんっ!」チクッ
奏「しまっ・・・!」
グオオオオン…
加蓮「ふ、ふふ・・・! これで・・・私達の勝ち・・・」フワ…
奈緒「そんな・・・! 間に合わなかったなんて・・・オーロラ!」
フラッ ダキッ
奈緒「オーロラ! オーロラ・・・! しっかりしてくれ!」ユサユサ
奏「・・・バカな子、私の呪いが私に効くわけないじゃない」
加蓮「なっ・・・!?」ウツラ ウツラ…
茄子『・・・なんてこと。マレフィセント諸共と、自ら呪いを発動させたオーロラ姫。しかし、その強さの前にはそれすら届かず―』
奈緒「ああ、明りが・・・! 都の明りが消えていく・・・!」
奈緒「! イバラが、この城を、国を包んで・・・!?」
茄子『瞬く間にその効力は広がり、都の明りはひとつ、またひとつと消えてゆきました・・・』
加蓮「なによ、その強さ・・・ほとんど反則・・・じゃ・・・」ガクッ…
奈緒「オーロラ!」
奈緒「? アタシはどうして・・・お前の力なのか・・・?」チャキ
奏「バカね、そんなナマクラの魔力程度でどうにかできるわけないでしょ? 私よ、私」
奈緒「なに!?」
奏「良く考えたらせっかくみんなが眠っても、それを観測するのが私一人じゃつまらないじゃない」
奏「うふふ♪ 誰もいない国の王・・・ロマンチックと思わない?」
奈緒「・・・だまれ! みんなはまだ死んじゃいない!」ジャキンッ
奏「んー・・・この後のアナタ見るのも楽しそうだけど私、まだやることあるのよね」スゥ…
奈緒「逃がすか!」ブォンッ!
スカッ
奈緒「ぐっ・・・! くそっ・・・」
加蓮「すう・・・すう・・・」Zzz…
奈緒「なにも・・・なにも守れなかった・・・」
奈緒「何が王だ・・・何が、父親だ・・・!」
奈緒「ちくしょおおおおおおっ!!!」
・・・
カー カー
ゴロゴロ… ズガガァーンッ
コンコン ガチャッ ギィ…
奏「あらあら、そんな顔しないで? せっかくのハンサムが台無しよ?」
美波「・・・」ジャラッ…
奏「そう怒らないの。素敵なものを見せてあげる」ボワワワァン
美波「・・・!」
茄子『マレフィセントの作りだしたヴィジョン。それはこの彼女の居城より遥か遠く―』
茄子『姫と王子二人の新居となる予定の城の屋上、ステファン王に寄り添われて安らかに眠るオーロラ姫の姿でした』
奏「喜びなさい。アナタは物語の主人公になれるの」
奏「なんてことでしょう。悪い魔女に呪われ、永久の眠りについたお姫様」
奏「その眠りから覚ますことができることはただ一つ、そう―」
奏「真実の愛のキスだけ♪」
美波「・・・」
奏「姫を想う囚われの王子様」
奏「如何なる責め苦を味わおうともその愛は不滅、百年の時すら一瞬のこと」
奏「ついに根をあげた魔女から牢獄より解放されるとわき目も振らず、老いた体を引きずり前へ・・・ひたすら前へ・・・」クククッ…
美波「・・・~!」ジャラッ!
奏「夢見る姫にキスをし、ついに目覚めさせ、うふふ♪ 真実の愛こそなににも勝ると証明したのでした♪」
美波「このっ・・・!」ジャラッ! ジャラッ! ジャラッ!
奏「あはは♪ あははは♪ あっはははははは♪」
奏「じゃあね、また来るわ♪」
バタンッ ガチャ
・・・
加蓮「すう・・・すう・・・」Zzz…
奈緒「オーロラ・・・」ナデ…
奈緒「・・・なにもしてやれない父親で、ごめんな・・・」
奈緒「・・・すごく、大きくなったな・・・ちょっと母さんに似てるか? アタシには・・・どうだろ、分かんないな」
奈緒「・・・0才の、本当に生まれた日以来なんだぜ? それでも、お前のことを考えなかった日はないよ・・・」
奈緒「抱っことかもできなかったな・・・落としちゃわないかとかすげー怖かったんだって」
奈緒「あっ、知ってるか? 赤ちゃんにキスとかって良くないんだってな。大人なら平気な菌が移っちゃうとかで。したくなっちゃうよなー」
奈緒「・・・なあ、オーロラ。アタシ、これまでの時間を取り戻せるって、ずっと信じてたんだぜ・・・?」
茄子『これまでの思いを語りかけるステファン王。眠るオーロラ姫の額に優しくキスをすると―』
奈緒「・・・」スッ…
加蓮「・・・ん・・・あれ?」Zzz…
奈緒「! オーロラ・・・?」
加蓮「アタシ・・・そっか、寝ちゃって・・・」ムクリ…
奈緒「お、起きた・・・なんで・・・」
茄子『親から子への愛・・・それが真実ではない、はずがないのです』
茄子『この瞬間、オーロラ姫にかけられた呪いはきれいさっぱりなくなりました♪』
奈緒「よ、よかった・・・! うおお! 良かったよ~!」ダキッ
加蓮「あっ、ちょっ・・・もうっ・・・」
奏「やってくれるじゃない。全部台無し」
奈緒「!」チャキッ
ガキィン!!!
奏「ステファン王・・・っ!」ギンッ
奈緒「・・・決着をつけようか」
美波「私も、混ぜてもらおうかな」スタッ…
奏「!?」
加蓮「フィリップ!」
奏「どうして・・・!?」
茄子『ステファン王とマレフィセント。対峙する二人の元へ現れたのは囚われのフィリップ王子でした』
瑞樹「いくらなんでも、私達を舐めすぎていたようね」
奏「っ! そう・・・そういうこと」
茄子『オーロラ姫の呪いが解けたことに気づいたマレフィセントが城を離れるとすぐ、潜んでいた兵と妖精がすぐさまフィリップ王子を助け出し、王子は妖精と共に飛んできていたのです』
美波「・・・覚悟!」チャキ
奏「あまり調子に乗らないでもらえる?」ジャキッ
ガキィン!
キィン! キィン! ガキィン!
奈緒「うおおおおおおお!!!」
美波「はあああああああ!!!」
茄子『交わる三振りの刃。ステファン王とフィリップ王子、二人の剣が悪を討たんとマレフィセントに向かいます!』
奏「威勢がいいのは最初だけだったかしらっ!」ブォンッ
茄子『しかし、その勝負は互角・・・! 魔法を併用するマレフィセントは風のように速く、二人でかかっても優位はとれず、むしろ次第に追い詰められてゆき―』
奏「―ふんっ!」ギンッ
奈緒「ぐっ!? こ、この・・・!」グググッ…
美波「! 陛下!!!」バッ
奏「隙ができたのは貴方の方ね!」シュンッ
ドォン!
美波「しまっ・・・! ああっ!?」グラッ…
ガラリ…
美波「っ!?」バッ
奏「ここまで聞こえる悲鳴で落ちなさい!」グオォォン
美波「ぐっ!? うわあああぁぁ・・・・・!」ヒュウウゥゥ……
奈緒「フィリップ!!!」グググッ
奏「うふふ♪ アナタも、これで終わりね」
奏「何か言い残すことはあるかしら?」チャキ
奈緒「・・・・・・」
奈緒「・・・ローズ」
加蓮「・・・!」
奈緒「いくつか・・・覚えていてほしいことがある」
加蓮「・・・な、なに・・・?」
奈緒「父親らしいこと、全然してやれなくてごめんな・・・考えては、いたんだ」
加蓮「やだ、やめてよ・・・! こんな時にそんなこと!」
奈緒「たとえ一緒にいれた時間がごくわずかでも、お前のことを本当に愛していたよ」
加蓮「お父さん!!!」
奈緒「最後に一つ。たとえ何があっても希望を捨てないでくれ。雲の切れ間からこぼれたような未来への一筋の光、それを逃さず掴めるように―!」
奏「素敵な辞世の句ね。消えなさい!」ブォンッ!
奈緒「・・・アタシの娘と結婚するんだろ!!! 根性見せろっ!!!」
美波「はああああああああ!!!!!」
奏「!?」
瑞樹「だからっ! 私達を舐めすぎよ!」パアア
楓「空を斬り、天を翔ける翼―!」パアア
美優「今、真の勇者に与えん―!」パアア
奏「ちぃっ! しぶとい!」バッ
奈緒「リミッターを外させてもらうっ!!!」チャキッ
奏「しまっ・・・!」
キイイィィ―――ィィイインッ!!!
奈緒「後は・・・任せた、ぞ・・・!」カチンッ
奏「ぐっ!?」ズバッ!!!
美波「これで、終わりだぁ!!!」
美波「これは過去より受け継がれ、そして―!」ゴオオオオオ!!!
美波「未来へ託す永劫の剣!!!」ゴオオオオオ!!!
奏「おのれ・・・! おのれおのれおのれぇ!!!」
美波「つらぬけえぇーっ!!!」
ザンッ!!!!!!
奏「ぐっ!? あ・・・ああああああああああ!!!」
ドサッ…
美波「はあ・・・はあ・・・!」ガクッ
加蓮「勝っ・・・た? や、やった! やった勝ったー!」
奏「ふ・・・ふふふ・・・」ユラッ…
美波「!?」
奈緒「冗談、だろ・・・?」チャキ…
奏「うふふ・・・♪ ・・・今回は、私の負けにしてあげる・・・」ヨロッ…
奏「でも忘れないことね。私は悪の支配者・・・闇そのもの」
奏「どんな光も影を生むように闇は不滅」
奏「また逢いましょう? ステファン王・・・♪」スゥ…
奈緒「逃げた、か・・・」
奈緒「だめだ、今は追えねぇ・・・」バタリ…
奈緒「だけど、何度来たって・・・!」
・・・
・・・
奈緒「終わったよ・・・泰葉」ストン…
奈緒「結局、マレフィセントは倒せなかった・・・わりぃ」
奈緒「きっとまた現れる・・・けど、今度だって負けないさ」
奈緒「あ、そうそう。あいつが国中に出したイバラ! これがよく燃えるんだ! 燃料にしてやったぜ!」ハハッ
奈緒「国自体に大したダメージはないよ・・・けど、さ」
奈緒「やっぱ・・・お前もいないとさびしいな・・・」
加蓮「お父さーん!」オーイ
美波「お義父さーん!」オーイ
奈緒「・・・また来る。行ってくるな!」スクッ…
奈緒「未来を守りに―!」
茄子『お・わ・り♪』
・・・
茄子『・・・次章』
泰葉「この国はステファン達に手によって救われなければならない。それを邪魔することは、この私が許さない―!」
茄子『つづく』
・・・
・・・
P「迫真だったな・・・」
茄子「ええ♪ 私もナレーターをしながらドキドキしちゃって!」ニコニコ
P「いや、茄子もなかなか良かったと思うよ」
茄子「まあ♪ 本当ですか? それで、その・・・」モジモジ
茄子「ふ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」
P「うん・・・うん? え、なにが・・・?」
茄子「えっ・・・? だ、だってナレーターはみんな結婚―」
P「・・・?」
茄子「・・・」
茄子「だ、だましましたね!?」
P「本当に何が!?」
本当に終わり
オ・マ・ケ
茄子「プロデューサーのバカはどこです!?」バンッ
凛「と、友達の結婚式に出席って・・・!」
バタンッ…!
凛「びっくりした・・・」
加蓮「・・・ところでさ」
凛「? うん」
加蓮「凛、どこにいたの? 劇が始まる時までいて、行くよみんなっ! とか言ってたのに」
奈緒「ええ!? ずっといたじゃん!?」
加蓮「え、ええ~!?」
凛「仕方がないよ、ソーディアンの声はマスターの資質がないと聞こえないって話だし」
奈緒「あっ、それか~!」
加蓮「・・・?」
おまけ終わり
お読みいただきありがとうございました
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ところでどなたかサンタさんに会いたくて眠いの我慢している藍子ちゃんと
藍子ちゃんをさっさと寝かせてPとしっぽりしたい夕美ちゃん書いてくれませんか?
このとおりです
乙です。
3作比べて読むと夕美の強さは異常でしたね…
正直蘭子が出てこないのは意外でした。
やっぱりデスティニーって最高やな
リミッター辺りからか
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