美希「迷惑メールは迷惑なの」 (41)
<ユーガットメィール!!
美希「あ」パカ
美希「………むー」パタム
<ユーガットメィール!!
美希「はーい」パカ
美希「………」パタム
<ユーガットメィール!!
美希「」パカ パタム
P「……星井さん。先程から大変携帯を気にしているようですが、何かございましたか?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474897507
美希「ううん。ミキ、何にも待ってないよ」
P「その割にはさっきから携帯が」
<ユーガットメィール!!
美希「あ、ちょっと待って」パカ
P「……よく鳴ってるようですが」
美希「ただの迷惑メール。最近すっごく増えてるの、大メーワクってカンジ」パタム
P「わかってるなら放っておけばいいじゃないか」
美希「知ってる人のメールが混ざってるかもしれないでしょ?」
P「そりゃそうかもしれないけど」
<ユーガットメィール!!
美希「あ、ちょっと待ってて。……ください」パタパタ
トレーナー「え、あ。うん」
美希『いま すぐなの! もう まてない! 約束したよね キスを―――』
<ユーガットメィール!!
美希「はーい」パカ
スタッフ「はいやりなおし」
P「宜しくお願いします!!」
美希「よろしくおねがいします」ペコ
音楽ディレクター「うんうん、星井さんには期待しt」
<ユーガットメィール!!
美希「……あ、今度はママからなの!ちゃんと見ててよかったでしょ?」
P「」
音楽ディレクター「」
P「気にし過ぎだろ!!!」
美希「だってー」
P「『だって』じゃありません」
美希「ぶー」プンスコ
P「大体なんで逐一見るんだよ。『迷惑メール』ってわかってるんだろ?」
美希「だってー……一度気になると、ずっと気になっちゃうんだもん」
P「限度があるだろ、限度が」
P「とにかく、原因がわかってるなら対処しよう。アドレス変えるなり、フィルター効かすなり」
美希「フィルター?」
P「……アドレス変える方にしようか。変え方わかるか?」
美希「えー、ミキよくわかんなーい」
P「変えたことある筈だろ?初期アドレスじゃないんだし」
美希「だってメンドーなんだもん。プロデューサーさん、やってくれたらうれしいな」
P「……いいだろう。美希に相応しいアドレスを俺が考えてやろうじゃないか」
美希「やたっ!」
P「『suki_suki_daisuki_producer』だ!どうだ、俺への溢れんばかりの想いを形にした素晴らしいアドレスだろう」
美希「やっぱりミキがやる」
美希「『星井美希です。今日はメールばっかり見てごめんなさい。次から気を付けます』」ポチポチ
美希「これでごめんなさいメールは全部だよね。……疲れた」
―――――――――
P『帰ってからでいいから、今日中に仕事先に謝罪メール送っておくことな』
美希『ミキのせいじゃないのに……』
P『それでも、だ。理由はあっても相手に見えてるのは美希の態度なんだから』
P『直接顔合わせて謝るのでもいいけど。美希はどっちがいい?』
美希『……メールにする。怒られそうで、や』
P『キチンと謝れば相手も許してくれるさ。俺からも言っておくから安心しとけって』
美希『あーあ。アイドルって楽しいけど、メンドーなこともいっぱいだね』
P『面倒なことは先済ませちゃえばいいんだよ。とにかくよろしく頼むな』
美希『はいはい』
P『……『はい』は一回』ムニー
美希『ふぁい』
―――――――――
美希「うー……。ほっぺたひりひりする」
美希「えっと、あと誰に送ればいいんだっけ……」
美希「クラスのみんなはおっけーでしょ、パパとママはお姉ちゃんが教えてくれてるでしょ」
美希「んー」パタパタ
美希「……あ、そだ。プロデューサーさんにも送らなきゃ」ポフ
美希(小鳥や社長にはプロデューサーさんが教えてくれるからいいよね)
美希「えっとー」ポチポチ
美希「―――あ、ふぅ」
美希「……Zzz」スピー
―――――――――
―――――――――
P「―――はい、はい。では、本日もよろしくお願いします」ガチャ
小鳥「朝からお疲れ様です」
P「美希の奴が謝ってなかったらこちらでフォローするつもりだったんですが……」
小鳥「その心配はなかった、と」
P「これで午後からの準備に専念できます」
小鳥「美希ちゃん、その手のことはきちんとやるんですから。あんまり疑っちゃダメですよ?」
P「全部そうしてくれればそう思えるんですけどね……」
P(休みだからって寝坊してないといいが)ピ、ポ、パ
<prrrr prrrr
??『はい、星井です』
P「朝早く失礼します。765プロダクションのPですが―――」
美希母『プロデューサーさん!いつもお世話になってます、美希の母です』
美希母『美希ですよね?ちょっとお待ちください』
<~♪
P「……起きてた」
美希『もしもし、プロデューサーさん?おはよー』
美希『ねね。ミキ、学校がお休みでもちゃーんと起きたよ。えらい?』
P「ああ。正直驚いた」
美希『ふふん。いつも寝てばっかりって思ったら大間違いなの』ムフー
P「メールも送ってくれたみたいだな。先方からお褒めの言葉を戴いたぞ」
美希『じゃあもう怒られない?』
P「次あった時に一言だけ言えばもう大丈夫だよ。その時は俺もついてくから」
美希『やたっ』
P「朝早くからありがとな」
美希『あ、そだ。ミキ、今日お出かけしてから事務所行くね』
P「時間には遅れないように気を付けてな」
美希『はーい。それじゃ、また後でね!』
ピ
P「……俺、変に疑い過ぎなのかなあ」
小鳥「さあ?」ニコニコ
―――――――――
―――――――――
美希「あはっ☆ まだ残っててよかったぁ」
書店員「あの……星井美希さん、ですか?」
美希「ミキのこと知ってるの?」
書店員「もちろん!先日取材で来て下さったでしょう?その時から気になってたんですよ~」
書店員「ね。もしよろしければ、サイン、お店に飾ってもいいかしら?」
美希「うん、いいよ」
美希(えっと。サインは力を抜いて描く、っと……)サラサラ
P「美希の奴、まだかなー」
小鳥「そんなに美希ちゃんが待ち遠しいんですか?」
P「そういう訳じゃないですが……いざ全部やってあると手持無沙汰で」
小鳥「ふふ」ニコ
P「……俺の顔に何かついてます?」
小鳥「いえ。プロデューサーさん、楽しそうだなあって」
P「楽しそうに見えるんですか」
小鳥「担当になってからずーっと、『美希ちゃん、美希ちゃん』ですから」
P「いやいやいや」
P「好きで美希美希言ってる訳じゃないですよ。今回の件に限らず色々やらかしますからねアイツ」
P「タメ口は日常茶飯事だし時間にもルーズだし気紛れだし、一度休日でばったり会った時はえらい目に遭いましたし」
小鳥「でも美希ちゃん、一度お話ししたらきちんと聞いてくれるんでしょう?」
P「その辺は有難いですね。あんななりだけど根は素直でいい子って言うか」
P「あれこれ文句は言うけれど仕事中は凄い楽しそうで。こちらもプロデュースのし甲斐があると言うか……」
小鳥「……ふぅん」ジトー
P「……小鳥さん、目が怖いです」
小鳥「私は事務所に籠りっきりなのに。ちょっと妬いちゃいますからね?」プクー
小鳥「準備も一通り終わってるならゆっくりしててください。こちらも殆ど終わってますので」
P「そうですね……でしたらお言葉に甘えさせていただきます」
小鳥「はい♪」
P(一応メールは送っとくか)ポチポチ
<ピロリン
<ユーガットメィール!!
P「……あれ?」
美希「―――ん、美味し♪」
喫茶店員「ありがとうございますっ☆」
美希「ここ、地下にある割には広いし雰囲気もバッチリでちょっと気になってたの」
美希「前来たときはちょっとだけしか居られなかったから。今回ゆっくり来れてよかったぁ」
喫茶店員「お褒めに預かり光栄です☆ 秘密の隠れ家って感じで、お友達との時間もバッチリ過ごせますよ☆」
美希「ん。今度はミキの友達も誘ってみるね」
喫茶店員「お待ちしておりまーすっ!」
喫茶店員「……と・こ・ろ・で? 折角の機会ですし?ちょ~っとお聞きしたいことがあるんですけど☆」
美希「?」
『お掛けになった電話は 電波の届かない場所にあるか―――』
小鳥「電話、繋がらないんですか?」
P「さっきから。もうだいぶん時間も経ってるのに」
小鳥「メールは……さっきも試してましたけれど」
P「……」ポチポチ
【<Mail Delivery Subsystem> MAILER-DAEMON】
小鳥「やっぱり届いてないみたいですね」
P「『アドレス変えよう』って話はしてたんで、連絡し忘れって可能性はあります」
P「けど……美希の性格上、着信入れたのに反応がないってのは変だな」
小鳥「まだ集合までは時間ありますけれど……」
P「心配ですね、少し」
美希「…………うー」グッタリ
喫茶店員「ありがとうございましたー☆ また、ゼヒゼヒ来てくださいネ!!!」
美希(……ここのお店。雰囲気もいいし、ご飯も美味しいし、お小遣いにも優しいけど……)
美希「店員さんが、厄介すぎるの!!!」
美希(キワドイことばっかり聞いてくるし、『知らない』って言ってもしつこく聞いてくるし)
美希(こんなんじゃみんな連れてきても全然落ち着けないの……)
美希「しかも圏外だしー…………あ」
P「遅い」
小鳥「集合時間、過ぎてしまいましたね……」
P「今まで遅刻することはあっても、まったく連絡がない……ってことはありませんでした」
小鳥「ご家族から連絡先は頂けたんですか?」
P「先ほどお姉さんから送っていただきました。けど、やっぱり返信はないですね」
小鳥「美希ちゃん……どうしちゃったんでしょう」
P(事務所に向かってるなら圏外の筈はないし、ずっと同じ場所にいるってことになる)
P(まさか……本当に何かあったのか?)
<prrrr prrrr
P「!」ピ
美希『もしもしプロデューサーさん?』
P「美希か!?良かった、繋がって」
美希『どしたの?何かあったの?』
P「そりゃこっちの台詞だよ。もう時間とっくに過ぎてるじゃないか。全然連絡も繋がらないし」
美希『へ?……わ、もうこんな時間!?』
P「どうしたんだ、何かあったのか?」
美希『すっごいしつこい人につかまっちゃって。それに圏外でケータイ使えなかったの』
P「しつこい……?どういうことだ、誰かと一緒にいるのか?今どこにいるんだ?」
美希『えっと、この前取材で行っ』プツ
ツーツーツー
P「え、あれ。……美希!?」
美希「?……プロデューサーさん?」ポチポチ
美希「切れちゃった……」シーン
美希(電池切れかな?えっと、バッテリーは……)ゴソゴソ
美希「?……むー??」ゴソゴソ
美希「………ない」
美希「もー!遅刻しちゃうし電池もないしでサイアクなのー!!」プンスカ
美希「はー……。とりあえず事務所いこ……」
美希(プロデューサーさん怒るかなぁ)
トボトボ
美希「あ。この服カワイイかも」
<オカケニナッタデンワハー
P「……やっぱダメだ」
小鳥「美希ちゃんの家にも掛けてみましたけれど、やっぱり連絡が取れないみたいです」
P(しつこい人、捕まった、携帯が使えなかった)
P(………美希の奴、何か変な事件に巻き込まれたんじゃ)
P「俺、行ってきます」
小鳥「え。アテはあるんですか?」
P「切れる直前『取材に行った』って言ってました。その近くを当たってみます!!!」
小鳥「ちょ、ちょっと待ってください。それならそこに連絡してからの方が―――」
<バターン!! カンカンカン
小鳥「―――もう!すぐ動いちゃうんだから!!」
びっくりするほどつまらない
というかどこかで見た内容
書店員「え、星井さんですか?確かに来ましたけれど」
P「何か聞かれませんでしたか?どこへ行くか、とか―――」
書店員「特には……お店を出て、あちらの方にはいかれましたけれど」
P「わかりました、ありがとうございます!!!」
バタム バタバタバタ
書店員「……何かあったのかしら?」
雑貨店員「ええ、確かに来てました」
レコード店員「けれど急に何か思い出したようで、すぐ行っちゃいましたね」
コスメ店員「ところでお客様はどういった関係の方で……?」
ブティック店員「お兄さんはどなたですか、ファンの方ですか?」
書店員「すみませんが、あまり個人的なことにお答えすることは」
カフェ店員「なんと☆今度はプロダクションの方が来て下さるとは!」
P「いねえ」ゼーハー
P「くそー……散々振り回されてやがる」
P(足跡は辿れても、美希からの連絡がない)
P(道すがら何かに巻き込まれたか?それとも……何か連絡できない事情があるのか?)
P「クソ。こんなことになるなら、こっちで迎えに行ってやりゃあ良かった……」
P(相手は14歳、まだ子どもなんだぞ。出来ない事が多くて当たり前なんだ、面倒見てやらないでどうする)
P(足りない事はきちんと教えて、キチンと伸ばしてやるのが大人の役目なんじゃないのか)
P(御家族にも心配掛けさせて……連絡先くらい、こっちで確認取っておくべきだったのに)
P「……ここでうだうだ考えててもしょうがないか」
【公園】
美希「あれ、せんせー!!」
教師「お?……星井じゃないか」
美希「すっごい偶然。どしたの?何でここにいるの?」
教師「折角の休みだからな。近所を散歩してるんだ」
美希「ふーん。ミキ、せんせーってお休みでも学校にいるって思ってたの」
教師「全否定できん所が悲しいところだ」
美希「何か学校の外にいるせんせーって変なカンジ。ただのおじさんだね」
教師「………俺はまだ『おじさん』って歳じゃないぞ」
P(こんな所にまで来ちまったか……美希の奴よくここで時間潰してるし、いてくれるといいんだけど)
美希「―――」
教師「―――」
P「いた!!み、き―――」
P(隣に誰かいる……何だ、あの男)
男「―――!!」パッ
美希「~~~!!!」
P(あいつか!? 美希が言ってた、しつこい奴!!!)
美希「せんせーもケータイ持ってるんだね」
教師「当たり前だろ」
美希「あ、そだ。ケータイ貸して欲しいな」
教師「……は?」
美希「ミキ、電話したいんだけど電池切れちゃったの。いいよね?」パッ
教師「あ、こら!」グイ
美希「あ~!」
教師「勝手に人の物を取るな」
美希「ぶー、ケチ。ちょっとくらい―――」
P「美希!!!」
美希「?……あ、プロデューサーさんだ!お―――」
P「その子から離れろ!!!」
美希「わっ」
教師「な、何だ?」
P「……アンタか。しつこく付きまとってたってのは」
P「この子が良く思ってない以上度を過ぎたのは看過できない。悪いけど―――」
美希「プロデューサーさん、せんせーと知り合いなの?」
P「…………へ?」
キョロキョロ
P「……せんせーって、誰だ?」
美希「その人」
P「えっ」
美希「その人、変な人じゃないの。ミキの学校の体育のせんせー」
P「」
教師「……どうも。星井さんの学校で教師をやっております」
P「」
―――――――――
――――――
―――
美希「―――それでね、プロデューサーさん、美希のセンセーをストーカーさんって間違えちゃったの」
美希「『その子から離れろ!』って言ってた時はすっごくカッコよかったのに、すぐペコペコしちゃって台無しってカンジ」
司会「このことについて美希のプロデューサーさんは『穴があったら入りたい』とコメントしています」
美希「へー。じゃ、ミキ後でスコップ渡しとくね」
司会「以上、星井美希ちゃんの『最近びっくりした話』でした!」
ディレクター「ハイカット!チェック入りまーす!」
美希「プロデューサーさん!おわったよー」
P「そうかい」
美希「まだ怒ってるの?」
P「話のタネにもなったし良かったじゃねーの」
美希「あんまり怒ってるとミキも怒っちゃうよ?」
P「試しにやってみろ」
美希「むっ」プクー
P「おおこわいこわい」
美希「バカにしてるの!もー!!」
P「それじゃあ、気を付けてな」
美希「……ね、プロデューサーさん。ホントに、怒ってない?」
P「怒ってないよ。俺の方ももっと気を付けなきゃって思ってるだけだ」
美希「そ。よかったぁ」
P「ただメールの返事はきちんと返してくれ。最近遅れがちだけどなんかあったのか?」
美希「ううん」
P「以前は日を跨いだりってことはなかったじゃないか」
美希「なんにもないよ、たまたまなの」
P「……まさかとは思うけど、わざとか?」
美希「ミキ、しーらない」
P「図星かよ!ったく……心配になるから早目に返してくれよな」
美希「お返事はちゃんとしてるんだしいいって思うな」
美希「それにもしメール届かなくなってもだいじょぶなの」
P「なんでだよ」
美希「だって……」
美希「ミキのことは、プロデューサーさんがちゃーんと見つけてくれるもん!」
おわり
以上でおしまいです。ここまでありがとうございました。
古来より電池切れとメーラーデーモンさんは連絡取るうえで最大の敵と言われていますが
今だとLINEなりSMSなりがあるのでこの辺の心配は無用そうですね。
もうちょいで無印から10周年になるのでそちらも注目して行ければと思います。
おつおつ
乙なの
おつおつ
ケータイをパカッって開いてるということは
もしかしてガラパコス?
OFAでもガラケーだった気が
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