にこ「私の名前は矢澤にこ、高校2年!」 (73)


趣味はアイドルの研究と鑑賞、そして私もいつかあの舞台に立ちたい!そう思っていた私は今、大ピンチなの!

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「もう貴方にはついていけない」

一緒に頑張ってくれる仲間だと思っていた皆からはそのような事を言われ、1人また1人と抜けて行って私は遂に独りぼっちに。

それから少しのあいだは私1人でも頑張れた。
でも、やっぱりこのまま人気もなく人も集まってくれない状況で続けるのは厳しくて…

私は一人きりの部室でパソコンとにらめっこ。
当然クラスの皆からも腫れ物のように扱われ…いや、腫れ物ですらないわね。
もはやクラスでの私は空気。いてもいなくても変わらなかった。



寂しい、でもそんな弱さを見せるわけにはいかない。

私はいつかトップアイドルになってみせるんだから!

そう…心の中では呟いて、現実の私は友達の1人すらできずアイドルの活動なんてしてもいない。



目指すもの…アイドル。

でもその為にどんな行動をすればいいのかがわからなかった。

だからパソコンでまだ発展途上のスクールアイドルの批評ばっかり。

もう自分でも、どうすればいいのかわからなくなっていた。






友達を作りたい。




そう思ったのは、挫折を味わって1年程経ったある日の事だった。

もっと面白くできないの?

ふむ、続けて


>>6

なんか書いてたらいつの間にかキャラクター泣かせてるんですよね…

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「…。」テクテク

「…でさ~…」

「あはは!まじで~?…」ドンッ


「痛っ…」

放課後、帰り道を歩いていた私はチャラついた雰囲気のギャルにぶつかられた。


「おい、ぶつかっておいて謝罪もないわけ?」


私は悪くなかった、相手の不注意だ。

「…すいませんでした。」

でも、謝った。それなのに相手は許してくれない。

「マジふざけんな」だとか、「すいませんで済むわけなくない?」だとか、口の汚い罵倒は続くがもう私の頭に入ってこない。

そんな事どうでもいいくらい惨めだった。悔しかった。

私が何をしたんだろうか。
こんな思いをしなければいけないほど悪い事したの?
家ではきちんと妹や弟の面倒をみてる。
ママが私達の為に働いていて忙しいのはわかってた、だから家事だって私が…




という事を考えてた時だった。



「あの、私見てました」

「は?」

「貴女達が喋っててよそ見してたからその方に自分から当たっていった事に気づいてないだけです」


「はぁ?なによいきなり、知らないくせにでしゃばって来ないで!」

「貴女には恥という物がないんですか?2人で年下であろう高校生の女の子に難癖つけて、しかも自分の非を認めないどころか考えすらしない」

「は?ちょっと調子乗ってるとマジ痛い目みるよ?」

「暴力を振るいたければ振るいなさい。その時は私も容赦しませんし、もう貴女方を人間とは思いません」



「チッ…うっぜぇな、もういこ」



この子の迫力に恐れをなしたのかそう言って去っていく2人組を私はただ呆然と見送るしかなかった。

私自身、何が起こってたのか理解できていない。

そんなポカンとしてる私に近寄って来るのはさっき助けてくれた女性。



気づいてなかったけどよく見ると…っていうか普通に私と同じ制服を着ていた。

「あの、大丈夫ですか?あなたが同じ学校だと分かったのでどうしても放っておけなくて…」

「ありがとう、ございます」

「見た所私の方が後輩なのでそんなに畏まって頂かなくても大丈夫ですよ。それに…」

「困った時はお互い様、ですし。代わりといってはなんですが、もし同じような状況にあったら味方してあげてください」




「ありがとう…ぁりが、とう…」ボロボロ

久しぶりの他人の暖かさに、年下の子に助けられた情けなさを感じる事もなくただただお礼をいいながら涙を流す事しか出来なかった。

「な、ど、どうして泣いて…?…いや、怖かったですよね、もう大丈夫ですよ」

彼女も泣き出した私に戸惑った様子なのに私を安心させるために抱きしめてくれる。


溢れ出る涙と共に、今までの私の強がりも一緒に流れていく気がした。



そして思ったの、友達が欲しいって。


例えば、好きなアイドルについて話し合える友達がいたらどんなに楽しいか。

でも、別にアイドルが好きじゃなくたっていいの。

辛いことも分け合える友達がいたらどんなに心強いか。

そして涙が出るほど悩んだ時に支えてくれる友達がいたら…どんなに救われるか。

彼女との出会いが、私にそんな事を思わせてくれた。

つまんない

「…落ち着きましたか?」


泣いていた私の事を抱きしめてくれていた彼女が少し離れて聞いてくる。
今思ったらなかなかに恥ずかしいわねこれ。


「うん、悪かったわね…取り乱しちゃって」

「いえ、それは構いませんが…」

「あ、あと…助けてくれて、ありがと」

「当然の事をしたまでです。あなたはなにも悪い事をしてなかったんですから」

「ごめんね、えーっと…もし良かったら名前を教えてくれない?きちんとお礼したいから…」

「いえ、お礼なんて…ですが自己紹介はしておきましょうか。折角の出会いですし」



そう言うと彼女は言葉を続ける。



「私の名前は園田海未、音ノ木坂の1年です。おそらくあなたの1つ後輩ですね」






「そうだったの、後輩に助けられちゃって…ダメな先輩ね。…私は矢澤にこ、よろしくね」

「はい、よろしくお願いします矢澤先輩。」

「にこでいいわ、それと先輩も無くていいわよ」

「ですがそれでは…」

「先輩後輩なんて気にしなくていいわ。私がそう呼んで欲しいの」

「わ、わかりました。では私の事も海未とお呼び下さい」

「わかったわ。本当に色々ごめんね、海未」

「いえ、1人友人が増えたんですから安いものです」


と言って笑顔を浮かべる海未。

友人と言える人がほとんどいなかった私にとってその言葉はとっても嬉しくて。

帰ってから私は少し泣いた。

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「へ~、昨日遅かったと思ったらそんなことがあったんだね~…」


いつもの昼休み。
穂乃果とことりと3人でいつものように教室で、昨日の出来事を話していました。


「すいません、2人との約束に遅れてしまって…」

「全然いいよ♪偉いね~海未ちゃん!」

「ありがとうございます…それでですね、その方と友人になったんです!」

「おぉ~!人見知りしちゃう海未ちゃんに先輩の友達が…こんな成長をしてくれて穂乃果嬉しいよ…」

「もう、ふざけないでください!」

「ごめんごめん!だって海未ちゃんが嬉しそうだったんだもん」

「え?そうでしたか?」

「うん、海未ちゃんが嬉しそうだとことりも嬉しいな!」




「と、言うわけで!お昼ご飯たべよ~!」

「どういう訳ですか…もう、穂乃果は仕方無いで…す………!?」

「どうしたの、海未ちゃん?」

「私とした事が、お弁当を忘れてしまいました…!」

「海未ちゃんが忘れ物なんて珍しいね~、穂乃果のパン食べる?」

「い、いえ、忘れたのは私ですし我慢します」

「え?でも…」

「穂乃果もことりもありがとうございます。ですが私に気にせず食べて下さい」

「……うん、わかった。じゃあいただきま~…」

「園田さん、お客さんだよ~」

「もう!さっきから穂乃果全然食べれないじゃん!」

「私にですか…?誰でしょう……あ!」


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「急にごめんなさい。改めてお礼を言いたくて…」

私に訪ねてくるなんて誰だろうも思っていると、噂をすればというものでしょうか…にこでした。

「いえ、昨日も言いましたが本当に気にしないでください」

「ありがとう…それでなんだけど、お弁当を作ってきて…」

「え、本当ですか?」

「うん、これなんだけど…受け取って貰える?」

「ありがとうございます!!」

「え…?よ、喜んで貰えたなら嬉しいわ」

はっ、私とした事が…お弁当を作って頂けた事が嬉しすぎて引かれてしまいました…!





「あ、いや!今日実は丁度お弁当忘れてしまいまして…すごく嬉しくて!」

「あ、そうだったのね。…ふふっ、可愛いとこあるのね」

「も、もう、からかわないで…下さい…」


「あ、そういえば…」

「なに、どうしたの?」

「やっとにこが笑ってる所を見れました」

「んな…!急になにを言い出すのよ!」

「ふふふっ、これでおあいこですね?」

顔を真っ赤にしてぷんすかと怒っているにこ。
その姿はとても可愛らしく、先輩には見えませんでした。
あ、悪い意味じゃないですよ!?



「…海未ちゃんが先輩といちゃいちゃしてる……」

「「!?」」

「いや、ぜ、全然そんなんじゃなくて!!」

「そうです!変な言い方はやめて下さい!」

「うふふ、冗談だよね~、穂乃果ちゃん?」

「2人とも必死になりすぎだよ~!この先輩がさっき話してた…?」


「ごほん…そうです、この方が矢澤にこ先輩です」

「あぁ、えっと…私は矢澤にこ。そちらは海未の友達…よね?」

「うん!海未ちゃんとは小さい頃からの幼馴染なんです!」

「そう、それならこんなに仲がいいのも納得だわ。」

「私は高坂穂乃果っていいます!こっちは南ことりちゃん!」

「よろしくお願いします、にこ先輩♪」

「穂乃果にことりね、よろしくお願いするわ」

「あ、そうだ!にこ先輩も一緒に食べませんか?」

「えっ、私は大丈夫だけど…いいの?」

「はい!海未ちゃんの友達は私達の友達みたいなものだもんねことりちゃん!」

「うん!是非色々話を聞きたいです♪」

「ありがとう…穂乃果、ことり。二人も私に敬語じゃなくていいわよ!…友達、だもんね…」



「えっ…にこ先輩泣いて…?!」


「…ぁ、な、泣いてないわよ!…最近涙脆くてダメね…」ボソッ


「とにかく!私と話す時は全然普段通りでいいから。いいわね!」


「「う、うん…」」ポカーン


二人ともにこの剣幕に気圧されポケーっとしてます。
それにしても昨日といい今日といい、涙脆い所があるのかもしれませんね。



「では、お昼にしましょう!…実は先ほどからお腹が減ってしまって…」


「ふふっ、そうだね!」


「あー!穂乃果もお腹減ってたんだった!」


「忘れてたんかい!…じゃあ私もお邪魔するわ!」


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「ごちそうさまでした!」

「にこのお弁当、凄く美味しかったです!」

「そう言ってもらえると嬉しいわ。」

「そうだよね!にこちゃん、穂乃果にも今度作ってよ~!」

「あっ、穂乃果ちゃんずるい~!」

「ふふっ、また今度作ってきてあげるわ」

「「やったぁ!」」

「さ、そろそろ時間だし私はもう教室に戻るわ」

「え~、もう!?このままにこちゃんも2年生の授業受けていきなよ~!」

「穂乃果!意味のわからないわがままはやめなさい!」

「うぅ、しょうがない…じゃあにこちゃん、また明日ね!」

「それでいいのです。ではにこ、また明日」

「また明日ね、にこちゃん♪」


見てくれてる方なんていないかもしれないですが、どうせなら完結させたいので投稿したいと思います。


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カポーン


「ふぅ……今日は色々あったわね…ふふっ、海未に穂乃果にことり、か…」

また明日…ね。
明日が楽しみになった事なんて、今まであったかしら。

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「おはよう、にこっち。」

「希……おはよう」

「ぇ!にこっちから普通に挨拶が返ってくるなんて…」

「な、なによ!別にいいでしょ!」

「ううん、嬉しいんよ……なにかいい事あった?」

「いい事ね…確かにあったかもね!」ニコッ

「………いますっごくいい笑顔やったね!一瞬ドキッとしちゃったやん?」

「今、笑ってた?」

「うん、とびっきりね!…よし、朝からいいものも見れたしウチもう行くね!」

「あぁ、うん…じゃあね」



希はアイドル研究部の皆がいなくなっちゃって、クラスでも浮いてる私に唯一話しかけてくれてたっけ…
いっつも挨拶もちゃんと返さず悪い事したわね…



「…希!」

私を通り過ぎて先にいった希を呼び止める。


「?」

「えっと…今まで、変に意地張って…ごめん。あと、ずっと声をかけてくれてありがとう。」

「……。」ポカーン

「…はっ!びっくりして声も出んかった!ホントに急にどうしたんにこっち!まさか死んでしまうんやないよね?」

「死なんわ!…ちょっと思う所があったのよ…」

「…そっか!まぁ謝ってくれなくても、友達なんだから声かけるのは当たり前やん?」

見てるで
こういう雰囲気好きやで


>>31

ありがとうございます、見てくださる方がいるだけで励みになります…

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あんなに素っ気ない態度をとってたのに…

…こんなに近くにも友達がいたのね。
それなのに変に意地を張って、強がって…


「友達……ありがとう、希」

「なんかにこっち、変わったみたいやね!」

「意地を張るのをやめただけよ…」

「ふふっ、あの1年生の子のお陰かな?」

「んなっ!だ、誰の事かわからないわねぇ…」

「隠さないでもいいんよ?」

「隠してないわよ!…もう、先に行くから!」スタスタッ






「いっちゃったか…」


「私も頑張ってたつもりだったんだけど…なぁ」


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みとるで


>>33

ありがとうございます、今日も投稿していこうと思います…


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「ふぅ…やっと放課後ね……」

今日も疲れた…今日は1日座学だったから腰が痛いわ……

ってなんか年寄り臭いわね。

んじゃ、少し部室に寄ってから帰るとしましょうかね。



「…ん?生徒会室の扉が開いてる……」

いつもならきっちり閉まってるのに、珍しいわね…誰かが扉閉め忘れて帰っちゃったのかしら。

周りにも誰もいないし、閉めていってあげましょ。

「あ、そういえば生徒会室の中って見たこと無かったかも……」

「…あれ、まだ誰か残ってるじゃない」


少し気になって中を覗くと、机に突っ伏して眠っている子が。

顔は隠れていてもきらきらの髪の毛を見ればだれかわかる。

生徒会長の絢瀬絵里だ。



ほとんど話したことはないけど、クールであんまりいけ好かない。


「こうやって眠ってたらまだ可愛げがあるものの…」

彼女の白くて綺麗な頬をつんつんとつついてみる。

「…ん…ぅ…」スースー

結構ぐっすりみたいね、あんまり簡単には起きてくれなさそう。

生徒会長が生徒会の中でも、歴代の会長の中でも1番仕事頑張っているって噂はよく聞くし、疲れてたのね。

っていっても、ここで寝るんじゃなくて家で寝た方がいいだろうしそろそろ起こそうかしら。




「ほら、こんな所で寝てると風邪引いても知らないわよ~…」ユサユサ

「…ん…うぅ…お婆さま…?」ガシッ

「へっ?」

起こそうとして肩を軽く揺さぶると、まだ寝ぼけてるであろう生徒会長がおばあさんと間違えたのか腰の所に抱きついてくる。

なんか意外というか…可愛いところもあるのね。

「………。」

まだ焦点が定まってないような目でこちらを見てくる生徒会長。
必然的に目が合う。

「…………。」ダラダラ

ようやく状況を理解したのか、目に見えて焦り出す。

「よくお眠りだったみたいね?」

「…………本当に、そうみたいね…」

やれやれ…といった感じで額に手を当てため息を吐く生徒会長。
いつもの誰も寄せ付けないようなクールなオーラは心なしか可愛いものに見えた。



「…なんかイメージと違って驚いたわ」

「イメージってなによ…私だって人間だもの、居眠りくらいするわ…」

「そうね、居眠りくらいするわよね…人間だもの…ふふっ」

「待ちなさい、今バカにしたわよね?」

「…………してないんだなぁ…にこを。」ボソッ




「あなたねぇ…!……はぁ、まあいいわ」


「ごめんなさい、ちょっとからかい過ぎたみたいね。ところで…なんで生徒会長は1人で寝てたのよ?」

「絢瀬絵里よ」

「へ?」

「あ・や・せ・え・り!私の名前」

「あぁ、悪かったわね…私は矢澤にこ。にこでいいわ」

「そう、じゃあ私の事も絵里でいいわよ。それで、何でここで寝てたのかって話だったかしら?」



「考えてたのよ、どうすればこの高校にもっと入学希望者が増えるのかって」

「そう………でもそんなの絵里が考えないといけないこと?確かに生徒会長だけどそこまで……」

「ねぇ、にこ。この学校についての噂、きいたことない?」



噂?言っちゃいけないかも知れないけど、うちの高校は地味だしなにか噂になる事があるとは思えないけど……

「このまま入学希望者が増えなければ、廃校。」

「え……?」

「その様子じゃ、聞いたことが無いみたいね。前から多くは無かったけど、私達の代から新入生のクラスは減っているのよ」

「それに来年の入学希望者数も、今年の1年生より……大分少ないわ」


そんな噂があったとは知らなかったわ…

別にとりたててこの学校が好きな訳では無いけど、今まで通った学校が無くなってしまうっていうのはなんだか寂しい。

それが自分が生徒会長の時に噂立ったら、なにか力になりたいと思うのも普通なのかもね。




「私は、私のおばあさまも通ったこの学校が潰れてしまうなんて嫌なの。なんとか…なんとかしないと…」

「そう、アンタ…実はいいやつだったのね。自分の学校を守ろうと自主的に活動するなんて、とても立派な事よ」

「成果がでないと意味が無いわ…そう、成果がでないと……」



自身に言い聞かせるようにそう呟いた絵里の顔は焦りからか強ばっていた。
それだけ真剣に考えてるっていうことなんでしょうね。




「実際、問題はなかなか好転していかないの」



「それでも………それでも何もしてない私よりは……何倍も凄いわよ」

「…アイドルの事?」

「っ!?…知ってたのね」

「あれだけ騒がれてたら…ね。でも私は他のクラスメイトとは違って貴女が悪評通りの人間じゃないってわかってるわ」

「他の子たちが帰ってる中、チラシを配ってる貴女の姿を見たわ。貴女1人に色んな事を任せて中途半端にやっていたあの子達の流した悪評なんかより、貴女の方が数十倍信じられる」




まだ1年生だった頃の話、本気でアイドルを目指す仲間が出来たと思っていた私はあの子達にキツい練習を強要してしまった。

それで部活を辞めるだけでなく、私の嫌な噂をあることないこと広めていったあの子達に今でも悪いとは思ってないけど……

見てくれていたのね、誰も見向きもしてくれなかったと思ってたあの時にも…
見てくれる人は…いたんだ…


「…ありがと、もしなにか手伝える事があるならいつでも言って。普段暇な時は部室にいるから…」

「っ!?……ありがとう、にこ」

一瞬驚いたような顔をするが、すぐに優しい笑顔を浮かべる生徒会長。
…なによ、いつも怒ってるみたいだけど、そんな表情も出来るんじゃない



「それじゃあ今日はもう遅いし帰りましょ?絵里。」

「そうね、また明日ね、にこ。」

「ええ、また明日。」




「あ、そうだ…絵里、アンタはもっと笑顔でいた方がいいわよ。いつもみたいなしかめっ面じゃなくて、さっきみたいな可愛い笑顔。そっちの方が断然似合ってるわ」

「か、かわっ…!?」

「……じゃあねっ///」タタタッ




「もう、自分が照れるくらいなら言わなければいいのに……。…矢澤にこ、か……ふふっ♪」


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今かけていたのはここまでなので次は少し遅くなってしまうかも知れません、すいません。


ゆっくりでええで

>>42

ありがとうございます、お待たせいたしました。
今日も少しですが投稿していこうと思います。



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最近、授業が終わるのが早く感じる。
これも気持ちの変化のおかげかしら?

今日のお昼はどこで食べようかしら。
たまには中庭でもいいかもしれないわね。

…あら?あれって………



「…ぁ、にこちゃん……」


「やっぱり、穂乃果じゃない。いつもは3人一緒なのにどうしたの?」


「うん、たまには気分転換もいいかな~って思って…1人で出てきたんだ。」


「そう…なんか元気無いけど、喧嘩とかじゃないわよね?」


「違う違う!…海未ちゃんともことりちゃんともちゃんと仲良しだよ。」


「ならどうしたの?…私でよかったら話聴くわよ?」


「う~ん…………うん。じゃあにこちゃんに聞いてもらおうかな。」


「最近思うんだ…ことりちゃんは頭もよくて可愛くて、それに裁縫とかできて…海未ちゃんも頭がよくて、かっこよくて…武道ができて…」


「小さい頃は泣き虫で穂乃果の後ろに隠れてたくらいの海未ちゃんが、今ではすっごい頼りになって…」


「小さい頃穂乃果について来てくれてたことりちゃんも、最近服飾の夢を話してくれるようになったんだ。」


へぇ…3人にそんな過去があったのね…

海未が泣き虫だったなんて、今の姿からは想像できない。

ことりは裁縫とか得意なのね…いつかアイドルやれる時が来たら、衣装をお願いしようかしら。


「でもね…穂乃果にはな~んにもないの。」


「頭もよくないし、集中力もない…それに、夢も特技もな~んにも。」


「なんかね、そう考えてると海未ちゃんとことりちゃんと一緒に居づらいんだ。」


「……バカねぇ。」


「うん…ごめんね…」


「そういう意味じゃないわ、そんな事で悩んでるアンタに言ったの。」ギュッ


「ぁ……」


「知り合ってまだ日は浅いけど、穂乃果のいいところなんて沢山言えるわ。」

「自分のいいところって意外と自分では見えないのよ、きっと。」

「それに穂乃果は自分のより相手のいいところを沢山見つける事ができる優しさがあるじゃない。」

「にこちゃん……」


「私ね、アイドルが好き。なんでかわかる?……アイドルはね、人を笑顔にする仕事なの。」

「知ってる?穂乃果の周りってね、笑顔が溢れてるのよ。」

「それってきっと、才能だと思わない?」


「…うぅ…にこちゃん…に゛こ゛ち゛ゃ~ん!」ボロボロ


「うわっ、ちょっと鼻水つくからあんまり近くに……あ!こら!私の服で鼻かむな~!!」



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「ごめんねにこちゃん…服汚しちゃって…」

「もう、本当よ…アンタの涙と鼻水でベタベタじゃない…」

「えへへ……にこちゃん、ありがとう。」

「な、なによいきなり…」

「にこちゃんが皆にモテる理由がわかったよ。…すっごいかっこよかった!///」

「あーはいはい、そうですか…ありがとありがと…」

「むっ、またそうやって適当に……結構本当に好きになっちゃいそうだったんだよ…///」ボソッ

「ん?なんかいった?」

「えへへ、なにも言ってないよ!…じゃあねにこちゃん、今日はありがとう!」

「ううん、いいわ。2人と仲良くね。」

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面白い
それと絶対アンチレスには反応するな
お前が傷つくのを楽しんでるだけだから

こういうif物好きだから応援してる

>>46 >>47

ありがとうございます、暖かい言葉をかけてくださる人がいるだけでがんばれます。

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またある時の昼休み。
たまたま昼ごはんをいつもの部室じゃなくて違う所で食べようかと考えてウロウロとしてた頃に、前の穂乃果に続き今度は海未が1人でいる所を見つけた。


「おーい、海未!」

「ぁ、にこ……」


その顔は何故か不安げというかなんか泣きそうになってる…?

「どうしたのよ、そんな顔して…折角の可愛い顔が台無しよ?」

「なっ!///そんな…恥ずかしい…///」

「え、ホントにどうしたのよ?いつもの敬語はどこにいったの?」

「実は…ほ、穂乃果が…」

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「海未ちゃん!今日1日敬語禁止!」

「は?急にどうしたのですか?」

「いっつも他人行儀な感じがして寂しいの…今日1日でいいから!!…ダメ?」

「えっ、あっ…うっ……………し、仕方ないですね…」

「ん?仕方ないですね?」

「し、仕方ない…なぁー…///」

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「って事があって……」

「へぇ~~、海未が敬語禁止、ねぇ…」

「はい…いや、うん…」

って言っても別に穂乃果と約束しただけなら穂乃果の前でだけやってればいいのに…

ホントに海未は真面目っていうか…そういう所は天然よね。

「で、今この場にその穂乃果はいない訳だけど…敬語禁止は続けるわけ?」

「あ……………………………………」





「いや!いや違いますよ!決してそれに気付かなかった訳ではなくて…!」




目に見えてあたふたしだす海未。
身振り手振りでなんとか言い訳しようとしてて珍しく幼く見えて可愛い。


「約束を守る事だけに気を取られ過ぎてたみたいね…なにもそこまで律儀に見られてないとこまで禁止にしなくても…」

「うぅ……恥ずかしすぎます…」

「ふふっ…なんか海未のいつもと違う一面が見られて嬉しいわ、たまにはこうしてぶらつくのもありね」

「なっ…//もうずるいですよにこはまたそうやって……」

「ん?今なにか言った?」

「何も言ってません!もう行きます!」スタスタ




「いっちゃった…」


なんで最後怒ってたんだろ…?

まあとりあえず、可愛い海未が見られたって事で得した気分ね!



おっと、お昼ご飯食べないと…もう時間もあんまりないし部室でいいかな…




「にこっち~!」

などと考えていると後ろから希に声をかけられる。
今日のお昼はたくさん人と遭遇するわね。



「希?…って絵里もいたのね、どうしたの?」



振り返ってみるとそこには希と、その隣には絵里もいた。

生徒会が2人揃ってなんの用事かしら?




「ごめんなさい、特に大した用事は無いんだけど…にこがお弁当を手にしてたから、もし良かったら一緒にどうかと思って…」


「あ、そうだったのね。ありがと、でも私も一緒でいいの?」


「勿論やん!皆で食べた方が美味しいもんね、えりち!」


「そうね…それに、にこには前にお世話になったからというか…///く、クッキーを焼いてきたの!」


「へぇ~、絵里って料理も出来るのね!是非食べさせてくれる?」


「よかった…要らないって言われたらどうしようかと思って…」


「そんな事言わないわよ、折角絵里が作ってきてくれたんだし…ありがとうね」ニコッ


「………///」ポーッ


「にこっち…恐ろしい子…!その笑顔は反則やん?」


「へ?なんか変なこと言った?」


「なんか素直になってから無意識に自覚ない優しさを振りまいてるにこっちが恐ろしいわ…」ブツブツ


「…まぁいいけど、はやくしないと昼休み終わっちゃうからそろそろ行きましょ?」



「そ、そうね!いきましょう、希。」


「そうやね、教室だと賑やか過ぎるから生徒会室でいい?」


「私は全然どこでもいいわよ。」



おっ、またまた珍しい体験が出来てしまうわね…

最近考え方が変わったのか今までと違う事をしてみようと思ったり人の事も場所でも色んな所を見ようとする事が増えたのよね。

でも生徒会室はなかなか入りづらくて前の一回しか入れてないからちょっとだけ楽しみだわ。

支援

>>51
ありがとうございます。

遅くなってしまってすいません、今日も少し投稿したいと思います。

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生徒会室の机に3人でお弁当を広げる。
絵里のも希のも彩りがしっかりしていて美味しそうだ。ただ少し希のは栄養が偏り気味かしら?

「ほぇ~、にこっちもえりちもそれ自分で作ったん?」

「そうよ。…って希も1人暮らしなんだから自分で作ってるんじゃないの?」

「ううん、うちのはほとんど冷凍さんやから…」

「そう…私の少し食べる?今日亜里沙がお弁当いらないって言ってたの忘れてて少し多いのよ。」

「あ、それなら私のも食べていいわよ。」

「えりち…にこっち…うち涙が出そうや~…」


そう言って下手な芝居をうつ希。
でもその顔はホントに少し泣きそうで、わざとおどけてるように見えた。



「ところで気になってたんだけど…亜里沙っていうのは誰?」


「あ、ごめんなさい。そういえばにこには言ったこと無かったかもしれないわね…私の妹よ。」

へぇ、絵里にも妹がいたのね。
確かに絵里ってお姉さんっぽいところあるかも。

「そうだったのね…絵里の妹だし、綺麗なんでしょうね。」


「う~ん…亜里沙ちゃんは綺麗っていうよりかは可愛いって感じかなぁ…」

「へぇ~…てっきり絵里に似て美人なのかと思ったわ。私にも妹と弟がいてね、毎日お弁当作るの大変よ…」

「び、美人…///」カァァッ


何故か絵里が顔を赤くして俯く。
…しかもなんかブツブツ言ってる?

なんか怒らせちゃったかしら…

「にこっちにも妹いたんやね!しかも弟も!それは初耳やったよ~。」

「私とは歳が離れててまだまだ小さいんだけどね。絵里の妹はどれ位なの?」


私がそう聞くとついさっきまで俯いてブツブツ言ってた絵里が復活した。



「今中学2年生よ、あの子も音ノ木坂に入りたいって言ってくれてるの。だからこそもっと頑張らないと……」

「そう…絵里はきっとその亜里沙ちゃん?から随分慕われてるんでしょうね。」

「へっ…?ど、どうしたの急に?」

「だってこんなに妹の事考えてるんだもの。……いいお姉ちゃんね。」ニコッ

「あ、ありがとう……///」

「それなら、きっとにこっちの妹ちゃんや弟くんもそうやろうね!…さっき大変だって言ってたけど、顔はすっごい優しかったから…うちもにこっちやえりちみたいなお姉ちゃんが欲しかったなぁ…」


「希……ありがと。なんなら甘えてくれてもいいわよ?」

「…にこっちお姉ちゃん!」ギューッ


おわぁ!ホントに甘えて来るとは思ってなかった!
しかも飛びついてこられたからこけそうだったわ…

「あ、ずるいわよ希!…私も!」ギューッ


「うわぁぁ!絵里まで!流石に耐えられな………」ズデーン




「いつつつ…もう、絵里まで悪ノリしないでよ…」

「ごめんなさい…」

「ごめーんにこっち!」

「もう、しょうがないわね…この数日で希だけじゃなくて意外と絵里もポンコツなとこがあるって知ったわ…」

「にこ~…酷いわよ…」

「うちなんてポンコツなのが前提条件みたいに言われてるんやけど…」

「ふふっ……それは仕方ないんじゃない?」

「えりちまで!酷いよ~うわーん!」

「あははっ…」



この3人でこういう風に笑い合える時が来るなんて思ってもみなかった。

少し自分の気持ちに素直になるだけで、こんなにも毎日が変わるなんて知らなかったわ。
あの時助けてくれた海未に感謝ね…



………………でも。

自分の気持ちに素直になると同時に、自分の気持ちにフタをしている自分もいる。

あれからずっと目を背けてきたけど、もうすぐ私も3年生…最高学年。

憧れのA-RISEと同じスクールアイドルでいられる期間もあと1年しかないの…

そう、あと1年……____________________

「_________にこ?」ポンッ

「……はっ!」


絵里に肩を叩かれる。
どうやらちょっと深く考えすぎたみたいね…


「どうしたん?何回も呼んだけど返事なかったんよ…」


「ごめんごめん、ちょっと考え事してたみたい。」


「そう……何のことかはわからないけど、あんまり怖い顔して考えこんじゃダメやよ…折角の可愛い顔がだいなしやん?」ムニッ

そう言って私の両方のほっぺたをむにむにといじりだす希。
元気づけようとしてくれて……


「………。」ムニムニムニッ

ってなんか趣旨変わってきてない?

「ひょっ、ひょっほのばひふぎじゃない?」

「…あ、ごめんごめん…あまりににこっちのほっぺたがぷにぷにで夢中になっちゃった!」

「もう…まぁでも元気づけてくれようとしてたのはありがとね。」


「そんなの当たり前やん!ねっ、えりち!」


「………。」


「えりち?」


「ぇ…ぁ!そ、そうよね!」


「どうしたん?えりちまで考え事して…流行ってるん?」

「そ、そんな事より!ご飯も食べたしクッキーでもどう?」


「あっ、いいわね。実はずっと絵里のクッキー楽しみにしてたのよ。」


「ふふっ、お口に合うといいけれど…」


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おつおつ


ありがとうございます、今日も少しですが投下したいと思います。

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「ごちそうさま!とても美味しかったわ。絵里って何でもできるのね…」

「ううん、できない事も沢山あるわ…」


絵里ができないことなんて無さそうよね…
可愛くて、勉強、運動ができてそれに料理まで…ハイスペックってこの事をいうのね。

「おっと、そろそろ時間ね。じゃあ先に私教室戻るわ。」

「うん、じゃあまたねにこっち!」

「また一緒に食べましょう、にこ?」


「そうね、ありがとう2人とも。楽しかったわ」

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どう考えてもさっきのにこはおかしかった。
3人で笑ってたと思ったらいきなりなにか考えだして……

…覚えようとしたわけではなかったけどあの思い詰めた顔には見覚えがあった。

1年生の時のあの日。
私が見たのは1人で健気に、真剣にチラシを配っている彼女の姿。

凄く素敵な笑顔で配ってたわ、でも私は見てしまった。

皆がすっかり下校した後で、渡しきれなかったチラシを抱えて悲しそうで、悔しそうな表情を浮かべているにこを……


「アイドル…か。」

「ん?どしたんえりち?」

「ううん、なんでもないわ。さっ、私たちも行きましょ?」

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「うぅ~…っん!今日も授業終わったわね…」

学校の1番きつい部分が終わったわ…
自然と体を伸ばす。こういう何かが終わった~って時にしたくなるから不思議なものよね。

今日は久しぶりに2年生の顔でも見に行こうかしら。


「あっ、にこちゃん?」

後ろから声をかけられて振り向いてみると、ふわふわとした雰囲気を浮かべてる美少女…ことりだった。

「あ、ちょうどよかったわ。今からアンタ達に会いに行こうかと思ってたのよ。」


「そうだったんだね~、でも海未ちゃんも穂乃果ちゃんも帰っちゃって…ことりだけなんだぁ…」


「へぇ、珍しいわね…」

と言った後で気づいたけどなんか最近穂乃果といい海未といい1人でいる時に会うことが多かったわ…
これで2年生コンプリートじゃない。



「穂乃果ちゃんが明日の小テストを忘れちゃってたらしくて…海未ちゃんが引っ張って連れて帰っちゃったんだぁ…」


あはは…と苦笑いを浮かべることり。
その光景が容易に想像出来るのが穂乃果の凄い…いや凄くない所よね…


「ことりは今から帰り?それなら一緒に帰らない?」


「うん!あっ…でも…ちょっと寄りたいところがあって…」


「ことりが寄りたいところっていうと…クレープ?ケーキ屋?」


「ははは…それじゃ穂乃果ちゃんだよ~…」


「ふふっ、冗談よ。で、どこにいくの?」


「ちょっと、服の生地が欲しくて…」


あっ!そういえば前穂乃果がことりは裁縫ができるって言ってたわね…

それにしても自分で服を作るって事は凄い上手いんじゃないかしら?



「へぇ~…ことり自分で衣装作れるのね…」


「へ?衣装?」


「あっ、いや服ね!自分で好きな服が作れるといいわよね…」


「うん、にこちゃんに似合う服も作りたいなぁ~…」


「ありがたいけど、それはちょっと悪いわね。さっ、じゃあ服の生地見に行きましょっか。」


「うんっ♪」

ことりとにこの衣装談義好き


>>62

見てくださってありがとうございます。

今回も少ないですが投稿していきたいと思います。

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「へぇ…このお店すっごい沢山種類があっていいわね。」

「うん!ここはことりの行きつけなの。あ!あれかわいい~…♪」


ことりが手に取ったのは淡いミントグリーンの生地。うん、ことりに似合いそう!

「これにこちゃんにも絶対似合うと思うんだぁ~…」

「え、私に?」

「うん!これをベースにしてちょっとピンク色の生地…あ!あれなんかいいかな。あの生地を使って…」

ことりの脳内デザインが止まらない。
凄いわね…これは想像していたよりずっとことりの服飾の技術は高いみたい。

「あ、それならあの生地とかはどう?合わなさそうに見えて意外としっくりくる気がするんだけど…」

「にこちゃん…凄い!そう言われてみるとまたイメージが膨らんじゃいます♪」


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「はぁ~、にこちゃんのおかげですっごい楽しかった!」

「そう言ってくれると嬉しいわ。私もことりのイメージを聞いただけでなんとなく服の想像が出来ていい勉強になったしね。」



「勉強?」



「…私ね、1年の時はスクールアイドルやってたの。…って言ってもうまくいかなかったんだけどね。」


「最初に部活を作った時に、一緒にやるって言ってくれた子達がいたんだけど…イメージが私とは少し違ったみたいで、辛い練習や下積みについてこれなくて…それでみんな辞めちゃった。」


「私も練習を強要したり、強く言いすぎちゃったりしちゃったから悪かったんだけど…辞めた子達にある事ない事言い回られちゃって…そのせいで同級生から嫌われて、つい最近まで同級生には友達はいなくって…」


「でもアイドルになる夢は諦められないの。やっぱり小さい頃からの夢だしね…」


「だからもう一度アイドルやれた時の為の衣装の勉強!もうスクールアイドルでいられるのもちょっとだけだから…」



「にこちゃん…………。ことりね、にこちゃんは強くてかっこよくて、でも可愛くて…弱い所なんて無いと思ってた…」


「でも、だからこそ嬉しいな。にこちゃんが自分から弱い所をことりにみせてくれたから…」


あんまり後輩たちには話さなかったアイドルの話。
だけどことりの雰囲気のせいかポツリ、ポツリと話してしまう。

先輩の情けない弱音に対してもことりは言葉を選んでゆっくりと優しく声をかけてくれる。



「ごめんね…ちょっと弱気になっちゃったけど、私はまだ可能性を捨てたわけじゃないわ!」


「うん、にこちゃんがアイドルをもう一度やる時は、ことりに衣装を作らせて欲しいな!」


「ありがとう、私もことりが作った衣装着てみたいわ。」


「腕によりをかけて作っちゃいます♪」


ことりが可愛すぎる件について問題が発生。
この子ホントに素でアイドルに相応しいじゃない…
それに衣装も自分で作れるとなるととんでもないわね。


「あ、ことり家こっちだからまた明日ねにこちゃん!」

「今日はありがとね、なんか元気貰えた気がするわ。」


ことりと別れ1人家路につく。
今日も色々あったわね…

さっきはことりに強がって言ってみたものの、最近毎日が楽しくてアイドルはもういいんじゃないかって思う時が本当にたまにある。


あんなに可愛い友達や後輩をアイドルに誘えたらいいのに…だけどまた仲間をなくすのは嫌。
憧れと現実の間で揺れている自分がいた。


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昨日はあんまり寝れなかったわ…
少し考え事をしすぎてたみたいね、なかなか寝つけなかった。

……まぁその分午前の授業しっかり寝させて貰ったんだけどね。


「今日は久しぶりに部室でご飯食べようかしらね。最近お昼はあんまり行けてなかったし。」


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「ごちそうさまでした。お粗末様でした。」

って自分で作ったお弁当だからって何ひとりでつまらないことしてるんだか…

久々の1人でのお昼ご飯。やっぱり少し寂しいけど、まあたまにはいいわね。



コンコン



なんて考えてると珍しく部室がノックされた。
誰かしら?なんて考えているとそのままドアノブが捻られ、見知った顔が入ってくる。


「すみません、突然押し掛けて来てしまって…」


「それは全然構わないんだけど…珍しいわね?海未が私を訪ねてくるなんて。」


「はい…少し話したい事がありまして…」

なんだか少し顔が暗い。
何か悩み事でもあるのかしら…

「私でいいなら聞くわ。そのへんの椅子適当に使っていいわよ。」

「はい、失礼します。」


海未が私の向かいの椅子に座るけど、なかなか自分から話だせなさそうな様子をしている。



「で、どうしたの?私に話って。」


「実はですね、最近にこと仲良くさせてもらっている事を快く思っていない方がいるらしく、にこの悪口を書いたような手紙を貰ってしまって…」


正直予想してた中で1番嫌な展開かもしれないわ。
同級生の中の嫌われ者である私が後輩の中で一番人気って言っても過言じゃない海未と仲良くしてたら私の同級生や、その上の3年生ですら快く思わないに決まってる。


「あ~…確かに上級生からも人気な海未が私なんかと仲良くしてたらそう思うでしょうね。なんて書いてある手紙だったの?」

「いえ、それは…」

「大丈夫よ、悪口や陰口なんて言われ慣れてるもの。どうせアイドルの事とかでしょ?」


「はい…すいません。」

「なんで海未が謝るのよ…海未にはアイドル目指してた時の事を話した事なかったから余計驚かせちゃったかも知れないわね…ごめんなさい。」


「いえ…悪いとは思ったのですが、その手紙を貰ってことりに相談した時に、ことりから話を聞かせて貰いました。」


「そう…それなら話は大体知ってる訳ね。まあ色々あって私は今でも同級生からあんまり好かれてないの。」


「それで、とにかくどうするか考えないといけないわね。一番手っ取り早いのは海未がもう私に関わらないようにする事かしら…」


でもその方法は嫌ね、今希や絵里と仲良く出来ているのも元を正せばあの時海未が私を助けてくれたからだし…第一海未ともっと仲良くしてたいもの。
…まあ口には出さないけど。





そんな風に考えていると、そんな素振りも見せなかった海未が突然大きな声で反論する。


「それは嫌です!!折角にこと仲良くなれたのに、初めて先輩と仲良くなれたのに…こんな事で離れたくありません…」ポロポロ

「ち、ちょっと!そんな泣かないでもいいじゃない!あくまで手っ取り早い手段なだけで私だってそんな方法は嫌よ。」

「うぅ…こんな…あんまりですぅ…!」ポロポロ

「落ち着きなさいって!他にも何とかなる方法はあると思うし、考えましょう!」

「うぅ…うぅぅ……」ポロポロ


なかなか泣き止んでくれない。
こんな海未は初めてみたけど、きっとこの手紙を貰ってからずっと悩んでいたんでしょうね…


「にっこにっこに~!!」

何とか海未を元気づけてあげたい、笑顔にしてあげたいと思った結果。
頭に浮かんできたのはやっぱりアイドルだった。
皆を笑顔にする仕事、こんなに大切な友達を笑顔にできなくて務まる訳がない。

「貴方のハートににこにこにー!笑顔を届ける矢澤にこにこ~!」


「えっ…?」ポロッ


「にこにーって覚えてラブにこ!」


「…………。」ポカーン


「ほ、ほら、泣き止んだ事だしさっさと別の方法考えましょ!」


「にこ……ふふっ…凄いです、涙がどこかにいきました。」


「アイドルはねぇ、お客さんを笑顔にする仕事なの!これくらい出来て当然よ!」


「…それに、あの時海未が私を笑顔にさせてくれたから…そのお返しよ。」




「懐かしいですね…思えばあの時因縁をつけられているにこに出逢わなければ今こうして2人で居ることも叶わなかったんですもんね…」


「…アイドル、ですか……」ボソッ


「なに?なんかいい案でもあるの?」


「いえ、何だかもう気にしないでおけばいいような気がしてきました…」


「…まあ結局現状はそれしかないわよね……私がもっと頼れる先輩ならよかったんだけど。」


「そんな事ないです…にこは私にとって大事な先輩で、友達ですから。…あ!でもそれでにこに危害が加わるようならすぐに言ってください!にこのことだけは絶対に護りますから」ニコッ


…………やばい。
心臓が自分でも驚くくらい高鳴ってるのがわかる。
顔はあかくないかしら、今までの人生で一番大きいであろう心臓の音が海未にまで聞こえてないかしら。
それくらい今の海未はかっこよかった。


「そ、そんな事言わないでくれる…///私の方が先輩なんだから!///」

「すいません…でも私は本気でそうおもってますよ。」

「もう…バカ!教室戻るわよ!」

「あ、待ってください!途中まで一緒に行きます!」

ギャルゲーの主人公みたいなにこちゃんいいね

面白い
がんばってね

なかなかいい

本文投下時にほかの人に安価をつけるのは、できればやめて欲しい…できればでいいが

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