まゆ「ラジオの予行演習をしましょう」 (34)

乃々(どうも、もりくぼです)

乃々(このたび、私はシャイニーナンバーズというラジオに出ることになりました)

乃々(総選挙で良い成績を残したご褒美だそうです)

乃々(……正直)

乃々(もりくぼ的にはご褒美ではなく、拷問です)

乃々(なにせ、一人で切り盛りしないといけないわけですし)

乃々(私が、一人で、ラジオとか……)

乃々(か、考えただけで……むーりぃ……)

乃々(……そんな気分です)

乃々(……でも)

乃々(美優さんの回を聞いている限り、きっともりくぼにもゲストが来てくれるのでしょう)

乃々(……まだ誰かは聞いてませんが、きっと)

乃々(そしたらその人に全部任せて、もりくぼは黙っていましょう)

乃々(その方がラジオも円滑に進むはずです)

乃々(もりくぼは机の下で蹲っていますから)

乃々(がんばってください、ゲストの誰か……)

乃々(……)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469341425

乃々(……まあ、実際、そんなこと無理でしょうけど)

乃々(あくまで主役はもりくぼです)

乃々(もりくぼになってしまったのです)

乃々(なので、もりくぼは逃げられません)

乃々(隠れることもできません)

乃々(もりくぼががんばるしかないのです)

乃々(……)

乃々(……)

乃々(……そんなわけで、今私は過去のシャイニーナンバーズを聞いています)

乃々(過去のパーソナリティの皆さんを参考にしようと思いまして)

乃々(……)

乃々(……)

輝子「……」

乃々(……)

輝子「……」

乃々(……)

輝子「……」トントン

乃々「ひぃっ!?」

輝子「!?」ビクッ

乃々「……あ、キノコさん」

輝子「フヒ……キノコさんだ」

乃々「あの……お、驚いてごめんなさい」

輝子「いや、いい」

輝子「……ちょっと傷ついたけど」

乃々「あうぅ……」

輝子「あ、で、でも……ボノノさん、すごい熱中してたみたいだから、仕方ないと思う」

輝子「むしろ……こっちが、話しかけてすまん……」

乃々「あ、いえ、そんな……だ、大丈夫ですけど……」

輝子「そうか……よかった……」

乃々「……」

輝子「……」

乃々「それで……あの、何か用ですか?」

輝子「い、いや……用ってほどじゃないけど……」

輝子「ボノノさんがイヤホンをつけて音楽を聞いてるなんて……珍しいなって」

輝子「ちょっと、気になったから……」

乃々「あ、そうですか……」

輝子「……何聞いてたんだ?」

乃々「……えっと」

乃々「あの、音楽じゃなくて……ラジオです」

輝子「……ラジオ?」

乃々「はい……あの、シャイニーナンバーズ」

輝子「シャイニーナンバーズ……」

輝子「……ああ、次、ボノノさんがパーソナリティのやつか」

乃々「あ、はい、それです」

輝子「フヒ……楽しみにしてるぞ」

乃々「……うぅ」

乃々「あまり重圧をかけないで欲しいんですけど……」

乃々「期待に押しつぶされて……もりくぼ、ぺしゃくぼになります……」

輝子「そ、そうか……」

輝子「じゃあ……期待しないようにがんばる……」

乃々「それでよろしくお願いします……」

輝子「お、おう……」

輝子「それにしても……ず、ずいぶん熱中してたな」

輝子「目を瞑って……私の気配にも気づかないくらい……」

乃々「……もりくぼ、ラジオの経験はほとんどないので」

乃々「みなさんのラジオを聞いて勉強しようと思っていたんです」

乃々「次のもりくぼの回をさっと終わらせて拷問からすぐに抜け出すためにも……」

輝子「まだ録ってないのか……?」

乃々「はい……明後日に録る予定です」

乃々「……生放送じゃないのが不幸中の幸いでした」

乃々「生放送だったら放送事故間違いなしです」

輝子「自分で言うのか……」

乃々「自分のことは自分が一番わかってますから……」

乃々「……それで、みなさんのラジオを聞いていたんですが」

乃々「卯月さんも、楓さんも、美優さんも、みなさんすばらしくて」

乃々「もりくぼ、こんな風にできるかって考えたら、きっとできなくて」

乃々「……」

乃々「……もうだめです、本当に、むーりぃ……」

輝子「ああ、ボノノさんがどんどん小さく……!」

乃々「このままもりくぼはぺしゃくぼになり床と一体化します……」

乃々「どうか上に座ってぺしゃくぼを隠してください……」

乃々「……なんて、逃げられたらすばらしいんでしょうけど」

輝子「なかなかファンタスティックな逃げ方だ……フヒ」

乃々「うぅ……」

乃々「結果だけを残したい……過程を全部飛ばして、結果だけを残せる能力が欲しい……」

乃々「そしたら今後のアイドル活動もそれでやっていけるのに」

輝子「それは活動しているのだろうか……」

乃々「もりくぼがアイドルしているという結果だけは残ります」

乃々「もりくぼにアイドルしてもらいたい人にも、もりくぼにもハッピーな結果です」

輝子「な、なるほど……?」

乃々「……まあ、夢物語なんですけど」

乃々「はぁ……」

乃々「ラジオとか……本当、むーりぃ……」

輝子「……」

まゆ「……話は聞きましたよ、乃々ちゃん」

乃々「!」

乃々「あ、まゆさん……」

まゆ「うふ……こんにちは」

乃々「こ、こんにちは……」

乃々「……どこから聞いてたんですか?」

まゆ「最初から聞いてましたよぉ」

乃々「!?」

輝子「フヒ……まゆさん、隣の机の下にいたからな」

乃々「あ……そ、そうだったんですか……」

まゆ「はい」

まゆ「隣で午前の分の日記を書いてたんですけど……途中何回も乃々ちゃんって書いちゃうくらいにはしっかり聞いてました」

乃々「そ、そうですか……」

乃々「……なんだか恥ずかしいんですけど」

まゆ「うふふ」

輝子「午前の分の日記っていうのも面白いな……フヒ」

まゆ「早いうちに書かないと忘れてしまうかもしれないので」

まゆ「それに、書く内容も多いですから」

輝子「まゆさん……すぐ日記帳を埋めちゃうからな」

まゆ「それだけ毎日楽しいんです……♪」

まゆ「それで、乃々ちゃん」

まゆ「えっと……ラジオの勉強をしたいんですよね」

乃々「あ、はい」

まゆ「……」

まゆ「……他の人のラジオを聞いてどんな感じか勉強するのもいいと思うんですけど」

まゆ「乃々ちゃんらしさっていうのも無いといけないと思うんです」

乃々「もりくぼらしさ……」

まゆ「はい」

まゆ「慣れない誰かの真似をしても、いいラジオにはならないと思います」

輝子「……そうだな」

輝子「ボノノさんが卯月ちゃんや、楓さん、美優さんの真似しても……」

乃々「……すぐつまりそうなんですけど」

まゆ「ですよね」

まゆ「なので、今までのラジオを聞いて、流れを覚えるのはいいと思いますけど」

まゆ「こんな風にしなきゃ……って考えるのは違うと思うんです」

乃々「なるほど……」

乃々「……でも、もりくぼ、ラジオの経験ありませんから」

乃々「もりくぼらしさっていうのもよくわからないんですけど……」

まゆ「うふ……わからなければ今から作ればいいんです」

乃々「……?」

まゆ「乃々ちゃん」

まゆ「今からラジオの予行演習しましょう」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


輝子「それじゃあボノノさん、始めるぞ」

乃々「あ、は、はい……!」

輝子「3、2……」

乃々「……」

乃々「えっと……み、みなさん……こんにちは」

乃々「ラジオ、シャイニーナンバーズの時間なんですけど……」

乃々「このラジオは、今注目のアイドル達がみなさんときらきらした日々をすごすためにリスナーのみなさんと、手作り感覚でお送りするスペシャルラジオ番組です……はい」

乃々「……あ」

乃々「……えっと、第4週のパーソナリティはもりくぼです」

乃々「森久保、乃々です」

乃々「……その」

乃々「もりくぼ、あの、ぜんぜん上手くできないかもしれませんけど」

乃々「……よろしくお願いします」

乃々「……」

輝子「フヒ……カットだ」

乃々「ふぅ……」

乃々「……こ、こんな感じでしょうか?」

まゆ「そうですねぇ」

輝子「オープニングは3人とも一緒だったからな」

輝子「これは固定だろう……フヒ」

乃々「そうですか……」

乃々「……うぅ」

乃々「もりくぼが注目とか……キラキラとか……本当……むーりぃ……」

輝子「その気持ちはわかるが……」

輝子「実際に注目されてるからな、今」

乃々「うぅ……」

乃々「……目立たないように、部屋の隅でミニくぼになりたいんですけど」

輝子「た、たくさん種類があるな、ボノノさんの亜種……」

まゆ「うふ……もしかしたら151匹いるかもしれませんねぇ」

輝子「ボノットモンスター……フヒ」

乃々「それで、えっと……この後はどうしたら……?」

まゆ「次は……おたよりコーナーですね」

乃々「おたより……」

輝子「あ、でもその前にゲストも紹介しないとだな」

乃々「ゲスト……」

乃々「……」

乃々「……今、どっちも無いんですけど」

まゆ「おたよりなら今まゆたちが書きますねぇ」

乃々「えぇっ……!?」

輝子「フヒ……最高のおたより職人になってやる」

まゆ「うふふ……何を送ろうかな……?」

乃々「……あの、もりくぼは何をしていれば」

輝子「私たち――というか、ゲストをどうやって呼ぶか、考えるとか?」

まゆ「うふ……すぐ終わると思いますからちょっと待っててくださいねぇ」

まゆ「あっ、それと……まゆたちがゲストの代わりになりますよ」

輝子「ああ……本番はゲストは一人だろうけど……まあ練習だしな」

乃々「あ、ありがとうございます」

まゆ「乃々ちゃん、終わりましたよ」

輝子「私もだ……フヒ、自信作」

乃々「ありがとうございます……全部で4つですね」

まゆ「一人二つずつにしました」

まゆ「これを元におたよりコーナーもやってきましょう」

乃々「わかりました」

輝子「それじゃあ、ボノノさん、続き始めるぞ」

乃々「あ、はい」

輝子「3、2……」

乃々「……」

乃々「……えっと、続いては、あの、リスナーのみなさんからのお便りを紹介するコーナーです」

乃々「ですけど……あの、もりくぼ、一人だとぜんぜんできないと思うので」

乃々「もりくぼを助けてくれるゲストをお呼びしました」

乃々「それでは……ど、どうぞ」

まゆ「うふ……佐久間まゆです」

輝子「星輝子です……フヒ」

乃々「まゆさんと、キノコさん……えっと、輝子さんです」

輝子「いつもキノコさんだから……無理して変えなくてもいいぞ、ボノノさん」

乃々「あ、そうですか……じゃあ、お言葉に甘えて……」

まゆ「うふふ」

乃々「……えっと、お二人とももりくぼより、まぶしくて、キラキラしてるアイドルです」

乃々「たぶんこの番組のパーソナリティにはお二人のほうがあっていると思います」

乃々「なのでもりくぼは机の下にこもるので、後はお二人で進めて欲しいんですけど」

輝子「ダメだ」

まゆ「ダメです」

乃々「……うぅ」

乃々「なんでですか……いぢめですか……」

まゆ「ふふ、乃々ちゃんが主役ですから」

輝子「主役が引きこもってちゃパーティはなりたたないぞ」

乃々「今日はパーティじゃなくて拷問なんですけど……」

乃々「もりくぼ、さらし者になってます……」

乃々「もう……本当、むーりぃ……」

輝子「フヒ……私たちがしっかりサポートするから」

輝子「がんばろう、ボノノさん」

まゆ「がんばりましょう、乃々ちゃん」

乃々「……」

まゆ「あとで美味しいクッキーもあげますから」

乃々「それで動くとまるでもりくぼが卑しい奴みたいなので嫌なんですけど……」

まゆ「あら」

乃々「……でも」

乃々「二人が応援してくれたので、もう少しがんばります……」

まゆ「……うふ」

輝子「フヒ……」

乃々「……えっと」

乃々「それでは、おたよりのコーナーです」

まゆ「うふ……じゃあまずはまゆが読みますねぇ」

まゆ「えっと……ペンネーム地獄のえりんぎさんから」

輝子「フヒ……キノコ好きの同志がいるな」

乃々「というか書いたのキノコさんなんですけど……」

まゆ「乃々ちゃん、そういう設定ですから」ボソボソ

乃々「あ、すいません……」ボソボソ

まゆ「……こほん」

まゆ「えっと……『ボノノさん、総選挙4位おめでとうございます』」

まゆ「あっ」

乃々「送り主がバレバレなんですけど……」

輝子「あ、しまった……」

まゆ「……次からちゃんと言い換えて読みますね」

まゆ「えっと……それで」

まゆ「『乃々ちゃんのこといつも応援してます』」

乃々「あ、はい……ありがとうございます……こんなもりくぼなんかを……」

輝子「フヒ……ボノノさんはこんな、なんかじゃないぞ」

乃々「あうぅ……」

まゆ「うふ……続き読みますね」

まゆ「『質問なんですが、乃々ちゃんは少女漫画が好きとのことですがどんな少女漫画が好きですか?』とのことです」

輝子「ボノノさん漫画結構持ってるよな」

乃々「そうですね……気になった本はよく買ってますから……」

まゆ「うふ……机の下にたくさん置いてありますよねぇ」

乃々「暇なときに読むために……」

乃々「……それで、えっと、好きな少女漫画なんですけど」

乃々「動物のたくさん出てくる4コマ漫画が好きです」

乃々「ほのぼのしてて……幸せな気持ちになります」

乃々「……もりくぼもそこに行きたいくらいに」

輝子「……もしかして、ボノノさんが時々言ってる『森に帰りたい』の森って……」

乃々「……そうですね」

乃々「その世界でもいいですし……そうじゃなくても、そんな感じのやさしい森に帰りたくなる時もあります」

乃々「というか、よくあります」

輝子「なるほど……」

まゆ「動物の4コマ漫画ですかぁ……」

まゆ「少女漫画と言ったら恋愛もの……ってイメージがありますけど……」

乃々「いえ……私はそういうのはあまり読まないです」

まゆ「あら、そうなんですか?」

乃々「はい」

乃々「あんなのありえませんし……」

まゆ「あら、結構現実的……」

乃々「あとは……なんというか……恥ずかしいというか……見てられないというか……」

輝子「フヒ……気持ちはわかる」

輝子「私も、そういう少女漫画読んでるとちょっとムカついてくる」

輝子「本を引きちぎりたくなるくらいに……フヒ」

乃々「いえ、もりくぼはそこまではいきませんけど……」

輝子「それじゃ、次のおたよりにいくぞ」

乃々「あ、はい」

輝子「えっと……ペンネーム紅いリボン巻いてた女の子さんから」

輝子「『乃々ちゃん、総選挙お疲れ様でした』」

乃々「あ、ありがとうございます」

乃々「……その、身に余る順位をいただいて……なんというか……あの……む、むーりぃ……」

まゆ「うふふ」

輝子「『早速質問なのですが、どうしてその髪型にしようと思ったのでしょうか、理由が聞いてみたいです』……だそうだ」

乃々「この髪型……」

まゆ「うふふ、確かに特徴的ですねぇ」

輝子「そうだな……そのドリルみたいな」

乃々「あまりドリルとは言わないでほしいんですけど……」

まゆ「でも、確かにその髪型毎朝セットするのは大変そうですよねぇ」

輝子「もしかして、それって癖っ毛だったりするのか……?」

乃々「あ、いえ、違いますけど……」

乃々「……こんな癖っ毛だったら髪を洗うのが大変そうですね」

輝子「あ、確かに」

乃々「……えっと、この髪型は」

乃々「小さいころ……本当に小さいころ」

乃々「……お母さんが、この髪型にしてくれたんです」

まゆ「お母さんが?」

乃々「はい……きっと似合うと思うからって」

乃々「……で、この髪型になって」

乃々「お母さんがとても褒めてくれたんです」

乃々「やっぱりかわいかった、とてもよく似合ってる、本当にかわいいって」

乃々「……それで、小さいもりくぼはうれしくって」

乃々「この髪型をとても気に入ったんです」

乃々「……だから、今日まで……この髪型でいたんです」

乃々「きっと、これからも」

まゆ「へぇ……」

輝子「いい話だ……」

乃々「……そ、そうでしょうか」

まゆ「はい……素敵なお話です」

乃々「……ふふ」

乃々「……じゃあ、次行きましょう」

まゆ「はい」

まゆ「えっと……ペンネームまいたけ聖剣さんから」

輝子「フヒ……またきのこ……」

乃々「……」

まゆ「『もりくぼちゃん、こんにちは』」

乃々「あ、はい、こんにちは」

乃々「……もりくぼちゃんなんて呼ばれたの初めてです」

輝子「フヒ……もしかしたらこういう呼び方する奴もいるかもしれないって思ってな」

まゆ「……こほん」

まゆ「『この前のステージでのポエム、とても素敵でした』

乃々「」

まゆ「『私もポエムをよく書くのですが、もりくぼちゃんのような素敵なポエムを書くことができません』」

まゆ「『そこで、何かコツを教えてもらえるとうれしいです』」

まゆ「『いつも応援してます、これからもがんばってください』だそうです」

輝子「フヒ……この前っていうと……」

まゆ「絵本作家の方と乃々ちゃんがトークしたときのことですね」

輝子「そうだと思う……というか、そのつもり……フヒ」

まゆ「どうでしょうか、乃々ちゃん」

乃々「」

まゆ「……乃々ちゃん?」

乃々「」

輝子「ぼ、ボノノさん……?」

乃々「」

まゆ「……おーい?」

乃々「」

輝子「……ど、どうしよう?」

まゆ「……復活するまで待ちましょうか」

乃々「……はっ!」

まゆ「あ、戻ってきました」

乃々「こ、ここは……?」

輝子「おはよう、ボノノさん」

乃々「おはようございます」

乃々「えっと……もりくぼ、ポエムのおたよりを聞いてそれから……」

乃々「……それから?」

まゆ「……乃々ちゃんが気絶しました」

乃々「……ど、どのくらい?」

輝子「ちょっとの時間だ」

輝子「……だけど、放送事故だな……放送はしてないけど……フヒ」

乃々「あう……」

乃々「ご、ごめんなさい……」

まゆ「いえ、別にいいんですけど……練習ですし」

まゆ「ただ、本番では気絶しないようにしないと……」

乃々「あう……そ、そうですね……」

乃々「それで、えっと、どんなおたよりでしたっけ……」

まゆ「……どの辺りまで聞いてたんですか?」

乃々「その……もりくぼのポエムが素敵だってところまで」

輝子「だ、だいぶ最初の方だな……」

乃々「なんというか……なんか、うれしさとか、恥ずかしさとか……他にもいろいろなものがもりくぼの心を駆け巡って……」

乃々「それで、混乱して、気絶しちゃったんだと思います」

輝子「なるほど……」

まゆ「……本番、大丈夫でしょうか?」

乃々「うぅ……がんばります……」

乃々「心を強く持って、あらかじめこらえておけば……たぶん……」

輝子「そ、そこまで準備必要なのか……」

まゆ「……えっと、じゃあ、あの、さっきのおたより要約して読みますね」

まゆ「『この前のポエム素敵でした。私もポエムを上手に書きたいのでコツを教えてください』だそうです」

乃々「コツ……ですか」

乃々「……もりくぼ、素人なので、そんな、人に教えるなんて……その、おこがましいと思うんですけど……」

輝子「……で、でもおたよりで、聞きたいって言ってるんだから、な?」

乃々「……」

乃々「……その」

乃々「思うがままに書くこと、だと思います」

まゆ「思うがまま?」

乃々「はい」

乃々「……正直、この前のステージは無我夢中でした」

乃々「なんかもう、いっぱいいっぱいでした」

乃々「変なことを考える余裕が一切ないくらい」

乃々「……だからきっと心の中がそのまま出たポエムが書けたんだと思います」

乃々「それを素敵と思ってくれるなら……えっと、キノコさ――」

乃々「――じゃなくて、まいたけ聖剣さんも、思うがままに書いたらもりくぼのようなポエムが書けると思います」

乃々「……もりくぼは、どんなポエムか覚えてませんけど」

乃々「……こんな感じでしょうか?」

まゆ「うん……いいと思います」

輝子「まいたけ聖剣さんも、今後それを参考にポエムを書くだろうな……フヒ」

乃々「……」

輝子「それじゃ、最後のおたよりだ」

輝子「ペンネーム、まゆるどさんから」

乃々「もはや名前入ってるんですけど……」

まゆ「乃々ちゃん?」

乃々「あ……な、なんでもないです、はい」

輝子「『乃々ちゃん、こんにちは』」

乃々「あ、はい、こんにちは」

輝子「『いつも乃々ちゃんのがんばる姿を楽しく応援してます』」

乃々「ありがとうございます……」

輝子「『乃々ちゃんは、現在アンダーザデスクというユニットを組んでいますが』」

輝子「『ユニットの仲間のお二人のことをどう思っていますか?』」

乃々「ふぇっ……」

輝子「『聞かせていただけるとうれしいです』だそうだ」

乃々「え、えぇ……」

まゆ「聞かせてもらえますか、乃々ちゃん?」

乃々「あう……ほ、本当に言わないとダメ、ですか……?」

輝子「フヒ……おたよりに書かれてたからな」

輝子「言ってくれるとおたよりを送ってくれたファンが喜ぶぞ」

乃々「あうぅ……書いたのはまゆさんなんですけど……」

まゆ「うふ……」

乃々「……」

乃々「……本当に言わないとですか?」

輝子「……」コクリ

まゆ「もしかしたらこんなおたよりが来るかもしれませんし」

乃々「それで全部言いくるめようとしてませんか……?」

まゆ「乃々ちゃん、お願い」

輝子「ボノノさん」

乃々「うぅ……」

乃々「……」

乃々「……えっと、お二人のことは」

乃々「その……」

乃々「……た、大切な仲間だと思ってて」

乃々「まゆさんは、あの、すごく、やさしいお姉さんみたいで」

乃々「キノコさんは、頼れるお姉さんみたいで」

乃々「いつも、こんなもりくぼを引っ張ってくれて」

乃々「だから、えっと、あの……」

乃々「……」

乃々「……あぅ」

乃々「うぅぅ……!」

乃々「……なんですかこれ……いぢめですか……!」

乃々「もう限界なんですけど……!」

まゆ「うふ、ありがとう乃々ちゃん」

まゆ「乃々ちゃんにそう思ってもらって嬉しい……♪」

輝子「私も…………そうか、ボノノさんはそう思ってくれてたんだなって……」

輝子「だ、だいぶ嬉しい……フヒ」

乃々「……つ」

乃々「次いきましょう……これ以上は限界です……!」

乃々「以上、おたよりのコーナーでした……!」

乃々「……」

輝子「フヒ……カットだ」

乃々「うぅ……本番でももりくぼはこんな辱めを受けないといけないのでしょうか……」

輝子「おたよりしだいだな……フヒ」

乃々「もりくぼにやさしいおたよりがくるよう祈ってます」

乃々「世界がもりくぼにやさしくなればいいのに……」

まゆ「でも、いい感じでラジオのパーソナリティができてると思いますよ」

まゆ「本番もこの調子で行けば、きっと成功すると思います」

乃々「……うまくできてるのはお二人がいるからなんですけど」

乃々「もりくぼ一人だったらこんな風に進行とか……むーりぃ……」

輝子「本番でも誰かゲストは来るから、そこまで気負わなくてもいいと思うぞ」

乃々「確かにそうなんですけど……」

乃々「……でも、今みたいにはできないと思います」

乃々「もりくぼにとって、お二人は特別なので……」

まゆ「……」

輝子「……」

輝子「フヒ……まだもう1コーナーある」

輝子「準備できたら、始めよう」

乃々「あ、そうですね……」

輝子「それじゃ、始めるぞ」

乃々「……その監督のような立ち振る舞い、気に入ったんですか?」

輝子「わりと楽しい……フヒ」

輝子「……こほん」

輝子「それじゃ、3、2」

乃々「……」

乃々「続いてのコーナーなんですけど」

まゆ「ここからは、ナンバーズランキングというコーナーですね」

輝子「お題にしたがって、ボノノさんが順位をつけていくコーナーだな」

乃々「……」

乃々「……あの、お題BOXは……?」

輝子「そんなものはない」

乃々「えぇっ……!」

まゆ「……さすがに、あの時間だけでは用意できなかったので」

まゆ「でも、お題の用意だけはできてますので、乃々ちゃんは引くフリだけしてください」

乃々「わかりました……」

乃々「……」

まゆ「……」

輝子「……」

乃々「……あ」

乃々「えっと……じゃかじゃかじゃか……」

乃々「……じゃん」

輝子「お、お題は……?」

まゆ「居心地のいい場所……ですね」

乃々「居心地のいい場所……」

輝子「フヒ……それじゃ、5位からランキング形式で発表してくれ」

乃々「あ、はい」

まゆ「それじゃあ、まず第5位から」

乃々「第5位は……えっと、ロッカーの中ですけど」

まゆ「……ロッカーの中?」

乃々「はい」

乃々「なんか落ち着くので……」

輝子「狭いところが落ち着くのってなんでだろうな……フヒ」

乃々「わかりませんけど……」

乃々「でも、ロッカーの中にいれば誰もいないし、誰にも見られない一人きりの狭い環境が作れるので……」

乃々「あと、とっさに隠れることになったとき、ロッカーの中は隠れやすいですし」

乃々「最高です」

輝子「5位だけどな」

乃々「あ、そうですね……じゃあ、最高じゃなくて……いい感じです」

まゆ「……ふふ」

まゆ「それじゃ、次、第4位生きましょうか」

乃々「わかりました」

乃々「えっと……第4位は図書室ですけど」

まゆ「図書室……」

乃々「はい」

乃々「学校の中では一番好きです……静かなので」

輝子「……基本的に静かなところが好きなんだな」

乃々「そうですね……騒がしいのは……むーりぃ……」

乃々「教室もそうですし……運動場なんかもってのほかです」

乃々「その点、図書室はとても静かですし、たくさん本も置いてますから」

まゆ「……もしかして、乃々ちゃんの学校って少女漫画もおいてるんですか?」

乃々「別に少女漫画しか読まないわけじゃないんですけど……」

まゆ「あっ……ごめんなさい」

乃々「いえ……」

乃々「……図書室では動物が主役の小説とか読んだりしてます」

輝子「フヒ……動物好きなんだな」

まゆ「それじゃ、続いて第3位です」

乃々「第3位は……森ですね」

まゆ「……森?」

輝子「結構変化球な答えがきたな」

乃々「自分で言うのもなんですが、ロッカーの中も変化球だと思うんですけど……」

輝子「フヒ……それはなんとなく想像つく」

乃々「……」

まゆ「乃々ちゃん、結構インドア派だと思ってましたから」

まゆ「森、なんて急にアウトドアな答えが来てびっくりしました」

乃々「……別に、アウトドアが好きってわけじゃないんですけど」

乃々「でも、森は好きです」

まゆ「へぇ……」

乃々「穏やかで、ゆっくりで、心地よくて……」

乃々「やはりもりくぼには都会よりこっちの方が合ってるって思うくらい……」

輝子「なるほど……」

乃々「……あと」

乃々「……も、もしかしたら、漫画みたいな動物たちが遊んでるかもしれませんし」

輝子「……」

まゆ「……」

乃々「な、なんか反応して欲しいんですけど……!」

まゆ「いえ、かわいらしいなって」

輝子「ボノノさんらしい……フヒ」

乃々「あうぅ……つ、次行ってください、次……!」

まゆ「それじゃ、続いて第2位です」

乃々「第2位は……自分の部屋です」

輝子「自分の部屋か」

まゆ「居心地が悪いわけないですよね」

乃々「はい……もりくぼの好きだけが詰まった部屋ですから」

乃々「言ってしまえばもりくぼの城です」

まゆ「もりくぼの城……」

輝子「隠し扉がたくさんありそうだ……フヒ」

乃々「……自分の部屋に隠し扉が作れたら、誰にも見つからず隠れられるでしょうか」

輝子「それでもつかまってそうな未来が見えるな」

まゆ「そうですね」

まゆ「むーりぃ……って言いながら引っ張られてそう……」

乃々「……否定できないのが悔しいんですけど」

まゆ「それじゃ、最後、第1位ですね」

乃々「第1位は……」

乃々「事務所……」

乃々「……というか、事務所の机の下なんですけど」

まゆ「あら」

輝子「フヒ……すぐ傍だな」

乃々「あそこが一番落ち着きますし居心地もいいんですけど……」

輝子「自分の部屋より……?」

乃々「はい」

乃々「もりくぼの部屋と同じように好きなものも置いてありますし」

乃々「狭いですし」

乃々「……それに」

まゆ「……それに?」

乃々「……」

乃々「……お二人も、近くにいますから」

まゆ「!」

輝子「!」

乃々「自分の部屋だと、お泊りでもしない限り一人ですけど」

乃々「でも、ここだとまゆさんとキノコさんとたくさん話せて……ふふ」

乃々「だから、居心地が一番いいです」

乃々「……」

乃々「あぅ……余計なことまで話してしまったかもしれないんですけど……」

まゆ「うふ……余計なんかじゃないですよ」

輝子「ボノノさんがどう思ってるかが聞けて、今日は楽しい……フヒ」

乃々「……うぅ」

まゆ「まゆも、ここはとても居心地がいいですよ」

輝子「私も……このユニットも、この場所も居心地のいい空間だ」

輝子「フヒ……」

まゆ「うふふ……」

乃々「……ふふ」

乃々「……と、まあ、これが、私の居心地のいいランキングです」

乃々「以上、ナンバーズランキングのコーナーでした」

乃々「えっと……それじゃ、このままエンディングですけど」

輝子「フヒ……お別れの時間だな」

まゆ「乃々ちゃん、どうでしたか?」

乃々「とても長いラジオでした……」

輝子「フヒ……30分もないけどな」

乃々「もりくぼの体感では30時間くらいありました……」

まゆ「丸1日以上使ってるんですねぇ」

乃々「だから、もうほぼ限界です……」

まゆ「うふ、もうちょっとですよ」

乃々「うぅ……」

乃々「……」

乃々「……でも、楽しかったです」

まゆ「……うふふ」

輝子「それじゃ、来週も続投だな」

乃々「それは勘弁して欲しいんですけど……」

輝子「フヒ……ジョークジョーク」

乃々「えっと……それじゃ、締めましょう」

まゆ「うふ……ここまでのシャイニーナンバーズはゲストの佐久間まゆと」

輝子「星輝子と」

乃々「森久保乃々でした……」

輝子「ボノノさんはゲストじゃなくてパーソナリティだ……フヒ」

乃々「あ、そうですね……」

乃々「えっと来週は依田芳乃さんがパーソナリティです」

乃々「それでは、みなさんがもりくぼの分までキラキラの魔法に包まれますように……」

乃々「ば、ばいばい」

輝子「ばいばい」

まゆ「ばいばい♪」

輝子「……フヒ、カットだ」

乃々「ふぅ……」

まゆ「……これで一通り流れは終わりましたね」

まゆ「お疲れ様でした、乃々ちゃん」

乃々「……本当にどっと疲れたんですけど」

輝子「まだ予行演習だけどな」

乃々「うぅ……」

乃々「こんな辱めをまた受けなきゃいけないなんて……」

まゆ「うふ……」

乃々「……でも、おかげでイメージはつかめました……なんとなくですけど」

乃々「お二人とも、ありがとうございました」

まゆ「いえいえ」

輝子「ど、どういたしまして」

輝子「フヒ……練習とはいえ楽しかったぞ」

まゆ「うふ、まゆもです」

乃々「もりくぼもですけど……ふふ」

乃々「……」

まゆ「……本番、大丈夫そうですか?」

乃々「……それは、やってみないとわかりませんけど……」

乃々「でも、なんとかなりそうな気はしてます」

まゆ「……ふふ」

乃々「……欲を言えば」

乃々「やっぱり……お二人が、傍にいてくれると助かるんですけど」

まゆ「……」

輝子「……」

乃々「……まあ、無理ですよね」

輝子「……なぁ、ボノノさん」

輝子「収録は明後日だったよな?」

乃々「あ、はい……」

輝子「……その日、私はオフだな」

乃々「!」

輝子「まゆさんは……?」

まゆ「まゆも大丈夫ですね」

まゆ「……うふ、これなら応援に行けますね」

乃々「まゆさん……キノコさん……」

まゆ「……許可が取れればですけど」

輝子「見学しに行くようなものだから大丈夫だと思う」

輝子「それでもダメなら……」

輝子「……机の下に潜入だな……フヒ」

まゆ「うふ、いい考えですねぇ」

まゆ「机の下から乃々ちゃんを見守ってましょう」

輝子「そうだな……フヒ」

乃々「そっちの方がダメだと思いますけど……」

乃々「……でも」

乃々「もし、そこから見守ってもらえてたらとても安心します……ふふ」









おしまい

いよいよ来週がボノノさんのシャイニーナンバーズです、とても楽しみです
ゲストにまゆさんかキノコさんが来てくれることを祈ってます
もしゲストでこなくても、きっとボノノさんの机の下にまゆさんとキノコさんがいるって信じてます

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました。

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乃々(どうも、もりくぼです) - SSまとめ速報
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良かったらこちらもよろしくお願いします

優しい世界

乙、良かった
森久保は今回の総選挙と声帯実装でまた1つ頑張れる理由を手に入れたと思うので、これからも超応援したい
来週の金曜15:00が楽しみ過ぎる…
デレステに毒茸伝説実装→コミュに森久保登場まで妄想してる

乙です
最高
読みたかったものも書きたかったものも全部やってもらっちゃった気分


ギター弾いてうっとりしたり面倒くさい連呼する森久保か…(森久保違い)

ままゆが森久保にお姉ちゃんしてるのほんと好き

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