男「う~、さみぃ~」
女「……」
男「おはよ、女ちゃん。今日も寒いね」
女「はい、そうですね」
男「こうやってストーブの前にいると、あったかくてここから離れたくなくなる、というか」
女「はい、そう思います」
男「ね。……あ~じんわりあったかくなってきた」
女「……あの、男さん」
男「ん、なに?」
女「私、男さんのことが好きになってしまいました」
男「え?」
女「どうすればいいですか?」
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男「えっと……どうすればって」
女「……」
男「んーと、そのまま好きでいてくれたら嬉しいかな。うん」
女「嬉しいですか?」
男「もちろん。むしろ、嫌われてて、一緒にストーブにあたるのすらイヤだ、って言われるよりはね」
女「そんなこと絶対に言いません。絶対に」
男「はは、それなら良かった」
◆◆◆
女「男さん」
男「ん、何?」
女「一緒に帰りませんか」
男「え……別にいいけど」
女「そうですか。良かった、断られるかと思いました」
男「別に誰かと帰るとかって先約もないし、誘われたら喜んで帰るよ」
女「……男さんは、優しい?」
男「頭ごなしに拒否るやつはそういないと思うよ……」
◆◆◆
女「一緒に帰るのは、初めてですね」
男「うん。というか、まともに話したのも今日が初めてじゃない?」
女「そうでしたか? よく学校で挨拶してると思いますけれど」
男「それは『まとも』の数には入れないような気がするよ」
女「……『まとも』ってなんでしょう」
男「うーん、なんだろうね」
男「女ちゃんってあんまり表情変わらないね」
女「自分の顔を見たことがないので、よくわかりません」
男「鏡で見たこと、あるでしょ」
女「鏡に映っている自分は、本当に自分なのでしょうか」
男「考えさせれる……」
女「今は、寒くて顔が硬いなっているのかもしれません」
男(普段から表情は硬いと思う……)
女「男さん」
男「なに?」
女「私は、男さんのことが好きになりました」
男「ああ、今朝言ってたね」
女「それで、なんですが」
男「うん」
女「男さんは、私のことを好きですか?」
男「えっと……そりゃ、好きになってくれた人のこと、嫌いにはなれないよ」
女「……では、好きなのでしょうか」
男「うん、そうなるね」
女「……なるほど」
彼女は頷いた。静かに頷くと同時に、止まっていた歩を再び進めた。
女「明日も一緒に帰っていただけますか?」
男「うん。全然いいよ」
女「ありがとうございます。それでは、私はここで」
男「あ、ここでお別れなんだ。じゃあね、女ちゃん」
女「はい、さようなら」
綺麗なお辞儀をして、彼女は僕の前から去っていった。
夏真っ盛りに、冬のお話を書き始めました。
いつ終わるかわかりませんが、とりあえずお付き合いください。
それでは。
期待
良いじゃないか
良いぞ...良いぞ...
期待
彼女は真面目な性格をした女の子。とにもかくにも、僕にとってはそのイメージ以外ない。
そもそも、この日、僕と彼女は本当に初めてまともに話をした。
そんな娘から、「好きになっちゃいました」なんて聞くとは。
でも、話をしてみた感じ、冗談を言うような娘とは思えない。
教室で本を読んでいて特に他のクラスメイトと絡んでいるところを見たことがない。
昼食だって、誰かと食べたりせずに一人で黙々と小さいお弁当をつついていた。
というか、今日はそうしていた、という言い方が正しいだろう。
男「まあ」
あんなことを言われたら、気にならないわけがない。
小さく白い息を吐いて、僕はゆっくりと帰路についた。
◆◆◆
女「おはようございます」
男「あれ、女さん」
僕たちと彼女が別れた道に立っていた。
スクールバッグを両手で持ち、綺麗な姿勢。
男「おはよう。早いね」
女「いえ、いつもよりは遅いですよ」
キッパリと否定される。とても淡々とした口調だ。
男「確かに、いつも僕より先に学校にいるもんね」
女「はい。今日は男さんを待っていたんです」
男「そ、そっか。じゃあ一緒に行く?」
女「……」
急に、ピタリと言葉が止まった。
会話が急に途切れ、一瞬の間が経った後、
女「……あの」
男「ん?」
女「……なんでもありません。行きましょう」
昨日とはうってかわって、彼女はまったく喋らない。
男「……」
女「……」
喋らぬまま歩き続けて、数分が経った。
男「えっと、女さん」
女「はい」
男「どうしてずっと黙ってるの?」
女「その、考え事を」
考え事?
男「それは、僕が触れても平気な話題……なのかな?」
女「はい、大丈夫ですよ。男さんのことですから」
いきなり怖いことを言う。
男「ぼ、僕のこと……? な、何のこと?」
恐る恐る、聞いてみる。
女「あの、さっきのことなんですけれど」
男「さっきのこと」
一体どのことだろう。何か、都合の悪いことでもしてしまったのだろうか。
まったく見当がつかない。
女「一緒に行く、と仰ったこと」
男「あ、うん」
女「とても、驚いたので」
男「ど、どうして?」
女「私から誘おうと思っていたのです。なのに、男さんが先に仰ったから」
女「どういう表現が正しいのでしょう。『先を越された』でしょうか」
男「えっと、それでずっと考え事してたの?」
女「はい。私は男さんと一緒に学校に行きたかったので、お誘いしようと思っていたのです」
なのに、とまた繰り返す。
女「なぜか、男さんが先に私を誘ったから」
そう言うと、首を斜めに傾げる。
女「どうして、でしょう」
男「そ、それは女ちゃんが僕のことを待ってくれたって言ったから」
女「では、男さんは私と一緒に学校に行きたかった、ということですか?」
男「そ、そういうこと……かな?」
女「なるほど」
うんうんと頷き、近づけた顔を元に戻した。
女「……あ」
男「どうしたの?」
女「すみません、顔が、近かったですね」
口を手で覆い、そう呟いた。
男「き、気にしてないよ、全然」
なんとも、不思議な子だ。
男(それにしても)
近くで見た彼女の顔立ちは、とても端正だったな。
今回分でした。
ではまた。
おつおつ
乙
カワイイ
童貞臭い文章だな
そこがいいんじゃないか
◆◆◆
学校に着くと、まず最初に驚くのは校内の寒さだ。
男「外も中も変わらないくらい寒いなぁ」
女「はい」
男「女さんは平気なの?」
女「人並みに寒さを感じます」
男「そうなんだ」
人並みってわかりづらいけれど、まあ気にしないでおこう。
がらんとした教室に入ると、余計寒く感じる。
男「やっぱり誰もいないね」
女「でも、いつもと違います」
男「え?」
女「私が来るとき、最初はいつも誰もいません。一人です」
確かに、いつも彼女は一番最初に教室にいる。
女「でも、今日は男さんと、最初から二人です」
男「……」
女「……」
少しだけ、見つめ合う。
女「どうしました?」
男「あ、いや」
「なんでもない」と目をそらしてしまった。
急に恥ずかしくなって、僕は自分の机まで早歩きで向かった。
スクールバッグを置くと、後ろからシュボッと音がした。
振り向くと、彼女がストーブの前にいた。
女「ストーブ、つけました」
ストーブを指さして、報告する口ぶりで言う。
男「……女さんって、いつも何時くらいに学校に着いてるの?」
女「今の時間の二十分くらい前です」
ああ、なるほど。
だからいつも、教室に入ると温かいんだ。
男「女さん、ありがとう」
女「はい?」
僕はゆっくりと彼女の横に行き、ストーブで暖を取る。
男「いつも早めに来て、教室を温かくしてくれて」
女「……」
僕がそう言うと、彼女は少ししゃがんだ体勢からスクッと立ち上がった。
男「女さん?」
女「なんだか、急に、暑くなってきました」
そういうと、彼女は窓の方へと行ってしまった。
男「大丈夫? まだそんなに教室温かくなってないけれど」
女「大丈夫です。お気になさらず」
男「でも急に暑くなるって、どうしたの」
女「……」
男「……」
女「正確な答えが出せそうもないので、答えられません」
顔は見えないけれど、下を向いたことだけはわかった。
男「そっか」
僕は少し寂しい気持ちになりながらも、寒くてストーブから離れることができなかった。
今回分でした。
次はもっと早く更新できるかと思います。
それでは。
おつりんちょす
凄く甘酸っぱい
おつ
◆◆◆
女「男さんはどのような女性が好みなのでしょうか」
男「え?」
女さんに昼食を誘われ、二人で食べている最中のことだ。
いきなり質問に驚く。
女「はい。性格というか、見た目というか」
彼女はこちらも見ずに黙々とご飯を食べている。
男「うーん、そうだなぁ」
そういうことをあまり考えたことがなかった。
女「質問を少し変えます。どんな女の子と、付き合いたいですか」
男「付き合う」
更に僕は首を傾げた。
そもそも、『付き合う』ということ自体を意識したことがなかった。
もちろん好きな女の子がいたこともあるけれど。
だからと言って、「恋人」という関係を築きたいと思ったことはない。
男「……うーん、昔は、元気な子が好きだったかな」
小学生低学年の頃に、好きだった子を思い出す。
よく放課後、一緒に遊んでいた子。
女「昔、というのは、今は違うのでしょうか?」
男「今は……うーん」
女「……」
気づくと、彼女はジッとこちらを見ていた。
男「今も、そうかもしれない」
女「そうですか。では、髪型は?」
男「か、髪型?」
女「長い方が好みとか、短い方が好み、とか」
男「えーっと……その子に合った髪型が良いんじゃないかな」
あまり気にしたことがないというのが本音だ。
男「女さんは、長い髪が似合ってるよね」
女「えっ」
持っていた小さいお弁当を優しく置き、彼女は自分の髪を撫でた。
女「……ありがとうございます」
と下を向きながらそう言った。
とってもとっても遅くなってしまいました。
今回は以上です。
それでは。
うむ
よいぞ
お久しぶりです。
少々忙しく更新が滞っていますが、生きています。
また、もう少しお待ちいただければと思います。
待つ
ほ
お久しぶりです。
生存確認をば。
必ず書きますのでしばしお待ちを。
気長に待つよ
あけましておめでとうございます。
生存確認です。
まつよ
ほ
ほ
ほ
女「一緒に帰りませんか」
男「うん」
女「喜んでくれていますか?」
男「なんで?」
女「昨日は『喜んで帰る』と仰っていたので」
男「なるほど。もちろん、嬉しいよ」
女「嬉しい」
拳を固めて口元にやり、首を傾げた。
何か疑問がある感じだけれど……。
女「なるほど」
ポンッと手を叩き、自己解決したようだ。
◆◆◆
男「寒いね」
女「はい」
今日は昨日より確実に寒い。
呼吸をするだけでいつも以上に白い息が出て、吸い込む空気はとにかく冷たい。
風も強くて、学校指定の薄手のコートでは少し堪える寒さだ。
女「男さんは、寒さに弱いのですか」
男「そんなことは……あるのかな」
確かに指先はいつも冷えている。
荷物になるのが面倒で、コート以外の防寒具は何もつけていない。
男「自分の準備不足もあるかも」
ほら、と手を彼女の方に手のひらを上にして見せた。
すると。
女「……」
ポンと、彼女は手を上に載せたのだった。
男「んぇ?」
思いもよらない行動に僕は不思議と声を出してしまった。
女「……男さん」
男「な、なに?」
女「私は何をしているのでしょう」
お互いに何が起きているのか、わからない状況になっていた。
男「えっと、とりあえず」
焦りながらも僕は状況を話し始めた。
男「女さんが俺の手の上に手を乗せてる状況、だよね」
女「あっ」
男「?」
女「そういえば、聞きたいことがありました」
凄く、唐突だ。
時間に関してはまちまちですが、これから数日間は毎日書き進めていきます。
それでは。
乙
乙です
このSSまとめへのコメント
続き書いてくれー